なので文字数は多いのにちっとも進みません……。
今回もよろしくお願いします。
「ご面倒をおかけしました……けど、来ちゃいましたか。どうするのが正解かなぁ」
先ほどのとんでもない気配は消えて、普段の深羽さんにはなりましたけど。
その表情は明るいものではありませんでした。
「やはり、深羽さんが私を止められて?」
「後始末をお願いするのは申し訳なかったですし、さらに事態が悪化する事も考えられましたから。助けて貰った事はありがたかったですけど、全体的には……私の予想が正しいなら悪い方に向かっています。最終的にどっちに転がせるかですね。朝武さんも常陸さんもすみません。こんな所にまで来てもらってしまって」
「いえ、当然の事ですから」
「ご無事だったのは何よりでしたけど……何か分かったんですか?」
極めて強大な力をお持ちの深羽さんを閉じ込められるだなんて、並大抵じゃ不可能。
あの老婆が口にしていた事も気になります。
「幽ノ宮の前に犬がいるんですよね? しかもあの
「相変わらず、よく犬神様を犬扱いできますね……? クソ男は本当にそうみたいですけど」
「今なら常陸さんから剥がせるかもしれませんよ? クソ男はクソ男です、それ以下はありますけどそれよりマシはあり得ません。お母さんが生きていてくれた事だけは感謝しますけどね」
「芳乃様、絶対に現実でそんな言葉を仰らないでくださいね? 現状剥いでいただく事は正解なんでしょうか? そうでなかったらあの老婆に対抗できなさそうでしたし……」
「何故常陸さんは……ダイナマイトどころか手投げ弾までお持ちなんですか?」
「どちらも火遁です。忍者の嗜みですよ? まだまだありますから」
「なんで片田舎の一家庭に
まずい、暴言がナチュラルに口に出ちゃった。あっちに戻るまでに何とかしないと。
不来方さんを先頭に結ノ家から戻ります。
深羽さんもいらっしゃいますし、行きに増して安心感が違いますね。
「私が夕莉さんを拒否したのは、夕莉さんもここに囚われてしまう事を避けるためです。そうなったら終わりでしたからね、お母さんが動いたらそれこそヤバかったです」
それはなんとなく、そんな気がしていました。ホント、深紅さんは何に護られているんでしょう?
「ここは殆どが当時の日上山ですけど……例外があるんですよ」
「例外、ですか?」
私たちがいる事でしょうか? 加えて犬神様もいますし。
だとして、それがどう繋がるんでしょう。
「ポカをやらかしたのは私なんですけどね――この記憶の中には朝武長男の念がいました」
「「「っ!!!」」」
まさか穂織の呪詛そのものが!?
「どこから入って来たんですか?」
「レナちゃんからですよ。レナちゃんは憑代の欠片を持っているでしょう? 犬は慰撫せても、長男の怨みは別。レナちゃんは朝武じゃないから呪詛の対象外でしたし、土地神の器になれるくらい綺麗な精神だったから大した事は出来ていなかった。精々夢を見せていたくらいです」
「夢……レナさんにですか?」
茉子も私も聞いた事がない。多分不来方さんも。
こちらに来る際、何かの夢をご覧になっていただろう様子は見ていますけど。
「最近悪夢と言うか、変な夢を見る事があったらしくて。前回は耳鳴りを様子見してしまって犬に連れていかれたのもあったので、今回はOKをもらって記憶を見せてもらう事にしたんです。それを利用されたようで……見つけたら絶対滅ぼしてやる」
一瞬深羽さんの気配が
「レナちゃんが綺麗すぎたが故に、一切の影響も変質も受けずに元の形を保ってたんでしょう。どうもアレがババア共とクソ男を誘導したみたいですね。流石に私も射影機を持っていない状態で
「実際襲われましたね。巫女相手だと見境なしなわけですか……私、銀髪なのに」
「芳乃さんは……花、でしたか。あれはあまり使わないように気をつけてください」
「芳乃様が目覚められたのは光の力ですか。闇よりはいいですね」
茉子はホントに何を言っているの?
わざわざあそこで待っていたのは、私と不来方さんが来る可能性を知っていたからですか。
どれだけ巫女に対してヘイトを持っているんですかね?
