寄成ギョウに転生したから、キャラの良さガン無視して善人になるニョロ〜!   作:ライダー☆

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新・十五話 ゲージゲジゲジ!!登ジョー、マジでバッドなヤツ、ゲジスキー!!!

「……高熱?ももちゃんが、だと?」

 

 聞き慣れた名を耳にした瞬間、胸がざわめいた。話を切り出したのはこの俺ちゃん、ボルツだ。どこか思いつめた様子のジョーの顔を見て、つい気になって声をかけたんだ。嫌な予感はしていたが、それを超えてきやがった。

 

「うん……もう、一週間も。熱が下がらなくて……。」

 

 ジョーの声は震えていた。ももちゃんが倒れた場所は、シンラの家らしい。最初はただの風邪かと思われた。けど、時間が経つほどに症状は悪化し、いくつもの病院を回っても、原因はまるで不明。医者たちは首をかしげるだけで、誰も病名すら告げてくれなかったらしい。

 それはつまり――“医学では説明できない熱”ってことだ。

 ももちゃんは今この瞬間も、苦しんでる。原因もわからず、治療もできず、ただ、苦しみに晒され続けてる。そんなのって……あまりにも、あまりにも理不尽すぎる。

 だがな、俺ちゃんにはひとつ、心に引っかかるものがある。普通じゃ考えられない熱。病名もつかない症状。ならば、こう考えるべきじゃねぇか……?

 

「……その熱、地球由来のもんじゃねぇかもしれねぇ。」

「え……?どういうこと、それ……?」

「つまりだ。デュエルウォーリアってやつらがいるだろ。あいつらの中に……ももちゃんに何か仕掛けた奴がいるんじゃねぇかって話さ。」

「……っ!」

「もちろん、ただの仮説だ。だがな、現実に医者が原因を掴めてないんだぜ?だったら、俺ちゃんたちにとっての“現実外”――つまり“あいつらの領域”で起こってる可能性を疑うのが、当然だろ?」

 

 デュエルウォーリア。それは俺ちゃんたちと同じデュエリストの中でも、とびきり強力でBADな存在。世界の裏側に潜む“クリーチャーワールド”の存在たち。俺ちゃんもまだ、何人かとしか会ったことはない。けど――決して善人ばかりじゃねぇってことくらいは、すぐにわかった。

 

「……もしかして、狙われたのかも。俺達を、精神的に追い詰めるために。」

「その線もあるだろうな。俺ちゃんたちがデュエルマスターの存在だってことに、勘の鋭い奴ならもう気づいてるかもしれねぇ。なら、その身近な人間――“守りたい相手”を狙うってのは、最も効率的な揺さぶりだ。」

 

 ジョーが拳を握りしめる。目に、怒りと決意が灯っていた。

 

「だったら……探そう、ボルツ!この熱の元凶を作ったデュエルウォーリアを、絶対に見つけ出す!!」

「見つけて、どうするつもりだ?」

「原因を突き止めて、ももちゃんを救うんだよ! あいつが原因なら、逆に治すこともできるはずなんだ!」

 

 俺ちゃんは少しだけ笑った。甘い。けど、正しい。優しい。だがそれだけじゃ――足りねぇ。

 

「違ぇな。」

「……え?」

「俺ちゃんたちが見つけるのは、“治す方法”じゃねぇ。」

 

 拳をぎゅっと握る。あの灼熱のような怒りが、腹の奥で静かに燃えてる。

 

「探し出して……マジにぶっ潰す。ももちゃんを苦しめたその手を、存在ごと、叩き折る。それが一番手っ取り早ぇ。」

 

 誰よりも優しい少女に、誰よりも残酷な手段で害を与えたなら――

 ならその報いは、俺ちゃん自身の手で、報いを受けさせてやる。

 

 

ーーー

 

