最近、小説が長くなってしまう症候群だったのですが、アンケート的に皆さん長いのが好きそうで存分に長く書けるなと安心しました。
でも今回の話書いてたら気付いたら2万字になってたので、流石に長すぎると思って半分に割りました。
だからいつもよりちょい短めです。でも夕方にもう1話上がります
16.ピオリム
『ホークス』
22歳、現在No.3ヒーロー
18歳で事務所を立ち上げ、その年の下半期に既にトップ10入りを果たしている。曰く十代でのトップ10入りは史上初、即ち最速最年少の男。
人は彼を『速すぎる男』と呼ぶ……らしい。(俺調べ)
俺が職場体験先に選んだのはそんなヒーローだ。
『トベルーラ』を使いこなしたい俺にとって、空を自在に飛ぶヒーローの中で一番の実力者であろう彼の元へ行けば、良い経験になると思ったんだが…
「遅いですって」
電柱の上で一人の翼を携えた男がそう言った。
「完庭那のバーで客が暴れているらしいから次そこで!事後処理よろしくお願いしまーす」
そう言って次の現場へと飛び去るその男こそがNo3『ホークス』
で取り残される、俺と常闇、あとサイドキックの人
(は、速すぎんだろ…)
そんな俺の表情を読み取ったのかサイドキックの方が声を掛けてくれた
「
コテコテの方言でそう伝えられた俺と常闇。確かに俺たちのスピードに合わせて、被害拡大しては元も子もない。
それはわかるのだが…
・
・
・
その日、俺たちはひたすらにホークスさんを追いかけ事件事故の後処理をしてばかりだった。
最初こそ、ピオリムを使って追いかけはしたが如何せん空を自在に飛ぶホークスに走って追いつくのは無理があった。
でもただただ事後処理をやらせるだけならなんで俺たちを職場体験に呼んだのだろうか。
「じゃあ今日はお疲れ様」
事務所に戻った俺と常闇にそう言うホークス
その時、俺と同じことを常闇も思っていたのか、常闇が口を開いた。
「俺たちはなぜ声を掛けられたんでしょうか?」
それ俺も聞きたかったヤツ!
俺も隣でうんうんとうなずく
すると、ホークスは常闇の方を指さし口を開いた。
「鳥仲間」
次に俺を指さして言う
「エンデヴァーさんの息子に勝った奴」
それだけ??
特に常闇の理由はふざけているとしか思えない。
「お巫山戯で…??」
常闇が俺が思っていたことをそのまま聞く。
常闇の隣でそうだそうだと顔で訴える俺。
いや俺さっきから全く喋ってないな…
「いーや2割本音、半分は一年A組の人から話を聞きたくて、君らを襲った敵連合とかいうチンピラのね」
…なるほどね、別に俺たちに期待していたり、育成するために呼んだのではサラサラないということか。
「んでどうせなら、俺についてこれそうな優秀な人ってことで、上位からよさげな鳥人と話題性のある君を」
そう言ったホークス、何というか包み隠さずこういうことを言ってくるタイプか…
その後はUSJで起こったことの事情聴取が始まった。色々と話をしていくうちにある感情が沸々と湧き上がる。
隣の常闇の様子をうかがってみると、どうやら抱いている感情は同じのようだ。
そして事情聴取が終わり解散となったのだが、帰ろうとする俺にホークスが声を掛けてきた。
「あ、勇間くん」
呼び止められた俺は答える
「なんでしょうか?」
するとソファーに座っているホークスは少しニヤつきながら口を開く。
「君、なんか思ってたよりずーっと遅いね、ほんとにそれでエンデヴァーさんの息子に勝てたの??」
カッチ―ンですわ。
ピキッと自分でも額に怒りマークが出ているのが分かる。多分爆豪みたいな顔になってるわコレ。
しかし、ホークスはそんな俺の様子を見てもニヤニヤと表情を変えない
何この人?ほんとにNo3?確かに実力はすごかったけど、なんかエンデヴァーさんとは別ベクトルで嫌な人だな。
…絶対見返す
「期待外れだったようで申し訳ないです。では今日はもう疲れたので失礼します」
