寄成ギョウに転生したから、キャラの良さガン無視して善人になるニョロ〜!   作:ライダー☆

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第14話 シンフォニー、イバラに包まれたフィナーレ!!

 会場が騒然としている……正義たちの悲痛な声も聞こえる……。けどいま一番聞こえるのは、ギョウくんの声……。

 

「ど、毒やと……牛次郎にやられたっちゅうことなんか?」

「あぁ……。……本当は、さっき、君とあったときにはこの毒のことには気がついていた……。」

「じゃあ、なんで言わへんかったんや……。」

「言ったって無駄だろう?対処の仕様もない。だから……この毒が回る前に、君と全力のデュエルを楽しみたい、そう思った、だけさ。」

 

 体に力が戻り始めてきた……今なら、立てる……!!激痛が走るけど、それで、音楽を奏でるのをやめたくはないんだ!誰に、何を言われようと……!!

 

「ぐぅっ!……はぁ……はぁ……。」

「ルシファーはん、立つんやない!体に無茶をするな!その体でデュエマをしたら、じきに毒があんたの全身に回る!それ以上の無茶はワイが許さへんぞ!」

「その者の言うとおりです!おやめくださいルシファー様ぁ!」

「例えそうだとしても!……僕はやめない、無茶をさせてもらう……。まだ、やるべきことがあるんだから。…………ギョウくん、元いた場所に戻ってくれないか?……演奏はまだ、続きなんだ。ヘレンたちも、何も言わないでくれ!僕は、立ち上がったんだ。」

『ルシファー様……。』

 

 ルシファーはん……。

 そうやな、全力でぶつかり合うって、さっきそう言ったもんな。これ以上、彼を心配するのはナシや。……デュエマに、すべてを注ぎ込むんや!歩き、戻って、手札を持ち直して、さぁデュエマ再開や。

 

「…………ワイのターン。」

【ルシファー選手に応えるため、ギョウ選手、デュエマを再開したぁー!!!】

「ありがとう……ギョウくん。」

「礼は、いらへん……行くで、まずはラグマトックスを召喚や。効果で青銅の鎧をマナゾーンへ置く。……次に、あんたもクリーチャーを一体選んでマナゾーンへ送ってもらうで。」

「……エメラルーダをマナゾーンへ。」

「かーらーの、ボアロパゴスの効果を発動や。マナゾーンからラグマールをバトルゾーンへ。そしてラグマールをマナゾーンにおいて……また、選んでマナ送りやで。最後の1体しかおらへんけどな。」

「……ラ・ローゼ・ブルエをマナゾーンに。」

「これで、ルシファーのバトルゾーンにはブロッカーはいなくなった……!」

「ちゃぁうぅ……!」

「シールドブレイクはせずに、ターンエンドや。」

 

 ……合計コストは32。次のターンには龍解ができる……!

 

 

ルシファー 8ターン目

 

 ……ぐっ!……また痛みが強く……苦しく……!!だけど、演奏は必ず終わらせる!ギョウくんも、僕を心配する哀れみの目で見ていないんだ……彼は僕の頼みを聞いてくれた。僕だって、彼に応えなければ!!

 

「ドロー。龍覇セイントローズを召喚!!!」

「な……なんやそのカードは……見たこともない、新たなドラグナーっちゅうことか。」

「君と戦うために、僕の本気を見せるために入れたカードさ。……セイントローズの効果で、超次元ゾーンからドラグハート・フォートレス、天獄の正義ヘブンズ・ヘブンをバトルゾーンへ!」

 

 あれも、見たことないドラグハート・フォートレス……楽しくなってきたやないか。

 

「ターンエンド。その時ヘブンズ・ヘブンの能力発動。ブロッカーを一体バトルゾーンに出せる、エスポワールをバトルゾーンへ。……さぁ、君のターンだよ。君の全力の龍解を、見せてくれ……!!」

「……言われなくとも、そのつもりやで。」

 

 

ギョウ 8ターン目

 

