【ブルアカクロススレ】ルビコンからやってきたウォルター達が 作:AC組んでSS書いてる人
・前回の続き(要するにブルアカ本編開始の3年前)
キヴォトスがある星の大気圏に何かが突入してきていた。
四角いロケットのようなものだ。それはブースターをふかして速度を調整しつつもキヴォトスのある街…区域に正確に落ちてきていた。
カーマンラインを余裕で突破し、ロケットが空気との摩擦で赤色に光りはじめる。
だがまだだ。まだその時ではない。
外層はどんどんはがれていき、ブースターも徐々に溶け落ちていく。
『いまだ621、起動しろ』
そして上空3000M付近に達した時、中で声が響く。するとロケットの外装が大きな音を立てて展開し、中から人型の大型ロボットが姿を現した。
そのロボットはロケットから飛び降りるとブースターをふかして大空へ舞う。ロケットの方は爆散し、海の藻屑となった。
ブースターをふかしながら大型ロボット…AC、名をLOADER4は街区へ向かって飛んでいく。
そして適当な場所で着陸すると足から蒸気をふかして熱を逃がしながらあたりを見渡した。
『これは・・・』
『かなり普通の街区だな。雑に見ても人が住んでいるのがわかる』
通信でスネイルとミシガン総長の声が聞こえる。彼はカメラアイでじろじろ見つつ、上空に頭部を動かす。
そこには大型の飛行船があった。どうやらホログラムを使ってニュースを流しているらしい。
『621、あれが気になるか?』
『オイオイ飛行船だよ。かなり昔の産物だ。今は廃止されているとばかり思っていたが…』
『近づいて確認とかはできますか?』
そんな中、足元がにわかに騒がしくなった。何かと思い、下にカメラアイを向けるとそこには人がいた。だが何かおかしい。
『オイ!獣が二足歩行で歩いているぞ!』
『ロボットもいるじゃないか!背広も着てそれっぽいねぇ!』
『なんですかあれは…頭部に何か光る構造物が付いています!』
『621、もっと拡大できないか?』
通信の向こう側がにわかに騒がしくなる。どうやら皆未知の者に興味津々のようだ。もちろん彼も例外ではなく、
彼自身も強い興味の上でカメラアイを調整して拡大していく。
『どうすればここまでの独自進化を…?見たところ強化人間でもないようです…』
『フム、もしかしたら俺たちはいつの間にか天国に来てしまったのかもしれんな!』
『レッドガンの総長ともあろう人が縁起でもないこと言うんじゃないよ!だが、確かにそう思えても仕方ないさね』
『いいぞ621。その調子だ』
通信を聞き流しながら彼はじっと注視する。
すると彼の後方からサイレンのような音が聞こえてきた。
ゆったりと余裕を見せつけながら後方に視線を向けると白黒の車とバリケードを置いている頭部に輪っかのついた少女たちの姿があった。中にはこちらにカメラを向けている人間もちらほら見える。
『パトカーに制服…警察組織か』
『対AC用の武装は見えないな…G13、見えるか?』
「センサーも回してるが車やヘリ以外反応がない。大砲などはないと考えてもいいかもしれない」
『ヘリですか。武装は?』
「カメラは見えるが…以上だ。武装は見えないな。何が目的だ?」
見えるヘリは白色をベースに蒼い線が入っている。後ろのハッチから身を乗り出した人間がこちらにカメラを向けている。敵意を感じないそれに621はぼんやりと眺めている。
『何か記録でもしているのか?』
『おいビジター、飛行船見なよ。あんたが映ってるじゃないか』
カーラの言葉に飛行船に目を向ける。確かにLOADER4が映っている。見出しには『”突如大型ロボットがD.U地区に出現!”』と書かれている。
どうやらこの街区はD.U地区というらしい。
『なるほど。ニュースリポーターというわけか』
「俺と同じだな」
『違うと思いますが‥』
「ウォルター、俺はあのヒコウセンがどのような仕組みか気になる」
『そうか。じゃあ近くで見てみるといい。だが、慎重にな』
「了解」
彼はブースターをふかしてふわっと浮くと飛行船へ向かってゆっくりと飛んでいく。
「「「「ウワーッ?!!」」」」
飛行船内は軽いパニックになっていた。
