仮面ライダーヒューム   作:熊澤しょーへい

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そろそろ「この作者、一話に一人のペースで新キャラ出してるぞ」みたいに言われそうな雰囲気。

安心してください、今回でほとんど出し切りましたから!(全員とは言ってない)

まあ新しいキャラを出したら「やりやがったな、あの作者」とでも思ってください。



No.6 ■■■■■/光にはなれない者

 喜寿は超えたらしき老人が森の中を一人で歩く。暦は秋に手をかけてはいるが、夏はまだ健在だというように太陽が男を照り付けている。加えてこの森自体も難所として知名度が高い。よほど熟練した登山家か、あるいは全く情報を持たない初心者というのもおこがましい人間しかこの森には立ち入らない。

 

 にも関わらず、男の足取りには汗一つ見当たらず疲労した様子もない。ただ一つの場所を目指して男は山を登り続ける。

 

 山の中腹を超え、山頂が目前に迫ったところで老人は目的の場所に辿り着く。元は雄大な山に相応しく森林が生い茂っていたのだろう。しかし、その一点だけは外界から隔絶されたかのように荒れ果てている。

 

 鋭利な刃物で切られた断面を残して巨大な樹が倒れている。しかし残骸が残っているのは幸運で、砂漠かと見間違うほどに草木一つ地面には残っていない。

 

 その中心には二人の女性。一人は棘だらけの植物の蔓に簀巻きにされて地面に転がっており、もう一人はそれを悠然と見下ろしている。簀巻きにされている方の表情には命の危機にあるという危機感はなく、ただふてくされているような視線を立っている方の女性―女王(クイーン)に送っていた。

 

戦士(ウォーリアー)か、よく来たな」

 

 女王(クイーン)が老人に向けて声をかける。一方の小柄な女性は第三者がいるとわかると、両手足が拘束されているのにも関わらず器用に魚のように飛び跳ねる。

 

「爺さーん、助けてよー。ボク何もしてないのに女王(クイーン)の奴、ボクを殺そうとするんだよー!」

 

 その物言いに女王(クイーン)は心底呆れたように溜息を吐く。戦士(ウォーリアー)と呼ばれた老人も少女の言には耳を貸さない。彼女が仮面ライダーに情報を流していたことが先日発覚したのだ。

 

「契約もある、殺しはせん。だが当分はこのまま反省しておけ」

 

 ちえー、と少女は更にふてくされる。女王(クイーン)は視界からそれを完全に排除し、戦士(ウォーリアー)と呼ばれた男に視線を向ける。

 

「仮面ライダーの話を聞いているな?」

 

「もちろんよ。中々()りがいのある相手だとものう」

 

 怪物たちの小さなコミュニティでそれは今最も話題になっている。少なくとも仙人のように辺境で暮らしている老人の耳に届く程度にはだ。死神とも評されている白い仮面ライダーに加え、警察製と思われる赤と青の仮面ライダーも確認されている。

 

「今は我々に辿り着いてはいないが万が一ということもある。そこでお前にも適合者の捜索に加わってほしい」

 

 女王(クイーン)の言葉に戦士(ウォーリアー)は少し考えこむ。

 

「ふむ、儂は奴らの対処をすればよいということかの?」

 

 女王(クイーン)は首を横に振って答える。

 

 現在、二人の幹部がその作戦に当たっている。時間はかかっているものの、順調に適合者を発見していると聞く。ならば戦士(ウォーリアー)は邪魔者の対処をするのかと考えたが、どうやらそうではないらしい。

 

「奴らにかまけて戦力を削ぐわけにはいかん。戦闘はしてもいいが適合者の捜索を第一としてくれ」

 

 老人が了解の意思を告げようとしたとき、森の奥から人影が現れる。

 

「あら、戦士(ウォーリアー)が行くのね。わたしが立候補しようと思っていたのだけれど」

 

 現れたのは貼り付けたような笑みを浮かべる金髪の女。意識外からの声に場は数瞬は殺気に包まれていたものの、その姿を見て嘘だったかのように霧散する。彼女も彼らの同志の一人で

 

「面白い玩具(おもちゃ)を拾ったようだな」

 

 女の隣には黒いフードを深く被った男が佇んでいる。先日ヒュームや刃狼と死闘を繰り広げた灰色の戦士だ。

 

「グレイ、って言うの。カワイイでしょう?」

 