「ギョウさんのクリーチャーの合計コストは30……龍解条件は成立してるわ!」

「……ルシファーはん、ワイの全力、受けてみろ!!3・D・龍・解!最・終・形・態!我臥牙ヴェロキボアロス!!」

「ついに登場したね……君の最強の切り札……!」

「そういうことや、ドロー!」

「究極音感、レクイエムデュエル!!!」

 

 いまドローしたカードがわかることができれば…………っ!!!さっきよりも段違いの痛みが……胸に……!!あ、痣が伸びている……

 

「ルシファー様の痣が伸びたレヒぃ!?」

「ルシファー……様……これ以上無理を……!!」

「さっきも言っただろ?それはできないよ、ヘレン……僕は、ギョウくんと約束した!全力をぶつけるって!」

 

 ルシファーはんの痣が伸びた。なるほど、あれが伸びて、行き着く先は心臓部分っちゅうわけか。あのクズめ、とんでもないことしやがって……。

 ……いや、いけないいけない。デュエマに集中しなくちゃな。ルシファーはんの頼みはそれやねんから。

 

「ぐぅっ……うう……!!(音が聞き取りにくい……!ドローしたカードも、わからない……!!)」

「ルシファーはん、苦しんでるなか悪いけど、行くで。今ドローしたデカルトQを召喚。マナ武装7で5ドローからのぉ、効果でシールドゾーンのカードと手札1枚を入れ替える!さらにさらに、ヴェロキボアロスの効果でマナゾーンからドミティウスをバトルゾーンへ!!」

「くっ……!!」

「ドミティウスの効果で山札上から5枚を見る……。」

 

 音が……わからない、何も……!!今引いた5枚は、一体何だ……!?

 

「来たで!」

 

 来ただと……!?なにか引いたのか!?

 

「ジャスミン、アクア・ハルカス!そして……ボルメテウス・ホワイト・ドラゴンをバトルゾーンへぇ!!!!」

「ホワイト・ドラゴンだべ……!」

「このターンで決められなくとも、あいつがいれば、シールドを墓地において、一気に決めきれる……。それをせずとも、このまま行けばギョウの勝ち!だけど……!!」

 

 勝太くんの思っとることと同じ、そう、ルシファーはんは簡単にはやられへん!それに、ルシファーはんのマナゾーンにはトリガーが1枚もない。引かれる可能性は十分にある!だからこのターンはブレイクすることを狙う、トドメまではいかれへんやろうからな。

 

「さぁ、ブレイクの時間や!ヴェロキボアロスでシールドをトリプルブレイクや!そのときにも効果発動、マナゾーンからディグルピオンをバトルゾーンへ。」

「ま、まずい!ルシファー様、ブロックを!!」

 

 ……正義……。そうだ、今シールドをブレイクされるわけにはいかない。まだ逆転の余地は残しておきたい!ブロックを……!

 

『シールド・トリガー、ヘブンズ・ゲート!!効果でヴァルハラ・グランデ2体をバトルゾーンに。』

 

 ……っ!?今のは一体なんだ?僕の体が……浮いた、いや、見えた!?自分の顔も、シールドを3枚割られて、シールド・トリガーを発動している瞬間も!せ、刹那の夢なのか?

 しかし、対面にはギョウくんがいた。まさかこれは……僕も知らなかった、レクイエムデュエルの真価……!?ということは今のは……

 

「ブロックは……しない。」

「ル、ルシファー様!?一体なぜ……」

 

 シールドチェック……やはりさっきのは「未来」だったんだ!2枚目のシールドチェックで、確信に変わった!

 

「シールド・トリガー、ヘブンズ・ゲート。効果でヴァルハラ・グランデ2体をバトルゾーンに。ヴァルハラ・グランデの効果で、オトマ=クット、ラグマトックス、イメン=ブーゴ、アラクネザウラをタップ!」

「くっ、トリガーが来るとはわかってたが、まさかヘブンズ・ゲートとはなぁ……ブロッカーが増えたか、ターンエンドや。」

「ルシファー様は、まさか今のを狙っていたレヒ……!?」

「けどどうやって……未来を見据えなくっちゃ無理なことなはず……もしや、その未来を!?」

 

 ……未来……ま、また見える!次に引くのはマスター・スパーク……そして、ギョウくんが僕へと、エウル=ブッカを宣言している……!これがレクイエムデュエルの真価。無駄にはしない。苦痛に蝕まれようと演奏は止めない!必ず奏できって見せる!!

