【ブルアカクロススレ】ルビコンからやってきたウォルター達が   作:AC組んでSS書いてる人

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猟犬は声なく吠えた

総隊長ロニーの突然の行動不能化。

それによりハウンズの指揮系統が混乱し、どこから聞いたのか知らないがそれに乗じて敵勢力が雪崩込んできていた。何とか出撃した歩兵部隊とMT/AC部隊が抑え込んでいるものの、被害が広がりつつある。

 

そんな中、秘匿回線でエアとウォルターが通信を行っていた。

 

《ウォルター、どうしますか?!》

《・・・やむを得まい。エア、準備を》

《…わかりました。私がサポートします》

《俺も出よう》

 

 

 


 

 

 

前線が突破されてハウンズ基地の一部が壊されていく。

 

その時である。

突然ガレージがあるシャッターを弾丸が突き破り、1機のACを打ち抜いた。直後、ガレージの屋根を突き破りながら何かが飛び出してきた。

 

『なっ!』

『どこのどいつだ!』

 

屋根を突き破って出てきたACはほとんどがCC-2000で固められていた。だが、頭部が違う。頭部はバイザーで覆われていた。

はっきり言おう。真レイヴンがやられた後、ロニーがカーラに頼み込んで新しく生産してもらったあの頭部だ。

空中からソングバードが放たれ、爆風に巻き込まれたMTは次々と木っ端みじんになっていく。

 

「あ、あのACは?!」

《識別信号は味方です!識別は…ロニーさんのLOADER4です!》

「あれ?!LOADER4は頭部はエンブレムにもなってる奴じゃ…!」

《今の621にはニューハウンズの記憶がない。頭部があれだったのはあいつが俺たちを思っての拘りだった。近くにあったから付け替えたんだろうな》

そう言いながらウォルター、そしてエアもACで出撃した。

2機がLOADER4に並び立つ。隣の赤い機体からウォルターの声が聞こえる。

 

「621、仕事の時間だ。目の前にいる敵識別信号を全て殲滅しろ。俺たちも続く」

「私たちが、あなたをサポートします」

「・・・」

ウォルターと知らないがずっとそばにいてくれた女の人の言葉を聞き、621はミサイルとリニアライフル・パルスブレードで次々と壊していった。

その動きに遊びは一切ない。確実に破壊していっている。

 

「621さん・・・」

LOADER5に乗り込んでいる622がつぶやく。

幼児化の薬のせいで見るも無残な姿になってしまったあなた。

 

ですけど、あなたは前からずっと強かったんですね。

 

『ハンドラーの猟犬か!』

『白と赤もいるぞ!赤が飼い主で白が腰巾着だ!』

『忌々しいインベイダー共め…!ぶっ殺せ!!』

広域通信で声が響く。だが、621はそれに呼応するかのようにさらに動きが素早くなった。ウォルターとエアもそれに続く。

脚を打ち抜いて転ばせた後、コックピットを踏みつぶした。

ブレードを最大チャージしてそのままコアを貫いた。

バイザーに覆われた頭部は一切に私情を通さないように思えた。

 

まるで機械のようで・・・自分達ハウンズのことは気にしていないようで・・・

 

 

「敵識別信号の殲滅を確認しました」

「周辺に敵影無し。打ち止めか…621、仕事は終わりだ」

そして全ての敵機を殲滅した後、バイザーがガシャンと音を立てながら後ろに回され、下のカメラアイが姿を現す。

真レイヴンと同じ頭部。何も感じさせない冷血のような雰囲気を漂わせる。ただ戦うための機能だけを追求したような頭部だ。

ハウンズの面々は背筋がひんやりする。

もしも、ロニーさんが戻らなければどうなるんだろうかという不安が彼女らを包んだ。

 

カメラアイがゆっくりと622に向けられる。

 

「・・・っ」

そしてそのまま近づくと左手で軽く小突く。

まるで帰ろうと言わんばかりに。

 

