僕は星野に関わりたくない 作:サササ
今日も今日とて何時も通りの日常が過ぎていく。
相変わらず星野には絡まれるし、何だかんだ話したりもする。
それを悪くないと思っている自分がいるのも確かだ。
……関わりたくないとか思ってたのに。…もしかしたらもう手遅れなのかもしれないと最近思うようになった。
僕は多分、星野を一目見たあの時からとっくに───。
「(っていやいや!何考えてるんだ僕はっ!?しっかりしろ!……くそっ、この頃あまり寝れてなかったから変な方向に思考が流れてるのか?)」
そこまで考えてからはぁ、と思わずため息を吐いてしまう。
彼女、星野アイに出会ってから僕の第二の人生は滅茶苦茶だ。
まず自分が漫画、創作の世界に転生してしまった事を自覚させられて情報過多により鼻血を吹き出して気絶するし、それが原因かは知らないけど、全ての始まりで終わりでもある完璧で究極の偶像(アイドル)にやたら絡まれるし……ほんと、滅茶苦茶でうんざりだよな。
そう思いながら、僕は渦中の人物である星野アイに視線を向ける。
そこにはクラスメイトに囲まれて楽しそうに…いやちょっと迷惑そうかな?話している星野が居た。
……相変わらず人気者だな。
そう、彼女は持ち前のルックスと明るさから意外と同級生に好かれている。……意外は失礼か。うん。
……あれ、今なんか目が合ったような…気のせいかな……。
気のせいであってくれ……!。
なんだか盗み見をしているような気分になり、若干気まずくなったので、星野の観察はやめて、読書に戻る事にした。
すると隣の席から。
「あー、疲れちゃった」
星野の声が……。って戻って来たのかよ…僕が見てたのバレてないだろうな?
「……お疲れ」
取り敢えず当たり障りのない言葉をかける。
…これくらいは普通だよな?
「あはは、皆んなと話すのは楽しいけど、ちょっと疲れちゃうね。……転校生ってそんなに珍しいのかな?」
…転校生に惹かれてる訳ではないと思うが……。
「……星野が、珍しいんじゃないの。知らないけど」
「……どういう事?」
連日の睡眠不足により頭が余り働いていない僕は、その彼女の疑問に対して、深く考えずに思った事をポロッと言ってしまった。
「……楽しくなくても楽しいって取り繕えるところ?小学生には珍しいでしょ」
「……!」
何気なく答えた僕の言葉に、彼女は驚いたようにコチラを見て……ってちょっと待って、あれ?今僕何言って……っ!?
休眠していた脳が焦りにより急速に起動していく。
なんか凄いこと言っちゃった気がする……!
「い、いや今のは別に何でもなくて……!冗談と言うか……!」
「……やっぱり」
慌てて言い訳をする僕に星野は納得したかの様な悪戯っぽい笑みを浮かべて。
「私の事見てたでしょ。君」
そう言ってきて……!
「んっ!?べ、別に見ていないが?自意識過剰じゃないか?」
「えー、だって視線感じたもーん。…気の所為じゃなかったんだね」
「……き、気の所為では?」
「……じゃあ、何で私が取り繕ってる、だなんて言ってきたの?見てたからでしょ?話してるの」
「……は、話してるの見たくらいでそんなの分からないだろ」
「……だって、君は私のことよく気付くじゃん」
「……いやでも」
「見てたよね?」
「……はい」
完敗した。
「ふふふーん。最初からそう言えば良いのに」
「…は…はは……」
随分ご機嫌そうに星野が笑っている。
……くそっ!僕を完全論破したのがそんなに嬉しいのか!
沸々と湧き上がる怒りに身を震わせそうになるが、何とか抑えて読書に戻る。
「あっ、ねえ。……今日一緒に帰ってもいい?」
文字を追うことで冷静さを取り戻していく僕に、星野が突然そんな事を……。
……はい?
「なんだよ急に……」
「…別に?それで、どうなの?いい?」
「どうなのも何も…えぇ……何時もは勝手に着いてくるじゃん……」
何故今になって許可を取るんだ?……分からない。
「!じゃあ良いってこと?」
嬉しそうなとこ悪いけど今日は無理だ。忙しい。
……そもそも何でこんな喜んでるんだ?
僕と一緒に帰りたいのか?……いやそんな訳ないか、相手は星野アイだし。
「……ごめん。今日は無理。買い物しなきゃだから」
「……買い物?」
「うん。僕の家両親殆ど帰って来ないから家事全般自分でやってるんだ。
だからご飯の材料帰りに買わなきゃ」
「……ふーん。そうなんだ」
若干残念そうだが、これで諦めてくれただろう。
そんな僕の予想を裏切り、星野は。
「ねっ、それ私も行っていい?」
と言ってきた。
「……?」
今何て?