そう俺は言い。その部屋を出る。
更にホークスの事務所からも出る。空は赤味を帯びており夕方だ。
うん、間に合うな…
「ピオリム…」ボソ
俺は静かにそう唱え、見知らぬ九州の地を走り回った。
・・・・・・・・・・・・・・
翌日
「勇間…」
「どうした常闇?」
「何故、地図を持っているのだ??」
「いや、九州の地名ってちょっと変わってるから、昨日だけじゃ覚えきれなくて…」
そう、今日の勇間の風貌はいつもとは違った。
いつもなら盾を持っている左手に何故か地図を持っていた、そしてその地図には丸印やペケ印などの多くの書き込みが見受けられた。
そんな中ホークスの声が勇間や常闇、サイドキック達の間に響き渡る
「○○町の商店街でひったくりですって、じゃあ行きますよー」
そう言って。事務所の窓から飛び立つホークス
それに続き飛行系の者は窓から同じように続き、それ以外の飛べない者は事務所を出て後を追う。
しかし当の勇間は自前の地図を必死に凝視する。
「○○町○○町…あった!!」
そうして勇間は窓から飛び出し、唱える
「ルーラ!!」
すると、勇間は○○町へと降り立つ。
そう勇間は昨日の職場体験が終わってすぐに外に走り回りに行った。
それはホークスの担当区域に含まれるすべての場所をルーラの移動先に登録するためだったのである。
「商店街どこだ!?」
しかしそこまで詳しく記録はできていないようだが…
「ピオリム!」
勇間は自らにピオリムを掛けて走り出す。
少し走れば商店街らしき街並みが広がる。
「キャー!」
悲鳴が聞こえる。反射的にそちらに目を向けるとひったくり犯と思わしい人物が女性の鞄を持ち逃げ去るところだった。
(いた!!)
勇間はその方向に走る。ピオリム状態の勇間のスピードはかなり速い。
あっという間に被害者の女性を追い越し、犯人の背中を捉える。
(もうちょい…)
勇間はその背に向けて手を伸ばすが、あと少しのところで
ビュン!!
と勇間の目の前を何かが通過し、それと同時にひったくり犯は視界から消えていた。
「え?」
ひったくり犯を捕まえるべく、手を伸ばして前屈姿勢で走っていた勇間は突然のターゲットの消失により、バランスを崩して顔面から地面に倒れこむ。
「ギャン!」
情けない声と共にビターン!!と地面に顔面を打ち付ける勇間。かなりのスピードで走っていたのでかなり痛そうだ…
「…いてて、何がどうなった??」
倒れた勇間は顔だけを上げてキョロキョロとひったくり犯の行方を探す
「はいどうぞ」
そう言って、女性にカバンを渡すホークス。
少し目線をずらすとさっきまで自身が追っていたひったくり犯がホークスの羽により壁に貼り付けにされ身動きが取れない状態になっているのが見えた。
(くそっ、一手遅かったか…無事鞄を取り返せたのは良かったけど…てか顔ヒリヒリすんな…)
さっき豪快に転んでしまった勇間が痛む顔をサスサスとさする。
「惜しかったねー」
ホークスがそう言って倒れている勇間に歩み寄り、手を差し出す。
(あれ??意外といい人なのかな?(チョロ))
勇間は差し伸べられた手をそんなことを考えながら眺める
「…ありがとうございます」
そう言って勇間はその手を取り立ち上がる。
すると、周りが騒がしいことに気が付いた。
「お!ホークスやん!」「いつもありがとー」「今日もカッコええなぁ!」
周りにちょっとした人だかりができていた。
そんな人たちに手を軽く振り返すホークスの横顔を勇間は眺める
(人気だ…)
すると、人だかりの一部からこんな声が聞こえてくる
「ホークス!!そん横の男前、見らん顔やけど新人かー??」「あら?あの子雄英の子じゃない??」「あーこの前体育祭で準優勝してた!」
そんな声と共に勇間に関心の目が寄せられる
(俺の話??これなんか言った方がいいヤツ??挨拶とか??)
