寄成ギョウに転生したから、キャラの良さガン無視して善人になるニョロ〜!   作:ライダー☆

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第58話 最凶の襲来っ!ジャスとかづらの本気デュエマ!!

 私、ジャスです。今回は怒ってます。いや、前回のお話で呼ばれなかったからとかそういうわけじゃないのよ?むしろあれは感謝してる。あんなところにいたら多分これからの生活に支障が出てくること間違いなしだもん。

 今回怒ってる理由っていうのは……

 

「うふ……こんにちは、ギョウさん♡」

「……ん。」

「あら……いつもと同じ塩対応ですわね。嫌いではありませんわ!むしろ……好きになってきちゃったかなぁ。」

「そうかいな。」

 

 見ての通りよ。最近、この女の“密着度”が日に日にエスカレートしてるの。まるで接着剤みたいに、べったり。気持ち悪いったらないわ。イライラが止まらないのよねぇ……ギョウは私のもの。彼だってわかってくれてるもん!それなのに、こいつときたら、どの面下げて……!止めればいいと思うでしょ?でもそれができないの。ギョウに言われたのよ、「カードの中に隠れててくれ」って――こいつとのデュエマの後から、特に、厳重にって。悔しい、許せない……!!

 

「邪魔や。どいてくれ。」

「あっ……ごめんなさい。また気が高ぶってしまいましたわ。」

 

 よぉし!帰っていった!ざまぁみなさいよ!ギョウはあんたのこと、少しも好きじゃないのよ?気づいてないふりして粘着してんじゃないわよね〜〜!?ばーか!

 そして放課後、学校が終わって。ギョウと手を繋いで帰っていたその時でした。

 

「あら、こんにちは!」

 

 いたわ。あの女が待ち伏せしていたのよ。偶然を装ってるけど、違うわ。絶対に狙ってここで待ってた。だってこいつは、いつも私達の通学路とは正反対を行っている。普通に来れるようなルートじゃない。

 

「……あら?どうしたんですか、ジャスさん。そんなに暗い顔をして……。」

 

 この女っ!!わかってて言ってるわね!?キラキラ笑顔なんてつけて、腹の底でこっちを嘲笑ってるに違いない……!!けど我慢。我慢よ私。ギョウの前で、下品な感情なんて見せられない。

 

「いえ、なんでもないの。気にしないで……はは……。」

「うーん……けど、そんな気がしませんわ。あまり隠し事をしては、体に毒ですよ?」

 

 ッッッ!!!今、私の手を……この女が、両手で包んできた……!?何よその目。「心配してます」みたいな目。そう言いたいの?助けてあげますわ~って言いたいの!?

違うのよ。こうなってるのは、全部、あんたのせいなのよ!!!

 

「かづらはん。ジャスはんが暗い顔しとるのはあんたのせいや。無論、僕だってあんたに嫌気が差しとる。悪いことは言わへんから……どっかいってくれへんか?」

「ギョ、ギョウ……!!?」

 

 ……チッ。

 

「そうだったですのね。ごめんなさい……。じゃあ、また明日……シュン。」

 (なに悲劇のヒロインぶってんのよ!!その芝居がかったシュン顔も腹立つわ!あっち行けっての!はいはいシッシッ!)

 

 よし。やっと帰ってった。けど……嬉しい。ギョウがはっきり言ってくれた。それだけで……今日はちょっと報われた気がする。

 

「ジャスはん。帰ろか。」

「……うん!!」

 

 本当に……本当に、本当に憎たらしいですわ!あの幸せをどうにかしてぶち壊してやろうと思っているのに!あの男め、私にあんなことを……!!!

 なぁ〜んて、思っていませんわ♡だってもう、「終わっていますもの」……。ここ最近ベタベタくっついていた理由、そろそろ出てくるはずですわ!……ありがとう、私の毒花(かぞく)たち。

 

「かづらさーん、フィールドの準備はできたっすよーー!」

「ありがとう。アクミ。それじゃぁ……彼女への辱めを始めましょう!!!」

 

ーーーー

 

 ……ん……?なんやろ、急に……体が重たいな。ついさっきまで、こんな感じちゃうかったのに。立ち上がるだけで、こんなにしんどいとはな……一時的なもんやったらええけど、なんか不安やな。……念のため、「あいつ」に連絡しとくか。

 

「……うん。わかった。19時半な?……わかった。待っとるわ。」

 

