寄成ギョウに転生したから、キャラの良さガン無視して善人になるニョロ〜!   作:ライダー☆

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第3話 許さんで牛次郎!最強のドラゴンで、ケリつけてやるニョロ!

「久しぶりだな…………寄成 ギョウ!!」

 

 それを聞いて、僕はどない思ったやろか。

 まず、えぇ思いはせぇへんかった。断言できる。こいつを見て、えぇ気分になるわけがない。胸の奥が、ズンッと音を立てて沈んだ。重たい。今から勝太くんとデュエマやっちゅうのに、なんでこんな気分にならなあかんねん……。

 ……け、けどや。それ以上に引っかかったのは、そこやなかった。

 僕、いや、ギョウと、こいつ。初対面なわけがない。どっかで、絶対に面識がある。頭の奥がそう告げとる。

 ……あ。

 そうや。思い出した。

 アニメで、勝太くんを騙すためにロボットの妹まで作って、平然と芝居してたやつや。あまりにも悪質すぎて、逆に記憶の隅に追いやられてたわ。

 つまりこいつは「ギョウの悪者仲間」。そして僕にとっては初対面、っちゅう、ややこしすぎる存在や。

 

 ……しかも。今の僕は「善人になろうとしてるギョウ」や。こいつは、その道を歩もうとしとる僕にとって、間違いなく最大の壁になる。けど同時に、悪名高い存在なんやから、名前だけ知っとっても何もおかしくはない。

 

「牛次郎はん?…………あの〜……僕、あんたと会ったことない気がするんやけどぉ……」

 

 言った瞬間、牛次郎は目ぇが飛び出る勢いで僕を見た。

 冗談も大概にしろ、って顔や。けどな、冗談ちゃうんや。ほんまに、ありのままを言っとるだけや。

 僕は首を横に振り続けた。冗談ちゃう、冗談ちゃう、と。視線でそれを必死に訴え続けた。

 

「ぐぬぬぬ……ふざけるな!お前、ボクチンを知らないとでも言うのか!?」

「そうニョロ。僕、お前知らんニョロ。」

「そ、そんなわけないだろ!大体お前は…………ん?ちょっと待て、ニョロ?何だその語尾は。」

「え?」

 

 ……ど、どういうことや?

 この語尾、知らんのか?ギョウの口癖みたいなもんやのに。

 ……まさか。VSの頃は、こんな喋り方ちゃうかったとか!?

 じゃ、じゃあVSRで急に変わったんか!?どこでや!?どこからや!?

 思い返す。デュエマーランドの地下。勝太くんと出会ったあの場所。……あの時は、確かに「ニョロ」を使ってた。じゃあなんで牛次郎は知らんねん!?

 

「おい、何考え込んでんだ!てか、お前『僕』とかも使ってなかっただろ!?なんだ、イメージチェンジか!?」

「え……」

 

 ちょっと待て。「僕」は、ギョウの一人称のはずや。

 ……もしかして、ギョウ、VSRでだいぶキャラ変わってる……?

 困った……ほんまに、困ったニョロ。

 「知らない体」で切り抜ける作戦が、根本から崩れとるやないか……!!

 

「おーいギョウー。るるちゃん休ませたから、デュエマできるぜ……ってぇぇ!?」

 

 ――まずい。

 

 牛次郎っちゅう、どうしようもなく悪いやつがいることに、勝太くんに気づかれた。このままやと、僕まで悪者扱いされかねんニョロ……!

 

「そ……そいつは……」

 ど……どうする……!?

「誰だ。」

 

 ズコーッ!!

 思いっきりずっこけたニョロ。……どうやら知らなかったみたい。こっちは心臓バクバクやったけどな……!

 ……いや、待て。勝太くん、牛次郎を知らんとなれば…チャンスや。

 

「た、助けて勝太くん!今、牛次郎とかいう変なやつに話しかけられr……」

「おいギョウ!!!何をしているんだ!さっきからボクチンを知らないだの何だのと……善人にでもなったつもりか!?」

 

 声を遮るように、牛次郎が叫んだ。……善人にでもなったつもりか、やと?