 女が男の頬を撫で、愛おしそうに言う。その仕草は何処かぎこちなく、やはり作り物のような言い知れない不気味さを感じる。しかし、ここは最初から怪物のたまり場。それを指摘する者はいない。男―グレイもそのことに何ら疑問を感じることなく、ただ女のなすがままになっている。

 

「私からは以上だ。下がれ」

 

 三人が去り、少女と女の二人だけに戻る。少しの静寂ののち女王(クイーン)が口を開く。

 

「貴様、何が目的だ?」

 

「えー、何のことー?」

 

 殺気を含む女王(クイーン)にあくまで少女はおどけて返す。

 

「とぼけるなよ。あれが本当に巫女でないなら貴様が介入する理由などないはずだ。にもかかわらず、貴様は過剰ともいえるほどヤツに肩入れしている」

 

 彼女の内通が発覚した時、多くの怪人(どうほう)が彼女を殺そうと動き出していた。女王(クイーン)が先んじて動かなければ今頃多くの怪人(どうほう)が少女の手によって仕留められていただろう。

 

 不意に体を縛っていた荊が少女の手によって断ち切られる。見た目は植物のそれだが、そこらの鉄線よりもはるかに高い硬度を誇っていた。それが感嘆に断ち切られたことに女王(クイーン)はさして驚かない。これしきの事で少女を無力化できたとは端から思ってもいない。

 

「そんなことはどうでもいいでしょ?キミはキミのやるべきことをする。それに対してはボクも多少は協力しよう。でもボクのやりたいことには口を出さない」

 

 それがボクたちが交わした契約だろう?と少女が言い、呆れたように女王(クイーン)が嘆息する。彼女は失念していたのだ。この少女は致命的にまで狂っていたことを。自覚しているかは定かではないが、ある意味で常識で測ってはいけない存在だったのだ。

 

 ならば、それを踏まえた上で利用するだけのこと。

 

「・・・ならば協力してもらおうか。後日アレと一戦しろ。殺すも殺さまいも貴様の勝手だ」

 

 女王(クイーン)の言葉に、少女は狂人に相応しい笑顔を浮かべる。

 

「いいね、そう来なくっちゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・はあ~~」

 

 何度目か知らない溜息が地下本部の廊下に響き渡った。廊下の端に備え付けてある長椅子にはスーツ姿の一組の男女が座っていた。溜息を吐いたのは男―空賀景虎で、その横では詩音がうんざりしたように缶ドリンクを口にしていた。

 

 二人がいるのは開発研究部の目の前。先日戦闘した影響でドライバーに不具合がないかを確認してもらいに来たのだが、ドライバーを渡すや否や邪魔だからと追い出されてしまったのだ。

 

 何もすることがなく、だからと言って動くわけにもいかないので、詩音は溜息のBGMを背景に飲み物を飲んで暇を誤魔化すしかなかった。

 

「そろそろ怒りますよ」

 

「そういうてもなあ」

 

 先日白い仮面ライダーに剣を向けた件に関しては司令官から直々に絞られている。しかし相手側が大きな反応を見せていないことやライダーシステムの適応者が他にいないことから、厳重注意で終わった。だが当の本人は納得していないようで、ここ数日溜息を吐いている場面に出くわすことが多い。

 

「でも私も驚きました。彼が警察組織の人間ではないとは」

 

 詩音は自分の考察が間違っていたことに内心驚愕していた。一方の景虎も同様だ。先日の戦闘の際にも殺意はなかったとはいえ繰り出した斬撃がことごとく回避されたのだ。おそらく灰色の戦士との戦闘の際に観察していたのだろうが、彼の言を信じるならだが戦い始めて一か月の人間ができることではない。

 

 加えて怪物とはいえ元は人間だったのだ。白い仮面ライダーは彼らを躊躇いなく倒している。到底一般人ができる所業ではない。

 

 現状、上層部は白い仮面ライダーではなくそのシステムの開発者に興味を持っている様だ。

 

「・・・君は何も言わんな」

 

「何がですか」

 

「君はあの仮面ライダーに助けられとる。文句の一つや二つ、出てもええ気がするけどな」

 

「言いませんよ。言われても困るでしょう?」

 

 零課では過去を探るのはタブー視されている。多かれ少なかれ怪物と因縁を持っている彼らはその過去にも大きな傷を抱えていることがほとんどだからだ。それは今隣り合っている二人も例外ではない。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 会話はそこで途切れる。それもそのはず、二人はほぼ初対面なのだ。会話の話題は必然的にライダー活動に限られ、それが尽きた瞬間に会話は途切れる。

 

