また期間が空いてしまい、申し訳ないです。
前回アンケート取ってよかった。普通に体育祭に木刀持ち込むところでした。危ない。
今後、こんな感じで色々聞くこともあると思うので意見いただけると嬉しいです。
今回も少し長めですが読んでいただけると嬉しいです。
「うぅ…ぁあ…」
ベットで眠っていた緑谷からうめき声が漏れる
「あ、緑谷起きた」
うめき声を上げる緑谷を見てベットのすぐ横に座っていた勇間が声を上げた
「い、勇間…くん??」
緑谷はそんな勇間を見て声を上げる
「緑谷…良かった、心配したんだぞ?」
「う、うん大丈夫みたい…」
そう返事した緑谷はハッと何かに気がついたように続ける
「試合、次じゃないの??」
そんな緑谷の言葉に勇間は答える
「お前らのとんでもないぶつかり合いで、ステージがぶっ壊れたんだよ。というかお前、明らかにやりすぎだ、自分の体も壊してステージも壊すって、何お前破壊神??創造の前に破壊ありとか言っちゃうの??」
珍しく少し怒ったような表情の勇間にタジタジになりながらも言葉を返す緑谷
「あ、あはは…ごめん…」
(なんかたまに変なこと言うんだよな勇間くんって..)
そんな緑谷を見て気が抜けたのか勇間は少しあきれたような顔をする。
しかし直ぐに真剣な顔に戻り口を開く
「…でもまぁ…ありがとうな…焦凍を助けてくれて」
急にお礼を言われた緑谷は少し照れながらも言う
「いやいや!助けたなんてそんな大袈裟な!僕はただ思ったことを率直にぶつけただけで…たまたまというか偶然というか」
急に照れる緑谷に思わず勇間は笑みを零しつつ
「やっぱりすげぇな…緑谷は」ボソッ
と小さく呟いた
「勇間くん…」
「だが無茶したのは全然褒められたことじゃねえからな」
「うッ…」
勇間の厳しい言葉に言葉を詰まらす緑谷
その時
「この子の言う通りだよ…ほんとうに危なかったんだからね、あと一歩で右手の骨が粉砕して、元に戻らなくなってたよ」
勇間に同調し緑谷に注意の言葉を掛けるリカバリーガール
「大丈夫かい!?緑谷少年」
心配そうに緑谷の名前を呼ぶオールマイトが歩いてきた
それを見た勇間はスッと立ち上がり、口を開く
「じゃあ俺は試合もあるし、この辺で…まぁとにかくお前が無事みたいでよかったよ、緑谷」
そう言って背中を向け、部屋から出ようとする勇間
「勇間くん、僕の分までがんばってね!!」
そんな勇間に声を掛ける緑谷
勇間は振り向かずに答える
「おう、まかせとけって」
そう言って軽く手をあげる勇間
そして勇間は診療所を後にする
そんな勇間をみて緑谷は若干の違和感を抱いた
(あれ??なんか勇間くん…)
緑谷は勇間に何度か守られたことがある。
そんな緑谷にとって彼の背中は頼もしくそして大きなものだった。
しかし…
今、去り行く勇間の背中は
緑谷にとっては、なぜか
ひどく小さく感じた…
・・・・・・・・・・・・・・
リカバリーガールの診療所を後にした俺は速足で控室へと向かう
ガチャ!
勢いよく控室の扉を開け、すこし周りを見渡し、
誰もいないのを確認する
そして俺はドサリと重力に身を任せ地面に大の字で倒れる
「はぁ…はぁ…はぁ」
飯田との闘いまで、少しでも休んでおかないと
結局、緑谷の回復はうまくいった、これまでの人生で一番集中したのではないだろうか??
MPも結構持ってかれたが、精神力も相当持ってかれた。
そして一気にMPを失った反動なのか滅茶苦茶しんどい
例えるなら、インフルエンザ2日目の夜中くらいしんどい
残りのMPでは大雑把に考えて、メラミやヒャダルコなどの中威力の呪文が打てても精々数発程度…
ここからトップになるまであと3戦…
え?大丈夫そ?これ?
だが…幸いなことにマイナスなことばかりではない
『人生一の集中力で治療に成功した』この経験が大きかった
俺もまさかとは思ったが…
回復させてレベルが上がるとは思わなかった
リカバリーガールびっくりしてたもんなぁ…
え?今?って顔してたよ絶対
恥ずかったなぁ…
でもそのおかげで一つ新しい呪文を覚えた、俺がずっと使ってみたかった憧れの呪文
この呪文さえあれば、俺は戦える…!
・・・・・・・・・・・・・・
『サンキュー!セメントス!!』
『さァ、長らくお待たせしました!!セメントスによるステージの修復も済んだところで次の試合行くぜェ!!』
『3回戦第2試合!!』
『サポートアイテムセールスマン飯田!…対…お昼寝王子勇間!』
「セールスマンではないが!??」
「だからお昼寝王子ってなんだよ!」
訳の分からない口上を述べられた二人が実況席に向け文句を言う
そんな2人を観戦席で見ているA組のクラスメイト達
「なぁ爆豪ーお前はこの試合どうみるよ?」
そんな中、切島が爆豪にそう尋ねる
「普通にピアスの勝ちだ、いくらクソメガネが速かろうが、所詮は近接戦闘型、遠距離できるピアスには分が悪ィ」
「おー確かにそうかもなぁ」
(((ピアス対メガネだ…)))
『それじゃあ行くぜ!レディー…』
飯田は考えていた
(近距離主体の俺は先の芦戸くんとの闘いのように初手であの規模の呪文を撃たれればなす術がない…)
(だが…あれほどの規模の魔法は撃つのに「ため」が少なからず必要であるはず…それなら…!)
