芳乃によるちょっとした予習の一幕、短いです。
何に関する予習かというと。
画面を加工する技術が欲しい。
今回もよろしくお願いします。
「これで祈祷は終わりだよ。お疲れ様」
「ありがとうございました、安晴様。お戻りになったら食事になさいますか?」
「いや、夕食はいつも通りの時間でいいよ。僕はもう少し
「ありがとうではあるんだけど……無理はダメよ? お父さん」
「ははは、勿論だよ。これで僕が倒れてしまったらそれこそ父親失格だ」
父親とか神主とか、そういう問題じゃないんだけど。
「安晴さん、ありがとうございました。さてと、時間があるならひとっ走りしてこようかな」
『今から鍛錬をするつもりか、ご主人?』
「祖父ちゃんやレナさんに一度顔を出してこようと思って。明日からの事もあるからさ」
『そういう事なら大丈夫だな。吾輩もそちらについていくか』
不来方さんとみづはさんは既にお帰りになって。
私が神楽舞の奉納を終えたのちに、三人揃ってお父さんの祈祷を受けたところ。
意味があるのかは分かりませんが、一応射影機も持ってきておきました。
今からお父さんは祝詞の奏上、茉子は夕ご飯の準備、有地さんとムラサメ様は志那都荘へ。
どうしましょう? 一人だけ手持無沙汰になっちゃった。私が茉子を手伝っても邪魔になるし。
明日の横断幕の準備でもしようかな?
今まで祟り神の事ばかり考えてしまっていたせいで、他の事を主体にしようとしても何をすればいいのか。連休中の宿題は当然としても贅沢極まりない事です。
射影機は使わないよう釘を刺されていますから練習もできませんし。
う~ん……幽霊関係の予習?
今日の事を思い出すのは駄目ですけど、ネットで調べるくらいならいいでしょう。
そのくらいなら一般知識なんだろうし。
「え~っと……」
スマホを片手に検索ワードを考える。
馬鹿正直に「幽霊」だとか「怨霊」だとか検索をするのもアリなのかもしれないけど。
一旦有地さんもご存じだった「
……ん~、大体予想通りの中身。
必ずしも「黄泉」と書くわけではないんですね。「陰府」、そして「夜泉」ですか。
あまりためになるお話はなさそうです。
関連ワードは何かあるでしょうか……「
そういえばムラサメ様は現代の事を「
黒澤さんはマヨイガの在る所を「
見てみましょう。
死後の世界、永遠の世界。黄泉の国もここにあると。拡大解釈でいいんでしょうか?
ああ、浦島太郎ってここへ行った事になっているんですか。招いた本人達には一切悪気はなくても、現世に戻るつもりだった人にとってはあまりに時間の流れが違ったんですね。
これの例を見てみると……。
禁足地。
聖なる石やご神木を結界の境目として、その先を神域と捉える。これも常世の一種。
神様のいらっしゃる場所としての永遠の世界。
武実乃山が山体信仰ならまさにこれ、ですよね。神社の垣はその境界であると同時に結界であり、双方を簡単に行き来できるが故にきちんと管理している。
巫女姫の役を継ぐ際に勉強したっけ。漢字だらけで当時は苦戦した記憶が。
この武実神社には禁制地である「聖域」があるわけですけど……永遠の世界? まさかね。
そう思ってスワイプしていくと、気になる文字が。
「
こういう意味だったんだ……。
タップできますね、直接言葉の意味を見てみましょう。
う~ん、大体不来方さんからご説明を受けた通りの内容でしょうか?
この時間帯に幽霊が現れやすいのってわりと一般論だったんですね。無知でした。
他に書いてあるのは意味とか語源とか……。
「ん?」
関連する地方。こんな概念が有名な土地が?
土地の名は「日上山」……にちがみさん? なんと読むんでしょう?
タップをしてみて。
日上山
日上山(ひかみやま)は、○○県××市△△群にある山。
概要
△△群において古くから信仰の対象とされてきた火山。山頂のカルデラ湖である彼岸湖を水源とした滝や川、一年を通じて霧に包まれる湖面など景観に優れ、麓から山頂付近までのケーブルカーが整備されるなど観光名所として栄えた。19××年に大規模な地滑りが発生して麓の旅館などが被害に遭い、多数の死者が出た。これ以降主だった観光事業は下火となり、現在は廃道となっている。
「ひかみやま」と読むんですか。
ここからそこまで遠くない土地ですね。しかし、ここが逢魔ヶ時とどう関係が?
信仰
日上山周辺には「水」を御神体として祀る風習があり、「人は水から生まれて水に還る」「全ては水で繋がっている」といった輪廻の教えが浸透していた。日本では珍しく水葬が実施されていた事や、それを管理する巫女職が存在していた事が明治初期頃に記録されている。しかし明治中期から末期までに巫女が激減し、信仰として「水」を祀る風習は大正以降正式には記録されていない。
水の信仰……循環するという考えでしょうか? 山があるのに水を重視されていたんですね。
ここにも逢魔ヶ時の記述はない。さらに下を。
俗説
日上山の山道は廃道と化して数十年が経過しているが、今でも日上山に入る民間人が周辺住民によって確認されている。その多くは遺体として発見されており、「自殺の名所」として語られる事があるため心霊スポットと化している部分がある。また200×年に発生した掘削中の日上トンネル崩落事故や前述の地滑りの発生時刻がいずれも夕刻である事、山に入る民間人が目撃されるのも夕刻が多い事から「逢魔ヶ時の日上山に入ってはならない」という暗黙の規律が周辺住民の間に存在している。
「……」
こういう、事ですか。
さすがに不来方さんの説明してくださったような記述はないけど、実際に夕方の時間帯にそういう事故が頻発していたり……山に入られる方が見られたりして、特に逢魔ヶ時は危険であるという扱いになったと。
迷信なのか真実なのかはともかく、これは風習として残ってもおかしくなさそうです。
夜の武実乃山に入る事が厳禁とされているのも同じようなものですからね。
こちらは実際に「祟り神」なんていう謎の存在が蠢いているわけですが。
「にしても」
不来方さんが仰っていた水の信仰は「ここ」の話だったりするんでしょうか?
噂が噂を呼んで今のような、というのはありそうですけど……実際は「ナニカに誘われている」としたならば?
「やめやめ。こんな事を考えてもなんのためにもならない」
こういうのを少し調べるだけでも気が滅入ってきますね。
つくづく私は巫女に向いていないのかもしれない。
「芳乃様、夕餉の支度が出来ましたがよろしいですか?」
「あ、うん。今行くわ」
茉子からお呼びがかかった。さあ、体力を付けて明日に備えないと。
因みに横断幕か幟を用意すべきか茉子に話した所、「頭でも打ったんですか!?」と本気で心配されました。私の、私の常識って一体……。
これでチャプター3は終了です。
ここまでの読了お疲れ様でした。
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次のチャプター4は登場人物がぐっと増えます。
原作をプレイされている方ならご想像通りのあの人たちです。
特に二名ほど設定と性格が魔改造されています。
次回も楽しんで頂けたら嬉しいです。