寄成ギョウに転生したから、キャラの良さガン無視して善人になるニョロ〜! 作:ライダー☆
会場が騒然としている……正義たちの悲痛な声も聞こえる……。けどいま一番聞こえるのは、ギョウくんの声……。
「ど、毒やと……牛次郎にやられたっちゅうことなんか?」
「あぁ……。……本当は、さっき、君とあったときにはこの毒のことには気がついていた……。」
「じゃあ、なんで言わへんかったんや……。」
「言ったって無駄だろう?対処の仕様もない。だから……この毒が回る前に、君と全力のデュエルを楽しみたい、そう思った、だけさ。」
体に力が戻り始めてきた……今なら、立てる……!!激痛が走るけど、それで、音楽を奏でるのをやめたくはないんだ!誰に、何を言われようと……!!
「ぐぅっ!……はぁ……はぁ……。」
「ルシファーはん、立つんやない!体に無茶をするな!その体でデュエマをしたら、じきに毒があんたの全身に回る!それ以上の無茶はワイが許さへんぞ!」
「その者の言うとおりです!おやめくださいルシファー様ぁ!」
「例えそうだとしても!……僕はやめない、無茶をさせてもらう……。まだ、やるべきことがあるんだから。…………ギョウくん、元いた場所に戻ってくれないか?……演奏はまだ、続きなんだ。ヘレンたちも、何も言わないでくれ!僕は、立ち上がったんだ。」
『ルシファー様……。』
ルシファーはん……。
そうやな、全力でぶつかり合うって、さっきそう言ったもんな。これ以上、彼を心配するのはナシや。……デュエマに、すべてを注ぎ込むんや!歩き、戻って、手札を持ち直して、さぁデュエマ再開や。
「…………ワイのターン。」
【ルシファー選手に応えるため、ギョウ選手、デュエマを再開したぁー!!!】
「ありがとう……ギョウくん。」
「礼は、いらへん……行くで、まずはラグマトックスを召喚や。効果で青銅の鎧をマナゾーンへ置く。……次に、あんたもクリーチャーを一体選んでマナゾーンへ送ってもらうで。」
「……エメラルーダをマナゾーンへ。」
「かーらーの、ボアロパゴスの効果を発動や。マナゾーンからラグマールをバトルゾーンへ。そしてラグマールをマナゾーンにおいて……また、選んでマナ送りやで。最後の1体しかおらへんけどな。」
「……ラ・ローゼ・ブルエをマナゾーンに。」
「これで、ルシファーのバトルゾーンにはブロッカーはいなくなった……!」
「ちゃぁうぅ……!」
「シールドブレイクはせずに、ターンエンドや。」
……合計コストは32。次のターンには龍解ができる……!
ルシファー 8ターン目
……ぐっ!……また痛みが強く……苦しく……!!だけど、演奏は必ず終わらせる!ギョウくんも、僕を心配する哀れみの目で見ていないんだ……彼は僕の頼みを聞いてくれた。僕だって、彼に応えなければ!!
「ドロー。龍覇セイントローズを召喚!!!」
「な……なんやそのカードは……見たこともない、新たなドラグナーっちゅうことか。」
「君と戦うために、僕の本気を見せるために入れたカードさ。……セイントローズの効果で、超次元ゾーンからドラグハート・フォートレス、天獄の正義ヘブンズ・ヘブンをバトルゾーンへ!」
あれも、見たことないドラグハート・フォートレス……楽しくなってきたやないか。
「ターンエンド。その時ヘブンズ・ヘブンの能力発動。ブロッカーを一体バトルゾーンに出せる、エスポワールをバトルゾーンへ。……さぁ、君のターンだよ。君の全力の龍解を、見せてくれ……!!」
「……言われなくとも、そのつもりやで。」
ギョウ 8ターン目
「ギョウさんのクリーチャーの合計コストは30……龍解条件は成立してるわ!」
「……ルシファーはん、ワイの全力、受けてみろ!!3・D・龍・解!最・終・形・態!我臥牙ヴェロキボアロス!!」
「ついに登場したね……君の最強の切り札……!」
「そういうことや、ドロー!」
「究極音感、レクイエムデュエル!!!」
いまドローしたカードがわかることができれば…………っ!!!さっきよりも段違いの痛みが……胸に……!!あ、痣が伸びている……
「ルシファー様の痣が伸びたレヒぃ!?」
「ルシファー……様……これ以上無理を……!!」
「さっきも言っただろ?それはできないよ、ヘレン……僕は、ギョウくんと約束した!全力をぶつけるって!」
ルシファーはんの痣が伸びた。なるほど、あれが伸びて、行き着く先は心臓部分っちゅうわけか。あのクズめ、とんでもないことしやがって……。
……いや、いけないいけない。デュエマに集中しなくちゃな。ルシファーはんの頼みはそれやねんから。
「ぐぅっ……うう……!!(音が聞き取りにくい……!ドローしたカードも、わからない……!!)」
「ルシファーはん、苦しんでるなか悪いけど、行くで。今ドローしたデカルトQを召喚。マナ武装7で5ドローからのぉ、効果でシールドゾーンのカードと手札1枚を入れ替える!さらにさらに、ヴェロキボアロスの効果でマナゾーンからドミティウスをバトルゾーンへ!!」
「くっ……!!」
「ドミティウスの効果で山札上から5枚を見る……。」
音が……わからない、何も……!!今引いた5枚は、一体何だ……!?
