【ブルアカクロススレ】ルビコンからやってきたウォルター達が   作:AC組んでSS書いてる人

30 / 54
子供も、雛鳥も、いつかは大人の手を離れて巣立つものだろう?


雛鳥は産声を上げる

ベアトリーチェなきアリウス地区・・・そこにいる残党たちは今やただ理由も、目的もなく生きている者が多い。

しかし全体で見ればアリウスの何割かはニューハウンズに、何割かはルビ高に、そして何割かはトリニティに流れ着いている。

 

だが、アリウス生の中には誰にも迎合せずに水面下で活動を続けている存在がいた。

 

 

名を、「レイヴン一派」

 

 

彼女達の派閥はなぜ生まれたのか。

理由は、エデン条約編までさかのぼる。

 

 


 

 

 

 

その場にいたアリウス生たちが着々とエデン条約襲撃を準備している中、男の声が彼女らの耳をうつ。

 

「お前たちは何のために武器を振う?」

声の方に視線を向けると、そこには顔を完全に隠している男の姿があった。真レイヴンである。

 

「それは…今までの恨みを晴らすために」

「違うな。それはお前たちの本心じゃない」

遮られた。しかも、それは本心じゃないと否定までされた。

ベアトリーチェの洗脳に屈し、汚染された彼女らに殺気が見え始める。

 

「それはあの女に吹き込まれたモノだろう?否定だってできたはずだ」

「否定したら、私たちは殺される」

「ニューハウンズを知っているか?」

突然の質問。アリウス生は以前目を通した情報を脳内で探りながら答える。

 

「確か・・・数年前から勢力拡大してる傭兵部隊だっけ?」

「そうだ。よく知ってたな。その中の部隊にアリウス生が一人いることは知ってるか?」

全員に動揺走る。

まさか自分たちを置いて逃げたのだろうか。

恨みにも似たような感情が渦巻き始めた。

 

「名前は…?」

「悪いが、そこまでは知らない。知ってても、教えるつもりはない」

「何故」

「教えたらお前らそっちに行くだろうが。ハウンズに手も足も出せずにやられて死ぬまでがオチだ。

 何の傷跡も付けれずに、死にたくないだろう?」

アリウス生たちは押し黙る。やはり、死が最も近いこの場所の住人でもやはり死は怖いのだ。

 

「・・なぜ死を怖がる?」

「それは・・・怖いからとしか」

「アイツの教えによれば…『すべては虚しい』だったか。ならなぜ生きるんだ?」

「それは…なんでなんだろう」

「生きることに、お前たちは無意識にすがっている。だが、方向性がわからない。だから今こうなってる。

 少なくとも、俺にはそう見えた」

「・・・・っ」

アリウス生たちは知覚した。自己理解した。

わからないんだ、自分たちは。なぜ生きるのかも、なぜ死を選ばないのかも。すべてが虚しいなら生きることも虚しいはずだ。

じゃあ、なんで今生きてるんだ?

 

「・・・一つ教えてやる」

「・・・」

「武器を振うのに怒りも、恨みも必要ない。

 生きたいから振う。それだけでいい」

「・・・いきたいから、ふるう?」

「そうだ。

 好きなように生き、理不尽に死ぬ。それが人間だ」

「・・・」

「宇宙(そら)はいいぞぉ。コックピットに一人きり。だが、寂しくない」

「さびしくないの?」

「あぁ。通信は聞こえるし、仲間とも話せる。星はきれいだし、ACの稼働音は最高だ。

 勿論、死んだら独りぼっちだ。だが、心の底から望んで闘うんだ。怖くない。

 生きるために力を振い、そして死ぬ。それが、俺たち傭兵だ。

 お前たちは、どう武器を振いたい?」

「・・・たい」

「ん?」

 

「・・・生きたい…!ただ搾取されるだけの人生なんて嫌だ!」

 

それを皮切りに皆々言い始めた。

 

「もっとおいしいものを食べたい」「もっとオシャレを知りたい」「もっといろいろなものを見たい」「もっときれいな景色を見たい」

 

様々なことがその場に広がっていった。

 

「よく言った。それが聞きたかった。

 今、お前たちは自分たちのために生きる力を得た」

レイヴンは嬉しそうに声をかける。

 

「だから、お前たちにさらに前向きになれるよう、意味を与えてやる」

「意味を・・・?」

すると彼は少女たちに指さしてこう言った。

 

 

「俺が死んだら、指定の場所に行け。俺の稼いだコームが置いてある。どう使うかはお前たちにゆだねよう。

 

 お前たちの選択が、お前たちの可能性を広げることを祈る」

 

「わぁ・・・!」

少女たちの目に輝きが灯る。

そう言って彼はその場から消えた。

少女たちの目には光がこもっている。

 

 

今、彼女たちは燃えるほどの夢を得た。

今、彼女たちは理不尽なほどの金を得た。

今、彼女たちは皆が一致団結する背景を得た。

今、彼女たちは心底から外敵と闘う理由を得た。

 

 

今ここにレイヴン一派は誕生した。

ただ生きて、宇宙に旅立つことを夢見る少女たち。

そんな夢を、誰が否定することができようか。

 

 

「私たちは、自分たちの足で宇宙へ行きたい!」

 

 

 






「ねぇ、レイヴン」
「?」
「死んだら子供にコーム渡す約束したみたいじゃない?どういう風の吹き回し?」
「あぁ、アイツらに生きる力を教えただけだ。あいつらは、もう誰にも縛られずに、夢を追って飛び続ける」
「レイヴンの使命は?」
「あいつらには向かんだろう。それは他の奴が…俺がやるさ」
「・・・ここって臭い場所よねぇ」
「あぁ、そうだな。上から押し付けられても、やる気など出(で)はせんさ。
 自分たちでやりたいことを、心から望むことをやるのが、一番やる気が出る」
「ルビコニアンも、レッドガンも、ヴェスパーも、他企業も、ましてやハウンズもその通りよね」
「あぁ、本当に楽しくなってきたな」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。