 ジョーとは別れを告げた。ももちゃんを救う手がかりを求め、俺ちゃんとダチッコの探索が始まった。

 デュエルウォーリアの見分け方には、ある種の“勘”が必要だ。人間の皮を被ってはいるが、そいつらからは微かに、異質な“気配”が滲み出ている。焦げた空気のような、濁ったオーラのような……普通の人間には気づけない、だが確かに存在するもの。それを感じ取れれば、居場所の見当もある程度はつく。

 

 ……とはいえ、現実は甘くなかった。

 

 二時間。人混みも住宅街も、廃ビルの路地裏まで探して回ったが、成果はゼロ。そもそも“感じる”ような存在自体が、まるでこの街にいないかのようだった。

 

「くっそ、いねぇ……」  

 

 吐き捨てるように呟く。焦りが胸を刺す。時間は刻一刻と過ぎていく。このままだとももちゃんの状態が悪化し続ける。マジに、最悪なケースも視野に入れなくちゃいけなくなっちまう!!

 

「ボッさん、どうしますか?」  

 

 隣でダチッコが尋ねてくる。いつもの陽気な声色にも、不安の翳りが見える。

 

「……こうなりゃ、定石外すしかねぇな。街にはいねぇ。だったら、隠れてるとしたら――森だ。」

 

 デュエルウォーリアが人の目を避けて潜伏するなら、最も安易で最も古典的な場所に隠れるはず。ベタな発想だが、状況が状況だ。可能性がある限り、全部潰していく。

 俺たちは足を踏み入れた。昼間だというのに、木々のせいで視界は薄暗く、風も通らず、空気が淀んでいる。まるで森そのものが、何かを孕んでいるかのよう…。

 

「……ボッさん、この森、なんか……変ッス。」

「わかってる。マジに息が詰まる感じがするぜ。」

 

 異変は、すぐにあった。

 数分も歩かないうちに、空気の“質”が変わったのだ。鼓膜の奥がジリ……と軋み、耳鳴りが始まる。呼吸が浅くなり、肌が粟立つ。

 

 ――いる。間違いねぇ。

 

 これは、ただの自然の気配じゃない。これは――“敵”の気配だ。

 

「ダチッコ、警戒しろ。ここに、いる。マジに……ここにいる。」

「了解ッス、ボッさん!!感じるッス!背中の毛が、ぞわぞわ立ってるッスよ!!!」

 

 心臓が跳ねる。全身にアドレナリンが走る。

 この森のどこかに、ももちゃんを苦しめる“原因”がいる。そして俺達は、今まさにその足元に踏み込んでいる。マジに、BADな状況になってきやがった!!!

 次に耳にする音が、ただの風音か、それとも――敵の殺気か。

 

「…………………」

 

 足を止め、俺は深く息を吸った。雑音を捨て、世界の全てを感じ取るように意識を研ぎ澄ます。空気の揺れ、地の脈動、草の擦れる音……そのすべてが情報になる。

 

 ――っ!!!

 

 脳が警鐘を鳴らす。気配だ。たった今、背後に生まれた“異質”な気配――!

 反射より速く、俺ちゃんは後ろへ思いきり腕を振りぬいた。たった一秒前まで何もなかったはずの空間に、何かがいる。

 甘く見たな。俺ちゃんの感覚をな。

 “空気”が違った。微細な歪みが生じていた。それが見抜けるかどうかが、命を分けるんだ。

 

「デュエルウォーリア……見つけたぜ!!」

「ゲジィッ!?」

 

 ザッ、と何かが飛び退く音。その姿を見て、思わず眉をひそめた。

 

 ――ムカデ。いや、厳密には“ムカデのようなもの”だ。身の丈は人と同じだが、節のある身体、無数の細い足、いや、手…?…それに、にじみ出るような殺気と腐臭のような邪悪さ……なにより、こいつは完全に“敵”の顔をしてやがる。

 

