今年も本作をよろしくお願い致します。
スーパー説明回です。
新たに評価を付けて頂きありがとうございました。
より楽しんで頂ける作品に出来たらと思います。
今回もよろしくお願いします。
「芳乃!!!」
開口一番、お父さんがこっちに飛んできた。
「ちょっお父さわぷっ!? 締めすぎ!! 苦じいがら!! いっ息、が……」
「安晴様、緩めてあげてください。せっかく生き残った芳乃様が死んでしまいます」
『シャレにならん事を言うでないぞ、茉子』
「あ、ああ、すまないね。本当、本当に、よかった……みんなも、無事で……」
「ぷはぁ……ありがとう茉子。まったくもう」
ホントに。せっかくあの場を乗り切ったのに、お父さんにあちら側送りされるところだった。
「怪我はされていないと伺いましたが、後で診察させて頂いても? 当時の状況はもう想像すらできませんが、何がお身体に起こったか分かりませんから。宜しければ雛咲さん親子もご了承いただけると。有地君とリヒテナウアーさんは絶対に受けてもらうよ」
「大丈夫とは思いますけど、お医者さんのお墨付きはもらっておきましょうか。お母さんもいい?」
「はい。よろしくお願い致します」
「俺も了解です。まあもう大丈夫そうではありますけど」
「わたしはなにがどうなっているのやら……頭はすっきりしておりますが」
「深羽さん達には貧乏くじを引かせてしまったようで申し訳ないです。まさか強化レンズまで使われるなんて」
「別にそんなつもりはないですよ? 逆の立場だったら一緒だろうし。まあ今回はちょっと私もキレて力使い過ぎたんで、都合が良ければ次はお願いします。お母さんは使う必要あったの?」
「フィルムが勿体ないと思ったから……」
「何のために補充してもらったの。
結局、雛咲さん親子だけで何体の怨霊と祟り神を退けられたんでしょうね?
深紅さんの
「リヒテナウアーさんは本当に大丈夫なのかね? 今回の件、君には本当に迷惑をかけてしまった。申し訳ない。全くここ最近方々に詫びてばかりで情けない限りだ。皆様も本当にありがとうございました」
「大丈夫でありますよ、大旦那さん。わたしが勝手にフラフラ出歩いてしまっただけの様ですし。今は耳鳴りもありません。途中まで記憶がないのは事実ですけど、わたしはタタミ神に特別なにもされておりませんから。アウトオブまんじゅうというやつです!」
「俺も身体の火照りが引いてるんだよな。ただまあレナさんについては寧ろ逆でしょ。アレの今日の行動ってレナさん目的だったんじゃない?」
「その辺の話を詳しく聞かせてもらって、整理するためのこの場だ。なにかしらの結論は出すさ」
「元々明日お話をしようと思っていましたが、写真から判明した事もありますので。それも併せて情報共有と参りましょう」
今朝の再現みたいな状況ですね。
現在は志那都荘の最上階、雛咲さん親子の客室。
朝の時に加えて今度はお父さんと玄十郎さん、不来方さんにみづはさんも加わっています。
流石に時間が時間だったので、すぐに食べられる軽食をご準備頂いて。
私が食べ終わったと思ったらこの状況。胃がひっくり返るかと思った。
ちなみに万葉丸も頂きました。やっぱり雛咲さん親子も平然としていられるんですね?