「夕莉さんが射影機を持っていない可能性は勿論、アレの目的の一人が朝武さんっぽいなら朝武さんを危険に晒す可能性は極高です。時間を掛ければあの匪をぶっ壊す自信はありましたし、私が「私」でなくなれば夢も消せます……と思っていたんですけど、レナちゃんの夢と繋がってしまっていたのが大誤算。だからアレもこっちに来て、皆さんも入って来れたのかと」
「ここの何処かがレナさんの夢に繋がっているんですか?」
「今の私の夢に有地君とレナちゃん、おチビは多分いません。一緒に入って来たんですよね? なら有地君達はレナちゃんの夢に招かれているんでしょう。そして恐らく、あの男も今はあちら側にいる。私の力を吸ったんでしょうかね」
私の力じゃ全く開かなさそうだったあの箱を内から壊すって……。
とにかく、有地さんとムラサメ様はこちらにはいらっしゃらないんですね。
ある意味良かったかもしれません。あのお二人には除霊の力がないのだから。
気になるのは……深羽さんの力、霊力的なナニカを朝武義和が吸った?
「朝武さん達も既に詳細をご存知っぽいですけど、私は生者のお母さんと死者のお父さんとの間に生まれた『
「すみません。犬神様から聞かされまして」
「私への当てつけですかね? あの犬。躾けてやる」
「今は社の前に待機していると思いますけど……一応ワタシにも力を貸してくれているっぽいのでほどほどにお願いします」
なんだか軽~く言われた感じですけど、結構なお話ですよね?
予め犬神様から聞いていますから受け入れられますけど――意図的に人柱になる子を生む?
とんでもないお話です。深羽さんの強さには納得がいきますけれど。
「普通の生者に憑りついたとして、霊力的なのを吸えても限度があります。その前に死んじゃいますからね。ですけど私は身体の中に夜泉――怨霊にとっての御馳走を抱えています。私がレナちゃんに触れた事でそれを吸収して、枢木を使って私を結ノ家に運んだ上に夕莉さんや朝武さんが来れるように道を開かせていた。で、こっちでバタバタやっている間にレナちゃんの夢に移動して、あっちで何かやってるんでしょうね」
「その
「確実にターゲットにされているのは有地君かと。あの男の呪詛持ちですから。憑代の意識の大半が犬に喰われた以上、有地君の持っている呪詛は自分の意識が残った貴重な身体の破片でしょうし。が、分かるのはそこまでです」
「では今頃、有地さんが朝武義和に襲われているかもしれない。そういう事ですか」
「犬神様のお話では、レナさんが眠られているのは姉君様の防衛反応という事でしたけど?」
犬神様曰く、「深羽さんですら入れない」。それを朝武義和が突破したと?
有地さんとムラサメ様が招かれたのも気になります。
ムラサメ様は分からなくもありませんけど、有地さんの場合は最初に叢雨丸を授けた一族の子孫でしか……。
違う。
「姉君様は……有地さんの中の玉石に反応されて、お招きになった?」
「可能性は大。そしてレナちゃんの中にも別の呪詛が入るきっかけが出来た。ようは呼び水です。他にあるのかもしれないですけど、情報不足ですね」
朝武義和の怨念が力を増そうとしているのは分かりました。
ですけど……その目的は?
怨敵の末裔である私や、直系子孫である茉子を放置してでも元の身体の確保に走った。
もう実体はないというのに、一体何をしようとしているのでしょう。
♢♢♢
『遅い』
いつの間にか幽ノ宮の参道まで戻ってきました。
キチンと犬座りしている犬神様に、何となく笑いがこみあげます。
「目的、分かる?」
『罪人だろう。ヤツに夜泉をどうにか使うなどという知能はない』
「説得力があるわね。あくまで嵩増しか」
何だか深羽さんと犬神様が通じ合ってる感がありますね? 無駄な説明は不要というか。
あくまで深羽さんを利用したのは、純粋な力の補充だったようです。
『用が済んだなら疾く目覚めよ。器とはいえ姉君を侵す事は許さぬ。貴様が欠片も夜泉に融けて居らなんだのは誤算だったな、大層なシロモノだ』
「待ってください! レナさんが危険だという事は無いんですか!?」
『このままヤツの意識が本格的に戻る方が面倒だ。器の夢の中で罪人から身体を取り戻す前に、御身たる玉石を合わせればヤツの居場所などなくなっていた。だから忠告したというのに』
忠告……日中のお父さんへの神託?
