【ソードアート・オンラインRTA】ラフコフ殲滅Any%『■狂者』   作:GARAKU

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 篁さんだけじゃなく、サカモトデイズのクロスオーバーなので。


5話.流れ星

 二層ボスの攻略は順調に進み、結果的に死者数は0人だと、ガラクは聞いた。

 武器の強化詐欺という、システムの裏をかく悪意の行為が明るみにもなり、結果として解決はしたものの、下手をすればSAOで初めて『処刑』が実施される可能性すらあったという。

 その際、強化詐欺を行っていたプレイヤーであるネズハと、彼が所属するパーティである《レジェンド・ブレイブス》にその方法を伝授した男。――黒ポンチョの男は、未だ行方が分からないまま。

 それでも彼ら攻略組は、決して歩みを止めることはなかった。

 最初のボスを倒し、一層を攻略するのに一か月以上かけてしまった分の穴埋めをするかのように、二層以降、彼らの快進撃は凄まじい。

 自信がついたのだ。自分たちなら大丈夫だと、しっかりとレベルを上げて、ボスの情報をNPCから、ダンジョンに湧くモンスターの見た目や武器種から、推察と考察を何重にも重ねて行い、シミュレーションを組み立ててボス部屋に突入する。

 約2000人の犠牲者の上に、ようやくSAOの攻略の基本が形成されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 SAO、浮遊城アインクラッドの層は合計で100という凄まじいボリュームではあるが、それらには共通して、層特有のデザインテーマというものが存在する。

 三層のメインテーマは『森』であり、生い茂る木々の数々やその密度、迫力は一層のホルンカの森周辺や、二層の南エリアとは桁違い。

 そして何より、この世界の生みの親であり、ガラクを含む一万人のプレイヤーを、そして犠牲になってしまった2000人近くの人間を殺した悪魔、茅場晶彦はかつて言った。「《ソードアート》とは、ソードスキルとソードスキルが織りなす光と音、生と死の協奏曲(コンツェルト)」なのだと。

 というのも、SAOには以前から《ルインコボルド・トルーパー》のようなコボルド族は湧いていたが、完全な人型とはとても言えない、まさしく『モンスター』と呼ぶに相応しい外見と迫力を持っていた。

 しかしここ三層からは、よりリアルな、完全な人型のMobが出現するのだ。

 

 エルフのキャンペーンクエスト。

 

 SAO初の『翡翠の秘鍵』と称される、一度きりの大型クエストは、β時代でもかなりの知名度を誇っていた。

 というのも、やはりどのプレイヤー、パーティも一度しか受けられず、更にはどの陣営に――白エルフと黒エルフのどちらに味方するか?といった選択制と、九層でようやくクエストが完全終了する程の、膨大なストーリー量もあるだろう。

 ガラクもβ時代、それを受けていた記憶はあるのだが、残念ながら途中で一時中断し、ボス攻略に夢中になって結末を知らないままであった。

 しかし、主街区である《ズムフト》の場所と、そこにある店の種類や場所の大雑把な記憶は残っている。

 そして現在。ガラクがいるのはNPCが運営する店、それもポーションを売っている場所だった。

 からんっ。と鈴の音が響いて、扉を開けて中に入ったのと同時に。声が二つ。

 

「あ」

「あっ」

 

 腰に細剣を携え、店のショーウインドーを眺めていた彼女と、同調した声を漏らした。

 こうして会うのは、一体いつぶりだっただろうか。

 最初に出会ったのは一層。それも迷宮区で無茶なレベリングを続けていた時と、その後の一層ボス攻略時に、一時的にパーティを組んだ時の二回。

 だがその少ない数で、ガラクに強烈な印象を残す程だった。彼女は異常なまでのVRMMOへの適正。そして生き急ぐ者にしか出せない、残り火のような輝きを放っていたのだから。

 あれから時は流れて、2022年の、12月21日。

 一方的に印象に残し、賞賛の意すら持っていたガラクとは違い、彼女からすれば、たった数回の会話と、一度の共闘をしただけの、即席の味方の内の一人でしかない。

 そんなガラクの予想とは裏腹に、どうやら彼女――アスナは驚いた表情で。

 

