【ブルアカクロススレ】ルビコンからやってきたウォルター達が   作:AC組んでSS書いてる人

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時系列:ニューハウンズ結成直後

【備考】
・元々医療部隊隊長のジャミは違法組織のトップだった。





蚕乃意象

ジャミの基地を走る便利屋68。

 

しかし彼女たちの眼前を銃弾が横切った。

 

「誰?!」

アルが思わず声を上げる。

 

「俺だ。来たか、便利屋68…」

 

誰かが声をかけてくる。全員その声の主を探すべき、声が聞こえた方に顔を向けた。

それはロボットだった。

だが彼女たちが今まで見てきたロボットたちとはまるっきり違う。

顔はどことなく虫のように見える。腕は細いがしっかりとしており、首にはスカーフを巻いている。

手は昆虫のように細く鋭く、脚は飛蝗のように逆関節だった。

そんなロボットの男が木箱に腰を下ろしつつマシンガンを気だるげに向けていた。

 

「あなたは・・・」

そんな異形とも呼べる姿に彼女たち全員が息をのむ。

 

「これは元々だ。お前たちが便利屋だな?」

「えぇ、そうよ」

「つい最近勢いをつけている新規精鋭の傭兵組・・・いつか矛を交えたいとは思ってたが、この仕事を受けたのは僥倖というべきか」

すると男は腰を上げて木箱から降りると軽くジャンプする。両手には大型のショットガンが握られていた。

形は・・・ジマーマンと酷似している。どうやらベイラム社から買ったようだ。

 

「依頼主からお前たちの邪魔を頼まれていてな。恨みは一切ないがここで消えてもらおうか」

 

その言葉と同時に5人は一斉に走り出した。それと同時に彼の方から大量の手榴弾が飛び出してくる。

 

「ッッッッ退いて――――!!!!!」

 

爆発があたりを包む。

先頭にいたせいで爆発に巻き込まれて吹っ飛ばされたハルカだがすぐに立ち上がると彼を肉薄せんと駆けだした。

それと同時にムツキも前にでる。彼女の持っていたバッグが放り出され、大量の爆弾が顔をのぞかせていた。それをアルが的確に打ち抜きかれの眼前で連鎖爆発を起こす。

だが彼はそれに動揺することも、躊躇うこともなく突っ込んでくる。そして爆炎の中から飛び出すと足をばねのように使い強靭な蹴りを繰り出した。

 

「カッ・・・!!!?」

 

それは寸分たがわずハルカの腹をとらえるとそのまま壁を突き抜けるほどの勢いではじき出した。

彼女の肉体は壁を何枚も突き破り、3枚…いや4枚ほどの壁に激突してそのまま重力に惹かれて床に落ちた。

 

「ハルカァ!」

カヨコが思わずといったように彼女に駆け寄ろうとする。だが彼は無慈悲にもそんな彼女に対し、散弾銃を構えた。

 

「あなたの相手はこっち!!」

しかしムツキが本気の表情で弾丸をばらまいて意識を無理やり向けさせる。彼は何発か被弾したが対してダメージをが入っていないように見えた。意識をムツキに向けると交戦を開始する。

 

「ハルカ!ハルカ!!」

カヨコがハルカをゆする。ゆすられている彼女の肉体は少し痙攣していた。

無理もない。

あんな恐ろしく強い蹴りを叩きこまれたのだ。寧ろ爆散していない自身の頑丈さに感謝すべきである。

 

「カヨコ!体勢を立て直しなさい!!」

あるがムツキの援護に周りながら叫ぶ。その顔は本気の顔だった。

 

「でも社長、ハルカが・・・!」

「ハルカは強いわ!私たち皆知ってるはず!きっとすぐに復帰できるわ!それでも心配なら傍にいてあげて!