「チッ……不意打ちは失敗ゲジか。抜け目のない奴ゲジねぇ〜〜。」

 

 そいつは嫌味な笑みを浮かべ、地を這うような声で名乗る。

 

「名乗れ。ムカデ野郎。」

「……ゲジスキー。俺の名前ゲジ。」

 

 その瞬間、隣のダチッコがピクリと体を震わせた。

 

「……ダチッコ?」

「っ……いや、なんでもないッス。でも……でもよ……アイツの顔、見てるだけで、胸ん中がぐちゃぐちゃに苛立ってくるッス……!!」

 

 ダチッコの怒りに、冗談はなかった。いつも陽気な彼がここまで感情を乱されるなんて、初めてだった。

 つまりこいつ、ただの敵じゃねぇ。

 

「……なぁ、お前。」

「あァ?なんゲジ?」

「まずは訊かせろ。なぜ俺に、背後から不意打ちを仕掛けた?」

「簡単ゲジ。お前が“デュエルマスター候補”だからゲジ。俺は、そういう奴らを抹殺するためにこの世界に送り込まれたんゲジよ。」

「……ほぉ。よほど自分の腕に自信があるらしいな。」

「当たり前ゲジ。お前のような青二才が俺に勝てる未来なんて、一ミリも見えないゲジよ。そもそもゲジなぁ〜、お前みたいな“ただのガキ”が候補に選ばれてるなんて、滑稽ゲジねぇ〜。」

 

 イラつく……が、それ以上に、訊かなきゃならないことがある。

 

「まだある。俺の友達……その女の子がな、意味もなく高熱を出して倒れたんだ。どんどん悪化して、原因もわかんねぇ。」

「へぇ〜そりゃ〜かわいそうゲジなぁ〜〜〜。」

 

 ――その口元が、ぬらりと歪んだ。

 あの不快な笑みを見た瞬間、すべての疑問が霧のように晴れた。

 そうか。そういうことか。

 

「…………テメェがやったんだな。」

 

 答えはいらなかった。

 わざとらしく伏せていた“確信”が、そいつの笑みひとつで、形を持った。

 脳裏に、ももちゃんの汗だくの額と、焦点の合わない瞳が想像できる。

 力なく揺れる指先。うわごとのように親の名前を呼ぶ声――

 全部、コイツが壊したんだ。

 

「はッ……クク、あ〜〜〜〜あ、ダメだな〜お前……」

 

 ゲジスキーが肩を揺らして笑う。

 その声の奥に、冷たくて粘ついた悪意がにじんでいた。

 

「顔に出すぎゲジよ。“こいつ、やりやがった”ってなァ~~~、その顔。たまらんゲジなぁ〜〜。……ま、いちいち説明するまでもなかったゲジか。」

「…………もう、言わなくていい。」

 

 拳が自然と握り締められていた。

 爪が掌に食い込むほど強く。息が熱い。頭が真っ白だ。

 

「俺はもう……全部、理解した。てめぇがどういう生き物かもな。」

 

 静かに告げたその声は、自分のものじゃないみたいだった。

 重く、冷たく、そして鋭かった。

 

「で?どうするゲジ?命乞いでもするゲジか?それとも――“やめてください、ボクの友達を返してぇ〜”って、土下座でもするかぁ?」

 

 そいつの舌が、口の端からぺろりと覗いた。

 終わりだ。こいつは、もうここで終わらせる。

 

「……ふざけんなよ。」

 

 空気が揺れた。

 

「てめぇなんざ、この世界に生きてちゃいけねぇ。人の命を、心を、笑いながら踏みにじるてめぇを――俺が、ぶっ潰すッッッッ!!!」

 

 足元の大地が炸裂し、俺の周囲に轟音が広がる。

 真のデュエルフィールドへの、転送だ。初めてじゃねぇ。

 …それに、こんな奴に対しては恐怖も罪悪感も、感じやしねぇ。マジでぶっ潰してやる!!

