東方masquerade外伝 〜Riders Resistance〜(凍結中)   作:リョウタロス

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また1ヶ月もかかってしまった……。活動報告で呟いたとおり今月は厄月です。早く10月にならないかな…


第二十一幕 無双/必殺

「俺はお前を絶対に許さねえ。こんな異変を起こし仮面ライダーの力を利用して仲間を傷つけたお前を。もうこれ以上、俺の仲間は傷つけさせねえ!」

 

叫ぶ紀斗の身体から雷が迸りその迫力を一際際立たせる

その雷は周りでナイト達を狙っていたコード全てを焼き消すがその傍のナイト達には一切当たらなかった

 

『チッ、虚仮威しだそんなもん!お前達、殺れ!」

 

ドーパントの声と共にまずバースコンビと西鬼が走り出しディエンド、ルパン、ライジングイクサ、デュークが援護射撃を仕掛ける

 

「らああああああああ!!」

 

だが紀斗が力一杯無双岩削槍を振り下ろす。ただそれだけの行為で床が砕け衝撃で近くにいたバースコンビと西鬼、そして銃弾や矢までもが吹き飛ばされる

吹き飛ばされたバースコンビと西鬼は壁に叩きつけられ蓄積したダメージもあった為か力尽き粒子のようになって消える

 

 

だがいくら仲間がやられようと操り人形であるディエンド達に動揺は無い。彼らは操り手の命令に従い機械のようにただただ冷静に何の感情も感じることなく動くだけだ

その仮面ライダーがただの操り人形されている光景に紀斗は更に怒りを募らせるが頭は通常時より冷静になりいつもの熱い炎のような怒りではなく氷のようなクールな怒りを燃やしていた

 

『パイン!ロック オン』

『パインクラッシャー!』

 

紀斗は無双岩削槍の柄のソケットにパインロックシードを取り付ける。すると無双岩削槍の石突き部分から鎖が伸びその先にはパインアイアンをアイアンブレイカーを発動した時並みに巨大化したパイナップル型の鉄球、パインクラッシャーが付いていた

 

「はあ!」

 

紀斗はそれをモーニングスターの要領で振り回し飛んでくる弾や矢を消し飛ばし隙あらばライダー達へ当てようとする。パインクラッシャーの破壊力は見た目通り凄まじく少し掠っただけで装甲に無理矢理爪か何かで切り裂いた様な傷ができ大きなダメージを与える

 

「次はこいつだ!」

『イチゴ!ロック オン』

『イチゴ百烈砲!』

 

パインロックシードを取り外しイチゴロックシードを取り付けるとパインクラッシャーが消え今度は両側面にイチゴが描かれた大砲が石突き部分に現れる

 

「発射ァ!」

 

砲門から放たれるのは砲弾ではなく通常のイチゴクナイだった。だがその数はイチゴアームズで放たれる時の比ではない。何十、何百ものイチゴクナイが巨大な砲門から飛び出し続けそれらがディエンド達へ迫っていく

当然ディエンド達も撃ち落とすなり誘爆させるなりして防ごうとするが数が数だけに撃ち落とせるのは一部にも満たず撃ち落としても爆発せず消えるだけで自分達の身体に当たった時だけ爆発するという難易度ハード仕様だ。ディエンドはインビジブル、デュークも高速移動で狙われるのを避け、ルパンは宝石型のバリアを張ることでなんとか倒されるのを避けたがそれらの能力を持たないイクサはイクサライザーとイクサカリバーで凌ごうとするが少し掠ったイチゴクナイが爆発しそれがイクサに隙を生ませた。そこからのイチゴクナイは全弾イクサに命中し大爆発を起こしそれに耐えきれる筈もなくイクサも粒子となって消えた

 

『ブドウ!ロック オン』

『ブドウ巨砲!』

「ドラゴンシュート、発射!」

 

次に出てきたのはブドウ龍砲の銃身を大きくさせたような大砲、ブドウ巨砲。撃ち出されたのは巨大な紫の龍、セイリュウインベス強化態よりも大きいその龍はまっすぐルパンへと向かっていき喰らおうとする

ルパンは映画のフィルムを模した特殊なフィールドで足止めさせようとするが龍はそれを簡単に噛みちぎり宝石型のバリアごとルパンを呑みこんだ

 

『ATACK RIDE BLAST』

『ドラゴンエナジースカッシュ!』

 

