寄成ギョウに転生したから、キャラの良さガン無視して善人になるニョロ〜!   作:ライダー☆

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新・二話 謎深きシンラのデュエマ!出てこい切り札「シンラセンショー」!

【デュエル・マスターズ!それは、熱く、激しく、そして時に理不尽なカードバトルッ!!!このデュエマの主人公・切札ジョーは、相棒のデッキケース、デッキーとともに、今日も今日とてデュエマ日和を満喫していた……はずだった。】

 

【しかぁし!るるちゃんがある日突然として拾ってきた少女、寄成シンラの登場によって、状況は一変する。彼女は自分自身のことをほとんど覚えていない、いわゆる記憶喪失というやつだった。……だが、たったひとつだけ、彼女にはどうしても忘れられなかったことがある。それは、】

 

「私は夢の中で、お母さんの声を聞いたの。そこで思い出したのよ。『お父さんを助ける』――それが、私のやるべきことだって……」

 

【クリーチャーワールドにいる父親を助けること。彼女はそれを自分の使命だと言い切り、いますぐにでも動き出そうとする。……するのだが、彼女にはクリーチャーワールドへの行き方が、まるでわかっていなかったのであぁる!というわけで彼女は、地球にいながらどうにかして父親を助ける道を探すことになったわけだ。ちなみにシンラは、クリーチャーワールド生まれの少女。当然、地球に自分の家なんてものはないので、いまは切札家に居候させてもらっている!】

 

「解説、どうもね。ナレーターさん」

 

【いえいえどーもどーも。ってことでぇ、これからはジョーだけじゃなく、シンラも加わったデュエル・マスターズが、幕を開けるぞぉーーー!!!】

 

 

 

――――

 

 

 

 やっほー、みんな。私、シンラ。昨日からこの家に居候させてもらってる、ちょっと事情ありな女の子よ。  

 ……お母さんに頼まれて、私はこの世界に来たらしいの。クリーチャーワールドにいるお父さんを見つけて、助けるために。あの声が、最後にそう言ったんだから。だから、いま私がここで生きてる――って言っても、そんなに大げさな話じゃないと思うんだけどね。  

 でも、肝心のお父さんの顔も声も、まるで思い出せない。もちろん、お母さんのことも。……何で思い出せないのかすら分からないっていうのは、正直かなり気持ち悪い。十二年も生きてきたはずなのに、記憶の中身がすっからかんだなんて、まるで途中で内容を忘れた夢の続きを、無理やり目を開けて見ようとしてるみたいな感覚。  

 ……まぁ、それは今は置いておくわ。今日の本題はそこじゃないの。覚えてるとか忘れてるとか、そういう話じゃなくて。

 

 今日は土曜日。ジョーの学校は休みらしい。私は居間の床にぺたんと座り込んで、色鉛筆を広げて何かを描いている彼のところへ近づいていった。

 

「で、あらすじ的なものは終わったけど……ねぇ、ジョー」

「んん? なぁにぃ?」

 

 のんびりした声が返ってくる。彼の手元には、色とりどりの竜だのロボだのが、自由奔放に線を重ねて暴れていて、正直これは勉強机というより“夢の作業台”と呼んだほうがしっくりくる光景だった。

 

「私のデッキケースとデッキ、知らない?腰につけてたはずなんだけど……」

 

 そう。私のデッキが、ない。私の命の次くらいに大事なカードたちが、忽然と姿を消しているのよ。  

 私、向こうの世界――クリーチャーワールドでも、ずっとデュエマをやってた。まだ背丈が机に届かないくらいの頃から、カードの持ち方だけは一丁前だった。好きだったから、大事に大事に扱ってきたの。それにね、あのデッキにはたった一枚だけ、お父さんとお母さんが“私のために”選んでくれた特別なカードが入っている。あれだけは記憶を失っても覚えてる。心のほうが、勝手にそう刻んでる。

 だから、それがないなんて――もう、胸が落ち着かないどころじゃないわ。むしろ心臓が一人で走り出して、どこかへ行ってしまいそう。

 