 ……これで、あと1時間。来てくれる。それまでに少しでも回復すればええけど……この状態やと、まともに料理もできへん。しゃあないな……ごめん、今日もジャスはんに任せるしかないわ。前に撮った写真を見とる……ふふ、ええ顔してるな、ほんまに嬉しそうやった。

 

「ジャスはーん。」

「ん?」

「体がだるくて……動かれへんニョロぉ〜……ごめんけど、晩ごはん、お願いしてもええか?」

「うん、もちろん!任せて!」

 

 ……ありがたいニョロ〜。ほんま、優しいわ。チャーハン作ってくれた。嬉しいニョロ……僕、チャーハン好きニョロ。

 

「……どう?味、いける?」

「うん、美味しい。ほんま、ありがとうな。」

 

 ああ、こうしてギョウが私の料理を美味しそうに食べてくれる……この瞬間が一番幸せ。けど、胸の奥で、何かざわついてる……妙な感じ。嫌な予感がする……。

 

「うっ……!」

 

 ギョウ!?今の声……苦しんでる!?どうして、急に!?私はすぐさま駆け寄った。見ると、ギョウは苦悶の表情で、胸を押さえてうずくまっていた。

 

「どうしたの!?ギョウ……何が……!?……っ!」

 

 その時、私は気づいた。ギョウの首元に、かすかに浮かぶ……紫色の模様。それが、異様な不安をかき立てた。咄嗟に、私はギョウの服をはだけさせた。……そこにあったのは、全身に広がる薔薇のような紫の痣だった。

 

「うふふ……やっぱり、ね。」

「!!!!」

「今日という日が“完成”の日だと思っていましたの。ふふ、予想通り……。」

「お前が……!?ギョウを、こんな目に遭わせたのは……お前なのか、うつぼみかづら!!!」

「えぇ、そうですわ。私はここ数日、ずっと身体に毒を塗っておりましたの。……でも、私の身体には免疫があるもの。ギョウさんは……違ったみたいですけれど。」

 

 その声は、いつもと何ら変わらない調子だった。まるで、朝の天気でも語るような軽さで、淡々と告白してきた。怒りで、頭が真っ白になった。私は反射的に、かづらの胸ぐらを掴み、壁に叩きつけていた。

 

「っ……黙れ!!!お前、ギョウの命を……一人の人間の命を奪おうとしてるんだぞ!!!」

「あら……そう言うと思ってましたわ。」

「ギョウは……私の……大切な人なのよ!愛人なのよ!!!」

 

 ……これで確信しましたわ。あとは、ほんの一押し。

 

「じゃあ、助けてみますこと?」

「……何ですって?」

「解毒剤、ちゃんと持っていますのよ?ほら。」

 

 その手には、冷たい光を放つ小瓶。中には紫を打ち消すような、薄い水色の液体。私は、それを奪い取ろうと手を伸ばした。

 

「それを、渡しなさい!!!」

 

 だが、かづらはひらりと身をかわし、私の手をあざ笑うようにすり抜けた。何が目的なのか……こいつ、ただの狂人じゃない。はっきりとした“意図”がある。

 

「……デュエマをしてください。フィールドは、すぐ近くに用意していますのよ。フフフ……。」

「……ふざけるな。外道にもほどがある。……けど、いいわ。受けて立つわよ!」

 

 ……ギョウには、私の癒しの魔力をかなり分け与えてある。だからすぐには死なない。けど……持って1時間。それまでに、解毒剤を手に入れないと……!

 

「案内しなさい。今すぐに。」

「えぇ、もちろん。そのつもりでしたわ。」

 

 私はかづらの背後に付き従いながら、怒りと焦燥を必死に押し込めた。歩くペースがあまりにのろいので、彼女の腰を蹴り上げて「早くしなさい」と一喝した。……効いたみたい。

 

「さぁ、こちらですわ!」

「……っ!?ここは……!!」

 

 目の前に広がるのは、無数の茨に覆われたフィールド。地面全体に棘が張り巡らされ、中央には階段で登る台がひとつ。……落ちたら、命の保証はない。好都合……ここで勝って、あの女を地獄に突き落としてやる!!

 ……さぁ、ここまで来ればもう逃がしませんわ。しかも今夜は満月……ギョウさんの“命日”には、ぴったりの夜ですわね。

 

「では、始めましょうか。ジャスちゃん。」

「えぇ……こっちはもう、やる覚悟はできてるわ。」

 

 待っててね、ギョウ……絶対に助ける。どんな手を使ってでも、この命は……私が取り戻す!!!

