【ブルアカクロススレ】ルビコンからやってきたウォルター達が 作:AC組んでSS書いてる人
ある日のニューハウンズ。
皆大した用事や依頼も無く、少しのんびりした日だった。ロニーもウォルターも軽い用事で外を出ており、お留守番は子犬たちとエアでやっている。
何事もなくこんな日が続けばいいなと思っていた、その矢先。突然基地内の警報という警報が鳴った。侵入者を示す音だ。
驚いて椅子から転げ落ちる者。
夢現から引き戻された者。
気合を入れ直した者。
げんなりとする者。
様々いるが、その中で最も行動が早かったのは偶然通信室でアオカと首根っこ捕まえて連れてきたテンリと人生ゲームで遊んでいた阿手ケンナであった。ちなみにその時点でのどべはテンリであった。
足のばねだけで地べたからそのまま通信機器に飛びつくとすかさずモニター監視室に通信をよこす。
「こちら歩兵部隊副部長の阿手ケンナですわー!監視室、応答はいただけまして?」
『ケンナ副長?!こちら通信良好です!正門から侵入者、確認できてます!』
「人数は?ACもしくはMT、もしくは両方は確認できてまして?」
『MT及びAC、確認できません!0です!人数は1名!単騎による突入でしょうか…?!』
「1人・・・?気にはなりますがとりあえず皆に伝達しますわー!」
『お願いします!』
するとケンナはダイヤルと機器を軽くいじると基地内全域に伝達した。
『こちら歩兵部隊副長の阿手ケンナですわー!基地正門前から侵入者あり!人数は1名!AC及びMTはなし!単騎による突入と考えられますわー!』
するとその放送を聞いたニューハウンズは迎撃の準備をしながらも困惑が漂い始めた。
「単騎?しかもACもMTもないだと?何を考えている…?」
「美食テロリストでも車ぐらいは用意するぞ・・・?」
「いったいどこの馬鹿だ?アタシらニューハウンズに喧嘩売るなんてな」
そんな中怒号が響き渡る。怒号の主はニューハウンズ歩兵部隊隊長、河岸コエだ。
「お前たち!戦いはもう始まっている!!準備出来次第いつでも飛び込めるようにしておけ!!!」
『『『サーイエッサー!!!』』』
「今走ってきましたわー!まだ間に合いまして!?」
「遅い!だがまだ時間はある!40秒で支度しろ!!」
「申し訳ありませんわー!」
「謝るくらいなら体を動かせ!!」
「サーイエッサー!」
河岸コエ率いる歩兵部隊にケンナも合流し、着々と準備を進める中、又放送が流れた。
『こ、こちら通信部隊所属の
宇沢レイサ。トリニティ総合学園・トリニティ自警団所属の1年生です…!』
それを聞いてケンナと陸奥ムネミを中心とした元トリニティが反応した。
「私と同い年ですわ~!」
「言ってる場合?!まぁ、私からしてみれば後輩にあたるけどさ」
「二人とも気にするとこ違くない?!そもそも正義実現委員会があるのに何で自警団があるの?!」
すると元ミレニアム生からそんなツッコミが飛んできた。それに対してムネミは走りながら返答する。
「元正実の自分が言うのもアレなんだけど、あそこってティーパーティー傘下なんだよ。だから上の命令があると動けないのよね。
だからかなぁ・・・不信感を抱いたりする子も少なくないんだよ。そういう子たちが昔からいたんだろうね。案外自警団は歴史があるんだ。
今でこそあまりないけど、トリニティの歴史書曰く自警団と正実のスタンスの違いで武力衝突も多かったらしいよ?」
「ほえ~勉強になりますわね」
「ケンナちゃん君トリニティだよね?なんで今知った感じなの?」
「私知る前に辞めましたから知らないですの」
「あ、ごめん」
「いいですわよ~」
「やさしいせかい」「やさいせいかつ」「おい今の誰だ」
「それはつかみきれなかった情報だ。参考にしておこう。で、なんでその自警団にいる宇沢レイサという奴がここに来たんだ?」
そう声が質問するとムネミは困ったような顔をして首をひねると絞り出すように言葉をこぼした。
「・・・さぁ?」
『『『【さぁ】?!今【さぁ】って言った?!!』』』
「そもそもあそこ【自警団】ってくくりだけど個人個人のつながりがそこまで強くないんだよ!!