「うぅーん、俺知らなーい。デッキー知ってる?」

「まぁったく覚えがありませんねぇ。……というかシンラ様、そもそも最初から腰にデッキケースなんてつけてましたっけ?」

「……やっぱり、つけてなかったのね。その口ぶりからすると。……じゃあ、ちょっとあなたのお母さんに聞いてみるわ」

「……母ちゃん。……あっ、そうだ!!」

 

 私の言葉を聞いた途端、ジョーが何かを思い出したみたいにぱっと顔を上げた。そして慌てて部屋の隅の勉強机へ向かうと、ガタガタと引き出しを引っぱり出して――

 

「もしかして、これ?」

 

 ……その瞬間、私の目が釘付けになった。ジョーの手にぶら下がっていた、あの馴染んだ革の感触。ほんの少し傷のついた金属のバックル。間違いなく、私のデッキケースだった。

 私は声もなく駆け寄って、それを手に取った。掌にずしりと戻ってきた重さは、ただのカード四十枚分なんかじゃない。思い出やら願いやら、今の私を形作っているものの一部が、そこに詰まっている。私はそのデッキケースを、つい、頬にすりすりとこすりつけてしまった。まるで久しぶりに再会した愛犬を前にして、言葉より先に体が動いてしまったみたいに。

 ……あっ、しまった。喜びすぎてお礼を言うのを忘れてた。うっかりさんね、私。目の前のことに集中しすぎると、周りが見えなくなるっていう悪い癖。これ、いつも反省してるんだけど……ほんと、なかなか直らないのよね。

 

「しかしジョー様、あの子のデッキケース、どうしてお持ちだったんです?」

「実はさ……」

 

 ジョーの口から語られる。

 シンラがこの家に落ちてきたあと、彼の母親が現場近くで拾ったものらしい。空から降ってきた私の、すぐ隣に転がっていたそうだ。拾ったお母さんは忙しかったから、ジョーに預けて「これ、彼女のものか訊いてあげて」と頼んだらしい。

 

「ってこと」

「なるほど、そういう……。で、あの反応。どうやら彼女のデッキケースで間違いなさそうですね」

「うん」

 

 デッキケースは無事、私の手元に戻ってきた。……だけど、まだ確認すべきことがある。  

 私はそっと蓋を開けて、中のカードを一枚ずつ取り出していく。傷ひとつないカードが、まるで整列した兵隊のように規律正しく並んでいた。数える。十、二十、三十――四十。ぴったりある。

 そして、奥に――あった。あのカード。金の縁取りに、淡い青の模様。プレゼントされた、大事なカード。

 

「けど、シンラちゃんって、デュエマやってたんだね」

 

 ジョーが無邪気な顔でそんなことを言った。私は膝に置いたデッキケースを撫でながら、ふふんと小さく鼻を鳴らす。

 

「まぁね。細かい戦績とかはあんまり覚えてないけど……ま、私のことだし?全部勝ってたに決まってるわ!この私が負けるわけないもの。えっへん!!」

 

 胸を張って自信満々に言い切ってやった。事実かどうかはさておき、気持ちの上では常勝だった記憶しかない。私の中の“デュエマ”って、それくらい強くて誇らしい思い出でできてるのよ。

 

「ねぇ、デッキー……あの子、ちょっと自分を持ち上げすぎじゃない?」

「まぁ……高慢とまでは言いませんが……足先くらいは、うっかり“高飛車”に突っ込んでしまっている印象は、正直ありますねぇ……」

 

 こそこそ話してるつもりなんでしょうけど、私の耳はちゃんと聞き逃さなかったわ。振り返って、にっこり笑顔を浮かべて告げてやる。

 

「聞こえてるわよ?」

『げっ!!』

 

 二人が同時に声を上げた。その反応に私は肩をすくめて、ちょっとだけ笑う。

 

「『げっ』じゃないの、まったく。ていうか、この性格は生まれつきなの。自分でも他人受けしにくい性格だってわかってるけど……まぁ、直るもんでもないし。直すには時間がかかるってものよ。だから……うん、ごめんなさいね」

 

 軽く頭を下げてから、私はデッキケースの留め具を外し、中からカードの束を丁寧に取り出した。少し反ったカードの縁、紙とインクのにおい――どれも懐かしくて、そして安心する。

 

「さて、と……ちょっとデッキの動き方でも復習しておこうかしら。ここは……こう、で。こっちは、このタイミングで……」

 

 私は床の上にカードを並べながら、対戦の流れを頭の中でなぞった。手順、効果、テンポ、すべてが指先を通して思い出されてくる。身体が自然と覚えていたことに、自分でも少し驚いた。

 

「なんかしてる」

「ええ……デッキの運用を思い出そうとしているようですね。ここは静かに見守るのがよさそうです」

 

 …………うーん。あの子、なにか不思議なオーラを感じます。いや、違うかな。……厳密には、彼女を「謎のオーラが奇妙にさせている」……!  

