寄成ギョウに転生したから、キャラの良さガン無視して善人になるニョロ〜! 作:ライダー☆
……俺、切札勝太。第四回戦のベンちゃんとのデュエマに勝利して、準決勝に進出した。俺史上最高にアツく、激しいデュエマだった。ベンちゃんは俺とのデュエマに勝つために、メガネットワークプラスなんていうものまで仕上げてきてた。俺の手札、今引くカード、すべてを計算されつくされた頭脳で当ててくる……まるでルシファーと戦っているみたいだった。マジで負けるかと思ったぜ……!トリガーでスーパー炎獄スクラッパーを引いていなければのスレスレの勝負だったんだ。決着がついたあとのベンちゃんとの握手は、どこか言葉にできないものがあった。
ちなみにその日はクリスマス。ベンちゃんはこのデュエマで俺に勝ったら、レナさんに八尾町のでっけぇ広場にあるクリスマスツリーの前で待っていてほしいって言ってたらしくてさ。ベンちゃんは負けたけど、レナさんは来てくれたらしい。そこからはお察しの通り、ハッピーエンドっていうわけだ。ちなみに第三回戦はコジローVSサソリ。コジローの超獣モードでサソリは敗退。で、そのままその場で愛を伝えるためのハグをして、コジローは気絶。……愛の伝え方ってのも、人によって色々だなぁって。
けど、それはもう俺にとっては些細なことなんだ。今一番気にしているのは……明日の準決勝第一試合。牛次郎VS寄成ギョウ!あいつは籠ってデッキの調整をしている。それぐらい全力で、あの野郎を倒しにかかってくれている……!俺にできることはホカベンのときと同じ、全力で見守り、応援することだ!
「ぜってぇ勝てよ……ギョウ……!!」
その時、スマホに連絡が来た。デコちゃんからだった。
「ん。どうしたデコちゃん?」
「ルシファーのお見舞い、一緒にいかない?」
「……あぁ、行くよ。サイファー病院だったよな、確か……。」
「えぇ。じゃあ、そこで待ってるわね。」
「わかった。じゃあまた後でなデコちゃん。」
……俺はハムカツと一緒に、サイファー病院へ向かった。ちなみにホカベンは第四回戦の前日には退院していた。傷が思ったよりも深くなくって、本当に良かったよ。
到着すると、いつものメンバーと……もう一人、まさかのギョウがいた。
「あれ……ギョウもいんのか?」
「るるちゃんから連絡が来てな。ルシファーはんのおみまいっちゅうことやったから、急いで走ってきたニョロ。」
「お前、デッキの構築は……」
「そんなの帰ってからやればええニョロ。……勝太くんとベンはんのデュエマ、ほんまどっちもかっこよかったで。でっかいデュエ魂見せてもらったわ。」
「……へへっ、ありがとな。」
ギョウ……。ルシファーのことを優先してくれたのか。やっぱすごくいいやつだよな、お前。それに俺とベンちゃんのことも褒めてくれたし……な。
ルシファーの病室には、俺とギョウだけが入ることを許可された。ルシファーは寝たきりで目を覚まさない。けど、死んではいない。ギョウが素早く病院へと連れて行ってくれたおかげで、奇跡的に一命をとりとめたらしいんだ。
「ルシファー様は……デュエマをするためには死すら恐れていなかった。それを、俺達は再認識させられた…………」
「それが、強さの秘密……そんなお姿に、我らセントエンジェル中学の者は憧れたのです……それに応えてくださったギョウさんに、私達は再び感謝をしたい……。」
「勝太、君にもレヒ。ルシファーと戦えなくって本気で悔しんでいる君を見て、感謝をせずにはいられなくなったレヒ!」
3人はみんな、俺達2人にありがとうを言いたかったんだな。……素直に受け止めるよ。恥ずかしくもなんともないさ。
そんとき、扉が開いた。
「茶番だねぇ〜茶番茶番。」
……最悪のやつがそこにやってきたんだ。
「お前は、ルシファー様をこんな目に合わせた野郎……!!」
「牛次郎だ。名前ぐらい覚えておいてほしいもんだねぇ、踏まれた分際で野郎なんて言ってくれてさぁ。…………で、ルシファー死んでなかったんだ、意外だねぇ。」
「死んでなかったんだ」、だと……!?
