寄成ギョウに転生したから、キャラの良さガン無視して善人になるニョロ〜!   作:ライダー☆

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第16話 みんなの力を今一つに!ギョウ、怒りのデュエマ!

……俺、切札勝太。第四回戦のベンちゃんとのデュエマに勝利して、準決勝に進出した。俺史上最高にアツく、激しいデュエマだった。ベンちゃんは俺とのデュエマに勝つために、メガネットワークプラスなんていうものまで仕上げてきてた。俺の手札、今引くカード、すべてを計算されつくされた頭脳で当ててくる……まるでルシファーと戦っているみたいだった。マジで負けるかと思ったぜ……!トリガーでスーパー炎獄スクラッパーを引いていなければのスレスレの勝負だったんだ。決着がついたあとのベンちゃんとの握手は、どこか言葉にできないものがあった。

 

 ちなみにその日はクリスマス。ベンちゃんはこのデュエマで俺に勝ったら、レナさんに八尾町のでっけぇ広場にあるクリスマスツリーの前で待っていてほしいって言ってたらしくてさ。ベンちゃんは負けたけど、レナさんは来てくれたらしい。そこからはお察しの通り、ハッピーエンドっていうわけだ。ちなみに第三回戦はコジローVSサソリ。コジローの超獣モードでサソリは敗退。で、そのままその場で愛を伝えるためのハグをして、コジローは気絶。……愛の伝え方ってのも、人によって色々だなぁって。

 

 けど、それはもう俺にとっては些細なことなんだ。今一番気にしているのは……明日の準決勝第一試合。牛次郎VS寄成ギョウ!あいつは籠ってデッキの調整をしている。それぐらい全力で、あの野郎を倒しにかかってくれている……!俺にできることはホカベンのときと同じ、全力で見守り、応援することだ!

 

「ぜってぇ勝てよ……ギョウ……!!」

 

 その時、スマホに連絡が来た。デコちゃんからだった。

 

「ん。どうしたデコちゃん?」

「ルシファーのお見舞い、一緒にいかない?」

「……あぁ、行くよ。サイファー病院だったよな、確か……。」

「えぇ。じゃあ、そこで待ってるわね。」

「わかった。じゃあまた後でなデコちゃん。」

 

 ……俺はハムカツと一緒に、サイファー病院へ向かった。ちなみにホカベンは第四回戦の前日には退院していた。傷が思ったよりも深くなくって、本当に良かったよ。

 到着すると、いつものメンバーと……もう一人、まさかのギョウがいた。

 

「あれ……ギョウもいんのか?」

「るるちゃんから連絡が来てな。ルシファーはんのおみまいっちゅうことやったから、急いで走ってきたニョロ。」

「お前、デッキの構築は……」

「そんなの帰ってからやればええニョロ。……勝太くんとベンはんのデュエマ、ほんまどっちもかっこよかったで。でっかいデュエ魂見せてもらったわ。」

「……へへっ、ありがとな。」

 

 ギョウ……。ルシファーのことを優先してくれたのか。やっぱすごくいいやつだよな、お前。それに俺とベンちゃんのことも褒めてくれたし……な。

 ルシファーの病室には、俺とギョウだけが入ることを許可された。ルシファーは寝たきりで目を覚まさない。けど、死んではいない。ギョウが素早く病院へと連れて行ってくれたおかげで、奇跡的に一命をとりとめたらしいんだ。

 

「ルシファー様は……デュエマをするためには死すら恐れていなかった。それを、俺達は再認識させられた…………」

「それが、強さの秘密……そんなお姿に、我らセントエンジェル中学の者は憧れたのです……それに応えてくださったギョウさんに、私達は再び感謝をしたい……。」

「勝太、君にもレヒ。ルシファーと戦えなくって本気で悔しんでいる君を見て、感謝をせずにはいられなくなったレヒ!」

 

 3人はみんな、俺達2人にありがとうを言いたかったんだな。……素直に受け止めるよ。恥ずかしくもなんともないさ。

 そんとき、扉が開いた。

 

「茶番だねぇ〜茶番茶番。」

 

 ……最悪のやつがそこにやってきたんだ。

「お前は、ルシファー様をこんな目に合わせた野郎……!!」

「牛次郎だ。名前ぐらい覚えておいてほしいもんだねぇ、踏まれた分際で野郎なんて言ってくれてさぁ。…………で、ルシファー死んでなかったんだ、意外だねぇ。」

 

「死んでなかったんだ」、だと……!?

