零 ~イヌツキの少女達~   作:もふもふたぬきねこ

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このお話を書くと決めたがために、
戦国編のプロットの大半を書き直す事になりました。おバカです。
名詞の強調の都合で「」が多くなっています。ご了承ください。

評価点を頂きありがとうございました。
普段は気にしないようにと思いつつ、やっぱり嬉しい瞬間です。


今回もよろしくお願いします。


62. 守り神からの伝言

「そうですか、相変わらずレナさんには優しいと……なんなんですかね? あのシスコン神様」

 

「力を継いでいるらしい私も、完全放置だったものね……」

 

 

 

日が陰ってきた頃。

ムラサメ様――綾さんのお住まいに向かう道すがら、ここまでの経緯を茉子こと茉莉さんに説明してきました。

 

レナさんには犬神様が付いているし、幸い不来方さんと深羽さんが宿られている黒澤さんは元々この時代の住人。髪も黒色ですから、私みたいな目立ち方はされていないでしょう。

 

「驚きなのは小春さんですね、まさか朝武の始祖だったとは。ある意味腑に落ちましたけど」

 

「どうしてなの?」

 

「ワタシの腹違いの妹に、小春さんによく似た子がいるからです。お春ちゃんと呼んでいますよ。実利様が朝武直系でないはずの安晴様に似ていらっしゃいますから、そこまで気にする事もないかとは思っていたんですが。朝武の血筋が鞍馬の血筋でもあるなら理解もできます」

 

この時代にも小春さんのそっくりさんが?

本当なら小春さんの方が直系と言われる血筋なのかもしれないのね。

 

「現代の私たちって、この時代では結構近い親戚関係なのかしら?」

 

「不思議ではないでしょう、山中の地ですから。イヌツキと呼ばれていないこの時代の穂織ですけど、湯治を除けば他所からの人の流れはあまりありません。今後の歴史も考えれば遠からず身内同士の結婚になります」

 

「それもそうか……他の誰かには会った?」

 

「駒川氏はご存知でしたね? それ以外だとさっきのお春ちゃんのお母様、つまりはワタシの義理の母に当たる方が馬庭さんに似ていらっしゃいます」

 

馬庭さんはこの時代の小春さんのお母様なんですか。

現世では義理の姉妹みたいな感じだし、分かるかもしれません。

 

「それから……鞍馬君と玄十郎さんが混じった感じのお百姓様は見ていますね。立場の都合で話はできていませんけど、その方が勘太郎殿の御父上なのかもしれません。他にも小野さんとか柳生さんとかに似ていらっしゃる方も居ますよ」

 

玄十郎さんと鞍馬君のミックス? どんな感じなんだろう。

クラスの皆さんに似た方も。私に限らず、皆さんこの時代から繋いでこられているんですね。

 

 

 

「…………あちらです。病状の悪化を防ぐため、隔離させてもらっています」

 

 

 

茉子が目線を向けた先には……失礼ながら、あばら家としか言いようがない建物が二つ。

一つは納屋よりも小さいかもしれない。臨時で建てたのかな。

 

「ちなみにあそこ、現世でのどの辺りか分かりますか?」

 

「あそこ? ……見た感じ、あまり特徴はなさそうだけど」

 

川とか丘とかあるならまだ分かるだろうけど、単なる農地って感じ。どの辺だろう?

 

「多分ですけど、鵜茅(うがや)学院がある場所です」

 

「学院なの!?」

 

「現世の穂織では常に人がいる重要施設で避難所。今回の一件が終わった後か別の何かかは分かりませんが、ご一家が「鵜茅」の姓をもらうのかもしれません。学院となる前の武道館になる更に前に、役所のような物が建つのでしょう」

 

「へええ……来歴なんて考えた事もなかった」

 

「因みに志那都荘の場所は勘太郎殿のお住い。不来方さんの喫茶店だろう場所は鬼門扱いで、駒川氏が抑えられています。続くものですね、こういうのって」

 

現世の各地の地名と地形も、元は相当に古い名が文字を変えて残ってたり舗装されたりって話は聞いた事があったけど……こんな身近に実物があったとは。

あの喫茶店って鬼門なの? 接客のお店に向かないんじゃあ?

