ブルアカ短編シリーズ   作:ハクスナ

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 ある日のこと。シャーレ宛にメールが送られてくる。宛先はトリニティ総合学園。先生は理由もわからぬまま、トリニティへと足を運んだのであった。

 こんばんわ、こんちは毎度おなじみHAKUSUNAです!
今回もリクエスト作品です!最近は忙しいので多分これが今月最後ですね。今回は初の試みが多いのでちゃんと書けてるか心配…それでも良ければ読んでいってください!


鈍感先生とナギサ様のすれ違い

 

「こんにちは、先生」

 

 ある昼下がりのこと。燦々(さんさん)と輝く太陽に背を焼かれ、とある場所に向かっていた。長い道のりを終え、等々その目標が見えてくる。白く反射している校舎。少しずつ目的地に近づいているのがわかる。校門を抜けると最初に噴水が目に入る。噴水から噴き出す水はキラキラと星屑のように煌めいていた。しかし、噴水を見に来たわけじゃない。目的はこの先の建物にある。そして校舎の中へと入っていく。

 ここはキヴォトスでも有数な場所。そう、トリニティ総合学園。学園都市キヴォトスの中でも三大学園に数えられる由緒正しい学園だ。そしてここに用事があって来てみたのだが……

 生徒に案内をされるがまま目的地に辿り着く。二階にある大きなテラス。甘いお菓子や紅茶の香りが辺り一面に広がっている。空気そのものが絹のように柔らかくなったようだ。まるで童話の楽園を表していた。

 

「先生、ではごゆっくり」

 

 そう言うと案内をしてくれた生徒はそそくさと何処かに行ってしまった。やれやれと少しため息をつく。

 テラス一帯を見回す。長いテーブルの端に座る少女。サラサラとした髪がよそ風によって穏やかに揺れている。そのまま目線を顔に向けていくと視線が合う。少女はニコリと笑い会釈する。手元にはティーカップが置かれており、そこから香ばしい煙が立ち上る。二秒程の間をおいて少女は言ったのだ、可憐なる挨拶を。そして今に至る。

 

「今日はお忙しい中来ていただき、ありがとうございます」

 

 再度ニコリと笑い笑顔を見せる。彼女は桐藤ナギサ。このトリニティの生徒会長であり、ティーパーティーのホストを務める人物。今日、ここに来る理由を作ったのも彼女によるものだろう。

 さておき、何故呼ばれたのかは教えられていない。シャーレから送られてきたものは「先生に用事があるので来てもらいたい」と、ティーパーティーの要請があったからだ。ティーパーティーからの要請となれば何かあったのだろう。一番心配なのは厄介な事柄に巻き込まれないことだが――その心配はなさそうだ。ナギサを見ているとそこまで重い顔持ちではない。どちらかと言えば何処か楽しげに期待していると言った方がいい。

 テラスに吹き渡るよそ風。外の暑い空気とは全く違う環境に心地よさすら感じる。長い旅の果にたどり着いた旅人を労うような清涼感に満ち溢れていた。

 

「先生、立ち話もなんですし、隣の席に座ってください」

 

 よく見ると、ナギサとテーブルを挟んで二人が斜めに座れるようになっていた。言われた通りにその席に座れる。斜めに座っているのか、ナギサの綺麗な天使の羽が目に入る。テーブルの上には沢山のお菓子や茶葉が誘惑するように置かれていた。

 

「食べますか?」

 

 ナギサの甘い誘惑が襲う。香ばしい匂いが嗅覚を惑わせ、やがて脳に至る。次第に脳から出た命令が首を伝って指に渡る。気づかぬ内に手は口の方へ菓子を運んでいた。口に入ると伝わる甘い誘惑。そして一つ、また一つと菓子が口の中に入っていった。

 

「ふふ、いい食べっぷりですよ」

 

 気づけば皿にあったお菓子が半分ほど消えていた。ナギサに指摘されなければ、この皿にあるお菓子丸ごと食べていただろう。

 それに気づき顔を赤らめる。情けない自分の腹が揺れる。それは腰回りに緩やかなラインを刻んでいた。何故こうなったのか――簡単なことだった。デスクワークや日頃の運動不足や不摂生な食事。その他にも沢山の事柄が重なって積み上がって出来た情けない体型が生まれた。言い訳になるが、当然昔は体は引き締まってた。そりゃあ筋骨隆々で誰から見てもイケメン男――言い過ぎか……ともかく、昔よりも太ってしまった。このままでは糖尿病とか生活習慣病という今後の教師人生に関わる大きな課題になる。