「・・・あぁ、621さん、あなたは…その時からやさしいんですね」

 

 

 

 


 

 

~後日~

 

 

「はーーーーっ 完全復活だぁ!」

 

外で建物の修理音が響く中、ロニーの大声が治療室に響く。

ハウンズに強制出張させられたサヤが作り出した解毒薬を点滴で飲まされ、巻き上がる煙と共に621はロニーへと戻った。見えた様々な手術痕に医療部隊とサヤは痛々しそうに見つめる。

そして服を着替えていく彼にウォルターが声をかける。

 

「621、元に戻ってよかった」

「迷惑かけたなウォルター。

 何となく覚えてるぞ。ハウンズの奴等にも心配をかけてしまった」

「ロニー、元に戻ってよかったです」

「エア、すまなかったな」

「いえ、あなたが戻ってきてくれただけで嬉しいです」

すると彼はジャミ含めた医療ハウンズたちに顔を向けた。

 

「ジャミ、心配かけてすまなかった」

「そんな心配してないねぇ…」

「でも朧気だが覚えている。お前は俺のために怒ってくれただろう?

 ありがとう。俺をそこまで大事に思ってくれて」

「・・・な~んで覚えてるんだい。照れるじゃないか」

そして彼はサヤに顔を向ける。

対して彼女はあまりにも死にそうな顔をしていた。どんな罰でも受けますという顔をしていた。

 

「薬子サヤ、面倒をかけたな」

「ちが 違うのだ ぼく様が飲ませなければ・・・こんなことには」

「だれも予測はできなかった。二度とやらないだけでいい。

 今の俺は元通りだ。この件は胸にしまい込んで教訓にしろ。

  ・・・悪かった」

「違うっ 謝らなきゃいけないのはぼく様なのだ! ごめんなさいぃーー!!!

そしてサヤは大泣きし始めた。

それを周りにいた医療部隊の面々がなだめに入る。それを横目にウォルターとエアと621は出て行った。

 

 

「しっかし、幼児化の件は知っていたがこんなことになるとはな」

「・・・幼児化の薬は肉体を戻す効果であって記憶まで戻る効果はないはずなんですけどね」

「・・・おそらく、強化人間に使うと中の機器が戻ってエラーを起こしたのだろう。621にとって戻った肉体に一番整合性のある記憶がルビコン突入前ぐらいの記録だった。そうは考えれないか?」

「多分、な。だがこれに関しては闇に葬ろう。これ以上犠牲者を出すわけにもいくまい」

「V.Ⅰフロイトとかルビコン工業の人たちなら大丈夫そうですけどね」

「これ以上不明なリスクを彼女に背負わせない方がいい。今回は運が良かった」

「「そうだな/そうですね」」

そう言いながら3人は食堂に入っていく。

そこには622を初めとしたハウンズの面々が食事をとっていた。皆暗い顔をしている。

それを見てロニーはスゥッと息を吸うと大声を上げた。

 

「完全復活だ!戻ってきたぞお前ら!!」

 

皆が弾かれたように入り口に顔を向ける。

そこにはなじみのある姿があった。

そこには誰よりも頼りにしている3人の姿があった。

そこには自分たちを掬い上げ、育ててくれた大人の姿があった。

 

「621さぁん!!」

622が真っ先にスッ転びながら走って抱き着いてくる。

その目には大粒の涙がこぼれていながら、必死に抱き着いていた。もう二度と離れ離れになりたくないというように、これが夢じゃないと確信を持ちたいがゆえに。

 

「すまなかった、622。俺の浅はかさで迷惑をかけた」

「迷惑なんかじゃありません!戻ってきてくれた! それだけでっ それだけでもういいんです!」

次々と子犬たちが3人の元に集まってくる。重量過多で押しつぶされそうになるがぐっと腰を構えることで支えた。

 