「来たで!」
来ただと……!?なにか引いたのか!?
「ジャスミン、アクア・ハルカス!そして……ボルメテウス・ホワイト・ドラゴンをバトルゾーンへぇ!!!!」
「ホワイト・ドラゴンだべ……!」
「このターンで決められなくとも、あいつがいれば、シールドを墓地において、一気に決めきれる……。それをせずとも、このまま行けばギョウの勝ち!だけど……!!」
勝太くんの思っとることと同じ、そう、ルシファーはんは簡単にはやられへん!それに、ルシファーはんのマナゾーンにはトリガーが1枚もない。引かれる可能性は十分にある!だからこのターンはブレイクすることを狙う、トドメまではいかれへんやろうからな。
「さぁ、ブレイクの時間や!ヴェロキボアロスでシールドをトリプルブレイクや!そのときにも効果発動、マナゾーンからディグルピオンをバトルゾーンへ。」
「ま、まずい!ルシファー様、ブロックを!!」
……正義……。そうだ、今シールドをブレイクされるわけにはいかない。まだ逆転の余地は残しておきたい!ブロックを……!
『シールド・トリガー、ヘブンズ・ゲート!!効果でヴァルハラ・グランデ2体をバトルゾーンに。』
……っ!?今のは一体なんだ?僕の体が……浮いた、いや、見えた!?自分の顔も、シールドを3枚割られて、シールド・トリガーを発動している瞬間も!せ、刹那の夢なのか?
しかし、対面にはギョウくんがいた。まさかこれは……僕も知らなかった、レクイエムデュエルの真価……!?ということは今のは……
「ブロックは……しない。」
「ル、ルシファー様!?一体なぜ……」
シールドチェック……やはりさっきのは「未来」だったんだ!2枚目のシールドチェックで、確信に変わった!
「シールド・トリガー、ヘブンズ・ゲート。効果でヴァルハラ・グランデ2体をバトルゾーンに。ヴァルハラ・グランデの効果で、オトマ=クット、ラグマトックス、イメン=ブーゴ、アラクネザウラをタップ!」
「くっ、トリガーが来るとはわかってたが、まさかヘブンズ・ゲートとはなぁ……ブロッカーが増えたか、ターンエンドや。」
「ルシファー様は、まさか今のを狙っていたレヒ……!?」
「けどどうやって……未来を見据えなくっちゃ無理なことなはず……もしや、その未来を!?」
……未来……ま、また見える!次に引くのはマスター・スパーク……そして、ギョウくんが僕へと、エウル=ブッカを宣言している……!これがレクイエムデュエルの真価。無駄にはしない。苦痛に蝕まれようと演奏は止めない!必ず奏できって見せる!!
ルシファー 9ターン目
「ターンのはじめ!バトルゾーンにブロッカーが3体以上いるので、龍解条件成立!……未来へのオーバーチュア!ドラゴンが奏でし……天空のファンタジア!!龍、解!天命讃歌ネバーラスト!」
こ、これは……!新たなるクリーチャーの龍解……!変形し、巨大な龍になった……これがルシファーはんの本気……ゾッとさせてくれるやないか、さいっこうやでぇ!!
「さらにエメラルーダを召喚!シールドと手札を1枚入れ替える……!!」
これでマスター・スパークを仕込むことに成功した……!!
「そして呪文、ダブル・ディフェンス。ネバーラストとエスポワールは、ターン終了時にアンタップする。行くよギョウくん、これが僕の全力だぁ!ネバーラストで、シールドをトリプルブレイク!」
このターンで決めきるつもりか、ルシファーはん……せやけどワイはそう簡単にはいかへんで。デカルトQでエウル=ブッカを仕込んどる。そしてそのシールドを割ってきた!これで勝ちや!
「シールド・トリガー、古龍遺跡エウル=ブッカ!効果で……」
「いや、それは使えないよ。」
「なんやて!?」
「ネバーラストがいる限り、光以外のコスト5以下の呪文は使うことはできない。」
「……って、てことはエウル=ブッカは使えへん!?」
「てことはギョウは……残り2枚のシールドに賭けるしかねぇってのかよ!?」
「しかもそこにトリガーがあったとしても……エウル=ブッカのようなコスト5以下のシールド・トリガーだったら……ギョウさんはそれを使えないわ。」
「い、行けます!そのまま押し切ってください、ルシファー様ぁ!!」
正義……そうさ、これで決着だ。エスポワールでダブルブレイク。
「シ、シールドチェックや……!!」
「究極音感……レクイエムデュエル!」
っ耳が……ちぎられているかのように痛い…………痣ももう、心臓部分にまで届きそうだ……!苦しい、叫びたい……けど、絶対にそれをするわけにはいかない!意識が朦朧としても、痙攣しようとも……!!
…………1枚目、ガイゲンスイ、2枚目……エウル=ブッカ。僕の、勝ちだ!