 

 

【こうして……月明かりが照らす中、本気のデュエマが、始まろうとしていた……。】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャス キーカード:異面の頂天ヴェロキボアロス

 

うつぼみかづら キーカード:Dの妖艶マッド・デッド・ウッド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『デュエマ、スタート!!』

【かづらとジャスの本気デュエマ!序盤はマナ加速を行い、7マナまで増やし、展開の準備を進めるジャス。対するかづらは、小型クリーチャーを展開して、ジャスのシールドを2枚割っていく。】

「許さないわよ……絶対に潰してやる!」

「まぁ、怖いこと言わないでください〜……。」

「いい加減にしなさいよ?もうそんな気持ち悪い声を出せないようにしてやるわ。」

 

ジャス 5ターン目

 

「私のターン。ドロー!行くわ。まずはホルデガンスを召喚!そしてマナ加速。更にポレゴンを召喚。そして……G・ゼロ!ステージュラをバトルゾーンへ!ターンエンドよ。」

「あら?それだけでいいのですか?」

「いいのよ。次のターンでトドメまで行けるからね。」

 

 いい気になっていますわね……じゃあ、そろそろこっちも牙を出していくとしましょうか♡

 

かづら 6ターン目

 

「私のターンですの!まずは呪文、悪魔の契約!自分のマナゾーンにあるカードを好きな数墓地におけますわということで……今タップしたデモンカヅラとリンネビーナス、そしてアクミ、イーヴィルヒートを墓地に置きますわ。」

「大層な墓地肥やしね。自分のマナからだなんて。よっぽど負けたいのかしら?」

「あらあら、そう焦らないでください。墓地においたカードの数、私はドローできますわ。うふふ、これで手札を大量に補充です!」

 

 チッ、面倒ね。けど相手のマナゾーンはもう2枚しかない。次のターンで動ける量も限られてくるはずよ。

 

「まだまだ行きますわ!ディス・ドライブで、シールドを攻撃。このときに……革命チェンジですの!タマネギルに革命チェンジ!そして登場時能力で、手札を1枚捨てて……あなたのポレゴンを破壊ですわ。」

 

 破壊されて、シールドも割られた。けどごめんなさいね。ただでやられるわけにはいかないの!!!

 

「シールド・トリガー、DNA・スパーク。これであなたのクリーチャーはすべてタップ。そして、こっちはシールド回復よ。」

「そんなぁ……グスン。ターンエンドですわ。」

「まぁだそのぶりっ子を貫き通しているのね……。いちいち私を怒らせないと、気がすまないのかしら?」

「えぇ!そうですわ!」

 

 私は思いっきり台を叩いた。堪忍袋の緒が切れた。もう殺す勢いであいつを攻めるわよ……!!!

 

ジャス 6ターン目

 

「私の、ターンよ……。」

 

 絶対に引いてやる……ギョウを助けるために!あの女をぉ……ぶっ潰すためにぃ!!!ドローーーっ!!

 

「よぉし来たわよ!ぶっ潰してあげるわ!」

「……フフ。勢いに乗っていますわね♪」

「まずはサファイアをマナチャージ。そして……ステージュラでシールドを攻撃。ステージュラはコスト7以上の革命軍よ!!チェンジ条件は満たしている!」

 

 お願い……ヴェロキボアロス、私と一緒に戦って……!!

 

《了解だ、ジャス。あいつをぶっ潰してやろうぜ。》

「そしてヴェロキボアロスが出たことにより……ファイナル革命、発動よ!こいつ以外のすべてのクリーチャーをマナ送りに!」

「そんな、私のクリーチャーたちが……!」

「それで終わりじゃない……その後、マナゾーンの枚数以下のコストを持つクリーチャーを3体ずつ選んでバトルゾーンに出せる!サファイア、鬼丸「覇」、バランをバトルゾーンに。」

 

 そんな、一気にこれほどまでの!?

 

「そしてあなたの方からはブラッドレイン、ディス・ドライブ、タマネギルをバトルゾーンに出してもらうわ。ちなみに、クリーチャーの能力はヴェロキボアロスの能力によって発動しないから。」

「くっ……!」

 

 いいわね、一気に焦り顔になってきたじゃない!このままトドメまで行かせてもらうわ!!!