「…久しぶりね、かなり」

「……あぁ、覚えてたのか?」

「一緒に戦ったんだもの、当然でしょ?」

 

 一度だけだけどな。そう心の中で付け加えてから。

 

「もしかして解毒ポーションか?」

「うぅん。私はもう自分のは揃えてあるから、今日は別」

「……そうか」

 

 攻略の最前線。自分とは違い、一時的に組織に身を置く立場故の苦労もあるだろう。

 アスナが言っているのはおそらく、二層だけでなく一層も、そしてモンスターからたまにドロップするポーションも含めて、それらを集めて攻略組のメンバーに配布する、その分のことだ。

 アルゴからのメッセージ。そして他ならぬ、『ドラゴンナイツ・ブリゲード(DKB)』を率いるディアベルからの、これから攻略する三層ボスに備え、大量の解毒ポーションを用意するべし、といった内容のメッセージの二つを読んだことで、ガラクも大体の想定は終わらせている。

 

 ガラクはβテスターだ。そのことはもう周りに隠してはいない。

 

 その際、反βテスター代表とも呼べるキバオウから軽い小言は頂いたが、しかし流石はディアベルと言うべきか、あっという間に彼を落ち着かせてその場は落ち着いたらしい。

 しかし彼の言いたいことも否定はできない。実際ボス攻略のために、女王蜘蛛の潜む洞窟だったり、昔のガラクと同じく、エルフのキャンペーンクエストを攻略本片手に、試行錯誤で攻略し、備えていたというのに、肝心の会議には不参加のβテスター様はその日に参戦するだけだ。

 他のプレイヤー、特にキリトと差別化してレベリングに集中…という言い訳は用意できるものの、ガラクにそれを堂々と言える度胸も、正当性を持てる程の自信もなかった。

 

「あなたは?」

「…俺も解毒ポーションはもう持ってる。今日は麻痺のを買いに」

「麻痺?」

「三層が毒推しのボスなんだ。次は麻痺推しでもおかしくないだろう?」

「そ、そうかしら……」

 

 アスナは微妙な顔をしたが、実際ガラクも自分で「まぁないだろう」とは思っている。

 確かにβと製品版では、細かくモンスターの行動や持っている武器の違いが存在する、一番印象に残るのはやはり、曲刀からカタナに武器種を変えた一層ボス《イルファング・ザ・コボルドロード》だろう。

 三層のボスである《ネリウス・ジ・イビルトレント》も、βでは確かに毒攻撃を使っていたが、精々が一人か二人のプレイヤーに限定された、足止めレベルの小さな攻撃範囲のそれだった。

 しかし油断は禁物。一層と同じく、今回も大幅にボスの性能が修正され、βテスターに特化した初見殺しをしてくる可能性もある。

 それにポーションは、どれだけ用意しても基本損しないものだ。だからこそ今回の対ボスに備えた「大量の解毒ポーションを用意しろ」という提案は、それほど反発せずに受け入れられ、皆が素直に従ったのだろう。

 しばらく他愛のない会話を続けて、再度ウインドウを展開して時間を確認する。

 現在、朝の8時40分。

 出発は9時からだが、移動時間と待機時間も考えれば、今から出発した方がいいだろう。

 そのことを提案すると、アスナも同じ考えだったのか、「えぇ」と頷き、そして一緒に店の扉を押して開き、外に出た。

 

「そういえば前に聞こうと思っていたんだが…」

「うん?」

「あの鎌使い……ミトのことだ。彼女とは仲直りできたのか?」

「……別に喧嘩してたわけじゃないわよ?ただ…ちょっと初日に、その…色々複雑なことが起きて」

「………そうか、まぁ喧嘩していないなら良かった」

 

 集合場所はズムフトの北門。

 そこにたどり着くまでに、彼女とは色々な話をした。

 迷宮区でレベリングを続け、自分の後に――キリトと出会った時のこと。

 ミトのこと、アルゴのこと。

 

