暗黒錬金術師伝説7 暗黒!フィリスのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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1、酔眼の錬金術師

ノルベルトさんのアトリエは、非常に散らかっていた。錬金術の道具関連は流石に綺麗だったが、生活スペースは目を覆う程に汚れている。

 

お姉ちゃんが流石に苛立っているようなので。

 

わたしが助け船を入れる。

 

「あの、掃除しましょうか」

 

「ああ……好きにしてくれ」

 

「では、そうします」

 

アングリフさんが腕組みして、様子を見ている。

 

何か気付いたのかも知れない。

 

わたしも、少し妙だなとは思っている。

 

ノルベルトさんの気配。

 

何だか、焼け鉢になっているように思えるのだ。

 

そして、気付いた。

 

お姉ちゃんを見た時。

 

ノルベルトさんは一瞬だけ、酔眼の中に驚きを見せた。一瞬だけ、だったが。

 

酒瓶が散らばっている。

 

お酒はエルトナでは高級品だった。

 

お祭りの時や、お祝いの時くらいにしか飲む事が出来なかった。

 

幾ら錬金術師とはいえ。

 

これだけ飲んでいて、周囲から白眼視はされなかったのだろうか。片付けをてきぱきとしていくと、ゴキブリが逃げていく。

 

今更あんなものでは驚かない。

 

荒野では散々巨大なムシと戦って来たのだから。

 

「何だか気に入らないわね」

 

「リア姉、この街の外でもそうだったね」

 

「ええ。 何か気に入らないのよ」

 

「……」

 

お姉ちゃんは、商人とネゴの類も出来るし、戦闘では極めて冷静だ。文字通り針穴を通す一矢で、何度も皆の危機を救ってきた。

 

感情的になるのも、だいたいわたしがらみの時。

 

それが、こうなっているのはおかしいと言えばおかしい。

 

レヴィさんが、驚くほどの手際で台所を片付けると。

 

コンテナから野菜やお肉を取り出して、料理を始める。

 

手際を見て、ぼんやりしているノルベルトさんも、驚いたようだった。

 

「なんだ、本職の料理人か?」

 

「錬金術師で金が余っているからと言って、外食ばかりしていると体に毒だぞ。 俺が大地の恵みを生かした爽やかな風の如き料理を作ってやる」

 

「そうか、それはありがとさんよ」

 

ノルベルトさんは若干ふらつきながらも立ち上がり。

 

コンテナから何種類か薬を出すと、外に出て行く。

 

どれも医療用の薬品のようだったが。

 

すぐに戻ってきた。

 

コンテナを見せてもらうが。

 

お薬も爆弾も、品質については悪くない。

 

流石に公認錬金術師と言うべきか。

 

よっぱらいとは思えない実力だ。

 

やがて、レヴィさんが料理を並べた頃には。

 

イルメリアちゃんもぶつぶつ言いながら手伝ってくれたおかげで、掃除は完了。アトリエは綺麗に片付いていた。

 

ノルベルトさんは料理を無言で食べ。

 

その後に言う。

 

補給についての話だ。

 

物資については、幾らでも持っていって良いという。

 

コンテナの中には、この近辺では不足するような物資も結構ある。貰えるのは嬉しいが、太っ腹と言うよりも、やはり焼け鉢になっているとしか思えない。

 

パイモンさんが咳払いした。

 

「貴殿は公認錬金術師でしょう。 随分とまた投げやりに思えますな」

 

「……そうだな。 爺さんの言う通りだ。 それで、俺に何を求める」

 

「此処に来たと言うことは分かっているはず。 ライゼンベルグまでの道はまだ安全とは言い難い状況です。 支援を願いたく」

 

「そうだな。 ライゼンベルグまで、まだまだネームドや獣がうようよいるもんな。 最近はライゼンベルグ近郊は危険すぎて、歴戦の傭兵でさえ護衛任務を受けたがらないって聞くしな」

 

他人事のようだ。

 

わたしはぐっと言いたいことを飲み込む。

 

そしてノルベルトさんは、また酒を呷った。

 

「ちょっと待っていてくれ」

 

コンテナに消え。

 

そして、出してきたのは地図。

 

此処から、橋を渡って東に行くと、巨大な都市。そう、地図上にはっきり分かるほどの巨大都市がある。

 

そう、ライゼンベルグだ。

 

ただし、その途中までには山道があり。

 