 

 

ルシファー 9ターン目

 

「ターンのはじめ!バトルゾーンにブロッカーが3体以上いるので、龍解条件成立!……未来へのオーバーチュア!ドラゴンが奏でし……天空のファンタジア!!龍、解!天命讃歌ネバーラスト!」

 

 こ、これは……!新たなるクリーチャーの龍解……!変形し、巨大な龍になった……これがルシファーはんの本気……ゾッとさせてくれるやないか、さいっこうやでぇ!!

 

「さらにエメラルーダを召喚!シールドと手札を1枚入れ替える……!!」

 

 これでマスター・スパークを仕込むことに成功した……!!

 

「そして呪文、ダブル・ディフェンス。ネバーラストとエスポワールは、ターン終了時にアンタップする。行くよギョウくん、これが僕の全力だぁ!ネバーラストで、シールドをトリプルブレイク!」

 

 このターンで決めきるつもりか、ルシファーはん……せやけどワイはそう簡単にはいかへんで。デカルトQでエウル=ブッカを仕込んどる。そしてそのシールドを割ってきた!これで勝ちや!

 

「シールド・トリガー、古龍遺跡エウル=ブッカ!効果で……」

「いや、それは使えないよ。」

「なんやて!?」

「ネバーラストがいる限り、光以外のコスト5以下の呪文は使うことはできない。」

「……って、てことはエウル=ブッカは使えへん!?」

「てことはギョウは……残り2枚のシールドに賭けるしかねぇってのかよ!?」

「しかもそこにトリガーがあったとしても……エウル=ブッカのようなコスト5以下のシールド・トリガーだったら……ギョウさんはそれを使えないわ。」

「い、行けます!そのまま押し切ってください、ルシファー様ぁ!!」

 

 正義……そうさ、これで決着だ。エスポワールでダブルブレイク。

 

「シ、シールドチェックや……!!」

「究極音感……レクイエムデュエル!」

 

 っ耳が……ちぎられているかのように痛い…………痣ももう、心臓部分にまで届きそうだ……!苦しい、叫びたい……けど、絶対にそれをするわけにはいかない!意識が朦朧としても、痙攣しようとも……!!

 …………1枚目、ガイゲンスイ、2枚目……エウル=ブッカ。僕の、勝ちだ!

 

「エメラルーダで、ダイレクト……!!」

「いや、まだや……。」

 

 なに!?シールド・トリガーは使えないはず……まさか、まだ何かがあるというのか!?音が聞こえにくい……何をするのかさえ、わからない……!

 

「こういうパターンも想定して、あらかじめ用意しておいたんや。S・バック発動や!加えたエウル=ブッカを墓地に置き、オチャッピィを召喚やぁ!」

 

 かーーらーーのーー…

 

「召喚によってバトルゾーンに出たことにより、ヴェロキボアロスの効果発動!マナゾーンから聖霊左神ジャスティスをバトルゾーンへ!かーらのぉお、効果で山札上から5枚見て……マスター・スパーク!あんたのクリーチャーを全てタップやぁ!」

「……なっ!?」

 

 ということは……僕のターンは、これで終わり……?いや、まだだ!ネバーラストとエスポワールをアンタップ!……そこでボルメテウス・ホワイト・ドラゴンをブロックすれば、マスター・スパークを使って逆転ができる!

 けど、まさかあの状況を覆すとは……!!

 

 

ギョウ 9ターン目

 

 ……まず確実に、ホワイト・ドラゴンはブロックされるやろうなぁ。さっきのエメラルーダでトリガーを仕込んどるはずやから、確実にシールドは墓地に置かなあかん。手札にあるブレイガーを召喚して、マナゾーンからのツミトバツで数体は破壊できる。あとは、あのカードを引ければ……つまり!!