考えてみて欲しい。いきなり出現した未知の大型人型ロボットに急に近づかれているのだ。
人は未知に怖れを抱く。それは例えキヴォトス人であろうと星外人であろうと共通であった。
違いがあるとすれば未知を未知のままで終わらすか未知を解明して己の糧にするかの違いぐらいだろう。
話を戻そう。LOADER4はブーストを調整して並走するように飛んだ。
飛行船が離れようとしたら近づき、逆に近づいてきたら離れたりと付かず離れずの距離感を絶妙に意識していた。
そんな中、ウォルターの声が彼の耳に入る。
『621、少し話をしよう』
「ん」
『飛行船は昔、人類が作った名の通り空飛ぶ船だ。
火で温めることにより空気が軽くなることを利用して作られた熱気球…その発展型と言える代物で、空気より軽いガスを上のバルーンに詰め込んで浮かすガス気球方式が採用されていた。
飛行機やヘリ、ドローンやACの登場により追いやられ、今は完全に過去の遺物と化していると思っていたが・・・まさかここでは未だ現役とはな』
「ほえ~」
そんな声色がなんとなくうきうきしている主人の説明を聞きながら彼は他のところに興味が映ったのか飛行船から離れていった。
次の彼の行き先は、科学と叡智の場所・ミレニアム自治区。
彼は適当な所に着地するとガシャンガシャンと音を立てながら探索していく。カメラアイにはビルの内側からこちらをのぞき込む住人たちが見えた。どれも生身の人間はいない。
するとどこからか声が聞こえてきた。きょろきょろと見まわしているとまた声が聞こえてくる。
「こっちよー!」
あ、自分に話しかけているのかと気づき、声のした方へと向く。
するとそこにはテナントなしのビルの屋上からメガホンを持ってこっちに手を振っている黒髪の少女とスカジャンを着た少女、車いすに乗っている少女がいた。
人数にして3人。全員目がキラキラしている。共通点は形は違えど頭部に浮遊する輪っかがついていることか。
「こっち向いたわ!」
「言葉は通じるんですかね」
「わかんねぇぞ~ただ反応してるだけかもしれねぇ」
『621、現地民だ。接触できるか』
「やってみる」
『G13、気を付けろ。遠足はここからが本番だ』
「了解です」
声援に返事を入れながら彼はザザザッ…と音を立てて外部スピーカーとつなげ始める。ついでにビルに手を置いた。フェンスが巻き込まれてひしゃげたが、些事である。
「・・・俺に何か用か?」
「喋った?!」
「まさか、AIとかですか?!」
「おいおい、どうなってんだ…?もしかしてあたしら今未知との遭遇してんのか~!?」
「じゃあ私たちがファーストコンタクトってことですかね?!」
「それなら今のうちにいっぱい質問するわよ!」
少女たちがにわかに反応する。頭部の浮遊物体さえなければ未知のものにワクワクしてる只の子供に見えただろうか。
『どうやら言葉は通じるようですね。これは僥倖です。そのまま接触を続けてください』
「ん。
・・・生憎俺は人間だ。中に乗っている。お前らの言うとおり、こうして会話してるのはこの星ではお前たちが最初だ」
「「「きゃ~~~!!!×2/うぉ〜〜〜!!!」」」
すると更に騒がしくなった。ロマンを追い求める人の目だ。
「操縦ってことは・・・コックピットがあるんですよね?!」
「ある」
「中は見れねぇのか?!」
「悪いが諸事情で見せることはできない。すまないな」
「そうか・・・いや、こっちも無茶言った」
「悪いな。それよりこっちからも訊きたいことがある」
「何かしら?」
「コレはこの星にはないのか?」
「いえ、見たことないわ。カイザーが開発・販売してるゴリアテとかあるけど・・・そんなに大きくて空も飛べる人型ロボなんてないわよ。これだけなの?」
「・・・これはうちと懇意にしてもらってる会社の奴だ。ずっと使ってる。だが、宇宙をまたにかける企業たちが複数のモデルを出している。知らないか?」
「知らないわ・・・」
「宇宙をまたにかける企業って・・・なんか壮大だな。ホントにあんのか?」
「ある。俺が今回ここに来たのはその企業達からの合意に基づく依頼で来た」
「本当ですか?!」
「あぁ。少なくとも、嘘は言ってない。おそらくあっちからこの星にはいれた暁には声明を出そうとコンタクトがあるはずだ、知らないが」