『START!』
(撃たれる前に叩く!!)
「レシプロバースト!!」
目にもとまらぬ速さで走りだす飯田
(初手レシプロバースト…まあそう来るよな…)
しかしそれは予測済みだった勇間
(レシプロはもって十秒…一気に決める!)
飯田は凄まじい速度で蹴りを繰り出す…が
ブォン!!
それを予測していた勇間は紙一重でそれをかわし、飯田の脚は空を切る
(しまった!避けられた!!)
しかし飯田は諦めずに二発目の蹴りを繰り出す
その時、飯田は勇間の口が動いたのを見た
(呪文が来るッ!!)
飯田がそう思っても、レシプロバーストはまだ完璧に制御ができない、
急に止まれない飯田は為す術なくそのまま勇間に突っ込む
(くそっ!)
呪文の被弾を覚悟した飯田であったが、勇間から攻撃が飛んでくる気配は無かった
「ムッ!?」
(気のせいだったか…??しかしこれは好機!!)
そう考え当初の予定通り勇間目掛けて右脚を振るう飯田、
バキッ!
流石の勇間も2発目ということでその速さに反応できずに避けれない。
もろに左の脇腹に蹴りを喰らう。
『いいの入ったぁ!!!』
ヨロッ
速度が速度なだけにその蹴りは重く、勇間がよろめく
(この隙にッ!!)
飯田はよろめく勇間を一気に場外まで追い出そうと、勇間の服を掴む
「もらったぞ!勇間くん!!」
服を掴んだ飯田はそのまま勇間に背を向けて場外へと走りだそうとする
しかし、その時だった…
ズガァン!!
という巨大な音が飯田の背後から聞こえた
そしてその瞬間から引っ張っていた勇間がピクリとも動かなくなる
「うぉぉ!なぜだぁぁ!?」
飯田は再び脚に力を入れるが全く動く気配は無い
そして
プスンッ
という音を立てて飯田のエンジンがショートする
「いったいなぜ??」
そして飯田は恐る恐る背後を振り返る
そこには
「飯田、残念だったな」
と言い放つ勇間
さらに目線を下に向ければ
その勇間の片足がステージのコンクリートを突き破って地面に突き刺さっていた。
そんな人間離れの所業になんとも言えない空気が流れた
『えぇ…コンクリだぞそれ…えぇ…馬鹿力にもほどがあんだろ…』
ドン引きの実況
「……ザワザワ」
ドン引きの観客席
「……くそぅ!そのような手があったとは…!!盲点だった…!!流石勇間君と言ったところか…」
なぜかちゃんと悔しがる飯田
「俺の勝ちだ」
勝ち誇る勇間
そう彼が唱えた呪文は
『バイキルト』
攻撃力が2倍になる
これによって元々そこそこ強かった勇間のパワーが倍増
そして力の限り脚を地面に向け踏み抜くことでコンクリでさえ砕き、まるで釘を打ったかのように自分を地面に固定、飯田の攻撃を防いだ
ちなみに彼は初めてバイキルト使えた喜びから内心めちゃくちゃ嬉しがっているぞ!
ガラリという音を立てて足をコンクリから抜き出し、
エンストで動くことができない、飯田の前に立つ勇間
「おい飯田、降参するなら今の内だぞ!?」
「降参はしない…!やれるとこまでやるさ…」
そう言ってなんとか起き上がる飯田
「そういうやつだよな飯田は…でも手加減しねぇぞ!」
手加減する方が失礼だと考えた勇間がそう言うと
飯田目掛けて飛び上がる
「さっきの蹴りは痛かったぜ、お返しだ…!」
グルりと空中で一回転しその遠心力を蹴りに乗せる
ドゴォ!!
飯田は回避を試みるが、エンストで思うように動けず蹴りをモロに受ける
「ぐぁぁ!」
という声と共に場外まで吹っ飛ぶ飯田
「飯田くん場外!!勝者勇間くん!」
『勇間!容赦なし!!最後はアクロバティックに決めやがった!!芦戸戦とは打って変わっての近接戦闘での勝利だ!!隙ねぇなオイ!!』
ワァァァ!
という歓声の中
勇間は場外まで吹っ飛んだ飯田の元へ歩き、倒れている飯田に手を差し伸べる
「お前の蹴りなかなか効いたぞ、良い試合だった、ケガとかはしていないか??」
そう語りかける勇間
「大丈夫さ、完敗だ。流石は勇間くんと言ったところか…ムッ?」
そう悔しそうな顔で言いつつも差し出された手を取り立ち上がる飯田、しかしその時に何かに気が付いた
(手が…震えていた…??)
飯田が手を握ろうとした際、勇間の手は明らかに震えていた。
(緊張によるものか…??)
そう飯田は思うが、勇間は最初こそ緊張していたがすぐにそんなものは感じさせなくなり、ここまで破竹の勢いで上がってきた男だ。
そうとは思えない
(気のせいだったか…?)
飯田は勇間の顔を見る
「なんだ飯田、急に俺の顔見て、もしかして昼食べた蕎麦の海苔とか歯についてる??」
少し冗談交じりにそう返す勇間だったが
その額には汗が浮かんでおり、笑顔も若干ぎこちない
息を切らしている様子が無いにしては異常ともとれる汗の量、
心配した飯田は問う
「勇間くんこそ、体調は大丈夫なのかい??」
その問いに勇間が答える
「…いや、別に問題は無いけど」
(俺の杞憂だったか…??)