 あぁ、その通りや。僕はギョウ。善人になるギョウニョロ。

 

「その通りニョロ!僕は善人になるため、激しくアツかりしデュエマをするために、今ここに立っているニョロ!!」

「ぐぎぎぎぎ……おのれ……だからあの光っているカードも奪わなかったわけか……。」

 

 光っているカード……?

 指差す先。大きな木の下。

 ……まさか。そこには、疲れて眠るるるちゃんと、その隣に置かれた――ジャベレオン。

 ……つまり。原作では、奪う設定やったんや。悪いな。今の僕は、そういうキャラやない。

 

「お……おい待て。お前誰だよ。で、俺を無視して話進めんな。一応俺、このアニメの主人公だぞ?」

 

【すっごいメタ発言かましてきたけど!?え、色々と大丈夫!?】

 

 牛次郎は一歩下がり、勝太くんに向かって名乗った。邪藩牛次郎。切札家を恨む天才、と。

 

「お……俺らを……なんかしたっけかな。」

「当たり前だ!お前の兄、切札勝舞には散々な目に遭わされてきたんだ!兄弟連帯責任だよぉ〜!」

「えぇ……嘘だろ……!」

「嘘じゃない!だ・け・ど・ね〜……今回、僕が興味あるのは…ソレだよ〜〜!!!」

 

 袖から現れたマジックハンド。掴み取られたのは――ジャベレオン。

 

「そ……それは!デコちゃんのじゃねぇか!」

「べらららら!悔しければ取り返してみろ!このボクチンに……デュエマで勝てるのならねぇ……」

 

 勝太くんは、迷わずデュエマを申し込んだ。

 ……けど。嫌な予感がした。

 牛次郎は、卑怯に卑怯を重ねる男や。正々堂々なんて、するわけがない。トリガー仕込み?やってないはずがない。それを、真っ直ぐすぎる勝太くんが見抜けるか?

 火単色。展開が止まれば終わり。なら、ここは。

 

「待つニョロ!勝太くん!」

「ギョ、ギョウ……?」

「ここは僕にデュエマさせてほしいニョロ!こいつは気味悪いし、何より――勝太くんの正々堂々なデュエマを崩す気しかないニョロ!こいつからは、デュエ魂を感じへん!」

「……チッ、抜かせギョウ!お前に勝てる自信があるのか――」

「あるニョロ!!!」

 

 僕は勝太くんを見た。

 

「ごめんやけど……本当に、任せてほしいニョロ。必ず、カードは取り返すニョロ!」

 

 少しの沈黙。

 

「……任せるぜ。」

 

 その声は、あったかかった。……勝太くん、ありがとうニョロ。

 さぁ、牛次郎。覚悟しぃや。ここで勝って、お前の知っとるギョウはもういないってことを、しっかり刻み込んだるニョロ!!!

 

 

 

『デュエマ、スタート!』

 

 

 

【序盤、互いに静かな立ち回り。牛次郎は得意の水文明で手札を増やし、ギョウはフェアリー・ライフやジャスミンを使ってマナを増やす展開に。4ターン目、牛次郎はブレインチャージャーを使い1ドロー。さらにチャージされた1マナでガード・グリップを唱え、手札を増やす牛次郎!さぁ、ギョウ、ここからどう動くのかぁ!!】

 

ギョウ 4ターン目

 

 多分やけど、5ターン目にあいつは動いてくる……。最悪なやつやけど、デュエマの実力は本物やからなぁ。ここで、こっちも動くための準備をしとかんとな。山札の一番上……小さな鼓動。期待はできへんけど、場合によっては……!!

 

「ドロー。……なるほど、ここでこれ来よるか。全然使えるやんかぁ〜……。」

「あ?一体何引きやがったんだぁ?」

「ドミティウスをマナチャージ!そして3マナタップして……呪文、ディメンジョン・ゲート!効果で山札を見て、一枚クリーチャーを手札に加えるで。」

 

 山札を持ち上げ、全部のカードを確認する。

 ……ふむふむ、なるほどな。見れてよかったで。これで少し、心に余裕が生まれたわ。

 

「イメン=ブーゴを回収!そしてシャッフルして、か・ら・の〜!3マナタップで呪文、再誕の社!フェアリー・ライフとディメンジョン・ゲートをマナゾーンに。からの!からの!かーらーのー!2マナタップで呪文、未来設計図!山札上から6枚を見て、その中からクリーチャー一体回収や。オトマ=クットを手札に。これでターンエンドや。」

「いいぞギョウ!一気に8マナになって、更にキーパーツ2枚も手札に加えるなんてよ!」

「ちゃう!ちゃちゃう!!」

 (次にドラグハートを展開できれば……どうにか……!!)

