遅くなりすいません。
ここすきやってくれる人に最大級の感謝をあげたいドラゴン(無理やり)です
今回も長いです。読んでくれたら嬉しいです。
9.メラ'
ある所に一人の少年がいた。
この世界の少年少女が多くが憧れるのは『ヒーロー』という職業。生まれ持った力を世のため人のために行使する。ヴィランを倒し、人々を救う姿は多くの子供たちを魅了しただろう。
そんな『ヒーロー』の中でも子供たちが憧れるのは「オールマイト」や「エンデヴァー」、「ベストジーニスト」などといったトップヒーロー達
しかしこの少年は違った、彼が憧れたのはオールマイトでもエンデヴァーでもない
画面の向こうの世界
生まれ持った使命を背負い
己の危険を顧みず
『剣』と『魔法』で悪に立ち向かう。
『勇者』に憧れた少年がいた、個性がはびこるこの世界では、魔法などの常識外れの力は日常にありふれている。
そのためか、そういったRPGのゲームはそこまで人気ではなく、一部の熱狂的なファンによって支えられているコンテンツだった。
しかし、その少年は魔王に支配された世界でたった一人立ち上がり、仲間と共に魔王を倒す。そんな勇敢な『勇者』にひどく魅了されていた。
「俺!大きくなったら世界を救うんだ!この勇者みたいにカッコよく!!」
これが少年の口癖だった、その辺に落ちている木の棒を剣に見立てて掲げ、そんなことを言う息子を両親は微笑ましく思い
「がんばってね、****ならなれるわ、だって…」
「****はすごいな~、絶対なれるさ、なんてったて…」
「私たちの自慢の息子だもの!」
「俺たちの自慢の息子だからな!」
そう言うと
「うん!!」
と力いっぱいうなずく少年、彼は幸せだった。
・・・・・・・・・・・
少年に個性が発現した
ある日突然少年の頭に浮かんだ言葉の羅列
「メラ」
少年はそのまま口に出すと掌から小さな火の玉が生まれる、それは空中をふわふわと進みしばらくすると、だんだん小さくなりやがて消えた。
少年は喜んだ、自分の憧れた人物と同じような能力が自分に発現したのだ、うれしくないはずがない、
少年は自宅に向け走る、早くこのことを両親に教えたかった。きっと喜んでくれる、きっと褒めてくれる、そんな気持ちが少年の足を速める
自宅に到着し、玄関を勢いよく開ける…その前に少年は自分が本当に個性が発現したのか、これは夢ではないかなと不安になった。
もし両親の前でさっきのが出来なかったらぬか喜びさせてしまうだけだ
少し庭で試し打ちしてみよう。
そう思った少年は庭でもう一度呪文を唱える。
「メラ!」
少年は少し浮かれていた、自分の能力が発現したこと、その力が自分の思い通りのものだったこと
それに彼は幼かった、知らなかった。自分の力がどれほどのものか、よくわからない力を無闇に使うとどうなるのか
自分の中に流れる、これまでに感じたことのない力の『流れ』、その『流れ』が初めて力を使った時よりも明らかに激しかった。
そう感じたのも束の間、少年の手からは先ほどの数倍はあろう大きな火の玉が発生する、その勢いに少年は大きくよろめき火の玉はあらぬ方向へと発射される
それは住宅へと着弾する、自分が生まれ育った家、休日で両親がまだ中にいる家。
瞬く間にその炎は家全体に広がる、ギラギラと燃える炎を見て、少年は
(中にまだお父さんとお母さんが…俺のせいだ…俺が調子に乗ってしまったからだ)
(早く助けないと…こんな時勇者なら…勇者なら…)
そんなことを考える、しかしその足は想いとは裏腹に全く動かない
(こわい…こわい…)
(俺はただお父さんとお母さんの喜ぶ顔が見たかっただけだ)
ウゥーウゥー
どこからかサイレンが聞こえる、しかし少年は燃える家を呆然と眺め続ける
家が崩れだす
(俺は・・・・)
両親が燃え上がる家から出てくる気配は無い
(俺はただ・・・・)
「おい!そこの少年!大丈夫か!?」
