暗黒錬金術師伝説7 暗黒!フィリスのアトリエ   作:dwwyakata@2024

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3、何度目かの強行突破

魔の森から現れる獣も。流石に緑化地点を見ると、足を止める。そして、凶暴性を和らげる。

 

或いは、森を守るために。

 

先制攻撃を掛けてきているつもりだったのかも知れない。

 

ただし、緑化が完了していない地点では、激しい戦闘を相変わらず強いられた。

 

皆にハルモニウム製の武器が行き渡っているとは言え。

 

前線を維持するのに、毎日激しい戦闘と、多大な疲弊が伴った。

 

エルトナに来ている戦士達と何度も交代して貰い。

 

来た戦士には、わたしが作った錬金術の装備類を渡す。

 

型落ちにはなるけれど。

 

それでも最初の頃にわたしが使っていた装備に比べると、桁外れの性能のものばかりだ。だがしかし、それでもなお。あの魔の森から出てくる獣たちの戦闘力には、正直な所及ばない。

 

わたしは毎日、無心で岩山を掘り崩す。

 

鉱物の声を聞きながら、崩落が起きるときは周囲に促し。

 

行っては戻り、行っては戻りを繰り返し。

 

時には意図的に崩落を引き起こし。

 

更には岩をどんどん適切な大きさに崩しては、全自動荷車を使ってコンテナに運び込んでいく。

 

警戒するのは上空だけで良い。

 

流石に柔らかい土の中なら兎も角、岩山の中に潜んでいる獣は少ないし。いるとしても、鉱物が教えてくれる。

 

岩陰に潜んで奇襲を狙って来る獣もいるけれど。

 

わたしにはその存在が「聞こえて」いる。

 

奇襲なんて受けてやらない。

 

フルスハイムには、一度だけ出向いて、現在の作業状況について告げた。

 

レンさんも、岩山をブチ抜いて街道をこしらえると聞いた時には流石に驚いていたけれども。

 

これが一番安全だという言葉には納得した。

 

或いは、あの魔の森の存在について、レンさんは何か知っていたのかも知れない。

 

可能な限り、あの森の獣に襲われ続ける可能性を残した状態で、道は作りたくなかったのだろう。

 

一心不乱に、つるはしを振るい続けるわたしは。

 

不意に袖を引かれていた。

 

ツヴァイちゃんだった。

 

「後方の緑化がほぼ完了したのです。 森からの獣も、仕掛けてこなくなりました。 ただアードラが時々仕掛けて来ているので、気を付けるようにとの、リア姉様のお話なのです」

 

「うん、分かった。 ありがとう」

 

ツヴァイちゃんも、二人も出来たお姉ちゃんをどう呼び分けるか少し悩んだらしいのだけれど。

 

わたしに習ってリア姉と呼ぶようにしたようだ。

 

ただちょっと距離があると言うか、遠慮があるようで。

 

リア姉「様」と、ちょっと他人行儀だ。

 

これはまあ、仕方が無いだろう。

 

お姉ちゃんは、わたしほど親身にツヴァイちゃんに接触してこなかったのだから。

 

それとお父さんとお母さんについても、同じように呼んでいるようだ。

 

これは更に仕方が無い。

 

一緒に過ごして間もない。

 

反発してやさぐれるような事も無いのだし。

 

充分に良しとするべきなのだろう。

 

カルドさんが警告の声。

 

上から、かなり巨大なアードラが仕掛けて来ている。カルドさんが、凄まじい轟音と共に、一射必中。だがそれでも、アードラは落ちない。ただ、露骨に怯んだ。その隙をわたしは見逃さない。

 

ブリッツコアを発動しようとした瞬間。

 

ツヴァイちゃんが、先に神々の贈り物を発動。

 

文字通り、神話の時代の稲妻の鎚が如き白光が。

 

空駆ける凶暴な大鳥を貫通していた。

 