上が信用できないから自分たちがある程度治安維持をしようってことで結成された非公認組織ってだけで・・・正実自体もどれくらいの規模・人数か把握できてないし・・・」
「成程。複雑な事情が絡んでいるということだな。ゲヘナとは大違いだ。
ただ我欲をかなえようとする大勢とそれを抑止して取り締まる少数とどちらにもあまり関わらない極々少数がゲヘナだからな。
まぁ、元ゲヘナの私も例外じゃないが」
「目標、見えました!」
そんな話をしながら配置についてると隊員の一人が声を上げた。見るとピンクと薄紫のカラフルな髪に星型のヘイローを有する少女が大股で堂々と歩いてきていた。
「あれが宇沢レイサか・・・本当に一人とはな」
「しかし改めて言いますけどご丁寧に正門からですわ・・・。自爆テロってわけでもなさそうですわね」
「あ、見張りの二人のびてるよ」
「え、どこ?」
「あそこ」
隊員の一人が指さすと見事にのびている二人が積み重なっていた。どうやら返り討ちに会ったらしい。
「何してんだあいつら」「なんて体たらくだ」
「でも門番程度なら返り討ちにできるのがわかりましたわ~。これ不味くねぇですの?」
「不味い不味くないだったらまずいだろうね」
「というよりあの子堂々とこっちに歩いてきてるね。正直コエ隊長やケンナ副長の指揮してる私達に勝てるとは思えないけど、何か秘策でもあるのかな・・・?」
するとレイサは歩みをぴたっと止めるとその場で思い切り息を吸い込み、大声で叫んだ。
「うるさっ」
するとその宣言を聞いたニューハウンズはにわかに相談し始めた。
「・・・どうする?ああいってるけど、だれが挑戦状受け取る?」
「私はどうだ?」
「いや、コエは図体デカいしゴツいし正直人相も怖いし一番受け取っちゃダメでしょ」
「よく言った
「え?!ジョークよ?!同じゲヘナを抜け出したよしみでしょ?!私とあなたの仲じゃない?!
あ、力強い!目がマジだ!!助けてケンナちゃん!!イヤ―――――ッ?!!!」
目が笑ってないコエが華音辺と呼ばれた彼女の襟首をつかむとどこかへ引きずりながら行ってしまった。
「隊長と華音辺さんが抜けたんスけど・・・いいんスか、アレ?」
「あまり気にしなくていいよ。あの二人、ここに来た頃からずっとあんな感じだったし」
そう声をかけながらスナイパーライフルを担いだ622がやってきた。
「622先輩?!どうしてここに?」
「ACとMTはクルミとノラに任せて来たんだよー。あの1人だけでしょ?警戒するに越したことはないけど、今回私の出る幕はないかなって」
「そういえばツヅル先輩は?」
「今回はACの方に行ってもらったよ。最近歩兵ばっかりだったから本人も腕が鈍ってないか心配だったみたい。・・・で、今の状況は?」
「あぁ、あそこにいるでしょう?あの子が宇沢レイサです。侵入者」
「あー見えるね。なんか不安そうな顔でそわそわしてるけどいい子そうじゃん。で、今何してるの?」
「門番二人のされちゃいましてね。あと挑戦状を誰が受け取るかってことで話し合いです」
「へぇ~挑戦状をわざわざ用意してんだ。ただの侵入者と言うには行儀がよすぎるね」
「確かに美食も温泉も無礼極まりない野郎しかいませんでしたからね」
「・・・で、だれが挑戦状受け取るの?」
するとまた相談が始まる。そんな中、一人が挙手した。
「私が行きましょうか?」
挙手した人物は歩兵部隊副長・阿手ケンナであった。
皆は『確かにコイツなら間違えないだろ』と思いつつも念のため質問することにした。
「どうして立候補を?」
「いえ、私同い年ですし、それに元とはいえトリニティでしたわ。つながる話もあると思いますの」
『『『確かに・・・』』』
「それに自慢ではありませんが私、腕っぷしには自信ありましてよ?(ムキッ」
『『『知ってる』』』
「では行ってきますわ~!」
「気を付けてね」
そう元気よく飛び出すとダッシュで宇沢レイサに近づいていくケンナ。
そしてそんなケンナに気づいたレイサの顔に笑顔が戻り、片手に持っていた紙封筒を手渡してきた。
ずっと握って生野かどうかわからないが握っていたのだろう。少しクシャ・・・としてる上になんか湿気っていた。手汗だろうか?見かけによらず緊張していると見える。
そんなことを別に気にしないケンナは封筒を開けるとそこにはかわいらしくもきれいな字で文章が書かれていた。
つまり、こうだ。
何と真っ直ぐで清く正しい子であろうか!自らの危険も顧みず誰かのために力をふるおうとするその姿は正しくスターにふさわしいと言えるだろう!