消防服に身を包む大人が声をかけながら走り寄ってくる
(俺はただ…『勇者』になりたかっただけだ…)
・・・・・・・・・・・
翌日、ニュースが流れる
「3歳の少年の個性事故、少年の自宅は全焼、本人の容態に別状はありませんが、少年の両親の遺体が発見されたとのことです。ことの発端は・・・・」
そんなニュースは全国で報道され、一躍話題となった
両親を亡くした少年は親戚に引き取られるはずだったが、両親を焼き殺した子供など預かれない。と引き取る者はおらず、児童養護施設に入る事となった。
施設でも少年には誰も寄り付かなかった。
やがて心を閉ざした少年、あの頃の夢見る少年の明るさは見る影もなかった。
里親も現れず、年月が過ぎ去る
(俺はこれからずっと一人なんだ、こんな俺が勇者なんて馬鹿な話だったんだ)
あれから個性は一回も使用していない
(このまま一人で生きていくならいっそ…)
そんな時だった
「どうしたんだい?少年」
一人の大人が少年に声をかけた
「そんなに浮かない顔をして?」
少年は声を上げる
「俺のせいなんだ、俺が…」
「全部知ってるさ****くん、これまで大変だっただろう」
自分の名を呼ばれた少年は顔を上げる
俺への心配の言葉なんて何年振りにかけられただろうか…
そう考えると少年は思いが溢れる
「俺は…!俺は…ただ…!」
「勇者に…」
そう言いかけると大人は言う
「それも知っているさ、そして君の能力は素晴らしい」
「そこでだ、君のその力を僕が使ってあげよう。僕の言う通りにしなさい」
「そしてなって欲しいんだ」
「僕の勇者に」
そう言いを差し伸べる大人の人
(勇者に…なれる??俺が?)
そう考えていると大人の人が再び口を開く
「何も考えなくていい、僕の言う通りにすれば、君の夢は叶う。もう君は一人じゃない…」
「もう大丈夫、僕がいる」
そういった大人の人の手を少年は…
・・・・・・・・・・・
(あたまがいたい、あつい)
(もう何もわからない、俺にちかづくな)
たくさんの人に囲まれながら俺は思う
(ぜんぶこわす、もうわからない、なんでこうなった)
朦朧とする意識の中、声が聞こえる
「メラミ!!」
炎が飛んでくる、咄嗟に避けようとするが、当たってしまう
(あつい、たすけて、あついあついあつい)
「皆!!治ったぞ!!」
火を出してきた奴がそう叫ぶ、なぜかあいつの声はよく聞こえる
「行けぇぇ!○○」「やっちまえ!○○!!」「いけるぞ!!○○!!」
ぼんやりと周りからも声が聞こえる
(なんだ…どうなってるんだ)
「行くぞ!!ライデイン!!」
そう叫びこちらに走るその男
煌めく稲妻をその剣に纏い、仲間の声援をその背に受けて、駆ける。
『剣』と『魔法』で悪に立ち向かう。
その姿はまるで…
まるで…
なんで俺じゃないんだ、なんでお前なんだ、どこが違った?どこで間違えた?なんで??なんで??
なんで
「なんでお前だけなんだ」
・・・・・・・・・・・
屋内対人戦闘訓練にて、完璧な勝利を収めた俺と梅雨ちゃんは皆が待つモニタールームへと足を進める。
ところでさっきから梅雨ちゃんに「やったな!」とか「ちゃんと勝てたな!!」とか話しかけているのに素っ気なく返されているように感じるのだが、気のせいだろうか(気のせいではない)
そしてモニタールームに到着する
「すごかったね!!勇間君!」
と言い真っ先にこちらに走り寄る緑谷
「勇間君の個性は本当に汎用性が高いね、この前指を治してもらった時からずっと考えていたんだけど、風以外にも炎や氷、光をあそこまで自由自在に使えるなんて、でもそんなに能力をたくさん使えるんだ、デメリットはどこかにあるはずだよね??僕の考えでは…」ブツブツ
なんか怖いなこいつ…
そんなことを考えながら緑谷を眺めていると
「すごかったぜ!勇間!」
「ナイスファイトだったよー!!」
「蛙吹もいい仕事してたな!!」
「勇間あぁぁぁぁぁぁぁぁあぁ!」