 

「ゲェ〜ジゲジゲジ!まさかそっちから首を差し出しに来てくれるとは…有り難いゲジ。」

「言ってろ。その口黙らせてやる…!!!」

『真のデュエル、スタート!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲジスキー キーカード:阿修羅サソリムカデ

 

ボルツ キーカード:“血煙”マキシマム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ついに始まった、ボルツとゲジスキーの真のデュエマ!!怒りに震えるボルツは、B・A・Dを使い、超速攻でゲジスキーへと攻撃を仕掛ける。しかし!!】

 

「地獄門デス・ゲート。これでチュチュリスを破壊して、リンパを復活ゲジ。」

 

【シールド・トリガーを踏んでしまい、不利な展開に!ここからこのデュエマ、一体どうなるのか…!?】

 

 

 

ゲジスキー 手札2 マナ4 シールド3 バトルゾーン バギン リンパ

 

ボルツ 手札2 マナ3 シールド5 バトルゾーン チュチュリス 

 

 

 

 

ゲジスキー ターン4

 

「ゲジゲジゲジ……それじゃあ、ちょっと動いてやるとするゲジ。」

「っ。」

 

 今すぐにあのガキの顔を恐怖に染め上げてやるゲジ……

 

「凶器04号ビビムを召喚!そして、バギン16号でシールドをブレイクゲジ!!」

「チッ……」

「ターンエンドゲジ。」

 

 ぁん?動くって言った割には大した動きしてこなかったじゃねぇか。大口叩くのもいい加減にしやがれよ。

 

 ……へっ、あのガキ、俺の予想通り、アツくなりすぎているらしいゲジなぁ。これだったら、すぐに片付きそうだゲジ…。

 

 

ボルツ ターン4

 

「ボッさぁん!一気に攻めるっすよ!!」

「おうよ!!ARE YOU READY!?」

 ん?あのネズミ、どこかで見たような気がするゲジ………あっ!そうだアイツは……なるほどなるほどぉ〜、アイツラと同じようなやつがまだいたんゲジねぇ。こいつは面白い。けどまぁ一旦、ここは秘密にしておくゲジ。いつかバラしたときのアイツの顔を想像すると楽しみゲジ〜〜!!!!

 

「フッ、フフフ……」

「何笑ってやがる。今すぐに、その顔をぐっしゃぐしゃにしてやる!!!!」

 

 マジで……バァァァッドだぜ!!!!!

 行くぜ、ミュージック……クゥァライマァックスだぜぇ!!!

 ドッ、ドッ、ドッ!!ドッ、ドッ、ドッ、ドドド、ドローーーッ!!!!

 来たぜ、俺ちゃんの切り札!!!

 

「ったく、うるさいゲジねぇ…」

「まずはマナチャージ!そして、B・A・Dの効果により、“陽々(ヨーヨー)”スピンを2マナで召喚!そして効果で…お前のリンパを破壊だ!!」

「チッ…。」

「そして!!今こそこいつの力、使うときだぜ!!」

 

 リミット解除ぉ!!!!

 B・A・Dを超えた力……

 マスターB・A・D、発動だーーー!!

 

「よって、“罰怒”ブランドを……2マナで召喚だ!」

「ゲジッ!?!」

「後悔しても知らねぇぞムカデ野郎!!行けぇ“罰怒”ブランド!シールドをダブルブレイク!!」

 

 これでアイツのシールドは残り1枚…このターンでトドメまで行ける!!