 しかし、ここで終わっては関西人の名が廃る。それを抜きにしても同僚と交流を持つのは戦闘の際の連携という点を見ても悪いことではない。なので、景虎は先ほどから気になっていたことを尋ねる。

 

「なあ、何飲んでるん?」

 

「これですか?」

 

 手に持っている飲料缶ラベルを景虎に見せる。そこに書かれていたのは―

 

「『おでんおしるこ』?」

 

 ラベルには茶色い背景に大根や卵といった定番の具材とともに、黒い小豆が不気味な存在感を放っている。原材料を見てみると、まさしくおでんおしるこというべき内容だった。

 

「――美味いんか?」

 

 なぜ数多ある選択肢の中でよりによってこの二つをピックアップしたのか、季節感というものを理解していないのか、ここに置くならもっと相応しいものがあるのではないか、などと疑問は尽きないがとりあえず一番気になったことを詩音に問いかける。

 

「・・・まあ、好みの味ではありますね」

 

 再度飲み口に口を付けてから答える。そう言われると気になってしまうのが人間の性分で、景虎は一言断りを入れてから席を立った。

 

 数分後、戻ってきた彼の手には『おでんおしるこ』と紙コップが一つ握られていた。席に着くと紙コップに中身を少量注ぐ。口に合わなかったら詩音に押し付けようという魂胆である。

 

「――ウッ」

 

 結果は爆散。ようこんなん飲めるな、などと心の中で悪態をつきながら缶を詩音に渡す。美味しいのに、と不満そうに言うが、タダでもう一本飲めるのがうれしいのかあまり不機嫌ではなかった。。

 

 ゴホゴホ、と景虎がえづいている横で詩音がマイペースに缶を傾けている。

 

「君、こんなんばっか飲んでんの?」

 

「そうですよ。独特な感じがクセになります」

 

 もう飲み終わったようで空き缶を景虎に渡す。どうやらゴミは自分で処理しろということらしい。改めて原材料を確認していると、それにしても、と詩音が口火を切る。

 

「このレコードカードって何ですかね?怪物になったり仮面ライダーに変身出来たり」

 

「・・・言われてみればそうやな」

 

 二人は懐から各々のレコードカードを取り出して眺める。例えば、ウルフレコードカードには絶滅種を含めたすべてのオオカミの遺伝子が記録されているといい、スーパーコンピューターでも解析しきれないという話だ。しかし、何の変哲もないこのカードからはそんな力は感じられない。

 

 二人がぼけー、とそんなことを考えていた矢先、開発研究部の扉が勢いよく開かれた。

 

「ンだよ、二人して気ぃ抜けた顔しやがって」

 

 中から主任研究員の村上昭人が現れる。相も変わらず目に濃い隈を浮かべており、両手には赤と青の二色のドライバーが治まっている。それを無造作に投げ上げ、二人は慌ててドライバーをキャッチする。

 

「結果はどうでした?」

 

「問題なし。この調子で使ってやってくれ」

 

 そんじゃ、と戻ろうとした昭人を二人は呼び止める。彼はライダーシステムを作り上げた張本人。レコードカードについて詳しく聞くいい機会だと考えたからだ。

 

「――はあ。優成の奴、マジで要点しか伝えてねえな」

 

 二人の話を聞いて、昭人は盛大に溜息を吐く。そして顔だけを室内に戻して、中にいるであろう人物に大声を上げた。

 

「おい弟子ぃ!何を説明しに行ったんだお前は!」

 

 ゴン、という鈍い音が室内から響いてから数秒後、ノアが室内から盛大な欠伸と共にゆっくりと現れる。彼女の方も濃い隈が浮かんでいる。

 

「何ですかー、人が寝てるときに大声出してー」

 

「お前、レコードカードについて何にも説明してねえみてえだが?」

 

「私が言われたのはーシステムについてー話してこいってだけだったのでー」

 

 詰め寄る昭人にノアはふてぶてしく言ってのける。昭人は拳を震わせるが、二人のやり取りを見て唖然としていた詩音と景虎を見てこんなことをしている場合ではなかったと切り替える。切り替えはしたが、あとで報復することを心の中で誓っていた。

 

「・・・話を戻すが、レコードカードについて知りたいんだってな」

 

 昭人が二人を手招きして室内に入る。相も変わらず足の踏み場は少ないが、何とか二人が立っていられる程のスペースは確保されていた。設計図らしきものが散らかっているが、知識に乏しい二人には描かれている絵からドライバーについてのものだとしか分からなかった。

 

