寄成ギョウに転生したから、キャラの良さガン無視して善人になるニョロ〜!   作:ライダー☆

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新・十九話 ついに激突!シンラVS奇成ギョウ!!!

「……」

 

 風がないのに、葉が揺れていた。音もないのに、地が鳴っていた。

 場所は明かされていない。ただ一面の黄褐色の岩棚。天も地も、焼けた鉄のような鈍い色で、何ひとつ輪郭を持っていなかった。だが、その中央にひとり――ギョウは座していた。

 しゃがみこんだ姿勢のまま、彼は指先でカードを一枚、静かに弾いた。

 それは、何の変哲もないカードに見えた。枠の装飾は古く、表面には爪の痕のような擦れが無数に刻まれている。だが、それを否応なく“他と違う”と感じさせるものがあった。

 微かに、皮膚が乾く。気温が下がったわけではない。あのカードの周囲だけ、時間が正しく流れていない。空気が寄っては撥ね返され、歪み、巻き込まれて消える。

 

 ギョウは黙ってそれを見下ろしていた。

 

 ――それは、ただの一枚のカードだった。にもかかわらず、クリーチャーワールドの崩壊を巻き起こし、一つの種族を根絶やしにした、ギョウですら、そのカードを恐れていた。

 それは呼吸すら乱す。世界の理屈に、爪痕を刻む一枚。カードでありながら、既に“現象”としか言いようがない。

 

 ギョウの手が、それを掴んだ。

 

 その瞬間、風が止まり、遠くの岩壁が崩れた。誰も触れていないのに。誰も見ていないのに。ただ、“使う”と決めただけで、自然法則の一角がひしゃげる。時空がわずかに沈む。

 

「……やっぱりな」

 

 ギョウは低く呟いた。目は笑っていない。ただ一滴の情もなく、血の通わぬ殺意だけが、確かに宿っていた。

 

「デュエルウォーリアやと、ムリや。甘い。情が残る。おまけに相手の本質を見抜く目も持ってない奴も少なくない。クソっ、考えが甘かったかもしれへんな…………せやから結局、ワイがやらなアカン。」

 

 彼は立ち上がった。長い影が地面に伸びる。空はまだ薄鈍色。だが、その光はギョウの背に触れるたびに、熱を失い、暗く冷えていった。

 

「このカードを使う……あのクソガキを殺すためや。」

 

 感情はなかった。ただ一点、排除という機能。それがこのカードに込められた“存在理由”そのもの。

 ギョウはカードをデッキに挿し入れる。すると、他のカードたちが微かに震えた。カードの重みに、ただ沈黙して従っている。

 

「このままじゃすまさんぞ、クソガキ。お前はこのワイが始末する」

 

 彼の足元が黒ずんだ光に包まれ、影が逆巻く。

 

「“こいつ”がある限り、もはや勝ち筋も運も関係ない。必要なんは、ただ――殺す覚悟だけや」

 

 瞬間、ギョウの身体はそのまま黒い風となって、空間に消えた。景色に残ったのは、焼け焦げたような足跡と、ただならぬ沈黙だけ。

 どこにもない場所から、ギョウは今、地球へと向かっている。

 「1枚のカード」を携え、一人の人間を、確実に殺すために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………ある日の午後のことだった。

 空はまるで記憶を失ったかのように、何も思い出せないほど澄み切っていた。青さのその奥には、どこまでも深く澄んだ透明な静寂が漂っていた。雲のかけらすらなく、鳥のさえずりも消え失せ、風すらも姿を潜めている。

ただ、白昼の光だけが無機質に、均質に、どこまでもどこまでも降り注ぎ、あらゆる物の輪郭をペタンと潰し、現実の鮮やかさを奪い去っていた。まるでこの世界は、ひと呼吸を忘れて止まってしまったかのような、乾ききった静けさが支配していた。

 

 私は、確かにその時、何も知らず、何も疑わずにいたのだ。

 テレビからはお笑い芸人の笑い声が跳ねていて、台所からは冷蔵庫の密閉された空気の匂いがほんのり漂う。ぬるくなりかけた牛乳をひと口含めば、舌の上に曖昧な生温かさが広がり、不快と懐かしさが入り混じる。スマホの画面には意味のない通知が延々と並んでいた。すべてはいつも通り、時計の針は正確に刻まれ、私はただ、その音に合わせて目を開けていた――そう思い込んでいた。

 

 ――だが、それは突然だった。

 