 頭の中で何かが沸騰する音がした。ずっと抑えてきた怒りが、今にも形になりそうで……。

「ま、いいや。それだったら……ほい、これあげるよ。スノードロップっていうお花さ。花言葉の意味は……お前の死を望むって意味!」

 

 どこまでうぜぇんだよ!!俺はずっと我慢してきたけど、これにはもう耐えられねぇ!正義たちだって、もう怒りを抑えられてない……限界まで来てるんだぞ……!!

 

「てめぇ……ふざけんじゃねぇぞ!黙って聞いてりゃルシファーのこと侮辱しやがって……!!」

「あぁ〜ん?勝太くぅん、君はルシファーにとってのなんなんだろうねぇ。君みたいな赤の他人にそんなこと言われても、ルシファーくんはなんにも喜ばないと思うよぉ〜?」

「……!!このくそy……」

 

 その時だった。

 ギョウが牛次郎の顔を思いっきりぶん殴ったんだ。

 いつの間にかでっかい姿に変身もしてた。表情には、これまで見たことのない怒りが浮き出てた。

 

「貴様ァァ!」

「くっ、ギョウ!?……そこまで怒りをあらわにするなんてよっぽど苛立ったんだねぇ。おぉ怖い怖い。」

「当たり前や!貴様だけは絶対に許せへん!」

「あっそ。じゃあ僕は……ここでおさらばするよ。「やりたいこと」もできたしね。ばいば〜い。」

「待たんかい牛次郎!!」

 

 俺はギョウとともに牛次郎を追いかけに行った。けど遅かった。牛次郎は病院の外に用意していた装置で飛び上がり、逃げていったんだ……人を煽って最後には逃げる、胸糞悪いぜ、ほんとによぉ……。

 

「あぁ!な、ないレヒ!!」

 

 ヨーデルの声!?一体何が起きたんだと思って病室に戻ると、正義とヘレンさんと一緒に、ルシファーのデッキのカードを1枚1枚じっくり見ていた。

 

「おいヨーデル……ないって、何がないんだよ……!?」

「ルシファー様のセイントローズとヘブンズ・ヘブンがなくなっているレヒ……!!」

「なんだと……!?」

 

 俺も一緒にカードを探した。ベッドの下とか、天井とか……けど、どこにもなかった。

 一緒に探してくれていたギョウは、急に立ち上がって鬼の形相になり、壁を叩いた。その音が廊下まで響いて、病院中が静まり返ったような気がした。

 

「……牛次郎の野郎のせいや……間違いない……!!」

「あいつが…まさかカードを、ホカベンのときと同じように…?!」

「盗んだ…盗んだんやぁ!あいつの「やりたいこと」っていうのは、これやったんや…!ちきしょうめ!!」

「そ……そんな……あの男が、ルシファー様の、切り札を……!」

 

 誰も何も言えなかった。怒りという感情さえも追いつかないような、重い沈黙やった。

 もう、あいつに怒りなんてもんは感じねぇ。それじゃない何かが心の中でグツグツ煮えたぎってる。

 病院から出て、帰っていく俺達は、ものすごく重い心で足を進めていた。やるせない気持ちでいっぱいだった。ルシファーは目を覚まさない。俺等はそれを待つしかない……それがよりやるせない気持ちを後押ししていた。

 

 ……牛次郎はどこまで腐ってれば気が済むんやろうなぁ。あんなひねくれとる奴は転生前でも見たことはなかったで。……しっかし、ルシファーはんの切り札を取られた……となれば、エウル=ブッカはデッキから抜いたほうがええ、4枚抜いて、変わりに何を入れれば……

 

「おい、ギョウ。」

 

 ん?この声……ルシファーはんについとった……一番小ちゃい男の子の声やな。

 

「正義……!?」

「なんや、ワイになんか用か?」

「お前、あの男に勝てるか?」

 

 一瞬、立ち止まった。

 

「勝てるかちゃう……勝つんや。負けるなんてことは絶対にせぇへん。ルシファーはんのためにも、みんなのためにもな!」

「そうか…………じゃあ、これを。」

 