 ジョー様は気がついておられないようですが、このデッキーにはわかりますよぉ! しかし、何が彼女をあそこまで……――  

 はっ、そ、そうです!デッキケースの中に入っていたあのデッキ!その中にあった一枚のカード……あれが、彼女を奇妙にさせている正体では!!  

 確信が持てましたよ!絶対、千パーセントそうです!となればやるべきことはひとつ! ジョー様にこっそりお伝えしましょう……!

 

「ジョー様、ジョー様……」

「ん?」

「私、ちょっと感じちゃいましたよぉー。あの子の持っているデッキの中に、不思議なオーラを放つカードが一枚混じっています」

「えぇ?何そのカード」

「それが、私が感じたとんでもないものの正体です!」

「けど、それがなんだって言うのさ」 「問題は、そのカードの力が具体的にはわかっていないってことです!もしかしたら彼女は、そのカードひとつで世界を破滅に導く可能性さえあります!」

「えぇ!?……っていや、そんなことないでしょ。だってあの子、ギョウって人の子どもなんだよ?ギョウおじさんとは俺、まだちっちゃい時にデュエマしたことあるけど、すっごいいい人だったし。そのおじさんを助けたいって言ってるんだから、別に悪いことなんて考えちゃ……」

「いいえジョー様!こういう時こそ深く掘り下げるべきです!なにか裏があるに違いありません!!」

「デッキー、なんか今日、張り切りすぎじゃない?そんなに気にしなくたって大丈夫だってば……」

「いいえ、私にはそうは思えません!あのカード、なんかヤバいオーラを放っているんですもん!というわけで……ジョー様、彼女とデュエマをして、あのカードをおびき寄せてはくれませんか……?」

「えぇ?デュエマを?まぁいいけど……でも、おびき寄せたところで何になるの?」 「いいえ、何にもです!しかし、見ることさえできれば、能力さえわかれば、それでよいのです!!!対策法なんて、あとから自然と生まれてきます!!」

「ふぅ〜〜ん。……じゃあ!!」

 

 ふぅ。ちょっと必死になりすぎたかもしれませんが、この際、不可解なカードには無理やりにでも光を当てておく必要がありますから……

 

「ねぇシンラちゃん!デュエマしようぜ!」

「え?デュエマ?いいけど……」

 

(よぉしジョー様。そのままデュエマをして、彼女のカードの正体を…………)

 

「けど、ここではやらない」

「ってえーー!?ジョー様!?」

「連れていきたい場所があるんだ!!」

「連れていきたい場所……私を?」

 

 私がオウム返しのようにそう言うと、ジョーは笑った。  

 そうして外へ出て、ジョーについていくと、ある施設に着いた。ただの「観光地」なんかじゃなく、ジョーにとって特別な思い出とか想いが詰まった場所なのかもしれない。私をそこへ案内することで、少しでも私との距離を縮められたらいいな、とでも思っていたんだろう。

 それがわかったのは、黒い看板に白文字ででかでかと書かれた「DUEL MASTERS」という場所の一角、「SCREENS」という区画に着いてからだった。あぁ、なるほど。そういうことね。

 

「ここだよ」

 

 ジョーと一緒に中へ入ってみると、そこにはたくさんの人たちがデュエマをしていた。けど――クリーチャーたちが、実際に動いている。

 仕組みとしては、何かしらの装置が人の視覚に一時的な誤作動を起こさせて、現実世界にクリーチャーがいるように錯覚させてるってことかしらね?よくわかんないけど。  

 ……で、なんでジョーは私にこれを見せて、まるで自分が作ったみたいに鼻を鳴らして自慢げなのよ。あんたが作ったわけじゃないでしょうこれ。とか思ってたら、ほら、多分作ったであろう張本人らしき人と、その仲間たちがこっちへやってきたわよ。

 

「よぉ。ジョー」

「あぁ、シャチョー!!それに、ハンターに……プリ人まで!」

 

 私が言えたことじゃないけど、横文字っぽい名前が多いわね。……一応、日本よねここ?  

