お久しぶりです。
本当に久しぶりの執筆なので温かい目で読んでいただけると嬉しいです。
お願いいたします。
19.バギクロス
「…ということで僕はパラオに行きます」
そう言って教室の扉に手を掛ける我らが勇間くん。
しかし,その時彼の頭をペチンと何かが叩いた。
「痛っ!誰だ俺の歩みを止めるのは…」
「勇間ちゃん、バカなことばっかり言ってないでいい加減勉強しなさい」
勇間の頭部を強打したのは蛙吹の舌だった。
そして蛙吹は勇間の顔をじっと見つめる。
「……はい…頑張ります…」
勇間は叩かれた頭をさすりながら観念したように呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・
俺は先ほど梅雨ちゃんに叩かれた頭をさする
良い案だと思ったんだけどな…
大人しく勉強しなきゃか…
「…はぁ」
最近は色々忙しく、勉強にまで手が回っていない。
俺はこれから勉強漬けになるであろう日々を思い浮かべ、思わずため息を漏らした。
そんな俺の肩を誰かがポンと叩く。
振り返るとそこには八百万さんの姿があった
「あの!今週末皆さんと一緒に私の家で勉強会をするのですが、勇間さんもよろしければご参加されますか??」
「行きます」
マジかよ、1位の方に教えを乞えるとは俺はラッキーだ。
嬉しすぎて即返事しちゃったよ?
引かれてないよね?
俺チラリと八百万さんの方を確認する
「良かったですわ!勇間さんは何か紅茶など御贔屓ありまして!?」
…ああ凄い楽しそうにしてるわ、良かった良かった。
「じゃあダージリンで」
やっぱ渋い男はダージリンティーなんだよ(ダージリンティーしか知りません)
コレは優雅な勉強生活が送れそうだ。
「かしこまりましたわ!それでは用意しておきますね!」
「わざわざありがとう、他は誰が来るんだ?」
「えーと…尾白さんや耳郎さん…あとは…」
俺が楽しく八百万さんと話しているその時
ギュムと俺の制服の襟が何者かによって掴まれる。
まあこんなことしてくる奴は一人しかいないんだけど
「なんか用か元七三坊や?今俺は八百万さんとの会話で忙しいんだ。ごめんな構ってやれなくて」
「黙れドアホピアス野郎が」
ガラの悪い声が後ろから聞こえてくる。やはり爆豪だ。
そんな爆豪が俺の襟をつかんだまま言う。
「てめぇはこっちだ。俺が直々に教え殺す」
そう言ってズルズルと襟を引っ張り俺を引きずりだす
「待て待て待て!嫌だ!俺は八百万さん達と楽しく勉強するんだ!八百万さん助けてくれー!」
爆豪に引きずられながら俺は情けなく八百万さんに助けを求めた
「ば、爆豪さん?ほら本人も嫌がってますし離してあげては…」
爆豪にそう言う八百万さん。マジありがとう。
しかしそんな八百万さんに向けて爆豪は言う
「ダメだ!コイツを雄英に受からせたのは俺だ、つまり俺はコイツのバカさ加減を知ってんだ、俺が教え殺した方がコイツのためになんだよ」
「…そういう事でしたら」
納得するの速くない!?もっと頑張ってよ八百万さん!?
「いやちょっとまって…」
「てめぇに発言権はねぇんだよこの最下位低能ウスラトンカチパラオ野郎が!」
それ俺?(あなたです)
もはやピアス野郎ですらなくなっちゃってるよ??
そんなことを思いながらも俺は爆豪にズルズルと引きずられ続け、どんどんと八百万さんから離されていく
「嫌だ!俺は八百万さんの元で優雅なスタディライフを過ごすんだ!八百万さーん!!」
俺はそう言いながら八百万さんに手を伸ばす。
しかし
「すいません勇間さん…私では力不足のようで…」
申し訳なさそうにそう言う八百万さん
もっと粘ってよ八百万さん!?