と皆の賞賛の声が聞こえる
端っこで紫の物体が何やら叫んでいる気もするが気のせいだろう(だから気のせいではない)
「皆!静粛にな!!」
とそんな中オールマイトが声を上げた
シン…と静まり返る一同を確認しオールマイトは続ける
「それでは諸君!講評の時間だ!」
「今戦のベストは勇間少年だ!何故だかわかる人!!」
そうオールマイトは言う
俺がなんだか照れくさいなと思う暇もなく一人の少女が手を上げ発言する
「ハイ、オールマイト先生」
「今回の戦闘、ヴィランチームもヒーローチームもそれぞれの状況設定に順応し、しっかりと作戦を組んで望めていましたわ、特にヴィランチーム、暗闇で力を増す常闇さんを暗い廊下で配置し迎撃担当に、そして核のある部屋では、瀬呂さんのテープを張り巡らして核に近寄らせないようにし、近接の得意な切島さんも部屋に配置し近接担当にと、十分な作戦でした。」
「それを一つ一つ冷静に対処して核の部屋を探し当て、蛙吹さんと共有、回収をして見せた勇間さんが今戦のベスト…これくらいは誰でもわかりますわ。」
「しいて言うならば、瀬呂さん切島さんがテープの対処をされた後何もできていませんでしたわ。何か突破された時の保険のようなものを用意していても良かったかと」
そうまくしたてる八百万
少しシュンとする、瀬呂、切島そして
(思っていた以上に言われた!!)とでも言いたげな顔のオールマイト
「ゴホンッ!まぁ正解だよ!!素晴らしいな八百万少女!!落ち込んでいる瀬呂少年も切島少年も初めてとは思えないほどの動きだった!自信をもっていいぞ!!」
そう言うオールマイトに「当然ですわ!」と言うような顔でフンスと息を漏らす八百万。
いやこいつなんちゅう格好しとんねん
改めて八百万の格好を生で見ると思わず関西弁が出てしまった…
そんなバカなことを考えているとオールマイトが口を開く
「それでは気を取り直して次の試合に行くとしよう!!次戦うのはこいつらだ!!」
そしてくじを引くオールマイト
取り出されたボールに書かれているのは
「『A』コンビがヒーロー!!『D』コンビがヴィランだ!!」
緑谷と爆豪のチームだ、たしかこの勝負…
緑谷の個性を目の当たりにした爆豪が冷静さをなくし、緑谷の戦略によって負けてしまったはずだ。
俺はこの2人の関係に口を出すつもりはない、
しかし
「おい爆豪、あんまりカッとなんなよ」
「わーってる」
爆豪は俺の好敵手なんだ、負けるとわかっていて口を出さないわけにはいかない
あの一言で何が変わるのかはわからないが…
俺は爆豪の背中を見送った。
・・・・・・・・・・・
あれから爆豪はやはり負けてしまった。
原作とは違い、自分の右の大振りの癖が見抜かれていることに気づいたり、無茶な攻撃や、緑谷を痛めつけるということはなかった。
冷静に緑谷を追い詰めていたのだが、最後の最後で言い合いになった。そこでどんな言い合いがあったのか、俺にはわからない
カッとなった爆豪の右の大振りを緑谷は読み切り、それに合わせ原作のように上空にスマッシュを放ち勝利していた。
それから、爆豪は何も喋らず、他の試合を眺めていた。
そして放課後
教室で今日の訓練についての反省会を行っていた
「いやぁ勇間!お前の攻撃!かなり重くて漢!って感じしたぜ!!」
俺は切島と今日の試合を振り返る
「いや、切島もタフだった。結構全力でやったんだが、耐えられるとはな」(話し方固)
「勇間、先の試合で使用していた剣詳しく見せてくれないか??」
常闇も会話に混ざろうとする
「ああ、あとで見せてやるよ」
俺がそう返すとその時
何も言わずに教室から出ようとする爆豪が目に入った
そんな爆豪に切島が言う
「ばくごー!もう帰るのか!?」
するとそれに続き芦戸も言う
「皆でもっと反省会しよーよー!」
しかし爆豪はそんな言葉に目もくれずに
ガラッと扉を開け、帰る
そんな爆豪を見て俺は
「ごめん、俺も先帰る」