 んで、まぁ、名前と顔が一致する……余裕でするわね。真ん中の細身がシャチョー、右にいる小さいのがプリ人、左の太っちょがハンター。やっぱりこういう世界だから、キャラがわかりやすくできてるってことなのかしら。

 

【なぁんでそういう発言しちゃうのこの子はぁ……?】

 

「ジョー、今日は何しにここへ来たんだい?」

「やることはひとつしかないよ。デュエマだよデュエマ!!あの子とね!」

 

 あ、三人がこっち向いた。まぁ、軽く挨拶だけしておこうっと。私は名前を言って、小さく手を振った。あっちも振り返してくる。

 

「へぇ〜、見たことない子だなぁ。……そうだ!!」

「ん?」

「ジョー、お前とあいつとのデュエル、お前の席をこの僕ちゃんに変えてくれないかなぁ?」

「えぇーー!なんでよ!!?シャチョー、俺に前負けたじゃん!」

「ううっ!?そ、それとこれとは話が全く違うってのぉ!!とにかく席を譲れぇ!」 「ヤダもんねーーーだっ!」

「ぐんぬぬ……」

 

 お、デュエマの私と戦うのはだぁれだの争奪戦が始まった。まぁどっちが来てもデッキはひとつしかないし、相手のデッキがわからないのは同じだから、正直やることは変わらないんだけどね。  

 ……で、数秒後、決着がついたのか、キザっぽい青髪の彼がこっちへやってくる。ジョーのほうは……何かのチケットを二枚手に持って喜んでいる。あいつ、結構チョロいって、みんなから噂されてそうねぇ。

 

「へっ、ちょろいもんだぜジョー。ラーメン屋の無料チケット二枚だけで席を譲るなんてさっ」

 

 ほぉら噂をすればなんとやら、言われてるわよー、ジョー。

 ま、もうどうでもいいか。今はこの子とデュエマしなくっちゃね。

 

「えーっとシンラちゃんだっけ?ジョーのお友達?」

「まぁね。お友だちっていうか、まぁ……うーん、なんていうのかしらね? 知り合い? まぁ知り合いと友達の中間みたいな感じ。まだ友達までは……行ってないと思うわ」

「ふぅ〜ん。で、その感じわかってるみたいだけど……君、ジョーとデュエマする予定だったらしいね?」

「まぁね。けど、あのちょろいジョーが、あなたにその席を譲ったと」

「そういうことぉっ!僕ちゃんもデュエマはやりたいしねぇー。それに……前にジョーにやられて以来、あいつには……ずーっとちょっとしたちょっかいをかけたいと思っていたんだーい!!あいつに好き勝手デュエマなんてさせてたまるかー!!」

 

 うわー、すごく子どもっぽい。理由も何もかも。

 

「というわけで、俺とデュエマで勝負だーー!!」

「いいわ。デュエマすることは嫌いじゃないし。誰とやっても私は構わなかったし」

 

 私はデッキケースからデッキを取り、台らしきところに置いた。  

 ……地球でのデュエマは、これが初めてかしらね。……初めてがこんなキザな相手になるなんて思ってもいなかったけど……まぁ、これはこれでいいわ。倒したとき、個人的にスカッとするもの!!

 

 ……ジョー様がデュエマをしないとは……私、ここから見ているだけになりそうですねぇ。ていうか、ラーメン券二枚で席を譲らないでくださいよぉっ!ちょろすぎなんですからぁっ!!!!