「…どうm」
勇間が頑張って挨拶をしようとしたがそれを遮りホークスがガバッと勇間の肩に手をまわし声を上げる。
「そーそー、この前の雄英体育祭準優勝の勇間くん改め『ソロ』君でーす。この度我がホークス事務所で職場体験中なのでよろしくお願いしまーす」
「おぉー!!」「よろしゅうなー!」「ホークスって後進育成にも力いれてるんやな」「すご!」
そんな町民の声を笑顔でうんうんと頷きながら見るホークス
(多分俺呼んだのコレやりたかったからだな…)
そんなことを考えていると、奥の方からサイドキックの方々が走ってくるのが見えた。
「あー、やっと来た。じゃあ後処理お願いします。」
「あと今××市のコンビニで強盗が起こったみたいなんでそっち行きます。」
ホークスがそう言うとバサリと羽を広げる。
勇間はその様子を見ながら、サイドキックの手伝いをしようと足を進めるが、そんな勇間に声がかかる
「ソロも次の現場向かっていーよ。でも次俺より速く現場着いても手出しはしないでね」
そんな発言をホークスはする。
(さっきの、俺の方が速く現場に着いてたのは知ってたのか)
そんなことを考える勇間だったが、その心を読んでいるかのようにホークスは続ける
「まぁ、もう俺より速く現場に着けることは無いだろうけどね」
そう挑発的に笑うホークスは翼を振るわせ飛んで行ってしまう
(「手を出すな」というか「手を出せるもんなら出してみろ」って感じだったな、望む所だ…!)
(えー○○市○○市…あった!)
「ルーラ!」
そう唱えて飛び出す勇間
それを見たサイドキックの一人が言葉を漏らす
「ソロくん、結構良い線いってるんやない??」
「ですね!」
(勇間…)
・・・・・・・・・・・・・・
「じゃあとりあえず、次の事件もなさそうだし昼にしよっか」
「はぁーはぁーはぁー」
息が切れそうな(切れてる)俺にそう声を掛けるホークス。
あれから結局大きな事件は2件ほどしか起きなかったが、両方とも俺が付いたころにはもうホークスが事件の対処を始めていた。
(ルーラより速いって、どんだけ速いんだこの人??)
自分も現場にドンピシャでルーラすることができず、多少走ったというのもあるが異常なほどのスピードだ。
でもこの人がもっとすごいのが…
「はい、さっき河野のおばちゃんから差し入れされたヤツ」
そう言ってホークスはコチラにいかにも手作りですっといった雰囲気のおにぎりを一つ渡す。
「あ、ありがとうg「おっと、そこのばあさん、荷物持つよ」バシュッ!!
俺におにぎりを渡すその瞬間にノールックで羽を飛ばして、階段を上るおばさんの荷物を上まで運ぶ。
そう、この人滅茶苦茶視野が広い、そしてそのすべてに対応できる能力がある。こうやって他のことをしながらでも人を救えてしまうのだ。
人助けが日常化している、だからこの辺りの人たちはこの人のことが大好きなのだ。
二人で公園のベンチに座って、おにぎりを頬張る。
いやサイドキックの人たちどこ行ったの?常闇は??
