僕は星野に関わりたくない 作:サササ
某日・金曜日・午後13:30分・下校道。
「今日午前で終わって良かったねー学校!」
「……そうだな」
明日はいよいよ土曜日。星野を家に招き料理をご馳走する約束の日だ。
「えー?何でそんなにテンション低いの?学校が早く終わるって嬉しい事なんじゃないの?変なの」
「……そうだな」
大丈夫。万に一つも失敗は有りえない。きっと喜んで貰えるはずだ。
柄にも無く練習もしたんだ。暫く卵食べたくないほどに。
「……マリア?私の話聞いてる?」
「……そうだな」
いやそもそも何でこんなソワついてるんだ僕は?
星野はただの友達だし…あっ、だからかな?友達家に呼ぶのはじ……。
「む…えいっ」
「めっでぇ!?な、何するんだよ星野!?何で抓るの!?」
突然の暴挙に詰め寄る僕を、星野は何処か拗ねた様な顔で見つめて。
「……だって無視するんだもん私のこと」
そんな事を……。
「……え?ぼ、僕無視してたか星野の事?」
「うん。ずっとそうだな…しか返さなかったよ?私の話、聞いてなかったでしょ?」
頬を膨らませながらジト目で見てくる星野は明らかに不貞腐れていた。
て言うか拗ねていた。
……これは完全に僕が悪いな。
「……ご、ごめん」
そう謝罪の言葉を口にする僕を少しの間、翳った瞳で見つめていた星野だったが。
「……そう言えばマリア、今日ずっと上の空だったよね?何か考え事でもしてたの?」
ふと面白い事を思い付いたかの様な楽し気な表情に変わり、ニヤニヤしながらそう聞いてきて。
…………!?
「そ、そんなに上の空だったかな僕……」
「うん。ずっと上の空で何か考えてたよね?何考えてたのかなー?」
「べ、別に何も?あるだろ、偶にぼーっとするぐらい誰でも」
「ふーん?そっかー」
「そ、そうだよ」
言えるか!明日星野が家に来るから悶々と悩んでただなんてっ!
「私はてっきり、明日の事でも考えてるのかなーって思ったよ」
…………!?
「そそそそんな訳ないだろ!自意識過剰にも程があるんじゃないか!?」
「あはは、そうだねー……ふふふっ」
く、くそっ!完全に信じてないな星野のヤツ!いや間違ってないけど!
合ってるんだけども……!別に星野だからってソワついてる訳じゃないぞ僕は!!
言ってやる!言ってやるんだ!!
「……ぼ、僕は」
「?」
「友達とか…居なかったから……家に人呼ぶのとか……初めてで……」
「……!」
「だ、だから若干ソワソワしていると言うだけの話であって……べ、別に来るのが星野だから悩んでいるわけではないんで……」
「……」
無言で黙り込む星野。
あ、あれ…もしかしてちょっと言いすぎたかな……。
「ほ、ほしっ……!」
「ねっ、さっきの本当?」
「……さ、さっきの?」
「うん。家に人呼ぶの初めてってやつ」
「……ほ、本当だけど…それがどうかした?」
「ふーん…そっかー……ふふっ、じゃっ、いいかな」
「え?何が?」
「私の話聞いてなかった事、許してあげる!」
そう言って星野は嬉しそうに笑っていた。
…な、何だ?何で急にこんな上機嫌に……分からない。女子って不思議だ。
……あっ、もしかして星野もそうだからか?あの家庭環境じゃ家に友達呼ぶの無理だろうし。
なるほど…だからこんなに喜んでるのか。女子ってお揃いとか大好きだもんな。
「……因みに星野。僕の家の場所って教えたっけ?」
「え?ううん…知らないけど……」
「そっか。じゃあ今から家の場所教えるよ。…直接来るだろ?」
「えー……どうせだったら待ち合わせとかしてみたいな」
「?何で?」
「……な、なんとなくっ」
「そ、そう……」
待ち合わせがしたい?何でだ?……友達っぽいイベントこなしてみたいとかか?……でも待ち合わせって友達ってより恋び……!?ち、違う違う!何変な事考えてんだ僕のバカッ!冷静になれ!
「と、友達っぽいよな待ち合わせって」
「……うん」
な、何だよその顔…何でそんな……ああくそっ!
「ほ、星野っ」
「?……何?」
「そ、その…さっきはあんな事言ったけど……本当はっ、星野だからっ!星野が来るから……!凄い緊張してて……!」
何口走ってるんだろうな僕は。黒歴史確定だな。……でも。
言っておきたい。言っておかなきゃいけないと思った。
だから僕は。
「星野が来る明日……凄く楽しみにしてる」
「!」
楽しみ…楽しみか……うん、本当に楽しみだ。でもこれはきっと星野だから。星野以外だったらこんなに楽しみになったりなんてしない。
「だから…その……」
「マリア!私もすっごく楽しみっ」
「……そ、そうか」
「うんっ。あっ、待ち合わせはあそこの公園でいいかな?近いし!」
「え?いいけど……星野の家からは少し遠いのでは?」
「あははっ、誤差だよ誤差!大丈夫大丈夫!」
星野はそのまま走り出し、振り向きざまに。
「マリア!また明日っ」
輝くような笑顔でそう言った。
「……ま、また明日っ!!」
若干声が上擦った気がするがそんなのどうでもいい。
だって……。
「(あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!何小っ恥ずかしい事口走ってんだ僕っ!?最悪だ!!!!)」
それどころではなかったのだから。