暗黒錬金術師伝説7 暗黒!フィリスのアトリエ 作:dwwyakata@2024
翌朝。
前に何度か顔を合わせたイェーガーさんが、フルスハイム東に来た。装甲船は毎日フルスハイムの湖を行き来していて、イェーガーさんは大忙しのようだった。
フルスハイムの自警団から、人員を割いて連れてきてくれたが。
だがそれは、匪賊に対するためだろう。
此処の自警団員があまりにも不甲斐ないことを聞いて、仕方が無く、というのが。見て取れた。
軽く挨拶した後。
既に尋問は済ませていること。
更に尋問は読心の魔術で済ませていること。
その証拠の音声なども引き渡す。
全てを確認した後。
イェーガーさんは教えてくれた。
勿論、目隠しされ、本縄で縛られている匪賊達に聞こえるように、である。
「匪賊は捕らえ次第殺す事が何処でも基本となっている。 ラスティンでもアダレットでもそれは同じ事だ。 殺し方は色々あるが、縛り首か斬首が基本。 殺した後は死体を焼き、骨を砕いて無縁墓地に埋める。 フルスハイムでは斬首だな」
「肥料にはしないんですか?」
「しない。 此奴らの肉の味を獣が覚える可能性がある」
「分かりました。 立ち会います」
今朝は、イルメリアちゃんは来ていない。
わたしと、お姉ちゃんだけだ。
あの後、わたしが匪賊を殺したと聞いて、お姉ちゃんは顔色を変えて。今朝の処刑に立ち会うと聞くと、自分も行くと言い出した。
お姉ちゃんは嫌そうだけれど、わたしは処刑を見届ける。
十人ほどの匪賊が並べられる。
並べられた前には溝が掘られていて。
処刑を行う準備が整った。
「俺がやろうか?」
「いえ、私が。 此処はフルスハイムの衛星都市。 故に私の仕事です」
アングリフさんの言葉に対して、前に出たのは以前共闘したオリヴィエさんだ。
彼女は処刑用の分厚い刃を持ち出すと。
前にもやったことがあるのだろう。
手慣れた様子で。
まずは首領から、躊躇せず一息に首を切りおとした。
首を切りおとしたときの音は、小気味が良いほどで。
血が勢いよく噴き出していたが。
やがて止まった。
二人目。
三人目。
容赦なく匪賊が処刑されていく。
此奴らが此処で何をしようとしていたかも、既に吐かせている。
子供はさらったら当然喰うつもりだった。
ここに来ている商人を襲撃し、殺して金を奪った後は、フルスハイムを経由して逃げるつもりだった。
それらを全て聞いているから。
やはり何の憐憫も湧かなかった。むしろ自分で駆除したい程である。
一度荒野で獣になると。
人間は一切元に戻れなくなる。
それがよく分かった。
最後の一人の首が落ちると。
死体が穴に蹴込まれ、燃やされる。魔術に寄る火だから、火力も強く、あっというまに死体は炭クズになった。
炭になった死体を、太めの棒でつついて崩し。
徹底的に粉々にした後。処置をして取りだし、穴を埋める。
いわゆる無縁墓地に骨含めた残骸を放り込んでおしまい。
これで一連の作業完了だ。
人が足りない世界で。
人を食う獣と化した存在は。確実に処理しなければならない。
「フィリスちゃん、大丈夫?」
「リア姉、わたし、いつまでも子供じゃ無いよ」
「……」
「行こう。 打ち合わせしないと」
とりあえず、これでいい。少なくとも、入り込んでいたこの匪賊のグループについては、皆殺しに出来た。
後は、これから入り込んでくる匪賊を確実に捕らえ。
処理していかなければならないだろう。
パイモンさんが、お手製の読心の魔術を使える道具を、イェーガーさんに引き渡しているのを昨日見たし。
守りを此処で固めている以上。
特に問題は無い筈だ。
一度、アトリエに集まって、話し合いをする。
グラシャラボラスさんは、会議は苦手だと言って、アトリエの外に出て、見張りをかって出た。いずれにしても、誰かが見張りをしなければいけないし、それでいいだろう。
地図を拡げる。
落とされている橋は残り三つ。
この全てを復旧し、緑化しないと。