 

「おいジョー、シャチョーとシンラちゃんのデュエマが始まるぜ。」

「近くで見るプリよ」

「え? あぁ、オッケー!!」

 

【こうして、シャチョーと謎めく少女、シンラのデュエルが、始まろうとしていた!!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャチョー キーカード:深海の覇王シャークウガ

 

シンラ キーカード:進化の始まりシンラセンショー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『デュエマ、スタート!!!!』

 

【ついに始まった、シャチョーとシンラのデュエマ! と、ここでデュエマのルールについて説明しよう! まず、デュエマは五つの文明で行う。火、水、自然、闇、光。それぞれ戦略がまるで違うため、その文明に合わせてデッキを組む必要があるぞ! 始める前に、各プレイヤーは四十枚のデッキ、もとい山札をシャッフルする。そしてそこから五枚をシールドに、五枚を手札に加える。これで開始準備は整うこととなる! 次に、じゃんけんなどで先攻後攻を決めるぞ! 今回はシンラが先攻だ。】

 

 

シンラ ターン1

 

「私のターン。マナチャージ」

 

【またまた説明!デュエマにはいくつかの「ゾーン」がある。シンラから見てシールドより上にあるのがバトルゾーン、下にあるのがマナゾーン、そして山札の真横にあるのが墓地、その横にあるのが超次元ゾーンというものだ。今回は、というかこのジョー編は超次元ゾーンをまったく使わないので、ここは気にしなくていいぞ!】

 

「超次元ゾーンの解説……今のいる?」

 

【いるいる!!んで、今シンラがやったのはマナチャージというもので、マナゾーンにカードを置く行為だ。マナゾーンに置かれたカードは横にする、デュエマの言い方では「タップする」と言うんだが、それをすることで使うことができるようになる。カードをタップすれば、クリーチャーをバトルゾーンに召喚したり、呪文を使ったりして戦略の幅を広げられるぞ!しかし、一度タップしたマナゾーンのカードは、大体の場合二回使うことはできないから、そこは注意が必要だ。】

 

「それともう一つ補足」

【え? なんかあったっけ】

「あるわよ。マナゾーンの色。今私が置いたカードは、自然文明と言われるカードなの。これをタップして使えるのは、自然文明のカードのみ。他の文明では使えない。文明は合わせなきゃいけないのよ」

【あ、あぁそうでしたねぇ!いやぁ、忘れていました……】

「ナレーター……あんたねぇ。まぁいいわ。これで私はターンエンドよ」

 

 

シャチョー ターン1

 

「僕のターン。ドロー、マナチャージ」

【後攻の人はドローしてから行動を行うよ。】

「ターンエンド」

 

 さて、ターンが終わったみたいね。じゃあ動こうっと。

 

 

シンラ ターン2

 

「ドロー。マナチャージ。そして2マナをタップ!ルグンドドを召喚よ」

 

 召喚した。……で、出てくるってわけね。どんぐりの騎士。こうして見ると大きいわねこいつ。パワーはないのに。

 

「……さて、召喚したのはいいけど、まぁ攻撃はできないからね。ターンエンドよ」

【クリーチャーは出したターン、攻撃はできない。これを召喚酔いと言う。けどクリーチャーの持つ能力によっては、出たターンに攻撃できる場合もあるよ。】

「まだ動かないね、デッキー」

「序盤ですからね。しかし、彼女は必ず、私の思う「ヤバそうなカード」を使うはずです!」

 

 

シャチョー ターン2

 

「ドロー。チェッ何もできねぇや。マナチャージしてターンエンド」

 

 

シンラ ターン3

 

「ドロー。そしてマナチャージ。呪文、フェアリー・ライフ。効果で一マナ加速。そして一マナでもう一体のルグンドドを召喚。そして行くわよ、さっき召喚した方のルグンドドで、シールドを攻撃よ!」

 

 げっ!?シールドが一枚割れちゃった……シールド・チェック……っと、おぉ!!

 こいつはラッキーだぜ!

