連邦生徒会長選出計画   作:電気未

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丑三つ刻、サイカイ

現在時刻は午前2時。私はシャーレで書類を片付けていた。

 

「お腹空いたな…。」

 

夜食が欲しい。強烈な空腹に耐えかねた私は、エンジェル24に行くことにした。

 

「ありがとうございましたー。」

 

エナドリと惣菜パン。これさえあればあと2日は乗り切れる。誰もいないがなんとなく帰宅のあいさつをする。

 

「ただいま。」

「おかえりなさい!先生!」

 

返ってくるはずのない言葉が聞こえる。疲れているのだろうか。

普段使っている回転椅子に、右目に包帯が巻かれ、左腕を三角巾で吊るした少女が座って笑っているのが見える。

 

「マツリじゃないか。何でここにいるの?」

 

彼女の名前は流上(ルカミ)マツリ。ゲヘナの反トリニティ過激派勢力及び万魔殿と同盟を組み、トリニティを襲撃しようとしたテロリストだ。しようとした、というのは未遂で終わったということだ。 

過激派勢力と万魔殿は、アビドス対策委員会と風紀委員会の活躍でトリニティを襲撃する前に鎮圧された。

そして──彼女は、元アビドス対策委員会委員長である。

 

「あのあと矯正局に送られたはずだよね。」

「護送車が事故っちゃったんですよ。不幸にも巡回中の戦車とぶつかってね。おかげでほら、こんなにボロボロ。」

 

ケラケラと笑いながら左腕を指す。マツリとはアビドスにいたときそこそこ話したが、大分性格が違う気がする。

 

「何しに来たの、こんな深夜に。」

「先生に頼みたいことがあるんですよ。」

「またアビドスのために誰かを傷つけようとするならお断りだよ。」

 

彼女は生粋のマキャベリストだ。アビドス復興のため、トリニティの領地や人員を奪おうとした。最も、その襲撃において一番重要な存在だったホシノがマツリを拒絶したため失敗したわけだが。

 

「そんなんじゃないですよ。もうアビドスに執着する意味はないですしね。私が頼みたいのはホシノちゃんのことです。」

「ホシノのこと?」

「ええ。私がいなくても大丈夫かもしれませんが、やはり心配ですから。ホシノちゃんをお願いします。たまに話すくらいでいいので。」

 

なるほど、合点がいった。マツリはホシノを自分に都合のいいようにコントロールしていたが、純粋な愛情もあったのだろう。

 

「いいよ、それなら。それより、マツリは出頭しないの?」

「するわけないでしょう。私には目的がありますから。

あ、それ関連でもう一つ頼んでいいですか?」

「…内容によるね。」

 

彼女の目的はアビドスの復興だったはずだが。もう執着する意味はないと言ったし、違う目的があるのだろうか。

 

「なんかこう、カリスマとか分かりやすく高い能力持った生徒がいたら教えてくださいよ。悪いようにはしないので。」

「教えたらどうするの?」

 

前科があるのでかなり不安だ。

 

連邦生徒会長()にします。」 

 

彼女は真顔でそう言った。

 

「王?」

 

ルビの振り方に突っ込むべきかと思ったが、一旦我慢しよう。

 

「ほら、今のキヴォトスって連邦生徒会長がいないせいで治安が悪化してるしいろんな問題が起きてるじゃないですか。私はそんな現状を変えたいんですよね。」

 

確かに連邦生徒会長の不在はキヴォトスに悪影響をもたらしている。しかし。しかしだ。

 

「今は失踪してるだけだ。そのうち帰ってくるかもしれないし、何よりそんな急に決めたって誰も納得しないよ。」

 

「そうやって引き延ばしていくうちに取り返しのつかないことになりますよ。何より、君主のいない国家は国家と呼べません。可及的速やかに次の連邦生徒会長を決めるべきです。」

 

彼女の主張も一理ある。リンちゃんも代理でよくやってくれているが、無理をしてるところがある。

 

「候補を考える必要はあるだろうね。でも、どうやってキヴォトスのみんなを納得させるつもり?」

 

連邦生徒会長は超人と呼ばれていたほど有能な人物だった。その後継となると相当高い能力が求められるだろう。

 

「そこら辺は後々考えますよ、今はとにかく候補を探してるので。心当たりがあったら連絡くださいね。」

 

そう言いながら、マツリは一枚の名刺を残してシャーレを去ってしまった。

 

「万魔殿庶務、流上マツリ…?」

 

私にはその肩書きが、かなり不吉なものに思えた。

 

 




未完結の作品の続編出すとか正気の沙汰でないことは分かってるんですが、この作品書くために前作を書いてるので許してください。 
マツリのプロフィール
年齢 17歳
身長 155cm
趣味 アナログゲーム全般、読書
容姿 抹茶色の短髪に濃い緑の瞳。
   万魔殿のコートを肩にかけている。
   
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