収束型で無ければ、一瞬で炭クズと化していただろう。それでも体半分が文字通り消し飛んだアードラが。

 

音も無く落ちてきた。

 

文字通り即死だ。

 

「まだ、上手に当てられないのです。 頭だけを消し飛ばしたかったのです」

 

ぼやくツヴァイちゃん。

 

いや、充分だよと、カルドさんがフォロー。そして、戦士達がわいわいと来て、アードラを解体するべく持ち帰っていった。

 

再び雑念を払って、ひたすら岩を砕き。岩山を崩し続ける。

 

時々方位磁針や影を見て、方角と時間を確認。

 

ハルモニウム製のつるはしという強力なアドバンテージがあるとは言え。そして鉱物の声が聞こえるというギフテッドがあるとは言え。

 

わたしの体力は無限では無い。

 

コンテナは本当に無尽蔵に鉱石を吸い込んでいくけれど。

 

それでも、この世界の全てを飲み干すほどの要領は無いだろう。いつか、鉱石を大量に放出しなければならなくなるのかも知れない。

 

額の汗を拭い。

 

レーションを口にしながら、つるはしを振るう。

 

また、完全に安定した岩壁については、硬化剤で固めてしまう。

 

そして、此処までは大丈夫、という地点までわたしが旗を立てると。

 

皆で一斉に緑化作業を始めるのだった。

 

勿論土を運び込んで、緑化を容易にするためにも。地面よりも深く岩山は掘り進めてある。これらのノウハウも、全て今までに学んできた事だ。プロになってからも、やる事は基本的に変わらない。

 

今までよりも強大な力が扱えるようになっても。

 

応用をやるのは、それが必要な時だけ。

 

最も必要なのは基礎。

 

わたしは自分のギフテッドと。

 

自分で出来る錬金術を。

 

最大限に生かしていく。それだけのことだ。

 

岩山を三つほど崩し尽くしただろうか。

 

ふと、岩山の間に。

 

小さな平地が姿を見せた。

 

岩山の中に、こんな土地があったのか。しかも、清水がこんこんと湧いている。小さな魚もいるようだ。

 

此処は、安易に触ってはいけないだろう。

 

ちょっとこの場所を避けるようにして、岩山を丁寧に、慎重に削りつつ。この閉ざされた楽園に触れないように、壁を立てて、硬化剤で固めてしまう。

 

少し作業が増えるが、この程度は特に問題でもない。

 

これが恐らく相当に貴重な環境で、人間が触れるべきでは無いと言う事も説明し。

 

アングリフさんも納得してくれた。

 

そのまま迂回して、岩山を掘り進める。

 

時間は、容赦なく過ぎていった。

 

 

 

正確な時間感覚が消失してしまって、何日経過しただろう。

 

岩山を七つ崩した頃には。正直頭が朦朧としていた。

 

そのタイミングで、お姉ちゃんに引っ張られて、コンテナに戻る。料理が出来ていたので、食べるように言われた。

 

無心で頬張る。

 

疲れすぎていたからか。あまり美味しく感じなかった。

 

甘いものも出してくれる。

 

そして食べた後は、すぐに眠るように促された。

 

「スケジュールが」

 

「いえ、僕が見る感じスケジュールはむしろ短縮しています。 此処から此処までのタスクを短縮できたので、むしろ後は楽になるはずですよ」

 

カルドさんがチャートを見せてくれる。

 

確かに、言われて見ればその通りだ。

 

そして、何日経ったのかも説明を受けた。その日数なら、確かにまだまだ何とかなる状態だ。

 

思った以上に、作業にのめり込みすぎていたのかも知れない。

 

焦りがあったのだろう。

 

あんなに凶悪な獣が多数出てくるなんて、想像も出来なかった。

 

一度眠りに落ちると。

 

後はもう何も考えられなくなった。

 

しばし眠って。

 

朝日が出始めた頃に起きだす。

 

まず体を綺麗にして。

 