ライゼンベルグへの道は開けない。
まずもう一つの橋を復旧した後、峡谷の中でこぢんまりと存在している街があるという。グラオ・タールというらしいのだが。その街と連携をし。残りの二つの橋を復旧する。そういう流れを、再確認した。
ただ。この辺りに詳しいらしいキルシェさんが言う。
「グラオ・タールの公認錬金術師はものぐさ。 あまり期待出来ない」
「そうなんですか?」
「匪賊が多すぎて、街を守る事で手一杯の筈。 多分、手伝いのための戦力を出してくれるとは思えない」
「匪賊だったら、多分大混乱の筈だぜ」
アングリフさんが言う。
私も頷いて、説明。
鏖殺が来ている。
その話をすると、キルシェさんは考え込んだ。
「本当?」
「本当だ。 昨日尋問したところによると、近場で最大勢力の匪賊が一夜で全滅させられたらしくてな。 周囲の匪賊はパニックに陥っているそうだ」
尋問にあたったパイモンさんも証言する。
また少し、キルシェさんは考え込む。
この子は見た目こそ子供だが。
頭の方は本人曰く「前借りで」良くなっている。
頭の回転そのものも早い。
錬金術師としての才能が頭打ちになるのも早いかも知れないが。
少なくとも、今のわたし達よりも格上の錬金術師であり。公認錬金術師として街を回してきたのも事実だ。
ならば、考えには重みもある。
「それなら、匪賊をこの辺りから追い出せるかも知れない」
「少なくとも、橋を通ってこちら側に逃げてくるのは阻止しないと」
「……なら、工事を早めに再開した方が良い」
「そうだな」
アングリフさんが腰を上げる。
あの橋が出来たから。
匪賊共がフルスハイム東に来た、とも言えるのだから。
話がまとまった所で、すぐに移動開始。
フルスハイム東は、自警団員を増強し。
早速守りを固め始めたようだった。
ただ、そうすると、今度はフルスハイムそのものの守りが薄くなるような気がする。ちょっと心配になったが、アングリフさんが教えてくれた。
「さっきイェーガーに聞いたが、フルスハイムの方では傭兵を雇ったそうだ。 いずれにしても、匪賊がつけいる隙はねえよ」
「それなら安心なんですけれど」
「何だ、まだ不安か?」
「……ええ。 でも、できない事は考えないことにします」
アングリフさんが言う事も分かる。
わたしの手が届かない所のことを心配しても仕方が無い、というのだろう。わたしもそれに同意した。
緑の道を通り、橋まで移動。
橋の辺りでは、オスカーさんが森のメンテナンスをしていた。木の様子を確認したり、土の状態を調べたりしている。これだけの緑化作業を成し遂げたからか、植物に話しかけている様子を見ても、誰も怪訝そうにはしない。
水についても、川から引いてきた水路から、きちんと行き渡っているか確認しているようだった。
次の橋を架ける。その話をすると、オスカーさんは、注意を促してくる。
「橋の周囲に変な気配がたくさんあるから気を付けるんだぞ」
「多分匪賊ですね。 これ以上一人も橋は渡らせません」
「……そうだな。 この人数なら、渡る隙も無いだろう。 緑化作業が出来るようになったら、声を掛けてくれ。 おいらはまだ森の世話があるからな」
「分かりました」
橋を越えたところにキャンプを設置。
この辺りは、既にうっすらと緑が地面を覆い始めている。
オスカーさんはどこからか深核の提供を受けているらしく。栄養剤についても、豊富に持っているようだった。
わたしの方からも栄養剤は提供しているのだけれど。
その必要もないかも知れない。
キャンプを展開した後は。
すぐに物見櫓を作る。
わたしは空を飛ぶ荷車を使って、お姉ちゃんと周囲を警戒。レヴィさんにも、敵の奇襲に備えるために一緒に乗って貰う。物見櫓はカルドさんに任せる。
それにしても。
空から見ると、酷い光景だ。
彼方此方をひっかくようにして、無数の傷跡が大地に走っている。
これはいったい。
何が起きた跡なのだろう。
地震だろうか。
川が流れた跡なのなら。