 

「シールド・トリガー発動!」

【シールド・トリガーとは、シールドを割られたときに、タダで使える強力な能力だ!】

「呪文、スパイラル・ゲート。ルグンドドを手札に!」

「……面倒なことしてくれるわね」

「にっししぃ〜」

「ターンエンドよ」

 

【それからは、シンラはマナ加速と小型クリーチャーでの攻撃を繰り返すも、シャチョーのブロッカーやシールド・トリガーがそれを防ぐ展開。更に、シャチョーは隙を見てクリーチャーでの攻撃を行い、シンラのシールドを残り三枚まで追い詰める。果たして、勝負の行方は……!?】

 

 

 

シャチョー シールド2

 

シンラ シールド3

 

 

 

シャチョー ターン6

 

「さーてと…………マナも溜まってきたなぁ。てことでぇ、そろそろ本格的に動いてやるよ!!」

「っ。」

 

 バトルゾーンにはザエッサがいる。対するシンラちゃんのバトルゾーンにはルグンドドにマファリッヒ・タンク、くまくまわりがいる。T・ブレイカーを一気に出されたから、次に攻撃されたら負けちまう。てことで引くべきなのはぁ〜〜〜〜もちろん僕ちゃんの切り札だぁーーーー!!!

 

 ドローッ!!! 

 

 よぉし来たぞぉ、庶民には到底手に入れられない、プレミアムな輝きを持つカードが!!!

 

「まずは、ピットデルを召喚だ!!」

「え? シャチョー、マナゾーンのカードタップしてねぇじゃん。ルール違反だルール違反ーー!!」

「何言っているプリ、ジョー」

「シャチョーが出したピットデルは、コストを支払う代わりに、水のカードを2枚自分の手札から捨てれば、タダで出せちまうんだよ!」

「えぇ嘘ぉ!?じゃあブロッカーが、タダで出てくるってことぉ!?」

 

 その程度で驚くものかしら? 普通だと思うけど。……で、あと六マナある。多分何かしらやってくるわよねー……

 

「行くよ!これが僕ちゃんの切り札だ!深海の覇王シャークウガを召喚!!!」

 

 ……深海の覇王、ねぇ。確かに見た目は派手だし勢いもある。けど、なんだか小物感がすっごいのよね。自分がすごいって誇張してるからそう見えるんでしょうけど。もうちょっとかっこよかったほうが嬉しかったなぁ。

 

「出ちゃいましたね、シャチョーの切り札。ジョー様も一時的にですが追い詰められた、あのカード……!」

「てことは、シンラちゃんのクリーチャーが……!」

「このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、カードを二枚引く。そして……手札を三枚捨てる!!」

「捨てる……ってことは、それに見合った能力がありそうね」

「そういうこと。君のクリーチャーをすべて手札に戻してもらうよ!さぁ、庶民は退場だぁ!」

 

 ……全員戻された。T・ブレイカーで一気に押し込もうと思ってたのに、これじゃあ無理ね。

 

「これでお前はおしまいだ。ザエッサでシールドをブレイク!!」

「これでシールドでも互角、けどシャチョーはバトルゾーンを占領しているプリ!」

「ブロッカーもいるから守りも完璧!こいつは勝利、決定事項だぜぇ!!」

「そういうことさっ。にっひひ……ターンエンド」

 

 シンラちゃん、一気にピンチになっちゃった……シャチョーのクリーチャーは三体、次のターンでトドメまでいかれちゃう……ってあれ? 

 表情が何ひとつ変わってない……負けちゃうかもとか、そういう不安ないのかな?     

 そういえば……シンラちゃん「自分が負けるわけない」みたいなこと言ってたっけ……よっぽど自信あるのかな。とはいえこの状況、正直やばいと思うんだけど……

 

「ねぇ、あんた」

「んん?」

「いや、あんたらって言ったほうがいいかしら。……勝ちを確信するには、まだ早いんじゃないの? 私にはシールドがまだ2枚もある。それにクリーチャーがいるって言ったって、ダブルブレイクしたあとの打点なんて、小型のクリーチャーしかいないじゃない。そいつらが何らかの方法でいなくなっちゃったら、どうするつもりなの?」

「何ぃ?そうだとしても僕ちゃんにはブロッカーがいる。必ず一回は守れるんだ! だけどお前には、クリーチャーさえいないじゃないか!威張ってるんじゃないぞぉ!!」

 

 だからそいつも除去される可能性があるって言ってるのよ。まぁいいわ。……あと一つ言っておくけど、威張ってるんじゃないの。警告してるだけなのよ。

 

「………このターンで全部……ひっくり返すわよ。」

 

 !?あ、あのオーラ!間違いないです……私が感じ取ったものと……同じ!!!!

 く、来る……!おそらく、彼女の切り札が! 