そう答えた勇間をみて飯田は考える
「とにかく飯田に怪我がないなら良かったよ、まあでも一応、後でリカバリーガールのとこ行っとけよ」
そんな飯田対してそう声を掛け背を向けて歩き出す勇間
(まぁ彼なら大丈夫だろう…)
飯田は勇間の背に向けて言う
「俺の分まで頑張ってくれよ!勇間くん!」
それを受けた勇間は軽く手を応える
(さっきも緑谷と同じようなやり取りしたな…)
そんなことを考えながらも勇間は二人の想いを背中に受けステージを後にした
・・・・・・・・・・・・・・
「ふぅ…」
飯田との戦いを終えた俺は控室へと戻り、机に突っ伏す
正直今の俺に他の試合を見ている余裕はない、少しでも楽な姿勢で休んでおかなくては体がもたない
飯田との戦い、何とか呪文一つで勝つことができた。
これで準決勝、決勝での戦闘がいくらか楽になることだろう、MP足りないのは変わらないが…
しかし、『バイキルト』か…
今思えば、本戦で初めて使うというのは少しリスキーだった。
どれくらい自分の力が上がるのかがよくわかっていなかったし、ピオリムを初めて使った時のようにうまくコントロールできないという事態に陥っても何も文句は言えなかっただろう
まあ結果オーライか…
バイキルト使っていなかったら、よりMPを喰うバギマやヒャダルコなどを使わなくてはいけなかっただろうし…
と俺が脳内反省会を行っていると
バンッ!
と勢いよく部屋の扉が開く
そして入ってきた人物と目が合った
「あれ?爆豪?」
「チッ、ここに居やがったか…」
そうつぶやく爆豪に俺は言う
「どうした爆豪、お前の試合まではまだもうちょっと時間あるぞ?」
そう聞くと爆豪は答える
「うっせェ、別にちょっと早く来ようが俺の勝手だろうが」
そう言って、俺の正面に着席する爆豪、そして再び俺に話しかけてくる
「ピアス、テメェさっきなんで攻撃の呪文を使わずに、クソメガネの土俵の近接戦闘で戦ってんだよ。挙句の果てにはモロに蹴り一発くらいやがって」
やはりコイツは戦闘のことについてはよく見ている、
確かにMPが十分にある状態ならば、俺は魔法ブッパのゴリ押しで楽に勝てていたかもしれない。
コイツにはそれが分かるのだろう。
しかし、今はそうではないのだ
「いやぁ、ちょっと新しい呪文覚えちゃってさ、はやく試したかったんだ」
半分本当だ、『バイキルト』なんか全ドラクエ民の夢だろう。
だがいつもの俺ならその行為のリスクの大きさを考えて使用しなかったり、決勝や準決勝に備えて隠しておいたりなどするだろう。
適当な返事をした俺を爆豪は睨みつけるような目でコチラを見ている
な、なんだよ、や、やんのか??
「いや、何か引っかかる、テメェらしくねェ…テメェならその新しいヤツは最後まで隠して、いざという時に使って意表を突いてくるハズだ」
なんでコイツ俺のことこんな知ってんの??怖いよ、俺のこと好きなの??
「テメェ…なんか隠してんだろ」
鋭いなぁ
「い、いやぁ…そ、そんなの無いけど…」
俺がしどろもどろになりながらもそう答える
そんな俺を見て爆豪はため息をつきながら言う
「はァ…まァテメェが言いたくないならかまわねェ…だが…」
爆豪の目はこちらを真っ直ぐにとらえている
「俺との決勝は全力で来い…!!そんだけだ」
まだお互い決勝が決まっているわけでもないのにこの言いよう、爆豪と俺が決勝まで上がるのは必然だと言っているようなものだ。
…まぁコイツはそういうヤツだよな
正直に言えば、今の状態では決勝で爆豪に勝つどころか、準決勝の焦凍に勝てるのかもわからない
万全の状態で戦うのはほぼ不可能と言ってもいいだろう
でも
俺は...
