僕は星野に関わりたくない   作:サササ

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1話

僕の名前は空野黒石(ブラックマリア)。何処にでもいる普通の小学生……ではない。

 

何故なら僕には前世の記憶があるからだ。中学二年生まで生き、その後事故で死亡した記憶が。

 

直接的な死因については…あまり思い出したくはないが……確か、山道を厨二的冒険心に突き動かされて散策していた時に謎のカラス軍団に集られて、最終的には陰湿極まり無いバードアタックで崖から突き落とされたのが原因だった気がする。

 

あのカラスまじ許さん。今度あったら羽毟って骨董品にしてやる。覚悟しろクソカラスめ。

 

…まあそんな訳で僕は前世の記憶を持ち越したスーパー小学生なのだ。これには色々なメリットがあるが、その分デメリットも勿論ある。

 

それが……。

 

「あっ空野くん……だっけ?これ…先生から渡しといてって言われて……」

 

「……あ、どうもあ、ありが……」

 

「えっ?なに?」

 

「……別に」

 

「そっ、そっか…じゃあ……」

 

これだ。

 

精神年齢が究極的に合わないせいかマジで避けられている。と言うか馴染めない。もっと言えば友達が出来ない。完全に浮いている。ぼっちだ。

 

……僕がコミュ障なわけではない。精神年齢的に合わないから馴染めないだけだ。だから別にコミュ障だから浮いているとかでは決して……ない。

 

……ないよな?前世では普通に友達居た……あれ?居たかな?居なかった様な……いやいやそんな筈は……うんやめておこう、居たって事にしておこう。

 

料理の勉強ばかりで人と話した記憶がないとかそんなのは気のせいだ。

きっと転生の際に何らかの不具合で頭がパーになったとかそう言うのだ。

僕はコミュ障ではない。絶対に。

 

きっとアレだ、周りの子達が話しかけてこないのは僕の顔が良すぎるからだ。そうに違いない。

 

……自画自賛?いや、そんな事はない。客観的に見て今世の僕の顔面偏差値は中々に天元突破している。100人に聞いたら98人は『おぉ…』となるくらいの顔面戦闘力だ。53万くらいある。マジで。

 

理由は分かる。遺伝だ。今世の僕の両親は片やナンバー1ホスト、片や超人気キャバ嬢と錚々たる面子だ。当然、滅茶苦茶イケメンで超絶美人の両親である。その息子なんだからそりゃ美形になるだろう。

鏡見る度にビビる。『僕美少年すぎない?友達百人出来そうだな』みたいな。

 

……まあ結果としては百人どころか一人も出来てないんだけど…これはきっと顔が良すぎて近づき難いからだ。そうに違いない。

…僕がコミュ障だから友達が出来ないとかでは……ない筈だ。

……ないよな?

 

「なー今日転校生が来るんだってよーどんな子だろうな」

「え、マジで?どこで聞いたのそんなの」

「職員室の前で先生達が話してた!」

「あー盗み聞きいけないんだー!先生にちくっちゃおー!」

「ばっ、やめろよ!」

 

一人物思いに耽りながら本を読んでいる僕の耳に、クラスメイト達が戯れあっている声が聞こえる。……断じて盗み聞きではない。聞き耳立ててるとかではない。楽しそうだなとか思っていない。ほんとだぞ。

 

……それにしても転校生か…小学生五年生のこの時期に?中々珍しいのでは?…なんかちょっとワクワクするな。漫画みたいで。

 

漫画とかだったらここでとびっきりの美少女が転校してきて主人公と結ばれるのが定番だったりするよな。……この世界の主人公ってもしかして僕なのでは?前世の記憶あるし、割と特別だろ。なんて……。 

 

「……ふ、ふふ」

 

「ね、ねえあいつ…また一人で笑ってない?」

「う、うん……いつも何考えてるのかわかんなくてこわいよね……」

 

そんな益体のない妄想に耽っているとガラガラーと教室のドアが開く音が聞こえた。どうやら随分自分の世界に没入していた様だ。

 

「あー、皆おはよう。今日からこのクラスに新しい友達が入ってくる。

転校生ってやつだな」

 

本当に来るんだな…別学年ってオチかと思ってたが……さて、どんな子が来るのかな……まあ僕には関係ないけど。どうせ仲良くは出来ないだろうし……。

 

「おーい星野!入ってきていいぞー」

 

はーいと言う声が聞こえてドアが開く音が聞こえる。

 

…星野?星野……何だこの違和感?何処かで聞いた事がある様な……いや、気のせいか。……気のせい…だよな。

 

そうして入って来た少女の姿を見て僕は硬直した。

僕は彼女の容姿を知っている…気がする。

いや、知っていると言うより何処かで見たような……そんな既視感が拭えない。

 

改めてよく見てみる。

 

紫がかった髪色、将来確実に美人に育つであろう顔立ち。

そして極みつけは引き込まれるような引力を待つ輝かしい瞳。

有り得ない事だが、僕にはその瞳が物理的にも輝いているように見えた。

 

何故なら、僕から視た彼女の両の瞳には真っ白に煌めく星のような物が浮かんでいたからだ。

 

「星野アイです。よろしくお願いしまーす」

 

星野…アイ……?なんだ?なんなんだこの違和感は?

何処かで…何処かで聞いたような……くそっ、さっきからやたらと頭が痛いな……!転生の影響が今になって出たのか?何故今更?

 

……待てよ?星野アイ……星野…アイ?……っ!?

 

───その瞬間脳裏によぎる封印されていた記憶───

 

『人を愛した記憶も愛された記憶もないんだ』

 

『そんな人にアイドルなんて出来ないでしょ』

 

『嘘でも愛してるなんて言って良いの?』

 

『いつか嘘が本当になる日を願って』

 

『私にとっては嘘は愛。私なりのやり方で愛を伝えていたつもりだよ』

 

『今だって君の事愛したいって思ってる』

 

『あ……これは言わなきゃ』

 

『ルビー……アクア』

 

『愛してる』

 

『ああやっと言えた…この言葉は絶対嘘じゃない』

 

 

────────

 

「がっ……あっ……はっ?」

 

何だ今の?記憶?誰の?……僕の記憶なのか?

 

「う…あっ……!」

 

痛い。頭が激しく痛む。突然の情報過多、記憶の補完による物だ。

 

その記憶は。

 

「星野…アイ……推しの…子……!」

 

星野アイ。推しの子の始まりとも言えるキャラクターの一人。

何故忘れていたのか、それは分からない。

だが、今まで僕は"推しの子"に関する記憶だけが抜け落ちていたのは間違いない。

 

そんな失われていた記憶が一気に補完された結果───。

 

「あびゃっbxm@'fdwgwpwg.gwgtgwmpmpwa'apdgwpw!!?!!」

 

「「「「「「!!!!???!?!?」」」」」」」」

 

脳が負担に耐えられず僕は鼻血を吹き出して倒れた。

 

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