暗黒錬金術師伝説7 暗黒!フィリスのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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2、最初の試練

世の中は。

 

楽しい事だけやっていても動かない。

 

楽しい事だけやっていても生きていけない。

 

そんなことはわたしだって分かっている。

 

たまたまわたしは、鉱物の声が聞こえるという能力を持っていたけれど。鉱物達は、売られた後どうしているのだろうと、そういえばきちんと考えた事もなかった。

 

ちゃんと使われているのだろうか。

 

高値で取引されているという話だから。

 

きちんと扱われているとは思う。

 

だけれども、本当に。

 

ちゃんと使って貰っているのだろうか。

 

それが不安に今更なってくる。

 

今、教えて貰っているのは。

 

戦闘用の爆弾の作り方だ。最初に作ったオモチャでは無く、相手を殺すための殺戮兵器である。

 

そのままフラムという。

 

炎を示す言葉で。

 

文字通り相手を焼き尽くす。

 

魔術によるワードで爆発をコントロールすることが出来。

 

最初にロックを解除。

 

その後に、爆発のタイミングでワードを口にすれば、爆裂。至近距離にいる存在を鏖殺できる。

 

そう、殺すための道具だ。やり方によっては、火力を極限まで引き上げたり、ばらまいたりと、様々な工夫が出来ると言う。単独で面制圧できると言われたが、わたしには面制圧の意味が分からなくて、お姉ちゃんに教えて貰った。

 

戦いは。

 

色々今のうちに知らなければならない。お姉ちゃんに、戦術も戦略もならわなければならないだろう。

 

わたしは戦術も戦略も、その言葉さえも聞いたばかりだから。

 

本当に戦いには初心者なのだ。

 

外の事について書かれた本には、そんな難しい言葉は出てこなかったし。わくわくするような場面しかなかった。

 

だけれど、わたしだって子供じゃない。

 

所詮物語では、わくわくを壊さないために書いていないものがある事くらい分かっている。

 

この街でさえ。

 

どす黒い人々の哀しみと苦しみが存在していて。わたしも、言われるまでそれに気づけなかった。

 

外はもっと酷いはずで。

 

それこそ命のやりとりが、何処で起きても不思議では無い。そんな事は、わたしみたいな何も知らないひよっこだって分かる。

 

外では戦う必要が生じてくる。

 

獣たちは飢えているし。

 

ヒト族の子供なんてエサに過ぎない。

 

もちろんわたしもその一人だ。

 

エサにされるわけにはいかない。

 

逆に相手をエサにするためには、戦うための。そして、相手を殺すための力が必要なのである。

 

呼吸を整えると。

 

中和剤と。

 

鉱石から取り出した発火剤を混ぜ合わせ。

 

更に固形化する。

 

この過程で、無理がないように、感触で覚える。これがとても難しくて、ソフィー先生に何度も指導された。

 

感覚的なやり方だと、覚えるのは大変だよ。そうも言われた。

 

でも、理屈はどうしても難しい。

 

それを見ていて、ソフィー先生はやり方を変えたようだった。

 

まだ爆弾の完成品は作らせない。その方針で行くと明言された。

 

「失敗をたくさんして、今のうちに」

 

「失敗ですか?」

 

「そうだよ。 物資だったらあたしが補給してあげるから、今のうちに何をするとまずいか、その感覚で覚えて」

 

「分かりました。 やってみます」

 

そう言われると、少し楽になる。

 

失敗を怖れないで、何度も何度も調合をしてみる。

 

釜が爆発したりもしたけれど。

 

その度に、ソフィー先生が、不思議な力で守ってくれた。魔術だとは思うけれど、それにしては出力が高すぎる。

 

邪神やドラゴンには、人間では太刀打ち出来ない魔術の出力がある、という話を聞いたことがあるのだけれど。

 

流石にソフィー先生だ。

 

そいつらをとっちめられる位の力があるのだ。

 

それが自力なのか。

 

