試合当日の朝、私はいつもより早く起き家を出る。この時間帯だと日がのぼったばかりでまだ薄暗く肌寒いとまではいかないものの、少し涼しく感じる。そう思っているうちに学校に着く。私が一番と思ったが菊子さんと奏さんがもう着いており挨拶をし他の人がくるの雑談をしながら待つ。少し時間が経ち華さんと優花里さん、遅れて中尉と白月がやってきた。よく見ると二人とも顔に絆創膏を貼っていた。おそらく昨日の殴り合いによるものだろう。いい頃合いになったのでエンジンを起動し麻子さんの家に戦車で行く。ルートは華さんが先行しているので私はそれに着いていく、家に到着する直前、現地にいた優香里さんがラッパ?の様な物を吹いていた。私達が到着するとIV号戦車が突然砲弾を発射した、当然、近所の人達は何事かと様子を見に家から出てくる。
「すいません、空砲です!」
いや、空砲でもご近所の方に迷惑じゃないか?そう思っていると家の中にいた麻子さんと沙織さんが顔を見せ麻子さんをIVの中に入れた。
大洗の港に今二つの学園艦があり、一つは大洗女子学園、もう一つは聖グロリアーナ女学院のだ。学園艦の大きさは、私達のと比べて2倍はある。
おかしい..大洗の学園艦は日本のアニメで見た超時空の要塞より大きいはず
だが、その大洗の学園鑑すら小さく感じる。
話しは変わるが、練習試合をすることになった大洗市は、お祭り騒ぎで見学者や屋台が並んでいる。20年ぶりの地元チームの試合であるため、試合開始時間より前に人がたくさんいる。周りを見渡していると、聖グロリアーナ女学院の戦車が隊列を崩さずやっていた。マチルダⅡ5両、チャーチルMkⅦが1両。おそらくチャーチルが隊長がいる戦車だろう。すると隊長らしき人が現れ、
「本日は急な申し込みにも関わらず、試合を受けていただき感謝する」
「構いませんことよ.....。それより、個性的な戦車ですわね」
向こうの隊長から失笑とも思われる声が出る。
「ですがご安心下さい。我々はどんなことにも全力を尽くしますの。サンダースやプラウダみたいな下品な戦い方はいたしませんわ。騎士道精神でお互い頑張りましょう」
名前を出す所に性格が現れている気がする。すると審判の人がやってきて、
「それではこれより聖グロリアーナ女学院対大洗学園の試合を始める。
一同、礼!」
『よろしくお願いします!!』
審判が号令し私達は自分の戦車に乗り込む。
『試合開始!!』
試合が始まり、目標地点に向かう。作戦だと1両を囮にし相手をキルゾーンに誘い相手戦車がそこに来たところで他の車両が叩くという作戦らしい。だが相手は準優勝したことある学校だぞ、そんな簡単に上手く行くの
か?
『西住ちゃん、作戦名は無いの?」
唐突に生徒会長がみほさんに作戦名を聞いてくる、そして出した名前が、
『こそこそ作戦です!こそこそ隠れて相手の出方を見て、こそこそ攻撃を仕掛けたいと思います』
『ふん。姑息な作戦だな』
河嶋先輩が不満そうに感想を言った後、みんなはこう思っただろう『アンタが考えた作戦だろ」と、
そんなことを考えているとみほさんの乗るIV号Dは囮作戦を実行するために此処を離れた。
「マチルダⅡ五両、チャーチルー両、前進中・・」
「さすが、きれいな隊列を組んでいますね」
「うん、あれだけ速度を出して隊列を乱さないなんてすごい」
聖グロリアーナの動向を隠れながら見ていた私と優花里さん
「こちらの徹甲弾では相手の正面装甲を抜けません」
「そこは戦術と腕かな?」
花里さんは最初はきょとんとしていたけどすぐに笑顔で
「はい!」
と言い私達はIV号に向かい、
「麻子さん起きて、エンジン音を響かせないよう注意しつつ、旋回してください」
麻子さんを起こして華さんに砲撃の準備をさせるように指示を出す、
「チャーチルの幅は3.25メートル、4シュトリヒだから距離810メート
ル」
「撃て!」
IV号の75mm砲のトリガーを引く、砲弾はマチルダの間の手前で着弾した
「すみません」
「大丈夫、目的は撃破じゃ無いから」
IV号を射程に入ると聖グロリアーナの戦車は一斉にIV号に砲撃を開始する
「成るべきジグザグに走行してください。こっちは装甲が薄いからまともに食らったら終わりです」
「了解」
私達のIV号が敵を誘導している間に各チームはキルゾーンにて待機し、敵が来るのを待っていた。
一方待機チームはというと、
「革命!」
「しまったどうしよ〜」
一年生は車体の上で大富豪をして
「いつも心にバレーボール!」
「そ~れ!」
バレー部はトスの練習をして、そして私達はというと、
