なんで私が愛玩系ビーストに?! 作:随喜自在第三外法快楽天
その後キアラは、いえ一応こう言っておきましょうか、キアラ先生は私がキヴォトスで生活できるように世話してくれました。シャーレの居住区に私の部屋を用意し、連邦生徒会に連絡して私の身分を用意し、そしてシャーレの部員として、改めて私を迎え入れてくれました。ちなみに身分証を作る際に必要になった名字についてですが、流石に元の世界での名字を名乗るというのはちょっとアレということで新しく作ることに。私はなんにも思いつかず、小っ恥ずかしいながらも「間桐」と名乗ることにしました。高校1年生、間桐カーマです。キラキラですね。
そしてそんな私が生きていけるようにするための諸々の手続きや作業が終わったのはすっかり日が暮れたあとでした。25階の窓の外にはキラキラと光る星とサンクトゥムタワーを中心とするヘイローが見えています。最後の書類に「間桐カーマ」と署名した私はふーっと息を吐きながら、ぐぐっと背伸びしました。こんな風に言うと私が頑張ったみたいに見えますが、実際に色々とやってくれたのは前述の通りキアラ先生です。「医療に従事するとこのようなデスクワークにも強くなるのです」とは本人の談。正しいキアラに引っ張られているのでしょうか、ビーストとしてのキアラみたいな掴みどころのないような雰囲気はなく少し親しみやすい、そうですね、保健室の先生のような雰囲気でした。
ところで、それが人にやってもらった人間の態度か、もっと感謝する素振りを見せろというとても真っ当な指摘を想定しているんですが、これに関してはちゃんとした事情が。というか、さっきの「私は正しく、遍くを救うことで、このキヴォトスで絶頂へ至る、と」なんていう発言の後にちゃんと先生業務とかやってもらっても流石にちょっと怖さが勝ちます。これが彼女の壮大なアレの過程に過ぎないって言うんですから、時々見せる微笑みすら「こわっ」となります。要は「お前をオカズにするからな」宣言。多分身体のお陰で耐えてます。仕事そのものがまともなのに関しては「正しいキアラは真面目なんだなぁ」って感じでした。
しかし、私にもちゃんとした良識はあります。してもらった行為にちゃんとお礼を言うくらいの常識は持ち合わせているんです。ここで言う「行為」という言葉に一切の他意はないのでご安心下さい。というわけで私は今の身体であるカーマ、の更に依代であるFate/Staynight Heaven's Feelのヒロイン、間桐桜の家事力で紅茶を入れました。もし桜がカーマの依代でなれけば危ないところだったと思います。おそらく色と香りのついただけの水が出来ていたことでしょう。
「はい、どうぞ。毒とかは入れてないので安心してくださいね?キアラ先生」
「ふふっ。ではありがたく」
「何笑ってるんですか」
「いえ、私はともかく身体の方が、「先生」と呼ばれて悪い気はしない、と」
「……そうですか」
時計を見ると9時半。元の世界ではなんてことない、むしろこれからがお楽しみだといった時間帯ですが、あいにくにも今の私はロリカーマ。幼い身体に引っ張られる形で睡魔が脳の端っこの方から私を蝕んでいくのが現在進行系で実感できます。流石にこれ以上はシャーレ居住区の一角、私の部屋のベッドに向かう道中へ倒れそうな気がしてきました。私は自分の分の紅茶を悪足掻きのカフェインとして飲み干し、そして「お先に失礼させてもらいますね」とキアラ先生にぺこっと一礼しました。
「シャワーはエレベーターの左ですよ」
「了解です。おやすみなさい」
そして私はシャワーを浴び、部屋に備え付けられていたパジャマに着替えてキヴォトス初夜の眠りにつきました。
◇◇◇
翌朝、起きると少し身体が軽く思えました。一晩経って、おそらく精神としての私がカーマの身体にまた少し定着したんでしょう。分かる人に分かるようにいえばシンクロ率アップです。時計を見ると7時前。シャーレの業務開始時間が8時ですから、まだ1時間くらいの余裕があります。とりあえずご飯に行きましょう。
「ああ、カーマさん。おはようございます」
「おはようございま……って、朝からおはぎですか」
「ええ。糖分に炭水化物もしっかり取れます。合理的でしょう?」
「食べたいだけですよね」
そう言うとキアラ先生は何も答えず、代わりに「カーマさんもどうですか?」といくつか積まれたおはぎの1つをお皿に乗せて私の方へ差し出しました。「いえ、結構ですから」と拒否って代わりに食料棚の方へ。どうせ食パンくらいはあるでしょう、そう思って取っ手に手を伸ばすと同時、背後から彼女は「しかし」と私の方へ声を掛けました。
「これ以外ありませんよ?」
「はえっ!?いやそんなはずは……マジじゃないですか?!普通食パンくらい買っておきません?!」
「いえ、料理などはしませんし……」
「そこでズボラ発動しますぅ?!ああもう、いいです分かりました!今日から私がご飯作ります!そんなあんこまみれ、もち米>お米の食生活なんて送らせません!」
身体の依代から湧き上がる熱が、私にそう叫ばせました。そうです、いくら私が今ロリカーマの身体で甘い物が好みになろうとそんなのが三食なんてありえませんし耐えれません。幸いにも身体の依代の間桐桜はバリバリ家事出来るタイプのキャラクターです。問題ありません。私は仕方なく席につき、買い物までの腹ごしらえとして一度拒否したおはぎに口をつけました。
「そういえば、身体の調子はどうですか?カーマさん」
「まあ、昨日よりは調子良いと思いますよ。ロリカーマ二日目ですし」
「ふふっ、失礼します」
そう言ってキアラ先生は私の胸元辺りに手を伸ばし、数秒ほど長押しするように人差し指を押し付けました。そして私が新手のセクハラか、と少し警戒していると彼女は指を離して「なるほど」と口を開きました。
「……何してるんですか?」
「そうですね、有り体に言えば「ステータスチェック」と言ったところでしょうか」
「へー」
私は妙な納得感を覚えました。大体のゲームではキャラの性能を見たい時はそのキャラのアイコンを長押しする、という動作をすることがほとんどです。多分、彼女が今やったのはブルアカ特有の謎技術か
「結論から言えば、昨日貴女がおっしゃっていた通り、その身体は確かにサーヴァント、カーマが受肉したもので間違いありません。ただ、魔力が一切存在しない状態ではありますが」
「えっと、それはつまり……?」
「「サーヴァントと同様の肉体強度は持っているが、能動的に権能や特殊な能力は使えない状態」とでも申し上げましょうか。この世界で言えば、多少強いくらいの普通の生徒です」
あんまり良く分かりませんが、自分なりに解釈してみましょう。多分FGOのゲームシステム的に言うと「自分からスキルや宝具が使えない状態」的なものだと思います。実際そういうのが使えそうな感覚もありませんし。ただ、雰囲気的にクラススキルはありそうだなーっていうのも無くはないので「能動的に使えない」っていう説明をされたんでしょう。
まとめれば、今の私は「間桐カーマ」というサーヴァントのカーマをモチーフ、ブルアカ風に言えば「神秘」として持った、シャーレ所属の高校1年生というわけです。混沌としてきた、というのが私の感想でした。そして想像から現実へ意識を引っ張り戻し、私はもう一つ、おはぎを頬張りました。
「とりあえず、食べ終わったら買い物行きますからね」
「ええ。私もお供いたします」
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