錬金術を使った力で増幅しているのかは分からない。

 

だけれど、失敗の度に指やら手やら飛びそうな爆発から無傷でわたしを守ってくれるその力は。

 

間違いなく本物だ。

 

何十回か失敗した頃だろうか。

 

少しずつ、コツが分かってきた。

 

作れるものも、少しずつ増えていく。

 

そして、何となくだけれど。

 

無理なく調合する、という言葉の意味が。少しずつ、肌で分かるようになって来た。

 

鉱物を使うときは、特に分かる。

 

どれくらい砕いたらいいのか。

 

どれくらいすり潰して、不純物を取り除けば良いのか。

 

鉱物が教えてくれる。

 

その声はとても優しくて。

 

温かい気持ちにさえしてくれた。

 

一通り危険な調合をした後。

 

ソフィー先生は、少しずつ安全な調合にシフトして行くように指示。

 

とはいっても、基本も基本。

 

最初の一歩からだけれど。

 

まずは中和剤の作り方を教わる。最初に作ったのではなく、実用レベルの品を、だ。

 

わたしも魔術は使えるし、魔力を中和剤に込めて、それを媒介にするという理屈は何となく分かる。

 

だけれども、これによって本来混ざり合うことのない力が混ざり合い。

 

本来存在し得ない力が使えるという事については。

 

何度聞いても驚かされる。

 

文字通り驚天の奇蹟だ。

 

そして、その驚天の奇蹟は。

 

文字通り世界に干渉する力としか思えない。

 

錬金術は、ものの意思に沿って、ものを変質させる力。

 

その説明を聞いたときには。

 

やはり錬金術師は神の一種では無いかと思ったし。

 

それを使っていると思うと。

 

やはり破壊そのものに触れているようで、少し怖くもある。

 

だけれども、そもそも雑念があって錬金術を出来るような腕前ではまだ到底ないのが事実だ。

 

雑念があると失敗してしまう。

 

その度に、その感覚を体に叩き込むようにと、ソフィー先生に言われるのだった。

 

はっきりいって。

 

鉱石を掘っていた毎日よりも、遙かにハードだ。

 

家に帰るとお姉ちゃんが甘いものを作って待ってくれているが。

 

これも少し前までは考えられない事だった。

 

兎に角頭が甘いものを本当に欲しがる。

 

それが分かってしまう。

 

肉よりも甘いものを食べたい。

 

そんな感覚を味わうなんて。

 

今までに無いことだった。

 

いつもは燻製や干し肉。

 

たまにお姉ちゃんが持ち帰ってくる新鮮な兎肉。

 

それだけが楽しみだったのに。

 

ソフィー先生が外とエルトナをつなげてくれた途端に、この激変だ。これはもう、戻る事はどちらにしても出来ないだろう。

 

ぼんやりしている様子を見て。

 

お姉ちゃんが不安そうな目をする。

 

わたしはすぐに取り繕う。

 

お姉ちゃんは、お父さんとお母さんと同じように、わたしを心配してくれている筈だ。それなら、その好意を袖にしたくは無いし。わたしは、自分の感情に欠陥を抱えている事を自覚している。

 

だから、気付いたうちに笑顔を作る。

 

「ありがとうリア姉。 美味しいよ」

 

「そう。 もうそろそろ眠る時間よ」

 

「うん、分かってる」

 

そういえば。

 

外に出るとき、あの本は持っていこうか。

 

持っていきたい。

 

だって、外が本当はどうなのか、知りたいからだ。頭の中に叩き込むほど読んだけれども。それでも実物を見れば新しい発見があるかも知れない。

 

言われたまま眠って。

 

起きて、すぐにアトリエに出向く。

 

毎日が、あっという間に過ぎていく。

 

今までは、むしろ一日一日が、長いと感じる事さえあったのに。

 

 

 

何度の失敗を重ねただろうか。

 

だけれども、ついにお薬が出来た。

 

