僕は星野に関わりたくない   作:サササ

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3話

「───で天野くんは」

「だから僕の名前は空野だって言ってるだろクソアイド……バカ女」

「あははっ、ごめーん」

「絶対思ってないだろ……」

 

…まあでも名前を覚えられてない=印象に残ってないって事だから僕的にはいい展開ではあるな。

 

このまま同じクラスの背景Aとして余生を過ごしていく事を目標にこれから頑張っていこう。

 

……ぶっちゃけ前世でファンだった身としては割と普通に話したいんだけどな…いやダメだ。後で辛くなるのは僕自身だぞ。関わらないのが正解なんだ。……そうなんだ。

 

…まあ話しかけられたら無視はしないけど。……鼻血ブータくんって言われるの嫌だし……。

 

「ねっ、天野くん」

「だから僕の名前は…まあもういいや……それで何?」

「天野くんはなんで昨日倒れたの?」

 

またそれか!しつこいな!言えるわけないだろ前世の記憶が蘇って情報過多で鼻血吹き出して気絶しただなんてさ!

 

「……別に、特に理由はないよ」

「えー?理由もなしに気絶するなんてあるの?」

 

……適当にでっちあげるか。これ以上聞かれてボロ出したら面倒だし。

 

「カワイイテンコウセイガキタノデコウフンシテハナジフキダシチャイマシタ」

「わっ、嘘吐くの凄い下手くそだね」

「ぐっ……」

 

そう言って星野は隣でクスクス笑っている。

 

僕はそんな星野の顔を睨み付ける意味も込めてジッと見た。…やはり整った顔立ちをしている。

 

それだけでなく、瞳の中にはキラキラと星が輝いている。綺麗だ。

 

……他の人から見たらこれってどう見えてるんだろうか?本人には見えていないのだろうか?

 

気になるな…聞いてみようかな……。うーん…どうしようかな……。

 

「えーと…どうしたの?そんなにじーと見つめて。私の顔に何か付いてる?」

 

思考の海に入りかけていた僕に、困り顔で星野が問い掛けてきた。

 

「?…あっいやその」

 

し、しまった…!長考に入って思わず星野の顔をずっと見つめてしまっていた……!これじゃまるで変態じゃないか!

 

流石に嫌われるとしても変態として嫌われるのは嫌だぞ……!

 

て言うか嫌われること自体が結構イヤだ……って違うだろ!?嫌われた方が関わりも薄くなるし万々歳じゃないか!

 

何考えてるんだ僕はっ!?目的を見失うな……!

 

…まあでも、隣の席の子に嫌われるってそれなりに気まずくなりそうだしな……うん、嫌われるデメリットの方が大きい気がするな。……別に何もしなくても嫌われる可能性は十分あるけど…僕ぼっちだし。

 

……一応、凝視してた理由を正直に言ってみるか。

 

「星野は…自分の顔、鏡で見たことあるか?」

「え?何?悪口?」 

 

聞き方最悪すぎるだろ僕!?

女の子に向かって『自分の顔鏡で見たことあります?』は最低の極みじゃないか!

なんであんな聞き方した!?焦ってたのか!?……焦ってたのか?僕。……なんでだ?

 

って今は長考してる場合じゃないだろ!早く弁明しないと……!

 

「い、いやそうじゃなくて!自分の目に違和感とか感じた事ないのかなって……!」

「自分の目?うーん……特に何も感じないよ?バッチリ見えてるし」

「そ、そうなんだ…」

 

やっぱり星が見えているのは僕だけなのか?……何故?

 

再び長考の渦に入ろうとした僕に、星野が話しかけてきた。

 

「ねえ、どうしてそんな事聞いたの?君には、私の目が変な風に見えてるのかな?」

 

…ここで正直に『星が見えてます!』って言ったらどうなるんだろう……狂人扱いされるのかな……。

 

…でも、きっと彼女に嘘は通用しないだろうし…素直に言ってみるか。

 

「僕から見た星野の瞳には…星が、浮かんでるんだ」

「……星?」

「うん。……綺麗な星が、二つ」

「へーそうなんだ。……因みに何色なの?」

「…白?かな……」

「ふーん……」

 

そこで沈黙が流れる。

 

……さ、流石に引かれたか?冷静に考えると『君の瞳に綺麗な星が浮かんでるぜ!』って唯のナンパ的口説き文句では?……ど、どうしよう…僕相当きもいこと言っちゃったかも……。

 

そんな焦りが僕の口を勝手に動かした。

 

「い、いやその…別に口説いてるとかではなくて……!本当に僕には星野の目の中に星が浮かんでいる様に見えるんだ!綺麗な白っぽい星が二つ!」

 

そう捲し立てる僕を見て星野は口元を崩し。

 

「ぷっ、あははっ!口説いてるって…私達まだ小学生だよ?」

「……た、確かに」

 

僕たち小学生だったな……。

 

そう落ち込んでいる僕を見て、星野はケラケラと笑っていた。

 

「あー、変なのー……君、面白いね」

「それはない」

 

僕が面白かったら全人類皆抱腹絶倒の面白さを誇ってるよ。

 

「ううん、面白いよ。……意外とロマンチストな所とか」

 

「……ロマンチスト?僕が?」

 

「瞳の中に星が浮かんでる…なんて、すっごくロマンチックな口説き方じゃない?」

 

「は!?いやだから僕は別に口説いてるわけではなくて……!てかさっき自分で言ってだろ!僕たち小学生だぞ!?」

 

「あはは、じゃ、取り敢えずそう言うことにしておこうかなー」

「……マセガキめ」

「わっ、酷い」

 

星野と話すのは結構楽しい。……待て、これ以上関わりを持つのは不味いのでは?

……僕は、星野に関わりたくない……筈だ。

……くそっ、なんかざわざわするな…未来なんて知らなければよかったのに……。

 

そんな僕を尻目に星野は随分と楽しそうだ。

 

「これから楽しくなりそー、よろしくねっ天野くん!」

 

「だから僕の名前は空野だって!」

 

「あはは、ごめーん」

 

名前を覚えられてないって事は僕に興味を持っていないって言う事だ。

それは嬉しい事のはずなのに何故か少しだけ……いや、やめよう。

 

「いい加減覚えろよ。このクソアイド……アホ女」

「口悪いなー」

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