暗黒錬金術師伝説7 暗黒!フィリスのアトリエ 作:dwwyakata@2024
パイモンさんのアトリエに出向く。
パイモンさんは、魔術の専門家だ。そして雷神の石や、あの烈風を引き起こす道具を使って、先の戦いでも活躍してくれた。
だが、魔力を相当に消耗しているのはわたしにも分かった。
あまり無理をすると年齢もあるし倒れてしまうだろう。
其処で、話をする。
「パイモンさん、次のネームドに試してみたい道具があるんですが、話を聞いて貰えますか?」
「わしでよければ」
「はい。 魔力を球体に収束させて、それを一気に放とうと思っています。 放つときに雷撃や炎や氷に転換して、ですが」
「ふむ」
これが、わたしの結論だ。
今まで作っていた爆弾では火力が足りていない。
単純にわたしの技術不足もあるのだが。
多分、結論としては。
素材のパワーが足りていないのだ。
そもそもシュタルレヘルンにしてもオリフラムにしても、素材のパワーが足りないから、火力も出し切れていない。
それならば、わたしの無駄に多い魔力で補えば良い。
ブリッツコアとでも名付けようと思っているこの道具は。
ネームドさえ拘束できる鉱石に呼びかける力を、更に鉱石内部で収束させ。
常識外の火力で一気に叩き付けるという構想で作っている。
これならば。
ネームド達が見せている、異次元の防御力や魔力に、対抗が可能かも知れない。そして実戦を何回か経れば、ドラゴンに通じるものが作れるかも知れない。
ドラゴンは強靱な鱗に守られているが。
それでもその鱗さえ突破してしまえば、恐らくかなり後は脆いはずだ。そんな鱗を突破出来る攻撃を通されて、無事でいられるとは思えない。
「見せてみなさい」
「こんな感じです」
「……この魔法陣は、水晶玉の内部に閉じ込められないか」
「なるほど……」
幾つかのアドバイスを受けた後、頭を下げてアトリエを出る。
イルメリアちゃんのアトリエにも行くが。
彼女は鬼気迫る表情で、シールドの改善に力を注いでいた。
あの戦いの後、イルメリアちゃんは血を吐いて倒れた。
それはそうだ。
魂とシールドを直結したのだから。
故にあのバムルの火力にさえ数度は耐えるほどの強力なシールドを展開出来るようになったが。
無理をしすぎればああもなる。
今は、シールドの出力を上げるべく。
更に改良をしているようだった。
集中を乱しては悪いと思ったので、此方に気付いているアリスさんに一礼して、アトリエを出る。
歩きながら考える。
いずれにしても、はっきりしているのは。
ドラゴンと間もなく戦うと言う事だ。
皆の身体能力強化には限界がある。
ならば、安定してドラゴンの防御を貫ける道具が必要になってくる。
アトリエに戻ると、レシピを書き直す。
アドバイスに従って、幾つかの修正点を加えた後。
とっておきのエルトナから持ってきている水晶を加工。
鉱物の声を聞きながら、魔法陣を刻み込み始める。
わたしの魔力を全て吸い取る勢いでもかまわない。
それを最効率化して、最大最強の一撃として敵に叩き付けることさえ出来れば、それでいい。
この道具は。
わたしの切り札になる。
エルトナで育ったわたしの切り札が、エルトナの水晶になるのも運命的な話だ。
だが、それは感傷に過ぎない。
今は敵を屠るために。
最強の道具を作る。
相手を殺す事だけを考えろ。
わたしは、集中しながら。如何にして火力を出すかだけを考え、試行錯誤を繰り返した。
(続)
訳ありの錬金術師ノルベルトさんとの連携で、ライゼンベルグへの道を。最後の難関を突破に架かるフィリス。
首都近郊でありながら、もはや殆ど手入れもされていない魔郷での戦いは、文字通りの最後の壁となります。
(※余談ですが、この辺りのインフラの凄まじい荒廃っぷりは原作とほとんど同じです。 驚くかも知れませんが)
現在本作は一章分の内容を二日に分けて投稿しています。このペースについて意見をお聞かせください。
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更に分割して欲しい