 正義はんは1枚のカードを渡してきた。

 超戦龍覇モルトNEXT……。聞くと、これはもともとルシファーはんのカードだったらしい。

 

「……超戦龍覇モルトNEXT。最強の切り札だ!それで、改めて頼みたい……ルシファー様の仇討ちを!!」

「僕からも頼むレヒ!セントエンジェル中学のみんなの悔しさを晴らしてほしいレヒ!!」

「ホカベンが負けたとき、俺等もすっごく悔しかったし、ムカついたんだなぁ!」

「ギョウくん、オラの悔しさも晴らしてくれだべ……!」

「私からも、お願いよギョウさん!あんなデュエ魂を持ってないやつなんか、コテンパンにしてやってあげて!」

「俺からもだ!……これをお前に。…これであの腐った電球頭野郎をぶっ飛ばしちまえ!」

「ガイハート……勝太くん……。」

 

 ……みんなが、ワイに託してくれとる。

 

 1つ1つの言葉が、心の中に積み上がっていくのを感じた。軽い何かじゃない、ちゃんと重みのある、熱のある言葉やった。心にあるデュエ魂を、もう一度、燃やすとするか。

 

「あぁ、わかったで。みんなの思い、受け取った!……ほな、ワイは帰る。……また明日な、みんな。」

 

 彼にあのカードは託しました。……ル……ルシファー様、このヘレンの決断は、正しかったのでしょうか……?

 

「絶対に勝つ。絶対に、絶対に……!!」

 

 その思いで夜道を歩いていると、誰かに後ろから肩を叩かれた。誰やと思って後ろ向いたら、レナさんやった。まさかの人やったからびっくりしたわ。

 

「な、なんやレナさんかいな。……女の子、夜道一人は危ないで?」

「……ギョウさん、私からも、このカードを……!」

「……クリスタル・パラディン。これは、レナさんの切り札やないか。ホンマにええんか?」

「はい!彼を倒してほしいんです。私も、彼のことが本当に許せません!!そのカードは、私の怒りです!」

 

 レナさんの目は、真っ直ぐやった。普段の人見知りな姿とは全然違う、なんか、強い目ぇやった。

 

「レナさん……わかった。あんたの思いも受け取ったで!」

 

 そして、帰宅。

 

 正義はんからもらったカードとレナさんからもらったカード……これを組み込むためには、お前らが必要や。ずっとデッキに入れとったお前らがな、ドミティウスとヴェロキボアロス……。

 

 頼む、一緒に戦ってくれ!!!

 

 ワイはみんなの思いにすべてを注ぎ込んどったから、鏡を見るまで変身しとったことをすっかり忘れてた。……いいことニョロ。それぐらい…………僕はデュエマにすべてをかけてるっちゅうことやからなぁ。

 

 ……べぇららら、ルシファーの切り札2枚は奪えたぞ!あとは……手に入れることができたこのカードを使えば、あの雑魚はイチコロだ!!!

 

 

 

 

 

 

 翌日、デュエドーム。準決勝第一試合が今、始まろうとしていたニョロ。

スポットライトに当てられて、僕は気を引き締めた。この舞台に立つのは何度目やろう。けど今日は違う。今日の重さは、これまでとは何もかも違う。

 

【皆様、お待たせいたしました!これより、デュエマ甲子園準決勝第一試合を始めまぁす!!!!】

 

 歓声が巻き起こり、観戦席には勝太くんたちがいる。僕にグッジョブサインを送ってくれとるニョロ。わかっとるで、「絶対に勝つ」。何度も、何度も、その言葉は僕の全身に刻み込ませたんや。

 

 静かに右の階段を上がり、対戦台まで向かう。

 

【右の階段を上がりますは、京都代表、ネバーエンディングパラサイトォ、寄成ギョウ!左はぁ、IQ200以上の天才デュエリスト、邪藩牛次郎!】

 

 対戦台につき、デッキの上5枚をシールドに、5枚を手札に加える。

 

 ……その時のデュエドームは、今まで経験したことがないぐらい静かやった。誰の声も聞こえへん。自分の心臓の音だけが、やけに大きく聞こえた。

 

「静かだねぇ。まるでお葬式みたいだぁー……なーんちゃって。」

「……いい気になるのもそこまでやでドクズ。デュエ魂を持っとらんやつに、僕は、いや……ワイは負けへん。ぐうの音も出ぇへんほど、叩きのめしたるんや。」

 

 牛次郎を睨みつける。覚悟しぃや。ワイの本気を思い知らせたるわ!