と言い爆豪の後を追う
たしかこの後、緑谷が追いかけてきて、そこでかなり大切なことを爆豪に伝えていた気がする。詳しくはあまり覚えていないが…
俺は足早に爆豪とは違う廊下を歩き、爆豪よりも早く校門に着くそして校門の前で待つことにした。
しばらく待つと爆豪の怒声が聞こえてくる
「今日俺はてめェに負けた!!そんだけだろうが!!そんだけ…」
「氷の奴見てっ!!敵わねえんじゃって思っちまった…!!ポニーテールの奴の言うことに納得しちまった…クソッ!!」
「ピアスの戦い見てっ!アイツに勝てる日が本当に来るのか不安になっちまった!!」
「クソが!!クッソ!!なぁ!てめェもだ…!!デク!!」
「こっからだ!!俺は…!!こっから…いいか!?」
「俺はここで一番になってやる!!」
「俺に勝つなんて、二度とねえからな!!クソが!」
…
爆豪がそんなことを思っていたとは…
これまで爆豪との訓練では頑なに負けを認めなかった爆豪、思い出すのは初めて戦ったあの日のこと
たしかあの日も爆豪は負けを認めなかった。結局引き分けということになったのだが…
『俺が勝ったらくそピアスとはもう呼ぶな』
思えばあれから、爆豪は俺のことをピアスやピアス野郎とは呼んでも、くそピアスとは呼ばない
そんなことを考えていると、オールマイトの声も少し聞こえる
しかしどうやらオールマイトが励ますまでもなく、爆豪はもう前を向いているようだ
そして爆豪が校門から出ようと歩く、校門前で待つ俺に気づかずに通り過ぎる爆豪に俺は声をかける
「おい!爆豪!!」
すると爆豪は驚いたように振り返る
「なッ!ピアス!?てめェ教室にいたハズ…」
「てか!!てめェさっきの話聞いてねぇだろうなァ!?」
と爆豪はゴシゴシと目元を拭きながら俺に問う
「聞いてたって言ったら??」
俺は軽く笑いながら言う
「コロス!!」booom!!boom!
と掌を爆発させる爆豪
「…なんも聞いてねえよ、てかなんか話してたのかさっき??」
俺が言う
「てめェ…」
爆豪は何か言いたげだが俺は言う
「そんなことより…」
「ハンバーガー奢れよ爆豪」
そう言って俺は歩き出す
「入試の時、ヴィランPではお前に俺は
「俺だけ奢ったままだと不公平だろ!行くぞ!だが今後もドンドンお前に奢らせてやるから覚悟しとけよ!」
そう俺が続けると
「…」
しばらく黙る爆豪だったが
「…ケッ、奢りまくるのはてめェのほうだわピアス野郎がァ!」
といつもの調子で爆豪は言い、俺の後に続く
そうこなくちゃな
だって、お前は俺の
好敵手なんだから…
・・・・・・・・・・・
今日は色々あった
まぁ色々と言っても学級委員長を決めただけなのだが
なんやかんやで緑谷が委員長、八百万が副委員長となった。
しかしその日の昼休み
俺が焦凍と雄英の学食の蕎麦について談義していると
ウゥーーー!!
というサイレンが鳴った、逃げ惑う生徒達、たしかこれはマスコミが雄英に侵入してきただけだったハズだ。今日だったのか…
生徒たちに揉みくちゃにされる俺と焦凍、しかし焦凍は揉みくちゃにされながらも蕎麦の器を離さずに蕎麦をすすっていた
「コラッ!行儀悪いでしょ」
「悪い、でも蕎麦が…」
なんて奴だ…
そんな時
俺たちの頭上を物凄い速度で回転する影が見えた
そして
バコン!!
と言う音とともに壁に張り付く、そして
「皆さん…大丈ー夫!!」
と叫ぶ飯田の姿があった。その後は飯田のおかげもあり、なんとか生徒たちも沈静化することとなった。
・・・・・・・・・・・
結局、緑谷の提案により委員長は飯田が務めることとなった
「委員長の指名ならば仕方あるまい!!」
ドンマイ八百万、今度見てると落ち着く観葉植物を紹介してやろう(いらんやろ)
・・・・・・・・・・・
そしてしばらく日が流れる
爆豪と学食の麻婆豆腐について談義したり
八百万に観葉植物を紹介すると案外嬉しそうに話してくれたり(なんで?)