此処には×が十箇所以上付けられていた。

 

「この×印が全てネームドだ。 しかもこの峡谷にいた奴よりも一回り以上強い」

 

「こんな……どうしてこんなになるまで、ライゼンベルグの人達は放置していたんですか!」

 

「此処の地形を見てどう思う」

 

「どうって……」

 

一箇所。

 

妙なところがある。

 

何だろうと思ったが。何となく分かった。小規模な集落の跡地だ。いや、小規模というには、少しばかり大きいか。多分人口数百人はいたはず。

 

「此処には昔村があった。 ライゼンベルグに行く人間にとって、宿場町になっている村だった。 公認錬金術師もいたし、守りもガチガチに固めていたさ。 だが、此処をドラゴンが襲った」

 

「!」

 

「ライゼンベルグの錬金術師達は、戦闘向きじゃ無い奴が多いんだよ。 実力がある公認錬金術師は、大体どいつもこいつも彼方此方の街に出向いて、其処で街のために働くからな。 逆に言うと、首都に残っている錬金術師は、研究に特化した奴や、戦闘に向いていない奴ばかりだ。 昔は強力な傭兵部隊も抱えていたが、それも時代と共に軟弱になっていってな」

 

何だろう。

 

まるで村が滅びるのを、目の当たりにしたかのような口ぶりだ。

 

「推薦状、出してもいい。 条件は一つだけだ」

 

「……伺いましょう」

 

「この村に、今もドラゴンがいる。 正確には、此処を通る人間を狙って、近くに潜んでいる。 種類は最下級のドラゴンであるドラゴネアだ。 此奴を退治できるというなら……俺が推薦状も書くし、ある程度安全に進める経路を教えてやる」

 

「!」

 

ついに。

 

この話が来たか。

 

最下級とはいえドラゴン。

 

その戦闘力は生半可なネームドの比では無い。実際、前もアングリフさんに、勝負にさえならないと言われたのだ。

 

キルシェさんがいたらまだ分かったが。

 

今回は彼女もいない。

 

ドラゴンを斃すなんて、どうすれば良いのか。

 

しかし、わたしは錬金術師。

 

錬金術師以外に、ドラゴンに対抗できる人間はいない。

 

此処には錬金術師が三人もいる。

 

やるなら。

 

今しか無いのかも知れない。

 

アングリフさんを見る。

 

非常に厳しいと、顔に書いていた。

 

「現状の戦力だと、ドラゴネア一匹でも手が届かんぞ。 フルスハイムに協力を要請するか……」

 

アングリフさんが、ぎろりと酔眼のノルベルトさんを見る。

 

ノルベルトさんは、薄く笑った。

 

「せめてあんたが手伝ってくれれば、話は別だが」

 

「その姿見た事がある。 何度かこの辺りに匪賊退治に来たな。 不死身のアングリフか?」

 

「ああ、そんな風にも呼ばれるな。 単にこの年まで生き延びてしまっただけだがな」

 

「ふふん、あんたがいるなら、確かにまだ勝機はあるかも知れないな……それにあんた達の戦いぶりは、此処から見せてもらった。 ……良いだろう。 ちょっと待っていてくれるか。 長老達と話してくる」

 

おぼつかない様子で立ち上がると。

 

ノルベルトさんは、アトリエを出ていった。

 

嘆息が零れる。

 

何だろう。

 

今までに無い、嫌な空気だ。

 

「フィリス」

 

「どうしたんですか、アングリフさん」

 

「気がついているんじゃないのか?」

 

「!」

 

確かに違和感は幾つもある。

 

お姉ちゃんはそっぽを向いていた。

 

イルメリアちゃんも、無言のまま黙り込んでいる。

 

パイモンさんは、わたしが結論を出すまで、待っているようだった。

 

「あの男、恐らく」

 

「村壊滅の際に、その場にいた当事者ですね。 或いはその村の公認錬金術師だったか、或いはその家族だったのかも知れないです」

 

「だからって」

 

「リア姉、悪いのは……」

 

お姉ちゃんに対して、わたしは静かに言った。

 

悪いのは、あの人じゃ無い。

 

この世界そのものだと。

 

 

 

外で顔でも洗ってきたのか。

 

ノルベルトさんからは、お酒の気配が抜けていた。

 

或いはこの人も、この機会を待っていたのかも知れない。長老達には、話をつけてあるようだった。

 