 

「こちらの手ぬぐいをマスク代わりに。芳乃様は感染(うつ)感染(うつ)される可能性がありますので。現世なら当たり前ですけど、この時代だと簡単には結びつかないものです」

 

そう、何となく寂しそうな茉莉さんから手ぬぐいを受け取って。

顔に巻いて、小さな建物の中へ。

 

 

 

「綾、生きているか?」

 

「…………これは、茉莉様……に、ひっ、姫様!? っげほっげほっ!」

 

「良い、そのまま寝ていろ……ワタシ達が知っている方の芳乃様ですよ、()()()()()

 

 

 

そこには、ただ一人で横たわられていた「綾さん」であるムラサメ様。

とてもとても、弱弱しく見える。

「花」として選ばれているのもあってか、幸い布団を頂いているようです。

 

「……姫様、じゃ、ない……芳乃さま、と? ……よかった。口が利ける、うちに、会う事が、出来て」

 

「遅くなってすみません、ムラサメ様」

 

「いえ。こちらとしても、随分と、懐かしい経験を、させてもらって、おります。まさか……また父上と母上と、友と、話せるなどと、思っておりませんでした」

 

3年という期間限定とはいえ、500年振りの再会ですものね。

私たちにとっては夢であり歴史と想像の世界でも、ムラサメ様にとっては現実だった時代。

半端であるらしい意識とはいえ、お感じになっているものは大きいでしょう。

 

こんな口調のムラサメ様は初めて。これが本来の話し方だったんですか。

 

「ざっくり説明を。芳乃様達は日上山での話の後、ワタシと違い平安末期にいたそうです。そこで叢雲様……姉君様ですね、その方から叢雨丸を下賜された経緯をご覧になった後にここへ。最初は霊体だったそうですが、いつの間にか肉体を持たれたと。レナさんの金髪と芳乃様の銀髪の都合で妖扱いされていた所を今日の昼に保護、今ここに至った。そんな所ですよ」

 

「…………むら、くも、さま。ああ、そうか。そうで、あったな」

 

叢雲様の名を聞くのはこれが初めてのはず。

にも関わらず、ムラサメ様はなんだか懐かしそう? 声に力が宿って来た。

 

「それと……これは茉莉としての話になりますが、「花」となっていただくまでひと月とありません。暦の話も合わせれば、恐らく半月後だと」

 

「……丁度、満月の、頃ですね。ふふ、成程。そういう事で、あったか」

 

「ムラサメ様?」

 

ムラサメ様が少し微笑まれた。でも、その意味合いが先ほどまでと違う気がして。

 

 

 

「ここで会えてよかったぞ、芳乃。()()からも伝える事が出来たからの。しかしまあ、そうやって髪を染めて結うと姫様にそっくりだな」

 

「ワタシも思いましたよ。気付かないものですね」

 

 

 

血色が戻られて、上体を起こされた。綾さんからムラサメ様に切り替わった感じなんでしょうか。

まずはお話を聞きましょう。

 

「どのようなお話ですか?」

 

「何故覚えておらなんだのやら……この時の為だったのかもしれん。ここで思い出すとはの」

 

「お聞かせ願いますか、ムラサメ様」

 

「ふふ。茉莉様である茉子からそう言われると、なんだか不思議な気分だ。すぐには信じられぬと思うが――」

 

そうムラサメ様が仰って、息を整えられた後。

 

 

 

「この戦国の時代で、吾輩は……こうして芳乃と茉子に、実際に会っておる」

 

「「…………は?」」

 

 

 

とんでもない事を仰った。それはつまり――

 

「今ここは誰かの夢の再現、ではなく……本当に500年前の現実である、と?」

 

「そうと言えるが、境界が曖昧だな」

 

と聞くと、日上山での黒キ澤や日常の逢魔ヶ時、神社の境内の話など色々浮かびますが?