「黙って着いてきやがれ!」
最後の抵抗も虚しく俺は爆豪に連れていかれるのであった。
「そう言えば爆豪、期末って筆記の他にも演習試験があるんだろ?内容知ってるか?」ズルズル
「…モブ共によりゃ入試ん時みたいなロボ相手だとよ、ぶっ飛ばすだけだから俺にはカンケーねェが」
「んじゃ、あんまり気にしないでよさそうだな演習の方は…」ズルズル
「…話は変わるが、てめェちょっと自由に空飛べるようになったからって調子乗ってんじゃねェぞ」
「ういうい、もう多分お前より速く飛べるぜ俺」ズルズル
「調子乗んなっつってんだろうが!…チッ…だが今回の期末、個人成績で否が応でも優劣が付く…!体育祭みたいなハンパな結果はもういらねぇ…!」
「完膚なきまでに差ァつけて、てめぇに勝ってやる!覚悟しとけや…!」
「ハッ!こっちのセリフだ…!俺だって今度は負けねぇよ」ズルズル
「…」
「…」ズルズル
「…ねぇ廊下でも俺のこと引きずるのやめない?他の生徒達に凄い見られちゃってるから、クスクス笑われてるから、すげえ恥ずかしいから!!」ズルズル
「……」
「無視しないで!?」ズルズル
この後滅茶苦茶勉強しました。
・・・・・・・・・・・・・・
あの日から、俺は勉強漬けの日々を過ごした。
悔しいが爆豪の「俺が勇間を受からせた」発言は本当で、勉強において俺が何が苦手なのか何が理解できていないのかを完璧に理解している。
だから爆豪の教えは的確でコイツと勉強しておけば間違いはないのだ。
アホみたいにスパルタだけど…
そんなこんなで俺の頭は筆記試験当日には某T大にも合格できるのではないかというレベルで仕上がっていた(言い過ぎ)
無事、試験を終えたが、手ごたえはかなりあった。満点とまではいかないが赤点は余裕で免れているだろう。
ありがとう爆豪。今度ハンバーガー奢ってやるからな…
・・・・・・・・・・・・・・
てな感じで遂に演習試験当日
「それじゃあ演習試験を始めていく」
なぜかコスチュームを身にまとった俺たちの前に先生たちがズラッと並んでおり、その真ん中に立っている相澤先生がそう言った。
うん…
嫌な予感がするのは僕だけですか?
目の前に並ぶプロヒーロー達の姿は壮観だが、なんでこんなに集まっている?今日はロボ無双じゃないの?試したい呪文いっぱいあるんだけどな…
そんなことを考えていると再び相澤先生が口を開いた。
「諸君なら事前に情報を仕入れて何をするかは薄々わかっていると思うが…」
「入試みてぇなロボ無双だろ!!」
「花火!カレー!肝試し!」
相澤先生の声を遮り上鳴と芦戸がそう言ってはしゃいでいる。
しかし、その時…
ひょこりと何かが相澤先生の首元の包帯から顔を出す。
そして言った。
「残念!諸事情あって今回から内容を変更しちゃうのさ!!」
そう言ったのは我らが根津校長先生だった。
その言葉に先ほどまではしゃいでいた上鳴芦戸の動きがピタリと止まる。
そして校長は説明を始めた。
校長の話を要約すれば
『敵が活性化してきたから実戦的じゃないロボとの戦闘訓練意味なくない?』
という説明だった。
まあ確かにロボ相手だと今だと余裕すぎるか…
だとすると今回の演習は対人??じゃあ相手はもしかして…
嫌な想像が俺の頭に浮かぶ
校長の話はまだ続いている
「…というわけで諸君にはこれから、二人一組でここにいる教師一人と戦闘を行ってもらう!」
校長は高らかにそう宣言した。
やっぱりそうなるよね…
二対一といってもプロヒーローとの戦い、厳しい戦いになるのは必至だが、良い経験にはなるだろう。
…まぁ絶対赤点にはなりたくないから普通に嫌なんだけど。
さらに重要なのは誰と組んで誰と戦うかだ
俺は口を開いた相澤先生の話に耳を傾ける
「ペアの組と対戦する教師は既に決定済み、動きの傾向や成績・親密度…諸々踏まえて独断で組ませてもらったから発表してくぞ」
なるほど、俺はいったい誰と組まれたんだろうか…
普通に気になるな
「まず轟と八百万がチームで…俺とだ」
相澤先生がそう言った。
ほー、そこがチームになるのね…正直相澤先生は一番戦いにくい相手だと思ってたから俺の相手じゃなくて良かった。
「そして緑谷と…爆豪がチーム」
え、大丈夫?そのチーム?まとまっている未来が全く見えないんですけど?
「で…相手は…」
緑谷と爆豪の相手を言おうとする相澤先生を遮り、巨体が二人の前に立ちはだかった
「私が…する!」
オールマイトだ。
緑谷…大丈夫か??