今の俺にできることを全力で…
俺は若干下方に向けていた視線を爆豪に合わせ、口を開く
「当然だろ、また俺が勝ってお前に飯奢らせてやるよ」
爆豪は俺のこの言葉を受けると少し口角を上げる
「わかりゃいいんだよ」
爆豪はそう言うと立ち上がり、部屋を後にしようとする
ガチャリ
と扉を開けて出ようとしたその時、再び爆豪は俺に声を掛ける
「あとテメェ、俺と戦うときは剣使え!剣持ってねぇテメェに勝っても意味ねェからな!」
剣か…
俺のこれまでの訓練や戦闘は剣ありきのものだった。
呪文を覚えては剣と組み合わせて使ってきたため俺の近接戦闘においてのメイン攻撃はほとんどが剣などの武器を持っていることを前提とした特技ばかりだ。
確かに呪文を使った攻撃や武道の心得が多少あるから戦えないこともないのだが…
剣があれば強力な特技が多く使えて戦闘の幅が格段に広がる。
でもなぁ…
「いやぁ…俺も使いたいのは山々なんだけど、申請が通らなかったんだ…」
普通に通りませんでしたね。ちょっと考えたら普通に無理だよね。ただの武器だもん
最初は木の棒2本くらいならいけるかなと思ったんだけど…まぁいつも持って戦うのが当たり前だったからっていうのもあるけど。
てっきり通ると思ってわざわざ京の都まで行って新しいの買ってきたのに…
悲しかったな…まぁでも武器を失う場合も今後ヒーロー活動していればあると思うし、甘えたことは言ってられないということで、俺はこの体育祭に挑んだのである
しかし、そんなことはお構いなしと言った様子の爆豪が言う
「んなもん関係ねェ…俺が許可する!クソメガネのヤツがイケるならこれもイケんだろ」
確かに…
「わかった、決勝が決まったらミッドナイトに言ってみよう」
俺がそう返す
その言葉を確認した爆豪は無言で部屋から去って言った
その背中に「俺と戦うまで負けんじゃねぇぞ」と言ってやろうかと思ったが
爆豪が負ける姿があまり想像できなかったのでやめた
剣か、まぁダメ元で聞いてみるかぁ…
正直、剣が使えるのは滅茶苦茶助かる
しかし、俺は買ってきたピカピカ木刀は自宅に置いたままだったことを思い出す
ルーラで取りに行くMPは残ってないしなぁ
アイツに頼むか、いつも散々俺のことこき使うからな
俺は携帯を取り出し電話を掛ける
「ああ、もしもし?…うん、…たこ焼きが美味い??……そんな事より頼みがあるんだけど…うん、この前買った木刀あるじゃん?あれ取りに行ってくんない??…ルーラ??ああ無理無理!……頼むよ……わかった今度また会社送るから!……そう、2本とも持ってきて。……えぇ?一本チャンバラごっこで遊んでたら折っちゃった??何してんの??……はぁ、もうこの際一本でもいいや……まぁお願い……うん、ありがとう…もう切るよ?……………え?何?……」
・・・・・・・・・・・・・・
『爆豪えげつない絨毯爆撃で準決勝進出!!轟、勇間、常闇、爆豪のベスト4がこれで出揃ったぁ!!』
プレゼントマイクの声が会場に響く
『さぁ準決勝!サクサク行くぜ!』
『お互いこれまでとんでもない好成績かつ規格外!正直どっちが勝つか見当もつかねー!!』
『轟焦凍 対 勇間勇!!』
そんなアナウンスと共に両者がステージ中央で向かい合う
(この試合はちゃんと見ておかないと…)
治療室からようやく戻ってきた緑谷が観戦席から見守る
「なぁ緑谷はこの試合どう見る??」
緑谷の近くに座っている尾白がそう緑谷に尋ねた
「そうだぜ!推薦入学と入試1位!事実上の頂上決戦じゃね!?」
それに便乗するように発言する上鳴
「そうだね…どっちが勝つのか正直分からないよ…でも個性だけ見れば勇間くんに分があると思う。轟くんの個性の半冷半熱ではどうしても勇間くんに対応されてしまう、轟くんが炎で攻撃をすれば風系の呪文で炎の軌道を変えることができるし、氷で攻撃すれば炎系の呪文で溶かされてしまう、そうなれば轟くんが勇間君に対する有効な攻撃手段がほとんどないってことになる、それに対して勇間くんは他の呪文が多くあって攻め放題。でも勇間くんにも弱点としてMP制限の問題がある、轟くんは炎と氷どっちも使えば実質無尽蔵だし、最大火力も轟くんの方が上回る、だから轟くんが勇間くんに勝つには…」ブツブツ
待ってましたと言わんばかりにブツブツとしゃべりだし、自分の世界へと入ってしまった緑谷を尻目に尾白は言う
「要するに、順当にやれば…「ピアスが勝つ…!」
尾白の発言を遮ったのは先ほど準決勝進出を決め、観戦席へと戻ってきた爆豪
「アイツを負かすのは俺だ…」
そう言って着席する爆豪
「それちょっと主観入ってね??」
それを見た上鳴は呟いた。
そんなときステージでは両者が入場しお互いの位置についていた
「勇、こうしていると初めて戦った時のことを思い出すな…」
向かい合う2人
あの日と同じ構図、違うのは周囲の大歓声だけだ。
「確かに、こうしてちゃんと真剣勝負すんのはあの時以来かもな」
しかし、2人の耳にはその大歓声は聞こえない。
聞こえるのはお互いの声だけ
「思えばあの日から、俺が…『轟焦凍』がヒーローを目指す日々が始まった。感謝してる…」
そんな轟の表情はどこか柔らかい
「…まぁ素直に受け取っとくよ」
そう返した勇間は静かに戦闘態勢をとる
それを見た轟も静かに構える
「あの日は負けちまったが…今度は勝つぞ…!勇!!」
「望むところだ…!焦凍!」
『STARTだぁ!!!』
プレゼントマイクのスタートの声と同時に勇間が口を開く
「バイキルト」
『バイキルト』で自らの攻撃力を倍増させる勇間
そして轟もスタートとほぼ同時に氷結を勇間に繰り出す
炎を解禁したといっても使い慣れていた氷結を轟は初手に選択した
というのも轟も爆豪と同じく先の飯田と勇間との戦いに違和感を感じていた。様子見もかねての氷結である
(…どう来る?勇)
ピキピキピキ…
迫りくる氷結に勇間は思い切り拳を振り被る
そして
「オラァ!!」
まるでどこかの海洋生物研究家を彷彿とさせるような掛け声で拳を振り脱いだ
ブォン!!という凄まじい風を切る音と共に
氷結と拳が衝突する
すると
バキィィン!!