 ――本当に楽しくて、忘れてしまっていた。

 

 つい、初めてできたフレンド(イスケたち)のこともあって、楽しくて忘れてしまったのだ。

 ――ここで、彼女を先に行かせてから、自分は後から行くべきだった。

 ――そのせいで、また。

 

 

 

 


 

 

 

 

 三層ボス《ネリウス・ジ・イビルトレント》は巨大なトレントだ。

 ただ他のトレントとは違い、その全身からは瘴気のような、緑色の胞子を常に纏い、何より大きい。

 人間のように足もあり、腕も生えているが顔はない。枝分かれした頭部の大木からは、定期的に紫色の球体が――毒生成エリア攻撃が降り注ぐ。

 つまり間違っていなかった。エルフのキャンペーンクエストで得られた情報、解毒ポーションを大量に用意するべしの言葉は、イベントで入手できるアイテムなんかよりよっぽど大事なものだった。

 今回のレイド戦は七パーティが集まり、その全員が大量に、それこそ十数個というレベルで解毒ポーションを所持している。

 唯一、以前に『半減決着モード』でのデュエルを自分に対して挑んできた鎖頭巾(コイフ)の男。モルテだけが不参加のまま。

 

「右、来るぞ!」

「言われずとも…!」

 

 キリトのその一言で、彼はすぐに行動を切り替え、曲刀を左手から右手に持ち替えた。

 ボスが蜘蛛の巣状に放つ、木の根を鞭のようにしならせて放つ攻撃の一つを、曲刀の初期ソードスキルの《リーパー》を難なく発動させ、弾いてみせた。

 ガラク。自分と同じかつてのβテスターは、やはり心強いとキリトは改めて思う。

 単純に()()()()()。それがこのSAOのボス戦で、咄嗟の指示や警告に注釈を必要とせず、咄嗟の言葉一つで伝わることがどれほど有難いものか。

 一時的に距離を離し、モンスターからのヘイトも解消済みなことを確認してから、ふぅと息を吐き。

 

「どうだ?」

「順調だな、今のところは」

 

 そう、今のところは。

 この世界はデスゲーム、万が一の危険はどこにでも潜んでいるし、こうして他パーティが前に出て、モンスターの攻撃を受け止め続けている間も、決して油断はしない。

 だが警戒しすぎてもいけない。無駄に気力を消費してしまえば、脳波で全てが決まるこのゲーム世界では、パフォーマンスの低下は死に直結する。

 当たり前のことだが、それでもやはり気が滅入るのには違いない。

 再びボスが召喚し、襲い掛かる雑魚トレントたちを相手にしながら、キリトたちは冷静に剣を振るう。

 

「っつ…!またか」

 

 焦燥。

 足元に違和感を覚え、視線を下に向ければ案の定だ。

 キリトはうげっと声を荒げ、すぐにウインドウを操作、解毒ポーションを取り出してそれを飲む。

 お世辞にも美味いなんて言えない、ハッカ風味の微妙な風味を味わいながら視線を横にすると、どうやらガラクもそれに気づいていたようで、ポーションを開封し、それを飲もうとする寸前だった。

 そして視線を、再び三層ボスに戻す。

 

 β版からの変更点、それがこの毒生成エリアだ。

 

 ボスが頭の木々に、緑色の光を宿らせたと思った次の瞬間、まさしく毒と呼ぶに相応しい、禍々しい紫色の果実が出来上がる。

 それが地面に落ちた瞬間。よく目を凝らして地面を観察して、ようやく見えるほど薄く、しかし効果は弱まることのない理不尽な性能のまま、ボス部屋全体を毒霧が覆いつくすのだ。

 麻痺とは違い、これより上の層で解禁される上位の毒状態とは違い、三層の毒は自覚症状も薄く、その分ダメージも低い。

 だがそれは最初だけ。次第に毒によるスリップダメージは、毒に陥った状態、そして毒にかかった回数に比例して大きく、ダメージの発生感覚がどんどん縮まっていく。

 ボス戦が始まって約10分。その間に一体何回の毒に被弾し、スリップダメージの量はどれほど大きくなっているのかはまだわからない。

 即死はないにしろ、致命傷になる可能性が充分にある以上、毒状態になったのを確認次第、ポーションを使う選択は間違ってはいないだろう。

 ボスの体力も既に半分を切り、更には前衛プレイヤーが放ったクリティカル攻撃によって、そのHPバーが一気に黄色から赤へ突入した。

 ――それが合図だった。

 