有地さんの玉石の返還指示はそういう意味だったんですか。
『夜泉子は看取りを止め、目覚めた。貴様らの目的は達したはずだ』
「待ちなさい。私が誰を看取るって?」
『……貴様、姉君を看取っていたのではないのか』
「私が誰かを看取ってあげる優しい性格だと? 能天気な犬ね。私は
「もう無茶苦茶ですね……」
不来方さんすら理解を超えるお話の模様。
まあ……ご自身をあの黒い水と一体化されていたんですよね? それは意味不明ですよ。
『ならば何故貴様の記憶が再生されている? 姉君を看取るべく『黑キ澤』を再現したのではないのか』
「違うって言ってるでしょ。私こそ知りたいわよ」
「そういえば……何故ワタシも、ここに来る前に深羽さんを追体験する事になったんでしょう?」
「私の、不来方さんの追体験もそうなのかしら……」
「私の記憶を見ちゃったの? 常陸さんもよくまあ
私たちは結果的に無事
だけど仮に、あのまま不来方さんの記憶を追い続けていたら。身を任せていたら。
私は「一歩」を踏み出していたかもしれない。それは何を意味した?
茉子だってそう。私たちが助けるのが少しでも遅れていたら、壊れてしまっていたかもしれない。
黒澤逢世さんの弔写真が無かったら、ここに辿りつけていなかったかもしれない。
これって。
「…………私たちを、壊しにかかってきていませんか?」
夜泉がどうこうとかは分かりませんけど、かなり知恵は回っている。
私と茉子を殺しにかかったわけではなさそうだけど、精神的に最もダメージを与える策を打ってきている気がしてならない。未熟な私と茉子ならそこまで難しくない。実際危険な領域だった。
私が来なければ、不来方さんは鉈の男と一騎打ち。
茉子を助けるために大量の怨霊と鉈男と戦った上で、廃人と化していたかもしれない茉子を連れ、今度はあの老婆と戦う事に。いくら不来方さんでも満身創痍でしょう。
深羽さんについても、もし「看取り」というのを永遠にさせられていたら目覚められなかったかもしれない。これについては犬神様すら想定外の手段で解決されましたけど。
出て来れていたとしても、常に鏡を翳されていたら苦戦は必至の筈です。射影機の話もあった。
『あの愚物に知恵などない。虚栄心と思い込みで生きていた肉塊。自分に都合のいい事のみを事実と捉え、周りにそれを強制していた塵だ。結果として我が首を落とされた事実など憤死の極み。この身でなければ幾度であろうと転生し、噛み砕いてやったものを』
「つまり、
『何が言いたい? 朝武芳乃』
初めて名前を呼ばれましたね。こういう事です。
「誰かに「知恵を貸す」事を強制していた、ならいかがですか?」
足りないなら他所から足せばいい。
私の硬い頭が、有地さんによって柔らかくなったように。
お父さんや茉子、ムラサメ様に諭されたように。
不来方さんや深羽さんたちに力をお借りしているように。
戦国時代当時がどのような状況だったか、詳細は分からない。
ハッキリしているのは長男家と次男家の仲が悪かった事。
当然私の先祖の次男家、朝武実利の側についている力は借りられない。
だけど、「朝武家そのもの」にある力ならどうでしょう?