 眉間にシワを滲ませ、遠くを見つめていた先生。時折(ときおり)、ため息をついては首を傾げていた。そのような仕草がナギサにも伝わったのだろうか優しい言葉を掛けてくる。

 

「先生?大丈夫ですか?」

 

 ナギサは優しいな。そんな感情が湧いてくる。でも、ここは心を鬼にして正さなければならない。大丈夫と、ナギサに言いながらも次の言葉を並べる。()()()()()()()()()()()()()

 そう言うとナギサは顔を赤らめる。しかし、冷静さを保ちながら言ったことに質問を投げかけた。

 

「先生、身を……固めるとは?……」

 

 ナギサは簡単な質問をしてくる。勿論、キヴォトス中を走ったり、部屋で熱い汗を掻きながら体を上下に動かす運動とか、様々な事が出来る。そうなことを言うと更に顔が赤くなるナギサ。そこまで恥ずかしがることがあるのだろうか?

 

「せ、先生も…そういうこと……するんですね…」

 

 明らかに言葉を引ずっていた。……もしかして。ある一つの答えに辿り着いた。そうだ、ナギサも一緒にダイエットがしたいんだ!確かによく見ていると紅茶やお菓子が多く目立つ。このままだと糖尿病のリスクが上がることは間違いない。生徒が一生そんなことで苦しんでほしくない。なら、ここは先生がリードして教えて上げなくはいけない。ナギサに一緒にやらないかと誘うことにした。

 

「い、一緒にっ!?先生…それは本当に…一緒にやるものなんですか……?」

 

 ナギサは驚きの表情を見せている。すると、顎に手を添えて考え始める。数十秒程考えたのだろうか、彼女は聞こえるか聞こえないかギリギリな小声で何かを言っていた。

 

「確かに――合同結婚式みたいなものもありますし……いやもしかして…………先生が……と?」

 

 微かに聞こえていたのは結婚式という言葉に聞こえる。だとしたら、もう婚約者がいるのもしれない。なら尚更早いほうがいいな。

 ナギサに近づき手を握る。顔どころか耳までを赤らめてしまったナギサ。瞬く間に朱色へと変わっていった。緊張や照れくさが込み上がるたびに、体をモジモジとさせ動揺がありありと伝わる。

 

「先生……その――今はダメですッ!」

 

 確かに早速とは言いづらい。こちらの準備も出来ていない。よし、じゃあ明日来るとしよう。そして握った手を離した。

 

「先生は……その…子供とかは…欲しいのですか?」

 

「欲しいなら…何人ほど……」

 

 えらく話が変わったな。子供か、忙しくてそんなことまで考えていなかった。確かに子供はいてもいい。平凡だけど男の子と女の子が二人ずつ。仲睦まじい奥さんがいればもう言うことはない。そんな未来があればの話だけど。

 ナギサはそれを聞くと「二人…」と小さな声で言った。そりゃあナギサも未来の自分について考えることもあるだろう。結婚して子供を産むのなら健康的な体な方がいい。そのためにも今ここでダイエットをしないとな!ナギサの未来の子供のためにもね。

 その後も色々な雑談をしていた。けど、終始「心ここにあらず」と、言い表すように何を言っても上の空だった。何時もは聞き手に回っていたが、今回は何故か話し手に回っている。更には彼女の待つティーカップが小刻みに震え、お菓子に手を付けていない。流石にここまで動揺しているナギサに心配を覚える。先程の話といい、今日のナギサは何処かおかしい。やっぱり女の子にダイエットを誘うのはタブーだったのだろうか。二○何年と生きてきた中でこれほど女性と関わる機会はなかった。しかし、このキヴォトスに来てからは違う。先生と言う立ち場があって、生徒と関わる機会がある。それもまだ若い女子生徒たちと。

 ナギサには悪いことをしてしまったのかもしれない。謝罪の意を込めた言葉をナギサに言った。ナギサはその大きな羽を使って顔を隠している。言葉が詰まりながらもナギサはこう言う。

 

「い、いえ…先生は……立派な大人だと…思います…」

 

「だから…その……なんと言うのでしょうか…」

 

 羽の隙間から見える顔は真っ赤と言っていい程赤面していた。ティーカップに入った紅茶も冷めてしまい、香りは消えていた。その二人の間に入るのはそよ風。風は二人の間を抜けていくと、また別の場所にでも行くよに去っていった。