それからアトリエを出た。キャンプも、既に岩山に作った道の中頃にまで移している。わたしは一旦岩山に穿った道の入り口辺りまで戻ると鉱物の声を丁寧に聞き、大雨などが降った場合に土砂崩れなどが起きそうな場所を特定。事前に危険箇所を取り除く。

 

精神の余裕が無かったから、こういうことにも思い当たれなかった。

 

戦略事業では、一手のミスが数十の命を容易に奪ってしまう。それも換えが利かないスキルを持っている人材や。自分自身の命だって危険にさらす。

 

戦略的に考えると言うことは。

 

そうやって命を数字で考える必要も出てくる事で。

 

今まで戦略事業をして来て。どんどん自分がリアリストになっていき。冷たくなって行くのを実感したのもその辺りが理由だ。

 

最初の頃のわたしが、今のわたしを見たら。

 

単純に怯えるのでは無いかと思う。

 

だがそれは、厳しい環境で鍛え抜かれたから。そして、真実を知ったから。

 

勿論わたしは。もし弟子が出来ても、同じように扱うつもりは無い。こんな思いをさせる人は、あまり出したくない。

 

だけれども。

 

強くなったのは事実だ。

 

いや、強くならなければ生き残れなかった、というのが正しいかも知れない。

 

丸二日を掛けて、今まで作った道の確認。危険要素を徹底的に排除し、なおかつ空飛ぶ荷車を使って、あまった石材を道の上側に配置。これも硬化剤で固めて、落石に備えられるようにした。

 

二重三重に防備を固めた後。

 

また岩山を突き抜くべく作業に戻る。

 

精神に余裕が出てきたからか、以降の作業は更に楽になった。

 

わたしは駄目だな。

 

自嘲する。

 

だけれど、駄目なりに、全力を尽くす。

 

そして、この岩山を突破出来れば。

 

フルスハイムの至近に出ることが出来るはずだ。後は、岩山をくりぬいて作った道を緑化し。

 

そして道の左右を固めれば、それで終わり。

 

この道は、フルスハイムにとっても、メッヘンにとっても有益なものとなる。

 

フルスハイムは陸路のインフラが壊滅的という弱点があったが、それもこれで解消されるし。

 

メッヘンはフルスハイムから続く巨大なインフラに組み込まれることになる。

 

問題は、その後に巨大な経済的なショックが来る事で。

 

上手くコントロールできなければ、悪い人がたくさん来て。悲しい事がたくさん起こることだけれど。

 

それは絶対にさせない。

 

最後の一振り。

 

つるはしが、大規模な崩落を引き起こす。

 

その前に退避して、そして見た。

 

ついに、光が差す。

 

岩山をブチ抜き続けて。ついにフルスハイムの至近にまで、出る事が出来たのだ。

 

見ると、此処は前にわたしが装甲船を作る時、崩した岩山よりも、更に東より。予定通りの地点だ。

 

此処からなら、川にも橋が架かっているし。

 

フルスハイム西の強大な獣が多数いる危険地帯を抜ける必要もない。

 

ちょっと緑化をするだけで、後は充分すぎる位だろう。

 

後の緑化作業を任せて、わたしは岩山の方のチェックに入る。徹底的にチェックして、此処を通る人が事故にあわないように、念入りに全てを調整しなければならない。

 

トンネルではなく、鉱山を露天でブチ抜いたのは、安全対策のためだ。

 

その安全対策を怠り、事故を起こしてしまっては意味がない。

 

硬化剤はまだまだ有り余っている。作れるときに徹底的に作っているからだ。非常に便利だから、今後も使い続けるだろう。

 

そしてどんな鉱物の声も聞き逃さない。

 

わたしの護衛はお姉ちゃんとドロッセルさんだけに頼む。

 

後の人達は、フルスハイムへの安全経路を通す仕事だけをやってもらう。

 

この辺りに住んでいるアードラの実力は知れているし。

 