 

「このドローで、全部決まる……!!どっちが勝つか、どっちが負けるかぁ!!!!ぬおおおお……」

「あぁ、そうだね。勝敗が決まる……だからこそ!僕は今ここで、君のためにすべてを使い切る!究極音感、レクイエムデュエル!」

 

 その瞬間、僕の耳は何も聞こえなくなった。カードの音も、何もかも……。痣が心臓部分に到達した……。薔薇の花びらが散る……けど痛みは感じないし、聞こえなくともわかる。

 ボルメテウス・ホワイト・ドラゴンの咆哮と、凶英雄の荒々しい雄叫びが。……これが、レクイエムのフィナーレ……!!

 

「ギョウくん……気づけば君とのデュエルを、心の底から楽しんでいた。君に勝つことに、夢中になっていた……。」

「……ルシファーはん。せめて楽に終わらせたる。ツミトバツをマナチャージからの、青銅の鎧を召喚。そしてヴェロキボアロスの効果で、ツミトバツをバトルゾーンに。そしてマナ武装7、発動!すべてのクリーチャーのパワーをマイナス7000!!さらにさらに!ポレゴンを召喚して、マナからツミトバツをバトルゾーンに。これでブロッカーはネバーラスト以外おらんくなった!!トドメや、幻緑の双月を召喚……そしてマナから、3体目のツミトバツ!これでネバーラストを破壊!」

 

 みんな、黙っている。

 このフィナーレを、何も言わず、ただ静かに、聞いている……。勝太くんたちから、声が聞こえへん。あえて何も言わないんやろうな。ルシファーはんの覚悟を……実感したから……。響くのはワイとルシファーはんの声だけ……。

 

「さぁ、トドメや。ホワイト・ドラゴンでシールドをダブルブレイクやー!!」

 

 燃やされたマスター・スパーク……!僕のシールドは0。楽譜にも、もう音符は書かれない……。

 

「ルシファーはん。これが……あんたが望んどったデュエマやったんか?」

「……あぁ。これが、君と僕とのこれ以上ない最高のデュエマさ……デュエ魂のぶつかり合いは、最高だったよ。……本当にありがとう。」

 

 その言葉を聞いた瞬間、なんかしっとりとしたもんが込み上げてきた。……けどここは、返事をせなあかん。

 

「そうかぁ……。ワイも楽しかったで、今までやってきたデュエマの中で一番な。……疲れたやろ?今は、静かに眠ってな。ヴェロキボアロスでぇ、ダイレクトアタック!!」

 

 ありがとう……ギョウくん……僕は眠ることにするよ……。

 

「ル、ルシファーはん!」

 

 ね、眠った……いや、意識を失った!心音は、小さくだけど鳴っとる。まだ生きとる!

 

「おーい!勝太くんたちでも、誰でもいい!この近くにある病院はどこや!教えてくれー!!!」

「サイファー記念病院が一番近いレヒ!100m先にある大きな病院レヒ!!」

「私達が案内します!」

「あんがとさん!!」

 

 もう勝利の余韻に浸ることなんてせぇへん。今はルシファーはんを救うことが、肝要……!急いで階段を降りて、舞台から去る。

 

「ついてきてください!」

「あぁ、わかったで。……勝太くんたち!すまんが片付けは任せたで!!」

 

 その言葉を最後に、ギョウはルシファーを抱えて、ヨーデルたちと一緒に病院へと走り去った。

 ……なんだよ、ルシファーの野郎…………あいつの気持ちだって十分にわかるさ。全力を出してデュエマをしていた、激しく、アツかった……。

 けどそれ以上に!悔しい……あいつと戦えなかったことに……!!

 

「ギョウ……ルシファー…………」

 

 俺は無意識にそうつぶやいてた。ギョウの勝利を報告するナレ太郎の声だけが、ドーム中に響いてた。

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