 

 

シンラ ターン7

 

 私は、私のやるべきことを果たすだけ。目の前にいる敵を倒す。力をつける。お父さんを助けられるのは、この私だけ……だったら、私がやらなくて誰がやるの!!  

 そして掴み取るのよ、強さの先にあるものを……!! 

 ドローーーッ!!

 私はまだまだ成長できる。……「あなた」と一緒よ。

 

「あ、あの子!引きましたよジョー様……あのヤバそうなカードを……!」

「めっちゃ緑色に光ってるけど……何なのあのカード!?」

 

 へっ?何だあれは……この僕ちゃんにもあのカードはとんでもないってことはわかるぞぉ!?

 

「行くわよ。十マナタップ。そしてこいつの登場よ!!!進化の始まりシンラセンショー!!!!」

 

『!!?』

 

 やはり……この私の予想は当たっていた……あのカードは見掛け倒しなんかじゃない。文字通りヤバいカードだった……!  

 

 お、おいおいなんなんだぁアレ……? 

 僕ちゃん見たことないぞ、あんなクリーチャー……いや、クリーチャーなのか? 人のカタチはしてるけど、あの翼はまるで……まるで――

 

 神様じゃないか……!!!

 

「これが私の切り札、シンラセンショー」

 

 本当、こいつ女神様みたいよね。それに、身長は大人よりちょっと高いぐらいしかないのに、この威圧感。ほんと、とんでもないものプレゼントされたわよねぇ、私。

 さて、感傷に浸っている暇はなし。今やるべきことはひとつ!!!

 

「シンラセンショー、行くわよ!!」

〈あぁ、わかってるぜシンラ〉

 

『目の前の敵をぶっ倒す!!!』

 

 あのクリーチャー、ジョニーのように喋れるのですか!?

 それにあんなクリーチャー、私は一回も見たことがない………一体、何者なんですか彼は!?

 

「シンラセンショーの第一の能力発動!その名も「G(ゴッド)YOU(ユー)」!」

「なっ、何だその能力ゥ、聞いたことないぞ!」

「こいつはもともとのコストは7なんだけど、代わりにこのクリーチャーのコストを最大3多くして召喚してもいい」

「つまり、さっき召喚したのはその能力を使って……ってことプリか!?」

「そういうこと」

「で、でもよぉ! そんなことしたってデメリットしかねぇじゃねぇか!」

 

 いや、違うぞぉ……僕ちゃんのシャークウガと同じだ。デメリットに見合うような効果を持っているはず……!  

 !?な、何だぁ!? 僕ちゃんのクリーチャーが、みんなマナゾーンに!!!

 

「そしてこれが「G(ゴッド)YOU(ユー)」第一の能力が発動することによって、そのとき初めて発動する第二の能力!召喚した際に多くしたコストの数だけ、相手のクリーチャーを1体選んでマナゾーンに置けるの。今回は1体ね。てことで、水は大人しく、養分にでもなっていなさい」

「そ、そんなぁ〜〜!!け、けどまだまだチャンスはある!僕ちゃんの引き次第では逆転も……」

「第三の能力発動!!」

 うげぇ〜〜!? まだあるのぉーーー!!?

 

「このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、相手のクリーチャーが1体もいなければ……このクリーチャーは出たターン、相手プレイヤーを攻撃できる!!」

「なぁにぃ〜〜〜!!!!?」

「シンラセンショーで、ダブルブレイクよ!」

 

〈行くぜ、とっとと……くたばっちまいなぁ!!!〉

 

 シールド・トリガーが……ないぃ! ままま、まずいぞ。このままだと負ける! 

 何としてもそれだけは阻止しなくては……

 

 

シャチョー ターン7

 

「守りを固めればいける……ピットデルとイルカイルを召喚。ターンエンド!」

 

 

シンラ ターン8

 

「じゃあ私のターンね。てことで、シンラセンショー最後の能力を発動」

 

 ま、まだあったんですかぁ……?

