暗黒錬金術師伝説7 暗黒!フィリスのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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4、山を抜けて

更に数日。

 

お姉ちゃんに言われるまま東に行き。そして途中から南に進んだ。

 

方角の読み方は、途中で徹底的に叩き込まれた。

 

影ができる方向。

 

長さ。

 

これらを使って、今の時間を読むことが出来る。

 

更に、時間がどれくらい経過したかも、ある程度推察する方法が幾つかある。

 

いずれも、生きていくためには必要な技術だ。

 

お姉ちゃんは言う。

 

「いい、フィリスちゃん。 わたしはフィリスちゃんを絶対に守るけれど、それでも何があるか分からないのがお外なの。 最悪の場合、わたしがいなくなっても、生きていけるようにしなければならないのよ」

 

「そんな、リア姉」

 

「お外がどれだけ怖いところかは、実際に出てから理解出来たでしょう? 教えたことは、すぐにではなくてもいいから覚えて。 そうしないと、わたしでも守りきれなくなるかもしれないから」

 

「うん……」

 

確かにその通りだ。

 

荷車を使って、採集は非常に楽になった。

 

これがわたしの、最初に作った本格的な錬金術の産物だ。考えて見れば、錬金術師をしていくには、必須の物資だったのだ。

 

そして今後は。

 

もっともっと。

 

色々なものに手を入れていかなければならないだろう。

 

知識を仕入れなければならない。

 

お姉ちゃんが言う事も。

 

確かに正しいのだ。

 

山の合間を抜ける。

 

やはり茶色だが。

 

少しだけ、緑が増えた気がする。

 

かなり歩いたが。

 

ようやく、錬金術師がいる街が近づいて来たのかも知れない。

 

他の錬金術師の実力がどれくらいなのか。

 

ソフィー先生と比べてどうなのか。

 

実際に目で見て確認しなければならないだろう。

 

そして、気付く。

 

周囲に、あからさまに獣が増えている。

 

街道とは名ばかり。

 

獣だらけだ。

 

そして、いずれもが、此方には好意的な視線を向けてきてはいない。当たり前の話なのだろう。

 

食うか食われるか。

 

そういう関係なのだから。

 

「此処からは、例え形だけだとしても、街道からは離れないでいくわよ」

 

「う、うん。 でも、どうして」

 

「匪賊が出るからよ」

 

「っ!」

 

お姉ちゃんの顔は厳しい。

 

匪賊。

 

そう、わたしでも知っている。

 

最悪に落ちた人間。

 

凶獣と化した人間と言っても良い。

 

捕まえた相手は何でも食べてしまう。それが人間であっても。

 

匪賊に落ちると、もはや人間に戻るのは不可能。匪賊に捕まったら、その場で切り刻まれて食べられてしまう。

 

冷や汗が全身を流れるのが分かった。

 

「幸い、この辺りはまだ匪賊が少ない方よ。 ……そろそろ、護衛を一人くらい雇うべきかもしれないわね」

 

そのためには、先立つものが必要だけれどと、お姉ちゃんは言う。

 

確かにその通りだ。

 

わたしは頷くと。

 

ようやく少しずつ増え始めた緑の中にある地獄を。

 

覚悟して歩き始めた。

 

 

 

(続)




「お外」で脅威になるのは人間に殺意を向ける動物ばかりではありません。

この世界で足を踏み外した人間は、何よりも恐ろしい人間の天敵になるのです。

守られながらやっと歩き始めたフィリスは。
自立しているとはまだとても言えない程に非力なのでした。

現在本作は一章分の内容を二日に分けて投稿しています。このペースについて意見をお聞かせください。

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