これには阿手ケンナも思わずこみあげてくる者がある!
「いい子ですわねぇ」
思わず同い年なのにレイサの頭をなでてしまう!
対してレイサはどうだ?
おお、おお見よ!
まるでボイルド・オクトパスの如く顔を赤くしていた!どうやら照れ臭いようだ!
失礼、少しニンジャが紛れ込んだが話を戻そう。
「ま、惑わされませんよ!」
ばっと頭を振って手を振り払うと宇沢レイサはびしっと指さして言った。
「挑戦状を受け取りましたね!今から私と決闘してもらいます!」
「良い響きですわね。いいでしょう、かかってらっしゃいな」
「ではまずお名前を聞いてもいいですか?!」
「私は阿手ケンナ。あなたと同じ15歳でニューハウンズ歩兵部隊副長ですわー!」
「おお、すごいですね!では、決闘です!!」
次の瞬間、シューティング☆スターの銃口が向けられた。
火が噴き出す!!
だがケンナはそれを体を捻って回避!!そしてそのひねりを戻す勢いで鋭いハイキックが炸裂!!銃口が真上に向けられた!!
銃そのものを狙われたレイサは思わず体勢を崩してしまう!だがその一瞬が命取り!!
その隙をついた肉薄するとケンナは自分の得物「The fist is mightier than the gun.」をレイサの顎下におし付けるとフルバースト!!
「あばばばばばばばばばばばばっば?!!」
これにはレイサも思わずダウン!!脳を過度に揺らされ、脳震盪を起こしてしまったのだ!
「うぅ~・・・」バタンキュー
そのままレイサはあえなくK.O!なんとも素早い決着であったがこの迅速な行動こそがニューハウンズの強さの本質なのだ!
「終わった?」
陸奥がハンドガンに指をかけながら近づいてくる。それに対してケンナは軽くレイサの頬をペチペチしたり首の脈をはかったりして状態を確かめた後こう答えた。
「気絶してますわね」
「そりゃああんだけ顎をうたれたら気絶するでしょ。おーい、誰か担架運んできてー」
するとボロボロになった華音辺となんか埃っぽいコエがちょうどよく戻ってきた。そこに陸奥の声が聞こえてた622が容赦なく声をかける。
「二人とも担架持ってきて」
「えぇー?!622先輩うそでしょ?!さっきまでコエちゃんと散々しばきあいしたのに?!」
「そこまで騒げる当たりまだ余裕だよね、華音辺ちゃん。今日の晩御飯のからあげ一つおまけしてあげるからさ」
「しょうがないですねー」
「ホント現金な奴だなお前」
そう言いながら二人は担架をとりに屋内へ入って行くのを見届けると622はケンナたちの方に顔を向ける。
するとハンカチをレイサの顔にかけてなんか話し合いしてる二人の姿が!