 

「……お前今、勝ちを急いだゲジね?」

「なにっ?」

「そういうのは、アホのすることゲジ!!もうちょっと待ってりゃ良かったのに!!」

 

 ムカつくぜ、俺のデッキは待ってたって何も起きやしねぇんだ。それとも、お前は待っていたって急いだって、どっちにせよ何もできねぇ弱い奴って言いてぇのか?どこまでも嫌にイラつく野郎だ…。

 

「今、身を持って教えてやるゲジ……!!ニヒッ、まずは1枚目、デッドリー・ラブ!効果でビビムを破壊して、お前のスピンを破壊ゲジ。」

「ハッ!その程度か!?」

「だぁから、そう焦るなゲジ。ビビムの効果を発動!バトルゾーンまたは墓地を離れたとき、そのターン中、相手のクリーチャー1体のパワーをマイナス3000できるゲジ!!よってぇ!チュチュリスを破壊ゲジ!!」

 

 なんだとっ!?クソッ、さっきあんなに動かなかったのは、アイツの効果を最大限活用するためだったのか…!

 

「さらにもう1枚、プライマル・スクリーム!4枚墓地においたあと……ビビムを回収ゲジ。そしてお前の切り札のパワーを下げるゲジぃ……!」

「チッ。ターンエンド。……すまねぇ“罰怒”ブランド。」

〈問題ねぇ。ボルツ、今は目の前の敵に集中しろ!!〉

 

 ……効果で“罰怒”ブランドを破壊。クリーチャーがいなくなっちまった。

 

「これでお前のクリーチャーは、0!大ピンチゲジねぇ〜?んん?」

「言ってろ。……今のうちにな。」

 

 どこまでも好かんやつゲジ。こういうやつはあの女のガキのように……苦しませてやることが一番ゲジ!!

 

 

ゲジスキー ターン5

 

「俺のターン。」

 

 この手で悪夢を、掴んでやるゲジーーー!!

 シュシュシュ!!シュシュシュシュシュシュシュ……!!!!

 阿、修、羅!ドロー!!!!

 きたきた、来たゲジよぉ!

 

「まずはガシャゴズラを召喚。そして効果により、墓地からギュリン2体とバギンをバトルゾーンに。更に!ギュリンの効果で山札から3枚を墓地送り。それを2回ゲジ。ゲージゲジゲジ!これで墓地が大量に増えたゲジィ!」

「何シてきやがるつもりだ…!?」

「そして、今バトルゾーンに出した4体をタップ!それにより、呪文、七王の円卓(ガウェロット・ラウンド)をタダで唱えられるゲジ!」

「コスト7の呪文を、タダでッスかぁ!!?」

「これにより、墓地からよみがえれ!阿修羅サソリムカデ!!!!」

 

 んなっ、何だあのでっけぇクリーチャーは…!?

 

「こいつの能力発動!山札上2枚を墓地に、そしてマフィ・ギャングを2体、墓地からタダでバトルゾーンに出すことができるゲジ。出すのは……もう2体の、阿修羅サソリムカデゲジ。」

「一気に3体出てきたッス〜〜!!?」

「これにより、能力を2回発動できるゲジ〜♪まずは一回。……ここは、阿修羅サソリムカデ2体を、グスタフにNEO進化して出すゲジ!そしてもう一回!ここで出すのは阿修羅ムカデ2体ゲジィ〜〜!!!」

 

 嘘だろ……このターン中に、ここまで大量のクリーチャーを出してきやがっただと!!?

 

「ゲ〜〜ッヒャッヒャッヒャ!!これでお前は、もうおしまいゲジ〜〜!!行けぇグスタフ!シールドをダブルブレイクゲジ!!そしてこのときに、グスタフのキズナプラス発動ゲジー!墓地からカベドン2体をバトルゾーンへ!!」

 

 ドンドンとクリーチャーが増えていきやがる……マジにヤベェ!!

 

「まだまだ阿修羅の地獄は終わらないゲジぃ!もう一体のグスタフで、シールドを攻撃!!そしてこのときにも能力を発動!!墓地から……グスタフをサソリムカデの上に、NEO進化ゲジ〜〜!!」

「ま、まずいッスボッさん!これは……!!」

「あぁわかってる!このままだと、余裕でダイレクトアタックまで持ってかれちまう……!!!」

「まだ終わってないゲジよぉ?なんせもう一体復活するクリーチャーがいるんゲジから……「阿修羅サソリムカデ」って言うクリーチャーがなぁ!!!!!」

 

 嘘だろ……クリーチャーが……何体だ?数えるのさえ面倒になるくらいにはいやがる!!