タカハシとユウナが話し合う。

「ヨカッタデスネ」

「そうネー。ホントによかったヨー …グスッ」

「ワタシハナミダヲナガセマセン。デスガ、カンジョウハワカリマス。ガンバリマシタネ」

「うん…うんっ」

そうだ。ユウナは必死に持ちこたえた。ロニーが滅茶苦茶になって皆が混乱・憔悴していく中、必死に取り繕って胸張ってご飯を造り続けていたのだ。

タカハシも例外じゃない。彼も混乱こそすれど己の本分をしっかりと踏みしめ、わきまえていた。

他の給食部隊の面々も例外じゃない。きっと彼らの存在は、ロニーが機能停止したニューハウンズにとって、間違いなく生命線だったのだから。

ぽろぽろと泣き始めたユウナの頭をタカハシは軽くなでる。

 

 

 

 


 

同時刻

 

”・・・”

先生は書類に手を付けていた。だが、進みがいつもより遅い。

それもそのはずである。ウォルターは不問にしたが自分のせいでロニーは滅茶苦茶になってしまったのだから。

 

「・・・」

それを心配している生徒たちを遠目に眺めながらイトナは思案していた。

もしも戻らなければ・・・皆で山海経・錬丹術研究会に襲撃をかけることも視野に入れていた。

それでどうにかなるとは皆思っていない。

だが、落とし前はつけさせるつもりでいた。

 

そんな彼女の端末に連絡が入る。

こっそり見ると部下のアオカからだった。

すっと席を立ち、音もなくシャーレの部室を出ていくと、階段付近で電話に出る。

 

「もしもしアオカちゃん どうしたの?」

『あ、あの・・・グスッ』

「どうしたの?なんかあった?」

『ろ、ロニーさんが』

「ロニーさんがどうした」

思わず声が低くなる。自分は思った以上に彼のことが好きなんだと感じながら、続きを促す。

 

『ろ、ロニーさんが 帰ってきました』

「・・・というと」

元に戻りましたっ ヒック』

「・・・そうか。よかった・・・本当に良かった・・・!

思わず感情があふれる。壁に背を付けてそのままうずくまってしまう。

 

『あと 今回の件はロニーさんが不問にするそうです』

「・・・そうかい。ま、薬子ちゃんには悪いけど 今回はしっかりと受け止めてもらおうか。いい勉強になってるだろうし」

『だと思います・・・』

「もう居ても立っても居られないから今から帰るね」

『え、でも先生…というか他の生徒からの依頼でシャーレのお手伝いに来てるんじゃ』

「そんなことどうでもいい。今すぐロニーさんに会いたいんだよ。・・・がんばったね、お疲れ様」

そう言って彼女は通話を切った。

そしてそのままさっきより軽くなった足取りでシャーレの部室を勢いよく開ける。

大きい音を立てて開けられたそれは部屋内にいた人間を全員おどろかせるには十分だった。

 

「ちょっ もうちょっと静かに…!」

「ロニーさんが戻ったので帰りまーす!依頼放棄ってことで!!

 あ、あとロニーさんが今回の件は不問にするということで!!!」

そう言ってイトナはそのまま走って出て行った。

 

「なんだったんですかね・・・ 先生?」

生徒が見ると先生はうつむいていた。

先生は泣いていた。申し訳なさとなんでそんなに優しくするんだという気持ちとその他諸々がごちゃ混ぜになって泣いてしまったのだ。

 

 

その後、泣きはらした顔を晒しながら先生がニューハウンズに訪れて菓子折りその他諸々を届けに直接やってきた。

先生もまた、ロニーに抱き着いていた。

 

おわり





【機体紹介】

【挿絵表示】

機体名:LOADER4
搭乗者:C4-621
・ハウンズが襲撃された時に出撃した機体。
・頭部がシェイドアイとなっており、普段頭部を変えることはないロニーとの違いを出したかった。
・ちなみにこのアセンブリにした理由は手元に30MMでパーツアセンブリしたものがあったから。これ幸いと思った。
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