【ブルアカクロススレ】ルビコンからやってきたウォルター達が 作:AC組んでSS書いてる人
「・・・」
「どうしたの?」
ある日のトリニティ。おしゃれなスイーツ店のテラス席で4人の少女が座っていた。
彼女たちは放課後スイーツ部。いつかはバンドもする、青春あふれる部活少女たちだ。
「いや、最近宇沢見ないなと思って」
そういう彼女は杏山カズサ。中学の頃はやんちゃしていたらしく、キャスパリーグの異名で恐れられていた。宇沢とはその時からの仲らしい。本人的には黒歴史だが。
「さみしくなったのー?」
そんなことをのたまいながら牛乳を飲む少女は柚鳥ナツ。放課後スイーツ部所属であり、自称「ロマンティスト」。
「そういうわけじゃない!
でも、おかしくない?前までしつこいくらいからみに来てたのに、今はめっきりじゃん」
「確かに変ですね~」
「そう?そんなに変じゃなくない?」
カズサの主張に賛同するは栗村アイリ、疑問を口にするは伊原木ヨシミ。
前者はこの部活の創設者でチョコミント大好き。後者はツンツンしているがかなりの常識人枠でブレーキ役。将来性に期待。
「あ、うわさをすればあそこにいるよ~」
ナツが指さした方向に全員が目を一斉に向ける。
そこには確かに話の中心人物である宇沢レイサがいた。るんるんで歩いており、こちらに気づく様子もない。
「るんるんだねー」
「いや、ちょっと待って?あのジャケット見て?」
するとみていたヨシミが何かに気づく。他3人は言及されたジャケットに目を向ける。
「ニューハウンズ…?!」
そう、何を隠そう彼女が来ているジャケットはいつもの物ではなく、胸と背中にニューハウンズのエンブレムが刻まれたジャケットだったのだ。
これには4人も驚きを隠せない。
彼女たち1市民からしてみればニューハウンズは数年前にキヴォトスに降り立った星外人の大人の一人、ハンドラー・ウォルターが不良生徒たちを巧みな手腕と交渉術でまとめ上げた巨大傭兵組織。
一人一人が並の不良や治安維持組織の面々より強く、中でもそんな子供たちをまとめ上げているロニーという男は白兵戦において剣先ツルギをもしのぐとも劣らない実力とACという人型巨大兵器においても『最強』の二文字を好きに扱える大人だという。
「まさか、取り込まれたんじゃ…?!」
「待って。腕に何か書いてない?」
「えっと・・・REPLICA?」
「なーんだ、レプリカのジャケット着てるだけじゃん」
「でもなんで着てんだろ」
「買ったんじゃない?」
「そうかな…でもどこに行くのか気にならない?」
「つけていくってコト?」
「良いねーロマンを感じるよ」
「え?!行くの?!」
「カズサが行きたがってるし、何より新しい出会いがありそうな気がしない?」
「私を理由にしないでくれる?!・・・まぁ、気にはなるけど」
「じゃあ決まり~。皆急いで出るよー」
そして4人の興味湧き盛りの少女たちは急いでスイーツを食してレジで払うと一斉に店から飛び出した。
ガタンゴトンとゆられながら4人は電車の座席に座っていた。ちなみに途中で買ったサングラスや帽子で変装している。雑だが。雑だが。
そして隣の車両にのんびりのびのびと座っている宇沢レイサを見ながら小声で話し合っていた。
「どこ行くんだろ?」
「ねぇ、流されてるけどこれストーカーじゃないの私達」
「まぁまぁ、細かいことは気にしなさんな~」
「これ細かいことかなぁ?!」
「あ、電光掲示板見た」
そんなこんな話をしていると社内音声が流れる。
『次は~ザイレム前~ザイレム前~。お降りの方は気を付けてお降りください』
「ザイレムか~。あの時は連日大ニュースだったよねー」
「宇宙から大都市の船が降りて来たって大騒ぎだったもんね」
「その前の事前調査でやってきたACも大ニュースじゃなかった?都市部の空を飛んでたからさぁ。飛行船が警戒してダイヤが遅れたって話だよ」
「星外人と連邦生徒会の会見も歴史的瞬間だったよね」
「でも結果オーライですよね。いつのまにか星外商品が出回ってて皆よく買ってますから」
「何よりACみたいなロマンの塊だよ。正実に一機導入されたって聞いた時は少し羨ましいと思ったかもー」
ザイレムで思い出したのか星外人に関して喋る青春少女達。
すると宇沢レイサに動きあり。すくっと立ち上がるとドアの前に立つ。
キキーッと音と共に停車、ドアが開くとすぐに彼女は車両から足を踏み出した。
対して四人は少し出遅れたのかちょびっと慌てて飛び出した。
レイサは軽い足取りで歩いていた。なんならスキップしているように見える。
