授業を終えるチャイムが鳴り響く。時刻は昼過ぎ。
チャイムの音と共に教師が教室から出ていくと、学生たちは各自各々仲の良いもの同士でグループを作り、卓を囲みワイワイガヤガヤとおしゃべりをしながら昼食を取り始める。
そんな少し騒がしい教室に、ひと際元気な声が響き渡る。
「
声の出所は教室の一番後ろの、窓際から二番目の席である。
どうやら窓際の席の少年に声をかけているようだ。
隣の席なのだから、そこまで大きな声を出す必要はないはずなのに、少女は教室に響き渡るほどの声量で話かける。
「ん? どうしたこのは?」
声をかけられた少年、駿介は別段驚く事なく、まるで世間話をするかのような反応で声をかけてきた少女、このはに返事をする。
クラスメイトも、このはの言動に特別反応をしないところを見ると、日常的な光景なのだろう。
このははフフンと言わんばかりに。
「フフン!」
あっ、言った。
このははフフンと言いながら、ドヤ顔で駿介の席の前に立つ。
金髪のツインテールに、大きく開かれた口からチラリと見える八重歯。見た目からアホっぽい感じが滲み出ている少女、このは。
だが、彼女がアホっぽいのは見た目だけではない。
「これを見なさい!」
エッヘンと無い胸を張り、ドヤ顔でこのはが駿介に見せつけてきたのはバナナである。
「バナナがどうした?」
「ここだよ、ここ!」
そう言ってこのはが指さした先には、銀色のシールが貼ってあった。
「どうよ!」
見せつけられたバナナのシールを見て、小学生の頃、給食でバナナが出た時にシールの付いたバナナを男子がじゃんけん大会で取り合ったりしたな、そういやなどと思う駿介。
普通なら本当にそんな事を自慢しに来たのかと疑問に思うだろう。
だが、この少女はそんな事でマウントを取るために、自慢しに来たのだ。
まごう事なきアホなので。
そんなマウントを取られても、普通ならアホらしくてスルーするだろう。
だが、駿介は心の中で軽くため息を吐きながら反応するのだった。
「す、すげぇじゃん!」
「そうでしょう! すごいでしょう! 朝出かける前に弟と取り合って勝ったんだ!」
高笑いをしながらバナナの皮を剥き、満足そうな顔でバナナを頬張り始めるこのは。
そんなこのはを見て、駿介は満足そうに鼻で笑う。
(全く……今日も隣の席のコイツはアホ可愛い)
これは、アホ可愛い少女このはと、それを鼻で笑いながらもアホなノリで返す少年の日常である。
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