【繧ー繝ォ繧ゥ繧ェ繧ェ繧ェ繧ェ繧ェ!!!】

 

 ――トレントの群れが消えた。

 そして、ボスの《ネリウス・ジ・イビルトレント》が、その両腕を地面に突き刺し、そして吠える。

 初見殺し。

 ――β版からのもう一つの変更点。

 その言葉がキリトの脳裏によぎる。

 

「――不味」

 

 ドゴンッ!と轟音を立てたと同時に、キリトは浮遊感と共に、全身の血液が緩やかに、血管が収縮するような、得体の知れない感覚に襲われた。

 スローモーションになる視界の中には、自分を含め、ミトやアスナのような、後方に控えていたプレイヤーの多くが、一斉に宙に浮かび上がっていた。

 ――不味い。

 そう思ったのも束の間、一斉に、彼らが地面に叩きつけられる音が聞こえた。

 この一瞬。精々浮かび上がったのは数m程度で、着地ミスによる硬直状態によるスタンも、精々数秒程度。

 解毒ポーションを飲み終わったキリトやアスナ、ミトはこのまま、前衛のプレイヤーに任せればいい。

 ――だが。

 

「――ぁ」

 

 ――ガラクは、まだ解毒ポーションを飲んでいない。

 

 

 

 

 

 ボス戦が始まってから、何度も何度も毒状態に陥り、その度に即解毒ポーションを飲んでいた為、HPの管理は万全だと思っていた。

 何より彼には《戦闘時回復(バトルヒーリング)》スキルもある。少しくらいの毒ダメージなら、時間さえあればいくらでも。

 そう思っていた。

 

 HPが、一気に三割削られた。

 

 毒のスリップダメージ、それも何回も喰らった分、効果が強化されてダメージの発生時間も短縮された、ボス限定の理不尽仕様。

 次にダメージが発生するのは、一体何秒後か。

 息が荒くなる。

 ――初めて目前に迫った、ようやく自覚した死の気配。

 

「あ……」

 

 ドクン。

 ――あの発作が、あの気配が近づいてくる。

 

「……やめろ」

 

 ――ドクンッ。

 ――意識が朧げに、思考が纏まらない。

 

「入って来るな…!」

 

 ――ドクンッ!

 ――最後に彼が思いだしたのは、一層の迷宮区で見た、あの流れ星だった。

 

 

 

 

 

 キリトがスタン状態から回復した時には、もうボスのHPはミリ状態と呼ばれる状態にまで陥っていた。

 最後の足掻きとも捉えられる、後方のプレイヤーに限定したあの技を、もう放つ余裕はないのか、ボスは今まで四方八方に散らしていた細かな木の根を、触手のように振るっていたそれを全て、目前の脅威にのみ集中することを選んだ。

 安全地帯を咄嗟に見つけ、姿勢を低く、滑りこみながら走り、そして片手剣を振るう。

 そしてその背中を、キリトの作り出した道を沿って走る、閃光。

 キリトに集中して木の根を向ければ、その分薄くなった側面から、アスナが絶妙なタイミングで距離を縮め、細剣を振るう。

 ここまでくれば、両者が狙っている目的はただ一つだ。

 

 LA、ボスモンスターを最後に倒した者にのみ与えられる。ラストアタック・ボーナス。

 二人はこの場で、まるで子供のようにそれの早い者勝ちを内心で狙っていた。

 