俺は心配しながらも自分のペアと対戦相手がまだ発表されてないので相澤先生の発言を注意して聞く
「じゃあまず一戦目は切島と砂籐、相手は…」
一戦目から順番にペアと対戦相手が発表されていく。
中々呼ばれない自分の名前に緊張しながらも耳をすませる
「7戦目が…」
7戦目が発表されてもまだ俺の名前が呼ばれない。
いつ呼ばれるのだろうか…ペアは誰だろうか…
俺は考える
えーと今残ってるのは俺と葉隠さんと瀬呂と…
その時、俺に電流走る。
(あれ?これもしかしなくとも一人余る?)
気が付いてしまった。俺たちは21人、ペアだと一人余る。
どうするんだ?一組トリオになるのか?でもそれだと最初に説明が入るはずだが…
ただ一つだけわかることがある。俺は元々この世界の人間じゃない。
つまり本来この1年A組は俺抜きで20人だったのだ。
これがどういうことかわかるかな?
要するに…
「ラスト10戦目はさっき言ったように爆豪と緑谷だ」
俺以外のA組の目線が一斉にコチラに集まる。
俺は恐る恐る相澤先生に向けて声を発した
「あの…俺は…」
一人余る系の奴はたいてい俺が余るってことだ。
そんな可哀想な俺に相澤先生が声を掛ける
「A組は20人、ペアだと1人余るのは仕方ない。よって勇間、お前は…」
どうなっちゃうんだ俺
「後日受験だ」
後日受験??今日は俺は試験やらないってこと?
?マークを頭上に浮かべる俺に相澤先生は話を続ける
「明日はB組の試験がある。お前はその時に試験を受けろ、まぁ会場とかは別だがな」
なんか恥ずかしいなそれ…
てかペアとか戦う先生とかはどうなるんだろうか?流石に俺一人で戦うとかないよね?
俺は相澤先生に聞く
「じゃあペアと戦う相手はどうするんですか?」
すると相澤先生が口を開く。
「戦う相手は明日の直前に発表する、そうじゃないとフェアじゃない」
確かにそれはそうだ。
「ペアに関しては明日くじ引きで完全にランダムで決める」
いやそこはもっとちゃんと選んでよ?なんでくじ引きなんだ??他のみんなみたいに相性とかで組んで!?
「何か文句でもあるか?」
俺が不満そうな顔をしていると相澤先生がそう言ってこちらを睨んできた。
ま、まぁいいか、運も実力の内って言いますしね(弱)
「いえ、ありません」
大人ってのはずるい生き物だ…
そんな俺に目もくれずに相澤先生は話を続ける
「あと明日勇間とペアになった奴は今日を含めて2回戦うことになるわけだが、試験の結果として両日の良かった方を最終の演習の結果とする。」
要するに今日の試験で赤点でも明日俺と組んで良い結果を残せれば赤点ではなくなるってコトか。
しかもその逆は無い。今日良い結果で俺と組んで赤点だったとしても赤点にはならないということ。
めっちゃいいやん。実質試験2回出来るってコトだろ?
相澤先生は俺に向けて言う
「お前は誰がペアで誰と戦うのかわからない、ペアに関しては完全にランダムだから予想もできないはずだ。だから精々今日はコイツらの戦いを抜かりなく、思考しながら観戦して明日に備えるんだな」
そういう狙いでくじ引きなの?
まあそんな事よりも1つ納得のいっていないことがある
「…あの先生、聞きたいんですが、なんで俺が一人余ったんですか?これも先生たちで話し合った結果ですか?」
なにか理由があるなら聞きたい。まあ流石にあるんだろうけど
相澤先生が答える
「いや、校長がくじ引きで余る奴を決めた」
「僕だよ!!」
そう言って元気よく手を挙げた根津校長首には『僕が決めました』と書いてあるプレートがぶら下がっている。
それを見て俺は思う
(やっぱり運悪いのね俺…)
・・・・・・・・・・・・・・
そうなった経緯
演習試験の少し前の日
雄英高校職員会議室
プロヒーローである教師たちが集まっている。
そんな中で相澤が立ち上がり発言する。
「じゃあ、今日は期末試験の演習での1年A組のペアと対戦相手を決めていきます。」
そして、どこからかくじ引きの箱を取り出し、机の上に置く。
「まずは1人余る奴を決めます。校長先生、お願いします。」
「まかされたのさ!!」
そう言って根津がそのくじ引きの箱に手を突っ込んだ。
ゴソゴソと音を鳴らしながらも、一つの紙きれを引いて相澤に渡した。
その紙切れを見て相澤は口を開く
「…勇間ですね」
「「「おぉー…」」」
歓声とはまた違う、何とも言えない声が会議室に響く。
相澤は続ける
「じゃあ予定通り、勇間は後日受験ということで…ペアはどうしますか?」
相澤が教師たちに問いかける。