「あの…サイドキックの方達は??」
俺がホークスにそう聞く
「ああ、多分どっかで各々昼食べてるんじゃない?」
確かに昨日の昼はホークスさんと一緒に昼食べずにサイドキックの方と一緒に食べたわ
「なるほどですね…」
結構サイドキックを放任するタイプなんだな…
エンデヴァーさんのとことか見たことあるけど、大違いだ。
そんなことを考えながらモグモグとおにぎりを食べているとホークスさんが声を掛けてきた。
「君はあれだね、悪くないけど飛行に無駄が多いね、なんで一回上向きに飛ぶのかわからない。現場に向けて一直線に飛べばいいのに」
そうなのである、言ってなかったが『ルーラ』は唱えた瞬間に一度垂直に真っ直ぐ飛び上がり、そこから目的地の真上まで移動し、垂直に落ちる。と言った移動方式なのである。
だからUSJとかの天井が高い所でもルーラをすれば頭をぶつけたりする。流石に飛行機とかに当たるまでは上昇しないが…
「それが俺の呪文の一つの『ルーラ』の仕様だからです。ルーラは行ったことがある場所に飛んでいくだけの呪文ですから、どうやって飛んでいくかは俺には決められないんです」
そう俺が返す。
「へー、じゃあ飛んでいるというより跳んでいるって感じ?」
イイエテミョー
「じゃあソロは自在に空が飛べるわけじゃ無いって事?」
俺はそんなホークスさんの言葉に返す
「いや、さっきのルーラの応用で自在に飛べる呪文があるにはあるんですけど…」
「まだ制御できてない感じ?」
「そうなんです」
俺が正直にそう答える
「体育祭の時確かそんな感じだったもんねー…じゃあ試しにさ、あそこの電柱の上までそれで飛んでみてよ」
「え?まぁいいですけど…」
俺はスッとベンチから立ち上がり、その電柱を見据える
「トベルーラ」
そう唱えると、俺の体はふわりと宙に浮かぶ、さて問題はここから。ここから魔力を放出して前に進んでいくのだが…
俺は電柱の頂上に向かうべく魔力を出す。
ギュン!!
「イ゛ッ!」
とんでもないスピードで変な声を上げながら一直線に電柱に向け飛ぶ俺
(ぶつかる!!)
と思ったその時、ふわりと俺の体が何かに受け止められる。
「確かにこれは全然だめだねー」
下から笑い声が聞こえる、俺を支えているのは数本の羽だった。
ゆっくりと俺は地上へと戻される
「自分で多少は練習してるんですが、全く上達しないんです。さっきみたいにちょっとでもMPをこめてしまうと、自分で制御できないほどのスピードで飛んで行っちゃうんです」
そう俺が言う
「君はいつも呪文?を使うときはどういうイメージで使う?」
ホークスがそう聞いてきた。
「普通に使う分のMPを込めて呪文を唱えて使います。」
「じゃあさっきの暴走したときはMPをいくつ使った?」
『トベルーラ』の発動に必要なMPは1。そこから別途MPを用いて飛行するといったイメージだ…多分。
「発動に1で移動に使ったのが最小限のMPなので1ですね」
と俺が言う
「そこだ、君は最小限のMPを1と思ってるってとこが問題だ。もっと個性を繊細に使わないと空は飛べないよ?まー俺が言えるのはこれくらいかなー」
そのホークスの言葉を俺は考える。
最小限を1と思ってる…か。
え?1じゃないの最小限って??0の次1じゃないの??
でも1であんだけのスピードが出てしまうんだもんな…
もっと繊細に…個性を…繊細に…細かく…
1を細かくか…
(あ…)
なんでこんな簡単なことに気が付かなかった??しかも11年も
これはあれだな前世の記憶が固定観念となって俺の思考を縛ってたんだ。
「トベルーラ」
俺は再び、呪文を唱えて宙に浮かぶ。
ここからだ、ここで使うMPは1ではない
ヒュン
と俺は電柱の上を目掛けて進みだす。しかし先ほどのように制御できないスピードではない。
「分かりましたよホークスさんの言ってる意味!!」
そう俺が今進むのに使っているMPは数字にして0.5、ホークスさんが繊細にって言ってたのはMPを1,2,3の整数でしか見れてない俺に、もっと細かくMPを使えという意味だった。
しかもこれに慣れることができれば普段のMPの節約にもなる。
ドラクエのMPは小数点はなかった。だから俺はMPを使う時、整数とでしか認識してなかった。
(いや嬉しい~!!)