「61式戦車」
「衝撃波」
「バズーカ」
「ガス」
「スモーク」
見ての通り車内でしりとりをしていた。ん?見れない?それは気のせいだ。
生徒会チームは、角谷はデッキチェアに寝そべり河嶋先輩は、IV号が中々来ない事に苛立っている。
「遅い!」
「待つのも作戦の内だよ~」
「いや、しかし・・・」
すると、無線でIV号から連絡が入って来た。
『Aチーム、敵を引きつけつつ待機地点にあと3分で到着します』
「Aチームが戻って来たぞ!!全員戦車に乗り込め!」
と河嶋がそう言うと
「えーうそー」
「折角革命起こしたのに」
1年生チームは残念そうだ。すると、
『あと600mで敵車両射程内です!!」
その言葉に各チームは各々自身の戦車に配置につく。IV号の姿が見えてきた。すると、
「撃て撃てー!!』
河嶋が焦っているのかIV号を敵と誤認して攻撃命令を出してしまい私達を除く車両がⅣ号に砲撃を開始する。
『あ、待って下さい!』
みほさんが止めるように言うが時すでに遅く、私達意外誰も聞いていない
「味方を撃ってどうすんのよ!!』
「みなさん、IV号は味方です!攻撃するのは向こうの戦車です!」
菊子さんがみんなに話したことで撃つ対象が漸く向こう側になったが撃つ順番がバラバラで当たらない。
『そんなバラバラに攻撃しても、履帯を狙ってください!」
まずい!包囲が崩れる!恐れていたことが起きた、包囲網を突破され、相手の攻撃が始まってしまう。
『落ち着いてください、攻撃をやめないで!』
『無理です!』
すると一年生達が戦車から逃げてしまいM3が撃破される、やはり一年にはまだ早かったかもしれない。すると今度は38(t)の履帯が外れる。会長日く38(t)の履帯はもともと外れやすいらしい、どんどん陣形が崩れていく。
『Fチーム無事ですか!?」
沙織さんからの安否の連絡がくる、すると自月が大丈夫だ、問題ないと答
える
『私たちどうしたら?』
「隊長殿、指示を!』
『撃って撃って撃ちまくれー!!』
各戦車の車長からどうするか尋ねられ、河嶋先輩は撃ちまくれと命令すると白月が川嶋ってトリガーハッピーだなと言ったが誰も否定出来なかった。敵は左右の道の分岐点より少し後ろにいる。しかもこの坂、少し急ではあるがあまり高くないのでモタモタしていると敵に追いつかれてしまう。
『B、C、Fチーム、私たちのあとについて来てください!移動しま
す!』
移動するのはいいがこのままでは移動中に全滅してしまう。同じ事を思っていたのか白月が、
『西住、敵戦車が近くまで来ている、ここで私達が時間を稼ぐ』
『無茶です!いくらパンターと言っても6両は・・・」
『安心しろ、そんな無謀なことはしない、相手の履帯を破壊するだけだ』
みほさんは考え、
『分かりました、Fチームは敵の足止めをお願いします。ですがさっきも言ったように無茶だけはしないで下さい』
『了解だ』
通言を終えて私達は、敵車両を見つめる。こんなのモビルスーツに比べたらかわいいものだ。
「これから足止め作戦を開始する。履帯の破壊順は右に先行してるマチルダⅡ次にチャーチル、最後に私達から見て一番左のマチルダⅡだ。分かってると思うがあくまで目的は相手の履帯だ。」
「操縦手、相手の攻撃を避け続けろ。装填手、浜田が撃ったらすぐに装填しろ。通信手、目的を達成したらすぐ西住たちに報告。砲手、一発も外すな」
「「「「了解!!」」」」
みんなの士気が高まったところでパンターのレバーを握り敵戦車のいる方へ車体を向け走り出す。一両が右から先行して登っているマチルダⅡに狙いを定め、坂を下りながら発射し履帯を破壊する。片方の履帯だけで坂を上るのは厳しかったらしくガガッと削るような音をたて車体が180度横に回転する。道を塞がれる前に坂を最高速度で下り砲塔を回転させチャーチルの履帯を破壊しそのまま円を描くように動き左の坂道をのぼり一番左のマチルダⅡの履帯を破壊する。よし、これで左右の道をマチルダⅡが塞ぎ隊長車が動けない事でマチルダⅡは不用意に動くことはできない!このまま私たちはみほさんたちのいるところに急行する。
『西住さん、足止めに成功しました!これで時間が稼げるはずです!』
『本当ですか⁉︎、ありがとうございます!パンターも大洗に向かってください、もっとこそこそ作戦を行います。』