 

「芳乃と茉子は間違いなく500年後の人間だ。故にここには未来から来た形、初めてこの時代にいる。一方で吾輩は「ムラサメ」であると同時に、実際にこの時代を生きていた「綾」でもある。前回の記憶にある中でお主らと話していたのは「綾」、今ここで話しておるのは「ムラサメ」なのだよ。吾輩にとっては半分夢での会話なのだ」

 

む、むずかしい……とにかく、ここは本当に過去の世界という事でいいんでしょうか。

 

「つまり……ここでのワタシ達の行動が、未来に影響を与えると? タイムパラドックスとか大丈夫なんでしょうか?」

 

「タイムパラドックスって何?」

 

「本来あり得ない過去の行動変化が未来に影響を与える、という仮想の概念です。SFに多いですね。ドラ○もんも何気にコレの一つですよ」

 

ううん……? もっと色んなジャンルの本を読んだ方が良いみたい。どら○もんって何?

茉子が博学なのかもだけど。

 

「例えばですが、ワタシがこの時代の姫様を次代が生まれる前に死なせてしまった場合、未来で芳乃様は生まれない事になりますよね? ですけど、未来の芳乃様は今実際に過去に来ている……のは何故? と。そういう矛盾の事です」

 

「今私はここにいるのに、この後の行動で生まれない未来になる……すると、どうなるの?」

 

「設定だけなら色々と。未来がこうなっちゃうからどうにかしろって、更に未来の人が来て解決するようなパターンもあれば、その人が完全に存在しなかった歴史に改変されている、なんてのもあったでしょうか。前者ならともかく、後者なら碌な事になりませんよ。下手すると帳尻合わせのために、穂織に関する過去から未来までの全てが消滅するかもしれません」

 

とんでもない現象ね……。

 

「恐らくは、吾輩がここで芳乃か茉子から「叢雲様」の名を聞く事が分水嶺。そうでないなら、今の吾輩も知らん別の歴史を歩むのだろう。先程一気に記憶が戻ったからな」

 

「つまりこれで、今のワタシ達に繋がる未来への道筋が確定したと?」

 

「だと思う。吾輩達の因果に神様方が関わっておる以上、簡単に人間に変えられるものではない。この時代の先に起こる事は決まっておる。どういう行動であれ、この後なぞる歴史が吾輩や茉子達の正史だ。つまり当時の茉莉様には本当に茉子が宿っておったのだよ。数多い長男の子の中で、1人飛びぬけて優秀な方がいた記憶がある。それが茉莉様であり茉子だったのだろう」

 

「ですけど……500年前のムラサメ様は綾さんで、ムラサメ様の記憶はお持ちじゃなかったんですよね?」

 

「本来はその通り。ややこしいのはそこだな」

 

ムラサメ様はお二人分の記憶を持つ事になりますからね。

ムラサメ様にとっての500年前の状態がどうなっていたのか。

 

「想像の域だが、病の都合で茉子に隔離してもらったお陰でここに一種の境界が出来ておる」

 

「この時代における現世……現実とは少々違うと?」

 

「極小の常世と思えばいい。今この場のみ吾輩はほぼ「ムラサメ」で、三人が揃わんだの、場所が違うだのがあればほぼほぼ「綾」という事だ。今まで茉子と会っても意識が曖昧気味だったのはそういう事だろう。この後、ここでの記憶は再び封じられるのだと思う。不要に未来に影響を与えぬように。まだ吾輩は「ムラサメ」であってはならんからな」

 

「確かにムラサメ様はワタシを「常陸茉子」だと認識されても、絶対に敬語でしたからね。有地さんの名も持ち込めずに「ご主人様」と朧気でしたし」

 

「ふふ、そうであったな。「有地将臣」、それがご主人の名だった。茉子は遥か目上の存在だ、綾にとっては恐縮の極みだったであろうさ……と、まあ大事なのはこの後だ、芳乃」

 

ここまでも相当に衝撃的なんですけど、まだ大事なお話が? 既に容量オーバーなんですが。

なんとか頭に詰め込まないと。

 

 

 

「ど、どうぞ」

 

「混乱しておるのは分かる。吾輩とて信じられぬからな……吾輩は「綾」であり「ムラサメ」で同一人物、茉子は「朝武茉莉」に「常陸茉子」が宿った形で一人だけ。だが「朝武芳乃」は同じ時代に二人おる――恐らくだが、どこかで()()()()()ぞ」

 

「へっ?」

 

「姫様と芳乃様が、物理的に入れ替わると?」

 

「そうだ。この時代の出来事に、ここに居る芳乃が関わらねばならん」

 

 

 

私が、神社の巫女「姫」じゃなくて、朝武の「姫」様に?