 三層ボス《ネリウス・ジ・イビルトレント》最後の矜持とも受け取れる、最後の攻撃が披露される。

 単純明快。全ての木の根を一本に束ね、そして一気に振り下ろす。

 範囲、威力も見事なもので、おそらくクリーンヒットすれば最後、よくてHPが赤。もしくは一撃必殺で死亡…なんてことが起こることが容易に想像できた。

 だが二人は、それを難なくと回避し、そして逆にそれを利用する。

 目指すは上部。《ネリウス・ジ・イビルトレント》の頭部付近に向かって、その木の根の上を走り、ソードスキル発動の予備動作を終わらせる。

 

 キリトは片手剣ソードスキルの《バーチカル・アーク》を。

 アスナは細剣ソードスキルの《パラレル・スティング》を。

 ――そして、二人の間を潜り抜ける影が一つ。

 

「…ッ!?」

 

 簡素なチェストプレートと、店で売られているシンプルな単色デザインの灰色のコート。

 何より今この場で、この戦いに割って入れる程のプレイヤースキルを持つ者は一人しかおらず、だが同時に、()()()()()()その行動に、キリトは驚いた。

 だが、既に発動準備を終わらせたソードスキルは止められない。

 ボスの頭部に向かって、先に《バーチカル・アーク》が、そのすぐ後に《パラレル・スティング》が炸裂し。

 最後に。彼の、ガラクの曲刀が、星の輝きを放ったのを見た。

 

「………はっ?」

 

 ――キリトは二度、本物の流れ星を見たことがある。

 最初。一度は旅行先ではなく、自室の窓からだ。

 あの日は冬の真夜中で、なんとなく目を向けたその先に輝く、星々の輝きに心を震わせた。

 二度はこの世界、アインクラッドの第一層で。

 一時的にコンビを組み、こうして肩を並べて戦う細剣使いの少女、アスナがかつて放つのを見た、細剣のソードスキルである《リニアー》だ。

 システムのサポートに頼ることなく、脳が持つ自前の運動命令によるアシストによって、本来設定された速度よりも早く、ソードスキルは炸裂する。

 アスナが放ったかつてのそれは、β時代、数多のソードスキルを見てきたキリトの目にさえ、システムのライトエフェクトが描く残像しか映らない程だった。

 ――今、先ほどのこれも。

 

「……ちょっと?どうして()()()の方にLAが来てないのよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………()()()()?」

 

 キリトは、得体の知れない何かに触れてしまったかのように思う。

 (ガラク)が冗談を、それこそこのように無意味な行動をするような人間ではないことは、短い付き合いだが知っていた。

 息を吞む音が聞こえた。

 それが聞こえたのは隣から、()()()()()()()()()()()()()()()

 ボスはもう倒された。

 それなのに、剣を握る力は、逆にもっと強くなる。

 

()()()も狙ってたんですけど?」

「………なに、を」

「決まってるでしょ。ラストアタック・ボーナスよ!絶対に同時だったわ!今の!」

「は…?」 

「最後、君のソードスキルとわたしのソードスキルが同時にヒットしたじゃない?なのに――」

「――悪い冗談はやめなさい」

 

 ぞっとするような、冷たい声。

 いつの間にか、キリトの後ろにいたその鎌使いの少女、ミトは眉間に皴を浮かべながら、鎌を向けていた。

 一触即発。

 キリトの制止を無視し、ミトは再び問う。

 

「もう少しユーモアがあると思っていたんだけど。私の勘違いだったかしら?」

「………?」

「細かすぎて伝わらないわよ?――()()()()()()()()

 

 ――口調。

 ――表情。

 

「――あっはははははは!!ミトあなた…前のアバターはどうなっちゃったのよ?」

「……!」

「わざわざボイスチェンジャーまで付けてたのに…面影がないじゃない。…あははっ」

 

 ――重心から仕草、その全てがアスナそのもの…!

 

「どうなってるの…!?」

 

 突然目の前で繰り広げられるやり取りに、アスナは困惑しかできなかった。

 様子が変わったかと思ったら、突然自分の振りをしだす知人と、その様子に本気で驚く友人。

 気味の悪さすら覚える程、この現状は意味のわからないものだった。

 だが、間違いなく言えるのは。

 ――キリトはあの時、三度目の流れ星を見たことだ。




 タグ・有月憬

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