頭の中で何かが沸騰する音がした。ずっと抑えてきた怒りが、今にも形になりそうで……。
「ま、いいや。それだったら……ほい、これあげるよ。スノードロップっていうお花さ。花言葉の意味は……お前の死を望むって意味!」
どこまでうぜぇんだよ!!俺はずっと我慢してきたけど、これにはもう耐えられねぇ!正義たちだって、もう怒りを抑えられてない……限界まで来てるんだぞ……!!
「てめぇ……ふざけんじゃねぇぞ!黙って聞いてりゃルシファーのこと侮辱しやがって……!!」
「あぁ〜ん?勝太くぅん、君はルシファーにとってのなんなんだろうねぇ。君みたいな赤の他人にそんなこと言われても、ルシファーくんはなんにも喜ばないと思うよぉ〜?」
「……!!このくそy……」
その時だった。
ギョウが牛次郎の顔を思いっきりぶん殴ったんだ。
いつの間にかでっかい姿に変身もしてた。表情には、これまで見たことのない怒りが浮き出てた。
「貴様ァァ!」
「くっ、ギョウ!?……そこまで怒りをあらわにするなんてよっぽど苛立ったんだねぇ。おぉ怖い怖い。」
「当たり前や!貴様だけは絶対に許せへん!」
「あっそ。じゃあ僕は……ここでおさらばするよ。「やりたいこと」もできたしね。ばいば〜い。」
「待たんかい牛次郎!!」
俺はギョウとともに牛次郎を追いかけに行った。けど遅かった。牛次郎は病院の外に用意していた装置で飛び上がり、逃げていったんだ……人を煽って最後には逃げる、胸糞悪いぜ、ほんとによぉ……。
「あぁ!な、ないレヒ!!」
ヨーデルの声!?一体何が起きたんだと思って病室に戻ると、正義とヘレンさんと一緒に、ルシファーのデッキのカードを1枚1枚じっくり見ていた。
「おいヨーデル……ないって、何がないんだよ……!?」
「ルシファー様のセイントローズとヘブンズ・ヘブンがなくなっているレヒ……!!」
「なんだと……!?」
俺も一緒にカードを探した。ベッドの下とか、天井とか……けど、どこにもなかった。
一緒に探してくれていたギョウは、急に立ち上がって鬼の形相になり、壁を叩いた。その音が廊下まで響いて、病院中が静まり返ったような気がした。
「……牛次郎の野郎のせいや……間違いない……!!」
「あいつが…まさかカードを、ホカベンのときと同じように…?!」
「盗んだ…盗んだんやぁ!あいつの「やりたいこと」っていうのは、これやったんや…!ちきしょうめ!!」
「そ……そんな……あの男が、ルシファー様の、切り札を……!」
誰も何も言えなかった。怒りという感情さえも追いつかないような、重い沈黙やった。
もう、あいつに怒りなんてもんは感じねぇ。それじゃない何かが心の中でグツグツ煮えたぎってる。
病院から出て、帰っていく俺達は、ものすごく重い心で足を進めていた。やるせない気持ちでいっぱいだった。ルシファーは目を覚まさない。俺等はそれを待つしかない……それがよりやるせない気持ちを後押ししていた。
……牛次郎はどこまで腐ってれば気が済むんやろうなぁ。あんなひねくれとる奴は転生前でも見たことはなかったで。……しっかし、ルシファーはんの切り札を取られた……となれば、エウル=ブッカはデッキから抜いたほうがええ、4枚抜いて、変わりに何を入れれば……
「おい、ギョウ。」
ん?この声……ルシファーはんについとった……一番小ちゃい男の子の声やな。
「正義……!?」
「なんや、ワイになんか用か?」
「お前、あの男に勝てるか?」
一瞬、立ち止まった。
「勝てるかちゃう……勝つんや。負けるなんてことは絶対にせぇへん。ルシファーはんのためにも、みんなのためにもな!」
「そうか…………じゃあ、これを。」
正義はんは1枚のカードを渡してきた。
超戦龍覇モルトNEXT……。聞くと、これはもともとルシファーはんのカードだったらしい。