対して四人は見つからないように距離を離しつつ、抜き足差し足気味に後をつけていた。なんか悪いことしてると言われたら今現在進行形でちょっとしているけどそこまで警戒しなくてもよかろうに。フハハ
「いったいここまで何を目的にして・・・?」
「わかんない。でもどんどんザイレムに近づいてるよね」
「まさか、ほんとにニューハウンズに取り込まれて…?!」
「そんなエイリアンみたいなことを言わない!」
「でも噂によれば星外人はみな強化手術というものを体にしてるって…!」
「だったら体のどこかに何かあるでしょ!スッラさんとかコールドコールさんとかは片目義眼だったり手が機械よ?」
ここで突然余談だが、トリニティによくスッラやコールドコールがコーヒーを飲みによく来るのだ。どうやら一部の生徒に陰のあるイケオジとして人気らしい。あと彼らのせいで(おかげで?)義眼や義手フェチに目覚めた人もいるがそれは今どうでもいい。
「あれ最初こわかったよねー。人捜してたみたいだけど」
「あれ?ここって・・・」
「ニューハウンズ基地本部じゃない?!」
まさか本当にニューハウンズ・スゴクオオキイキチホンブだったとは!
全員恐怖を隠せない!まさか宇沢レイサ=サンはホントにニューハウンズのパピー達に取り込まれてしまったのではないか?!コワイ!!
しかしそんなこんなしているうちに宇沢レイサ=サンはガスマスクを付けている門番ニューハウンズ隊員2人と気さくに話すと中に入ってしまった!
シツレイ、ニンジャがまた出た。
4人は電柱の陰に隠れて車が見ながら話し合う。
「どう?行けそう?」
「ムリかも・・・」
「じゃあ壁が手薄な所でも狙う?」
「そもそもこっち4人なんだからいけない?」
「そうは問屋が卸さないでしょ。そもそも歩兵のほかにACとかMTとかあるんだよ?パワーローダーとかゴリアテとか目じゃないくらい強いやつ」
「いや、でも・・・」
「物騒な話してますわね」
「物騒って何よ物騒って」
「待って、今の誰?」
ギギギ・・・と油の切れたブリキの如く4人は首を後ろに向ける。するとそこには自分たちと同じようにしゃがみつつも頬杖をついている阿手ケンナの姿があった。
「ニューハウンズ?!」
「そうですわよ~。なんか見えたから話しかけた次第ですの~。その」
「もしかして、阿手ケンナさん?」
「知ってますの?」
「ニュースになってましたよ!確か、ティーパーティーの行政官を殴り倒して脱走したって」
「アレあいつらが悪いんですのよ、友達いじめるから殴り飛ばしただけですわ。挑むなら正々堂々やりなさいな。
・・・あなたたちも、その手の口ですの?」
ケンナの纏う雰囲気が暗くなる。
明らかに警戒している。もしも下手な動きしたらその場ですぐさま鎮圧するぞと暗に脅している。4人はそう感じていた。
「侵入予定者ならこのまま帰っていただきますわよ」
「侵入予定者って何?!ないです!!」
「さっき手薄なとこがどーたらとか言ってませんでしたこと?」
「じょ、ジョークです!ジョーク!!」
「そうなんですの?だったら早めに帰った方がいいですわよ?ここあまり治安がいいとは言えませんし」
「それは、その・・・」
「?」
「私がっ!その、宇沢レイサの知り合いというか・・・なんというか、その、難しい関係というか・・・」
すると突然カズサが声を荒げた。
「・・・???」
「ダメだコレ。私達がほんとに不審者でしかない!」
「ライバルみたいなもんだよね〜」
「ライバルじゃないって!」
「ライバル…?はっ、まさか」
「「「「?」」」」
「レイサちゃんがよく言ってるライバルのキャスパリーグという方はもしや貴方ですの?!」
突然ふるわれる拳。パシッと受け流されると顎に鋭いフックが突き刺さる。
「あぇ…」
杏山カズサの足腰は砕けた。
そんな彼女と己の拳を見て一言こぼす。
「やっちまいましたわ」
「『やっちまいましたわ』じゃないですよ?!的確に顎に当ててましたよね?!」
「いや、急に拳を振るうものですから思わず鎮圧を…」
「そこに関してはホントにごめん、なさい!カズサそのキャスパリーグってあだ名が嫌な思い出らしくてぇ…」
「そうだったんですの?それは悪いことしてしまいましたわ。
ごめんなさい」
「あ、謝るんだ」
すると複数の装甲車が走り、上空を真紅のACと白色のACと灰色のACが飛んでいた。どうやら任務が終わり、帰ってきたようである。
「あ、皆様帰って来ましたわね」
「ひ、人喰い装甲車…」
するとムッとした顔で彼女は反応する。
「人喰い装甲車とは失礼ですわね。人聞きが悪いですわよ?