「「「ほえ~~・・・」」」
3人が目をキラキラさせながらうなずく。悪意や敵意を全く感じないそれは案外621にとっても心地がいいものだった。
「ACがないなら…MTもないのか?」
「えむてぃー・・・?」
「MTだ。正式名称はマッスルトレーサー。量産を前提にし、武装及び作業を行うための機体群の総称だ。そしてその発展型がこのACだ。聞き覚えは?」
「ないわ」
「成程」
彼はスピーカーを切り、回線を切り替えると後方に連絡した。
「ウォルター、如何やら技術レベルはかなり遅れているらしい」
『そのようだな…』
『俺にはどうもちぐはぐに見える。飛行船はわかる。ヘリもあった。ならばなぜ飛行機はない?』
『確かに…少し不自然ですね』
『飛行機の技術が発展しなかった可能性はないかい?うちらでいうライト兄弟がいなかったとか』
にわかに通信機の向こう側が騒がしくなる。彼はいったん切ると再び3人の少女と話すためにスピーカーを立ち上げた。
「どうしたのかしら?」
「気にするな、考え事だ。それより、お前たちの頭部に浮いているその光る構造物はなんだ?少なくとも、俺には未知のものだ」
「あん?これのことか?ヘイローの?」
「ヘイローというのか。人によって違うように見えるが…個人情報が筒抜けだな。誰が誰かわかりやすい」
「「「…?」」」
微妙な空気が双方の間に流れる。
先に口を開いたのは少女のほうだった。
「あ、あの、人によって違うのですか?」
「少なくとも俺にはそう見える、お前たちは違うのか?」
「「「・・・」」」
すると3人は互いの頭上を見やりながら各々思案顔になる。何か不味い質問でもしただろうかと思い口を開こうとしたその時、屋上のドアがバンッッッと勢いよく開かれた。
紫の髪をした少女が慌てて来たかのように出てきたのだ。
「ハァ・・・ハァ・・・」
かなり息を上げながらも目はきらきらと…いやこれは、ギラギラか?
「それはロボットなのかい?!」「どこまで飛べる?!」「解体とかは?!していいかい?!」「乗せて欲しい!!!!お金ならいくらでも払うから!!!」「いや、触らせてくれ!!!!!!!!」
突然矢継ぎ早に質問してきた。さっきまで話していた3人が抑えようとしたが中々止まる気配を見せない。
このままだと面倒なことになるなと、いや、めんどくさくなったと感じた621はスピーカーに声を通す。
「残念だが時間だ。他の場所にも調べたいことが山ほどある。今は楽しかった。また会える日を願う」
そして武器を持ちかえると頭上にぼふんっとジャミング弾を打ち上げた。
「うわっ」
「煙幕…?」
「あれ?!持ってきたドローンが不調に…!!」
「ジャミング弾かしら?」
少女たちがそんなこんな言っている間に彼はブースタに火をふかしてその場を後にした。
ブースタをふかして空を航行しながら彼はウォルター達と通信をとっていた。
「ウォルター」
『なんだ』
「あの頭部上にある構造物…ヘイローだったか。その認識に齟齬を感じた。
あいつらにはそう見えているのかわからないらしい。もしかしたら俺たちみたいに個々を識別できていないのかもしれん」
『あんなに目立つものが個々で別々に認識できていないのか…?』
『やはりこの土地に何かあるのかね?』
『そもそも空の上に浮かんでいる円状の構造体も気になります…あれは、実体を伴うものでしょうか?』
『だったら影ができるはずだ。だが、娘どももそうだが…影が映っていない。そこにあってそこにはない…哲学染みて来たな』
『ゼンモンドー…でしたか?聞いたことはあります』
そんな会話を聞きながらブースターをふかしているときらびやかな場所にたどり着いた。
彼は中庭と思われる場所に着陸するとドシンドシンと足音を立てながらキュルキュルとカメラアイを動かす。
こちらを見て驚愕しているヘイロー付きが多数。中には銃を向けている者も少なくない。たかが銃如きではACを傷つけることはできないが。
なんか黒い服を着た人間たちも集まってきている。
黒い奴等はLOADER4を囲むと一人がメガホンをもってこちらに呼び掛けてくる。
「そこの未解明の大型人型機械!あなたは包囲されています!