 

 

牛次郎 5ターン目

 

「ドロー。にひひ……」

 

 不敵な笑い。嫌な予感がする……あいつがさっきめくったカード、とてつもなく黒いオーラで包まれとる。何をしてくるんや……。

 

「5マナタップ、呪文、ホーガンブラスター!山札をシャッフルして、一番上を呪文なら唱えて、クリーチャーならバトルゾーンに出せる!」

 

 運試しっちゅうことか。けど、なぜかそれが運ではない気がする。確定事項のような気がしてならへん。あいつはゆっくりと、じっくりとシャッフルをして、どこかのところでピタリとそれを止めた。……妙やな。

 

「さあ!1枚……めくる。……ひひっ!龍素記号Srスペルサイクリカをバトルゾーンへ!」

 

 パワー6000の大型龍……こいつはさすがの僕でも知っとる。有名なカードやからな。効果はコスト6以下の呪文を墓地から唱えられる……また、ホーガン・ブラスターを唱えてくるか……!

 

「そして、能力でもう一度ホーガン・ブラスター!山札をシャッフルして……山札1枚を見る!」

 

 じっと、シャッフルされるデッキを、バトルゾーンに置かれたカードを見続ける。なにか、あいつはやっとるかもしれん……さっきのシャッフルはやけに慎重やった。今回もや。もしかしたらカードに、なにか細工を……しとるんか。出されたスペルサイクリカの端っこ、ちょっとだけ折り目がついとる。あれがあいつのシャッフルの到達点や!そして……シャッフルが終わった。山札の一番上には……中心にすごく小さな赤い点が書かれとる。やっぱりズルしとるんや、あいつ!

 

「ドロー!よっしゃー、運がいいねぇ。ヘブンズ・ゲート!効果でシリウス2体をバトルゾーンへ!へへ、ターンエンドだよぉ〜ん。」

 

 ……大型ブロッカーが2体も並んだ。あのパワーに勝てるクリーチャーは、ヴェロキボアロスぐらいか……!!

 

「す……すげぇあのおっさん……とんでもねぇ豪運だな……。」

 

 呆気にとられとる勝太くん……違う、違うんや。あれは運やない。決定事項なんや!けど今それを言う必要はないし、言ったところで何も変わらへん。それに……あいつのズルを受けた上で、そっから逆転勝ちしてやるニョロ!

 

 

ギョウ 5ターン目

 

「ドロー!……呪文、未来設計図!効果で6枚見て……オトマ=クットを手札に!」

「2枚揃ったてことはつまり……デコちゃんとのデュエルでやったことと同じことを……!」

「勝太くん、そのとおりニョロ!まずは、オトマ=クット召喚!そしてマナ武装7、発動!7枚アンタップ、か・ら・の!もう一体召喚!そしてまたアンタップ、か〜ら〜の〜……イメン=ブーゴを召喚!効果でボアロアックスを装備!からのぉぉぉ〜……ボアロアックスの効果で、自然のコスト5以下のクリーチャーを出せる!無頼聖者サンフィストをバトルゾーンへ。」

「ブロッカーか……めんどくさいねぇ。」

「ターンエンドからの!ターンの終わりに自分のクリーチャーの合計コストが20以上なので、2・D・龍・解!邪帝遺跡ボアロパゴス!」

 

 よし……!一気に展開できたで。あとは、座して待つ。それだけや!さぁ、イカサマでもなんでもええ、かかってきなはれ……!