ソフィー先生が優しく教えてはくれるけれど。評価をするのはプラフタさんだ。プラフタさんも、ソフィー先生と同じく錬金術師なのかと思ったのだけれど、違うと聞かされた。

 

元錬金術師だという。

 

でも、凄く若くて綺麗な人だし。

 

錬金術の一線を退いた理由は何なのだろう。

 

また、時々一対の巨腕を浮かべて、作業をしているが。

 

それは「拡張肉体」というもので。

 

自分で考え。

 

戦闘は当然のこと、日常生活でも手助けをしてくれるものらしかった。

 

錬金術の産物である事は間違いない。

 

だけれども、あまり根掘り葉掘り聞くのも何だろう。

 

元錬金術師、というのにも何か含みを感じるし。

 

あまり聞かない方が良さそうだとわたしは思って、以降はその辺りの事は忘れる事にした。

 

ソフィー先生が、わたしに錬金術を教えてくれるだけで。

 

どれだけの幸運か分からないのだ。

 

そもそも、この人はお姉ちゃんの言葉が正しければ、世界でもトップクラスの錬金術師である筈。

 

そんな人に教わっているのに。

 

無駄に出来る筈がない。

 

そして、ソフィー先生はとても優しい反面、何処か恐ろしい深淵のような目をしているのに。

 

プラフタさんは一貫して厳しくて。

 

いつも鋭い刃のようだった。

 

評価も厳しく。

 

お薬も、いきなり21点と言われた。

 

「21点!?」

 

「ああ、プラフタは自分の作る同じものを評価基準にして点数を付けるんだよ。 21点だと、プラフタのお薬を100点とした基準だから、質は五分の一くらいだね」

 

「そっかあ」

 

肩を落とすが。

 

だけれど、ソフィー先生は笑顔を作る。

 

商業で流通している薬には、もっと品質が低いものもあるし。

 

わたしはもっと伸びるという。

 

ならば、最初の一歩が21点だというのは、むしろ良い事なのかも知れない。

 

前向きに考えるべきだ。

 

そして、薬の効能についてだけれど。

 

ソフィー先生は何の迷いもなく腕を出すと、ナイフですっと切れ目を入れた。

 

血があふれ出す。

 

わたしは、声を失う。

 

今。ソフィー先生には。

 

本当に、何のためらいもなかった。

 

ひょっとして薬の品質次第では。

 

腕を切りおとしていたのでは無いか、とさえ思った。

 

傷口に、わたしの薬を塗り込むソフィー先生。傷が、冗談のように溶けて消えていく。血もすぐに止まった。

 

信じられない。

 

薬草から調合したお薬では、こんな効果出ない。

 

魔術による回復でも同じだ。

 

お姉ちゃんが回復の魔術を嗜んでいるから、実際の効果は見たことがある。これは本当に、わたしが産み出したものなのか。

 

あの時。

 

街の扉を壊して、ソフィー先生が来た時。

 

あんな爆発。

 

この人にとっては、それこそ児戯に等しかったのだと。今更ながらに、わたしは悟らされていた。

 

「ん、まあこんなものかな。 とりあえずお薬はこれでいいから、次は爆弾だね」

 

「は、はい。 その……余った分を、お父さんに見せてきてもいいですか?」

 

「ああ、例の約束? ふふ、良いよ」

 

小さな容器に入れたお薬を。

 

わたしは持って家に戻る。

 

お父さんはわたしがお薬を持ってきたことを告げると。無言で、腕を出してきた。どうやら今日、鉱山の奥から出てきた獣とやりあって、少し傷を受けたらしい。お姉ちゃんの回復魔術で応急処置はしたが、まだ傷は治りきっていない。

 

魔術はそういうものだ。

 

獣の中でも、ネームドと呼ばれる強力な個体は普通に魔術を使うというし。

 

人間や魔族の専売特許では無い。

 

昔は灯りを付けて回っている老魔族のグリゴリお爺さんが回復魔術も使ってくれたらしいのだけれど。

 