 どこだったかな、と昭人が長い棒で天井をつつく。少し悪戦苦闘したのち天井からスクリーンを取り出す。一方のノアはプロジェクターを散らかった足元から探り出し、パソコンに接続しているところだった。

 

「いや、そこまでしてもらわなくても・・・」

 

「あ?何言ってんだ、これはお前らが知っとくべき情報だ。それに俺らにも説明する責任ってのがあるしな」

 

 あとタメ口でいいぞ、と昭人が言う。想像していたよりも本格的に説明するようで、詩音はつい口を挟んでしまう。しかし、昭人はそれを遮ってスクリーンに映像を映し出す。映し出されたのはこれまで零課が確認した怪物たち。

 

「知っての通り、人間にレコードカードを挿されたら化け物になっちまう。だがな、全員がこうなっちまうわけじゃねえ。プレイスターになるのはレコードカードにある程度適応できた奴だけだ」

 

 そう言って映し出したのは荒い監視カメラの映像。映像には軍服のような服装の人間と拘束されて地面に転がっている人間たちが映っている。映像の質が災いして顔はうまく映っていない。軍服の方が転がっている人間のうち一人に向けて何かを差し込むような仕草を見せる。その人間は苦しむかのような仕草を見せ、数秒後、その体から大量の虫を噴き出していく。

 

「こんな感じに少し適応したくらいじゃプレイスターにはならねえ。適性がなさ過ぎても・・・」

 

 昭人は解析のために運ばれていたミュージシャンレコードカードを手に取り、自らの腕に差し込もうとする。唐突な出来事に詩音も景虎も反応できない。最悪の可能性が頭をよぎるが、昭人の腕に触れた瞬間ミュージシャンレコードカードは弾かれたように地面に落ちる。

 

「こんな風に挿さりすらしねえ」

 

 気まずい空気を払拭するためか、昭人は軽い調子で言う。どう反応していいか分からない二人と違い、ノアは昭人の肩にポン、と手を置いた。

 

「・・・師匠~?何危ないことしてるんですか~?」

 

 浮かべた表情は笑顔で相も変わらず間延びした声だが、言い知れない気迫がそこにはあった。幾度となく死線を潜った詩音と景虎でさえも飲まれてしまうほどで、研究職でありなおかつ間近でそれを浴びた昭人は堪ったものではない。

 

「いや、俺の体に合わないことはもう分かってただろ。だから・・・ちょ、放せよ。分かった、分かったから力緩めろ。緩め、ゆる・・・緩めてくださいノアさん!」

 

 迫力に耐えきれなかったか、最後には敬語になっていた。分かればいいんですよー、と言ってようやく手を放した。

 

「あの、怪物を元に戻すことはできないのですか?」

 

 落ち着いたところで詩音が問いかける。零課の中には親しい者をプレイスターに殺されただけでなく、怪物に変えられた者も多く在籍している。もし戻すことができるなら彼らにとって希望になる。

 

 一息ついて昭人は答える。

 

「断言してやる、ムリだ。レコードカードを挿しこんだ時点で細胞が根底から別物になる。新種の生命体に変貌すると言ってもいい。人間に戻すことはできん」

 

 そうですか、と詩音は落ち込んでもなさそうな声で言う。

 

「気になったんやけど、そこのミュージシャンレコードカードみたいなのには何が記録されてんの?生き物とか宝石の記録ならまだ分かるんやけど、音楽家の記録って抽象的すぎん?」

 

 景虎の疑問に詩音は確かに、とうなずく。人間の記録なら白い仮面ライダーが持つヒューマンレコードカードに含まれているだろうし、そもそもレコードカードが記している「音楽家」とはどこまでを差しているのかが分かりにくい。

 

「それがよく分かんねえんだよな。推測だが、これは他のレコードカードとは根本的に違うもんだと思う」

 

 研究者としては恥ずかしいがな、と昭人はいう。情報が膨大過ぎて解析が困難なルビーやウルフとは違い、ミュージシャンレコードカードはほとんどがブラックボックスで解析が困難らしい。それでもと解析を続けて分かったのは零課に所属している人間でミュージシャンレコードカードの適合する者はいないということだけだった。

 

「こんなところか・・・そういやもう一人はどうした?」

 

 開発したライダーシステムは三機。当然使用者はもう一人いる。昭人の問いかけに詩音が言いずらそうに答えた。

 

「そういえば、引っ越しするとかで休暇をとってますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日野森学園の近所にある中央公園。多種多様な遊具だけでなく広大な運動場まで備えているこの場所は、子供から大人まで幅広い年齢層から親しまれている。