 

 

牛次郎 6ターン目

 

「やるねぇギョウ。さすがはデュエマ甲子園京都代表……実力は本物みたいだな。」

「え……そうだったのかよ、ギョウ……!!」

 

 え、なんやそれ。僕そんなの知らへんで。デュエマ甲子園とは……?えっと、けどここは話を合わせたほうがええよな。多分。

 

「そ、そうニョロ。僕はこの、京都を代表するデュエリストニョロ。」

「そうだったのかよ……すげぇなギョウ!」

「あんがとニョロ、勝太くん。」

「けど、けど、け〜ど〜!ボクチンがそれをぶっ壊してあげるよ!もう、ボクチンの味方じゃないお前なんていらないんだからねー!ドロー!」

 

 なにか引いたとは思えん……この世界でデュエ魂のないやつに、カードは応えへん……はずや。となればやつはまた……ズルして巨大クリーチャーを出してくる!

 

「じゃ、さっき手札に戻したホーガン・ブラスターを唱えるよ。シャッフルして山札上一枚を……っと、はい!スペルサイクリカ。登場時効果で、墓地からもう一度ホーガン・ブラスターを唱えるよ。シャッフルしてぇ〜……おーっとぉ!」

 

 デッキが地に落ちた。あいつ、シャッフルをしている途中に、わざとデッキを落としたんや。

 

「あーあ、落としちゃったなぁ。ついてないついてない……っと。」

「……お、おいおっさん!」

 勝太くん!?まさか、牛次郎のイカサマを……!?

「あ?何だよ。」

「あんた今、ポケットからカード取り出してただろ……それをデッキに入れてた。イカサマじゃねぇか!」

「そんなことしていないよぉ〜。デュエマは正々堂々がモットーだろう?」

「嘘つけ!今俺見たぞ!お前も見たよな、ハムカツ!」

「ちゃう!ちゃうちゃう!!」

 

 つまり……あいつは次にとんでもないクリーチャーを出してくる、っちゅうわけか。それを偶然、勝太くんが目撃した。けど、見ただけやとあかん。証拠はない、映像も残っとらん。牛次郎はそれを引っ捉えて勝太くんに言葉攻めするのは目に見えとるし、もうしとる。……これ以上は我慢できへんわ。

 

「切札勝太……証拠を見せてみろ!どこにもないだろ?べぇららら……!」

「くっ……あの野郎!!」

「勝太くん!もういいニョロ!」

「……け、けどよギョウ!あいつはイカサマを……」

「そんなの、最初っからわかってたニョロ。」

「な、なぬ!?」

「チッ……まぁそうだよなぁ、ギョウ。」

「勝太くんは真っ直ぐすぎるから、牛次郎のイカサマを見抜けない、そう思って、僕は君にデュエマをさせないようにしたニョロ。」

「ギョウ……お前……」

「安心してニョロ。あいつのイカサマは僕は咎めへん。結局無駄やからな。せやから……ええで、牛次郎!あんたのイカサマ、思う存分やれや!僕はそれを受けてから、逆転勝ちしたるからなぁ!」

 

 堂々宣言や。勝太くんも牛次郎も、揃って驚いとる。牛次郎はそんなことできるわけないと笑い飛ばしてくるけど、さて、結果はどないなるんやろなぁ。ま、さっさとやりぃや。

 

「フン!じゃあ行くよぉ。シャッフルし直して……1枚目、ハイ!「修羅」の頂 VAN・ベートーベン!召喚で出してないからお前のクリーチャーを全員手札に戻す能力は使えない……けど!こいつが出た暁には、お前はもう二度と、コマンドとドラゴンは召喚できないよぉ〜ん。」

「ふーん、で?そ・こ・か・ら・の〜……?」

「なっ……ギョウめ!そうやって余裕ぶっていられるのも今のうちだけだぞ!残った1マナで、呪文キリモミ・スラッシュ!場にあるクリーチャーすべてをスピードアタッカーに!」

「っつうことは、あのおっさんの攻撃できるクリーチャーは5体……しかもそのうち3体がトリプルブレイカー!や、やべぇぞギョウ!」

「……安心せぇ、勝太くん。僕を信じて。」

「ギョ、ギョウ……。」

 

 勝太くんにも牛次郎にもわからへんと思うけど……僕には、4ターン目に生まれた「安心」があるんや!そしてそれを成立させるためには、クリーチャーが一体も減ったらあかん。ボアロパゴスの龍解条件が崩れてしまうからな。だからここは……

 

「牛次郎!サンフィストでのブロックはせぇへん!さ、シールドブレイクしてきぃ。」

「ぬぁ、ぬぁ〜にぃ〜!?おいギョウ!ブロックしねぇってどういうことだよ!」

「ブロックしたところで、あの打点はどうにもできないニョロ……。」

「変な奴め……まぁいい!そっちがその気ならこのまま終わらせてやるよぉ〜!いけ!スペルサイクリカ!ダブルブレイクだー!」

 

 2枚、シールドが割られる。どっちも外れ。……ということは、残り3枚は……!!