そんな教育受けていないんですけど!?

 

「500年後より神秘の強いこの時代だが、姫様に何か兆候はあるか? 茉子」

 

「いえ、特には伺っていません」

 

「ムラサメとなった吾輩と、芳乃には繋がりを感じる。が、姫様には感じぬ。花守の儀まであと半月であろう? このままでは「姫」を担えん」

 

「この後にお力を与えられるのでは?」

 

「ならば何らかの形で叢雲様や白山狛男神としての犬神に関する知識を、朝武家自体が少しは持っているはず。だが……少し前までどうだった?」

 

祟り神は長男が放った呪詛「犬神」。つまりは最初から完全に敵性の認識。

不来方さんと深羽さんからお話を伺うまで、「犬の神」という存在すら一切知らなかった。

奉っていたのは、目に見える御神体「叢雨丸」と管理者のムラサメ様のみ。

 

「つまり、この時代の朝武家に神様方は接触されない……まさか?」

 

「茉子は理解が早いな。生き残るためというより、とある未来とするための布石だ」

 

「ええっと?」

 

私一人だけ置いてけぼりの気分なんですが。

 

 

 

「犬神と叢雲様のお力は、ここに居る「500年後の朝武芳乃」を生かすためのものなのだ」

 

 

 

馬鹿な事考えてる話じゃなくなってきた。

 

「つまり歴代の巫女姫達は、ここに居る芳乃まで命を繋ぐ事が使命、そのための加護。故に次代が生まれた後、加護が弱まってしまったのだろう。呪詛の思惑もあるだろうがな」

 

「平安から朝武家は既に加護を得られていた。でも巫女姫の(たい)を成したのは戦国の世。つまりこの時代に巫女姫となるよう加護を与えられたのではなく、未来の芳乃様の誕生の為に()()()()()()()()()()()()()()、と。方向が逆なわけですか」

 

 

 

歴代の、500年間の巫女姫様達の使命が……私を誕生させる事?

 

 

 

「何故、私を……?」

 

「分かりやすいではないか、現世の事を振り返ってみよ。様々な事が動いておったであろう?」

 

「これまでの巫女姫様方は……結果論ですが、次代に命を繋がれていたのみ。ですが」

 

「ご主人が穂織を訪れて叢雨丸を引き抜き、500年ぶりに使い手が現れ、ある意味犬神と和解して、今のお役目は叢雲様の御身の返還と穂織の黄泉の門を閉じる事となった。その全ての当事者となった朝武の者はお主だ、芳乃」

 

「犬神は深羽さんの力で神格を取り戻しましたしね……まあそこまで重く考えずに行きましょうよ、芳乃様。芳乃様個人に直接使命を与えられたんじゃなくて、500年後における巫女姫として選ばれただけなのかもですし」

 

正直それなら大分気が楽だけれど……名前も一緒なのを考えると、縁があるのでしょうね。

ありがとね、茉子。

 

 

 

祟り神は加護を与えていた存在そのものだった。

巫女姫達の務めは穂織と、自らを守るためのつもりだったけど……果ては見えなかった。

 

そもそも祓う事は使命でなく、望まれていた行動でもなかったから、ですか。

 

 

 

「では、今この瞬間も折り込み済みだと? 本当にこの後お城の姫様に宿されたって事はないんでしょうか?」

 

犬神様に、今まで散々な事言われてましたよね? そんな私に才があると?

 

「ゼロではないだろうが、それならこの500年で事態は何かしら進展しておるだろう。が、吾輩の記憶の限り明らかに進んだのは芳乃の代だけ。例外と言えばレナの先祖の事くらいだ。それに……今合点がいったが、もう一つ巫女姫としてではなくこの場の芳乃にしか出来ん事がある」

 

「それは一体?」

 

「射影機を使える事だよ」

 

「「…………ああー……」」

 

懐に隠していた射影機を、表に出して見つめる。

これなんて、魂とかじゃないのに千年を渡って来てるんですよね。

 

確かに……。

 