「さて、取り敢えずさっき掻い摘んで聞いた話の再整理からいこうか。累、書記を頼む」
進行は放生さんが務めてくださいます。一番整理できていそうですから助かりますね。
「まず、朝武さん達を襲っていた「祟り神」。これが穂織がイヌツキの地として謳われる原因である「犬神」と同一存在である事は分かった。しかし朝武の巫女姫を呪殺していた事もなければ、山で襲う事も殺傷が第一目的ではなかったと」
「まさか秋穂達の死が、犬神の仕業ではなかったとは……」
「衝撃的ですね。私達の考えが根本からして間違っていたなんて」
『それを言われてしまうと、吾輩など存在意義すら分からなくなるな。叢雨丸で祟り神が斬れたのは事実なのだが』
犬神にとって私の命を奪う事は難しくもなんともなかった。本気だったらとうに終わっていた。
だけどここまで私は生かされているし、歴代の巫女姫も子を生すまでは命を繋げている。
恐らく本当の事なんでしょう。
「そしてその真実は、当事者の面々はよく知っている犬神を穂織に放った人物、戦国時代の大名だった朝武家の長男「
「はい。穂織の住民の皆様には既知のお話です」
「結果的にはそうなんでしょうけど……正直引っ掛かるんですよね、その話。なんで子を生すまでは巫女姫達が生きていられたのか、何で女子しか生まれないのか。呪うにしてもやる事がまどろっこしいんですよ」
「そこはこれから考えましょう? 他の事と合わせれば分かるかもしれないから」
巫女姫達を呪い殺していたのは朝武長男本人の呪詛。次男一族を末代まで祟ったんですか。
だけど……さっきも昨日もあった深羽さんのお話。「御家断絶」とは少々趣きが異なる。
ここはまだ不明な点が多いですね。
祟りを撒き散らしていた犬神は憑代……玉石に戻ったわけですけど、そっちはどうなるのか。
自我が戻るまでの時間制限との事でしたけど。
「そして犬神の目的は「姉」とやらの身体を元に戻す事。聞いた感じ、憑代が該当しそうという事でいいか?」
「そうですね、芳乃様が「憑代」と表現したら怒っていましたから。犬神としては「
「あと……玉石が姉君の「
「穂織の土地神様が下賜された「叢雨丸」は、下賜されたどころか土地神様の
『ご主人、玄十郎と安晴に伝えてやってくれ。アレはアレでご主人の様な使い手を捜す事と、叢雨丸への信仰を絶やさんために必要な事だったとな。結果おーらいなのだ』
「鞍馬さんのお話に付け加えると、深羽さん達の話では「朝武さん達が犬神に踏み入った」事がこれまで祟り神に襲われた原因だと聞いています。つまり、犬神自体も元々は土地神なのでしょう。恐らくは武実乃山の山体そのものを身体にしている」
「朝武さんの犬耳の正体は……犬神の「土地神」としての面が出ていた、という事でしょうか」
「犬神と土地神がイコールの存在なら、穢れが強くなった際に犬耳の気配も強くなる事に違和感はないだろう。「姉」の加護と「犬の神」の力を継いでいるらしいしな、呪詛と連動した霊力的なものの強化の影響かもしれんが。死期が近くなった歴代の巫女姫の犬耳が出ずっぱりになったのは、悪化してきた長男の呪詛に抵抗し続けていた結果ってところか」
「秋穂さんが仰っていたのも、その証だったという事ですね。子が生された事で加護も分かれたりしているんでしょうか」
叢雨丸は「神の力が宿った刀」じゃなくて、「神の身体そのもの」だった。お父さんの想像通り。
叢雨丸が「骨」で、玉石が「本体」。有地さんが叢雨丸を使えたり、唯一ムラサメ様に触れる事が出来るのは恐らくそういう縁。一番の力の源である「本体」を身に宿していたから。
穂織にいる神は一柱じゃなかった。二柱いたんだ。それも片方は
だけど犬の神は何らかの出来事で犬神にされて、その姉神の御身である玉石は砕かれた。
祟り神として山を彷徨っていたのは、朦朧となりながらも互いの身体を探していたから。
だけど私たちがそれを邪魔をする形で山に入り込んでいたから、戦闘になってしまっていた。
なんで、こんな。
「一番の大筋はここまでだな。犬神の本来の目的は憑代と化していた玉石と叢雨丸の返還、そしてそれを奉るって事でいいのか。今度は正しく神として……でいいんですか? 俺はこういった事には詳しくないんですが。有地君の身体の中とリヒテナウアーさんの持ち物にもあるんだろう?」
「時間はかかりますが、まずは「
「わたしがあの水晶をお返しする事は全然ダイジョーブです! それがヨシノたちにとって一番ハッピーなんですよね?」
確かにそれはそうなんですが、その前に。
「一つ聞かせて頂きたいんですけど……犬神はレナさんの事を「姉君の器」と呼んでいました。態度も私たち向けとは全く違いましたし、深羽さんたちもレナさんから神様的な気配を感じられていたんですよね? これはどう解釈すればよろしいですか?」