 

「阿修羅サソリムカデの効果で、カベドンと阿修羅ムカデをバトルゾーンに。お前はもうおしまいゲジ。」

「ぐぅっ……!!」

 

 最期の2枚が割られた……ここでトリガーを引かねぇと、俺ちゃんは、本当に………!!

 

「全く、マスターってのも、結局はこの程度ってことゲジねぇ。」

 

 っ、あの野郎…!!

 

「おぉっとぉ!そんな怖い目を向けないでほしいゲジ。だぁって、お前が弱いのが悪いんゲジよ?俺は悪くないゲジ〜。」

「…………!!!!」

「ギャーハハハッ!!あ・き・ら・め・ろ!!お前はもうどうしようもないゲジ〜〜!!!」

 

 自然と、手が震えた。カードを握る指に、力が込められていく。

 残るシールドは、あと2枚。

 このチェックで、すべてが終わる。

 勝つか、負けるか。救うか、救えないか。

 あの、汚れた笑みを浮かべているゲジスキーを――思いっきり叩き潰してやりたい。

 正々堂々なんてどうでもいい。ただの暴力でも、卑劣な手でもいい。

 あの狂った言葉と残虐な行為を、“正義”で粉砕してやりたい。

 でも――

 

(……ない、俺ちゃんのデッキに、この状況を打開できるカードは……)

 

 ――いや、違う。

 

「あ、そういえばあのガキ……ももちゃんとか、言ったなぁ。」

「っ!!」

 

 ビクッと肩が跳ねる。

 ゲジスキーが、ニヤリと唇を歪めた。

 

「あともう少し、ゲジかねぇ?毒が全身に回って、もうどうしようもなくなるのは……!!」

「………………」

「あのガキの苦しそうな表情と言ったらそれはそれはたまらなかったゲジ!!……そうだ、お前も同じ目に合わせてやろうゲジかぁ?そうしたら、仲良くあの世でお話ができるゲジよぉ〜〜〜アーッハッハッハ!アーッハッ!ハハハハハハ……!!」

 

 黙れ……黙れ……!!!!

 

「黙りやがれぇ!!!!!!!」

「……チッ。」

「さっきから聞いてりゃ好き勝手言ってくれんじゃねぇか!!!まだ勝ったって決まったわけでもねぇのによぉ!?えぇ!?」

「あぁ〜ん?だったらこの俺のバトルゾーンをどうにかしてみろゲジ。まっ!お前のような雑魚には、どうしようもないだろうけどなぁ〜!!!」

 

 ある。

 ひとつだけ……たったひとつだけ、道がある。

 

(この状況をひっくり返せるカード……たった一枚、存在する……!)

 

 その瞬間、心臓が高鳴る。

 手元のカードが、灼けるように熱く感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー

 

 ジョーと別れ、単独で行動を始めようとしたときだ。

 1枚、ジョーからカードを貰った。

 

「これ……俺ちゃんに?」

「うん!」

 

 ジョーは、いつもの笑顔で頷いた。

 

「それ、父ちゃんが残してったカードなんだけどさ……俺のジョーカーズじゃ、うまく使えなくて……けど、ボルツならきっと――使いこなせるって思ったんだ。おんなじ火文明だし!」

 

 俺ちゃんは黙ってカードを見つめた。

 火に焼かれても消えないような、深紅のフレーム。

 熱を帯びたその一枚が、なぜか今は、とても重く感じた。

 

「……本当に、いいのか?」

「うん!」

 

 ジョーは力強く頷いた。

 俺ちゃんは小さく笑い、カードをそっと胸ポケットにしまう。

 それは、ただのカードじゃない。――託されたものだ。

 ジョーの父親の想い、ジョーの希望、そして火文明の魂。すべてがその一枚に込められていると思った。

 

「……ありがとな、ジョー。マジに、ありがたく使わせてもらうぜ。」

 

 このカードは、きっとどこかで“必要な時”に、燃え上がる。

 

ーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――今が、その時だ!!!!!