 胸の奥、意識のずっと奥底。言葉も届かない、感情のさらに下層で、何かがひどく沈み込んだ。

 

 黒く、重く、どろりと湿った塊。まるで沼の底で腐りかけた夢のように、それはねばる泡のように浮かび上がってきた。気づけば、体の内側からじわじわと冷気が忍び寄り、胃がきゅっと締め付けられ、喉の奥には石のような違和感がこびりつき、口の中は乾いた砂が擦れるようにざらついていた。

 

 私は、知らず知らずのうちに立ち上がっていた。

 理屈も命令もなかった。ただ体だけが、確信などなくとも確信のように感じて、勝手に動き出していた。

 

「お、おい、シンラ!どこ行くんだよ!?」

「………!!!」

「聞いてるのかよ!?俺の声が聞こえねぇのか……!?」

 

 靴を履いた記憶もない。玄関を開けた瞬間も覚えていない。けれど、気づけば私は昼光の中を無心に駆けていた。

 風を切り裂き、坂を駆け下り、住宅街の端を越え、誰も通らぬ雑木林を横目に通り過ぎる。アスファルトの照り返しが足裏をじりじりと焦がすが、暑さの記憶はすでに遠く霞んでいた。心の奥底に何かが確実に「そこに行け」と命じていた。

 迷いは、最初から存在しなかった。地図も目印もない。ただ、確信だけが確かに、鼓動に溶け込んでいた。

 

「……はぁ……はぁ……」

 

 呼吸を乱し、自然に足が止まった。

 それは、まるで「ここだ」と何者かが告げたかのように、無理なく、自然な停止だった。

 荒れた息遣いも、次の瞬間にはすべて吸い込まれ、空気そのものが消えてしまった。蝉の声も、遠くを走る車の音も、すべてが一瞬にして消え去り、まるで一枚の厚いカーテンに遮られたかのように世界から音が奪われていた。

 

 そして、私の視線は、あの異物を捉えたのだ。

 

 空間に、不自然な“悪意”のようなものがじわりと染み出し、静かにそこに佇んでいた。

 

 ――男が。

 

 くたびれたコートを纏い、重たげな帽子を深く被り、両手はポケットに突っ込んだまま。動かず、わずかの気配すら放たず、ただそこにいるだけで、周囲の時間も温度も、すべてを吸い取ってしまったかのように、異様に輪郭が浮き立っていた。

 

 風は吹かず、日差しは変わらず降り注いでいるはずなのに、彼の周囲だけは確かに“死んだ空気”が漂い、世界から切り離された“穴”のように見えた。

 肩の落とし方、首の傾げ方、その一つ一つが自然の摂理から逸脱している。

まるでこの世界に生きていること自体が間違いで、訂正されるべき存在が、なぜかそのまま放置されている異常だった。

 

 背中に、凍りつくような冷たさが這い上がった。

 まるで背骨が氷の鎖で一節ずつ丁寧に締め上げられるような錯覚に襲われ、喉の奥で、名前も知らぬ生き物が警鐘を鳴らしていた。

 

 私の目は、その男を逃すことなく捉えた。

 そして、その男以外の世界はすべて、存在の意味を奪われたかのように影の中に沈んでいた。

 

 けれど、その姿を見たとき、私はほんの一瞬だけ、心の奥底が震えたのだ。

 

 確かに、――あの男は父親だった。

 十年前まで共に暮らしていた、あの人だった。

 髪を撫でてくれて、寝る前にくだらない昔話を聞かせてくれた、あの優しい父親だった。

 

 だからこそ、その刹那、胸の奥に小さな灯火がともった。

 

「馬鹿な……こいつは……」

「……お父さん……?」

 

 思わず漏れたその声は、自分でも驚くほど幼く、震えた。

 脚がふらつき、ずっと探し続けた人にようやく会えたかのような錯覚に囚われた。

 消え去ったと思っていた、小さな希望の火種が、ふいに息を吹き返したように感じたのだ。

 

 けれど、父親は私を見た。

 だが、その瞳はあまりにも冷たく、懐かしさのかけらすらなかった。

 硬く乾いたその視線の奥には、ひとつの光もなかった。

 ただ、獲物を狙う獣のような冷酷な眼差しだけがそこにあった。

 

「おう。……よく来たな、クソガキ。」

 

 その声が耳に届いた瞬間、私の胸の灯は静かに、けれど確実に消えた。

 音もなく、光もなく。

 凍りついた冷たい現実が重く、鈍く、深くのしかかってきた。

 皮膚の奥まで凍てつくような嫌悪感。

 目の前にいるのは、かつて私が知っていた父親ではない――。

 