少しでも妙な動きをすれば戦車や迫撃砲の砲弾があなたを貫かんと発射されます!おとなしく調査を受けてください!」
そして近づいてくる。対して彼は片足を持ち上げてそのまま真下に踏み下ろした。
地響きと共に轟音がその場にひびき、地面にいた人間は体勢を崩してしまう。
その時、LOADER4のスピーカーからノイズを上げながら声が通る。
彼はスキャンで配置を把握しながら声を通す。
「見たところ戦車4・迫撃砲3.囲むようにはおかれてないように見えるが・・・いや、動かしている際中か?はったりもいいところだな」
黒セーラーの面々に冷や汗が走る。
実はさっきメガホンを通して発した言葉はブラフだった。どうにかして拘束するための方便だ。
「戦車は…なるほどな。迫撃砲もそこまでか。その程度じゃ俺に有効打は与えられんぞ」
そう言いながら彼はブースターをふかしてふわっと浮き上がる。
すかさず砲弾が飛んできたがぬるりと動いて避けるとその場を後にした。
大空を飛びながら彼は通信を通す。
「ウォルター、やはり俺たちは珍しいらしい。黒い服の連中は目に未知への恐怖が浮かんでいた」
『どうやらそのようだな…まさか物理的に拘束しようとしてくるとは』
『ですがスタン系の武装が見受けられませんでしたね』
『大型兵器への武具が足りんと見た。戦車や迫撃砲が関の山か?』
『ヘリがあるということは武装ヘリも視野に入れていいかもしれません』
『しっかし・・・興味が尽きないねぇ。なかなか笑えるじゃないか』
そんなことを話ながら彼らはカメラアイから通される映像を見ている。
すると機体のそばをボンッと何かが爆発した。
『621、周りを確認しろ!』
「もうしてる。 ・・・これは下からか?」
621はカメラアイをキュルキュルと回しながら周りを警戒する。
見つけた。
高射砲。それが複数台撃ってきている。生憎当たりもしないしあたったところで大したダメージにはならないが癪には触る。
「ウォルター、迎撃許可をくれ。破壊する」
『・・・やむを得まい。やれ、621。相手が悪かったと教えてやれ』
その言葉を聞くと彼は航行モードからシステムをどんどん立ち上げ、神経接続を強化していく。
そして耳に馴染んだCOM音声がコックピット内にひびいた。
彼はきりもみ回転しながら一気に高度を落としていく。
途中で回転を止め、機体を軽く制御するとそのまま低空飛行しながらハンドガンを向けた。
発射された弾丸が高射砲を打ち抜き、爆発させる。
そして足を地面にガガガッと滑らせ、木々と高射砲をなぎ倒しながら着陸する。そのまま残りの高射砲を踏みつぶすと人に目を向けた。
爆発した高射砲のそばにいた人間がよろよろと立ち上がる。頭部から血を流しているが、明らかに致命傷はない。
「おいウォルター。爆発に巻き込まれたはずの人間が5体満足だ」
『なんだと…?それは本当か?』
「接触する」
『気を付けろ』
「あぁ。暴力でねじ伏せてからの交渉は基本だよな」
彼はそう報告するとそこら辺にいた子供をつまむとプランッと持ち上げてスピーカーを繋げる。
「おい、そこのお前」
「喋った?!」
「俺のことはどうでもいい。お前らの話だ。
さっき爆発に巻き込まれたように見えたが五体満足だな?満足だろ?満足だな。まさか不死身か?」
「まさか…不死身なんて空想でしょ・・・私たちはこれくらい日常茶飯事なんだよ。でも、今日はなんかいつもより痛いけど・・・」
「何時からそんな頑丈に?」
「さぁ・・・少なくとも私が生まれた時からずっとこうだった・・・考えたことも無かったや」
「そうか。答えてくれて感謝する。おろすぞ」
そのまま彼はマニュピレーターをはなした。
「えっ」
そのまま地面に激突したがフラフラと歩いて行った。やはり彼の想定通り異様に頑丈らしい。
「・・・・・・・・・・・・・殺すには一苦労するだろうな」
『物騒だぞG13』
「はぁ???鏡見て行ってくれません??????」
『ガハハハハハ! よく言ったG13!!後でレッドガン式訓練をしこたま受けたいらしいな!!!』
「望むところ」
つづく
【余談】
警察服の人間
・おそらくヴァルキューレ。
・中にはSRTもいたかもしれないが話に関係ないので省略。
ミレニアムで接触した少女たち
・何となくみなわかるだろうから省略。
・この時点で全員中学生。
黒い服の奴等
・正義実現委員会。
・ハスミやツルギが入ってくる前。
高射砲の面々
・ゲヘナ生徒。それ以上でも以下でもない。