でも、そんな理屈以上に飛べたことが嬉しい。
俺は空中に浮かびながら下にいるホークスに手を振る。
「ホークスさん!これで俺も自由にッ!!」
ズドン!!
うん、落ちた。ちょっと気を抜いたら落ちた。
そりゃそうだMPを0.5で使うなんて初めてだからちょっとでも気を抜いたら0になって落ちる。
おい、若人の失敗をそんなに笑うなホークス。
「まあこれくらいなら大丈夫か」
地面に伏している俺に声を掛けるホークスさん
「今日、いやこの職場体験の間、君は『ルーラ』の使用無しね」
え?
てことはつまり…
「移動は全部その『トベルーラ』ってヤツでやってもらう」
…これも慣れるため…か
「わかりました」
そう返した。その時
「おっ、ちょうど事件だ向かうぞソロ」
「はい!」
「言っとくけど、付いてこれないなら全然ほってくからね」
望む所だ…!!
(1であのスピード、今はまだ慣れてないけどこれを完璧にコントロールできればもしかして俺よりも…)
・・・・・・・・・・・・・・
「じゃあ今日はおつかれー」
というホークスさんの声、あれから俺は『トベルーラ』で頑張ってホークスさんに付いて行こうとはしたもののやはりNo.3ヒーロー、簡単には付いていくことはできなかった。
しかし、トベルーラにも今日で大分慣れることができた。少なくとも最初みたいに暴走したり、急に落下したりはしないだろう。
でもまだまだ問題は山積みだ、トベルーラ中は全神経を飛ぶのに使いすぎて、ホークスさんのように視野を広く持てない。他の呪文と併用するなんてもってのほかだ。
つまり、まだ戦闘用にこの呪文は使えない。精々近場への移動がルーラを使わずにできてMP節約にになるというくらいしか今の所使い道は無い。
もっと熟練度を上げなければ…
でもその前に…
「ホークスさん、今日はありがとうございました。色々と教えてくれて」
俺がそう言う。
するとホークスさんは軽く笑いながら言った。
「別に教えたつもりは無いよ、君が俺に勝手についてきただけでしょ?」
確かにそうなのだが、昼のホークスさんの助言が無かったら、飛ぶことはできなかっただろう。
(でも今それを言うのは野暮か)
ホークスさんの俺を試すような表情を見て俺は思う。
そして俺は口を開く
「明日も着いていく…いや、明日こそ追いつきますから」
ホークスさんはその言葉にニヤリと笑う。
「そう来なくちゃね、明日から敵退治も入ると思うから精々必死に頑張って着いてきて…ああごめん追い越すんだっけ?」
挑発的なホークスさんの言葉。
だから追い越すって言ったやん、正直全く追い越せる気はしないが…
でも敵退治か…ホークスさんの敵との戦闘を見れるのは嬉しい。
学ぶんだ、空での戦い方を…!