という音と共に生成した氷がいとも簡単に砕かれる。
氷が砕けたことでキラキラとした粉塵が辺りに広がる。
それが開けるとその先にはパッパッと手を払う勇間の姿
「勇、お前いつからそんな脳筋に…?」
剣ならまだしも素手で氷を打ち砕いた勇間に轟は驚きの声を上げると共に違和感が膨らむ
(いつもの勇なら、メラ系やギラ系で氷を対処するハズだ…)
轟がそんなことを考えているのも束の間
「ピオリム」
勇間が轟に接近する
そして轟の右側、即ち氷の方から勇間が拳を放つ
「ちょっと新しい呪文覚えたんで…なっ!!」
轟は若干反応が遅れたが咄嗟に氷を生成しガードの態勢をとることができた
しかし、とっさに出した氷では硬度が足りない
バリン!!と氷が割れ、拳が轟に当たる
「ぐっ!」
氷のガードで威力が緩和されているとはいえ、若干よろめく轟
その隙を見逃さずに勇間はもう一発と拳を繰り出そうとする
しかし、
ボワッ!!
これまた咄嗟に轟は体から大きく炎を噴出した
(あぶねっ)
それを見た勇間はダッ!と一旦バックステップで距離を置いた
(いつものピオリム状態のすばやさならガードされる前に一発入れられていたと思うが…ピオリムの効果が少し弱くなってる?バイキルトとの重ね掛けが原因か…??)
ピオリムの効果が薄いと感じた勇間がそんなことを考えていると、
ボワァ!
と炎が轟から襲い掛かってくる
(これに一々バギ打ってたらMPがすぐ無くなっちまう!)
「くっ!!」
ギリギリではあるがそれを勇間は躱す
そしてそんな行動に対しても轟は考察をする
(やっぱり少し変だ、氷の対処にメラ系を使わないのは新しい呪文とやらで納得できるが、なんで炎はそうも必死に避ける?いつものようにバギ系やらでそらせばいいハズだが…勇が手加減するとも思えねぇ…なにか呪文を使えないわけでもあるのか?)
先ほど緑谷が話していたように轟の個性は勇間に対して相性が悪い。
それは轟もこれまでの戦いで理解していた。
轟が勇間に有位な点は勇間とは違い個性が無尽蔵なこと、それと最大火力がこちらの方が上だということ、それを生かした持久戦あるいは最大火力での決着。
それだけが己の勝ち筋だと考えていた轟にとっては呪文を多用してこない勇間に対してのアプローチの幅が大きく増える
(なんの訳があるのか知らねえが…そこ突かねぇわけにはいかねぇぞ)
「なりたいもんがちょっと見えてきたんだ…負けるわけにはいかねぇ」
そう言って轟は炎を勇間に向けて放出する
しかし、勇間もピオリムの掛かりが悪いとはいえ素早い。
ステージ内を縦横無尽に駆け回り紙一重で襲い掛かる炎を躱していく
勇間はそんな中反撃の隙を伺うが轟は常に体を冷やしつつ絶え間なく炎を放出し続ける。
そんな轟の炎を躱すのに精一杯で接近する手段がない
『おっーと!これまでの快進撃はどうした勇間!?轟相手に防戦一方だァ!!』
(このままじゃジリ貧…なんかねえか??)
炎を躱しながら、この状況を打破する方法を模索する勇間であったが
その時
ピキィ!!
という音と共に勇間の脚が止まる
「なっ!?」
勇間が足元を見ると轟から伸びる細い氷に脚が凍らされてしまっていた
「やっとかかったな…!」
(チッ!炎ばっかり集中してたから気が付かなかった!)
突然足元を凍らされて動揺する勇間
その隙を見逃す轟ではない
「今だ…!!」
そう言って炎を放出する左腕に轟は力を籠める
ボォォォォ!!
そして先ほどまでとは規模の違う、最大火力にも近いであろう獄炎を轟は放つ
迫りくる炎
(クソッ!炎デカいし、氷を砕いてからじゃ避けきれない…!!出し惜しみはしてられない、こんなのまともに喰らったら一発KOだ…!)
勇間は両手を前に突き出し唱える
(間に合うか…!?)
「バギマァ!!」
ビュオォォォ!!
唱えると同時に勇間の手元から凄まじい音を立てて、風が発生する
そして、迫りくる炎を分散させる
しかし、若干反応が遅れた勇間は轟のほぼ最大火力の炎を完全に防ぐことはできない
バギマによって発生した砂埃が消えると、勇間が姿を現す
若干の炎を受けてしまった勇間は服などが所々燃えている、多少の火傷も見られそうだが、持ち前のみのまもりで耐えることはできたようだ。
しかし…
「はぁはぁ…アッツ…」
走り回り、残り少ないMPで呪文も放ち、更に少し燃える
これまでなんとか取り繕っていた勇間だったが、綻びが生まれる
しかし、その僅かな綻びでも今の勇間の状態を崩すのには十分だった。
「…使えはすんのか」
ボソリと轟が呟く
バキッ!
勇間は自身を拘束していた氷を砕く、
(もう攻めて一気に決めるしかない!)
(バイキルトとピオリムはもう切れてるな…ということは…!)
「ピオリム!」
勇間は疲れ切った体に鞭を撃ち轟の元へと駆けだす
そんな勇間に対して轟が炎で迎え撃とうとするが
それを勇間は器用に避け続ける
(やっぱりさっきよりは速くなってる…だとすれば呪文の重ね掛けは効果薄れるみたいだな…)
そして轟に接近する
「なっ!」
咄嗟に轟が右手を勇間に伸ばすが少し遅い
(吹っ飛べ!!)