「……超戦龍覇モルトNEXT。最強の切り札だ!それで、改めて頼みたい……ルシファー様の仇討ちを!!」
「僕からも頼むレヒ!セントエンジェル中学のみんなの悔しさを晴らしてほしいレヒ!!」
「ホカベンが負けたとき、俺等もすっごく悔しかったし、ムカついたんだなぁ!」
「ギョウくん、オラの悔しさも晴らしてくれだべ……!」
「私からも、お願いよギョウさん!あんなデュエ魂を持ってないやつなんか、コテンパンにしてやってあげて!」
「俺からもだ!……これをお前に。…これであの腐った電球頭野郎をぶっ飛ばしちまえ!」
「ガイハート……勝太くん……。」
……みんなが、ワイに託してくれとる。
1つ1つの言葉が、心の中に積み上がっていくのを感じた。軽い何かじゃない、ちゃんと重みのある、熱のある言葉やった。心にあるデュエ魂を、もう一度、燃やすとするか。
「あぁ、わかったで。みんなの思い、受け取った!……ほな、ワイは帰る。……また明日な、みんな。」
彼にあのカードは託しました。……ル……ルシファー様、このヘレンの決断は、正しかったのでしょうか……?
「絶対に勝つ。絶対に、絶対に……!!」
その思いで夜道を歩いていると、誰かに後ろから肩を叩かれた。誰やと思って後ろ向いたら、レナさんやった。まさかの人やったからびっくりしたわ。
「な、なんやレナさんかいな。……女の子、夜道一人は危ないで?」
「……ギョウさん、私からも、このカードを……!」
「……クリスタル・パラディン。これは、レナさんの切り札やないか。ホンマにええんか?」
「はい!彼を倒してほしいんです。私も、彼のことが本当に許せません!!そのカードは、私の怒りです!」
レナさんの目は、真っ直ぐやった。普段の人見知りな姿とは全然違う、なんか、強い目ぇやった。
「レナさん……わかった。あんたの思いも受け取ったで!」
そして、帰宅。
正義はんからもらったカードとレナさんからもらったカード……これを組み込むためには、お前らが必要や。ずっとデッキに入れとったお前らがな、ドミティウスとヴェロキボアロス……。
頼む、一緒に戦ってくれ!!!
ワイはみんなの思いにすべてを注ぎ込んどったから、鏡を見るまで変身しとったことをすっかり忘れてた。……いいことニョロ。それぐらい…………僕はデュエマにすべてをかけてるっちゅうことやからなぁ。
……べぇららら、ルシファーの切り札2枚は奪えたぞ!あとは……手に入れることができたこのカードを使えば、あの雑魚はイチコロだ!!!
翌日、デュエドーム。準決勝第一試合が今、始まろうとしていたニョロ。
スポットライトに当てられて、僕は気を引き締めた。この舞台に立つのは何度目やろう。けど今日は違う。今日の重さは、これまでとは何もかも違う。
【皆様、お待たせいたしました!これより、デュエマ甲子園準決勝第一試合を始めまぁす!!!!】
歓声が巻き起こり、観戦席には勝太くんたちがいる。僕にグッジョブサインを送ってくれとるニョロ。わかっとるで、「絶対に勝つ」。何度も、何度も、その言葉は僕の全身に刻み込ませたんや。
静かに右の階段を上がり、対戦台まで向かう。
【右の階段を上がりますは、京都代表、ネバーエンディングパラサイトォ、寄成ギョウ!左はぁ、IQ200以上の天才デュエリスト、邪藩牛次郎!】
対戦台につき、デッキの上5枚をシールドに、5枚を手札に加える。
……その時のデュエドームは、今まで経験したことがないぐらい静かやった。誰の声も聞こえへん。自分の心臓の音だけが、やけに大きく聞こえた。
「静かだねぇ。まるでお葬式みたいだぁー……なーんちゃって。」
「……いい気になるのもそこまでやでドクズ。デュエ魂を持っとらんやつに、僕は、いや……ワイは負けへん。ぐうの音も出ぇへんほど、叩きのめしたるんや。」
牛次郎を睨みつける。覚悟しぃや。ワイの本気を思い知らせたるわ!