 

「ヴェロキボアロスで、シールドをトリプルブレイク!」

 

 シールドも、残り2枚ですわ。結構ピンチ……だけど、ここで引けたなら勝ちですの!

 私は引きますわ……この勝負に勝つために、どこまで堕ちても、どこまで沈んでも……私の火は、消えませんもの!美しいものよ……私に力を貸して……ドローーー!!!

 

「うふふ!来ましたわ!シールド・トリガー、D2フィールド、Dの妖艶マッド・デッド・ウッド!」

 

 え……D2フィールドですって?どういうこと?じゃあ、こいつはまさか……!!

 

「レアキラーズ、だって言うの……!?」

「そうですわ。私はレアキラーズの一員ですの!けど、今はそんなことどうでもいいですわ。あなたをグシャグシャに踏み潰して差し上げます。」

「っ……!!」

「シールド・トリガーはまだありますのよ。デーモン・ハンド!あなたの鬼丸を破壊ですわ!」

「くっ……!けどそれで終わりじゃないわ。サファイアでシールドをブレイクよ!トドメまではいけないけど、これであなたのシールドは0!」

 

 それがどうしたっていうんだよ……。結局、あなたの……いえ、お前の負けは決まっているも同然なのよ!!!

 

「口調が……変わった?」

「少し……ね。だって初めてですもの。あなたみたいに……吐き気のするような嫌悪感を覚えたのは!それほどまでに幸せで……憎たらしい野郎は!!!」

 

 何か言い返さないと……けど、言葉が出ない……怖くなってるの?私……!?

 

かづら 7ターン目

 

「じゃあ、行きますわね♡ターンのはじめ……デデンデンデン、デンジャラスイッチ……オンですわ!」

 

 え……なんで……私のクリーチャーたちが!?

 

《!?これは……どういうことだ!?》

「マッド・デッド・ウッドのDスイッチ効果を発動ですわ!バトルゾーンにあるクリーチャーは、すべて山札の一番下において……その後、墓地から進化ではないクリーチャーをすべてバトルゾーンに出しますわ!」

 

 そんな……クリーチャーの数でも、パワーでも負けた……!?しかもあいつのバトルゾーンには……大量のクリーチャーたちが……!!

 

「まだまだ、行きますわよー!墓地からいらっしゃーい♪D2Mマグラカヅラ!そしてデモンカヅラの効果で鬼丸「覇」を破壊ですわ。」

「あぁ……あ……!!!」

「震えていますわね……最高、その表情たまりませんわ!!ドロー!そしてマナチャージ……1マナでキリモミ・スラッシュ。これで全員スピードアタッカーですの!……死になさい。デモンカヅラでダブルブレイク。」

 

 トリガー……トリガーは……ない!!

 

「更にデモンカヅラでシールドを攻撃ですの!!」

「そ、そんな……!!」

 

 トリガーが1枚もない……じゃあ、私の負けだっていうの……?嫌よ……そんなの嫌!!!

 

「あら、どうしましたの?」

 

 かづらが、私の隣によってきた。その瞬間、自然と涙が溢れてきた。ギョウを……助けられなかった……!!

 

「トリガーは、1枚もないんですの?」

「……いわよ。ないわよ!さっさと……トドメを……刺しなさいよっ!」

「えぇ。それでは。アクミー!」

《おっけーい!んじゃ、バイバーイ!》

 

 私はその場に崩れ落ち、泣き崩れた。あまりにも無力だった。守りたかった人一人さえ、救えなかった。ごめんね、ギョウ……ごめん、ごめん……!

 その時だった。かづらが私の前に、小瓶を揺らしながら姿を現した。中には、透き通るような液体がわずかに光っている。それは……解毒剤?

 

「……差し上げますわ。」

 

 一瞬、言葉の意味が理解できなかった。耳を疑った。信じられなかった。何度も何度も問い返した。でも、かづらは微笑を崩さず、何度でも頷いたのだ。本当に、私にそれを渡すという。……何のつもりなのか、考えている余裕はなかった。とにかく、これで……ギョウを助けられる!

 

「それでは、どうぞっ!」

「っ!?」

 

 唐突に、かづらが私の身体に馬乗りになってきた。そして、小瓶の中身を私の口へと無理やり流し込もうとしてきたのだ。私は必死に手を振って抵抗した。やめて!そんなことしないで……!