「ヒャダルコ!!」
と口頭では唱えつつバギマを放つ、
初めて轟と戦った時も使った騙し討ち。
突風が吹き荒れ、再び砂埃が舞い上がる
(今の至近距離での不意打ち!まともに喰らったら場外まで吹っ飛ぶだろ!)
そんな勇間の期待もむなしく砂埃が晴れたその先には
場外寸前で氷の壁を作り、自身の体をステージにとどめ切った轟がいた。
しかしその身体には無数の風の刃による切り傷が見受けられた
「はぁ…懐かしい事やってくるじゃねぇか…勇…」
(やはり、防がれるか…)
「前、これ見てなかったら反応できなかった…だが俺に同じ技は通じねぇぞ…勇!!」
そういった轟が氷結を勇間に繰り出す
(まぁそうだよな…でもあの時よりは呪文の威力はかなり上がっているはずなんだが…)
そんなことを考えている間にも氷結は勇間に迫る
バイキルトが解けている勇間には氷結の対処法は一つしかない
「ベギラマ!」
勇間から発生する炎の柱に迫りくる氷結は溶ける
MPが残り少ない…
しかし轟はそんな勇間にはおかまいなく、
氷結の攻撃をやめずにもう一度繰り出す
勇間の行動は一つしかない
「ベ、べギラマ!」
連続で出したベギラマの威力は残MPも相まって先ほどの威力よりも下がる
それにより氷結は完全には溶けない。
溶け切らなかった氷が勇間に襲い掛かる
ピキィ!!
その氷は勇間の膝元を凍らせる。
「ぐぅぅ!」
凍り付いた脚に思わず勇間が声を上げる
凍り付いたのは膝元だけであったが今の勇間の動きを止めるのには充分であった
ザッ…ザッ…
そんな動きの取れない勇間に轟がゆっくりと接近する
(やっぱり、今日の…というか飯田戦から勇の様子がおかしい…呪文の使用頻度が少なすぎるし、威力も落ちてる、MP残量は昼寝してたハズだからまだ十分なはずだ。)
勇間の様子を見ながらそんなことを考える轟
勇間はなんとか氷を溶かそうと呪文を唱える
「メラミ…」
そう唱えた勇間の氷は溶ける。
しかし今のメラミで残りMPはもうほぼ残っていない
「はぁはぁはぁ」
体力的にみても勇間の様子はもうすでに満身創痍
そんな勇間を見て、轟は考える。
(この疲れ方…やっぱりMP切れかけてんな…でもこれまで勇と訓練してきた俺ならわかる、昼から使ってきた呪文だけでここまで消耗するハズがない…)
「勇、お前なんでそこまでMP消費してんだ…?そんな場面なかっただろ?」
轟は勇間に疑問を投げかける
「……言いたくねぇ」
勇間のその返答といつもより険しいがどこか優しさを感じ取れるその表情
それを見て轟は感じる
(勇のこの顔、誰かを助ける時の顔だ…俺の時もそうだった…)
轟が思い出したのは勇間が自分のためにエンデヴァーに怒ってくれた。
あの時の勇間の表情。
(また…お前は誰かを救ってんだな)
「勇が言いたくないなら、聞かない…でも容赦もしねぇ」
そう言った轟は一歩踏み出し、自身の熱を高めていく
「これで終わらしてやる…」
ドンドンと轟の周囲の気温が上がる
(もっと、もっと熱く、限界を超えろ…己を燃やせ…)
勇間の限界を悟った轟、
しかし彼は見せたかった。
人を助け続ける目の前の親友に…
勇間と緑谷に救ってもらった、今の『轟焦凍』の力の限界を
それに轟はどこかで信じていた。これを見せれば勇間なら限界を乗り越えて全力で戦えるのではないかと。
(勇、お前がいたから俺の炎はここまで成長した…緑谷、お前がいたからこの力をここで出し切れる…)
轟は限界まで高まったその熱をその左腕に凝縮させる
これまでに無いほど高温でギラギラと滾る炎
そして、目の前の男に対して呟く
「勇、お前がいたから…お前がこんな俺の隣に居てくれて、色んなもんから助けてくれたから…今俺はここに立ってる」
「焦凍…お前…」
勇間の瞳に映る炎は煌々と美しく燃え盛る
「お前と会った日から一緒に今日まで歩いてきた。訓練して、遊んで、バカなことやって、喧嘩もして、笑い合った。その全部が紡いできたのがこれだ…」
「なぁ勇、見てくれ、これは俺だけの力…じゃない」
轟はその炎を勇間に突き出し見せる
「これは…俺の…俺たちの力だ…!!」
その炎は勇間が…***がこれまで見てきたどの炎よりも美しく輝いていた…
・・・・・・・・・・・・・・
すげぇ…
すげぇけど…
いやアツいアツい
こんなに温度上がるのコイツ??
初めて見たんですけど??
息を吸えば喉が焼けそうだ…
ちょっとー?焦凍くんー??コレ俺じゃなかったら普通に耐えれなさそうですけど?
目の前では焦凍が限界まで高めたその炎が左腕に凝縮され煌めいている
まぁでも「俺たちの力」か…
嬉しいことを言ってくれるな
正直、さっきの緑谷と焦凍の戦いを見て思ってしまっていたのだ
俺は焦凍にとって必要な存在になれていたのだろうか?と
俺なんかいなくても焦凍は緑谷に救われて、自分の道を進むことができたんじゃないか?