『…………磯良か。あの愚か者めが』
「ご存じなら話して頂けませんか? 私たちの為ではなく、姉君様の為に」
人の為には直接話せない。神託という形でしか。
でも身内なら問題ないでしょう。しかもここは深羽さん達の夢の中。極めて特殊な場所の筈。
駒川磯良さん。
当時の朝武家に仕えて下さっていた陰陽師にして、「花守の儀」なる儀式で黄泉の門を封じようとされていた方。極めて優秀だったでしょう。
彼女の知恵があったなら。
『…………黑キ澤の守り人が穂織の黄泉の門の存在を朝武に伝え、その対策を検討していた中。あの男の頭にあったのは貴様の祖先、朝武実利の人望を失わせる事だけだった』
話し始めてくれた。
当時の黒澤さんは「黒き澤の守り人」という肩書が省略された名だったんですか。
そして、そんな時でさえ自欲を優先する事を。
『あの男自身、民の注目が弟に向いていた事は自覚していた。故にその現実を認められなかった。ならば朝武が主導する事業を失敗させてやればいい。それは弟の信用の失墜に繋がる』
「我が先祖ながら、救いようのないクズですね……」
「常陸さんの腹黒がソレ由来じゃない事を祈りますよ」
『失敗を確実にし、より信用を崩すためには寸前まで成功させていなければならない。主導は朝武実利の下に進められたが……悪知恵が回ったか、あの男も一時的に弟の行動に乗った。憎しみを募らせながらな。その最中に我が身を剥ぎ、無意味な仮門を建てるなどという愚行も行ったか』
「それが、あの武実乃山のマヨイガですか」
私たちがあの絶対霊に遭遇したマヨイガ、アレは朝武義和が建てさせた封印の仮門だったと。
誰が建てたかはともかく、物理的に塞いでいたという私たちの予想はあっていたんですね。
『磯良は本来の門の予定地を拠点としていた。が、あの男が無作為に山を切り開き、無駄に穴を開け始め、不幸であの男の開けた穴が本当に穂織の黄泉の門に辿りついた事で放置出来なくなった。故にそちらへ移り、本門の場所に封印を成す柩籠を別の者に組ませた。山の穴からの影響を抑えるため、儀式も急く事になったか』
「不幸どころじゃないですね。そんな事って……」
「アンタも姉君様も、どうもしなかったの?」
『だから姉君の御身を用いる儀を許してやった。あからさまに干渉は出来ん。永久花も選別の儀を経て清められた巫女ではなく、都合のいい死に体の娘を使う程度の悪さ。柩籠の
「それが……叢雨丸と、ムラサメ様ですか」
本当なら叢雨丸が朝武家に渡る事も、ムラサメ様が人柱になられる事も無かったかもしれなかったんだ。偶然に儀式を早める事になったせいで、急ごしらえになったが故の結果だったなんて。
『ヤツの手で黄泉の門が発見された事、贄とする娘が決められた事は事実。磯良もヤツの言を聞こう。御身を扱うのはあの罪人……
「鞍馬勘太郎……それが初代「鞍馬」の方ですか」
「有地君やオーナーさん一族のご先祖と。縦社会の面倒なところね」
どう見ても裏がありそうと思っても、実績を得た以上敬わないわけにはいかない。
有地さんたちのご先祖様が担うべき役を、恐らく資格のないものが担った。
訪れる結末は……そういう事でしたか。
『儀において、ヤツの手に触れられようと姉君の御力は発揮されるはずだった。だが……ヤツが儀式の最中に御身を持ち出す愚行でも侵したのだろう。次いで実利の首を落とそうとでも考えたか、自らの力のように振るう真似まで行ってな』
「その結果が……」
『「さんよう」だ。力の調和を失い、まだ開いておらなんだ黄泉の門から瘴気を逆に吐き出させ、穂織は暗闇に沈んだ。瘴気は門前にいただろう磯良を蝕み、穂織に蔓延し、隣国に伝わり、戦乱と内乱を招いた。ヤツは結局御身を木の棒ほども使えずに投棄し、実利一派に振るわれ戦が鎮圧された後に鞍馬勘太郎の手で本門の上に封を成し、一旦穂織の黄泉の門は閉じられた』
「で、アンタはなにしてたのよ」
『姉君が瘴気に侵されぬよう、御身たる玉石を身につけ我が身を上った。穂織の人間共がいくら死のうが姉君を妖扱いしようが、
これが、真相。
おおよその流れ自体は知っている形。問題なのはその背景。
跡目争いの結果、本来猶予のあった穂織の黄泉の門が無理矢理開かれる事になった。
瘴気によって当時の穂織の人たちの一部は「あちら側」に侵され、
有地さんが叢雨丸を引き抜かれた事が出現の原因だったのは合っていたけど、戦国の時点ですら仮封印であって正しく閉じられていたわけじゃなかったんですね。
つまり姉君様が私たちに望まれているのは――黄泉の門の正しい封印。
犬神様が犬神になった経緯や、私がその力を継いでいる理由までは分からない。
黄泉の門とは無関係かもだし、今考えるべきでもない。
朝武義和がどうやって自身の呪詛を残したかが問題だけど、それは犬神様が犬神に堕とされた後。
恐らく犬神様すら経緯をご存じでない。
――本題に戻しましょう。
「駒川磯良さんは……黄泉の門が開いた時に?」
『あやつの事だ、即狂死はしていまい。御身を用いた本門における封印は、磯良の娘共が代理していた。何かを伝え聞いているだろう。が……これ以降、我が記憶しているのは首を落とされた事実のみ』
「それがみづはさんのご先祖に当たるわけですか。穂織に陽炎山や日上山の文化が表向き残っていないのも、この時に失敗したが故に危険と判断しての失伝なのかもしれません」
「…………失敗の責を、長男に押し付けられたのかもしれません。その時の後悔、責を果たせなかった無念、最終的には長男の命に従っていた事実から狂った怨霊――絶対霊になってもなお、主に知恵を与える感じになってるんでしょう。陰陽師なら呪いなどにも詳しいのではないでしょうか。実際に、瘴気を浴びても役目を果たそうと自我を切り離した例は私も伺っていますし」
「
『ここまで無礼だと、いっそ怒りも湧かぬ』
朝武義和の怨霊は、朝武家のお抱え陰陽師であった駒川磯良さんの知識と知恵を得ている。
彼女は陰陽道に精通していた、黄泉の門の封印を主導できるほどの知恵者。
今の望みが何なのかは分かりませんけど、達成するための手段は手堅く打ってくる。
私たちが、ここで囚われようとしたみたいに。
『さて、話してやったぞ? 朝武芳乃。貴様はどうする? どう姉君の御身を返還する?』
どうしましょうね?