・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜
ホークス事務所内の一室。
俺と常闇はその部屋を借りて寝泊りしている。ちなみに同室だ。
ここに来るまでの新幹線とか、昨日の夜など常闇と一緒にいる時間が長く、ヒシヒシと感じたことがある。
なぜか常闇とは話がよく合う(中二病仲間)
特に武器の話とか始めたら止まらない。昨日なんかドラクエ内で一番(個人的に)かっこいい剣である『破邪の剣』を紙に書いてやったら、常闇が滅茶苦茶喜んでくれた。今度八百万さんに一緒に頼んで作ってもらおうな。
しかし、今日はそんな常闇が全く会話をしてくれない。
何か話しかけても「ああ」とか……いや「ああ」以外言わないな。
どこか上の空で「ああ」としか返してくれない。
そんなこんなで会話もなく。明日も早いので俺たちはベットに入り目を閉じた。
さあ寝ようと思ったその時。
「なあ、勇間よ」
と下から常闇の声が聞こえた(2段ベットかい)
「どうした。常闇よ」
俺は上から寝そべったままそう返す。(お前が上なんかい)
「恥を承知で聞く、俺はどうすれば勇間のようにホークスに着いていける?」
…なるほど、それをずっと考えていて上の空だったわけか。
常闇は言葉を続ける。
「このまま事件の後処理ばかりで何も得ず帰るわけにはいかない。自分で考えてはみたが、飛ぶことのできない俺がホークスや勇間に着いていけるイメージが沸かない」
そんな常闇の声
俺は答える
「俺も別に完全に着いて行けているわけでないけど…常闇も飛べるんじゃないか?どうやって飛ぶのかはまだわからないけど…多分ホークスさんは俺たちが思っているより俺たちのことを見ている。俺たちを呼んだ理由の2割は鳥仲間やら話題性やらよくわからないことだったけど…その半分が事件の事情聴取、じゃあ残りの3割は?」
俺は続ける
「俺たちに期待している…ってワケではあの人のことだから無いと思うけど…少なくともおふざけだけじゃなく、俺たちに何かを感じて呼んだんだと思う。その証拠に俺が今日空を飛んでも全く驚いてなかった。それどころか「やっぱりね」って顔だった。まるで俺が飛べるのが分かっていたかのように」
「俺なりに方法も考えてみる、だから一緒に飛ぼうぜ常闇、そしていつかホークスさんに二人で追いつくんだ。あの人に吠え面かかせてやろうぜ」
すると下から声が聞こえてくる
「勇間…分かった。精進しよう」
いつも道理の常闇の声に俺は安心する。
そして、常闇に声を掛ける
「頑張ろうぜ、…じゃあお休み常闇」
俺がそう言ってパチッと部屋の電気を消した。
俺は寝るときは部屋を真っ暗にするタイプなのだ(どうでもいい)
しかし、電気を消したその瞬間、またしても俺の下から声がする。
「おい勇間!!電気は完全に消すなと昨日言っただろう!!」
迫真のその声
え?そんなこと言ってた?ヤバい昨日は寝るとき疲れてたから覚えてない…!
「え?ああ、ごめんごm」ゴンッ!!!
俺が誤って電気を付けようとしたその瞬間、背中に大きな衝撃が走る。
「いった…ってガッ!!」
その衝撃で体が宙に浮き、2段ベットの上ということもあり近かった天井に顔面をぶつける。
「くぅぅぅ…!」
思わぬ二連撃に悶える俺
痛い…でも今はそんな場合じゃない。
俺は上から顔を出し、常闇の様子を見る
「ぐおおお!!」
そこにはダークシャドウに体を覆われている常闇の姿があった。
そうだ、たしか常闇のダークシャドウは暗闇で力を増す。
本人もまだ制御できない時があると言っていた。
完全に俺のミスだ…
ビュン!!