 だが、その手が瓶にぶつかった。ガラスの軽やかな音。小さなフラスコは空中で跳ねて、地面に転がった。……そして、茨にぶつかって、粉々に砕け散った。

 

「あーあ。やってしまいましたわねぇ。」

「そんな……そんな、そんなわけ……っ!!」

「口に含んで帰ればよかったのに。あなたが暴れちゃったから、解毒剤は全部……消えちゃいました。もう、彼を助ける手立ては、どこにもありませんわねぇ〜!」

「……うつぼみ……かづらァアアアアアッ!!!」

 

 怒りが臨界を超えた。全身が焼けるように熱い。私はその怒りのまま、かづらに向かって突進した。こいつはもう、ただの敵じゃない。人の幸せを壊す怪物だ。ここで叩き潰さなければ、絶対に許されない……!

 

 けれど——

 

「そうそう、最後に一つだけ。」

「っ……!?うぐっ……!!ゲホッ、ゲホッ……!? な、なんで……体が……重い……!!」

 

 腕が上がらない。足がもつれる。視界が歪む。吐き気と、痺れ。何が起きているの……?私、何か……された……?

 

「フフ。教えてあげますわ。あれは、解毒剤なんかじゃありませんの。あれは……猛毒を濃縮した特製の毒薬。あなた、見事に飲み干してくれましたわねぇ?」

「な、なんだと……!?ゲホッ……!!」

 

 喉の奥が焼ける。吐いた血が服を染める。もう……全身に、激痛が走ってる。心臓が、破裂しそう。視界も、どんどん狭く……。

 

「これであなたもおしまい。ギョウさんよりも、もっと強い毒で、もっと苦しんで……死んでしまうの。フフ……天国で仲良くしてね、ジャスちゃん……♡」

「お前……っ……この……ッ!!」

「もう、その声にも力がありませんわねぇ〜。あ、そうそう!もうすぐ死ぬあなたに、これ、いらないですわねぇ?」

 

 かづらは懐から、私たちが撮りためた写真のアルバムを取り出した。思い出が詰まった、小さな宝物。その背に、ライターの火が灯された。

 

「やめて……やめて……!!」

 

 火が走る。写真が歪む。色が黒に飲まれる。私は泣いた。痛みなんてもうどうでもよかった。ただ、失われていく幸せが……あまりに悔しくて、悲しくて、壊れそうだった。

 

「さぁ、おしまいですわ。じゃあ……地獄に行ってらっしゃいな、ジャスちゃん。」

 

 かづらの手が、私の胸を押した。私は力なく、茨の地面へと突き落とされた。全身を突き刺す棘の感触と共に、世界が真っ黒になっていく。

 

 そして……意識が、そこで途切れた——。

 

「アクミ、帰りましょ。」

「え……あ、オッケーイ!」

 

 かづらさん……まさかほんとにやるとは思わなかったッス……。うっ!?あいつの姿を見ただけでもむごたらしすぎて無理だ!帰ろ帰ろ……。

 

 

 

 

 

ーー数分後ーー

 

 …………こんな場所あったっけ?なぁんか悍ましぃなぁ……。ん?なんかいる……人かなぁ?

 

「人だ。しかもヒデェ傷じゃねえかぁこれはぁ!」

 

 茨のトゲから丁寧にそいつを引っこ抜いて、優しく抱いた。幸いトゲは深く刺さっていなかったから、傷自体は浅かったし、臓器も多分無事だ。心音は……小さいけどまだなっている!!!

 

「こぉれだったら助かるかもしんねぇ!」

 

 

 

 

 

「……うだ?こいつ大丈夫そうか?」

 

 ……声が聞こえる。私まだ、生きてるの……?

 

「あぁ。大丈夫だ。ギョウよりも強いとはいえ、同じような毒だったからな。ゾンさんがそれを全部抜き取ってくれたよ。」

「ゾンビにも活躍できる場面があるなんてな……びっくりだぜ。」

 

 何話してるんだろう?よくわからないわ。……それに、ここは?どこ……?うわ、明るい……これ、手術室のライト……かなぁ?

 

「お、起きたかぁ。良かった良かった。」

「あ、あなた達は……!?」

「俺はワラマキ。お前を見つけたやつだよ。ギョウにお前のことを聞いてな。どこにいるかなぁって探してたんだ。」

「ギョウから……?ってことは、ギョウは生きてるの!?」

「あぁ生きているぞ。ゾンさんのお陰でな。」

 

 あ!こいつ……見たことあるわ、牛次郎!!