 

「シールドチェック!!!!!」

 

 来たぜ………ジョー、お前からもらったこのカード、マジでBADに使わせてもらうぜ!!

 

「この状況を、今から俺ちゃんが!!全部ぶっ壊してやらァーーーーー!!!!!」

 

 なっ!?あ、あのカードは一体何だゲジ!?

 

「シールド・トリガー………」

 

 

 超爆デュエル・ファイアー!

 

 

「こいつの効果で、ブロッカーを持つクリーチャーを全て破壊!!!」

「なっ……!?だ、だが阿修羅ムカデはタップしてバトルゾーンに戻すことができる!!ハァ、ハァ……。お前!!」

「一つ教えてやる。まだ、まだ!終わりじゃねぇんだぜっ!!爆殺(ばくさつ)!!覇悪怒楽苦(ハードラック)ゥッ!効果でアンタップ状態のグスタフを破壊。更にシールドが1枚もないことにより、スーパー・S・トリガーとしての本領を発揮できる!山札上から5枚を見て、“罰怒”ブランドをバトルゾーンに!そしてバギンと強制バトルだ!」

「クソッ……ターン、エンド…ゲジ!!!」

 

 嘘だ、嘘だ嘘だ!?まさかこの状況を、ひっくり返したと言うんゲジか!?

 

「甘く見てたなムカデ野郎、こっからは俺ちゃんのターンだ!」

 

 

ボルツ ターン5

 

「てめぇのクリーチャーは復活しちまってる。けどよぉ……タップ状態でいる奴らなんかに向ける目はねぇよなぁ!」

「こっ、こいつ…!!」

 

 遠吠えをしたってもう遅い!!俺ちゃんのエンジンは止まらねぇんだよ!!!

 

「B・A・D・3を使って、“血煙(チェーン)”マキシマムを召喚!これで準備は整ったぜ!行けぇ“罰怒”ブランドッ!シールドをブレイク!!!」

「うぅ……っ!!やった、やったゲジ!シールド・トリガー、デーモン・ハンド!これでお前のマキシマムを破壊ゲジー!!!!」

 

 ……馬鹿め。

 

〈マキシマム、ここは俺が引き受ける!!!〉

〈おっとブランド、センキューな!!〉

「なっ!?なんで!?なんでマキシマムは破壊されないんでゲジかぁ!!?」

「マキシマムは破壊されるとき、代わりに自分の他のビートジョッキーを身代わりにすれば、破壊を免れることができる!!」

 

 そんな、馬鹿なゲジ……俺は最高に有利だったはずゲジ!なんで、なんで……!?

 こんな事になってるんだゲジ!?

 

「さっきよぉ、てめぇはぶっ潰さねぇと気がすまねぇ的なこと、言ったよなぁ!?」

「ひっ!」

「やれぇマキシマム!!!!!」

〈ヒャッハーーーー!!!汚物は……灰燼だァァァァァァァァァッッッ!!!!〉

 

 爆炎が駆け、絶叫が響き、戦場は灼熱に焼かれた――!!