どうして川は流れなくなってしまったのか。
橋が落ちた跡を確認。
これもドラゴンにやられている。
溶けた地面の様子。どこからどう見てもドラゴンのブレスによって、溶かされたと言うよりも吹き飛ばされたのだ。
手をかざして見てみると。
凄まじい風が吹き込んでいる峡谷がある。
何だろうあれは。
いずれにしても、あの辺りは砂塵が酷すぎて、何も見えない。とてもではないが、通る事は出来ないだろう。
とにかくあの砂塵は無視。
まずは、ライゼンベルグへつながる道を復旧させる。
傭兵さえ護衛についていれば、錬金術師が比較的安全にライゼンベルグにいけるようにすれば。
それだけ公認錬金術師だって増える。
公認錬金術師が増えれば。
酷い事になっている集落だって減ることになる。
例えば、フルスハイムは、明らかに公認錬金術師一人では足りない。フルスハイム東にも、一人は欲しい所だとわたしは思う。
しかも首都の近くでこの有様だ。
現在の十倍は、最低でも公認錬金術師が必要なのではあるまいか。
とにかく、橋の正確な状況を確認。
その後は、目につけた岩山を幾つか地図上でマーキング。
これらを崩して、峡谷に放り込み。
埋めてしまうことで道にする。
此処までの流れは、今までと同じだ。
緑による道は、獣による襲撃を退ける。問題は、かなり大きな獣がキャンプを既に伺っている事だろうか。
早速試してみたい。
キメラビーストや、その上位種が見受けられるが。
彼奴らは空を飛べないはずだ。
それならば。
奴らの頭上に移動。
此方をぼんやり見上げている獣共の頭上から。
わたしは、グラビ石を仕込み、相手に向かって飛んでいく大型フラムを落とす。
投げる必要さえない。
これは球形をしておらず。
鳥の形を参考にしていて。
滑空しながら、相手へと加速しつつ迫るのだ。
名付けて、はじけるおくりもの。
はじけるおくりものはそのまま、唖然と口を開けている獣どもに、それこそ抗いようのない死の鳥となって、上空から襲いかかる。
爆裂。
激しい爆発の中、悲鳴を上げて逃げようとする獣に、横殴りに叩き付けられた魔術や矢が突き刺さる。
更にお姉ちゃんが、上から矢を放ち、脊髄や延髄を撃ち抜いていく。
本来、真正面から戦ったら、相当な苦戦を強いられる獣なのに。
上空から、広域制圧火力をばらまくだけで、こうも容易く仕留める事が出来るのか。
獣が慌ててキャンプから距離を取り始めるが、容赦しない。そのまま第二段。
爆弾を作る時間はたくさんあった。
だから、ずっと改良していたのだ。
今こそ、その成果をためさせてもらう。
落とす度に、死の鳥が翼を拡げ。相手を自動捕捉して飛んでいく。
逃げようとする獣は、横殴りの魔術や矢を浴びて吹っ飛び、そして上と横どっちに対応して良いか分からず混乱する内に爆発に吹き飛ばされて峡谷に落ち、或いは粉みじんに消し飛んでいく。
しばらく、キャンプの上を旋回して、此方の恐怖を存分に思い知らせるが。
このまま簡単にいくとはわたしも思っていない。
獣を蹴散らせば、その内ネームドも来るだろう。
この人が入れない峡谷だ。ライゼンベルグがインフラを放置している様子からしても、ネームドの駆除なんてしているわけが無い。
どうせネームドは来る。
その前提で、まずは露払いをしておく。
今は、其処まででいい。
一度キャンプに戻り。
それから、回収出来る獣の残骸は回収した。
後は、近場にある岩山を崩しに掛かる。
ネームドが仕掛けてくるまで、まだ少し時間を見込めるはずだ。
それならば。その間に。
出来る事をしておかなければならない。
岩山につるはしを撃ち込み、崩落させる。
派手に崩れていく岩山。
呼吸を整えながら、汗を拭った。
前も、フルスハイムで船の材料を得るために岩山を崩したが。その時よりも、作業のペースが上がっている。
体力が回復する道具を身につけているのに。
消耗がそれ以上だ。
わたしの体は、そう簡単に、すぐに成長するわけでは無い。