「ワッザ?!」
これには思わず驚きながらも急いで駆け寄っていく。
「何してんの?!」
「あぁ、622先輩。ハンカチかけてました」
「なんで?!」
「いや、まぶしいかなと思いまして」
「あぁそういう?!で、このハンカチ誰の?!なんかすごい高そうだけど!」
「私ですわー!」
「ケンナちゃん?!」
「おーい、どうした。死んだのか?」
「縁起でもないこと言わないで?!あと担架持ってきてくれてありがと!」
「おう。じゃあ乗せるぞー。ケンナ、手伝え」
「あいあいさー!」
そして622とケンナと陸奥でレイサを担架に乗せると華音辺とコエがよいしょっと持ち上げて運び始めた。
「「えいさ!ほいさ!えいさ!ほいさ!」」
「「ワッショイ!ワッショイ!」」
「4人とも切羽詰まってないからツッコミ全部私に任せようとしてない?!追いつかないんだけど?!」
なお4人+1人がわちゃわちゃしている間に他の隊員が伸びている二人を担いで運んでいた。
「う~ん・・・」
レイサが気が付くとそこはふかふかの布団の中だった。なんか心地も良くそのまま寝てしまいそうになるが気絶する前の記憶が何とか蘇えるとはっと目を覚ました。
「あ、あれ・・・?!確か私は決闘して・・・」
すると横から男の声が聞こえてくる。びっくりして懐を探るが自分の愛銃がいない。どうやら気絶してる時に取り上げられたらしい。
ならばせめてと枕をとつかんで振り上げようとしたがすぐさまデコピンをおでこにくらった。わりかし威力があり、額を抑えてしまう。
「落ち着け。別にとって喰おうってわけじゃない」
その言葉を聞き、なんか落ち着きを取り戻した彼女は声の主を見た。
不愛想な表情だがかなり大柄な男性だ。ヘイローはない。だが何となく心配しつつも侵入者ということもあって警戒している様子だった。
そういえば最近星外から来た人が同学園の生徒と一緒にぬいぐるみを買っているのを見た。もしかしたらこの人も星外から来たのかも。
「あなたは・・・?」
「ロニーだ。ニューハウンズの総隊長をしている」
「あなたが・・・ボス…?」
「違うが?」
「あれ?」
「まさか何も調べずに来たのか?」
「お、お恥ずかしながら・・・」
すると大きな音が鳴った。どうやら彼女のお腹からなったようだ。
一瞬の沈黙。気まずい雰囲気がその場に漂う。
恥ずかしいのか彼女は顔を真っ赤にするが彼は気にしていない感じで声を再びかけた。
「腹が減ったのか?今日はもう遅いし泊まっていけ。許可証は今から発行しよう」
「え、いいんですか?私決闘を申し込んだのに・・・」
「いいんだよ。決闘は済んだんだろ?今この保健室に運ばれてるのは民間の生徒だ。そうだな?」
「え、あ、は、はい・・・」
「それでいい。ついてこい」
すると彼は立ち上がると保健室のドアをガラガラとあけた。彼女もあわてて靴を履き直すと彼についていく。
少し無機質に感じる廊下を歩きながら彼についていく。こちらを気にせず歩いているように見えるが歩幅を少し合わせてくれるのですぐ後ろをつかず離れずで維持できていた。
「そういえば」
「?」
「お前はトリニティらしいな」
「え、そうですけど・・・」
「トリニティはどちらかと言うと交渉で話のカタを付けようとするタイプが多い。
一度も負けたことはないが・・・お前はどうやら直接行動するタイプのようだな。ヒフミやコハルみたいな感じか」
「そ、そうです」
「えぇっと・・・なんだったか。あ、そうだ。トリニティ自警団のスーパースターだったか?その肩書に恥じない真っ直ぐさだな。お前がブラックマーケットにいたらすぐにスカウトしたいぐらいには気に入った」
「えぇ?!」