するとプレゼントマイクが声を上げた。
「個性的には
その発言に対してミッドナイトが口を開く
「となると個性面じゃなくて性格面から決めて行った方がいいかしら?…そうねぇ接している感じ彼、コミュニケーション能力に問題があるように見えるわ、だから敢えてクラス内でも勇間くんとあまり交流の無い子と組ませるのはどう?」
それに対して相澤が答える
「確かに普段の勇間にはそういう問題がありますが、訓練やヒーロー活動となると全然大丈夫なんです。むしろ積極的にコミュニケーションを取りますよ。アイツにはそういうメリハリがある」
そんな相澤の言葉にプレゼントマイクは言う
「じゃあ性格的に見ても、別に誰と組んでも上手い事できるっつーことかよ!ムジィなコレは」
「それじゃあ一旦ペアは保留で対戦相手を決めますか…俺としてはオールマイトさんに頼みたいんですがどうでしょうか」
相澤がそう言ってオールマイトの方に目をやった。
オールマイトが口を開く
「私は別に構わないが、何か理由があるのかい?」
相澤がそれに答える。
「今のアイツに必要なのは個性の性質上、圧倒的な格上との正面戦闘です。No1ヒーローとの戦闘はアイツにとってきっといい経験値になるはずだ。」
そんな相澤の言葉にオールマイトは快く了承した。
「そういう事なら任せてくれ!」
そうして勇間の相手がオールマイトに決定した。
「さて…ペアですが…」
その時、黙っていた校長が口を開いた。
「うーん…もうクジでいいんじゃないかな!」
その発言に他の教師たちは驚愕する。
しかしそんな教師たちを尻目に根津は話を続ける。
「誰とでもうまくやれるなら誰でも良いってコトでしょ?じゃあクジにして勇間くんの臨機応変に動ける能力を高めようよ!それにくじ引きで完全にランダムということを伝えておくことで他のA組の生徒たちの戦いを全部しっかりと観察することになると思うから、それも良い
「まあそうですね…それにこれ以上考えても埒があきませんし、それでいきましょうか」
「「「異議なし!」」」
「それじゃあ次に轟ですが…」
会議は続く…
・・・・・・・・・・・・・・・
試験開始直前
リカバリーガールの出張保険所
「さて…今日は激務になりそうだねぇ」
俺の隣に座るリカバリーガールがそう呟いた
俺が今いる場所はリカバリーガールの出張保険所であるテント。
中にはたくさんのモニターが設置されており各々の会場の様子を見ることができる。
「あんた今日は試験無いんだろ?じゃあぶっ倒れない程度に治療手伝ってもらうよ」
「はい、任せてください」
リカバリーガールの言葉に俺は答える。
モニターに目を移すとみんながそれぞれの会場で開始の合図を待っているのが分かる。
そう言えば今回の試験の合格条件は『先生たちに手錠を付けて拘束すること』か『時間内に指定のゲートから脱出する』だ。
プロヒーロー達は俺たち生徒よりも確かに格上、正面戦闘で拘束までもっていくのはかなり難しいだろう。そのための「逃げ」の選択肢、逃げて他のヒーロー達に応援を呼びに行くのも格上の敵相手なら確かに正解だ。
そんなことを考えながらモニターを見ていると、となりのリカバリーガールがマイクに向けて声を発した。
『みんな位置に着いたね、それじゃあ今から雄英高校1年期末テストを始めるよ!』
『レディイイーーゴォ!!!』
リカバリーガールそんなデカい声出せたんや…
しょうもないことを考えながらもモニターに映るA組のみんなは試験を開始している。
正直、A組はみんな強い、だからあまり心配などはしていないのだが…
俺は一つのモニターに目線を向ける
そのモニターには緑谷と爆豪の姿が映っている。
(ここだよなぁ…問題は…)
試験開始直後だというのに早くも二人が揉めている様子が目に入る。
「しっかりしろよ…
俺は小さく呟いた…
・・・・・・・・・・・・・・
「だァからぶっ倒した方がいいに決まってんだろうが!!!」
「怒鳴らないでよ!!それでいつも会話にならないんじゃないか!!」
2人の声が辺りに響く。
その時だった。
ドンッ!!!!
という大きな音。それと共に二人の間に爆風が吹き荒れる。都市を模した建物の数々はその爆風により崩壊していく。
そして煙が舞っているその爆風の発生源を二人は見つめる。
その煙の中から声が聞こた。
「街への被害などクソくらえだ、試験だなんだと考えていると痛い目見るぞ」
「私は敵だヒーローよ、真心こめてかかってこい」
そう言って煙から姿を現したのはオールマイトだった。
(何だ…何だ!!)