 

「ふざけやがって……なぁにが負けないだ。返り討ちにしてやるよ……ギョウ!!」

 

 

『デュエマ、スタート!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

牛次郎 キーカード:界王類邪龍目ザ=デッドブラッキオ

 

寄成ギョウ キーカード:邪帝類五龍目ドミティウス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【デュエマ甲子園準決勝第一試合、牛次郎VSギョウ!しかし意外なことに、静かなデュエマが展開されている……!!!】

 

「し、静かすぎるんだなぁ……」

「ギョウくん、落ち着いているべ。」

「いや、ちげぇよ。あいつは怒りを抑えてるんだ。必死に、な。」

「まるで嵐の前の静けさね……。」

「ちゃうぅ〜……。」

 

【そんな中、最初に動いたのは……!】

 

 

牛次郎 7ターン目

 

「あぁ腹立ってきた!もうこの空気には耐えられない!行くよ……。」

「…………早よ来いや。」

「ドロー!べららら……。8マナタップ、ザ=デッドマンを召喚!そして超次元ゾーンからニガ=アブシューム をバトルゾーンへ!さぁ〜て…………」

 

 あとは次のターンにリュウセイ・カイザーをマナチャージすれば龍解できる!ボクチンの勝ちだぁ。

 

「これでターンエンド。ほら、お前のターンだぞ。」

 

 

ギョウ 7ターン目

 

「ワイのターン……(ここで2D龍解をする!それだけや!)オトマ=クットを召喚からの!マナ武装7でアンタップ!からの7マナタップしてデカルトQを召喚や!かーらーのー、マナ武装7で5ドローして……次に能力でシールドと手札1枚を入れ替える!」

 

 ……イメン=ブーゴでダブルブレイクしたいところではあるが……それでトリガー引いて破壊されて、ボアロアックスが戻ってもうたら意味がない!

 

「ターンエンドからの、クリーチャーの合計コストが20以上やから、2D龍解、邪帝遺跡ボアロパゴス!!」

「フン、時代遅れめ。今更そんなの、このボクチンに通用はしないよォ!」

「そんなのやってみぃへんとわからへんで。…お前のターンやぞ。」

 

 

牛次郎 8ターン目

 

「フン……僕の勝ち。そして、お前の負けだ!」

「なんやと……!?」

「マナチャージ。これで9マナ。さぁ、ボクチンのデュエマが幕を開けるよぉ〜ん。まずは、龍覇セイントローズを召喚!超次元ゾーンから、ヘブンズ・ヘブンをバトルゾーンへぇ〜!!」

「そいつは……昨日ルシファーはんのデッキから盗んだカードか。」

「そういうこと。いや〜ルシファーじゃこれはかんっぺきには使えないと思ってさぁー、この天才は、完璧に使えるから、ボクチンのほうが、このカードを持つ資格があるってわ・け!」

 

 怒りが喉まで来とる。言葉をこらえるだけで、全身が震えそうやった。

 

「どこまでも腐っとるやろうやなぁ……!!」

「あいつ、ルシファー様のカードを……!」

「ゆ、許せないレヒ!」

「まだまだ行くよぉ〜。4マナでメダロ・アンドロムを召喚!マナ武装5の効果で、ボクチンのクリーチャーはすべてブロッカーだ!」

「くっ……!?」

「ターンエンド……か〜ら〜の〜……」

 

 こいつ、ワイの真似を……ほんま、刺激させるのがうまいやつやなぁ……カードを持つ手に、自然と力が入ってまうわ……。

 

「マナゾーンにあるドラゴンを5枚手札に加えることで……龍解条件は成立。さぁ絶望の始まりを祝え、喜べ!!すべてのデュエリストォ!龍・解ィ、五邪王ニガ=ヴェルムート!」

「くそっ……あいつの切り札が龍解しちまった……!!」

「けど、まだ勝機は全然あるべ!頑張るんだべ、ギョウくんー!」

「……あぁ、わかっとる!」

 

 

ギョウ 8ターン目

 

「ドロー!」

 

 あいつのクリーチャーを除去できるカードは今のところない……か。

 

「……ブレイガーを召喚。からの、ボアロパゴスの効果でマナゾーンからディグルピオンをバトルゾーンへ!!ディグルピオンの効果で1枚マナ加速、さらに5マナでエバン=ナム=ダエッドを召喚!からのからの!マナゾーンから青銅の鎧をバトルゾーンへ。もいっちょマナ加速……(3D龍解を狙う!)ターンエンド。」

「3D龍解が狙いとはねぇ。」

(バレとる…………!?)