焦凍の家で改めて冬美さんの四川麻婆の完成度に感動したり
そして…
「今日のヒーロー基礎学だが…災害水難なんでもござれ、人命救助訓練だ!!」
ついに来たか…俺の原作の最後の記憶であるUSJ
たしかオールマイトが活動限界ギリギリまで活動してしまい、到着が遅れる、その間に相澤先生、13号先生が大けがを負ってしまうのだ
できるのであれば事前に防ぎたかったが、このことを雄英に言おうにも
なんでお前が知ってるんだよ
と相手にしてくれないだろうし、内通者だと疑われてしまう可能性もある
だが幸い俺には呪文がある
今回の作戦としてはUSJに入り、ヴィランを確認した瞬間に『リレミト』からの『ルーラ』で校舎に戻り、応援を呼ぶというものだ、これなら原作よりも圧倒的に早くプロヒーローの応援を呼べるはずだ
俺がそんなことを考えていると相澤先生の説明はもう終わっており、皆コスチュームに着替えに行こうとしていた。
俺もいかなければ…
・・・・・・・・・・・
コスチュームを装備し、バスに乗る、今回は『天空の剣』だけではなく『ロトの剣』も一応腰に差している、何やら嫌な予感がするのだ
バスに乗るとき何やら委員長が張り切って整列させてから乗車させようとしていたがバスの形状を見るにその必要はなかったようだ
「こういうタイプだった、くそう!!」
残念がる委員長を憂いつつも、なんとなく梅雨ちゃんの隣に腰を掛ける
今回の作戦、大丈夫だろうか??恐らくうまくいくと思うが、なんだか嫌な予感が拭えない、もし失敗したならば相澤先生、13号先生が重傷を負ってしまう、もしかしたら俺の影響で他の生徒も…
失敗はできない、これは俺にしかできないことなんだ
「勇間ちゃん」
やはり失敗したときのために他の作戦も考えるべきだろうか??いや思いつかない、どうしたものか
「勇間ちゃん!」
「あっ、え?」
梅雨ちゃんの大きな声で俺は自分が呼ばれていることに気が付く
「な、なに??」
動揺して変な言葉遣いになる
「驚きすぎよ勇間ちゃん、今派手で強いって言ったら轟ちゃんと爆豪ちゃんと勇間ちゃんねっていうお話をしてたのだけど…」
梅雨ちゃんが説明をしてくれる
「そうだぜ!勇間!!お前の個性の派手さと汎用性はいいよな!」
「俺の『硬化』は対人じゃ強えけど、いかんせん地味なんだよなー」
そう言う切島に俺は言う
「いやでも十分プロに通用する個性だろ、倒れないってのはカッコいいと思うぜ」
「プロなーしかしやっぱ…」
「僕のネビルレーザーは…」
「でも…」
と皆は談笑に移る
すると隣の梅雨ちゃんが
「勇間ちゃん?大丈夫なの?様子がおかしいわ」
と心配そうに俺に話しかけてくる
鋭いな
「別にいつも通りだけど…」
俺がそう答えると
ジー
とこちらを見つめる梅雨ちゃん
いやなんか見つめられると照れるな…
俺は見つめ返す、梅雨ちゃんと目が合うと少しいたずらでもしてやろうかという気持ちになった
俺は梅雨ちゃんの目を見つめながらフッと微笑み
ばちこーん☆とウインクをかました、すると梅雨ちゃんは
ペチン!
と俺の顔面を舌で軽くたたき
「心配して損したわ」
と言いながらそっぽを向いた
地味に痛い…
「あれ?蛙吹なんか顔赤くねぇk「もう着くぞいい加減にしとけよ…」
「「「ハイ!!」」」ビシッ
切島が俺たちの様子を見て何か言いかけていたが、その時相澤先生からの活が入った
・・・・・・・・・・・
そして目的地のUSJに到着する、バスから降りると13号先生が待っていた
何やら
ウソの災害や事故ルーム
でUSJらしい、無理やり感が否めないな…
そんなことを考えていると13号先生は話し出す
「えー初める前に小言を一つ二つ…三つ…」
増えるな…
もうすぐ始まるんだ、俺がうまくやらないと相澤先生とこの人が…
俺たちに個性の危険性と使い方次第で救助に使うことができるということを説明する13号先生をみる
「…君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない」
「助けるためにあるのだと心得て帰って下さいな」
「以上、ご清聴ありがとうございました」
そう言う13号先生に向け賞賛の声を上げるA組一同
「そんじゃあまずは…」
それに目もくれずに授業を進めようとする相澤先生、しかしその時だった
ズズ…
と言う音と共にUSJ中心の噴水の前に黒い渦が現れる
来たかっ!
それにいち早く気付いた相澤先生は叫ぶ
「一塊になって動くな!あれは…」
「ヴィランだ…」
黒い渦から現れる手が大量についた人物を確認する、たしか死柄木といったはずだ
やるしかない…!