最悪の場合も、気を張っているお姉ちゃんが警告してくれる。

 

通路の出口だけ警戒していれば、獣の侵入を防げる。

 

迎撃態勢さえ取れれば、充分に皆が駆けつけるまでの時間を稼ぐことも可能だ。

 

今は安全でも、雨が降ったら崩れるかも知れないよ。

 

鉱物が教えてくれる岩を、悉く砕いて。側に浮かせている、飛ぶ荷車に積み込んでいく。徹底的にチェックし尽くした後。

 

道の左右に壁を造り。

 

道の左右そのものも硬化剤で固め。

 

そうしている内に、緑化作業もついにフルスハイムまで届いた。

 

時間を確認。

 

ソフィー先生に言われた期限まで、後二ヶ月。

 

胸をなで下ろすと同時に。これからが大変である事を、わたしは嫌でも悟らされていた。

 

 

 

フルスハイムからの視察団が、わたしが通した道を見に来る。

 

誰もが驚いていた。

 

途中、何カ所かに休憩用のキャンプスペースも設けてある。

 

まだ途中緑化作業が完成していない箇所が少しだけあるが、それも現在進行形で緑化を進めているので、もう終わる。

 

フルスハイムの戦士達は殆ど見かけなかったが。

 

それは恐らく、船の方に取りかかっているからだろう。

 

あの装甲船と同規模のものをもう一隻。

 

今造船所はてんてこ舞いのはずだ。

 

わたしがレンさんに渡したプラティーンだけでは到底足りないだろうし。

 

何より炉を二つ積む事。

 

前のと違って、戦闘を強く意識していること。

 

浮かぶどころか、沈んで湖底に行く事も出来るようにすること。

 

何もかもが異次元の代物だ。

 

カイさんは視察団にいない。

 

船に掛かりっきりなのだろう。

 

代わりにかどうかは分からないが、重役達に混じって、ロジーさんが来ていた。

 

「これは凄い。 本当に山を削って此処まで道を通すとは……」

 

「元々フルスハイムは湖と周辺の街で経済が完結していて、故に周辺のインフラは脆弱だった。 ドナの街への道が開通したことでそれもある程度は解消したが、ひょっとするとこの道ができた事で、更に遠くへの商機が開けるか?」

 

「メッヘンの先には幾つかの街があります。 エルトナからは、豊富な鉱物資源も採取できますよ」

 

「それは素晴らしい」

 

道を案内している間。

 

わたしは何をしているのだろうとも思ったが。

 

こうやって、街のお偉方を案内することが、必ず将来のためとなると思って、笑顔を無理に作り続ける。

 

未来のためというのは、エルトナだけのためでは無い。

 

この世界の全て。

 

いずれ滅びてしまう事がほぼ確定してしまっているこの世界を、ひっくり返すための、小さな布石としてだ。

 

レンさんは壁などを確認しながら、何度も頷いていた。

 

これならば安全性に問題は無いと納得してくれているのだとすれば嬉しいが。

 

わたしも鉱物の声は徹底的に聞いて廻り、危険要素は徹底的に排除した。道そのものも、馬車がすれ違える程の広さは確保している。

 

途中のキャンプスペースでは水が補給できるようにしてある。

 

此処の水については、フルスハイムの方から、蒸留水を自動で作る道具の提供を受け。建物の中にそれを配置。

 

水源は彼方此方にあるので、水は森の維持に撒く分も含め。

 

旅人が口に出来るようにもしてある。

 

視察団は満足して帰って行く。

 

フルスハイムがこの道を防衛することは決まった。人員からしても当然だし、何より雇用も生じる。

 

近隣で最大の人口を誇るフルスハイムだ。

 

経済規模を大きくするためにも、この道に貼り付かせる警備の人員を新たに募り、訓練する事に意味はあるし。

 

何より、安全圏を拡げる意味もある。

 