それに最近は人員も充実してますからしてないですわよ」
「前まではしてたんだ…」
「そりゃあ人数が少ないとできることもなかなかできませんわ」
ここで余談だが、彼女・阿手ケンナも「鉄拳制裁による青少年の健全教育」という名の拉致に参加したことがある。この時は蒼森ミネが突入してきて大混戦になり、最終的にロニーさんの拳でKOしたのだが…この話はまたの機会に。
「ケンナさん、どうかしましたか?」
するとそこに声をかけてくる人物がいた。
彼女はニューハウンズ医療部隊隊員の黒笠シュラである。
「あ、シュラ先輩。どうしました?」
「いや、帰りが遅いと思って心配で来たんですが」
「それは申し訳ないことをしましたわ」
「・・・で、そこで腰が砕けてる人は?」
「なんかうちの前で話し合ってたから話しかけた次第ですの。その時色々とあって殴ってしまったのですけれど・・・」
「・・・ケンナさんが人を殴る時はそれ相応、何かしらの理由があります。
さしずめ、相手が殴ってきたから思わずやってしまったのでしょう?」
「すごいですわ!よくわかりましたわね!」
「あなたはわかりやすいですからね。では診察室に来てくださいませんか?そこの3人も付き人として」
「「「え?」」」
「何か事情があったのでしょう?ですが一人の怪我人の前では些事です。
さ、行きますよ」
脳が揺れて未だ目を回している彼女を俵担ぎすると彼女は門の中に入っていく。続いて3人と一人も入っていた。
まぁ、後ろにケンナ、そして門番が2人がジッ・・・と見てくるせいで逃げるに逃げられなかっただけかもしれないが。それはそれとして誰かを置いて逃げるほど自分たちは薄情者じゃないという意地もあったのかもしれない。
「あーちょっと腫れてるねぇ。今氷用意するからそこでゆったりと座って待っててくれたまえ」
口元にニヤニヤと笑みを張り付けながら医療部隊隊長・宗暗ジャミは立ち上がると袋に氷をジャラララ…とつめ始める。
どことなく胡散臭い雰囲気とサングラスに4人は少し怯えの表情を見せていた。
「大丈夫ですよ。少なくともここにいる間は変なことはしないみたいですし」
「そうですわよ~。大船に乗ったつもりで構いませんわ~」
「ケンナ君はともかくシュラ君はなんか棘がないかい?君を試薬の試験台にしても私は構わないけど」
「・・・あ?(素)いえ、すいませんでした」
「おやおや」
言葉のプロレスをしながらも氷を詰め終わるとすっとカズサに手渡した。
彼女はそれを受け取ると顎に押し当てつつ抱いていた疑問を口にする。
「・・・ここに宇沢レイサが入っていくのが見えた」
「へぇ、彼女の知り合い会?彼女、友達がいないみたいだから友達じゃないみたいだけれど。
いや、当てよう。そうだな・・・そういえば」
杏山カズサ、何故か身構える。
黒笠シュラ、それを見て懐から拳銃を抜く。
宗暗ジャミ、そんな二人を見て笑みが濃くなる。
阿手ケンナ、三人を見てなんか嫌な予感がしてスイーツ部3人を後ろにかばい始める。
「君、キャスパリーグだろ?」
「な、なんでそれを・・・!」
「君たち知らないかい?私が元々どこで一勢力を築いていたか。
ブラックマーケットだよ。不良の巣窟さ。言いたいこと、わかるよね?」
「あ、あんたまさか」
「最初からさ。知ってたよ。宇沢君からキャスパリーグという名前を聞いたときから、ね?」
「そうなんですの?!どうして教えてくれなかったんですの?」
「いや~教えても良かったんだけどねぇ?でもプライバシーってあるじゃないか。配慮したんだよ」
「星外の強化手術に興味津々でよく言いますよ」
「アハハ、他校の医療に携わる生徒拉致計画を考えたことあるのによく言えたね」
「あ”?」
「ンフフ」
「お二人とも、けんかするなら外でけんかしてくださいな」
「おっと、ケンナ君に言われたなら仕方ない。シュラ君、外に行こう。運動しようじゃないか」
