【ソードアート・オンラインRTA】ラフコフ殲滅Any%『■狂者』   作:GARAKU

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 こっちも更新。
 時間が足りないので滅茶苦茶短い。


17話.記憶

 目の前で繰り広げられる戦いは、まさに異次元のものと呼ぶに相応しい光景だった。

 互いに片手剣。日本刀か西洋剣の違いはあれど、両者の持つパワー、そしてスピードは互角。

 火花が散り、黒く輝く両者の武器が、宙に幾千もの剣跡を刻む。

 今の彼らを突き動かすのは、純粋で純然たる、己の反射速度のみ。

 一際大きい、金属同士がぶつかる音が響く。

 その都度、大きく身体を揺らすのは辻斬り。――ガラクであった。

 160cmほどの小柄な体躯と、僅かにサイズの小さい日本刀武器によるハンデ。

 そして何より、今も尚最前線を走るキリトとは、鍛え上げたアバターのレベルが違う。

 意識を逸らし、攻撃の余波が届かないように意識する。

 並大抵の技量では成す事ができない。VRの申し子、キリトだからこそできる戦い方だが――

 

(不味い…)

 

 それでも。

 ガラクの斬撃をいなし続けながら、冷や汗を流す。

 キリトの内心は、鍔迫り合いが拮抗しているのにも関わらず、決して良いものとは言えなかった。

 

(フェイントが通じないのは当然として、さっきからこっちの攻撃の初手が潰される…()()()()()な)

 

 今の彼女は、殺気のみ過剰に反応する殺人マシーン。

 相手の放つ敵意や殺気の有無。つまりこちらが本気で当てるつもりの攻撃や、逆にそのつもりのないフェイント…見掛け倒しの攻撃の選別を完璧に行い、その隙を狙って攻撃を差し込んでくる。

 最初の三回で、キリトは彼女にフェイントを仕掛けるのをやめ、ソードスキルに頼らない、自分自身が持つ反射神経、そして純粋なプレイヤースキルによる、素の剣術同士の戦いを繰り広げていた。

 勿論、キリトには奥の手として()()()()()がある。が、もしそれを解禁すれば、おそらく最後の加減ができない。――つまり、彼女の命を奪う可能性があった。

 相手のHPを減らし、オレンジプレイヤーになるのを覚悟で、理性を取り戻してもらうのが一つ。そしてもう一つは、この調子で斬り合いを続け、確率で発生する武器の《ファンブル(落とす)》状態を誘発させ、武器を奪って戦いを終わらせること。

 普段から慣れている、右手と左手を同時に動かし、酷使する動きのまま、首と肩を正確に狙う、ガラクの斬撃をいなし続ける。

 それを繰り返す度にキリトは、恐ろしい何かを覗き込んでいるような、そんな感覚に襲われるのだった。

 

(()()()()()()()()()()…このままだと)

 

 ――均衡が崩れる。

 プレイヤーとしての技量。反射神経や剣術の才能はほとんど同じ。

 武器以外の装備品による、サブステータスの強化倍率の有無や、プレイヤーレベルの差による、筋力値やHPの総量や俊敏性。

 それらを合算しても尚、ようやく互角だった二人の実力と戦い。

 だが、キリトという強敵を喰らい、その技術を盗んだガラクは止まらない――

 

「っ――!」

 

 加速する剣撃の雨が、その密度を変える。

 全身を襲う刺突と一閃が、より最適に、より効果的な攻撃に進化し、その凶悪性を高めていく。

 無駄はなく、冷静に、そしてより最大効率の一撃を――

 

以…

 

 首。喉仏の中心――

 

「――ッ!?」

 

 咄嗟に《ダークリパルサー》を盾に、その刺突を受け止め、同時に足を地面から離すことで、その衝撃を緩和する。

 だが、その時すぐ――

 

「しま――ッ」

 

 ――()()

 それは、本来モンスター相手に、それこそ階層ボス相手に行う手段であり、対処法。

 広いとはいえ、限られた空間で、できるだけ硬直(スタン)時間を抑え込む為の、初歩的なテクニックの一つ。

 だが、今この場では。

 

 

 距離を離してしまったキリトの前で、銀色の刃がギラリと光る。

 その矛先は、そして彼女の視線が射抜くのは――

 

「――ひっ」

「シリカ!逃げ――」

 

 アバターを構成するポリゴンすらブレる程の、超加速。

 残像が映ったのは一瞬で、その次の瞬間。瞬きすら間に合わない速度で、ガラクは数十mも離れていた、ロザリアのいる方角に駆け出しており。

 その刀が、無常に首を刎ね――

 

 

 

 

「――ふぅ」

 

 ――ピタリ。

 引き延ばされた感覚。スローモーションになる視界の奥。

 刀身を首に、ダメージが発生する判定ギリギリで、刀を振るう途中の姿勢で制止した、ガラクの姿。

 

「全くガラクったら。――厄介なルームメイト増やしちゃって」

 

 その抑揚。

 声も、見た目も違うというのに、キリトはそれを聞いた瞬間。今はここにいない、()()の姿を思い浮かべ――

 

()()()()

 

 こうして、会うのは一年ぶりだろうか。

 いや、正確には、()()()()でならつい数日前にも会話を交わした。

 目の前で、刀を放って、不器用に笑うその仕草も。

 自分を見つめる、その優しい眼も――

 

「今すぐここから逃げて」

 

 アスナ(人格)は、そう言った。

 

「私が出ていられるのもこれが最後。そして――ガラクが()()()()を制御できるようになることは無い」

「な、にを」

「知ってるでしょ?()()()()()は所詮、ガラクの記憶が作り出した人格」

 

 あの辻斬りと同じく。作り出された存在である彼女は。

 まるで他人事のように、自分という贋作を語った。

 

「ガラクにとってあの人格は、制御不能の殺戮マシーンなんだと思う。どんな武器を使うか、どんな戦い方をするか…()()()()()()()()()()()()から、ただ敵意を向けた者を斬り殺す部分しか。…わたしみたいな、対話をする為の基本人格が形成できてない」

「…君は」

「こうして変われるのも、もう最後。だから――」

 

 アスナはここにはいない。

 目の前にいるのは、ただの複製に過ぎず、コピーされた人格の一つ。

 だというのに、涙すら見せず、別れの言葉も出さずに、そう告げる彼女の姿を見て。

 

「お願い。――ここから逃げて」

 

 ――まるで半身を失ったかのような、実体のない何かが削れてしまったような気がした。




 多分この世界だとサトライザーは銃弾で刀研がれて負ける。
 ザスカーは微妙な顔するけどプレイヤーは大盛り上がり()
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