「お前も終わりだ、寄成ギョウ!!」

 

 

牛次郎 9ターン目

 

「ターンのはじめ、ブロッカーが3体以上いるという、龍解条件を成立。かなでろーしんふぉに〜!」

「あいつ、ルシファー様のマネをしているレヒ!?」

「く……くそっ……あの野郎……!!」

「たましいにひびけぇ〜……えーっと、まいいか。あんな長ったらしいの覚えてられないよ、龍解!!天命讃歌ネバーラスト!これでボクチンの光のクリーチャーは、すべてのバトルに勝つ。お前は、ルシファーに勝ち、ルシファーに負けるんだよぉ!」

「チィッ……!?」

「しかもぉ、お前はもう光以外のコスト5以下の呪文を唱えることはできない……!これでお前は、だいっぴーんち!!……無限の精霊リーサを召喚して、ターンエンド。」

 

 

ギョウ 9ターン目

 

 くそ……あいつのブロッカーをどうにかしなければ、ワイに勝ち目はない……しかもニガ=ヴェルムートがおるから迂闊にクリーチャーでの攻撃もできへん……一旦、3D龍解するしかないか。

 

「ターン開始時、クリーチャーのコストの合計が30以上なので……3D龍解最終形態、我臥牙ヴェロキボアロス!」

「……そ・れ・で?何ができるっていうんだ〜い?」

 

 ……お、おのれあの野郎……!!

 

 けど、あいつの言う通りや。今のままじゃ何にもできへん……ブロッカーが多すぎて十分にブレイクさえできへん。だけど、1つだけシールドを割ることならできる!

 

「ドロー!弾丸透魂スケルハンターを召喚や!からの、ヴェロキボアロスの効果でマナゾーンからマッカラン・ファインをバトルゾーンへ!そしてマナ武装5発動。自分のクリーチャーはすべてスピードアタッカーや!からの、スケルハンターはブロックされへん。お前のシールドを1枚ブレイクや!」

「なっ!?ニガ=ヴェルムートの効果発動!」

「青銅の鎧をマナゾーンへ。」

「くっ、きさまぁ…………なーんてね。1枚程度じゃ痛くも痒くもないんだよぉ。シールド・トリガー、マスター・スパーク。お前のクリーチャーをすべてタップだ。」

 

 な、なんやて……!?ワイのクリーチャーがすべてタップされた……。ターンエンドするしかない……。

 

「くそっ、ギョウのクリーチャーが……!!」

「ま、まずいんだなぁ……。」

 

 

牛次郎 10ターン目

 

「この時を待っていたんだ!すべてのクリーチャーがタップするこの時をぉ!もう手札に加えていたこいつはいらない、マスター・スパークをマナチャージしてぇピアラ・ハートを召喚。スケルハンターを破壊からの……リーサの効果発動!こいつはバトルに勝ったとき、アンタップできる!つまり……」

「ネバーラストの能力が合わさって、ギョウさんのクリーチャーは、みんな破壊される……!?」

「そういうことさぁ!さぁ、みーんな破壊されてもらうよぉ〜ん!!」

「なぁっ!?」

 

 全部、全部破壊されていく……クリーチャーたちが……墓地に……!!

 何もできへん。手を出せへん。ただ見てるしかない……。

 

「そんな、ギョウくんのクリーチャーが、みんな破壊されちゃったべ……!」

「あの野郎、ルシファーのカードをあんなふうに使いやがってぇーー!!」

「これでお前のクリーチャーは0!じゃあ次に、シールドブレイクだ。ルシファーくんのクリーチャーたちでね!」

「ぐ……!」

「もう何言ったって遅い、ボクチンの勝ちは変わらない、決定事項さぁ!ネバーラストでシールドをトリプルブレイク!」

 

 トリガーは……ない。けどまだ負けん!デカルトQで仕込んだトリガーがあるんや……!