「勇間!!!」
相澤先生はこちらに向け声を上げる
「ハイ!」
「リレm「ヴァボボォーン!」
リレミトを唱える直前俺たちの正面に黒い靄が現れ、そこから何か声が聞こえ俺の呪文を遮るそしてその瞬間、避ける間もなく、円状の波動のようなものが俺たちを通過する。
「何をされた!!お前ら無事か!?」
相澤先生は叫ぶ
「いや…俺たちは」
「特には、個性も使えるし」
他の皆も異常はなさそうだ
問題は俺だ、
「・・・!」
「・・・ッ!!」
『リレミト』が唱えられない、というか体を流れる魔力の『流れ』が完全に止まった
「相澤先生!!すいません!呪文が使えません!!」
「何!??」
相澤先生は驚きの声を上げる
「勇間だけ個性封じ??」
「んだそれどんな個性だよ!!」
A組の皆はなぜ俺の個性だけが封じられたのか分からずにざわつく
しかし、この中で俺だけが知っている、
個性を封じられたというよりは呪文を封じられたといった方が正しいだろう
これは…この個性は…
いや、この呪文は
『マホトーン』だ…
・・・・・・・・・・・
まさか、俺以外にも呪文を使うやつがいるなんて…
それもヴィラン側…
俺の呪文が使えないと分かった相澤先生は声を上げる
「13号避難開始!学校に連絡を試せ!」
「上鳴!お前も個性で連絡を試せ」
そう言って相澤先生はゴーグルを装備し、最もヴィランの多い噴水方向へ行こうとする
「先生一人で戦うんですか??」
「イレイザーヘッドの戦闘スタイルは個性を消してからの捕縛だ、正面戦闘は…」
緑谷がそう言うと
「一芸だけじゃヒーローは務まらん」
そう言って飛び出す
そしてその間に避難をしようとする俺たちの前に
再び黒い靄が現れる
「させませんよ」
黒い靄は話す
「初めまして、我々はヴィラン連合、僭越ながら…この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせていただいたのは…」
「平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして」
全員がその言葉に戦慄する
「私の役目はこれ…」
と言った瞬間に俺は地面を踏み抜く
呪文は封じられても、これまで培った『ちから』・『すばやさ』のステータスは健在だ!
爆豪、切島も同じタイミングで攻撃を仕掛ける
booom!!sklit!!swish!!
しかし手応えは感じられない
「その前に俺たちにやられることは、考えてなかったか!?」
「危ない危ない…そう…生徒といえど優秀な金の卵」
「散らして、殺す」
そう言うと、靄が大きく俺たちを包む
クソっ!
呪文の使えない今、何もすることができない…
俺はなすすべなく、靄に飲み込まれる…
・・・・・・・・・・・
俺がワープした先は…周りが燃え盛る火災ゾーンだった
まあ建物が燃えているだけで道路は燃えてないのでそこまで燃え盛るといった感じではないのだが…
周りを見渡すが俺以外の生徒は見当たらない
一人か…
とりあえず相澤先生を助けに中心を目指すか
そう考えた瞬間―
「ヴェラゾォーバ!」
という叫び声が聞こえた、燃え盛る建物の屋上から
大きい炎の玉が飛んでくる
とっさにバックステップで避ける
そして、炎の玉の発生源を見やる
しかしそこには何もいない
ザッ
背後に足音が聞こえた、と思ったその時
ドゴッ
という音と共に背中に物凄い衝撃が来る
殴られた!!と分かったのは吹っ飛び建物に体をぶつけた後のことだった。
速い…
そう感じながらも立ち上がる
そして自分を殴った張本人を捉える
むき出しの脳に長い髪の毛,黒い巨体が目に入る、およそ人間とは思えない姿、しかし俺には見覚えがある
脳無だ…
しかし俺が知っているオールマイトと戦った脳無よりはやや細身で髪の毛がある
そのように観察していると、その脳無はこちらに手を向け口を開く
「ヴァギグロス!」
俺はとっさに左腕に装備する盾を構える
ゴォォォ!!
という凄まじい風が俺を襲う、何とか盾と脚力で踏ん張りながら、俺は考える
間違いない…
こいつだ、こいつが俺以外の呪文使いだ!!
恐らくこの呪文は『バギクロス』
俺が使う『バギマ』の上位にあたる呪文だ
何とかバギクロスを耐えるも、踏ん張りすぎで体に力が入らない
脳無が俺のほうに向けて駆ける
俺は何とか反応し剣で防御する、
ギィン!