戦闘経験は増える。
でも、体そのものが、すぐに強くなるわけじゃない。
元がしょっぱければ、何倍にしても多寡が知れている。
お姉ちゃんやドロッセルさんは、比較的平然と作業を続けているけれど。わたしはどうしても、体力不足で困らされていた。
モヤシ、か。
アングリフさんにそんな事を言われても。
これでは仕方が無いのかも知れない。
獣だと、警告が上がる。
空からだ。
かなり大きなアードラが、急降下して襲いかかってくる。グラシャラボラスさんともう一人の魔族が魔術を乱発するが、凄まじい機動でアードラはその全てを回避。だが、置き石戦法を見事に成功させたイルメリアちゃんの投擲した浮かぶ剣(二代目)が。回転しながらアードラの翼を抉っていた。
態勢を崩したアードラが、地面に激突。
後は戦士達が、よってたかって袋だたき、といこうとしたが。
わたしが叫ぶ。
「離れて!」
「!」
戦士達が跳び離れる。
同時に、地面を下からぶち抜いて。
巨大なミミズのような動物が、アードラに食らいつき。そしてその巨大な威容を見せつけた。
ネームドだ。
予想以上に早く姿を見せたか。
蛇、ではない。
前に地面の下に潜んでいた巨大なミミズのような獣を見たが、それに近い姿をしている。だが、足のようなものも確認できるし、或いは百足とかの仲間なのかも知れない。
アードラをばりばりと巨大な口でかみ砕くネームドの威容は凄まじい。
だが、体の半分が岩に埋まっているのなら。
「時間を稼いでください!」
わたしは詠唱開始。
疲労が溜まっているが、いけるはずだ。
アングリフさんが先陣を切って、ミミズに斬りかかる。巨体を振るってミミズが暴れ狂うのだが。何しろ巨大すぎるので、体を振り回しているだけで、暴風の如き有様だ。
それだけじゃあない。
体を振り回しているミミズの周囲に、氷の何か刃のようなものが生じていく。
あれが呪文詠唱なのか。
何か、耳に響く音。
それと同時に、空から無数の氷の槍が、周囲に降り注ぐ。
逃げ惑う周囲の戦士達を見下しながら、雄叫びを上げるミミズ。
わたしは、レヴィさんがシールドで守ってくれたが。
お姉ちゃんの矢も、カルドさんの銃撃も、グラシャラボラスさんによる魔術も、まるで効く様子が無い。
しかも相手は、その気になれば地面の下に逃げ込める。
余裕を持って、第二射を放とうとするミミズ。
だがその瞬間。
ミミズの土手っ腹に、大穴が空いた。
キルシェさんだ。
拡張肉体を六つ束ねて、収束熱線を撃ち込んだのである。
ミミズの体から、おぞましい色の体液が噴き出し。
絶叫したミミズの凄まじい声が、辺りを薙ぎ払う。
音だけで、この威力なのか。
わたしの詠唱も中断されるが、何とか必死に立て直し、詠唱を再開。まだだ。もう少し、時間が掛かる。
ミミズが暴れる。
体を地面に叩き付ける。
その度に、凄まじい揺れ。
大量の岩石が飛び散り、また風圧だけで吹っ飛ばされる人もいる。
あんなのにわたしが巻き込まれたら一撃で即死だ。
アングリフさんが積極的に斬り付けて気を引いているが、そうで無ければもう何人も死んでいるだろう。
恐らくパイモンさんが放った雷撃が、上空からミミズに着弾。
全身を激しく紫電が襲うが。
少し焼けた程度。
イルメリアちゃんが口めがけて投擲した爆弾も。
ぐねぐね動き回るミミズには、上手く届かない。爆発しても、柔軟な体と、強靱な皮膚に受け流されてしまう。
キルシェさんの第二射。
だが、今度はミミズの対応が早い。
なんと氷でシールドを作ると、熱線を周囲にばらまき散らした。
辺りの地面が赤熱、更には爆裂。
ミミズが、引っ込もうとする。
多分キルシェさんを明確な脅威と見なし、排除に掛かろうとしているのだろう。
させるか。
詠唱が間に合った。
それに、鉱物はわたしに教えてくれる。
あのミミズの本体は、地下にある。
地面に手を突き。
わたしは、全魔力を投入して、鉱物達に働きかけた。
押し潰せ。