 

「セイントローズでシールドをダブルブレイク!」

「シールド・トリガー、ザ・クロックとトリガロイド!これでお前のターンは飛ばせる!」

「それがどうしたっていうんだよ。結局、ボクチンがやることは変わらない。そんな雑魚2体でどうにかできるわけがない!それに……お前がボクチンのターンを強制終了したことで、思いついちゃったもんねぇ!今の状況、お前のクリーチャーを破壊することなんて余裕なんだよ。お前が次にクリーチャーを召喚してもどうしようもない!さらに、ボクチンは次のターンにリュウセイ・カイザーを出す。てことは……お前もあの野球少年と同じように……山札切れで負けるの、さぁ〜〜!!」

 

 その発言で、ホカベンはんはあのデュエマを思い出してもうたらしい。相当なトラウマ。それに、頭を抱えて沈んでしまった……。

 

「ホ、ホカベンはん!」

「べぇらららら……結局ギョウ、お前も凡人だったわけだ。天才にはかなわない……なのに誰かに応援されてるからと、誰かの思いを受け取ったからと!そんなので強くなったつもりか、そんなのでボクチンに勝てると思っていたのかぁ!?ほんっと、くっだらないなぁバカみたいだよ!」

 

 ……こいつは。こいつだけは。

 

「……じゃああんたは、なんのためにデュエマしとるんや。」

「なんでだとぉ?そんなのお前らみたいなバカをぶっ潰すためだよ。それ以外で何がある!?努力して積み上げたものをぶっ壊して圧倒的な差を見せつける!さいっこうなんだよぉ!」

 

 

 本気で腐っとる……ワイの我慢も、そろそろ限界に近づいとった。

「特に面白いのはあのルシファーとかいう貴公子気取りだ。体が弱くって、更にそこに毒もあって!なのにデュエマをやめずに結局死にかけ……いや〜傑作だよ、あれがっ!天才気取りの凡人の姿……」

 

 堪忍袋の緒が切れた。

 

 ワイは無意識的に台を思いっきり叩き、牛次郎を黙らせた。ドームじゅうに音が響き渡って、観客も水を打ったように静まった。

 

「ええ加減にせぇよ……お前は、何かを背負ってデュエマをしたことはないやろ……そんなやつが人をけなすな、笑うな、凡人やと言うな!!」

「何だと……?」

光文明(ルシファーはん)は、自分の命を犠牲にしてまで戦った。火文明(ホカベンはんと勝太くん)は、自分の夢を叶えるために、全力のデュエ魂をぶつけ合って戦うために!お前を倒すために家にこもっていたときだってみんなのデュエマを見て、それを感じ取った!闇文明(コジローはん)も、自然文明(サソリはん)も、水文明(ベンはん)も……みんな全力でこのデュエマ甲子園に出とるんや!何かを背負ってデュエマをしとる、何かを持ってデュエマをしとる!それが五文明(みんな)なんや、何も背負ってないお前なんかとは、違うんやぁ!」

「ギョウ……!っそうだ!ギョウ、その勢いだぜー!!」

「なぁにが背負ってるだ!そんなものただのオモリだ、意味なんてありはしない!もしあるんだとしたら、それを、見せてみやがれ寄成ギョウ!」

 

 

ギョウ 10ターン目

 

「やってやるわ!このドローですべてが決まる……この重さ、このアツさ!ワイ一人では引けへん……だ〜け〜ど〜……みんながおるから引けるんや!背中を押してくれるんやぁ!ぬおおおおお……ドーロドロドロ、ドォゥローーー!!」

 

 き、きた!すべてをひっくり返すこのカードが……レナさんが託してくれた、このカードが……!

 

「いけぇー、ギョーウ!」

「お前のデュエ魂のこもっとらんデュエマも、この不利な状況も……何もかもすべてを、今!」

『ひっくり返したれやぁーーーーー!!!!』

 

 そう、このカードなら、牛次郎を倒せる!すべてをひっくり返せるんやぁー!