でも焦凍はちゃんと言ってくれた。
俺は少なからず焦凍の救いになれていたんだ…
今はその事実が何より嬉しい
目の前の炎はエンデヴァーの放つ炎のように禍々しさは感じられない、キラキラと輝く綺麗な炎だ
せっかく焦凍が見せてくれたんだ
俺もそれに応えたい
だが…
いまいち力が入らない体に鞭を撃ち、俺は構える
「望む所だ、焦凍」
俺は魔力を右腕に集中させる
「デイン」
俺が唱えると
ビリリッ!
右腕から雷が発生し、焦凍と同じように右腕に纏う
しかし、今の俺の残MPでは焦凍の最大火力には到底かないそうにない
MP不足からか若干目線がふらつく
(これじゃあ…)
これ以上威力を高めてしまえば俺は恐らく倒れてしまうだろう…
…焦凍がここまで見せてくれたんだ
俺は…満足だ…
(もういいだろう、ここで負けてしまっても)
それにもしここで勝てたとしても
とてもじゃないが決勝戦は戦えそうにない
身体中が痛い、鼓動も激しい、瞼が重い
もう十分頑張った…焦凍も緑谷も救えた…
もう…
『
俺は雷を纏った右腕を下ろす、
するとその雷も次第に消える
自分よりも遥かに大きく熱い炎を纏った焦凍がゆっくりとこちらに迫る
(負け…か)
負けを確信した俺はギュッと目を瞑ろうとする
しかし、その時だった
「勇!!頑張れー!!」
焦凍のその奥、大歓声の観客席から聞き馴染みのある自分の名を呼ぶ声が聞こえた
一瞬、目線がそちらに奪われる
(あ…)
そこには俺が注文した木刀を振り回し声援を送る父親の姿、その隣で一緒になってこちらに声援を送っている母親の姿、木刀を振り回す夫と知り合いと思われたくないのか若干距離が感じられるのはまぁ気のせいだろう
一瞬、本当に一瞬その2人の姿が目に入った。
しかし、その一瞬は戦いに夢中だった俺に先ほどした父との通話を思い出させるのには十分だった。
・・・・・・・・・・・・・・
「もう切るよ??」
「まぁ待てよ勇、ちょっと聞きたいことがあってな」
「え?何?」
「今日のお前、ちょっと無理してないか?」
「っ!…別にそんなことないけど…」
「隠さなくても良いぞ、何年お前を見てきたと思ってる??全部わかる。まぁ勇のことだ…また誰かのために無茶でもしたんだろ??」
「…別に無茶したつもりはない、俺は当たり前のことをしただけだ」
「まぁお前ならそう言うよな、父さんから見たら今にもぶっ倒れそうでヒヤヒヤするんだけどな」
「じゃあ…無茶したらダメなのか?」
「…勇そんなこといつ俺が言った?その逆だ。無茶するんだ」
「え?」
「無理しろ、全力を尽くせ、最後までやり切れ、それが正しいとお前が思うなら俺は…いや俺たち夫婦は止めない、応援する。じゃないと後悔するだろ??お前はそういう奴だ」
「…」
「でも一個だけ約束してくれ、中途半端はダメだ。それが自分の選んだ道なら最後まで突き通せ。それを曲げたり、途中で辞めたりは絶対するな」
「父さん…」
「要するに…まぁこれは昔からお前にずっと言っていることだが…」
「『
・・・・・・・・・・・・・・
…なんで忘れてしまっていたんだろう
『諦めてしまおう』??
なんでバカなことを考えてたんだ俺は…
確かに残りのMPは残り少ない、目の前の焦凍には威力ではどうやっても勝てない。
だからなんだ??だから諦めるのか??
なにが『なりたいもんちゃんと見えてるか?』だ
俺が見えてなくてどうするんだ…
俺は再び焦凍に向けて掌を伸ばす
俺がなりたいものは『勇者』
(勇者ってのは…)
『でもね○○ちゃん、ぼくが本当になりたいのはさ……』
「最後まで決して諦めない者のことだ!!」
俺がそう叫ぶ
その時俺の言葉に呼応するように誰か他の人の声が重なって聞こえたような気がした。
その声はどこか聞き覚えのある懐かしい声だった。
『…でね最後まで絶対諦めないんだ…それに…』
その前後は聞こえなかった。
しかしその声は俺の精神の奥深くまで響き続ける
そしてその瞬間だった
「ッ!!」
突然のことだった、
ほとんど空っぽだった俺の体にわずかに魔力が流れ出す
しかしこの魔力はいつものモノとは明らかに違う。
なぜ急に湧き出したのかはわからない、でもこれだけは言える
俺の…『勇間勇』の魔力ではない。
どう表現すればよいだろうか…いつもと違う場所から魔力を持ってきているような、そんな感じだ
でも他人の魔力とは思えないほど、俺の体に馴染む
なんならいつもよりも…
(今なら…使えるかもしれない…!!)
「いくぞ!焦凍!」
そんな俺の声に
「こい…!勇!」
まるでそれを待っていたかのように、少し嬉しそうな表情で応える焦凍
俺は手を空に掲げる
「…ギガ、デイン!!」
掲げた手に雷鳴が鳴り響く
そしてそれは俺の右腕に落ちる
その稲妻はいつもの『ライデイン』とは違い赤味を帯びている、そしてその眩い光はライデインを優に超える輝きを放っている
その赤黒い光を右腕に纏い、ゆっくりと体の正面で左腕とクロスさせる
すると左腕にもその光が帯電する
準備は整った…
コチラに右腕を振りかぶる焦凍を見据える
そして叫ぶ
「ギガ…ブレイク!!」
クロスしていた両腕を前方に向け勢いよく解く
すると纏っていた稲妻がクロス状に焦凍目掛けて放たれる
それに対して焦凍は極限まで高めた灼熱を放出しそれに対抗する
稲妻と灼熱が衝突する…
Booooooom!!!!