 

「最後だ!シリウスで、トリプルブレイクー!!」

 

 3枚、全部のシールドが割られた。ここでトリガーを引かなければ負けてまう……!

 ……なーんて、そんな心配すること絶対ないんよぉ。だって3枚とも……

 

「シールド・トリガーやでー!3枚ゼーンブ!!」

「ぜ、全部……」

「シールド・トリガーだとぉ〜、ギョウ!?」

「せやで。じゃ、順番に効果解決やな。まずは古龍遺跡エウル=ブッカ!効果でアンタップしてるスペルサイクリカとシリウスをマナゾーンに!」

「くっ……くそっ!」

「次にナチュラル・トラップ!ベートーベンをマナ送りや!」

「そ……そんな!打点が消えただとぉ〜〜!?」

「まだまだ行くでぇ。激辛の超人(ハバネロ・ジャイアント)召喚!効果で、あんたクリーチャー一体選んでマナゾーンに送りぃ。」

「スペルサイクリカをマナゾーンへ!……ぐ……ぐぬぬぬぬぅ……こ、こんなのズルだ!ウソだ!イカサマだぁ!そんなことして、恥ずかしくないのかぁ?」

 

 どの口が言っとるねん。それに……僕はイカサマなんかしとらん。お前なんかと一緒にするな。

 墓地に置かれたあのカード、見てみ。僕はある1つのカードを指差した。

 

「このカード、なんかわかるか?」

「ディ、ディメンジョン・ゲートだ……それがどうしたんだ!」

「忘れたんか?僕はディメンジョン・ゲートで山札を確認しとったんや。そこで、山札の中に今使ったトリガー3枚がないことに気づいた。そして、手札にも3枚はない。つまりあるのは……シールドの中。そこしかなかったんやで。これでもまだイカサマ言うんか?」

「じ、事前に仕込んでた可能性だって……」

「それやったら5枚全部トリガーにしとるわ。お前みたいにな。」

「ぎ、ぎくぅっ!!」

 

 この反応……やっぱりこいつはシールドを全部トリガーで埋め尽くしとるっちゅうことか。ブレイクしても、クロックが出てきて逆転されかねへん。となればここは……シールドから手札に加えたこのカードで……!!

 

「く、くっそぉー!だが、ボクチンには勝てないぞ!こうなったら白状してやる……僕のシールドには4枚のクロックと1枚のマスター・スパークが仕掛けられている……」

「や、やっぱりあいつ!イカサマしてたのかよ……ひでぇぞー!正々堂々デュエルしろー!」

「うるさい、うるさいよ切札勝太!こいつは、ボクチンのイカサマを受けたうえで勝つと宣言したんだ!さぁ、やってみろギョウ!ターンエンドだ!」

「……言われなくとも、やってやるニョロ。」

 

 

 

ギョウ 6ターン目

 

 

「ターンのはじめ、自分のクリーチャーの合計コストが30以上なので……ボアロパゴスを、3D龍解!!我臥牙ヴェロキボアロス!!!」

「よし!やったれギョウー!」

「ちゃうちゃーう!」

「マナチャージ。イメン=ブーゴの効果で、マナゾーンのカードはすべての文明を得る!というわけで7マナ!行くで、召・喚!召・喚!ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン!!」

「げ、げげ!げげげっ!?そのカードは……!!」

 

 これこれ!これこそ元祖ドラゴンや!!銀色に光る体に全てを裂くような咆哮!男の子のロマンをくすぐるなぁ〜!ま、牛次郎からしたら絶望やろうけどな。ホワイトの能力はブレイクしたシールドを墓地に置く。やからトリガーは使えへんでぇ!けど、その前に……

 

