放課後スイーツ部という部員でもある彼女は、今日も部活動を楽しみにしながら登校していたのだが・・・。
『鹿野子のこ』をブルアカの世界にぶち込んでみました。
ネタバレ注意です
シスターフットの見守るお庭に集うトリカス達が、今日も天使のような腹黒い笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは純白の制服。
スカートのプリーツは乱さないように、セーラーカラーは翻さないようにゆっくりと歩くのがここでのたしなみ(ドンパチ中は除く)。
トリニティー総合学園、ここは乙女の園。
「はあ、ねっむ。」
あくびを噛み殺しながら、制服の上からパーカーを着た少女が歩いている。
その頭にはギボドスの学生ならば皆が持っているヘイローと、黒色の猫耳があった。
『杏山 カズサ』
トリニティー総合学園の放課後スイーツ部に所属する1年生であり、ゆったりとして物静かな雰囲気を持つ、感情を表に出さないクールな性格の女性である。
「全く、昨日はレイサの奴に追っかけられて疲れた。のんびりお菓子でも食べさせろっての。」
中学からの腐れ縁である宇沢レイサとのいつもの追いかけっこで少々お疲れのよう
「まあ、今日はアイリがスイーツ部に駅前の有名ケーキ屋のケーキを持ってきてくれるらしいし、放課後を楽しみにしとくか♪」
それでも、気の置けない仲間たちとの楽しいスイーツタイムに思いをよせ、校舎へ続く階段を登っていく。
「・・・また、チョコミント味ばっかじゃなきゃいいけど(汗)」
少々心配なこともあるようだ。
・・・・・・・
「おっと、のんびりしすぎたかな?結構ギリギリの時間か、少し急がないと」
腕時計を確認すると、授業までさほど時間が無いことが分かった。
このままでは遅刻しかねないと、気持ちはや歩きで歩を進める。
そんな折、何気なく、本当に何気なくトリニティの校舎を見上げると、信じられない光景がカズサの目に入った。
「・・・・・ハア!?」
女の子が校舎に居る
いや、より正確には・・・・・女の子が校舎に頭から突き刺さっていた!
(・・・え?何?どういうこと?いや、確かにギヴォトスは治安最悪だけど、このトリニティでこんな状態で放置されてることある!?・・・いや)
よくよく見ると女の子は顔をこちらに向けていて、そこそこかわいい容姿が良く見える・・・・突き刺さっているのは、その頭部から生えた大きな2本の角だった。
(角!ゲヘナ生か!確かにあいつらなら変なことしててもおかしくは・・・)
トリニティと犬猿の仲であるゲヘナ学園。
角持ちの生徒が多く在籍し、自由と混沌を校風としている破天荒な生徒が多い学校だ。
彼女がゲヘナの生徒ならこの奇行にもなっとくが
(いやなっとくいくかあああああ!!なんでゲヘナの生徒がトリニティ校舎に突き刺さってんの!?正実は!?というか生きて)
眼をこすり、もう一度、校舎に突き刺さった彼女の方を見ると。
(ハゲワシが狙ってる~!いつの間にか下にはハイエナもいるし!死肉?死肉目的なの!?と、いうかトリニティにこんな動物いたの!?)
「なんだ、やんのかこらーーー!おらおらー」
(元気そうだーーー!!!いや、というかなんでこの状況でけんか腰!?)
・・・・・・・・・・・
「お、落ち着こう。あ、あの子も元気そうだし、私はなにも見なかったことにして学校にいこう。・・・ち、遅刻しそうなのはたしかなんだし・・・・」
見なかったことにしてその場を立ち去ることにしたカズサ。
ソロソロと足音を消しながら、その場を離れていく。
(・・・・・・・・めっちゃ見てくるんですけど~!!)
暗い目の視線が背中に突き刺さる。
(いやまて、こんなところで寄り道なんかしてたら遅刻確定!何より、こんな面倒そうなことに巻き込まれたくない!)
“じぃ~~~~~~~~~!”
(無視だ無視!ここは見なかったことにして急いで教室へ)
「・・・見捨てるんだ。」ぼそ
“びくっっ!!!”
少女のつぶやきが聞こえて、カズサの肩が跳ね上がる。
「べっべべべべべ別に見捨てるわけじゃ!っていうか勝手に突き刺さってるだけよね!?イヤ、突き刺さってるのも意味わかんないけど!!」
わけのわからない人物に話しかけられ、焦ったカズサは早口で答える。
こんな意味不明な現場からは、一刻も早く立ち去りたかった。
「私、急いでるの!遊びに付き合ってる時間ない「明日のニュースで。」」
カズサの言葉を遮って、角の少女は話し出す。
「トリニティの少女、野生動物に食べられて死亡って放送されるかも。」
(うぐっ!)
カズサの罪悪感が刺激される。
「・・・これから毎朝この道を通るたび・・・私の顔を思い出す・・・・。」
(うぎっ!)
「あの時助けていればって・・・一生引きずって生きていくかも・・・。」
「だあああああ!わかったわよ!!ちょっと待ってなさい!!」
~15分後~
「生☆還!」
(クッソ重かったんだけどこいつ!!!)