 

 そんな公園では早朝であるにも関わらず沢山の人が集まって何やら作業していた。軽トラも数台停められ、屈強な男たちが資材を持って広場との間を往復していた。

 

 これほどの人が集まっているのは、翌日にある夏祭りの準備のためだ。地域住民の交流を深めるために毎年開かれており、学生たちの夏のメインイベントとなっている。

 

 その広場の中心で海翔らも作業を進めていた。トントン、と手慣れたように木の板に木々を打ち込んでゆく。作っているのは祭りの象徴ともいえる櫓だ。普通なら簡単に組み立てることができるように作られているのだが、昔からの伝統でほぼ一から作ることになっているのだ。

 

「ねえ、海翔兄。何で去年までは八月中にしてたのに今年は九月なの?」

 

「熱中症対策らしいよ。ほら、最近温暖化の影響で暑いでしょ?」

 

 海翔の隣では愛斗が同じく釘を打ち込んでいる。海翔には及ばないものの熟練した手つきだ。それもそのはず、日野森学園では社会に触れさせるため積極的にボランティア活動を行っている。勿論強制ではないが、海翔の積極性に惹かれて今年も全員が参加している。ちなみに肉体労働が苦手な子供たちは裏で看板に絵を描いたりしており、明奈はその監督役だ。

 

 粗方打ち終えたので遠目から出来を確認する。どちらの担当区域もきれいに打ち込まれているが、愛斗の方は納得していないようで、ムゥ、とうなっている。

 

(やっぱりまだ敵わないか)

 

「どうしたの?」

 

「いや、海翔(にい)上手だなって」

 

「愛斗だって上手だよ。僕なんてすぐ追い越すさ」

 

 海翔はそう言うが愛斗は納得していない。愛斗は物心つく頃から日野森学園に居り、その時から海翔には世話になりっぱなしだ。高校卒業を機に他の生徒と同じく独り立ちするかと思っていたが、大企業からの推薦を蹴ってまで自分たちの世話をしてくれている。どこかでこの恩を返したいとは思っているものの、海翔はほとんどのことを過不足なくどころか本職の人間並みにこなしてしまうのだ。

 

「アニキ、何か手伝うことあるっスか?」

 

「げっ、有村」

 

 海翔の背後から声がかかる。声の主は有村優月。教会の二人も立派に地域に溶け込んでおり、このようなイベントにもよく参加している。優月と愛斗は同級生で、近所なこともあってよくつるんでいる。

 

「まなっち、何難しい顔で唸ってたんっスか?お姉さんに相談してみるっス」

 

「お姉さん?俺の視界には海翔(にい)と子供が一人いるだけで、そんな人見当たらないなあ。あとまなっち言うな」

 

「なっ、誰が子供っスか!これでも年上っスよ!まなっちの癖に生意気っス!」

 

「何が年上だ、俺と二か月しか変わらないクセに!あと言うなって言ったそばからまなっちって言ったな!」

 

 ぐぎぎぎぎ、と二人がにらみ合う。昔からこの二人は妙に気が合わないところがあるらしく、仲が悪いというわけではないがこのように二人でにらみ合っていることが多い。そんな二人を仲裁するのは海翔と、

 

「まあまあ、二人ともその辺で」

 

「(そうだよ、なにしてるの二人とも!)」

 

 湊の役割だった。でかでかと文字を書いたホワイトボードを二人の目の前に突き出す。話すことができない湊は筆談の為に外ではホワイトボードを持ち歩いている。

 

「注意するのは有村の方だけだぞ!」

 

「何言ってるっスか!先に馬鹿にしたのはまなっちの方っス!だからみなっちが注意するのは自分じゃ無いっス!」

 

「あ、またまなっちて言ったな!」

 

「言ったっスよ!まなっちはまなっt・・・痛ッ!」

 

「痛ッ!」

 

 「(天誅!)」と書かれたホワイトボードが二人の頭を直撃した。ゴッ、という鈍い音と共に二人が地面に沈む。

 

「湊、そっちは順調?」

 

「(うん。自分の分は終わったからこっちの様子を見に来たんだ。あと海翔兄さんもちゃんと二人のこと止めてよ)」

 

「ごめんね湊。でも最近は二人の絡みも見れてなかったからさ」

 

 だからちょっと嬉しくて、と海翔が続ける。手話の方が彼には慣れてるらしく、手話が分かる海翔や明奈、愛斗らとは積極的に手話を使う。先ほどホワイトボードを使ったのは優月は手話が分からないためだ。