なんでこんな事になっているのか、その経緯は分かりましたけど。
どう解決すればいいのかは目途が立っていません。
玉石の最後の一個の場所は、恐らくマヨイガの向こう。黄泉の門の傍。
臨時の形だったとはいえ、駒川磯良さんが行おうとしていた花守の儀を完了するためには叢雨丸が必要になります。
何にしても黄泉の門とやらを閉じない限り、いつか穂織は全滅。それだけじゃすまないかも。
犬神様が呪って労働力としようとしていた人たちすらいなくなります。
「……まずは黄泉の門を封じさせてください。開いてしまえば、事が終わった後の人を揃える事も出来ませんから」
『言うようになったな、己が治める民を奴隷とするか』
「そんな事言ってません! とにかく玉石を探す過程で黄泉の門を閉じる事は必須事項です。先にそちらを達成させてください」
『ククク、よかろう。何にしても貴様らだけでは最後の御身の欠片には辿りつけぬ』
試してきますね? この神様。かなり意地悪です。
「さて……ここからレナさんの夢に移動する手段はあるんでしょうか? いっそ深羽さんが目覚められた方が早いんですかね?」
「一度外に出てしまうと多分締め出されますね。それこそあっちの思うツボです。とはいえ、私もレナちゃんに関する寄香を持っているわけじゃないんですよねぇ。朝武さんは持ってないです?」
「レナさんに関するもの……特には」
夢の外で手に触れてはいるものの、逆に言えばそれだけ。
放生さんからお預かりした「弔写真」は日上山に関係するもの。レナさんは無関係。
同じ夢にいらっしゃるだろう有地さんとムラサメ様に関する品物も同じ。物としては手元にない。
何か考えないと。
「……彼女なら、何かご存じでしょうか」
不来方さんがそんな事を仰った。
「彼女」? 黒澤逢世さんでしょうか? でも恐らくすでに柱に……。
「話に聞いた
「私の夢も混じっています。駄目元ですけど、私達よりこういった世界の在り方に詳しいかもしれません。彼女も特殊な巫女ですから。当時は私と「遊ばれた」程度でしたし」
まだ巫女がいるんですか……しかも会話が可能そう。
どういう存在なんでしょう。
『……ほう、珍しい。柱として、あの小娘とは雲泥の差だ』
「なんだか分かりませんけど、隙あらばムラサメ様をディスらないで頂けますか?」
犬神様は存在を察知されたご様子。
言い方は何ですけど、ムラサメ様の本体である綾さんより特殊な出自のようです。
「どなたに会われるんですか?」
不来方さんからの返答は。
「――
現在山の山頂付近ですが、今度は中腹まで下山します。
零側のキャラが新しく登場です。ゲスト霊ですけどね……。
今年の投稿はこれで最後になります。
書くのがおっそい中、お付き合い頂きありがとうございます。
下書きが遅々として進んでいないのですが、プロット自体は出来ているので
今の箇所が書き終えられたらペースは上げられるかと。予定から改変しまくりですが。
このペースじゃ来年でも終わらない……。
今もフラグ管理で勝手に四苦八苦してます。
次回も楽しんでいただけたら嬉しいです。来年もどうぞよろしくお願い致します。