俺はよろめく、パワーも凄いとは…
呪文でも、速さでも、パワーでも負けている
なんなら呪文も今は使えない
『完全上位互換』『絶対絶命』
そういった言葉が頭によぎる
しかし、不思議と絶望はしない
俺は思い出した、ドラクエで一番楽しい瞬間は、格上のボスを何とか試行錯誤して討伐した瞬間だった。
最近戦う相手に圧倒的な格上がいなかったので忘れていた。
俺は左腕の盾を外し、『ロトの剣』を抜く
右手に『天空の剣』、左手に『ロトの剣』(違う)ドラクエファンにとってはたまらない状況に俺はこんな時だというのに顔がニヤつく
「さぁ経験値になってもらおうか!!」
そう言って俺は駆けだす
そんな俺を見て、俺に向けて両手を出す脳無
「ヴェラゾォーバ!」
と唱える、恐らく『メラゾーマ』なのだろう、こんなの当たれば普通に即死だが、来ると分かれば簡単に避けられる
メラゾーマをかわし、伸ばしている腕めがけて左腕を振るう
ギャキーン
硬ッ!
しかし腕をはじくくらいはできたようだ、無防備な顔面に俺は本命の右腕を振るう
ギィィィン
硬ッ!(2回目)なんか脳むき出しで弱点かと思ったがどうやら違うようだ…
脳無は後ろにステップを取り距離をとる
やはり…
俺がさっき距離を詰めたとき、脳無は両手で「ため」が必要な『メラゾーマ』を打ってきた
脳無のフィジカルを考えると呪文ではなく近接戦闘で対抗するのがベストなハズ
つまりこの脳無は戦いなれていない、自分の能力と相手の能力の差が分かってない、状況の判断能力が低いんだ。
戦闘経験少ないくせに俺より強い呪文使えるとかチーターかよ!
しかし、それならやりようはある
「来いよ!」
俺は距離をとる脳無を挑発する。
すると脳無は単調に俺に向けて突っ込んでくる、速いが真っ直ぐすぎる!!
俺は2本の剣をクロスさせ、両の足を地面に突き刺すように踏ん張る、
脳無の繰り出す拳を受ける
ギィィィィィン!!!
物凄い衝撃が体を駆け巡るが備えていたこともあり剣の交差した部分で受けきる
そしてニヤリと俺は笑う
俺は生命エネルギーを二本の剣によりできた十字架に注ぐ
「グランドクルス!!」
クロスした2本の剣からまばゆく輝く光が溢れる
『グランドクルス』は生命のエネルギーを攻撃用エネルギー・闘気に代え、剣、槍などで作った十字状のものから放つ光線のような攻撃だ
MPが使えないこの状況ではこの技しかない…
「ググァァ!!」
至近距離でグランドクルスを喰らった脳無が雄叫びを上げる
そして光が消える
「ハァハァハァ」
この技は生命エネルギーを用いるため、乱用はできない。もう今日はこの一発以外は打てないだろう、一発撃っただけでもかなりの体力消費だ…
そして光の中から脳無が現れる
その姿は…
体の右側が十字状に跡形もなく消滅した姿であり、右足がない為バランスが取れずに脳無は倒れる
…やりすぎた??これ??
しかしほぼ半身となった脳無はいまだにもぞもぞと動き回る
おいおいおい
まさか…
そしてズルッと左の半身から右半身を再生させる
やっぱりこいつも再生持ちか…たしかオールマイトと戦う脳無も再生があったハズだ…
俺そんな強いのと戦ってんの??
呑気にそんなことを考えている場合ではない体力がもうほぼ残っていないのだ…
これは…
脳無がこちらに向き直り、向かってくる。
そして今度は俺の左手に持つ『ロトの剣』目掛けてこぶしを振り下ろす
「なっ!?」
予想外の攻撃に俺は一瞬戸惑うその時、
ガキィィィ
という音と共に俺の『ロトの剣』(模造刀)が折れる
クソッこいつ学習してんのか?