「ふざけやがって……なぁにが負けないだ。返り討ちにしてやるよ……ギョウ!!」
『デュエマ、スタート!!!』
牛次郎 キーカード:界王類邪龍目ザ=デッドブラッキオ
寄成ギョウ キーカード:邪帝類五龍目ドミティウス
【デュエマ甲子園準決勝第一試合、牛次郎VSギョウ!しかし意外なことに、静かなデュエマが展開されている……!!!】
「し、静かすぎるんだなぁ……」
「ギョウくん、落ち着いているべ。」
「いや、ちげぇよ。あいつは怒りを抑えてるんだ。必死に、な。」
「まるで嵐の前の静けさね……。」
「ちゃうぅ〜……。」
【そんな中、最初に動いたのは……!】
牛次郎 7ターン目
「あぁ腹立ってきた!もうこの空気には耐えられない!行くよ……。」
「…………早よ来いや。」
「ドロー!べららら……。8マナタップ、ザ=デッドマンを召喚!そして超次元ゾーンからニガ=アブシューム をバトルゾーンへ!さぁ〜て…………」
あとは次のターンにリュウセイ・カイザーをマナチャージすれば龍解できる!ボクチンの勝ちだぁ。
「これでターンエンド。ほら、お前のターンだぞ。」
ギョウ 7ターン目
「ワイのターン……(ここで2D龍解をする!それだけや!)オトマ=クットを召喚からの!マナ武装7でアンタップ!からの7マナタップしてデカルトQを召喚や!かーらーのー、マナ武装7で5ドローして……次に能力でシールドと手札1枚を入れ替える!」
……イメン=ブーゴでダブルブレイクしたいところではあるが……それでトリガー引いて破壊されて、ボアロアックスが戻ってもうたら意味がない!
「ターンエンドからの、クリーチャーの合計コストが20以上やから、2D龍解、邪帝遺跡ボアロパゴス!!」
「フン、時代遅れめ。今更そんなの、このボクチンに通用はしないよォ!」
「そんなのやってみぃへんとわからへんで。…お前のターンやぞ。」
牛次郎 8ターン目
「フン……僕の勝ち。そして、お前の負けだ!」
「なんやと……!?」
「マナチャージ。これで9マナ。さぁ、ボクチンのデュエマが幕を開けるよぉ〜ん。まずは、龍覇セイントローズを召喚!超次元ゾーンから、ヘブンズ・ヘブンをバトルゾーンへぇ〜!!」
「そいつは……昨日ルシファーはんのデッキから盗んだカードか。」
「そういうこと。いや〜ルシファーじゃこれはかんっぺきには使えないと思ってさぁー、この天才は、完璧に使えるから、ボクチンのほうが、このカードを持つ資格があるってわ・け!」
怒りが喉まで来とる。言葉をこらえるだけで、全身が震えそうやった。
「どこまでも腐っとるやろうやなぁ……!!」
「あいつ、ルシファー様のカードを……!」
「ゆ、許せないレヒ!」
「まだまだ行くよぉ〜。4マナでメダロ・アンドロムを召喚!マナ武装5の効果で、ボクチンのクリーチャーはすべてブロッカーだ!」
「くっ……!?」
「ターンエンド……か〜ら〜の〜……」
こいつ、ワイの真似を……ほんま、刺激させるのがうまいやつやなぁ……カードを持つ手に、自然と力が入ってまうわ……。
「マナゾーンにあるドラゴンを5枚手札に加えることで……龍解条件は成立。さぁ絶望の始まりを祝え、喜べ!!すべてのデュエリストォ!龍・解ィ、五邪王ニガ=ヴェルムート!」
「くそっ……あいつの切り札が龍解しちまった……!!」
「けど、まだ勝機は全然あるべ!頑張るんだべ、ギョウくんー!」
「……あぁ、わかっとる!」
ギョウ 8ターン目
「ドロー!」
あいつのクリーチャーを除去できるカードは今のところない……か。
「……ブレイガーを召喚。からの、ボアロパゴスの効果でマナゾーンからディグルピオンをバトルゾーンへ!!ディグルピオンの効果で1枚マナ加速、さらに5マナでエバン=ナム=ダエッドを召喚!からのからの!マナゾーンから青銅の鎧をバトルゾーンへ。もいっちょマナ加速……(3D龍解を狙う!)ターンエンド。」
「3D龍解が狙いとはねぇ。」
(バレとる…………!?)