(何だ…この)
((威圧感は!!))
爆豪と緑谷の心の声が重なる
しかしそう考えるのも束の間。
ドン!とオールマイトが地面を蹴り2人に向けて接近してくる
「正面戦闘はマズイ逃げよう!!」
緑谷はそれを見て真っ先に「逃げ」を爆豪に提案する
「俺に指図すんな!!」
しかしそんな緑谷の言葉には全く耳を傾けずにそう言った爆豪は逃げるどころか向かってくるオールマイトを迎え撃つような態勢を取る。
「かっちゃん!」
焦る緑谷に目もくれず、爆豪は向かってくるオールマイトに向け掌を突き出して叫ぶ。
「
すると爆豪の手元が眩く光り、オールマイトは思わず目元を覆う。
その隙に爆豪がオールマイトに飛びつく
「オールマイト!!言われねぇでも最初から…」
そんな爆豪の顔面をオールマイトは片手で鷲掴む。
「
顔を掴まれて声がくぐもるが爆豪はそれに怯まない。
BBBBBB!!!
と自身の顔を掴んでいるオールマイトに向けて爆破を大量に叩き込んだ。
しかし、そのような小規模な爆発の連打ではうろたえないオールマイトは空いたもう片方の手で爆豪の右腕を掴み…
ダン!!
と地面にたたきつけた。
「カッ…ハッ…」
その衝撃で爆豪の肺から空気が抜ける
「そんな弱連打じゃちょい痛いだけだぞ!…そして」
そう言って別の方向へと逃げようとする緑谷をオールマイトは捕捉し
ダッ!!っと地面を蹴りつけると一瞬にして緑谷の正面へと回り込んだ
「君も君だぞ緑谷少年!チームを置いて逃げるのかい?」
「くぅ…フルカウル!」
(くそっ…ここは一旦退きたい…!!でも…かっちゃんとの意識の違いか…!)
緑谷はそう考えながら、オールマイトから距離をとるために後ろに向けて飛ぶ。
「逃がさんぞ!」
オールマイトはそう言って緑谷を追いかける。
あっという間に緑谷が取った距離を詰めたオールマイトは緑谷に手を伸ばす
(や、やばい…!)
しかし、その時だった。
BOOM!!
鳴り響く爆音と共にオールマイトの体付近から爆発が起こった。
「くっ」
流石のオールマイトも至近距離で爆発を受けたことで少しよろける。
「え?」
そして緑谷は突然、オールマイトの体が爆発したことに驚きの声を上げた。
その時
「どけッ!!デク!!」
いつの間にか起き上がっていた爆豪がそう言って驚き固まっている緑谷を押しのけた。
さらに右手をまだ爆発の影響で体勢が崩れているオールマイトに向ける。
そして右腕の小手に着いているピンを抜いた。
その瞬間…
BOOOM!!!
爆豪の最大火力がオールマイトに襲い掛かる。
「…か…かっちゃん?どうやって…」
「アァ!?さっき顔面掴まれた時!手榴弾をオールマイトの体に仕掛けてたんだよ!んであんだけ至近距離で俺の最大火力をもろにぶつけたんだ多少は時間を稼げる!!今のうちに一旦退くぞ!!」
爆豪はそう言うと爆破でオールマイトとは反対方向に移動し始める
「う、うん!」
緑谷も少し面喰らいながらもその爆豪の後に続いた。
・・・・・・・・・・・・・・
しばらく移動を続け、2人はオールマイトから十分に距離を取れていた。
すると移動しながらも緑谷が口を開いた。
「…かっちゃん、どうして急に退く気になったの?あれだけ僕の意見に反対してたのに」
爆豪が答える。
「…チッ…さっきオールマイトと戦って分かった。今の俺じゃ
「…あとテメェの意見に反対してたのはてめぇが戦う前からあまりにも逃げ腰だったからだ。別に『逃げる』って選択肢が嫌だったとかそんなしょうもねぇ理由じゃねェ…ただ最初から『逃げる』っつー選択肢を一つに絞るのはダメだ」
(か、かっちゃん…?)
爆豪と緑谷はゴールに向けて走りながらも会話を続ける
「相手はオールマイトだ、このまま終わりって訳には多分いかねぇ、だが正直俺一人でオールマイトに対処できる気がしねぇ」
(…こんなに喋るかっちゃん見たことないぞ?)
