営業先のコンビニで聞いた話。   作:砂上八湖

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居る。

 

 いつの日だったか、コンビニの店長さん(故)から聞いた話。

 

 最近のコンビニは死角を無くすために監視カメラだらけにしてるんだけど、店長さんかいたコンビニも通常より2台増設して万引きなどの犯罪対策に熱心だった。

(実際、深夜に発生した強盗未遂では犯人逮捕に繋がった)

 

 

「時々カメラが止まるんだよねぇ」

 

 

 店長さんは眉を八の字に傾けながら愚痴を漏らした。

 

 カメラ自体や録画機器の故障で一斉に止まるのではなく、順番に止まるのだという。

 

 

「どんな順番で?」

 

「駐車場から自動ドア、本の棚がある窓際の通路からソフトドリンクのコーナー、お菓子の棚、弁当のコーナー、自動ドア側とは反対のレジ、自動ドア、駐車場」

 

 

 つまり「誰かが入ってきて買い物をして帰る動線」の順にカメラが止まるというのだ。

 

 カメラの前を通りすぎると問題なく録画を再開するそうなのだが、カメラには誰も映ってはいないんだとか。

 

 その現象が発生する時間は、人の波が一旦収まる午後2時ぐらい。

 けれど曜日はまちまち。

 

 バイトやパートの店員さんは不気味がって、その時間帯には入りたがらない。

 その時間は時給を2倍にするからと交渉しても、男女を問わず首を横に振られたという。

 (いわ)く「取り憑かれそうで怖い」と。

 なので、2時から3時の1時間だけ店長さんが独りで作業する羽目に。

 

 

「まさか昼間っから幽霊が出るとはねえ」

 

 

 買い物をしてるんだったら金を置いていってくれたらいいのにと、その時の店長さんは冗談を交えるだけの余裕があったんだ。

 

 

 

 後日、その店長さんが体調を崩して入院、店を辞めたことを同じコンビニで働いてる店員さんから知らされた。

 

 夕方以降の時間帯にシフトリーダーをやってる若い店員さんだけど、近い内に自分も理由をつけて辞めるつもりだという。

 

 

「えっ、なんで?

 そんなことしたらオーナーさんが可哀想だよ」

 

 急に殆どの業務を任せていた店長が退職したので業務の調整に苦労しているオーナーさんの顔が思い浮かんだためか、少し棘のある言い方になってしまう。

 

 しかし彼はバツの悪そうな顔はするものの、私の言葉に反発する様な素振(そぶ)りは見せなかった。

 むしろ伺いを立てるような上目遣いで尋ねてきたのだ。

 

「……店長からカメラの話聞いてます?」

 

 

 うん、と頷くと彼は震えるような溜め息をつく。

 私から視線を逸らし、無意識にといった感じでレジ奥にある事務所への出入口へと目を向けた。

 

 クリーム色を基調とした店内のカラーリングと同じ事務所へと続くドア。

 

 そして退職を希望する理由をポツリと話してくれた。

 

 

「何回修理しても、事務所内部を映してるカメラが止まったままなんですよ」

  

  

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