「エメラルーダで、ダイレクト……!!」
「いや、まだや……。」
なに!?シールド・トリガーは使えないはず……まさか、まだ何かがあるというのか!?音が聞こえにくい……何をするのかさえ、わからない……!
「こういうパターンも想定して、あらかじめ用意しておいたんや。S・バック発動や!加えたエウル=ブッカを墓地に置き、オチャッピィを召喚やぁ!」
かーーらーーのーー…
「召喚によってバトルゾーンに出たことにより、ヴェロキボアロスの効果発動!マナゾーンから聖霊左神ジャスティスをバトルゾーンへ!かーらのぉお、効果で山札上から5枚見て……マスター・スパーク!あんたのクリーチャーを全てタップやぁ!」
「……なっ!?」
ということは……僕のターンは、これで終わり……?いや、まだだ!ネバーラストとエスポワールをアンタップ!……そこでボルメテウス・ホワイト・ドラゴンをブロックすれば、マスター・スパークを使って逆転ができる!
けど、まさかあの状況を覆すとは……!!
ギョウ 9ターン目
……まず確実に、ホワイト・ドラゴンはブロックされるやろうなぁ。さっきのエメラルーダでトリガーを仕込んどるはずやから、確実にシールドは墓地に置かなあかん。手札にあるブレイガーを召喚して、マナゾーンからのツミトバツで数体は破壊できる。あとは、あのカードを引ければ……つまり!!
「このドローで、全部決まる……!!どっちが勝つか、どっちが負けるかぁ!!!!ぬおおおお……」
「あぁ、そうだね。勝敗が決まる……だからこそ!僕は今ここで、君のためにすべてを使い切る!究極音感、レクイエムデュエル!」
その瞬間、僕の耳は何も聞こえなくなった。カードの音も、何もかも……。痣が心臓部分に到達した……。薔薇の花びらが散る……けど痛みは感じないし、聞こえなくともわかる。
ボルメテウス・ホワイト・ドラゴンの咆哮と、凶英雄の荒々しい雄叫びが。……これが、レクイエムのフィナーレ……!!
「ギョウくん……気づけば君とのデュエルを、心の底から楽しんでいた。君に勝つことに、夢中になっていた……。」
「……ルシファーはん。せめて楽に終わらせたる。ツミトバツをマナチャージからの、青銅の鎧を召喚。そしてヴェロキボアロスの効果で、ツミトバツをバトルゾーンに。そしてマナ武装7、発動!すべてのクリーチャーのパワーをマイナス7000!!さらにさらに!ポレゴンを召喚して、マナからツミトバツをバトルゾーンに。これでブロッカーはネバーラスト以外おらんくなった!!トドメや、幻緑の双月を召喚……そしてマナから、3体目のツミトバツ!これでネバーラストを破壊!」
みんな、黙っている。
このフィナーレを、何も言わず、ただ静かに、聞いている……。勝太くんたちから、声が聞こえへん。あえて何も言わないんやろうな。ルシファーはんの覚悟を……実感したから……。響くのはワイとルシファーはんの声だけ……。
「さぁ、トドメや。ホワイト・ドラゴンでシールドをダブルブレイクやー!!」
燃やされたマスター・スパーク……!僕のシールドは0。楽譜にも、もう音符は書かれない……。
「ルシファーはん。これが……あんたが望んどったデュエマやったんか?」
「……あぁ。これが、君と僕とのこれ以上ない最高のデュエマさ……デュエ魂のぶつかり合いは、最高だったよ。……本当にありがとう。」
その言葉を聞いた瞬間、なんかしっとりとしたもんが込み上げてきた。……けどここは、返事をせなあかん。
「そうかぁ……。ワイも楽しかったで、今までやってきたデュエマの中で一番な。……疲れたやろ?今は、静かに眠ってな。ヴェロキボアロスでぇ、ダイレクトアタック!!」
ありがとう……ギョウくん……僕は眠ることにするよ……。
「ル、ルシファーはん!」
ね、眠った……いや、意識を失った!心音は、小さくだけど鳴っとる。まだ生きとる!
「おーい!勝太くんたちでも、誰でもいい!この近くにある病院はどこや!教えてくれー!!!」
「サイファー記念病院が一番近いレヒ!100m先にある大きな病院レヒ!!」
「私達が案内します!」
「あんがとさん!!」
もう勝利の余韻に浸ることなんてせぇへん。今はルシファーはんを救うことが、肝要……!急いで階段を降りて、舞台から去る。
「ついてきてください!」
「あぁ、わかったで。……勝太くんたち!すまんが片付けは任せたで!!」
その言葉を最後に、ギョウはルシファーを抱えて、ヨーデルたちと一緒に病院へと走り去った。
……なんだよ、ルシファーの野郎…………あいつの気持ちだって十分にわかるさ。全力を出してデュエマをしていた、激しく、アツかった……。
けどそれ以上に!悔しい……あいつと戦えなかったことに……!!
「ギョウ……ルシファー…………」
俺は無意識にそうつぶやいてた。ギョウの勝利を報告するナレ太郎の声だけが、ドーム中に響いてた。