「お前も終わりだ、寄成ギョウ!!」
牛次郎 9ターン目
「ターンのはじめ、ブロッカーが3体以上いるという、龍解条件を成立。かなでろーしんふぉに〜!」
「あいつ、ルシファー様のマネをしているレヒ!?」
「く……くそっ……あの野郎……!!」
「たましいにひびけぇ〜……えーっと、まいいか。あんな長ったらしいの覚えてられないよ、龍解!!天命讃歌ネバーラスト!これでボクチンの光のクリーチャーは、すべてのバトルに勝つ。お前は、ルシファーに勝ち、ルシファーに負けるんだよぉ!」
「チィッ……!?」
「しかもぉ、お前はもう光以外のコスト5以下の呪文を唱えることはできない……!これでお前は、だいっぴーんち!!……無限の精霊リーサを召喚して、ターンエンド。」
ギョウ 9ターン目
くそ……あいつのブロッカーをどうにかしなければ、ワイに勝ち目はない……しかもニガ=ヴェルムートがおるから迂闊にクリーチャーでの攻撃もできへん……一旦、3D龍解するしかないか。
「ターン開始時、クリーチャーのコストの合計が30以上なので……3D龍解最終形態、我臥牙ヴェロキボアロス!」
「……そ・れ・で?何ができるっていうんだ〜い?」
……お、おのれあの野郎……!!
けど、あいつの言う通りや。今のままじゃ何にもできへん……ブロッカーが多すぎて十分にブレイクさえできへん。だけど、1つだけシールドを割ることならできる!
「ドロー!弾丸透魂スケルハンターを召喚や!からの、ヴェロキボアロスの効果でマナゾーンからマッカラン・ファインをバトルゾーンへ!そしてマナ武装5発動。自分のクリーチャーはすべてスピードアタッカーや!からの、スケルハンターはブロックされへん。お前のシールドを1枚ブレイクや!」
「なっ!?ニガ=ヴェルムートの効果発動!」
「青銅の鎧をマナゾーンへ。」
「くっ、きさまぁ…………なーんてね。1枚程度じゃ痛くも痒くもないんだよぉ。シールド・トリガー、マスター・スパーク。お前のクリーチャーをすべてタップだ。」
な、なんやて……!?ワイのクリーチャーがすべてタップされた……。ターンエンドするしかない……。
「くそっ、ギョウのクリーチャーが……!!」
「ま、まずいんだなぁ……。」
牛次郎 10ターン目
「この時を待っていたんだ!すべてのクリーチャーがタップするこの時をぉ!もう手札に加えていたこいつはいらない、マスター・スパークをマナチャージしてぇピアラ・ハートを召喚。スケルハンターを破壊からの……リーサの効果発動!こいつはバトルに勝ったとき、アンタップできる!つまり……」
「ネバーラストの能力が合わさって、ギョウさんのクリーチャーは、みんな破壊される……!?」
「そういうことさぁ!さぁ、みーんな破壊されてもらうよぉ〜ん!!」
「なぁっ!?」
全部、全部破壊されていく……クリーチャーたちが……墓地に……!!