作戦名を聞いて私達は大洗に足を..戦車を運ばせ目的の場所に着き、作戦内容を聞き準備に取り掛かる。チャーチルとマチルダⅡは破壊された履帯を修理して逃げた大洗チームの行方をおった。ダージリンは各マチルダⅡは分散して大洗チームの捜索するよう命じた。捜索していたマチルダ1両が通りを通りを過ぎろとしていた。だが、待ち伏せていた三突に側面を攻撃され走行不能となったマチルダは白旗を揚げる。
一方、別のマチルダが駐車場の前を通りすぎる時、車庫のランプが点滅していた。車長は、車庫の中に敵が居ると判断し扉の前にマチルダを移動させ扉が開いていく。すると後ろから攻撃をくらい戦車を炎上させる。
ダージリンは撃破されたマチルダから報告を受けていた。
『攻撃を受け走行不能!』
『こちら被弾につき現在確認中!』
「なっ!?」
報告を受けたダージリンは、紅茶のティーカップを落としてしまう。
「おやりになるわね・・・・でも、ここまでよ!」
もっとこそこそ作戦が成功して幾らか有利に進めた矢先、
『Cチーム走行不能!』
『Bチーム敵車両撃破失敗!走行不能!すいません!!』
Ⅲ突と八九式がやられてしまった。
「残ってるのはⅣ号とパンターだけです!」
「向こうは何両?」
「四両です」
着々と敵戦車がやってくる
「来た……!囲まれたらまずい!」
「どうする?」
「とにかく敵を振り切って!」
「了解」
戦車を全力で走らせて、相手から距離を取ろうとするも中々離れてくれない。このカーブは下手したらお店にぶつかってしまうが麻子さんの技量なら問題なく曲ることができた。けど追ってきたマチルダは曲がる事が出来ず店に衝突する。するとどこかで『うちの店が〜!!』と叫んでいるのが聞こえだけど気のせいだよね?そう思いながらもマチルダから距離をつける。次はこの道を曲がれば.. まさか通行止めの看板、早く旋回し脇道に入らないと、けど相手に追いつかれ前を塞がれる。ゆっくりと振り返った先にはチャーチル一両、マチルダⅡ三両、聖グロリアーナの隊長が戦車から出てきました。
「こんな格言を知ってる? イギリス人は恋愛と戦争では、手段を選ばない」
試合開始直前の騎士道精神で頑張ろうって言ってたけどあれは嘘だってことかな?それとダージリンさんって普通に日本人だよね?そんなこと考えている余裕は無いのに揚げ足を取るような事を考えてしまった。
この包囲網を抜け出す方法なにか…。
『参上~!!』
『待たせたな』
「生徒会チームとFチーム!」
「履帯直したんですね!」
流石に聖グロも意表を突かれたので少し動きが遅くなっています。
『発射!!』
そしてその隙をついてFチームと生徒会チームは攻撃を仕掛けたんですが……
『あ…』
『桃ちゃん、ここで外す?』
パンターは、一両撃破したものの38(t)は至近距離で外してしまい敵車両から総攻撃をくらい白旗が揚がってしまいましたがその隙に脇道に入り難を逃れることが出来ました。
まさか、至近距離で外すとは…ある意味才能だな。さっき一緒に攻撃をしたんだが、河嶋先輩がまさかのノーコンで一両しか撃破出来なかった。
だがアレが無かったらこちらはやられていただろう、そう気持ちを切り替え残り3両をどう倒すか考える。
すると沙織さんから通信が入り、それぞれマチルダを撃破してからチャーチルを狙うらしい。私たちは通信の言う通りにマチルダ撃破に専念する。
道の角でマチルダと出会い至近距離で砲撃する。側面から攻撃をくらって耐えられるはずもなく白旗を揚げる。みほさん達もマチルダを撃破したようで最後にチャーチルを狙うがどうやらみほさんたちの所にいるので場所を教えて貰い急行する。
最後のマチルダを倒して広い十字路からチャーチルがでてきました。チャーチルの砲撃を回避しジグザグに後退させ、
「路地行く?」
「いえ、ここで決着を着けます。回り込んでください、そのまま突撃をします」
「と、みせかけて合図で相手の右側方部に回り込みます!」
Ⅳ号戦車はチャーチルへと向かっていき、
「はい!」
「撃て!!」
「撃ちます!」
私の言葉に華さんは引き金を引き、Ⅳ号とチャーチルの攻撃が同時に発砲するがチャーチルは装甲の硬い所に当たったようで私達はやられてしまう。私達が撃破された瞬間に後ろから物凄い音を立てながらこちらに向かってくる戦車が1両。見えた姿はまるで白い鬼のような迫力ある存在でチャーチルの操縦手は慌てて車体の向きを変えようとしたけど、チャーチルに砲弾が当たり白旗が揚がる。
『聖グロリアーナ女学院チーム。全車両行動不能よって大洗女子学園の勝利!』
大洗女学園戦車道の初めての練習試合は白星によって終わりを迎えた。
今の世代で重力戦線を知っている人ってどのくらいいるんですかね?