 

「そ、そのカードは!!」

「トリガロイドの上に、クリスタル・パラディンを進化!このカードはレナさんがワイに託してくれたカード、お前を倒すために託してくれた、カードなんや!登場時効果で、ブロッカーを持つクリーチャーをすべて手札に!」

「や、やばいっ、ニガ=ヴェルムートを龍回避!これで破壊は、防げる……はぁ……はぁ……このやろう……!!」

「レナさん……ギョウくんにカードをあげていたのかい?」

「はい!役に立てて、今、とっても嬉しいです!」

 

 余裕の表情が、完全に消えた。

 

 心の中だけで言わせてもらうわ……ざまぁみさらせ牛次郎!!

 

「どうやぁ!これが五文明(みんな)の力やぁーーー!!」

 

 一瞬の沈黙。それからドームじゅうに歓声が巻き起こった。勝太くんたちの声も、観客の声も、全部ひとつになったみたいに響いた。

 これでクリーチャーの数は形勢逆転や。からの、まだまだ行くでぇ。

 

「くっ……凡人の分際でこんなことを……!!」

「勝手に言っとけ。ワイはお前に勝つ!頼んだで、ワイの切り札ぁ!ドミティウスを召喚!効果で山札上から5枚見て、文明の違うコスト7以下のクリーチャーを出すことができる。……みんな、力貸してくれ……!」

 

 カードに手をそっと触れた、そのときや。

 ルシファーはんの声が聞こえてきた。けど周りにはおらん……。

 

『ギョウくん……今こそ、あのカードを引くんだ!みんなが君の味方だよ。』

「ルシファーはん……よし!5枚見る……牛次郎、覚悟しぃや。全部バトルゾーンに出したるねん!」

「な、なんだとぉ〜〜そ、そんな馬鹿なぁー!?」

「すげぇぞギョウー!」

「このまま押し切っちゃって〜!!」

「シール・ド・レイユ、コートニー、スペルサイクリカ、ツミトバツ、そしてぇーー……最後にこいつやぁ!超戦龍覇モルトNEXT!」

 

 一気に5体登場……さらに、モルトNEXTの効果でガイハートを装備!行ける!

 

「お、おのれ……!」

「いっけーギョウ!そのままルシファー様の仇を!」

「取ってくれレヒー!」

「かーらーのー!まだまだまだやぁ!スペルサイクリカの登場時効果で、墓地からこいつを唱える!スクランブル・ブースター!ツミトバツをスピードアタッカーに!からのぉ……呪文は手札に戻るので、1マナタップでもいっちょスクランブル・ブースター、ドミティウスをスピードアタッカーに!行くで、総攻撃やーーー!!」

 

 まずはドミティウスでトリプルブレイク……あとは他のクリーチャーの総攻撃で一気に……!

 

「トリガーは……な、なぁ〜い!!…………なーいけど、これができるんだよねぇ……!」

「「これ」……?」

多色(レインボー)マナ武装5発動だぁ!」

 

 牛次郎が掲げたあのカード……それが「これ」の正体なんか……!?

 

「自分のマナゾーンにカードが5枚以上あって、かつ全ての文明が揃っているとき、このクリーチャーは、スーパーS・バックを得る……。」

「スーパーS・バックですって!?聞いたことのない……!」

「一体、何が出てくるんだなぁ!?」

「今ブレイクされたシールドを捨てて……いでよ……界王類邪龍目ザ=デッドブラッキオを召喚だよぉ〜!」

 

 不気味で、全く知らんかったカード……こいつは一体、何なんや……?

 

「デッドブラッキオの効果で、相手のクリーチャーを一体マナゾーンへ置ける。ツミトバツは退場だ。」

「……くっ、でもまだ攻撃できるクリーチャーはおる!モルトNEXTで、最後のシールドをブレイク!」

「ここは知っている……あのときと同じ、ロジック・サークルで見ているんだ!呪文、エウル=ブッカ!ザ・クロックとクリスタル・パラディンをマナ送り!」

「無駄や!ガイハートの龍解条件は、成立しとんねん!行くでぇ、トドメの……龍かーーー……」

「……いは、できないよぉ〜ん。」

 

 ……何?

 負け惜しみか?いや、違う!たしかに龍解ができへん!カードを……裏返すことが、できへん!?

 

「ザ=デッドブラッキオの効果発動。相手のドラグハートは……龍・解・でき・ない!」

「嘘……そんな能力ありかよ……!?」

 

 時が止まったかのようにドームが沈黙した。

 確実に勝てる状況で、まさか、こんな能力を持ったクリーチャーがおるなんて……!!