 

「うみせん、ちょっといい・・・って」

 

 わちゃわちゃしている四人に向かって一人の女性が向かってくるが、地に伏している二人を見て呆れたような表情になる。

 

「相変わらず懲りずにやってんねー、二人とも」

 

 その声に反応したのか、地に伏していた二人が起き上がる。

 

「りなっちからも言ってほしいっス!」

 

「俺は悪くないぞ、葉月!」

 

 痛みを忘れたかのように再び争おうとするが、湊が笑顔でホワイトボードを素振りしているのを見て二人とも口を噤んだ。彼女の名前は葉月里奈。三人と同じ年齢で日野森学園の一員だ。愛斗、湊、里奈の三人が日野森学園に在籍している高校生だ。

 

「それで里奈、僕に何か用?」

 

「そうだった。うみせん、今だいじょぶそ?」

 

「うん。形はほぼ出来上がったからあとは装飾だけだね」

 

 ちなみに“うみせん”は海翔のあだ名の一つで“海翔先生”の略称だ。里奈が公園の一角に視線を向ける。そこでは二人の男が談笑していた。

 

「あっちで祈里さんたちが話したいことがあるって。後はウチラでもできるから行ってきなよ」

 

 どうやら明奈たちもこちらに来る様だ。ならばと言葉に甘えて広場の片隅に向かうことにした。

 

祈里神父と話していた男性が海翔に気が付いたようで手を振っている。

 

「よう!久しぶりだな、海翔!」

 

 その声を聴いた海翔の顔は驚愕に染まる。

 

「亮介、どうしてここに!?」

 

 甲斐亮介。海翔と明奈の同級生にして、大企業である甲斐コーポレーションの社長の次男坊だ。甲斐コーポレーションは十年ほど前から急激に成長した会社で、今では全国に広がる大企業へと成長している。その勢いは生活の中でその名を聞かない日はないとまで言われている。亮介はその幹部候補として各地を転々としており、高校卒業後は連絡を取っていなかった。

 

「新事業で今年の祭りはウチもスポンサーをすることになってな。多少ここになじみがある俺が責任者として選ばれたんだ」

 

 甲斐コーポレーションは幅広く事業を展開していることでも有名だ。

 

「入社してそれほど経たないでしょうに責任者に抜擢されるとは、流石ですね」

 

「それほどでもないですよ。実際、力不足を感じる場面は多いですし」

 

「あまり自分を卑下しないで下さい、亮介君。資料も説明もとても分かりやすかったですよ」

 

 祈里神父に目の前で褒められ、照れた様子で謙遜する。

 

「で、そっちはどうなんだ?」

 

「どうって?」

 

「明奈と一緒に暮らしてるんだろ?」

 

「苦労させてばかりさ。手伝ってもらって何とかやってる状態だよ」

 

 海翔は正直に答えたが亮介が欲していた答えはそれではなかったようで、言い淀みながらも海翔に尋ねる。

 

「それは良かったけど、俺が言いたいのはな、あーっと・・・明奈と何かなかったか?」

 

「何かって・・・何?」

 

 何もなかったということはない。しかし、正直に言ってしまえば仮面ライダーとして海翔が活動していることがバレてしまう。亮介を信用しないというわけではないが、警察も仮面ライダーを探っている現状これ以上秘密を拡散させるわけにはいかない。

 

 それに亮介が聞きたいことはこのことではないような気がする。まあ、その何かが分からないわけだが。

 

「いや、もういい。その顔で何もなかったのは分かった」

 

 頭に疑問符を浮かべる海翔に、亮介はこんな奴だったな、と思い出す。海翔は学生時代から結構モテる。人当たりは良く、見た目も悪くない。それに加えて運動、勉強、料理なんでもござれのハイスペック人間ときた。こんな優良物件モテないはずがない。

 

 そして、明奈の方も海翔に好意的な感情を持っていると亮介は見ている。まああれは純愛ではなく執着寄りの感情のようではあるが。

 

 学生時代からいつくっつくか賭けられていた二人だが、海翔の挙動から何もなかったと察して溜息を吐く。

 

「まあ、積もる話は後です。忘れないうちにこれを渡しておきましょう」

 

 これが海翔を呼び出した理由だろう。祈里が海翔にファイルに閉じられた紙の束を渡す。中には出店する際の注意事項や禁止行為などがびっしりと書かれていた。

 