「わたしがニッポンの神様なんですか!?」
そういえばレナさん本人はこのお話を知らないんでしたね。
「コレについては予想でしかありませんけど、レナちゃん自身が「姉」に近い何かを持っているんでしょうね。加えて清浄な憑代も持っていた。あの犬の考えなんて知ったこっちゃないですけど、神ってのは信仰される対象。例え人であっても信仰される存在なら神の一種。そこのおチビさんのように……で、いいですか? 神主さん」
「そうですね。
「解説どうもです。神に近いなんらかの性質、加えて実際に神の一部を持っている。そんなレナちゃんが「神」として奉られたなら?」
「犬神のやつ、レナさんを攫って神様的なものに仕立て上げようとしてたって事か。神隠しに遭わせてしまえば余計に神秘っぽさが増すし。そんな事をしても何の解決にもならなさそうなのに」
「そうでもないんですよ、有地さん。魂なり姿なり、似通った存在は共鳴し同化するんです。過去に私が関わった事がある方が、血縁的には何の繋がりもなかったのに
「天倉さんの双子の姪っ子さん達のお話ね。災難だったわよね、そのお二人も」
「おおう……いつのまにやらわたしがそんなレベルアップをしようとしていたとは……」
なかなかにトンデモ理論ですね。
ですけど、人の尺度で測る事がそもそも間違いの神の世界。神自体が一言で言い表せない存在。
そういう形でも「再生」と言えたのかもしれません。
ただ……。
「今回のレナさんの件は恐らく犬神に呼ばれたものなんでしょうけれど……先日の鞍馬小春さんの件に関しては、祟り神とは別件だと思います」
「小春については怨霊側のお話、という事でございますか」
「今回ややこしいのはそこです。夕莉とオーナーさんの言う通り、そちらには恐らく怨霊が絡んでいる。が、「怨霊」の方にも朝武長男の呪詛とやらが関わっているかが現時点では不明です。これまで朝武さん達が関わってきた「祟り神」に関しては……中に宿っているらしい長男の念の事もあるが一旦ケリがついたとして。怨霊が出張って来た原因が別にあるんだと」
「ですが……深紅さん。たしか武者の怨霊と祟り神が戦い合っていたんでしたか?」
「そうですね。「邪魔をするか」と武者が言っていましたから、間違いなく敵対関係ではあるのだろうと。明確な目的は分かりませんが、リヒテナウアーさんを襲おうとしたわけではなかったのだと思います。武実乃山の怨霊は私達に反応していましたから」
「アレってそう言っていたんですか。そして一番最初の、ムラサメ様の予想と繋がるわけですね」
私は完全には聞き取れていませんでしたが、そんな事を。
だとしたら、犬神と怨霊はお互いに何の障害になっていたの? 怨霊の目的は?
『相変わらず目的が分からんがな。結局犬神が嫌うほどのナニカには違いないのだ。しかし正体不明度は更に高くなったぞ、あの絶対霊の話もあるのだから』
「おチビさんがそんな予想をしてたの? わりと考えてたのね」
『いい加減そろそろまともに取り扱って欲しいのだが……』
寧ろ深羽さんに「ムラサメさんと呼ばれた時」=「ヤバイ」と分かっていいんじゃないですか?
「茉子君、ムラサメ様は何と?」
「怨霊が犬神と敵対していた事は的中しましたけど、ワタシたちがマヨイガで遭遇した「絶対霊」のように、何故そこまで強力な怨霊が穂織に居るのか分からない、と」
「長男の念は犬神に宿ってるんだから、怨霊とは別って事だよな? 死んでるのは間違いないっぽいけど」
まだまだこっちは不明点が多い。
解決の糸口になりそうなものが、今までの話では……。
「で、答えって言うには程遠いだろうが、こちらの話となるかもしれんわけだ」
と、放生さんが一枚の紙を取り出される。
これは……。
「あの時の写真?」
「の、文字らしき部分を拡大したものです。天倉先生とも照合を行った結果、取り敢えず一単語ですが合致したものがあるんですよ」
ブレは無くなったものの、相変わらずミミズの様な字。
一体これは何と書いてあるのか。
「とはいえ、核心的なものではないと思うが。とにかく冷静に見てほしい」
そう言って、恐らくその字の解読の過程をメモされたものを放生さんが並べられる。
その一番端に書かれていたのは。
「……そんな、まさか」
――「
書いている作者にとってすらごちゃごちゃです。
ザックリまとめると
・犬神(祟り神)は現在の朝武家を直接は呪っていない
・芳乃には何かの加護がある
・犬神と怨霊は仲間ではない
・怨霊の目的と正体は現時点で謎
・どこかしらに朝武長男の影響があるが、不明瞭
そんな所です。
次で長かったチャプター4は終了、引き続き説明回です。
次回も楽しんで頂けたら嬉しいです。