「だから気に食わねぇが…クソデク、テメェの力を使ってやる。ここで負ける方がもっと気に食わねぇ」
「…かっちゃん」
「なんか案があるなら聞かせろや、たが俺が聞くのはオールマイトから『逃げる』案じゃねぇ…この試験に『勝つ』案だけだ、分かったかクソデク!」
「…分かったよ、かっちゃん…2人で勝とう、この試験に…!!」
「2人でとか言うんじゃねぇ!キメェな!!」
「かっちゃん!?」
(こんなとこで負けてちゃ話になんねぇよなぁ…
・・・・・・・・・・・・・・
あれ?意外とちゃんと連携できてるじゃん。
俺は爆豪と緑谷がオールマイトと戦っているモニターを見てそう考える。
何話してんのかは全くわからないけど…
映像は見れるが音声は流れないので2人が会話をしているのは分かるが内容までは分からない。
まあとにかくあの2人が仲良く…はしてないけどちゃんと会話出来てるみたいで良かった。
そのモニターから目を離して他のモニターも眺めていく。
うん…多すぎてどこ見ていいかわからん
「おや、轟のとこがもう終わりそうだねぇ」
俺がキョロキョロしているとリカバリーガールがそう呟いた
反射的に俺は焦凍達のモニターに目をやった。
すると丁度相澤先生が八百万さんが創造したであろう包帯に拘束されたところだった。
ん?なんか物凄い拘束の仕方してなかった?今何してた!?
そしてそのまま身動きがとれなくなった相澤先生に手錠をかける。これで焦凍と八百万さんの推薦コンビは無事試験クリアだ。
流石焦凍と八百万さんと言ったところか…
「なんだかんだ甘い男だねェ」
『報告だよ条件達成最初のチームは轟・八百万チーム!』
リカバリーガールが何かを呟きながらもそうアナウンスした。
「一番乗りは焦凍達かあ…すげー」
俺はぼんやりと焦凍達の映るモニターを見る。
するとその時。くるりと焦凍が振り返りカメラの方を向く。
ん?
そしてバチッとモニター越しに焦凍と目が合ったのを俺は感じた。
え?コイツカメラ目線すぎない?たまたま?
しかし、しばらく見ているとゆっくりと口が動く、その口の動きは
『勇、やったぞ』
うん…たまたまじゃないわ、俺が見ていることを知っててやってんだろうなコレ…
別にわざわざモニター越しでやらなくてもいいのに、どんだけ早く俺に伝えたかったんだ??
そんなことを考えていると、焦凍達が条件を達成したのを皮切りに他のペアもどんどんと条件を達成していく。
皆すげぇ…やっぱりこうやって見ると入学時よりも全員、個性の使い方が格段にうまくなっているのを感じる。
今日は見てるだけだが、明日は俺の番だ。
ちょっと緊張してきたな…
誰と組んでも戦えるようにしっかりと考えておかないとまずいよな
明日の試験…俺は誰と組むことになるのだろうか…
そして誰と戦うことになるのか、とても不安だ。
そんなことを考えながらモニターを眺めていく内に残りのチームもどんどんと演習試験を終わらせていった。
・
・
・
あれから少し時間が経ち、すべてのチームの試験が終了した。
ほとんどのチームは無事に試験を突破できたのだが、
切島・砂籐チーム、芦戸・上鳴チームが残念ながら条件を達成できなかった。まあ赤点ラインが明確に話されていない以上結果がどうなるかはわからないんだけど…
しかし、これで終わりではない、明日には俺の試験があり、俺がくじ引きでその4人のうち誰かを引けばそいつにはもう一度試験を受けられるチャンスがあるのだ。
そして案の定この不合格だった4人からは明日のくじ引きで絶対に自分を引いてくれと頼まれた。
完全に運ゲーなので何もしてやれないが、この4人の中から誰かを引けるように寝る前にルビス様にでも祈っておこう。
「勇間お願い!!明日のクジ私を引いて!引いてくれたら何でもしてあげるから!」
ちょっと芦戸さん?そんな簡単に何でもするなんて女子が言うんじゃありませんよ?