「爺さん共を説得するのには苦労したがな。 これでやっとあのクソトカゲを排除できるかも知れないと思うと、酔ってなんていられないんでな」

 

「体は大丈夫ですか?」

 

「俺はこれでも公認錬金術師なんでな。 何とかするさ」

 

酔眼だったノルベルトさんは。

 

今度は、目の奥に軽薄で、それで静かな炎を燃やしていた。

 

この短時間の変化。

 

何か気になる。

 

アングリフさんの言葉が正しいとなると。

 

きっと、村を滅ぼしたドラゴンを殺せるチャンスを、ずっと待っていたのかも知れない。

 

自分ではとても力及ばない。

 

だけれども、この戦力なら、或いは。

 

とはいっても、この峡谷のネームド相手でも、四苦八苦をしていたのだ。まず地図を見ながら猛獣とネームドを排除し。

 

目的地地点まで行けるようにした後。

 

余力を残して、ドラゴンに挑み。

 

そして生きて帰ることを考えなければならない。

 

ドラゴンをどうにか出来そうな錬金術師というと、例えばオレリーさんが思い浮かぶが。少しばかり助力を願うには遠すぎる。

 

キルシェさんは同じく遠い上、街から長時間離れることは好ましくない。

 

ただでさえ街の長老達との関係が最悪なほどこじれているのだ。

 

これ以上こじらせると、面倒な未来になる事しか想像できない。

 

フルスハイムも、流石にこれ以上支援人員を遠くに派遣できないだろう。

 

そうなってくると。

 

この人と、どうにかしてドラゴンを突破することを考えなければならない。

 

力が足りないなら補うしか無い。

 

まず、四番目の橋の外側。つまりライゼンベルグ側まで、キャンプを移動。ノルベルトさんは、飄々とそれについてきた。

 

旅慣れているなあとか言っていたが。

 

本人は街を出てから、一度も酒を口にしなかった。

 

また、アトリエも持ってこない。

 

錬金術師としては、手持ちの道具だけで勝負するつもりらしい。それならば、戦闘の際に、手腕を見せてもらうしかない。

 

ともあれ、物資はある程度補給させて貰った。

 

ライゼンベルグまでは持つはずだ。

 

それと、橋の守りについても、ノルベルトさんは交渉してくれて。三つ目、四つ目の橋の守りには、グラオ・タールから人員を派遣してくれることを決めてくれた。もしもドラゴン討伐が上手く行き、ライゼンベルグまでのインフラが回復した暁には。一つ目、二つ目の橋についても、護衛要員を派遣してくれるという約束も取り付けたらしい。

 

ますますよく分からない。

 

この人は、本当は凄いやり手ではないのか。

 

だがそれだとしたら。

 

どうして、ドラゴン、それも最下級の相手に遅れを取ったのか。

 

一つずつ、順番に話を進める。

 

まず、キャンプの設営を終えた後、全員でわたしのアトリエに集まる。

 

そして、今後の話をする。

 

「アングリフさん、ドラゴン退治の話ですが。 何をすれば倒せるかは分かりますか」

 

「まずドラゴンは、攻防共に他の生物とは別次元だ。 ネームドの中でも最強クラスになってくるとドラゴンとやり合えるようなのもいるらしいが、それも精々下級、出来て中級までらしい。 つまり、獣とは次元が違う存在だと言う事だな。 ドラゴンには錬金術師と、錬金術の装備でしか対抗できない理由は、出力が足りないから、というのが大きい」

 

「火力をまず上げる必要がある、と」

 

「そうだ。 勝負をするには、まずドラゴンの超高出力ブレスを防ぐ盾と。 奴を守る強力な魔術の防御を秘めた鱗を突破する矛が必要になる。 まあこれは例え、だがな」

 

なるほど。

 

現時点では、その両方が無い。

 

ノルベルトさんは、黙って話を聞いていた。

 

「もう一つ二つ、錬金術の装備を作って改良したら、届くでしょうか」

 

「……そうだな。 何とか戦える……くらいにはなるかも知れないな」

 

「分かりました。 すぐに考えます」

 

事実、もっと身体能力を上げることは前々から考えていたのだ。

 

体を鍛えても限界がある。

 

それならば、倍率を上げるしか無い。

 

手練れなら揃っている。

 

アングリフさんが何よりいるのだ。

 