「見回りする際はこちらを参考にしてください。まあ、君たちにとっては毎年のことですが」

 

 軽く目を通すと、確かに去年とほとんど同じようだ。了解の意思を伝えようと顔を上げると、人混みの中に黒いドレスを着た少女の姿を見つけた。海翔の視線に気が付いたのか、少女は誘うように微笑みかけ人混みの中へと消えていった。

 

(また怪物がでたのか)

 

「ごめん、二人とも。ちょっと用事ができた!」

 

「はあ?!ちょ、急にどうしたんだよ!」

 

「すぐに戻るから!あと祈里さん、またバイク借りるかも!」

 

 そういうと持っていた書類を亮介に押し付け、走って行ってしまった。突然の行動に亮介は戸惑うが、祈里は海翔の発言からプレイスターが出たのだと理解し、まあまあと亮介をなだめる。

 

 海翔は少女が消えた場所へと走っていく。どこに消えたかと首を振って探すと、更に奥に少女の姿を捕らえた。

 

 気が付けば人気のない住宅街まで誘い込まれていた。その奥に少女は独り立ちすくんでいた。

 

 湧き上がる恐怖心と嘔吐感を海翔は必死に抑え込む。自分のことよりも優先すべきことがある。ドライバーを腰につけていつでも変身できるようにしながら、少女に向けて一歩踏み出す。

 

「―――ッ!」

 

 その瞬間真横から強烈な殺気を感じ取り、海翔は地面に転がり込む。陰から飛び出してきたそれは海翔の頬を掠め、その先の家の塀を破壊する。

 

 切り傷から流れる血を拭う暇もなく、海翔は警戒を強める。少女がおもむろに手を挙げると、海翔の四方の影から黒い触手のようなものが這い出る。先端は鋭く磨きあげられており、これが先ほど自分の頬を掠めたのだと分かり寒気がする。

 

 パチパチ、と乾いた拍手がやけに大きく響き渡る。

 

「よかった。ちゃんと誘われてくれて」

 

「・・・どういうことかな?」

 

「見て分からない?今回の相手はこのボクだ」

 

 裏切りとも見れる行動だが、海翔の心は酷く落ち着いている。

 

 ―まるで裏切るのが当たり前であるかのように、最初から敵であることが分かっていたかのように。

 

 やけに冷静な海翔を見て少女は心底愉快そうに表情をゆがめる。

 

「ハハハハハッ!それでいいよ姉さん!さあ()しあおう!ここには邪魔な人間は一人もいない!周りに気を使う必要もない、姉さんはボクを、ボクだけを見ればいい!」

 

「――ッ!変身!」

 

《ALL RIGHT!YOU ARE SABER!》

 

《DON'T FORGET YOUR ANSWER》

 

 少女の狂気を含む慟哭にあわせ、影が一斉に海翔に襲い掛かる。辛うじてエヴィデンスカリバーで受け止めたものの、影とは思えない質量にヒュームは押しつぶされそうになる。

 

 拮抗はできないと考えたヒュームはわざと足から力を抜く。急な力の変化に対応できなかった影の隙間を縫って、ヒュームは何とか影の拘束から抜け出す。

 

 少女の手の動きに合わせて再び影が殺到する。展開されている影は四本。少なくはないが対処しきれないほどではない。最低限の動きで回避し、出来なかった影はエヴィデンスカリバーで受け流す。受け止めるのではなく受け流す。影をまともに受けると、その隙を他の影によって狩られるのだ。

 

 影と打ち合っているとは思えない、澄んだ金属音が静寂の住宅街に広がる。公園の喧騒が幸いしてか、住民が現れる気配はない。

 

 隙を晒した影を根元から切り落とす。しかし、あまりの手ごたえのなさにヒュームは驚きつつも咄嗟にエヴィデンスカリバーで追撃を受け流す。

 

「影が剣で切れるとでも?」

 

 もっともだとヒュームは心の中で同意する。ならば狙うのは影ではなくその本体の方。少女は武装を一切しておらず、また佇まいからも武芸をたしなむようには見えなかった。

 

 しかし、影で防がれる可能性もある。ならば影を展開するよりも早く相手を切り捨ててしまえばいい。

 

《ELECTRIC!》

 

《ALL RIGHT!ELECTRIC SLASH!》

 

 殺到する影が停止したかのように遅くなる。引き延ばせる時間は限られている。影をすり抜けながら少女との間合いを一気に詰める。

 