「ま、とにかくだ。真っ直ぐなことはいいことだ」
そう言いながら彼は受付の方に入っていき、少しすると戻ってきた。手には許可証と書かれた首掛けをもっている。
「ほい、これ」
「え、え?」
「それ首にかけとけば少なくとも許可とってきたってことになる。泊まるんだろう?」
「あ、はい・・・さっきも言ってましたけど」
「ならいい。ついてこい」
また無機質気味な廊下を二人で歩く。すると暖簾が見えてきた。にぎやかな声が少し漏れてきている。
「お前らお疲れ」
「あ、ロニーさんお疲れ様です!」
ロニーが暖簾をくぐって呼びかけると皆嬉しそうな顔で返事をする。
それに対して軽く手を上げて返事しながら彼は受け取り口に歩いていく。レイサもおずおずとそれについていく。
すると物珍しそうな目線を感じた。
「あれが今回の侵入者かね?」
「えぇ、話によればトリニティ学生だとか」
「だが許可証を付けている。事後承諾ってやつかな?」
「なんか意味違いません?」
「そうかぁ?」
そんな会話も聞こえる中、彼女は彼と同じように受け取り口に到着した。
すると厨房からチャイナ服にエプロンを着た女性が話しかけてきた。名を李ユウナ。ハウンズ給食部隊隊長である。
「あなたが宇沢レイサちゃんネ?」
「え、はい」
「もっと元気だしなヨー。皆そんなに怒ってないヨー?」
「そ、そうなんですか?」
「うン!むしろ皆あんたのこと『単騎で突入とは根性があるー』とか『挑戦状渡してタイマンは見上げた精神性だー』とか言ってたヨー?自身持ちナー?」
「あ、ありがとうございます…?」
「ハイ、お待たセ!ニューハウンズ特性山盛唐揚定食ネーー!!」
すると目の前にドカッと山盛りの唐揚と山盛りのごはん、みそ汁になんかそっと置かれているサラダとレモンが上に載っているお盆が置かれた。
「え、こんなにですか?!」
「今日は唐揚爆盛デーなんだヨ!いっぱい食べてネー!」
そう言いながらひらひらと手を振る彼女。そしてその奥にはロボット料理人で給食部隊顧問のタカハシさんがサムズアップをしていた。
「どこに座りましょう…」
「好きに座ればいい。あそことかどうだ?」
ロニーが顎で指した先を見る。そこにはコエとケンナとノラと622と華音辺が座っていた。ご丁寧に3席空いている。
ロニーについていく形でその席に座ると食事を開始した。
「いただきまーす!」
そして唐揚をほおばる。
あふれ出す肉汁、舌に広がる旨味。外のサクサクに反し中はジューシーかつ丁度良い噛み応えと火の通りで空腹の肉体に非常にしみる。
「ほ、ほいひい!」
そして白米を口に入れる。白米もふっくら炊けており、思わず唾液がだらだらと出てしまうほどおいしい。
「はっふはっふ」
周りの目も気にならないほどがっついてしまう。それを見ながらニューハウンズの面々は楽しそうに見ていた。
「あ、唐揚一個上げる」
「え、622先輩さっきも渡してこなかった?」
「そうだっけ?でもあげる」
「飴玉を会うたびに渡すおばあちゃんか」
「おうおう言ったねコエ。シミュレーションルーム行こうよ」
「さりげなく自分の有利なフィールドで戦おうとするな。せめて素手で行こう」
「そっちもそっちじゃん!やってらんないよ!」
「本当にそう思ってるのか?」
「思ってたら一緒にニューハウンズで隊長してないよ」
「「えへへへへへへへ」」
「んぐっ・・・仲良しさんですね!」
するとそんな漫才めいた掛け合いに気づいたレイサは口の中を空っぽにすると声をかけた。
それに対して二人は照れ臭そうにしながらも話し始める。
「君が宇沢レイサちゃんだね?私の名前は622。で、こっちのムキムキゴリラみたいなやつが河岸コエだよ」