この人数で、この戦力。

 

更に、この間提供した飛行キットの料金を、キルシェさんが払ってくれている。資金面では不自由していない。

 

最悪の場合、フルスハイムまで戻って、高級な資材を買い込むという手もある。

 

フルスハイムになら、相応の物資があるのは確実だろう。お値段は張るかも知れないが、それを使えば更に強力な装備品を作れるかも知れない。

 

後は、皆の武器か。

 

アングリフさんは、大剣を変えるつもりはないらしい。

 

長年一緒にやってきた大剣だ。

 

アングリフさんの巨躯に相応しい無骨な鉄塊は。

 

今まで一緒に戦闘してきた中で、多くの巨大な敵の爪や牙を食い止め。

 

それ以上の数の敵の頭をたたき割ってきた。

 

今更わたしが手を入れなくても大丈夫だろう。アングリフさんの能力をパンプアップした方が早いはずだ。

 

ドロッセルさんは。

 

大斧についても、威力不足を本人が嘆いている様子は無い。

 

ならば、武器については大丈夫か。

 

ドラゴンが相手になると、防具なんて着けるだけ無意味だろうし。

 

それについては、何か考える必要があるか。

 

イルメリアちゃんが挙手。

 

「ブレスを防ぐ装備なら私が考えるわよ」

 

「お願い出来る?」

 

「ええ。 ただし、そもそもドラゴンを飛ばせないことが、戦闘の第一条件になるけれど」

 

「……それについては、わしがどうにかしよう」

 

パイモンさんが言う。

 

なら、わたしは装備品の作成に全力を注げるか。

 

材料ならある。

 

一旦解散して。

 

それぞれのアトリエに引き上げる。

 

キャンプのテントで良いと言って、ノルベルトさんは引き揚げて行った。ノルベルトさんがどう戦うかは、どうせ此処から嫌と言うほどネームドを相手にしなければならないのだし、どうしても見る事になるだろう。

 

最悪、足手まといにしかならない場合は。

 

お薬でも作ってもらう。

 

アトリエで見た限り、爆弾もお薬も相応の、少なくともアルファ商会の標準品よりも遙かに品質が高かった。

 

あれだけの要塞都市を作り上げたのも、ノルベルトさんだろう。

 

それを考える限り、少なくとも、戦闘で役に立てなくても、後方支援だったらどうにでもなる筈だ。

 

まず、装備品を確認する。

 

今わたしが皆に配備しているのは。マフラーと手袋。それにグナーデリングと獣のアロマだ。

 

それぞれ首元、手、腰周りを守り。体の力を強化する。

 

バランスは良いが、もう一声欲しい。

 

ドラゴンに対して真っ向勝負にしても奇襲にしても。挑むのであれば、その装甲を貫通しなければならない。

 

爆弾をちょっとやそっと浴びせた程度では手も足も出ないだろう。

 

現時点で、イルメリアちゃんの最大火力であるあの剣や。

 

わたしのはじけるおくりもの程度では、ドラゴンの表皮も貫けないのはまず間違いない。パイモンさんの雷撃でも多分同じの筈だ。

 

接近戦でドラゴンにダメージを与えるには。

 

まだまだ身体能力の倍率を上げる必要がある。

 

足下を強化するか。

 

以前、グラビ石を仕込んだことで、靴は軽くなり、歩くのが非常に楽になっている。

 

靴そのものをその時弄ったので。

 

強化は出来るかもしれない。

 

だが、靴そのものを強化するのには、個人的に少し悩ましい。

 

というのも、靴はやはり消耗頻度が激しい。

 

下手に弄くり回すと強度が落ちて、更に消耗する。

 

もっと実力があれば、その辺りさえも克服したもっと強力な靴が作れるのかも知れないけれど。

 

今のわたしには厳しい。

 

少し考え込んでから。

 

どうせならば、もう身につけるものではなく。魔術を最初から意識した道具を作ってはどうかと思いつく。

 

この間、拡張肉体の概念は教わった。

 

それならば、手はある。

 

今は拡張肉体は難しすぎて作れないけれど。

 

理屈が分かるなら、多少の応用は出来る。

 

まず、インゴットの中で、一番良い合金を取り出す。在庫についてはツヴァイちゃんに聞いて確認するが。

 

現時点で他の誰がどれだけの在庫を有しているかもツヴァイちゃんは把握している。

 