 

「良いざまだぜ、ムカデ野郎。」

 

 その頃――

 ジョーは落ち着かない心を抱えて、ももちゃんの家の前に立っていた。どうしても不安になって探索どころではなくなってしまったのだ。

 不安がつのる中、そっとチャイムに指を伸ばし、ピンポン、と鳴らす。

 

 ――カチャリ。

 

 扉が開いた先にいたのは、いつも通りの、いや、それ以上に元気な笑顔を見せる、ももちゃんだった。

 

「ジョーくん!」

 

 声を聞いた瞬間、ジョーは思わず目を潤ませた。

 

「ももちゃん……よかった……本当によかった……!」

 

 それは――命の危機から解き放たれた証。

 ゲジスキーが敗れ去り、その体内に満ちていた毒素が瞬時にして消えたことで、彼の存在がももちゃんに撒き散らしていた“死の瘴気”もまた、世界から掻き消えたのだ。

 

 そしてその張本人――ボルツは、戦場で静かに笑みを浮かべていた。

 いつもの不敵なニヤリ、だがそこに宿るのは殺気ではない。

 仲間を、救えたという“誇り”だ。

 

「帰るぞ、ダチッコ。」

「そうッスね、ボッさん!」

 

 二人は背を向けた。燃え盛る炎の山、ゲジスキーの残骸を背に。

 だがその時――

 

 ――ヒュンッ。

 

 空気を斬る鋭い音が、背後から襲い来る。

 即座に振り返るボルツの目に映ったのは――

 黒煙の中から、のたうち這い出るようにして――

 焼け焦げ、息も絶え絶えに、それでもなお「何か」に怯えるゲジスキーの姿だった。

 

「ひ、ひぃ……ッ、来るな……来るな……来るな来るな来るな来るなァァァァ!!!!」

 

 完全に理性を失った彼が、四肢をもつれさせながら逃げようとする。

 だが、その“恐怖”は――その存在は、すでに“そこ”にいた。

 

「いやがった。……いやがったぜ。」

 

 声がした。

 冷たい、地の底を這うような声。

 まるで世界の終焉を告げる予兆のよう。

 

「てめぇがボルツだろう?」

 

 音もなく現れた“それ”は、背筋を凍らせる異様な気配を纏っていた。

 その姿は黒いロングコートをまとい、顔の大半を影に隠している。だが、ただ“立っている”だけで、辺りの空気は凍りつく。

 そして――そんな彼の右手に握られていたのは、異形の“斧”。

 巨大にして異様。刃はどこか生き物のように歪み、赤黒い液体が滴り落ちる。

 それはまるで、幾千の魂を刈り取ってきたかのような、呪われた凶器。

 

 誰だ?と問う前に、身体が本能で理解してしまう――

 こいつは“ヤバい”。

 ボルツの目が鋭く細められる。だが、彼の脳内にこの男の記憶はない。

 

(……誰だ、こいつ……?)

 

 ボルツは眉をひそめた。だが、その名も姿も記憶にはない。

 にもかかわらず、全身が本能的に警戒を叫ぶ。

 だが、もっと異常な反応を見せたのは、ゲジスキーだった。

 

「おっおおおおお、おまえ……なんで……なんでここに……!!!」

「………裏切者を始末しろってさ、「旧友」が言ってきたんだよ……。ヒヒヒ、俺の「旧友」にゴマスって生きてたらしいな。で、お前の本質がばれた瞬間に逃げたって聞いたが、もうおしまいだな。」

 

 顔面蒼白。理性を吹き飛ばされ、泡を吐きながら必死に逃げ出そうとする。

 

「頼む!やめてくれ……助けてくれぇ……殺さないでくれぇええええ!!!!」

 

 泣き叫び、恥も外聞もなく命乞いをしながら、ゲジスキーは逃げる。

 “それ”を前にして、あの狂気の男がまるで子犬のように。

 だがそれは一歩も動かず、ただボルツを見下ろすようにして呟いた。

 

「……あの自分の腕に謎の自信を持っていたであろう腐れゲジすら這って逃げる。だが――てめぇは、どうだ?」

 

 斧の刃が、ギリリ……と不気味な音を立てながら傾いた。

 

「ちょっと、遊ばせてくれよ。ボルツ。」

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