何もできへん。手を出せへん。ただ見てるしかない……。
「そんな、ギョウくんのクリーチャーが、みんな破壊されちゃったべ……!」
「あの野郎、ルシファーのカードをあんなふうに使いやがってぇーー!!」
「これでお前のクリーチャーは0!じゃあ次に、シールドブレイクだ。ルシファーくんのクリーチャーたちでね!」
「ぐ……!」
「もう何言ったって遅い、ボクチンの勝ちは変わらない、決定事項さぁ!ネバーラストでシールドをトリプルブレイク!」
トリガーは……ない。けどまだ負けん!デカルトQで仕込んだトリガーがあるんや……!
「セイントローズでシールドをダブルブレイク!」
「シールド・トリガー、ザ・クロックとトリガロイド!これでお前のターンは飛ばせる!」
「それがどうしたっていうんだよ。結局、ボクチンがやることは変わらない。そんな雑魚2体でどうにかできるわけがない!それに……お前がボクチンのターンを強制終了したことで、思いついちゃったもんねぇ!今の状況、お前のクリーチャーを破壊することなんて余裕なんだよ。お前が次にクリーチャーを召喚してもどうしようもない!さらに、ボクチンは次のターンにリュウセイ・カイザーを出す。てことは……お前もあの野球少年と同じように……山札切れで負けるの、さぁ〜〜!!」
その発言で、ホカベンはんはあのデュエマを思い出してもうたらしい。相当なトラウマ。それに、頭を抱えて沈んでしまった……。
「ホ、ホカベンはん!」
「べぇらららら……結局ギョウ、お前も凡人だったわけだ。天才にはかなわない……なのに誰かに応援されてるからと、誰かの思いを受け取ったからと!そんなので強くなったつもりか、そんなのでボクチンに勝てると思っていたのかぁ!?ほんっと、くっだらないなぁバカみたいだよ!」
……こいつは。こいつだけは。
「……じゃああんたは、なんのためにデュエマしとるんや。」
「なんでだとぉ?そんなのお前らみたいなバカをぶっ潰すためだよ。それ以外で何がある!?努力して積み上げたものをぶっ壊して圧倒的な差を見せつける!さいっこうなんだよぉ!」
本気で腐っとる……ワイの我慢も、そろそろ限界に近づいとった。
「特に面白いのはあのルシファーとかいう貴公子気取りだ。体が弱くって、更にそこに毒もあって!なのにデュエマをやめずに結局死にかけ……いや〜傑作だよ、あれがっ!天才気取りの凡人の姿……」
堪忍袋の緒が切れた。
ワイは無意識的に台を思いっきり叩き、牛次郎を黙らせた。ドームじゅうに音が響き渡って、観客も水を打ったように静まった。
「ええ加減にせぇよ……お前は、何かを背負ってデュエマをしたことはないやろ……そんなやつが人をけなすな、笑うな、凡人やと言うな!!」
「何だと……?」
「
「ギョウ……!っそうだ!ギョウ、その勢いだぜー!!」
「なぁにが背負ってるだ!そんなものただのオモリだ、意味なんてありはしない!もしあるんだとしたら、それを、見せてみやがれ寄成ギョウ!」
ギョウ 10ターン目
「やってやるわ!このドローですべてが決まる……この重さ、このアツさ!ワイ一人では引けへん……だ〜け〜ど〜……みんながおるから引けるんや!背中を押してくれるんやぁ!ぬおおおおお……ドーロドロドロ、ドォゥローーー!!」
き、きた!すべてをひっくり返すこのカードが……レナさんが託してくれた、このカードが……!
「いけぇー、ギョーウ!」
「お前のデュエ魂のこもっとらんデュエマも、この不利な状況も……何もかもすべてを、今!」
『ひっくり返したれやぁーーーーー!!!!』
そう、このカードなら、牛次郎を倒せる!すべてをひっくり返せるんやぁー!
「そ、そのカードは!!」
「トリガロイドの上に、クリスタル・パラディンを進化!このカードはレナさんがワイに託してくれたカード、お前を倒すために託してくれた、カードなんや!登場時効果で、ブロッカーを持つクリーチャーをすべて手札に!」
「や、やばいっ、ニガ=ヴェルムートを龍回避!これで破壊は、防げる……はぁ……はぁ……このやろう……!!」
「レナさん……ギョウくんにカードをあげていたのかい?」
「はい!役に立てて、今、とっても嬉しいです!」
余裕の表情が、完全に消えた。
心の中だけで言わせてもらうわ……ざまぁみさらせ牛次郎!!