 だが、だからこそ思い出せたのだ。

 私の胸に深く刻まれた、かつての父親の姿を。

 

 とても優しかった人。

 私がデッキを組み直すたびに、一緒に遊んでくれた人。

 私が泣けば、どんなに夜が遅くても膝に乗せて話を聞いてくれた人。

 

 あの人は決して私を「クソガキ」などと呼ばなかった。

 いつも私を守ろうとしてくれていた。

 

 今、目の前に立つ男は違う。

 同じ身体を纏っているだけで、心は別物だ。

 顔は似ていても、魂はまるで違う。

 

 だから、私は静かに、腹の底で誓った。

 

 必ず助ける。

 

 この人を取り戻す。

 歪められた心を、壊された魂を。

 どんなことがあっても、私は連れ戻してみせる。

 

たとえ命を狙われていても、私は見捨てる理由がどこにもなかった。

 

「……いいわよ」

 

震える声が自然と口からこぼれた。

恐怖と怒りが絡み合い、冷え切った鉄のように硬くなった声。

 

「私も決めてた。勝って、あんたを――取り戻すって。」

 

「……へぇ。言うやないか、クソガキ。」

 

 目を逸らさなかった。

 あの冷たい瞳を、真正面から見据えた。

 

 もし父親が変わってしまったのなら――

 私は、そのまま終わらせたりしない。

 

 私にはできる。

 デュエルを通じて、あの人の中に届くはずだ。

 それは、かつて私が一番大切にした人との、唯一の繋がりなのだから。

 このチャンスを決して無駄にはしない。今、私はそこにいる。

 

 デッキを構える。指先がわずかに痺れている。

 だが震えは止めた。気合や勇気ではない。これはただ、運命。拒否権など最初からなかったのだ。

 

「そんだけ言うなら、少しは楽しめそうやなぁ。ちょうど……つよーい切り札もおるみたいやしなぁ?」

「ッ……!!」

「シンラ……お前……。」

「黙ってて。……私が決めたことなんだから!」

 

 彼は目を細めた。ほんのわずか。

 その構えは異常なまでに自然で、型のない型だった。

 静かな殺意が空気の密度を歪ませていく。彼が「構えただけ」で、世界の光は陰る。

 

「……ほな、デュエマ。始めよか。」

「えぇ。」

 

 その瞬間、空が音もなく軋み、真のデュエルフィールドが耐えきれず一瞬だけ“割れた”。

 私の魂の叫びと、父の無言の挑戦が、ついに交錯した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンラ キーカード:進化の極みシンラバンショー

 

ギョウ キーカード:????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『真のデュエル、スタート!!!』

【こうして始まった、史上最強の親子、シンラとギョウの真のデュエマ!!序盤、GOD・Pを持った小型クリーチャーを展開し、マナと手札を貯めていく展開。対するギョウは…!!】

 

 

ギョウ ターン4

 

「ドロー。呪文、獅子王の遺跡。山札の上から1枚目をマナゾーンへ。からの……多色マナ武装4、発動!さらに2枚をマナゾーンへ!!」

「一気に8マナまで……!」

「ワイはこれでターンエンドや。さて……下準備は整った。ってところやな。」

 

 ……殺気は本物。次のターンには何かが来ると思ったほうがいいようね……!!!!

 

【マナゾーンを大量にためていく展開。果たして、このデュエマの勝負の行方は…!?】

 

 

 

 

 

シンラ 手札2 マナ6 シールド5 クリーチャー トレジャー、クーラー

 

ギョウ 手札5 マナ8 シールド3 クリーチャー なし

 

 

 

 

 

シンラ ターン5

 

「私のターン。ドロー!」

 

 手札にはシンラバンショーはまだいない。けど……1枚、可能性を持ったカードがある!!

 

「マナチャージ。そして、7マナをタップ!!」

「……大型クリーチャーで攻め込む気か?」

「えぇ、そのつもり。……一個の「賭け」を達成できたらね。」

「賭け……」

 

 シンラバンショーに頼んで作ってもらった新しい呪文……これを使えるかどうかは本当に運次第!!