 やはり言いづらいことがあるのだろう。しかし、このままではナギサが一番苦しんでしまうに違いない。糖尿病と言うものは死ぬまで一生付き纏ってくる。食べたい食べ物すら食べられずに生涯を苦しむ。それに加え体は段々と蝕まれていく。自分から()いた種によってその結果を受け入れざるを得なくなる。そんな未来をナギサには歩んで欲しいくない。そしてナギサも気づいたのかその言葉をだした。

  

「先生…こ、これから…よ、よろしくお願いしましゅ!」

 

 最後の最後で噛んでしまったナギサ。そういう所もナギサのいい所だろう。ともかく、本人の意思があるなら言うことはない。

 明日は動きやすい服の方がいいかな。なら体操服にナギサにも着てもらわないといけない。そんな意味も込めてナギサに伝える。

 

「た、たた体操服っ!?」

 

「先生…まさかもう……作ろうと言うことなのですか?」

 

 驚く必要がないところで驚いているナギサ。先程から変わらずに顔を真っ赤にさせている。何かおかしい事でも言ったのだろうか?確かに筋肉づくりにはなるけど……おかしな事は言ってないと思うのだが。やっぱり今日のナギサは何処か変だ。なんというか色気がある。

 そよ風が吹くたびに漂う香り。お菓子や紅茶とはまた違う香り。それは彼女の長い髪が揺れるたびに空気を伝っているのがわかる。いつの間にか一人の生徒ではなく、一人の女性として考えてしまっていた。

 

「そ…その、体操服じゃないとダメなのでしょうか?」

 

 言葉に詰まりながらも、自分の考えを言うナギサ。だがしかし、軽い運動ならまだしもダイエットはかなりの負荷が要求される。もし、制服のままでは汗が染み込んであまりいい思いはしないだろう。要は大量に汗を掻くと言うことだ。それをナギサに伝えた。

 

「大量に汗を掻くって……やっぱり…そういうことをするんですね………」

 

 含みがある表現だけど、大丈夫だろう。そう思ったのも束の間、ナギサの息遣いが荒くなり、胸が激しく上下いている。まるで全身が燃え上がるような熱気が彼女を包み込み、その場の空気が一層重くなった。声を発しようとも、喉が詰まり、言葉途絶える。恥ずかしさの頂点に達したのか、彼女は近くにあったロールケーキを手に取る。

 近づくナギサに後ずさる。気に触れることをしてしまったと考え、ひたすら謝る。だが、歩みを止めなかった。嫌な予感を感じてもここから止める術はない。ナギサの前では無力であった。

 

「うるさいです!!ロールケーキぶち込みますよっ!」

 

 赤面しながらも手に持っていたロールケーキを俺の口元に押し付ける。言葉と行動があっていないと思っても時すでに遅し。フルーツ系の甘さとスポンジの感触が口と顔中に感じれる。ロールケーキが半分ほど口に入ると、忽ちに原型がぐちゃぐちゃになる。残り半分は口周りや地面へと落ちていった。

 

「先生が悪いんですからね!」

 

「私はもう知りませんっ!」

 

 ナギサは怒りながらテラスを後にした。何が起きたのか分からず、唖然としていた。恐らくは五分後三分程は地面に突っ伏した状態でそうなっていだろう。しかし、その状況を破った者がいた。テラスの扉が開く。視線をそちらに向けるとそこにいたのミカだった。

 聖園ミカ、天真爛漫で明るい性格をしているのが特徴的だ。それにナギサとは幼馴染で長い付き合いもある。何故そんなミカがここに来たのかと聞く。ミカは手を差し伸べ、こう言っていた。

 

「あらら、ナギちゃんと喧嘩しちゃった?」

 

 どうやらナギサの姿を見てしまったらしい。ミカは苦笑いにながらもひょいと体を持ち上げてくれた。こんな体型でも簡単に持ち上げれるミカは流石だと思う。ともかく、今までのことをミカに伝えることにした。説明していくとミカは頷き、相槌をする。最後まで説明して今に至ること言った。

 

「ん〜……なるほどね」

 

「なんでナギちゃんが怒ったのかはわかったよ!」

 

「でも先生には教えてあーげないっ」

 

 勿体ぶるように言うミカ。聞き手の好奇心を巧みに操るかのようにその情報を渋っていた。彼女は顔に笑みを浮べ、笑っている。そして何故、真実を教えてくれいのか語った。

 

「だって言わない方が面白いことになりそうだから!」

 

「なんちゃって〜」

 

「安心して、ちゃんとナギちゃんには明日来るように説得してあげるから!」

 