「どうやぁ!これが
一瞬の沈黙。それからドームじゅうに歓声が巻き起こった。勝太くんたちの声も、観客の声も、全部ひとつになったみたいに響いた。
これでクリーチャーの数は形勢逆転や。からの、まだまだ行くでぇ。
「くっ……凡人の分際でこんなことを……!!」
「勝手に言っとけ。ワイはお前に勝つ!頼んだで、ワイの切り札ぁ!ドミティウスを召喚!効果で山札上から5枚見て、文明の違うコスト7以下のクリーチャーを出すことができる。……みんな、力貸してくれ……!」
カードに手をそっと触れた、そのときや。
ルシファーはんの声が聞こえてきた。けど周りにはおらん……。
『ギョウくん……今こそ、あのカードを引くんだ!みんなが君の味方だよ。』
「ルシファーはん……よし!5枚見る……牛次郎、覚悟しぃや。全部バトルゾーンに出したるねん!」
「な、なんだとぉ〜〜そ、そんな馬鹿なぁー!?」
「すげぇぞギョウー!」
「このまま押し切っちゃって〜!!」
「シール・ド・レイユ、コートニー、スペルサイクリカ、ツミトバツ、そしてぇーー……最後にこいつやぁ!超戦龍覇モルトNEXT!」
一気に5体登場……さらに、モルトNEXTの効果でガイハートを装備!行ける!
「お、おのれ……!」
「いっけーギョウ!そのままルシファー様の仇を!」
「取ってくれレヒー!」
「かーらーのー!まだまだまだやぁ!スペルサイクリカの登場時効果で、墓地からこいつを唱える!スクランブル・ブースター!ツミトバツをスピードアタッカーに!からのぉ……呪文は手札に戻るので、1マナタップでもいっちょスクランブル・ブースター、ドミティウスをスピードアタッカーに!行くで、総攻撃やーーー!!」
まずはドミティウスでトリプルブレイク……あとは他のクリーチャーの総攻撃で一気に……!
「トリガーは……な、なぁ〜い!!…………なーいけど、これができるんだよねぇ……!」
「「これ」……?」
「
牛次郎が掲げたあのカード……それが「これ」の正体なんか……!?
「自分のマナゾーンにカードが5枚以上あって、かつ全ての文明が揃っているとき、このクリーチャーは、スーパーS・バックを得る……。」
「スーパーS・バックですって!?聞いたことのない……!」
「一体、何が出てくるんだなぁ!?」
「今ブレイクされたシールドを捨てて……いでよ……界王類邪龍目ザ=デッドブラッキオを召喚だよぉ〜!」
不気味で、全く知らんかったカード……こいつは一体、何なんや……?
「デッドブラッキオの効果で、相手のクリーチャーを一体マナゾーンへ置ける。ツミトバツは退場だ。」
「……くっ、でもまだ攻撃できるクリーチャーはおる!モルトNEXTで、最後のシールドをブレイク!」
「ここは知っている……あのときと同じ、ロジック・サークルで見ているんだ!呪文、エウル=ブッカ!ザ・クロックとクリスタル・パラディンをマナ送り!」
「無駄や!ガイハートの龍解条件は、成立しとんねん!行くでぇ、トドメの……龍かーーー……」
「……いは、できないよぉ〜ん。」
……何?
負け惜しみか?いや、違う!たしかに龍解ができへん!カードを……裏返すことが、できへん!?
「ザ=デッドブラッキオの効果発動。相手のドラグハートは……龍・解・でき・ない!」
「嘘……そんな能力ありかよ……!?」
時が止まったかのようにドームが沈黙した。
確実に勝てる状況で、まさか、こんな能力を持ったクリーチャーがおるなんて……!!