 

「呪文、ゴッド・ダーツ!!自分の山札の上から4枚を見る。そこからコスト7以上のゴッドを1体選び、バトルゾーンに出せる!」

「コスト7以上の……へぇ、せやけど外れたら、ただ7コスト払って手札を1枚捨てただけになってまう。……それに、お前のデッキには軽いコストのクリーチャーが多いみたいやなぁ。外れる確率のほうが多いんちゃうか?」

「だとしても。父さんを助けるためにも、これぐらいの「賭け」は乗り越えられなきゃ、話になんないのよ!」

「……………。」

「行くわよ!!!」

 

 

 私は、私の今やるべきことを果たすだけ。私は…………目の前にいる敵を倒す!力をつけるのよ!父さんを助けられるのはこの私だけ……だったら、私がやらなきゃ誰がやるっ!!

 そして掴み取るのよ、強さの果てにあるものを……!!ドローーーッ!!

 私はまだまだ成長できる。……「あなた」と一緒よ。

 

 

「来たわ!進化の極みシンラバンショー!!!」

「ッ!!そいつは!!!」

 

 父さんの顔が強張った………シンラバンショーのことは覚えているらしいわね。そしてあの表情からして……強さとか、そこらへんも……。

 

〈よし、シンラ!このまま畳みかけようぜ!〉

「えぇ、わかってるわ。……父さん!」

「……?」

「……シンラバンショーの効果を解決するわ。シンラバンショーのマスター・G・YOUの効果発動、マナゾーンのカード3枚をアンタップ!マナ送りにする効果はクリーチャーがいないから使えないけど……それでもいいわ。」

「……だからどうした。シンラバンショーは、このターン攻撃できへんぞ。」

「そんなことわかってる!!だからこそ、3マナアンタップが光るってわけ!呪文、ダイヤモンド・ソード!」

 

 あのカードは!そうか、ワイを攻撃できさえすればいいから……!あのガキ、思ったより考えとるみたいやな……。

 

「行くわよ…シンラバンショー!」

〈おうっ!〉

「シンラバンショーでトリプルブレイク!この時に……アタック・チャンス、発動!」

「なに…?」

「自分のコスト7以上のゴッドが攻撃したから、この呪文をタダで唱えられる!呪文、「森羅一貫・狂い薙ぎ」!」

(まさかの漢字……横文字じゃあらへんのか………)

「その効果で、相手のシールドを1枚マナ送りに!さらに、そのカードよりもコストの小さいゴッドをマナゾーンから出せる!……古龍遺跡エウル=ブッカよりも小さいコスト……サンフラワーをバトルゾーンに!」

 

 必ずこのターンで仕留める……もうこれ以上、相手のターンに持ち込ませるわけにはいかない!!!

 

「ここでシンラバンショーの効果を発動する!サンフラワーを破壊して、サンフラワーの効果を発動する!1枚マナ加速、からの……マナからマイト・アンティリティをクーラーの上にNEO進化!」

「……ほう…。」

「さぁ、トリプルブレイクを解決させてもらうわ!!!」

「……フッ。」

 

 !?笑った…?この状況で……?

 

「なぁるほどな。ここまでやるとはな。……しかし残念、こういうのにも警戒の目を向けるべきやったなぁ。」

「こういうの…?」

「シールド・トリガー、終末の時計ザ・クロック!!これでお前のターンは強制終了や。残念やったなぁ~。」

「そんな……ターンエンド。」

 

 このターンで仕留めきることはできなかった……けど、父さんのバトルゾーンにはクリーチャーはいない!……マナゾーンにカードは多くあるけど、それでも展開には限度があるはず!多く見積もっても2・3体…それに今回は、トリガーを多くデッキに搭載してある!マナゾーンにはまだそれは1枚も「ない」。手札にも「ない」!となれば、確実にシールドの中に2・3枚はある!!!止められる!いける!勝てる!!!!

 

 ……そう思えるはず。はずなのに――胸の奥に重く沈んだままの違和感が、鼓動とともに強く脈打っていた。

 止められる……いける、勝てる……はず。何度も心の中で繰り返してみる。だが、どの言葉も浮ついていて、指先の震えを止めることはできなかった。視線の先――父さんの顔が、奇妙なほど静かだったからだ。

 焦りも怒りもない。ただ、深い底のような眼差しでこちらを見ていた。まるで、すべてを見通した者の目だった。まるで、これが「予定通り」であるかのように。

 

「……ククッ」

 

 声にならない笑いが、唇の端からこぼれた。いや、正確には、こぼしていたのは父さんの方だった。

 

「まさか、そこまでやるとはな。やるやんけ、お前……」

 

 抑揚のない声。だが、その裏に確かな何かがある。敗北を前にした者の虚勢ではない。むしろ、余裕――どこまでも、冷たい自信。

 

 ――何で?何でその笑みが出せる?