 

「相手のクリーチャーが2体以上いるとき、このクリーチャーはパワー8000以下のクリーチャーにブロックされない」

「そ、そんなぁ〜〜!」

「さぁ、とどめよ。シンラセンショーで、ダイレクトアタック!!!」

 

〈相手にしたこと後悔しなくらえええーーーィ!!〉

 

「ぎゃぁ〜〜!ママーーー!!!」

 

 完全決着。私の勝ちね。

 ……さて、と。あのキザなお友達たちのことはいいとして、ジョーとデッキケース、とんでもない目で私を見てるわね……あ、別にマイナスの意味じゃなくって、有名な俳優にでも会ったみたいに目を輝かせてるってこと。マイナスな目で見られちゃったら、この私も悲しくなっちゃうもの。

 

「あんたらどうしたのよ」

「シンラちゃん……すっげぇ強ぇじゃん!!俺びっくりしたよ!それにあのすごい輝いてたカード、あれ何!見たことなかったし、めっちゃかっこよかったし!」

「あの不思議なオーラの原因は、あれだったんですねぇ……よかったです。私の予想は当たっていましたが、悪のクリーチャーであるかもしれないという予想のほうは外れていました。いやぁよかった、よかった!」

「あの……私を置いてけぼりにして話を進めてもらっても困るんだけど……」

「あ、ごめん。えへへ……」

「…………このカード、そんなに気になるの?」

 

 私はシンラセンショーをデッキから取り出して見せると、より一層彼らの目が輝いた。すごいわね。これで太陽光発電でもできるんじゃないかってくらいには。

 

「じゃあいいわよ。見せてあげる。はい」

「ありがと!……すっげぇカッケーー……ん?」

「こ、これは……!」

「?あんたらどうしたのよ」

「ねぇ、シンラちゃん。このカードに疑問を持ったこと、ない?」

 

 ?急に脈絡のない質問をされたわね。……別に疑問なんて持ったことないけど、なんで?

 そう思っていたら、ジョーが急に自分のデッキを取り出して、カードを一枚見せてきた。私はそれを手にとって見る。……「ジョリー・ザ・ジョニー」。

 ………うん。で、これがどうしたのよ?そう訊くと、今度は「ジョニーとこれ、見比べてみてよ」と言われたので、見比べてみる。

 ……なるほど、そういうことね。わかったわ。

 

「シンラセンショーには、進化の始まりって言うくらいだから、まだまだ強くなれるみたいね。「閉じている扉が、それを物語っているわ」。これだけ?って言いたいところだけど……結構重要よね、これ。……私の頑張り次第で、あんたはまだまだ強くなれるってことなの?」

〈ま、そういうこった。頑張ってくれよ。俺も俺なりに頑張るからさ〉

「……ええ。絶対に強くなって見せる。……お父さんを救うためにも、絶対に!!!」

 

 …………あのカードに刻まれていた扉のマーク……あれはやっぱり……。

 

「あ、ジョー、これありがとね。……あ、そうだ。そういえばジョー、私とデュエマする? 席、さっきあいつに取られちゃってたから」

「…………」

「ジョー?」

「え!?……あ、あぁうん!やろうぜデュエマ!俺もシンラちゃんとデュエマしたいって思ってたし!」

「だったら早くやりましょ」

 

 シンラちゃんが台へと歩いていって少し距離が離れたとき、俺とデッキーは小さな声で話した。

 

「あのカード……ジョニーみたいに、マスターの証があるカードじゃなかった。……けど、マスターを意味するマークだけは、しっかりと刻まれてた。…………ってことはデッキー、シンラちゃんって……!」

「ええ。ジョー様の思っているとおりです。彼女は……」

 

 正真正銘間違いなく、デュエルマスター候補の人間です!!!!




オリジナルカード解説

進化の始まり シンラセンショー
コスト7 パワー10500 文明:自然 種族:グランセクト/ゴッド

・W・ブレイカー
G(ゴッド)YOU(ユー)(このクリーチャーを、コストを最大3多くして召喚しても良い。そうした場合、相手のクリーチャーを多くしたコストの数まで選び、持ち主のマナゾーンに置く。)
・このクリーチャーがバトルゾーンに出たとき、バトルゾーンに相手のクリーチャーが1体もいなければ、このクリーチャー出たターン、相手プレイヤーを攻撃できる。
・相手のクリーチャーが2体以上いるとき、このクリーチャーはパワー8000以下のクリーチャーにブロックされない。
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