呑みこまれたルパンも爆発し粒子になったがそれと同時に透明化と高速移動を解いたデュークとディエンドが紀斗の両横から姿を現し斬撃と銃弾を浴びせる

 

「何かしたか?」

 

だがムソウアームズには、紀斗には傷一つつかない。それどころか紀斗をその場から一歩も動かせすらしなかった。さらに斬撃を繰り出したせいで近くにいたデュークは無双岩削槍で殴り飛ばされ壁に激突する

 

『バナナ! ロック オン』

『バナジャベリン!』

 

バナナロックシードを取り付けて現れたのは穂先が乳白色の馬上槍、しかしその馬上槍はバナナアームズの武器であるバナスピアーより更に細く鋭い。まるでレイピアのようなそれは横から殴れば簡単に折れてしまいそうだ。それに求められるものはただ一つ、貫くということだけ。ただ貫くという行為のみに特化したフォルムだ

 

壁に激突し蹲っているデュークに紀斗はバナジャベリンを向けミサイルのようにバナジャベリンを発射した。発射されたバナジャベリンは光のように輝きながらまっすぐデュークの右胸へ突き進み後ろの壁ごと貫通した

右胸に穴を開けられたデュークは力尽きたように動かなくなり粒子になった

 

「残るは一人、とっととここから出してもらうぞ!」

『ムソウスカッシュ!』

『ATACK RIDE GEKIJOUBAN』

『FINAL ATACK RIDE DI DI DI DIEND』

 

紀斗が無双岩削槍の穂先をディエンドへ向け腰を落とし砲撃をするような体制になると槍の刃部分のドリルが回り始めそれを基点に周りに紫電が迸る

それに対しディエンドは自分の周りにG4、リュウガ、オーガ、グレイブ、歌舞鬼、コーカサス、アーク、スカルの八人を召喚する。その中のリュウガ、コーカサス、アーク、スカルはそれぞれの脚にエネルギーを纏い飛び上がりグレイブはグレイブラウザーに、オーガはオーガストランザーにエネルギーを纏わせる。歌舞鬼は自分の目の前に緑色の音撃鼓を出現させG4はギガントを肩に担ぎ構える

そしてディエンドは無数の金色の光のカード達をディエンドライバーの銃口から渦を巻くように伸ばしディエンドライバーの引き金を引いた

その瞬間四人のライダーキックと二つの黄金の斬撃、四発のミサイルに緑色の清めの音、そして金色のエネルギー弾が紀斗へ向かって放たれる

 

だが紀斗は迫りくる攻撃を前にしても動かずドリルを回し続けその回転数を上げ続けている。そして攻撃も紀斗に後少しで届いてしまうというところで無双岩削槍が眩い光に包まれた

 

「消し飛ばせ、雷渦終槍(らいかついそう)!」

 

紀斗の叫びと共に無双岩削槍から眩い光と共に白い雷の竜巻が放たれた

竜巻は触れるもの総てを呑みこみ破壊し焼き尽くす。呑みこまれたものは高密度のエネルギーであろうがミサイルであろうが仮面ライダーであろうが関係なく総てを巻きこみ無に返していく。まず放たれた斬撃とエネルギー弾、ミサイルがまるでシュレッダーに入れられたかのようにバラバラになり霧散しキックを放っていたリュウガ、アーク、スカル、コーカサスが一人残らず竜巻に触れた瞬間塵にまで破壊される。召喚者であるディエンドを守ろうと歌舞鬼、グレイブ、G4、オーガが前に出てるが一秒と保たずにディエンドごとアーク達と同じ結末を辿った

 

 

竜巻が収まり後に残ったのはドーパントの能力で守られたらしい出口の扉だけだった。それ以外は床も天井も綺麗になくなっており雲に覆われた空が見えてしまっている

 

『おいおい、なんつー威力だよ。勝手に人の城を穴あきにしてくれやがって、風通しがよくなっちまったじゃねえか』

 

憎々しげな雰囲気で紀斗達を睨みつけるドーパントを映す画面が再び空中に現れる。ドーパントが忌々しげに言う憎まれ口に紀斗はハッと鼻で笑いディエンドの顔が描かれたカードを出すと言い返す

 

「勝手に俺達をこの部屋に閉じこめたお前が悪い。あと、確かに返してもらったぞ。この部屋のライダー達の力」

『チッ、まあいい。お楽しみはまだまだ取ってあるんだ。お前らもせいぜい足掻くといいさ』

 