 

「久しぶりだな。だが、もう敵対なんてしないよ。ギョウには色々と……恩があるからね。」

「んで、俺ちゃんも久しぶりじゃねぇ?えへへぇ〜……」

「あ、ルシファーって人に負けたゾンビ!」

「覚え方がマイナスすぎるだろうがっ!お前を助けてやったっていうのによ!」

 

 助けた……?一体どういうこと?牛次郎に訊いてみると、こう帰ってきた。ゾンさんはゾンビだから毒そのものは効かない。だから、ゾンさんが私の体にチューブを刺して、毒だけを飲んだらしい。そんな器用なことできるのかなって思っていたら、牛次郎が血かそれ以外かを判別する装置っていうのを作っていたらしくって。んで、それをそのチューブに取り付けて、毒だけを抜き取るようにしていたらしい。便利なものね。

 

「だろう?便利なものだろう?少し前にギョウから連絡をもらってね。毒か、それとも悪い菌が入っているかのどっちかだったんだ。けど……彼は病気には結構な耐性があるしと思って、即興でこの装置を作ったのさ。まぁ、それが大成功ってわけだ。」

「俺も大活躍だぜぇ!」

「……じゃ、じゃあギョウは、ギョウはどこにいるの?」

「後ろ。」

 

 わあっ!?ずっと後ろにいたの……?もう、だったら声ぐらいかけてよー。びっくりしたじゃない。

 

「いやー、ありがとな牛次郎はん。助かったニョロ。」

「礼はいい。それよりも……うつぼみかづら、そいつが元凶なんだね?」

「そうニョロ。どうにかしてあいつの家を特定してほしいニョロ。そしたら……僕が直々に「カリ」を返す。ジャスはんをこんな目に合わせたこと……許さへんからなぁ。」

「……結構怒っているみたいだね。僕とデュエマしたときみたいだ。」

「……フッ、確かにそうかもしれへんな。そう思うと、お前結構丸なったなぁ。」

「お前と……あといろんな奴らのおかげだ。」

「いろんな奴らて……。」

「……ギョウ。」

「ん?どうしたんジャスはん。」

 

 私は話した。ギョウと一緒に撮った写真を、全部燃やされてしまったことを……

 

「……そうか。オッケーわかった。「カリ」が増えた。牛次郎。特定したらすぐに教えろ。わかったな?」

「!!……あぁ、わかったよ(ここは冗談なんて言わないでおこう。触らぬ神に祟りなし、だ。)」

「ギョウ。」

「ワラマキはん。どしたん?」

「これあげる。」

 

 僕はワラマキはんから1枚のカードをもらった。……能力がないD2フィールド?

 

「最近のほほんと歩いてたら見つけたの。」

「そんなゆったりとした理由でぇ!?」

「うん。けど能力も何もないから使えねぇんだ。だからお前にあげるー。」

「僕はゴミ箱かいな……?」

「いや、違う。俺の予想なんだけどさ、そのカード、もしかしたら使用者のデュエ魂に反応して能力が現れたりするんじゃねぇのかなって思うんだ。」

「デュエ魂に……?」

「うん。前にも似たようなことがあったろ?俺と、お前と、勝太とで地下帝国を抜け出そうしていたときに……ドギラゴンの力が、勝太のデュエ魂に応えるように解き放たれたじゃねぇか。」

「……た、確かに。そんなこともあったニョロな。」

「だからよぉ、お前だったらそのカードの力を解き放つことができるかもしれねぇ……いや、できる!そう確信している!ギョウ、「カリ」を返すなら……さらなる力を解き放ち、絶望を与えるんだ。お前の彼女さんがされたように……な。」

 

 ……そうやな。ワラマキはんの言う通りや。

 

「ジャスはん。帰るニョロよ。ここは牛次郎はんの家の一室やねんから。あんまりお邪魔しとったら悪いしな。」

「……え?あぁ、うん!(こんなところあるんだ……すごいなぁ。)」

 

 私はギョウの手を握った。……いつもよりもこわごわとしていた。……私のために、怒ってくれているんだって思った。

 

「……社長ちゃん。早速特定するかい?」

「あぁ。あいつのためにもな。」

 

 ……ギョウ、お前は多分、この世で一番強いデュエリストだ。余計かもしれない、わかっているかもしれないが……言っておこう。自分に自信を持て、ギョウ!

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