「資料ばっか読んでて体がなまってたなんて言い訳通用しませんしさせませんからね」
「言い訳しないさ、少なくともそこまで外道に落ちてないよ」
そう言いながら二人は診察室から先を急ぐように出て行った。
「放っておいていいの?」
「プロレスみたいなものですわよー。じゃれ合いみたいなものですわ」
「なんか二人ともすごい勢いで廊下走ってたけど何かあった?あ、氷くれる?」
「あ、華音辺先輩ただいまですわ~。今日はどうでしたの?」
入ってきた華音辺に対してケンナは袋に氷をつめはじめる。
「いやーロニーさんに皆撃沈させられたよー。私も走馬灯が見えたし」
「コエ隊長は?」
「鼻と口の間あるじゃん?あそこ見事に打ち抜かれて『殺してやる・・・殺してやるぞ・・・オールマインド』って呻いてたよ」
「622隊長は?」
「真っ先にKOもらったよ。『ウォルターさん・・・私の、AC…』ってよくわかんないこと言いながら気絶したけど」
「後で私も参加しましょうか?」
「いや、ケンナちゃん周辺のパトロール行ってたんでしょ?参加しなくてもいいっていいって」
「そうでしょうか・・・」
「そういえばこの子たちは?」
「レイサちゃんのお知り合いみたいですわ」
「そうなんだ。あ、私華音辺。歩兵部隊参謀だよ。よろしくね」
そうスイーツ部に声をかけながら彼女は頭にできたたんこぶに氷袋を乗せる。
するとまた診察室のドアが開くと大きな声が室内中に響き渡る。
「こんにちわ!宇沢レイサです!!氷もらいに来ました!!」
噂をしていた宇沢レイサ本人登場である。
「レイサちゃんどうでした?」
「あ、ケンナさんパトロールお疲れ様です!
いやー、すごかったです!蹴られちゃったときになんか、もう、いろいろとヤバかったです!!」
「白目向いてたもんね」
すると彼女の視線がケンナの後ろにいる子たちに向いた。
「あっ、キャスパリーグ!!」
「うげっ」
「なぜここに?!ハッ、もしやここの調査を?!」
「違うわよ!」
「あれ??違うんですか???」
「どうした?お前たち」
すると今度はごついパイロットスーツを着た老男性が声をかけてくる。後ろには赤髪の女性と少しほんわりとした雰囲気をまとわせる少女もいた。
「あ、ウォルターさん!お帰りなさい!」
「あぁ」
「ツヅルちゃんもおつかれー。体調は?」
「今のところ以上ないよ。ただ、久しぶりだったからMTの面々や陸奥ちゃんには少し迷惑かけたかも」
「エアさんもお疲れ様ですわ。どうでした?」
「大丈夫でした。皆いい動きでした。私も負けていられませんね」
「俺もまだまだいけるな・・・」
「それで、そちらの方は?」
「あ、どうも。放課後スイーツ部です。宇沢レイサの知り合いです」
「そうか…よく来たな」
「紹介します!こちらが私のライバルのキャスパリーグです!」
「だからライバルでもないしその名前出すのやめてって!
ア、杏山カズサです。今はもう足洗ってます」
すると3人は度合いこそ違えど納得したような表情になった。
「あぁ、お前が・・・」
「レイサちゃんがあなたに勝ちたいってことで最近よくウチに来て訓練に参加してるよ」
「どんな人かと思いましたが、案外普通ですね」
そんなこんな話をしながらエアがツヅルの調子を軽くチェックするとケンナと華音辺を除いた面々はそれぞれの場所に戻っていった。
宇沢レイサはウォルターにぴょこぴょこついていった。
「思ってたよりアットホームですね」
「どういう風に思ってたの?」
「いや、血も涙もない鬼畜集団かと・・・シスターフッドとの訓練で恐ろしい戦い方してたから」
「心外ですわね」
「そりゃあ敵とか訓練だと容赦しないけどさぁ、味方には優しくするよ」
「そんなものなの?」
「君たちは違うの?」
「いや、確かに言われたら自分たちもそうだけど」
「でしょー?」
完