「だーれが森の賢者だ褒めるなよ」
「コエちゃんの機嫌がめっちゃいい・・・あ、私は華音辺だよ。よろしくねお嬢ちゃん」
「空善ノラ。ところで君、ACに興味ない?空をすごい勢いで飛べるやつがあるんだけど」
「昼間も伝えましたけど阿手ケンナですわ。顎は大丈夫でして?」
すると次々と話しかける5人につられたのか他のハウンズも何人かぞろぞろとレイサを中心に集まってきた。それに気づいたのか少し顔がぺしょッとなるレイサ。
ロニーはほんとに犬の群れみたいだなと思いつつも少し止めに入る。
「お前ら、こいつに興味があるのはわかるが程々にしてやれ」
『『『はーい』』』
すると何人かを残してまたぞろぞろと元の席に戻り始めた。少し彼女の表情が柔らかくなった気がする。
「失礼する」
するとロニーの前に老年の男がお盆をもって座った。
「「ウォルター/ウォルターさん」」
「「「「ボス!」」」」
その席にいたものが言葉をかける。この老年の男こそが今キヴォトス傭兵界隈を賑わせているニューハウンズ、その総司令・ハンドラー・ウォルターである。
「あなたは…?」
「ここの総司令を務めているハンドラー・ウォルターだ。好きに呼べばいい」
「じゃあウォルターさん・・・」
「うむ」
「あなた方の悪いうわさを聞きました。本当ですか?」
「・・・そもそもその悪い噂を俺は把握していないのだが」
「なんか拉致して洗脳してるって噂なんですけど」
瞬間、殺気。
ロニーとウォルター以外の周りで耳を立てていた全員が殺気立ったのだ。
耳を澄ませると物騒な小言を呟いている者もちらほらいる。
レイサは恐怖で縮み上がった。ロニーも少しイラっとしたが周りの子犬たちがあまりにも殺気をまき散らすので逆に落ち着いたのか片手を挙げながら声を少し大きめに上げる。
「お前ら、そんなに殺気をまき散らすな。落ち着け」
すると不服そうな雰囲気を漂わせながら殺気が薄まっていく。
レイサはぺしょ顔から何とか復帰した。
対してウォルターは少し頭を抱えていた。
「いや・・・その、だな」
そして少し口ごもりつつも話し始めた。
「そもそもそこにいる622はともかく他は621が連れてきた子だ・・・どうやら中には乗り込んで殴り飛ばして装甲車に放り込んでたことも多かったみたいだが…」
レイサの顔がロニーに向く。対して彼は「俺何も悪いことしてないが?」みたいな顔をしていた。
「だが、連れてきた子に手当てをしたのは俺や621、エアの意思で・・・それに対してついてくることを選んだのはこいつらの意志だ。
洗脳してるように見えるのも仕方がないのかもしれない。
…勘違いしないでもらいたいのは、俺たちは助けただけだ。手当てした後にそのまま帰った者も大勢いる。だが、こいつらはここを選んだ。それだけだ」
そして彼の表情を見たレイサは確信めいた結論が浮かんだ。
彼は優しい。このキヴォトスには数少ない『子供のために自身を削れる大人』だと。
そして隣にいる大人もそうだ。彼も少し表情は硬いが、こっちのことも気にかけている。
恥ずべきは自分だ。信憑性もない噂を真に受けてここまで来て、迷惑をかけてしまっている。
その事実は彼女を恥辱に至らしめ、気分を落ち込ませるために十分だった。
「うぇ・・・ひっぐ・・・」
泣いた。あまりにも己の無知を呪い泣いた。これには思わず周りの面々も驚いてしまう。
「ど、どうした…?どこか痛むのか・・・?!」
「え、どうしたの?!」
「大丈夫?怖かった?」
「ごめんねぇ~!コエ怖いでしょ?」
「華音辺、お前ちょっとこっちに」
「ねぇ今の冗談よ!冗談じゃない!あ、目がマジだ!まだご飯も食べきってないのに?!