武器が2本は危ないとさっきの攻撃から学んだんだ
『ロトの剣』を惜しむ暇もなく
「ヴァギグロス!」
俺は吹き飛ばされ、建物に背中から激突する。
「ガッ」
マズイ、今のはマズイ、体力もないし、今の攻撃で立ち上がれない
何とか目を開き脳無を視認する。
ゆっくりこちらに近づく…まるで俺がもう動けないのを知っているかのように
何かないか何かないか
俺は辺りを見渡す、
脳無がこちらに拳を振り下ろす
もうっダメか…
その時、
「勇間!!」
と言う声と共に
ピシャ
と脳無の体に酸をかける芦戸さんの姿が見えた
すると
「グォォォ」
と言いながら脳無は苦しむ
シュウゥゥという音と共に酸を浴びた脳無の体が溶けているようだ
そしてまたしても別の声が聞こえる
「ハァァ!!」
という声と共に尻尾で酸に苦しむ脳無を吹き飛ばす尾白だった
「大丈夫かよ!!勇間!!」
切島がそう言って走ってきて自分の肩を抱えて立ち上がらせてくれる
「助けに来たよ!!勇間!」
「助けに来たぞ!勇間!」
そう言ってこっちに駆け寄る尾白に芦戸さん
「あ、ありがとう…俺は…大丈夫…ではないな、やばい死ぬもう死ぬ」
助かった安心感から俺の口調が崩れる
「あれ??勇間の話し方ってこんな感じだっけ?もっとクールな感じじゃなかった??」
芦戸が聞いてくる
「今は…そんなことはどうでもいい…あいつだ…あいつを見ろ」
脳無のほうを見ると酸のダメージはもう回復したのか立ち上がりこちらを見ている
そして次の瞬間にはこちら目掛け突進してくる、標的は先ほど自分にダメージを与えた芦戸のようだ
「切島!芦戸だ!!」
「なッ‼ウルァ!!」ギィン
俺の声を聴いて咄嗟に芦戸の前に立ち体を固める切島
「ギィィィ」
と脳無の突進を受けて踏ん張る切島
「尾白!!芦戸さんをアイツから遠ざけろ!後ろから援護してもらう!」
「わかった!!」
と言い芦戸さんを抱えて尻尾で跳ねて距離をとる尾白
しかし、
「グワァァァ!!!」
と言い切島が吹き飛ばされる
そして脳無が尾白のほうを向く、
俺はおぼつかない足を奮い立たせ、脳無の前に立ちふさがる
しかしそんな様子の俺には目もくれず、尾白に向けて手を出す
そして
「ヴァギグロス!!」
と唱える尾白は風の刃をもろに受ける
「ガァァ!!」
そして芦戸さんを手放す
無防備な芦戸さん目掛けて脳無が駆ける
ダメだ、間に合わない…今の俺じゃ脳無には追い付けない…
脳無の拳が芦戸さんへ向け放たれる
その時
急激にこれまで回っていなかった魔力が体を駆け巡る
治った!!『マホトーン』が解けた!!なんか長いと思ってたんだよクソがッ!!
俺は掌を突き出し、これまで唱えられなかった分溜まりに溜まったMPを込め放つ
「メラミ!!!」
炎の玉が脳無目掛けて放たれる
芦戸に拳が当たる寸のところで脳無にメラミが直撃する、苦しみ、もがく脳無
ひとまず、芦戸は救えたようだ。
「ホイミ!」
その隙に俺は走れる程度に軽く自分を回復させる
そして声を上げる
「皆、治ったぞ!!」
「勇間…」「勇間!!」「勇間ァ!!!」
それぞれが俺の言葉に応える
そして
「行けぇぇ!勇間!!」
と叫ぶ芦戸さん
「やっちまえ!勇間ァ!!」
吠える切島
「いけるぞ!!勇間!!」
激励してくれる尾白
皆の想いを背に俺は唱える
「行くぞ!!ライデイン!!」
掲げた剣に雷鳴が落ちる
煌めく稲妻を纏った剣を携え、俺は脳無めがけて駆ける
脳無はなぜか避けるそぶりや反撃するそぶりを見せずにこちらをじっと見つめる
なんかわからんけどチャンスだ!
そして
「ギガ…」
剣を振るう、その時だった
脳無が口を開く…
「ナンデェオバエダゲナンダァ」
何かを言う脳無
ふと顔が目に入る、脳がむき出しの、人間とは思えないような顔
しかしその顔は
表情なんて無いはずなのに
俺にはやけに
悲しく見えた…
読んでいただきありがとうございます。
この世界には「ドラゴンクエスト」そのものはないですが酷似したゲームがあると言うことにしました。(ここだけの設定)
あと今回のタイトルはメラに'(プライム)を付けたものです間違いではないです。プライム記号の数学的な意味は、ご存知かもしれませんが、気になれば調べてみてください
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