そう言い残すと画面は再び消え部屋には紀斗達だけが残される

 

「皆、身体は大丈夫か?」

「おう……なんとかな」

「私はまだまだイケるわよ~……」

 

紀斗の言葉に返事を返したのは甲と天子だけ。他の四人は倒れたまま返事を返そうとしない

 

「? おい、どうしたんだ?」

 

不思議に思った甲がナイト達に問いかけるがナイト達は顔を俯かせてしまっている

 

「悪いが……俺達はここまでらしい」

「なっ!?」

「っ!」

「な、なんでよ!私達でもまだやれるのよ!あんた達だけもう無理なんておかしいでしょう!」

 

ナイトの一言に三人は驚き理由を聞く

 

「俺達、能力で生み出された仮面ライダーに変身したこの姿以外の身体は無い。それはつまり俺達には肉体があるものにはある自己回復力が存在しないということだ」

「だから俺達はもう回復できない。変身解除ギリギリまでのダメージを負った俺達はただの足手纏いだ」

「そんな……」

 

「だが俺達をここに置いていけとは言わん。そんなことをしたらあのドーパントに俺達が操られるだけだからな」

「そしてまだ向こうがこちらが動けてないと考えている今だからこそ俺達の考えを話す。海堂、俺達の力をお前に戻す」

「「!!」」

 

ライアの言葉に甲と天子の二人は驚く。自分達の力を紀斗に戻すということは自分達は消えるということだ。いくら自分達がオリジナルではなくこの異変が終われば消えてしまう存在だとしても自分から吸収されると言うのはそれなりの覚悟や勇気がいる

最初のナイトの一言で紀斗は薄々感づいていたのか拳を強く握り顔を俯かせていたがライアの言葉を聞き顔を上げると変身を解除する

 

「……わかった。その案を受けよう」

「おい、紀斗!いいのかよそれで」

「四人を背負って移動しても戦いに行けないうえアクセルが言ったようにこの城のどこに置いてきても操られるだけだ。城の外でも同じだろうし他に手はないだろ」

「そうだけどよっ!それでもっ……」

 

甲は紀斗と向き合いナイト達を吸収することに異議を唱えるが他に手がないのも事実、甲は悔しそうに仮面の下で顔を歪め膝をつく。だがそんな甲の肩にフラフラのナイトが手を置く

 

「いいんだ。俺達は所詮近いうちに消える身、それなら足手まといや奴に利用されるよりこのまま海堂の力になる方が何の悔いもなくいける。お前達が気にやむことはない」

 

そう言いながらナイト達四人の身体は少しずつ透けはじめる

 

「だけど、俺達の力を戻すんだ。絶対負けるんじゃないぞ」

「桜井、あまりプレッシャーをかけてやるな。お前達が運命を乗り越えられることを祈っているぞ」

「左のように言うなら、そうだな、早くこの世界を泣かせてる奴の罪を数えさせてやれ。こんな事件は早めに終わらせるに限るからな」

 

四人は一言ずつ言い終えると光になり紀斗の中へと入っていった。残ったのは紀斗達三人と床と天井に開いた大穴だけとなった

 

「戻っちまったのか……。お前の中に」

「ああ……」

 

紀斗は四人のカードを出すと灰色だったカードは再び力を取り戻し四人の顔が映しだされた。紀斗はそれらを折れない程度に握りしめまた自分の中に戻す

 

「行こう、他の部屋に閉じこめられたメンバーが心配だ」

「そうね。ここでいつまでもうじうじしてちゃ四人にも怒られるわ。前向きにいかないとね!」

「……だあああ!!くそっ!こんな暗いのは俺のキャラじゃねえな!よしっ!行くぜ紀斗!」

「おう!」

 

紀斗の声と共に三人は大穴へと飛び降り次の階へと進むのだった




今回はムソウアームズの無双回でした。ムソウアームズの能力は単純なステータスアップとアームズウエポンの強化です。そしてスカッシュの必殺技、雷渦終槍がAUOの天地乖離す開闢の星擬きで城の一階を劇的ビフォーアフターしちゃいました。
ちなみに補足ですが今の紀斗がディケイド コンプリートフォームを使えないのはクウガ~キバの力を全て手に入れてないから。だけどディエンドはコンプリートフォームを使えた、ということは?ここまで言えば普通に察しのいい人はわかりますね?

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