四苦八苦しながらもなんとか校舎に突き刺さっていた少女を下ろしたカズサ。
既に遅刻は確定だが、何がどうしてあのような状態になったのかは、確認したい。
「ハアハア、あんた、どうしてあんな所に居たのよ。というか、角生えてるしゲヘナ生じゃ・・・」
改めて、少女の姿を確認するカズサだが、明らかにおかしな部分があり黙り込む。
『鹿』
(ヘイローの形が『鹿』!?漢字の『鹿』!?文字のヘイローとか、見たことないんだけど!!この角も鹿の角にしか見えなくなってきた!!)
何もかもがおかしいこの状況に黙り込んでしまうカズサ。
すると、謎の少女はこちらを向いて頭を下げてきた。
「助けてくれてありがとう!なんか、朝起きたらすでにあそこにいたんだよね。」
「そんなことある!?」
状況を聞いても訳が分からなかった。
「とにもかくにも、優しい人に助けてもらえてよかったよ。ありがとね!『スケバンのおねーさん!』」
「まあ、この程度たいしたことじゃ・・・・・・はあ!?」
聞き捨てならない言葉に、カズサは過剰に反応する。
「スケバン!?だだだだだ誰が!?」
「おねえさんが(キラン)」
両手でカズサの方を指さす。
「ちがった?」
「ちちちちちちち違うわよ!!どうして私が!どどどどどこからどう見ても普通のトリニティ生でしょ!!」
完全に挙動不審である。
「ヌーン、でも匂うんだけどなあ?」
「何が!?」
「角も反応してるし。」
そう言ってカズサの方に角を向けると、角は赤く点滅していた。
「どうなってるの!?何を検知してるの!?」
実はこの杏山カズサという少女、中学時代はスケバンとして活動していた時期がありキャスパリーグの異名で恐れられていた。
(これ以上こいつと話してるとヤバイ!早く離れないと!)
なお、当人には黒歴史のようである。
「とにかく!私急いでるから!もう変な所に突き刺さっちゃだめだよ!」
カズサは早口で少女に伝えると、速足で立ち去る。
(匂いってなんなの!?キャスパリーグやってた時にあんな奴いたっけ!?とにかく、もう関わらないようにしないと!)
「・・・・・・」
走っていくカズサの後ろ姿を、角の少女はずっと見送っていた。
~放課後~
「・・・はあ、つっかれたああああ。」
授業が終わり、自らが所属する放課後スイーツ部の部室で、カズサは崩れ落ちるように座り込んでいた。
「どーしたの?カズサ?おつかれ?」
そう話しかけてきたサイドテールの少女は、カズサと同じく放課後スイーツ部に所属する柚鳥ナツという少女である。
いつも個性豊かな部員たちに振り回されているカズサだが、普段に増してお疲れ気味のカズサが気になったようで、首を傾けながら話しかけてきた。
「・・・いや、朝にわけわからん奴に絡まれてね。なんか、なんか・・・つかれた。」
「じゅーしょーっぽいね。」
明らかに疲れているのは分かるが、切羽詰まった感じはない。
ひとまずは心配する必要はないと考え、ナツはテーブルの上のマカロンに手を伸ばした。
「むぐむぐ・・・・。それで?朝にあったわけのわからん奴って言うのは?」
「・・・・なんて言えばいいのか。角があったからゲヘナの生徒だと思うんだけど・・・。校舎に刺さってて・・・。野生動物に食べられそうになってて・・・。」
訳が分からなすぎる朝の出来事を上手く処理することができず、とりとめのない返答になる。
聞いているナツも理解できずに首を傾けている。
ただ、朝の少女がどんな人物だったかを一言で表すのなら。
「・・・なんというか、『鹿』だった。」
「・・・・・・うん、わかんない。」
「私もわからん。」
結局、説明することができずに二人して沈黙することとなる。
(いや、忘れよう。角があったってことはゲヘナ生だろうし、もう関わることも無いでしょう。)
カズサは、朝のできごとを忘れることにしたようだ。
うまく説明できないし、カズサ自身の黒歴史であるスケバン時代のことを掘り返されても困る。
スイーツ部のメンバーには知られていることではあるが、あまり話題にされるのも、面白くなかった。
「朝のことはもういいじゃん!それより、アイリはまだ来ないの?人気のケーキ、楽しみにしてたんだけど!」
「話をそらしたな。まあいいや、アイリならそろそろ帰ってくるはず「ただいまー!」・・・きたみたいだね。」
部室の扉が開く音がすると、黒髪の少女が元気よく声をあげた。
栗村アイリ、彼女こそがスイーツ部の創設者であり、カズサ達放課後スイーツ部の中心的な人物である。
とはいえ、本人は上下関係を好まないため部長ではない。
「ケーキ買ってきたよー♪今日はヨシミちゃんお休みだから、1個だけ冷蔵庫に入れて、2人は好きなの選んでねー♪あ、チョコミント味はわたしのだよ!」
「・・・わかってるって。アイリのチョコミント好きも相当だよね。私モンブランで。」
「わたしはチーズケーキにしよー。ありがとーアイリー♪」
今、この場にいない伊原木ヨシミを除いて、各自にケーキが行き届いたのを確認すると、アイリはふとあることを思い出した。
「そういえば、カズサちゃんにお客さんがきてたよ!扉の前で待ってもらってたの忘れるとこだった!」
「私に客?誰だろう?」
「とにかく入ってもらうね!のこちゃーん!入ってきていいよー!」
アイリが外に向かって声をかけると、扉の向こうから『のこ』と呼ばれた少女が入ってき
“ガコン!!!”