緑谷戦以上の爆発音が会場に響き渡る。
凄まじい威力の炎と雷のぶつかり合い、爆風に砂埃が舞う
そして
その砂埃が晴れ始める
『……って!なんだ今のは!?てか試合どうなった!?』
長らく沈黙していたプレゼントマイクの実況が再開される
徐々にステージが見え始める
そこには一つの影があった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
そして、場外にも1人
「…」
ミッドナイトがその姿を確認する
「轟くん場外!勝者勇間くん!!」
『なんとなんと!!終始押され気味だった勇間!!最後の最後で逆転勝利ィィ!!!』
プレゼントマイクの声が会場に響き渡るとそれまで沈黙していた観客が沸く
ワァァァァァ!!
その歓声の中、勇間が1人ステージに立っている
(…勝った…のか…??)
勇間はあたりを見回すと、場外に落ちた轟を発見する
轟は倒れたまま動く気配がない、
「…っ!焦凍!…がっ!」
勇間は轟に駆け寄ろうとするが脚が思うように動かず、うずくまる
「大丈夫よ、轟くんは気絶してるだけよ」
そんな勇間にミッドナイトが声をかける
「はぁ…はぁ…良かった…」
安堵する勇間、すると
ワァァァァァ!!
やっと、自分を称える大歓声が耳に入る
(勝った…!勝ったんだな…!)
じわじわと勝利を実感する勇間
(でも、結局なんだったんだあの魔力は…?今は全然感じなくなってる…)
(でも…それより今は…)
ヨロヨロと立ち上がり、ふらつく脚で歩き出す
お礼を言わねばならない人物がいる。
いつもはどうしようもないが、俺が迷った時にいつも道を示してくれる。
忘れかけていた、俺のオリジンの一部を思い出させてくれた。
観客席の父の真下まで歩く
「勇ー!!すごかったぞー!!流石俺の息子だ!」
観客席から身を乗り出し俺にそう言う父
木刀を振り回すのは恥ずかしいから辞めて欲しいんだけど(嬉しい)
ホラ、隣の母さんも恥ずかしそうだ
でも、今は言うことがある
「父さん、ありがtゴスッ!
俺がお礼を言うべく上を向いたその瞬間だった。
なんらかの物体が俺の顔面目掛けて落下したのが見えた、普段の俺ならなんとか反応し、受け止められたハズだ。
しかし、今の俺は満身創痍、反応できずにまともに顔面にそれが当たる
カランカラン
その音で落ちてきたものが木刀だということが分かった
それと同時に体から力が抜ける。
そりゃそうだ今にも倒れそうだったところに顔面に木刀当たったんだ、倒れるに決まってる。
そして、木刀持ってた奴は1人しかいない
薄れゆく意識の中、観客席を確認すべく目を向ける
そこには間抜け面で大口を開き、いかにも「やっちゃった…」という顔をした父の姿、その横に見える般若と化した母の姿
はしゃぎすぎて落としちゃったのね…
うん、あれだあんなクソ野郎にちょっとでも恩を感じた俺がバカだった…
だが、俺が怒るまでもなく、般若に生き地獄を味わらせられるだろう父に若干可哀想という気持ちも湧いてきた。
(まぁ…父さん…ドンマイ…)
俺の意識はだんだんと遠のく、
と、いうか俺ここで意識失うの恥ずかしくない??せっかく勝ったのにその後観客席からの木刀顔面に受けて気絶とかダサすぎない??
いやいや、嫌なんですけど!?
しかし、そんな俺の悲痛な心の叫びもむなしく
瞼は重く、抗うことができない
「クソ…っ…たれ…が…」ガクッ
俺は…意識を失った。
『勇間勇 1年体育祭 準優勝(決勝不戦敗)』
次回『爆豪ブチギレ』ぜってぇ見てくれよな!
・・・・・・・・・・・・・・
今回も読んでいただきありがとうございます。
以下後書き少し長いので飛ばしていただいても大丈夫です。
勇者とは最後まで決して諦めない者のこと。これはドラクエ11から引用しました。良いセリフですよね。他の作品でも勇者の定義は様々なところでつけられていて、今作品でもこれだけが主人公のなりたい自分というわけでは無いです。
ピオリムとバイキルト重ね掛けで効果が弱くなるのは完全にオリジナル設定です。これがないと初手ピオリムバイキが当たり前になってちょっと単調かなと思ったからです。場面によって使い分けていかせたいなということでこのような設定にしました。苦手な方いたら教えてください。
今回初めて使ったギガブレイクですが、剣なしですので、ドラクエ8のギガブレイクをイメージして書きました。おそらく自分の小説の描写だけではイメージができない方が多いと思うので、良かったら検索して見てみてください。
前回はご意見多くいただきありがとうございました。
緑谷の怪我、後日治せば?という意見に確かにと納得してしまいましたが、早く対処しないと治せないほど悪化するような怪我だったと思ってもらえると嬉しいです。どうかよろしくお願いします。
また感想、ご意見お待ちしています。来たら自分が泣いて喜びます。誤字脱字の指摘も大変助かりますのでよろしくお願いいたします。