「かーらーのー?クリーチャーを召喚したから、ヴェロキボアロスの能力発動!マナゾーンからドミティウスをバトルゾーンへ。からのからのー、ドミティウスの効果で、山札上5枚見て……ジャスミンと、ツミトバツ、さらに!もう一体のホワイト・ドラゴンをバトルゾーンへ。ジャスミンの効果で、1枚をマナゾーンへ。そして、ツミトバツのマナ武装7、発動!シリウスのパワーを−7000!」

「けど、破壊はできないぞ!」

「わかっとる。それでええんや……あんがとさん。破壊されへんお陰で……ヴェロキボアロスがシリウスに攻撃できるわ。」

「え……?あっ!しまった、そうか!シールドをブレイクしなくても、よくなるのか……!!」

「マナゾーンに送るクリーチャーを間違えたな!運のつきや!とその前に、やられたらやり返すってもんや……キリモミ・スラッシュ!全員スピードアタッカーや!ほないくで、ヴェロキボアロスでシリウスを攻撃、そして破壊!か・ら・の!!ジャスミンのマナチャージによって置かれた巨大なドラゴン、いらっしゃーい!界王類絶対目(かいおうるいぜったいもく) ワルド・ブラッキオ!」

「な、なんだとぉ〜!?」

「これであんたのクロックはトリガーせぇへん。無駄になる。頼みの綱は、マスタースパークだけになったなぁ。」

 

 牛次郎の表情が、わかりやすく変わった。余裕の笑みはもう、ヤツの顔面にはない。さぁ、こっからやで。

 

「2体のボルメテウス・ホワイト・ドラゴンで、シールドをダブルブレイクや。」

 

 割られたシールドは墓地に置かれていく……クロック。クロック。クロック。マスター・スパーク……!危ない危ない。あのままヴェロキボアロスでシールドをブレイクしとったら、ワルド・ブラッキオの効果をすり抜けてくるマスタースパークで逆転負けしとったなぁ。シリウスを攻撃して正解やったわ。

 さて、僕の勝ちや。

 

「マ……マスター・スパークがぁ〜……」

「まだまだ行くで!オトマ=クットで、最後のシールドブレイク!」

「ク、クロック!だけど、能力が使えない……こ、こんなことがぁ……!!」

「あるんやで。さ、おしまいや。イメン=ブーゴでダイレクトアタック!」

「ぎゃああ〜……」

 

 吹き飛んだ牛次郎のポケットから、るるちゃんのジャベレオンが飛び出した。デュエマに勝ったし、返してもらうな……そうれーっ。包帯を伸ばして、ジャベレオンをしっかりキャッチ!るるちゃんはまだ休んどるか。じゃあ、これは……こうしよか。ほい、勝太くんに渡すとするか。

 

「勝太くん!るるちゃんのジャベレオンは取り返したで!」

「す、すげぇぜギョウ!あのイカサマ野郎に、勝っちまうなんてよぉ!」

「へへ、ありがとうニョロ。」

「お……おのれ〜ギョウ!本当にボクチンに敵対するというのか……!」

 

 負けた牛次郎が、悔しそうにこっちを睨んでくるニョロ。今度あったときは覚えておけとも言ってきたけど、あんなやつの言葉なんて覚える気もあらへんし、そもそも会いたくもないわ。ま、負け犬の遠吠えが聞けただけでも十分やったけどな。

 さて!こっからや。最後に勝太くんとデュエマを……って、どしたんや勝太くん。口をあんぐり開けたまま斜め上を見とる。なんかあるんか?あぁ、時計か。10時50分。けどそれがどないしたんや?

 

「や……やべぇ!集合時間に遅れちまうー!!」

「しゅ、集合時間!?一体、なんのことニョロ!?」

「俺等、修学旅行で京都来てるんだよー!で、今日、最終日!11時10分に新幹線に乗るから、その前には集まらねぇとーー!」

「な、なぬーーーー!?じゃ、じゃあ僕とのデュエマは……」

「できねぇ!悪いけど、また今度な!じゃ、じゃあな!」

 

 えーーーー!?嘘ぉーん!?勝太くん、僕とデュエマせずにどっかに行ってしまったニョロ……そんなぁ。これじゃあ、勝太くんとデュエマは……

 待てよ?そうや!えぇこと思いついた!僕から会いに行けばええんや!よぅし、思い立ったが吉日。早速行動に移すでぇー!

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