 

 心が問いを立てるたび、こちらの思考は濁り、動きが鈍る。視界の下でシンラバンショーの硬質な光が揺れていた。圧倒的な制圧力を持つあのカードを立たせてなお、父さんは一歩も退かぬまま、盤面を睨んでいた。

 

「……いや、すまんな。お前を過小評価してたかもしれへん。おもろいことするやんけ。自らで運を手繰り寄せて、切り札を召喚。さらにそこから展開してダイレクトアタックまで持ち込めるほどの打点を……見事としか言いようがない!せやけど、それもここまで。」

 

 父さんはそう言い終わると、そっと指先をマナゾーンに伸ばした。あの重たい手の動き。あれは、攻める気配じゃない。まるで……何かを、解き放つかのような。

 だめだ。なぜだ。何もかもで、こちらが勝っている……はず。盤面も、状況も、すべてこちらが制している。けれど、それなのに――なぜ、次のターンが怖い?

 いや、違う。怖いんじゃない。わかっている。次の瞬間、何が来るか――わからないはずなのに、予感だけが、いやに鮮明に胸をえぐる。

 

〈シンラ!落ち着け!流れを失ったら負ける!自分を保つんだ!〉

「……わかってる…わかってる!」

 

 そんなこと言ってるけど……だけど、だけど。

 次の一手が、すべてを塗り替える。そんな直感が、どうしようもなく自分の心を締めつけていた。

 

 父さんのターンが、始まる。

 

 

 

 

ギョウ ターン5

 

 

 絶望の覚悟は、できとるか……?

 死を迎える覚悟は……できとるんやろなぁぁッ!!!!!

 泣けぇッ!!叫べぇッ!!そして、滅びろぉぉぉッ!!!!!

 ──暗黒ドロー!!!!!

 来たでぇ……来たでぇ……!

 

「お前を殺す切り札がなぁ!!」

 

 っ!……息が……詰まる…!!

 

「マナチャージ!からのぉ……まずは呪文、プライマル・スクリーム!山札上4枚を墓地に置き、墓地から……永遠のリュウセイ・カイザーを手札に。」

〈8マナのドラゴン………召喚はできねぇはずだ!シンラ、まだチャンスはある!落ち着くんだ!!〉

「違う!!」

〈………違う?何がだ!?〉

「……あのクリーチャーは……出てくる……必ず、私にはそれがわかる!!!」

 

 ………さっすが、ガキもただのデュエリストってわけちゃうみたいやなぁ。ま、それがわかったところでもう遅い!!切り札はもう、手の中にあるんやからなぁ。

 

「さぁーあ!こっからがお仕置きタイムの始まりや。5マナをタップ!切り札のお出ましじゃあ!!!」

 

 その瞬間だった。一瞬、一瞬だけ……「変な感じ」がした。

 それは、言葉にできない。意味のわからない違和感だった。ただ、確かにそこにあった。ほんの刹那、何かが胸を掴んで離さなかった。

 でも……なんでだろう。

 ―今まで大切にしてきた「何か」が、音を立てて踏みにじられたような感覚。ぶつける場所のない怒りが、腹の底から這い上がってくる。理由なんていらない。ただ、理屈じゃなかった。―

 

「これがワイの切り札……」

 

 

 

 

 G・Y・O・U(ゴッド・ユー・オブ・アンノウン)!!

 

 

 




オリジナルカード紹介

ゴッド・ダーツ コスト7 光
レアリティ R

・自分の山札の上から4枚を見る。その中からコスト7以上のゴッドを1体選び、バトルゾーンに出してもよい。その後、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。


フレーバーテキスト

言うだろ?勝負は時の運だって!!



森羅一貫・狂い薙ぎ コスト8 自然
レアリティ VR

・アタック・チャンス:コスト7以上のゴッド(自分のコスト7以上のゴッドが攻撃するとき、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい)
・相手のシールドを1枚選び、マナゾーンに置く。その後、それよりコストの小さいクリーチャーを1体選び、自分のマナゾーンからバトルゾーンに出してもよい。

フレーバーテキスト 

―万象を貫く理を一筋に束ね、それを狂気の一閃で捩じ伏せる。大いなる力を糧に、未来さえねじ曲げるこの術は、自然の怒りか、それとも神の皮肉か―
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