来ようとしていたのだが、左右に広がった角により、扉に引っかかった。
「あ、あんた今朝の!」
「こんにちはー!(ガコ!)お姉さん!(ガコ!!)探してた(ガコン!)んだよ「いや!横向きなさいよ!!少しは学べ!!」はえええ。」
カズサのツッコミに、変な声を出す『のこ』と呼ばれた少女だが、無理に通ろうとしたせいか、角が扉の部分に突き刺さっていた。
“ガコガコ”
「ん~?・・・のつ!!」
“ばこおおおおおん!!”
何度か外れないか試していたが、無理やり入ってきた結果、部室の扉は無惨に破壊された。
「ぶち破ってきたああああ!!」
あまりのできごとにカズサが絶叫する。
部室の扉は原型を失い、ヘリの部分もかけてしまっていた。
「面白い子だねえ!カズサちゃんの友達?」
「アイリ!なんでほのぼのしてるの!?扉突き破ってきたんだけ・・・ガラス刺さってるしいいいい!!」
「お客さんの前でうるさい。とりあえず座って貰おう?」
「ナツもなんで冷静なの!?あんたも扉の破片直撃してるよね!!」
メチャクチャな来客にも関わらず、普段通りのふたりにツッコミを入れる。
銃撃を痛いで済ませるほど丈夫なキヴォトス人だが、アイリに至っては頭にガラスが刺さっており、ナツも額に木片が張り付いていた。
・・・・・・・・
「のつ!鹿乃子のこです!のこたんって呼んでね!」
スイーツ部の面々の前で自己紹介する少女。
名前を『鹿乃子のこ』というらしい。
「のこたんだね!よろしく!」
「私はナツでこっちがアイリ、よろしく。」
(いや、ヘイロー鹿だけど!?ドアぶち破ってきたんだけど!!え?スルー??私がおかしいの!?)
頭にガラスや木片を刺しながらもほがらかに挨拶を返す二人に恐怖すら感じ始めたカズサ。
あきらかにおかしな事態だが、ひとまず用があるらしいのこに声をかけた。
「えっと、朝の子だよね。私は杏山カズサ、トリニティ内にいるってことは、ここの生徒だったんだ。」
「そうだよ!最近転入したんだけどね!朝のことでお礼をしたかったの、私のことはのこたんってよんで!」
話しを聞くと、朝たすけてくれたカズサをずっと探していたらしく、その途中でアイリに出会ってスイーツ部に案内されたらしい。
「別に気にすることなかったのに・・・、わかったのこたん、私のことも好きに呼んでいいから」
(なんだ、結構いい子じゃん。わざわざお礼言うために探してくれるなんて)
行動のおかしさから避け気味だったのを悪く思いつつも、のことの交流を持とうと改めて挨拶を交わ「わかったよ!スケバンのお姉さん!!」
「・・・・カズサちゃんがスケバン?(コソコソ)」
「カズサがスケバンだって(コソコソ)」
(大声で何言ってんだこいつううううう!!後、そこのふたりは知ってんだろうが!始めて聞きましたみたいな反応すんなああああ!!!)
ワナワナと震えながら、できるだけ冷静にカズサは聞き返す。
「な、なんのこと??なんの根拠があってスケバンなんて。」
「えー?私の野生のカンがそういってんだけどなあ?」
(あんた、野生なのかよ!!)
あまりの根拠に言葉が出ない。
「・・・・・それと、『処女』だよね☆キラン」
更なる爆弾を投げ込むのこは、ドヤ顔でカズサに追撃をいれた。
(何言ってんだこいつわあああああ!!!)
「角も反応してるし」
またしても赤く点滅している角をカズサの前に突きつける。
(だからどうなってんのよそのつのおおおおおおお!)
「まあ、カズサは処女だってさ(コソコソ)」
「やっぱり、カズサちゃんは処女なんだね(コソコソ)」
(黙ってろ外野ああああああ!!)
コソコソと隅で話すスイーツ部のふたりをにらみつける。
次に、頭に?を浮かべた、このにっくき鹿女に文句を言ってやろうと近づいたところ。
「え?じゃあ処女じゃないの?」
純粋な疑問を投げられて動きが止まる。
「いや・・・、それは・・・、その・・・」
真っ赤な顔で言葉を詰まらす。
杏山カズサ、処女確定
続きませんが、気分がのれば1,2話書くかもです。
完全な自己満足作品なので、まあ、満足してます。