でも拳銃で援護はできるでしょう?やって!やりなさい!!」

いつもの振り回されっぷりが嘘だと思えるぐらいしっかりとした指示だった。おそらくニューハウンズと共に仕事をし続けているおかげで彼女なりに成長できているのかもしれない。

 

「・・・うん、わかった。やるよ」

それを見たカヨコは場違いにもうれしく感じた。自身が好きになった社長が今までよりもっと強くなっていることに。それはねじ伏せるための力ではなく、精神的な強さで。

彼女は懐の拳銃を抜くと彼に向けて発砲した。

 

「ッ!!殺気!!!」

 

対して彼はその場で飛び上がってその弾丸を避けるとそのままムツキの顎めがけて蹴りを放つ。

 

「アガッ?!!!」

命中。なんか嫌な音を立てながら彼女もまた吹っ飛ばされた。壁を突き破りこそしなかったが、顎を抑えて呻き始める。

 

「ムツキぃ!!あなたよくもやってくれたわね!!」

アルのワインレッド・アドマイヤーが弾丸を発射する。だがしかし!それを視認した彼は疾走!壁や天井を走り、一気に距離を詰めると今度は散弾銃を構えてトリガーを引いた!!

 

「邪ッッッ」

しかし彼女とて対策をしていないわけじゃない!弾丸をギリギリでよけると足に装着していたシースナイフを抜くとすごい形相で肉薄する。

 

「ヌゥウウ!!!」

彼は咄嗟にガードしてガキンッと防ぐと体をねじって足で押しのけつつ距離を大きくとる。丁度便利屋全員が視界内に入る距離だ。総員にらみ合いの体勢に入る。

 

「あなた、今思い出したわ」

アルは油断せずに口を開く。

 

「ブラックマーケットで有名な傭兵がいるのよ。

 

  1度金をきちんと払えば絶対に裏切らない変わり者。

 

   そいつは虫のような姿をしている。あなたのことでしょう?」

 

「任務達成率85%・・・失敗した時は依頼者が払わなかったから途中で襲撃した時だけ・・・その傭兵は『蚕』って名前だったはず」

 

カヨコがそれに続けるように言う。それに対して彼は応えた。

 

「気づいたか・・・さすがだな。俺も有名になり過ぎたか」

「えぇ、お互いにね」

そう会話している間にもムツキとハルカがフラフラと立ち上がってくる。一方は顎が鬱血して口から血がこぼれており、もう一方は今にも殺さんとする目だ。

 

「やっふぇふえふひゃん・・・」

「コロシマス・・・・」

 

「まだいけるか・・・・まだ意思は消えないと見た」

「当り前よ。あの人たちに顔向けできないじゃない」

「あの巨大な傭兵組織か。あいつらは大きすぎる。だが、それと同時に羨ましくも思う」

その言葉を皮切りに5人は一斉に動き出す。

だが3次元的な跳び方と同時に展開された複数のドローンと壁や天井、無造作に置かれている足場に設置されている自動機銃が四方八方から弾丸を打ち込み、4人を攻めあぐねさせていた。

 

「くっ・・・厄介ね!」

「そりゃそうだ。この時のために持ってた資産全部はたいたんだ。苦戦してくれないと困る」

「あなたは何が目的でこの仕事を?!」

「依頼で金を払われただけだ」

「それだけのために!」

「金払いがいいヤツの味方に付く・・・お前も傭兵ならわかるだろ?俺はあいつが先に払ったからこっちにいる」

淡々と蚕が話を進める。

 

「こうして銃を交えるとお前たちの意志、志向性が理解できる」

 

「お前たち、自身の仕事に矜持があるな?」

 

「おおよそアウトローかハードボイルドか・・・」

そう言いながらも彼はハルカを散弾銃の2連射で撃墜する。

 

「うわぁあ・・・」

「ハルカ!」

彼女を蹴飛ばして外側に追いやりながら彼は続ける。

 

「傭兵は一日が命取りだ。暇があってしまえば、あとにあるのは困窮と破滅だけだ」

「お前たちも散々理解してるとは思うが‥‥」

そう言いながらも彼は彼女たちを見据える。その目には確かな意志と確かな期待が抱かれていた。

 

「だが、青いのも悪くない」

それは不思議な感覚だった。今までなめられたりしたことが多かった便利屋。ニューハウンズと協同関係になるまで同業者にも馬鹿にされることが多かった。だが彼は一切馬鹿にしていない。最初に会った時から、今まで。

だがハウンズの連中とも違う。その目には、声には間違いなく歴戦の重みがある。近い人間を上げるとするなら総隊長の『彼』だろうか。

 