…すこしからかってみるか
「…今何でもって言ったか?」
「……へ?」
「…芦戸お前その言葉忘れるなよ?」
「………へえ!?」
(え?ヤバい?勇間のヤバいとこ刺激しちゃった!?…ま、まぁ勇間なら…イヤイヤ…何考えてんのわたしぃ…)
(何もしません)
・・・・・・・・・・・・・・
そして翌日
俺たちA組は全員でUSJにきていた、ここで今日は試験を行うようだ。
ここはドーム状になっていて天井がある、恐らく俺のルーラ対策だろう。
ルーラできちゃったら初手でクリア確実だもんね。
そしてA組のみんなから一歩前に出ている俺の手元には先ほどくじ引きの箱から引いた『20』と書かれているボールがある。
ちなみに俺の横では紫のモギモギが頭を抱えている。
こう見るとブドウにしか見えないなコイツ。
そんな俺たちの目の前には威圧感マシマシの筋骨隆々、オールマイトが立っている。
相澤先生が口を開いた。
「はい、というわけでくじ引きの結果、勇間のペアは峰田に決定。あと相手はオールマイトな」
「HAHAHA!!よろしくな!勇間少年!峰田少年!」
「嫌だぁぁ!!なんでよりによってオイラなんだぁぁ!!!!しかも相手オールマイトじゃん!こええよぉぉ!!」
なんだか隣がうるさいが、どうやら俺の引いた20番は峰田の出席番号だったようで、ペアは峰田になった。
にしても相手はオールマイトか…
……うん、ちょっとワクワクするなコレ…!!
俺の相手がオールマイトと分かった時、真っ先に思い浮かんだのは始めてオールマイトと会ったヘドロヴィランとの戦いの日。
あの日に見せつけられた格の違い。
そこから今の俺ではどれほどまでにオールマイトに通用するのか、それを早く試したくて仕方ない。
相澤先生が言う
「うるさいぞ峰田、さっさと位置につけ、他の奴らはモニタールームで観戦だ。いくぞ」
そう言ってA組のみんなは相澤先生と共にこの場から去って行った。
今回の試験会場はUSJの中の倒壊エリアだ。
俺と峰田はその初期位置に着くために並んで歩く。
「おいどうすんだよ勇間ぁ…相手はあのオ、オールマイトだぞ…勝ち目あんのかよ?」
峰田が俺にそう話しかけてくる。
確かに峰田の言う通り、オールマイトはかなり手強い、先ほどはワクワクするなど言っていたが、冷静に考えれば相手はNo1、重りを付けているとはいえ、俺一人では絶対に勝てないだろう。
しかし、今回のペアが峰田ならば話は別だ、もしオールマイトが相手ならペアは峰田がいいと昨日からずっと考えていたんだ。
作戦ならいくらでも思いつく
「勝ち目はあるぞ峰田、今から作戦を話すから聞いてくれ、まずは…」
・
・
・
「…なるほど…あのオールマイト相手にうまく作戦がきまるかわからないけど確かにそれならオイラでもやれそうだ!」
一通り峰田に作戦を話すと、峰田もどうやら納得してくれたようだ。
そして峰田と話しているうちに初期位置に着いた。初期位置はUSJの倒壊エリアの最奥、ここからこのエリアを脱出するか、オールマイトに手錠を付けるのが俺たちの勝利条件。
倒壊エリアの地形は緑谷・爆豪が戦っていた地形と似ている。真ん中に一本大きな道路があり周りには大きな建物が崩壊した状態で建っている。
この真ん中の道を真っ直ぐ進めば恐らく出口…そしてこの先にオールマイトがいる。
どのくらい、通用するだろうか…
あとは始めるのを待つだけだ。
その時、峰田が口を開いた。
「なあ、さっきからずっと思ってたんだけど…」
「ん?どうした?」
「勇間なんでお前ずっとニヤニヤしてんだ?珍しい…でも男のニヤけ顔に需要は無いぞ?」
…どうやら顔に出てしまっていたようだ
・・・・・・・・・・・・・・
『準備はいいな?んじゃ始め』
相澤先生のぶっきらぼうなスタートの合図が辺りに響いた。
「よし峰田!それじゃあとりあえずは作戦通りに!」
俺がそう言うと峰田真ん中の大通りから脇道へと走って姿を消していった。
それを確認すると俺は2本の剣を抜く。
そして目を閉じて深呼吸
「すううう…はあああ…」
右手にはお馴染み『天空の剣』、左手には『破邪の剣』(発目「私が作りました!」)
ゆっくりと体中を巡る魔力の
その時
ドゴォォン!!
という大きな音が前方から聞こえるとともに突風が吹き荒れ、砂埃が舞う。
しかし俺は一歩も動かない。
(やっぱり、昨日と同じように正面からくるか…)
ゆっくりとその砂埃が晴れ、声が聞こえてくる。
「見つけたぞヒーロー!!来ないならこっちから行かせてもらうぞ!」
そう言って、オールマイトがコチラに駆けだそうと地面を蹴りつける脚に力を込めた。
その瞬間…
俺は大きく両方の剣を振りかぶり、唱える
「バギ…」
そして目一杯、剣を振りぬいた
「クロス!!」
テレレレレレレッ♪
小気味の良い音が辺りに響く、それと同時に振りぬいた双方の剣から大きく音を立て吹き荒れる竜巻が巻き起こる。
ギュォォォ!!