お爺さんが呆けてしまった今は、それぞれで対応するしかないのだ。

 

わたしは薬を塗り込む。

 

痛みはないかと聞くが。

 

ないと答えられた。

 

そして、やはり傷は。

 

一瞬で塞がっていった。

 

「やはりな。 錬金術の薬は凄まじい。 この薬では無理だろうが、場合によっては千切れた腕がつながる事もあると聞いている」

 

「お父さん、使ったことあるの?」

 

「エルトナの収入で、緊急時用にほんの少しだけ蓄えてあるんだ。 だがな、どの薬も目が飛び出るほど高くてな。 よその街では、奴隷を十人も買える値段がつくことがあるそうだ。 勿論奴隷はラスティンでもアダレットでも違法だがな」

 

お父さんは悲しそうだ。

 

商人に買いたたかれるという話は聞いていたが。

 

わたしの、この商業ラインに乗せるギリギリの薬であっても、そんな値段がついてしまうのかと思うと、慄然とする。

 

更に出てくる奴隷という言葉。

 

つまりこの薬。

 

場合によっては、人間の命より高く取引されると言う事だ。

 

「だが、この薬なら合格だ。 後は発破と、戦闘での実践だな」

 

「うん……」

 

「どうした、何か俺が怖い事を言ったか」

 

「ううん、何でもないよ」

 

何だろう。

 

少しずつ、お父さんが錬金術に反対していた理由が分かり始めた気がする。

 

お父さんは知っていたのだ。

 

錬金術と言うものが、魔術の完全上位互換であり。文字通り世界に干渉する力であると言う事を。

 

どんなに実力を磨いた魔術師だって。

 

こんな回復魔術は使えない。

 

同じ事をするにしても、ずっと時間が掛かるだろう。

 

普通の人間が絶対勝てない相手に、錬金術師が勝てる訳だ。

 

本物の破壊の力を手にしている事を、またしてもわたしは思い知らされる。

 

でも、もう立ち止まれない。

 

お父さんは、何か言いたそうだったけれど。

 

私は視線をそらして。

 

そして、またソフィー先生のアトリエに戻った。

 

ソフィー先生は何が起きたかを、正確に把握していたらしい。

 

ひょっとしたらだけれども。

 

本当に見ていたのかも知れない。

 

この人が起こした驚天の奇蹟を考えると。

 

あり得る話だ。

 

心がぐらつく。

 

でも、恐怖よりも、やはり今は好奇心が勝る。

 

外への渇望が凌駕する。

 

再び、言われるまま調合を開始する。

 

もう少しお薬を練習したいとは思ったけれど。

 

それでも、急かされる。

 

ひょっとしてソフィー先生、時間がないのかも知れない。この人ほどの存在であれば。あり得ない話では無かった。

 

 

 

発破を仕掛ける。

 

皆が離れたのを確認してから、起爆ワードを唱え。

 

そしてもう一度確認してから、爆破。

 

どん、と。

 

エルトナそのものが揺れた。

 

凄い。

 

今まで使っていた調合火薬の発破なんて、それこそオモチャみたいな火力だ。岩陰に隠れて爆破したのだけれど。

 

それでも熱風が吹き付けていた。

 

ソフィー先生は壁を展開し。

 

その熱風を真っ正面から悠々と受け止めていたが。

 

やがて、手招きしてきた。

 

崩落の恐れがない地点で発破を使用した。

 

勿論長老に声を掛け。

 

街の皆にも説明して。

 

それからの行動だ。

 

だが、事前に説明していたにもかかわらず。街のみんなは、生唾を飲み込んでいたようだった。

 

それもそうだろう。

 

今まで使っていた発破が、オモチャに思える火力だ。

 

鉱物の声が聞こえる。

 

今までの比では無いくらいたくさん。

 

鉱物は壊されても悲鳴を上げない。

 

むしろ、たくさんの鉱物が露出したからか。

 

聞こえる声は増えていた。

 

「火力が大きすぎる……」

 