助けてロニーさん!イヤーーーーッ?!!」
「おいまた連れてかれましたよ」
「華音辺先輩も反省しませんねぇ」
「ちくわ大明神」
「まさか、口の中火傷したんじゃ」
「それでこんなに泣くかぁ?」
「待って。今ちくわとかなんかいってたの誰よ」
「ち、違うんです!」
レイサがしゃっくりしながら声を上げる。その間にロニーは机の上に会ったティッシュを手元に手繰り寄せて彼女の前に差し出した。
「わだじ、噂だけであなたたちに迷惑がげました・・・そんな自分が恥ずがじいです・・・!」
みな少し目を見開いた。
ここまでまっすぐで己の間違いに真摯に反省する子は中々見かけなかったからだ。
ここに来る奴の大半は道場破りか温泉か美食か名声を上げるためのカチコミぐらいしかなく、その上後悔はすれど反省する奴はほとんどいない。なので逆に新鮮だったのだ。
「・・・君は、いい子だな」
ウォルターが彼女に声をかける。ロニーは彼女のぐちょぐちょになった顔を拭きながら思いをはせる。
こいつレッドみたいだなと。
あいつは自分みたいな臨時隊員でも気にかけている。真っ直ぐすぎて、戦場にはあまり向いてない気もする。だからだろう。ミシガンが彼を窓口担当にしているのは。
そんなことを考えながら彼は口を開く。
「いいじゃないか、間違えたって」
「ロニーざん?」
「人間誰だって間違える。俺だってこの星に来る前に破壊しちゃいけないもの破壊して土下座したもんだ」
「え、ロニーさんもそんなミスを?」
「あぁ、でもその間違いが人を成長させるんだ。ルビコンにいたころより俺も、成長できたと思う」
「そうですわよ!私だってよく組み手で突っ込んでコエ先輩にしばき倒されてますわ!!」
「そうだよ。私みたいな人もいるしねー」ボロッ
「あ、華音辺さん戻ったんだ」
「散々スパーリングしてきたよー。顔にラリアットもらった時は三途の川が見えたね」
「どんだけ激しかったの?!」
「ま、私もよく最初は間違えたりしたしな。ロニーさんに喧嘩打ってボコボコにされて今ここにいるわけだが」
「すごかったよね。今でも思い出せるもん。顔が変形するまでボコボコになってたし」
わいわいとハウンズの面々が騒いでるのを見てレイサも涙が引っ込んだのかいつの間にか落ち着きを取り戻した。
「あ、あの」
「なんですの?」
「今日はごめんなさい」
「いいですわよ。コエ先輩は?」
「特に怒ってないから大丈夫だ。622は?」
「右に同じく。寧ろ君の事余計に好きになっちゃったよ」
「私も同感ですね」
「元気なのはいいことヨー!マ、元気すぎてもテロリストみたいになっちゃおしまいだけどネー」
「お、ユウナ終わったか」
「ウン!タカハシさんがもう上がっていいよって言ってくれたんだヨ」
「そりゃよかった」
「さ、皆ご飯食べなヨー!せっかく作ったのに冷めちゃうでショー!」
「お、そうだな」
「じゃあ改めて」
全員が改めて手を合わせる。つられてレイサも手を合わせた。
『『『いただきまーす!!』』』
「「いただきます」」
その日の夜は風呂場ではしゃいだりゲストルームでレイサが寝るまでUNOで遊んだりと楽しい夜だった。
次の日
「昨日はありがとうございました!宇沢レイサ、完全復活です!!」
正門前で深々とお辞儀しながらレイサは別れの挨拶をする。
対して見送りを任されたケンナが何かを手渡してきた。
「それは良かったですわー!あ、これお土産ですわー!」
「え、いいんですか?」
「同じ釜の飯を食った仲ですわー!もう友達でしてよ!」
「友達、ですか?」
「あら、ダメでして?」
「いえ、嬉しいですっ!友達があまりいないから、すごく!」
「それは良かったですわ~!また遊びに来ていらしてね!」
「はい!」
そしてレイサはルンルンとステップを踏みながらニューハウンズを後にした。
「いい子でしたね」
すると草むらからぬるっとエアが出てきた。どうやらこっそり隠れていたようである。