この辺りは流石数字に強いホムだ。

 

ツヴァイちゃんと相談しつつ、合金を取りだし。

 

これを溶かして。

 

中和剤につけ込んで変質させ。

 

更に、円形に加工する。

 

金属加工ならお手のものだが。ただ、加工の際に気を付けないと、合金は台無しになってしまう。

 

注意しなければならない。

 

この辺りは、炉に放り込んでいけばいいいつもと違い。

 

炉の側で常に金属の声を聞き続けなければならないので、少しばかり大変だ。

 

中和剤にも、今まで仕留めたネームドの部品を使う。

 

すり潰して中和剤にし。

 

秘めている強力な魔力をフル活用するのだ。

 

錬金術で変質させることによって更にその性能は倍増し。

 

金属にねじ込んだ魔力は、凄まじいまでに膨れあがる。

 

爆発するかも知れないと思うほどだ。

 

いや、取り扱いを間違うと爆発する。

 

わたしは頷く。

 

金属に蓄積できる魔力にも上限がある事をこれで学んだ。今後は、この資料を参考にしていく必要があるだろう。

 

或いは、ハルモニウムやプラティーンだったらそもそももっと魔力を蓄積できるかも知れないが。

 

少なくとも、この合金の限界量については理解出来た。

 

続いて加工した合金に魔法陣を刻み込む。

 

ルーペを使い。

 

熱した合金を使って、丁寧に刻み込んでいく。

 

この作業が兎に角大変だ。

 

基本的な魔法陣だけを刻み込んだ後。

 

磨いた宝石を使い。

 

この宝石に更に魔法陣を組み合わせ。

 

間にネームドの毛皮を挟み込む。

 

このネームドの毛皮にも、魔法陣を組み込むことによって。

 

複数の魔法陣が接続され、連携して動くようにする。

 

こうやって、破損した場合には取り外してメンテナンスが出来るようにすることは非常に重要だと、空を飛ぶ荷車を作ったときにわたしは学習した。

 

学習したものは。

 

どんどん応用していかなければならない。

 

上手く接着が出来た。

 

何度か検証して、魔術そのものがきちんと働く事を確認。しっかり働くので、冷や汗を拭う。

 

今回使う魔術は。

 

本人と連携する、というもの。

 

拡張肉体は、自律思考型と、本人の意思を読み取って動くタイプに分かれるらしい。このうち、本人の意思を読み取るのが、キルシェさんが使っていた球体の拡張肉体である。なお、自律思考型は暴走の可能性があり、扱いには細心の注意を要するそうだ。ただし、総合的な性能は、自律思考型の方が上で。強力な自律思考型を自身と連携させられるようになると、その火力は想像を絶するそうだ。もっとも、そんな自律思考型拡張肉体を作れる錬金術師なんて、この世界に数人といないと、キルシェさんは断言していたが。

 

わたしは勿論その数人じゃ無い。

 

だから、本人と連携する。

 

しかも一方的な連携を行う道具だ。

 

この道具は、本人の戦闘する意思に伴って、全身の能力を強化する。

 

本来拡張肉体はキルシェさんが使っていたように、本人の支援を行うものだが。

 

希に義手や義足などを用いるケースもあるという。

 

つまりこれは、本人の魂の容量を上げて。

 

魔力のパンプアップをする拡張肉体だ。

 

魔術としてはそれほど難しくない。早い話が、呪文詠唱なんかはこれを行っているのだから。

 

その増幅分の魔力を身体能力に還元する作業を行う。

 

要するに、本人の魔力とリンクし。

 

増幅し。

 

増幅分を身体能力の上昇に費やす。

 

現時点では、機能としてこれだけで充分だろう。

 

形状としては、教会で配っているようなタリスマンが近くなる。だから名前はタリスマンでいい。

 

実は運用方法も似ている。

 

ただ、錬金術で非常に強化している、という点が違うが。

 

持ち運び方は自由とする。

 

バッジにしたので、服とかにつけても良いし。マフラーに止めてもいい。

 

いずれにしても、実験をして、伸び幅を確認。一回目は当然上手く行くはずも無いので、何度も何度も練習する。

 

しばらくは、このキャンプに留まり。

 

最後の試験までの壁となる。

 

ライゼンベルグ西の山の突破と。途中のドラゴンを撃破するべく。他の皆と一緒に、準備を続けた。

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