 まるで手に秘められた宝石を守るように言いはぐらかすミカ。それは退屈な日常を面白くするための一時の戯言のように。まあ、ミカが説得してくれるなら大丈夫かな。ナギサとも仲が良いしこっちが出るよりも誤解なく伝わると思いたい。

 

「とりあえず明日は早く来てね!」

 

「ナギちゃんと二人で楽しくしてる所を私は見ていたいからっ!」

 

「それじゃ!先生、また明日!」

 

 話に上手く乗せられるうちに、いつの間にか太陽は傾いていた。トリニティの校門を出て空を見上げる。正に黄昏時の空模様。空は茜色に染まり、太陽はゆっくりと地平線の彼方へと沈んでいく。空に浮かぶ薄雲は、夕陽の光を受けて黄金色に輝き、地上に長く伸びる。そよ風は街路樹を揺らし、葉の間を抜ける音が微かに響く。烏や雀は一日の終りを知らせ、家路へと急いでいる。日も大分落ちてくると街灯が一つ、また一つと灯り始め、人々の足音が聞こえる。まるで楽園から現実に引き戻されるようにそこはとても偏屈な場所だった。

 

 早朝、空はまだ薄暗く、夜明け前の静寂がキヴォトスを包んでいた。予定通りに起床出来ることに喜びを感じながら歯を磨く。空気はひんやりと滲み渡り、手や足のつま先が冷たくなっている。そして寝ぼけた顔に一発水を掛けて目を擦る。雲雀(ひばり)が朝を知らせるように音を奏でる。支度を終わらせて早速トリニティへと向かう。

 朝と言っても人はたくさんいる。始業を知らせるようにビルの下にある店舗がシャッターを開ける。着実にキヴォトスは新しい一日を迎えていた。しかし、ビルに挟まれ、ここには日は差さない。歩き続け、ようやくトリニティに辿り着く。朝早く来たからか校門は閉まっており入ることはできない。何もできず唖然としていると、後ろから声を掛けられる。

 

「おはよー!せんせー!!」

 

 その声の主はミカだった。肩をビクリとさせて驚く。それがツボだったのかミカに笑われる。クスクスと笑われていると思い出したかのように言ってくる。

 

「そうそう、ナギちゃんはもう待ってるよ」

 

「裏口開けてあげるから行ってあげて〜」

 

 先程よりもニヤニヤとしながら裏口の鍵を開ける。扉が開いて中が見えてくる。人気すら感じられない学園。いや――それは間違いだ。この中にはナギサがただ一人で待っている。足を踏み出しナギサの下へ向かう。

 グラウンドに出ると、体操着姿の少女が一人ポツンとベンチに座っていた。駆け足で少女の元へと近づく。

 

「せ、先生!」

 

「昨日は…その――」

 

 両者が同じ言葉を投げかける謝罪の言葉。それを聞いた瞬間情けない声が二人から発せられる。未だ朝の冷たい空気が張り詰めている。沈黙は一分程の静寂を齎す。――しかし、沈黙はナギサの声によって破れた。

 

「その……昨日、夜に考えをまとめました」

 

「子供のこと、未来の私について」

 

「ですから…少し嬉しくてつい興奮してしまったみたいです」

 

 体操着姿のナギサは顔を赤らめながらも、やる気を見せている。体はどことなくモジモジと動き、今か今かと待ちわびている。ナギサは健康的な生活に向け、一歩を踏み出そうとしている。なら、少しでも役に立とうではないか。

 

「今日は…その……ミカさんに教えられてちゃんと履いてきたんですよ」

 

「だから…――の子供もために…が、頑張ります!」

 

 よく言った、それでこそナギサだ。頭に手を当て、撫でる。目を瞑って心を整えるナギサ。顔は赤いがそれでも体は求めている。さて、本題に行こう。ナギサを連れてトラックの線まで歩く。ナギサは少し動揺はしているが問題ない。やっていけばそのうち体が慣れていく。すると、更に顔は赤くなり足が震えだす。怖がる必要はない。みんなが通る道だ。

 肌を見せるというものは中々恥ずかしい。それにナギサの肌は絹のように美しい。触ってしまえば切れてしまいそうな澄んだ色をしている。

 

「せんせ…本当にここでやるんですか…?」

 

「その…普通は………ベッドで嗜むものだと…聞いたのですが…」

 

 ベッド?もしかしたらキヴォトスではベッドの中でも出来る運動があるのかもしれない。それについても気になるが、まずは準備運動が先だ。ナギサの前に立って体を解す準備運動を行う。

 

「先生…これは本当に……やる意味があるのですか…?」

 

 足や腕など体が固まりやすい場所などを重点的に解していく。手足を曲げたり伸ばしたり、飛んでみたりなど様々なことを行う。これによって体中の筋肉が柔らかくなり怪我の確率が減る。なんとも素晴らしい方法だ。前で実践してナギサは見よう見まねながらも必死に付いてくる。日も大分昇っており、先程の冷たい空気は消えていった。

 大分、体も温まって来たことだろう。ナギサは軽く汗を掻いていた。準備運動が終わるとトラックの白線を確認する。よし、これなら大丈夫。それでは早速、走ろう!