 

「これぞ、龍解封じだぁ〜!所詮お前は凡人。天才のボクチンには届きはしないんだよぉ!さぁ、ターンエンドをしろ!そうしたらボクチンは手札にあるナチュラル・トラップでシール・ド・レイユをマナゾーンに置いてダイレクトアタックを決め込んでやるからさぁ〜!!」

「くッ……!!」

 

 攻撃できるクリーチャーは、ワイのバトルゾーンにはもうおらへん。

 ……ワイは、こいつに負けるんか……?

 その時や。

 

『ギョウくん、諦めないで!』

「ル、ルシファーはんの声……また聞こえてきた!?」

『まだだよ、ギョウくん……モルトNEXTには、まだ能力がある!』

「能力……!?」

まだある……モルトNEXTの能力を見る……っあ、ある!これが真の能力……!

『それを使えば、牛次郎に勝てる……!』

 

 その言葉を最後に、ルシファーはんは消えた。……あんがとな。

 気を取り直して……こいつで、トドメや!

 

「まだや牛次郎……」

「んん?」

(ドラゴン)マナ武装5発動!」

「な、なんだそれは!?」

「マナゾーンに火のドラゴンが5体以上おるから、このクリーチャーをアンタップできる!」

「ふざけるな!お前のマナゾーンには火のドラゴンは5体もいないじゃないかぁ!!」

「ふざけるなはこっちのセリフや!コートニーの効果でマナゾーンのカードは全文明!大人しく、トドメを喰らえーーー!!!モルトNEXTで、ダイレクトアタック!」

「そ、そそそ、そんなぁ!?ボクチンが、こんな凡人にぃぃ……」

 

 牛次郎は遠吠えを吠え、舞台から落下していった。

 

 そして、ワイは……勝ったんや!!!!

 

「よっしゃぁーーー勝ったぞーーーー!!!」

 

 歓声が響くなか、ワイは掲げた拳をおろし、トワリュウ3枚とセイントローズ、ヘブンズ・ヘブンを手に取った。

 重かった。ただのカードやない。みんなの悔しさが込められた、ずっしりと重いカードやった。

 

「ホカベンはん。トワリュウは取り戻したで。」

「あ……ありがとうだべ!」

「そういえば、牛次郎はどうなったんだ?」

 

 勝太くんにそう聞かれたワイは、急いで下を見た。もう牛次郎はおらんかった。

 

「……デッキをおいて逃げたな。」

「逃げ足の早いやつめ、なんだなぁ……!!」

「けど、ギョウさんの勝ちには変わりなし!やったー!おめでとうーー!!」

 

 再び歓声が巻き起こる。いやーしかしよかったで。仇取れてなぁ!!

 試合終了後、みんなでルシファーはんのお見舞いに行った。

 

 病室に入ると……目が覚めとった。

 

「あ……皆さん!ルシファー様は……目を覚ましました……!!」

 

 それを聞いてみんな大喜びや。もちろん、ワイも……。

 

 目を開けたルシファーはんの顔を見た瞬間、ぐっときたものがあったで。ずっと眠ったままで、青白い顔しとったのが、やっとちゃんと人の顔に戻っとったから。

 

「ルシファーはん、ほいこれ。この2枚牛次郎に盗まれとったから取り返したったで。」

「ありがとう。ギョウくん。」

「いやぁ〜しかし!あんたのカードで、ワイは牛次郎に勝てた。ほんまありがとうな。」

「……いや、そのカードはアツきデュエ魂を持つものにしか応えることはない。そのカードの力を引き出すのは、僕にも難しいことだったんだ。けど君は、それをあの舞台でやってのけた。僕はカードを正義たちに託して、あとは君に任せただけ……本当に、素晴らしいデュエリストだよ、君は……。」

「最強のデュエリストにそう言われると、嬉しいなぁ!……そういえば、明日は勝太くんとコジローはんのデュエマか。」

「おう!絶対に勝ってやる!そしてギョウ!俺とお前で、さいっこうのデュエルをしようじゃねぇか!!」

「あぁ、今までやったことのないほどにアツいデュエマをなぁ!!!」

 

 2人の声がぶつかり合って、病室が一気に明るくなったみたいやった。

 これにて、ワイの準決勝第一試合は幕を閉じた。さぁて……明日は勝太くんを、全力で応援するでー!!

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