「これぞ、龍解封じだぁ〜!所詮お前は凡人。天才のボクチンには届きはしないんだよぉ!さぁ、ターンエンドをしろ!そうしたらボクチンは手札にあるナチュラル・トラップでシール・ド・レイユをマナゾーンに置いてダイレクトアタックを決め込んでやるからさぁ〜!!」
「くッ……!!」
攻撃できるクリーチャーは、ワイのバトルゾーンにはもうおらへん。
……ワイは、こいつに負けるんか……?
その時や。
『ギョウくん、諦めないで!』
「ル、ルシファーはんの声……また聞こえてきた!?」
『まだだよ、ギョウくん……モルトNEXTには、まだ能力がある!』
「能力……!?」
まだある……モルトNEXTの能力を見る……っあ、ある!これが真の能力……!
『それを使えば、牛次郎に勝てる……!』
その言葉を最後に、ルシファーはんは消えた。……あんがとな。
気を取り直して……こいつで、トドメや!
「まだや牛次郎……」
「んん?」
「
「な、なんだそれは!?」
「マナゾーンに火のドラゴンが5体以上おるから、このクリーチャーをアンタップできる!」
「ふざけるな!お前のマナゾーンには火のドラゴンは5体もいないじゃないかぁ!!」
「ふざけるなはこっちのセリフや!コートニーの効果でマナゾーンのカードは全文明!大人しく、トドメを喰らえーーー!!!モルトNEXTで、ダイレクトアタック!」
「そ、そそそ、そんなぁ!?ボクチンが、こんな凡人にぃぃ……」
牛次郎は遠吠えを吠え、舞台から落下していった。
そして、ワイは……勝ったんや!!!!
「よっしゃぁーーー勝ったぞーーーー!!!」
歓声が響くなか、ワイは掲げた拳をおろし、トワリュウ3枚とセイントローズ、ヘブンズ・ヘブンを手に取った。
重かった。ただのカードやない。みんなの悔しさが込められた、ずっしりと重いカードやった。
「ホカベンはん。トワリュウは取り戻したで。」
「あ……ありがとうだべ!」
「そういえば、牛次郎はどうなったんだ?」
勝太くんにそう聞かれたワイは、急いで下を見た。もう牛次郎はおらんかった。
「……デッキをおいて逃げたな。」
「逃げ足の早いやつめ、なんだなぁ……!!」
「けど、ギョウさんの勝ちには変わりなし!やったー!おめでとうーー!!」
再び歓声が巻き起こる。いやーしかしよかったで。仇取れてなぁ!!
試合終了後、みんなでルシファーはんのお見舞いに行った。
病室に入ると……目が覚めとった。
「あ……皆さん!ルシファー様は……目を覚ましました……!!」
それを聞いてみんな大喜びや。もちろん、ワイも……。
目を開けたルシファーはんの顔を見た瞬間、ぐっときたものがあったで。ずっと眠ったままで、青白い顔しとったのが、やっとちゃんと人の顔に戻っとったから。
「ルシファーはん、ほいこれ。この2枚牛次郎に盗まれとったから取り返したったで。」
「ありがとう。ギョウくん。」
「いやぁ〜しかし!あんたのカードで、ワイは牛次郎に勝てた。ほんまありがとうな。」
「……いや、そのカードはアツきデュエ魂を持つものにしか応えることはない。そのカードの力を引き出すのは、僕にも難しいことだったんだ。けど君は、それをあの舞台でやってのけた。僕はカードを正義たちに託して、あとは君に任せただけ……本当に、素晴らしいデュエリストだよ、君は……。」
「最強のデュエリストにそう言われると、嬉しいなぁ!……そういえば、明日は勝太くんとコジローはんのデュエマか。」
「おう!絶対に勝ってやる!そしてギョウ!俺とお前で、さいっこうのデュエルをしようじゃねぇか!!」
「あぁ、今までやったことのないほどにアツいデュエマをなぁ!!!」
2人の声がぶつかり合って、病室が一気に明るくなったみたいやった。
これにて、ワイの準決勝第一試合は幕を閉じた。さぁて……明日は勝太くんを、全力で応援するでー!!