「これは、本当に仕掛ける場所を考えないと駄目だな……下手すると街全部が崩落するぞ……」

 

「水晶もこれは粉々になるな。 本当に邪魔な岩があった時だけにしかつかえねえ」

 

皆がぼやいているのが聞こえる。まあ無理もないだろう。こんなものを見せられたら、それは青ざめるし、動きだって止まる。

 

わたしだって怖くて仕方が無い。

 

教わった面制圧の意味がわかった。

 

確かにこんなもの、戦闘で使ったら。

 

それこそ何十人が、一瞬で木っ端みじん。それこそ、元が何の動物だったのかさえ、分からない状態になってしまうだろう。

 

肩を叩かれて。

 

びくりとした。

 

ソフィー先生だった。

 

「どう、フィリスちゃん。 これが錬金術の爆弾だよ。 これは鉱石の粉砕用に調整してあるけれど」

 

「す、凄い火力、ですね」

 

「ずっと調合中に回復と防御の魔術を掛けていた理由が分かった?」

 

「はい」

 

頷くしかない。

 

本当にコレは、わたしがやったのか。

 

あのお薬も凄まじかったが。

 

これは確かに、ものの存在を変質させるというだけの事はある。そんな夢みたいな事があるのかと、嗤う人もいるのかも知れない。

 

だけれど、これを見せられたら。

 

その嗤いは一瞬で凍り付くことだろう。

 

使ったわたし自身が。

 

凍り付いている程なのだ。

 

「次は戦闘用に火力を調整した爆弾だね」

 

「は、はい」

 

促されて、アトリエに戻る。

 

ソフィー先生を見るみんなの目に、露骨な恐怖が宿り始めていた。

 

今の発破を作ったのが、わたしだという事は、皆に告げてある。

 

ひよっこどころか。

 

錬金術を始めたわたしがこれなのだ。

 

ソフィー先生が、エルトナの門、あの扉を爆破した事なんて。

 

それこそ朝飯前の運動どころか。

 

邪魔な小石を蹴飛ばした、程度の事に過ぎなかったのだと。

 

この場の誰もが悟っていた。

 

しかも、今その爆発を、真正面から防ぎ止めて。

 

ダメージどころか、服に煤さえついていない。

 

この人が邪神を一人で倒したという話は。

 

嘘では無いことを、嫌でも思い知らされる。

 

今の爆発。

 

魔王と呼ばれる魔族でさえ。

 

防ぐのは、それこそ全力でなければならなかっただろう。

 

それを、軽く展開した防御魔術で、完全に防ぎきって見せたのである。

 

錬金術による強化があるのだろうが。

 

それにしてもこの実力はあまりにも異常すぎる。生物の領域を完全に超えている。

 

「フィリスちゃん、お外にはこういう言葉があるんだよ」

 

「どんな言葉ですか?」

 

「井戸に住まう魚は、海の広さを知らない」

 

「え……」

 

海。

 

それはわたしも本では知っているけれど。

 

当然実物なんて見たことも無い。

 

エルトナの奥にある湖なんて、ゴミかカスに等しい程広い場所なのだろう事は想像がつくけれど。

 

それだけだ。

 

「今の爆発だと、ドラゴンを殺すどころか、ネームドでも耐え抜くのがいるかな。 それも、結構な数」

 

「嘘……」

 

「外を歩くには、こんなので驚いていては駄目だね。 山を溶かすくらいの爆弾を作れるようになってからが本番だよ」

 

「……」

 

頷くしかない。

 

やはり生きてきた世界が違うのだ。

 

そしてわたしは。

 

其処へ歩み出すためにも。

 

もはや止まることは、許されなかった。

 

驚異的な勢いで良くなっていくエルトナを見ていてもそう思う。

 

ただ一人錬金術師が来ただけで。これほどまでに、もはや明日さえなかった街が変わりつつあるのだ。

 

わたしも、外に出たら。

 

こんな破壊的変化を、自分で制御しなければならないのだから。

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