「お前たちには可能性がある。それも大きな可能性が」

そう言葉をつづけている彼の気分は高揚していることは明らかであった。先ほどよりも楽しそうな声になってきている。

 

「その調子でいけばお前たちは大成功をおさめ続けれるはずだ」

 

 「お前たちと戦えて正解だった」

 

  「俺は今、この仕事を始めて楽しいと思えた…!」

 

彼はどんどん攻め立てる。

本調子じゃないムツキ。

再び復帰したが足元がおぼつかないハルカ。

ドローンや自動銃器のせいで動き回らざるを得ないアル。

4人の中で一番被害が少ないが、武器のせいで有効打を中々与えれないカヨコ。

しかし彼女たちもやられるままでは終われない。

カヨコは銃口をドローンや自動銃器に向け始めた。その弾丸は次々と破壊・撃墜していく。

 

「そこの女。目がいいな。頭も回ると見える」

「お褒めの言葉どうも」

「お前がいればこいつらは安泰だろうな。だがお前がその女についていく理由はなんだ」

「・・・答える義理はない」

「成程。お前、恩義でついてきてるな?そう答える奴は大体そうだ」

次の瞬間、天井が破壊される。土ぼこりが巻き上がり、全員が一旦その場をバックステップで距離をとる。

土埃が晴れ、視界が晴れるとそこには男がいた。

今傭兵の中でもトップクラスの賞金首でありながらそれらすべてを退けている最強の傭兵。

 

ニューハウンズ総隊長『ロニー』の姿がそこにはあった。

 

「「「「ロニーさん!」」」」

 

便利屋の声がはもる。蚕は思わずといった様子だ。

 

「ハウンズ最強の猟犬・・・まさかアンタとも戦えるとはな・・・!!やはりこの依頼を受け取って正解だった…!!!」

「お前が・・・勝負しようぜ。お互い使いつぶされる傭兵同士だ。恨みっこなしだ」

「あぁ!」

蚕の目が赤く染まる。それと同時にロニーの頭上には赤いヘイローが浮き上がる。

二人が激突する。

弾丸をものともせずに突っ込んでいくロニーと多少の打撃を無視できる蚕。

だが戦局は徐々にロニーに傾いた。

 

「さすが最強の二文字を好きに扱える男・・・強いな」

「あぁ」

「だがその根源は何だ?ヘイローの有無だけじゃない。お前の何が、お前をそこまで強くさせるんだ」

「知らねぇ。考えたこともない。意味を与えられたあの時から、俺はあの人の猟犬でしかない」

「成程。お前の主はそこまで大きいか・・・俺もアンタみたいに人に恵まれていたら変われただろうか」

それに対し、ロニーの拳が赤く光る。その怪しくも魅力めいた光は彼の目をとらえて離さない。

 

 

「今からでも、変われるだろうがよ!諦めてんじゃねぇ!!」

 

 

ロニーの拳が彼の顔面をとらえる。拳は貫通し、バチバチと音を立てながら彼はその場に倒れた。

 

「今度ハ・・・お前と・・・同ジ方kkkk向を向きたいもnnnのダ・・・・」

「俺もだよ」

蚕の目から光が消える。どうやら機能停止したようだ。

 

「行くぞ。他が苦戦している」

「この人、死んだのかしら…?」

「ロボットの死って何を定義にするんだ?気にするな」

そんなことを言いながら彼らはその場を後にする。その後ろ姿に彼はつぶやいた。

 

 

 

「進め その先は未来にある・・・」

 

 

 

その後依頼は完遂され、ロニー達がこの場に戻ってきたときに彼の姿はなかった。

 

「いなくなってるわ」

「流石にあれだけじゃ仕留めきれなかったか・・・実に厄介だ」

「でもまた会えそうな気がしますね、アル様」

「えぇ、悪い人じゃなかったわね」

 

おわり

 




【キャラ紹介】
蚕

【挿絵表示】

・キヴォトスで活動している傭兵。
・「金をしっかり支払われたら依頼主を絶対に裏切らない」特徴を持つ。
・金で動く傭兵としては変わった特徴を持つ彼だが、その特異性から彼は確実に信頼を積み上げてきた。
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