という凄まじい音を立てその2つの竜巻は交じり合いながら、前方のオールマイトへと襲い掛かる
自身に迫りくる巨大な2つの竜巻を見てオールマイトは言葉を零す。
「やるじゃないか勇間少年…だが…」
そしてオールマイトはコチラに接近しようとした足を止め、右腕を振りかぶる
「デトロイト…スマッシュ!!」
そう叫んで右腕を振りぬく。
ドンッ!!
という重い音が辺りに響き、その右腕から凄まじい風圧が繰り出される。
そしてその風圧は勇間が繰り出した竜巻を相殺する…
だけではなく、竜巻を打ち消してなお威力を保ち勇間に襲い掛かった。
「くッ…マジか…!!」
それを見た勇間は咄嗟に2本の剣を自身の前でクロスさせ、ガードの態勢を取る。
ビュオオ!!
そして襲い掛かる風圧を勇間はなんとか凌いだ。
再び舞った砂埃のなかからオールマイトが姿を現す。
勇間の『バギクロス』をいとも簡単に破って見せたオールマイトは口を開く。
「ヒーローよ!そのようなヤワな攻撃ではこの
それを見た勇間は思わず言葉が漏れる
「やべぇな…」
(魔力暴走のバギクロスだぞ?しかもパワーだけじゃ無い、相対して初めてわかるこの威圧感…でも…)
しかし、そんな勇間の表情は…
「俄然、燃える…!」
笑っていた
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おまけ くじ引きを待つ皆の反応
①青山「僕が引かれるだろうね!!だって僕は輝きすぎてるから!!」
②芦戸「お願い!引いて!このままだと林間合宿が…でも引かれちゃったら…勇間に……もう!なんか複雑だ!!」
③蛙吹「なんだか引かれる気がするわね…勇間ちゃんとはなんだか不思議な縁をかんじるもの」
④飯田「僕を引け勇間くん!!オールマイトと戦えるなどまたとない機会だ!!引いてほしい!!」
⑤勇間「ふてほど」
⑥麗日「た、確かに良い機会やもんね…!!勇間くんとも一回一緒に戦ってみたいし…」
⑦尾白「俺はどっちでもいいんだけど…引かれたら勇間のために全力でやらせてもらうよ!(いいヤツ)」
⑧上鳴「オールマイトと戦うのこええけどそんなこと言ってらんねェ!!俺を引け勇間!!」
⑨切島「勇間ァ!!!頼む!!!この通りだ!!(漢の土下座)」
⑩口田「……が、頑張りますっ(いいこ)」
⑪砂籐「頼む勇間!!引いてくれたら今度ケーキ作ってやっからよぉ!!」
⑫障子「選ばれたなら全力を尽くすのみだ」
⑬耳郎「ウチもどっちでもいいんだけど…まぁ勇間にはちょっと恩もあるし、引かれてやってもいいかな」
⑭瀬呂「俺、実はヤバい気がするから引いてくんねえかな…」
⑮常闇「運命に従うのみ…」
⑯轟 彼は勇間くんに引かれるのを確信して無言でウォーミングアップしています。
⑰葉隠「勇間くんとならオールマイト相手でも戦えるよ!ピシッと行くからまかして!」
⑱爆豪「おいこの貧乏くじピアス野郎!!俺を引き当てなかったらどうなるかわかってんだろうな!!アァ!?」boom!!
⑲緑谷「もし僕が勇間くんと組んでオールマイトと戦うとすればまずは勇間くんのバフを僕にもかけてもらってそれから二人で手分けして……いや共闘したほうが強いか?でも相手はオールマイトだしやっぱ(ry」
⑳峰田「オイラはもう合格してるし、相手はオールマイトとか絶対引かれたくねー!!でも確率は1/20だし大丈夫だろ!(フラグ)」
㉑八百万「私実は今日もし戦うことになった時のために勇間さんとの共闘のオペレーションをたくさん考えてきましたの!それを披露したいですわ!」
勇間「おっ…20番だ」
峰田「ギャァァァ!!!」
芦戸(あっ…これ私が引かれる流れじゃなかったんだ…1人で盛り上がっちゃって恥ずかしい…)
私生活が忙しく期間がかなり空いてしまいました。すいません。
今後もゆるりと投稿して行きますので、何卒よろしくお願いします。
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