と音を立ててものすごいスピードでベットから飛び出るダークシャドウに覆われている常闇。
そして目にもとまらぬスピードで部屋の中を飛び回る。
ヤバいヤバい…このままじゃ部屋がとんでもないことになってしまう
ってかアレ??これ使えば…
いやそんなこと考えている場合じゃない
「レミーラ!!」
俺の手元が眩く光る
『ギャン!!』
いつものダークシャドウの悲鳴、動きが一瞬止まる
その隙に、パチッ!と電気をつける
ふう、危なかった…
常闇もダークシャドウを無事静めることができたようで同じようにふうと一息つく。
「ご、ごめん常闇!俺すっかり忘れてた!」
そんな様子の常闇にすぐに謝罪を入れる
「…いや、こちらこそ急に暴走してすまない、ケガはないか??」
優しすぎるぜ常闇くん…
こっちは多少背中と顔面がヒリヒリするが、こんなものは寝れば治る。
「俺は全然大丈夫…というかあれだな」
「ダークシャドウってもしかして飛行能力あったりする??」
・・・・・・・・・・・・・・
翌日
テレレレテッテテー♪
「あ」
「ああ、それが噂のレベルアップ?」
ホークスの敵退治に同行し、後方支援という形ではあったものの敵退治に貢献した勇間は、レベルがまた一つ上がった。
「そ、そうです」
やはりまだ人前でレベルアップするのが恥ずかしいのか少しどもりながらも勇間が答える。
「ソロよ、どんな能力が上がったんだ?」
そう聞いてくるのはツクヨミこと常闇、そう今日は勇間だけではなく常闇も何とかホークスに着いてこられるようになっていた。
昨日の就寝前の勇間の助言によって自身にダークシャドウを纏わせれば、課題である機動力の解決になるのではと考えて、実践をしているところだ。
しかし、やはりまだ慣れていないのか制御が難しいらしく、ホークスの後に続く勇間のそのまた後ろをギリギリで着いてきているといった様子だ。
とはいっても初日は全く着いてこられなかった2人がギリギリではあるが自分に着いてこられるようになっていることにホークスは「へぇ」と感心している様子だった。
「素早さめっちゃ上がってる…」
(しかも新しい呪文まで…)
勇間は自分よりはるかに速いホークスをこの数日見続けてきたおかげか今回のレベルアップでは素早さが多く上がったようだ。
「じゃあ2人とも次行くよ」
ホークスがそう言って羽ばたく
「はい!」「御意!」
それに倣って2人も続く。
その後もホークスには追い付けはしないものの、何とか食らいつき、確実に成長していく2人であった。
・・・・・・・・・・・・・・
「じゃあ今日もお疲れー」
時刻は夕方…も少し過ぎて辺りはもう暗くなっている。
「「おつかれさまでした」」
常闇は今日は慣れないことをしたこともあり、少し疲れてしまったようで先に休むと言って部屋に戻ってしまった。
俺も戻ろうかなと思い事務所のドアに手を掛けたその時だった。
boo!
スマホが振動した。
(焦凍からかな??)
なんか職場体験始まって以降、毎日焦凍から今日はどんなことをやったのかとか今日のエンデヴァーさんの活動とかについて、日記みたいな感じで連絡が来るんだよなぁ。しかも写真付き。
何でかは知らないけど
そんなことを考えながらスマホを確認する。
(ん?緑谷?しかも位置情報だけ?)
それは1Aのグループに緑谷が送った位置情報のみのメッセージだった。
なんだこれ?でも緑谷が意味もなくこんなことをするはずがないし…
もしかして何かトラブルに巻き込まれてしまったのかも…
そんなことを考え始めると、心配の気持ちがどんどんと増していく。
(この住所…保須か…って保須って言ったらこの前ヒーロー殺しが飯田の兄を襲った場所じゃないか?もしかしてなにか関係が…)
考えを巡らしていたその時
「どうしたの?ドアの前で考えこんじゃって」
そんなホークスの声が聞こえてくる。どうやら急に立ち止まって考え事を始めた俺が気になったようだ。
俺は正直に言う。
「いえ、クラスの友達が急に位置情報だけを送って来たので、なにかトラブルに巻き込まれたんじゃないかって考えていたんですよ」
するとホークスは返す
「へぇ、場所は??」
「保須です」
俺がそう答えるとホークスは一瞬目を見開いたように見えた。しかしすぐにいつもの表情に戻り俺に話す。
「…勇間はその友達が心配なの?」
どうしたこの人急に
「心配に決まってますよ、緑谷は意味もなくこんなことする奴じゃないですし…」
俺がそう言うとホークスは少し考えるような素振りを見せる。
「へぇ…じゃあちょっと行ってみよっか、保須に」
え?