「ありえないものを写し出す、常世に足を踏み入れる、常世すら侵さんとする、カメラというこの時代にはありえない道具。そんな物を手にして使えておる巫女姫は、歴代で間違いなく芳乃だけだからな」

 

「日上山では光の力に覚醒されていましたっけ。歴代の巫女姫様方で最も常世(神様方)に近い存在なのも、今の芳乃様なわけですね」

 

「納得したくありませんけど、納得できてしまうお話ね……こうしたやりとりに射影機も関わっているんでしょうか」

 

「かもな。現世にも芳乃の身体はあるのだ。ならばこの場の芳乃の身体は射影機によって「写された」と思うと、納得出来そうではないか?」

 

ありえない事にも限度がありそうですけどね?

 

「そして芳乃に実体がある以上、茉子のように姫様に乗り移るような形にはならんはず。こうして裏でコソコソ動いておるようでは、芳乃は花守の儀にも朝武家にも関われん傍観者だ。故に、お主がどこかで姫様の代わりを務める時が来ると思う」

 

「そういうお話だと……芳乃様と姫様を出会わせてはならないパターンですね。「朝武芳乃が二人いる」と世界にバレたら消されるやつです。気を付けないと」

 

この後どうあがこうが、私が何かしらに巻き込まれるのは確定なわけですね……。

こんな事を発想する余裕なんてないはずなんですけど、ちょっと溜息吐きたい。

 

 

 

切り替えよう。

 

 

 

「それで、多分ですけど……筋書きがあるのはここまで、なんですよね?」

 

そうでないなら、この先黄泉の門が閉じられるかどうかも確定しているはず。

名を失われ、身体を砕かれた叢雲様と、犬神に堕とされた白山狛男神様。

いくら力のある二柱でも限界はあるでしょう。

 

「だろうな。原因は勿論」

 

「朝武長男」「朝武義和」「バカ父上……と。今のうちにサクッとヤりたくなりますね」

 

とんでもない事を茉子が言い出した。まあ気持ちは分かるけども。

 

「無駄だ、あの男の最期も既に定められておる。茉子が何をしようとその瞬間までは必ず生き延びるだろう。そういう歴史だ」

 

「で、長男もある意味未来の記憶持ちなわけですから」

 

「その瞬間がいつか分かりませんが、記憶が戻ったその時から元々の筋書きが破綻するか、先が描けない状況になる。それが今のワタシ達の現実に繋がる、そんな所なんでしょう。未来のワタシ達が知っている分でも、この先に起こるのは儀式の失敗、隣国の侵攻と内乱、力づくの仮封印、玉石の破壊に犬神の誕生と厄ネタは盛り沢山です。何処で絡んで来るやらですね」

 

「あちらは芳乃のような加護ではなく、怨念と化すほどの、500年もの間消えなかった執念だ。どう覚醒するか、どうこの時代に影響を及ぼすのかは想像もつかぬ」

 

執念……元々は次男一族を滅ぼす事だけを考えているのだと思っていたけれど。

白菊さんはこう仰っていましたか。「死んでいるけど死にたくない」、「死なない方法を探している」と。それがどう影響してくるか……未来への何らかの布石を遺す? それこそ呪詛?

 

 

 

どうあれ、この先傍観者では居られない様子。

戦国の動乱の中、なんとしても生き延びないといけません。

 

 

 

「げほっげほっ!! ……すまぬな、現世の綾の身体の方が持たぬようだ。虚弱だの、本当に」

 

「ムラサメ様でも、綾さんのせいでもありませんよ。それに、ここでお話しいただいた事が未来に繋がるのでしょう?」

 

「その意気だ、芳乃。お主は間違いなく護られておる。苦難が待ち受ける未来であろうが、負けてはならぬぞ」

 

「そのための従者です。お任せください――近日のうち、儀の日取りを伝える。生きていろ」

 

「雛咲娘に負けず、茉子も、大した役者だの……かしこまりまして、ございます……」




当初芳乃はあくまで眺めるだけにするつもりが、
本筋に関わる形にしたせいでフラグ管理が大変になりました。
読んだ経験も少ないのに、時間転移みたいな話を書くものじゃないですね。

ここから芳乃による歴史が動き始めます。
次回も楽しんでいただけたら嬉しいです。
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