メッヘンでは人員規模的にこの道を守るのは不可能だし。

 

工事をすることは成功したが。

 

エルトナでは此処からは遠すぎる。

 

フルスハイムが此処を防衛するのは当たり前だ。

 

ただし、もしもお偉方の中に性根が腐ったのがいて。

 

そいつが此処で通行税とか取り立てるようだったら、此方にも考えがあるが。

 

いずれにしても、そういう場合に備えて。

 

常に備えては置かなければならないだろう。

 

今はレンさんというまともな錬金術師が、フルスハイムにいてくれている。

 

だが先代の公認錬金術師がクズだったせいで、匪賊と癒着する重役が出たり。つい最近も、その関係で数十人もの死者が出たのだ。

 

そういった輩は。

 

どのような手を使っても排除しなければならないだろう。

 

一度エルトナに戻る。

 

既にエルトナは都市計画通りに八割方完成していて。新しく移り住んできた住民も相当数いる様子だ。

 

元からの住民とは必ずしもまだ仲良くなれてはいないようだが。

 

広場や噴水では、子供が騒いで走り回っている。

 

昔とは比べものにならないほど子供達は元気だが。

 

当たり前の話で。

 

お日様を浴びて。

 

栄養のある食事を取っているのだ。

 

その上、安全に走り回れる場所も用意されている。

 

健康になるのは当然だろう。

 

一旦解散すると、わたしはお姉ちゃんとツヴァイちゃんと自宅に戻る。しばらくはフルスハイムに貼り付きになるのだから、今夜くらいは自宅で過ごしたい。

 

お父さんとお母さんは、またごちそうを作って待ってくれていた。

 

わたしは実家とは言え特別扱いはしない。

 

仕留めた獣の肉や、収穫した野草や木の実などは分配したが。

 

それは他の家などにも分配している。

 

だから、この料理は、お父さんとお母さんが自腹で出してくれた豪華なものであって。

 

それに感謝しなければならない。

 

そも二人にも、特別扱いはしないと告げてあるのだ。

 

家族を特別扱いするようでは。

 

ただでさえ重役達と対立しているわたしは。

 

対立を更に悪化させる。

 

そう判断しての事だ。

 

逆に言うと、嫌いな相手であっても、お薬は配るし、診療もしている。この間も、重役の一人がかなり重い病気を発症したので、少しお高いお薬を分けた。病気はすぐに快癒したので。以降重役は何も言わなくなった。流石に恥というものを知っていたから、なのだろう。

 

それでもまだわたしに文句を言うようなら。

 

それは荒野の獣と同じだ。

 

料理を楽しむ。

 

二人が苦労して出してくれたお金による料理だ。

 

お姉ちゃんが、手持ちのお金を少し実家に入れたらしいけれど。

 

お父さんはあまりいい顔をしていないらしい。

 

お母さんも、自分の贅沢のために使いなさい、という事を口にしているらしく。

 

この辺りも、少し亀裂が感じられる。

 

料理はおいしい。

 

でも、わたしがこの世の混沌を開いてしまったのかも知れない。

 

エルトナは貧しい方が良かったのだろうかと。

 

時々思ってしまう。

 

だがそれは、いずれ来る滅びを回避できなかった事も意味している。

 

ソフィー先生に見せられたあの光景。

 

絶対に嘘では無かったはずだ。

 

あの人は、手段は選ばないが、嘘もつかないだろう。

 

わたしは、どうすればよかったのだろう。

 

そしてどうすれば。

 

人類が将来辿る、壊滅的な未来を回避できるのだろう。

 

料理を食べ終えると、後は何も考えずに眠る。

 

お父さんにもお母さんにも告げてある。

 

しばらくフルスハイムに貼り付きで、帰ってこないことは。

 

二人はどんな気持ちで、それを聞いていたのだろう。

 

分からないけれど。

 

わたしはどんどん、色々な全てが、壊れ崩れている気がして、ならなかった。

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