「君の『ルーラ』があったらいけるんでしょ。それに俺が何も言わなかったり、行ったらダメって言っても君なら一人でも様子見に行ってたでしょ」
まぁ、行ってたかも…
「わかりました。じゃあ一応勤務時間外ですけど、個性の使用許可は…」
「もちろん出すよ、まぁ俺の目の届く範囲だけだけどね」
でもよく考えたらNo3が着いてきてくれるなんて、これほど心強いことは無い。
「じゃあ行きます」
ホークスに俺の肩に手を置いてもらい、事務所の窓から身を乗り出す。
(待ってろよ、緑谷)
「ルーラ!」
・・・・・・・・・・・・・・
保須市
俺たちは降り立つ。
「いやーなんと言うか便利だね、九州から東京まで一瞬だ。」
ホークスは続ける
「君いれば、移動時間の大幅な短縮になるね、よかったら卒業後はウチでサイドキックしない??」
冗談めかしてホークスがそう言ってくる
「なんかタクシーとしか思われてなさそうなので嫌です。」
俺は適当にそう返す。色々吟味したいしね、この人も別に本気で言っている訳じゃないだろうし
俺の言葉に対して興味ありげに「ふーん」としか返さなかったホークスをひとまず放置し、俺は辺りを見渡す。
うん、ここ違うね。
保須には一度訪れたことがあるが、新幹線で通り過ぎた程度だ。
ドンピシャで送信された住所には行けなかった。
「送られてきた住所はもう少し向こうです。向かいましょう」
そう言って、俺たちは走り出そうとしたその時
「にげろー!!」「キャー!」
そんな悲鳴がどこかから聞こえてくる。
なんだ?
そして多くの人たちがパニックになったかのようにこちらに雪崩れ込んできた。
なんだこの人たち、敵が出たのか??何から逃げている?
人々が逃げ惑うその元を俺は見る。
「あ、あれは!」
そこには見覚えのある脳をむき出しの怪人、俺やオールマイトがUSJで戦ったやつとは違い、羽が生えて、色も違う。
しかし、俺にはわかる、あれは…脳無だ…
・・・・・・・・・・・・・・
おまけ 轟くんの日記(職場体験1日目)
勇、俺だ。
今日は親父のパトロールに着いていった。ヒーローとしての親父を見るためにここに来た訳だが、やはりヒーローとしての親父は凄かった。
全ての対応が早いし、サイドキックの人達も活力に溢れている。
流石万年NO2ヒーローだ。
俺がちゃんと職場体験に自分の事務所を選んだことを喜んでいたようだが、勇間が指名を断ったことで終始怒っていたぞ。
「この俺の指名を無視するとはいい度胸だ」
とか言ってた。
でも安心しろ勇、俺がピシッと言っておいた。「勇は無視はしてない。丁寧に吟味した上で断ってた」そう言っておいた。気のせいか俺がピシッと言うともっと怒ってたような雰囲気だった。でも安心しろ勇、多分気のせいだ。
返信勇間『うん、それ安心できないよ?あとこれ何?日記?俺はなんて返せばいい?』
その後轟からの返信は無く、普通に次の日の日記が送られてくるのであった。
今回も読んでいただきありがとうございます。
この話は長ーい16話の前半部分になるはずだったのでちょっと内容は薄めかもですけど、許してください。
あと今回もオリジナルの設定を多く含んでいます。ご了承ください。
あとホークスの口調がよくわからん。大丈夫かコレ?
いつもたくさんの感想、評価、お気に入り登録など本当にありがとうございます。
今後も本小説をよろしくお願いします。
誤字脱字の修正もありましたら報告の方よろしくお願いします。