 

「え?」

 

「は、走るっ!?」

 

「それは……どういう意味で…」

 

 え?そのままの意味以外に何があるのだろうか。ナギサは何故か走るというよりかは服を脱ぎ始めようとしていた。日もそこまで出ている訳ではないし熱くはないはずなのだが……

 

「わ、わかりました…走りましょう」

 

 深いことは考えず、ナギサを先導するようにゆっくりと走り始める。ナギサは何か納得いかなそうに走っていた。そしてトラックを三周半分ほど走る。次第にペースを上げて見るとナギサもペースを上げる。

 朝の学校。生徒と先生が二人、グラウンドで走っている。それは忘れていた青春を思い出せるような汗と暑さを奏でていた。滴る汗が硬直していた記憶を癒し始める。後から吹きすさぶ風。それは背中を押すように、また向かい風となり体に鞭を打つ。そんな中、太陽は二人を見守るように眺めている。

 そして何十周か走った頃だ。息遣いは荒くなり明らかに疲れが現れていた。お腹あたりが締め付けられるようなあの痛みが蘇る。足は酷く痛み、筋肉痛は免れない。体は限界に近づいていた。結果的にはすぐに限界を迎え近くにある木立の方へ足を進めた。「はぁ、はぁ」と情けない声が出ている。木の陰に入り、座り込む。ナギサも戻ってくるが、比べるよりも同然ピンピンとしていた。

 

「はぁはぁ…先生、大丈夫ですか?」

 

 ナギサも疲れてはいるがまだまだ走れるほどの体力が残っていそうだ。彼女は体調を気遣ってくれたのか一旦離れてある物を持ってくる。細長い筒をした形状の物体、水筒他になかった。ナギサは持参した水筒の蓋を開けてティーカップに注ぐ。

 

「どうぞ、コンブチャです」

 

 渡されたカップの中には薄いオレンジ色をした液体と昆布の切れ端が入っていた。うん、確かに昆布茶だ。ありがたくそれを飲み干す。昆布のいいだし汁の味がした。

 やっぱり水分補給は大切だな。ダイエットの後には。そう口から零すとナギサは驚いた形相で話し始める。

 

「ダイエット?」

 

「ってことは今までの事は全てダイエットのためだったんですか!?」

 

 コクリと頷く。ナギサは明らかに動揺して赤面する。運動で流れた汗と冷や汗が入り混じる。何処か残念そうに顔を俯きこちらに倒れ込んでくる。彼女の体操着を見ると汗によるものなのか中が透けて見えてくる。と、言うよりもここまで近い距離だから見えてしまうのも仕方ない。二人の距離は三○センチ以下まで近づいていた。そんな密着した状態では見えてしまうのだ。薄っすらと見える赤い下着が。それも派手な感じの下着。

 流石に目を逸らす。なんてものを体操着の中に着込んでいるのだナギサは。

 

「そんな…だってミカさん――言ってたじゃないですか……」

 

 ナギサは小さな声で独り言を呟き続けている。まあ、そう言う趣味があったのだろう。生徒を尊重するのも先生の務め。ダメな道に行かない限りは自由にさせよう。

 感じる視線。それは満麺の笑みを浮べているのがわかる。彼女は何が目的だったのか。はっきりとした答えはわからなかった。

 

 キヴォトスには今日も新しい一日が始まる。これからは二人で理想の健康を目指して歩んで行こう。昆布茶に乾杯!

 




 どうでしたか〜?実は自分まだエデン条約すら終わってないんですよ…一応ある程度進めた程度の知識で書いちゃってるので間違っていた所があれば教えてください!それとリクエストありがとうございました。以外と書きごたえあって楽しかったです!

今回のはTwitterで募集してましたがハーメルンでもどしどし待ってますので好きなキャラでも言っておいてください(シチュエーションとか決めてもらわないと曇らせになります())
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