指示はそれだけだ。
ミミズの動きが止まり。
口から、噴水のように血を噴き出す。
もがいていたミミズだが。やがて地面が揺れ始める。そして、地面から逃げ出すようにして。
巨大な肉塊が姿を見せた。
それは二十抱えはありそうな巨大な球体であり。
多数の目らしきものがついていて。
ミミズのように見えたのは、触手の一つに過ぎなかった。
本当だったら絶望する威容だが。
残念ながら、地面の下に本体がいて、しかも強烈に圧縮された後だ。
つまり瀕死である。
わたしは魔力を使い果たして腰砕けだが。
相手が瀕死なのは、誰もが悟っていた。
猛攻が仕掛けられる。
種さえ割れてしまえば、後は本体を叩くだけ。その本体も、押し潰される寸前で地面から逃げ出してきたのだ。
パイモンさんの雷撃が再び直撃し、ミミズの化け物の本体を襲う。先ほどまでの鉄壁ぶりがうそのように、ミミズが絶叫しながらのたうち廻る。今の一撃が致命打になったのは明らかだった。
皆が攻勢に出る。
そもそも、敵の猛攻で、ダメージが決して小さくないのだ。此処で回復にでも入られたら勝ち目が無くなる。
殺すか、殺されるか。
そして、此処で殺せる機会が来たのだ。
殺すしか無い。
更に目の一つを、お姉ちゃんの矢が貫き。
其処を更にイルメリアちゃんの剣が抉り抜く。
鉄壁だった敵の皮膚が爆ぜ割れ、裂け、焼け千切れる。
傷だらけの体に、魔術が次々炸裂。
ドロッセルさんが大斧を叩き込み。その傷を更に拡げると。
踏み込みつつ、アングリフさんが豪快に大剣を投げ込んだ。
その勢いは凄まじく。
大剣は敵の体を貫通。
向こう側まで抜け、剣先が飛び出したところで止まった。
まだ動いていたミミズの化け物だが。
いい加減に死ね、とばかりに、アリスさんがぶらんぶらんになっていたミミズ部分を一息に刎ねる。
さっきまであれほどの硬度を見せていたミミズだったが。
それは恐らく、本体が増幅していた防御魔術の賜だったのだろう。
更にキルシェさんがとどめの一撃。
拡張肉体だけではなく、キルシェさんが描いた魔法陣から増幅された熱線が。
ミミズの本体に、巨大な風穴を開け。
そして爆裂させていた。
わたしは、呼吸を整えながら、レヴィさんに肩を借りて立ち上がる。魔力を使い切って意識が飛びそうだが、何とか持ちこたえる。
これでやっとネームド一匹目。どうせまだまだ出てくるのは分かりきっている。
出来れば、話に出たグラオ・タールの人達と連携して動きたい。
このまま橋を増やす度に、獣の攻撃も熾烈になるし、間違いなく匪賊も此処を狙って来る。特に匪賊は、疲弊したところを狙って確実に仕掛けてくるだろう。
手数は少しでも多い方が良い。
ミミズを解体。
大きめの深核が出てきたので、四分割。分割しても機能が落ちないことは既に実証済みだ。
皆に分ける。
パイモンさんは、深核自体が珍しいようで、喜んでいた。
「ネームドの核だな。 まさか手にできる日が来るとはなあ」
「故郷の緑化にでも使ってください」
「ああ、そうさせてもらうよ」
ミミズの粘膜に覆われた死体だが。
肉を焼いてみると、意外に味は悪くなかった。ただ、美味しいものでもなかった。
ネームドだろうと。
敗れれば喰われる。
そんな過酷な土地なのだ。此処は。
だからこそに、わたしは。そんな過酷な運命に包まれた土地を、少しでも変えなくてはならない。
少なくとも、自分の手が届く範囲では。
現在本作は一章分の内容を二日に分けて投稿しています。このペースについて意見をお聞かせください。
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このままでいい
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一日で一章がいい
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更に分割して欲しい