ご丁寧に手と頭に木の枝をくっつけていた。
「えぇ、すごくいい子でしたわ~!また遊んできてくれたらきっと楽しいですわね!」
「えぇ、私もそう思います」
終わり
【おまけ】
ウォルター「そういえば621。お前はどの用事でいなかったんだ?」
621「あ、コレ」タブレットミセ
ウォルター「これは・・・レイヴン、ナイトフォールのヘッドパーツか」
621「データは入手してたから製造できないかと数日前にカーラに頼んだんだ。できたからとりにいってた」
ウォルター「しかし・・・中々にかっこいいな」
621「やっぱり?ウォルターもそう思う?あいつにはもったいなさすぎるくらいかっこいいよな。しかも戦闘時にはこの後ろのバイザーが前に来るんだぜ」
ウォルター「おお、これは‥‥!」
621「で、だ。びっくりしたこと言っていいか?」
ウォルター「なんだ?」
621「これ解析によれば俺がいつも使っている頭部の改造品らしい」
ウォルター「・・・面影が全くないな」
621「どうやったらあんな素朴な感じからこんないかつい感じになるのか訊いてから殺すべきだったかな」
【さらにおまけ】
「さて、お土産はどんなものでしょうか!」
・ニューハウンズジャケットのレプリカ
・ニューハウンズのロゴが刻まれたマグカップ
・ニューハウンズのポスター
・星外のレーション及びカロリーバー
・星外企業の様々なポスター
・レイサがともに映った記念写真の数々
「はわわ…あれ、なんかメモが」
『 私たちの友達の宇沢レイサ様へ
阿手ケンナですわ~!
昨日はすごく楽しかったですわ~!
その紙袋にあるものは全て好きに使ってくれてかまいませんことよ!
あと事前に連絡さえ入れていただければ遊びに来てくれても構いませんわ~!
あ、これが私の連絡先ですわ
○○○-○○○-○○○○』
「・・・グスッ」
【キャラ紹介】
・元トリニティ生。元1年。15歳。ニューハウンズ通信・諜報部隊所属。
・阿手ケンナとは幼馴染。昔からずっと一緒に遊んでいた。声がきれいで歌と楽器が上手。
・いじめられたが、ケンナがいじめっ子どもを殴り飛ばし一緒に脱走。その後ニューハウンズに流れ着く。
・元ゲヘナ生。元3年。18歳。
・元々風紀委員だったが嫌になって止めた。その後コエと同時期に抜け出して今に至る。
・コエがブラックマーケットで率いていた取り巻きのうちの一人でいわゆる二枚目キャラ。
・以前は歩兵部隊副長を担当していたがケンナがその座を勝ち取ったため、今は歩兵部隊参謀に落ち着いている。
よくコエとじゃれあっている。名前の元ネタはレッドガン隊員の「ケネベック」。
・元トリニティ生。元2年。16歳。ニューハウンズ歩兵部隊隊員。
・元々正義実現委員会に所属しており、イチカとコンビを組んでいた。
・普段は普通に受け答えできるが、戦闘状態になると(^q^)としか表現できない感じになる。
・いじめられたから報復にロケットランチャーを打ち込み、退学届けを出して脱走。その後、ロニーに巻き込まれ事故で殴り飛ばされてニューハウンズ入りした。
・元山海経。元1年。16歳。ニューハウンズ給食部隊隊長。
・元々働いていた店が悪い大人に掌握され、低レベルな仕事をさせられそうになり反攻。やめさせられた。
・そのまま失意になり、学校もやめてとぼとぼ歩いてたらニューハウンズと接触、泣きついて今に至る。
・元山海経。元2年。16歳。ニューハウンズAC・MT部隊副隊長その1。
・元々自分でグライダー製作等の店を経営していたが振るわず、夢をあきらめるか生活をあきらめるかの二択に迫られる。
・その時ニューハウンズの噂を耳にする。星外企業と関わりが深いそこであれば夢を叶える為の知識も得られてその上で生活ができると考えて志願。見事合格を勝ち取った。
・シュナイダー製品をこよなく愛している。
全員の詳細は本スレのプロフ欄をご参照ください。