 生憎と刃が少女に吸い込まれる前に効果時間が終了する。しかし既に少女は間合いの中。ヒュームが選んだのは心臓に向かっての刺突。放った後は大きく隙を晒すことにはなるが、影を展開される前に仕留めればいい。

 

 電気の後を残して刺突が無防備な少女の心臓に吸い込まれる。しかし、違和感に気が付いたヒュームはエヴィデンスカリバーを残したままその場から飛び下がる。

 

 あまりにも手ごたえがなかったのだ。先ほど影を切った時のように。

 

「ふう、危ない危ない。そうだった。キミにはそれがあったね」

 

 自動的に少女に突き刺さった剣がポトリと抜け落ちる。ヒュームが手をかざすと再び虚空からエヴィデンスカリバーが現れる。

 

 目の前の少女と背後の影の両方を警戒するヒュームに少女は心底楽しそうに口を開く。

 

「いいね、いいよ、最高だ!ちゃんと殺す気で来てくれているね!」

 

 歓喜のまま少女は影に手をかざす。するとどこからともなく声が響く。

 

《SABER...》

 

「――なっ」

 

 ヒュームは絶句する。レコードカードは同じものは二つとない。セイバーレコードカードとソードレコードカードなど似たようなレコードカードはいくつかあるが、それらに収められているデータは全く異なる。 

 

 影を凝縮したような黒の剣が少女の手に収められる。少女は試すように剣を振る。その手慣れた姿は先ほどまでとは違い、熟練した剣の使い手であることが分かる。

 

 影と共に剣を持った少女が迫りくる。ヒュームは一歩も引かず少女を迎え撃った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方の明奈は危機的な状況に陥っていた。子供たちと出来上がった提灯やら看板やらを持って海翔の元へ向かう途中、一人の女性と出くわした。 

 

「あら~、小川さん。こんにちは」

 

「こんにちは、蘆屋さん。こんなところで会えるなんて奇遇ですね」

 

 にこやかに挨拶するが、内心では冷や汗が止まらない。一瞬でも気づくのが遅れたら素のままで返答してしまうところだった。夕夏は先日とは違いラフな格好で、肩には竹刀袋を背負っている。

 

(なんっでこんなところに警察がいるのよ!)

 

 という叫びを何とか心のうちに留める。

 

(いや、一周回って幸運ね。海翔よりも先に発見できたわ)

 

「あきな、このひとしりあい?」

 

 日野森学園で暮らす小学生の少女が明奈の服の先を不安そうに引っ張る。見ると、他の子どもたちも警戒するように明奈と夕夏を交互に見ている。日野森学園は孤児院である。当然ではあるが全員が入居するに足る過去を持っている。なので、見知らぬ人間に対する警戒心も他の同年代よりも高い。

 

「大丈夫。この人は私の知り合いで警察官の人よ」

 

 明奈は不安を払拭するように子供たちに微笑みかける。効果は抜群で、子供たちは「警察官」という言葉に一転尊敬のまなざしを夕夏に向ける。

 

「けいさつかん!?」

 

「すっげ~!」

 

「けんじゅうみせて~!」

 

 その視線に夕夏は慣れていないような、困惑したような表情を見せる。明奈らは知らないことだが、夕夏は零課の一員であり当然戸籍上は死んだ扱いになっている。今は捜査一課の刑事という身分を発行してもらっているので刑事と名乗っているが、本来なら職業を名乗ることはない。だから子供たちの眼差しは夕夏にとって新鮮で、不意に向けられたことで戸惑ってしまったのだ。

 

 夕夏は明奈らと並ぶようにして共に歩く。

 

 年長者の警戒は解け切ってはないが、少なくとも「いい人である」という判定にはなったようだ。他愛のない話をしながら高校生組の元へ向かう。因みに荷物をみて手伝おうかと打診してきたが丁重に断った。ぼんやりとしていて何度も人とぶつかりそうになっていたのを遠目から見ていたからだ。

 

「蘆屋さんは先日引っ越してきたんですか」

 

「そうなのよ~。最近物騒でしょ?私が住んでた場所も停電とかの被害が多くて。だから心機一転するために引っ越ししたのよ~」

 

 どうやら嘘はついていないな、と明奈は判断する。私服捜査をしている訳ではないようで少しホッとした。だからと言って油断して良い相手ではないが。

 

「でも知らなかったわ~。こんなに大規模なお祭りをしてるなんて」

 

 あの二人も誘おうかしら、と考えたところで夕夏のスマートフォンに着信が入る。見ると司令部からの着信だった。夕夏は勿論休暇をとることを上に伝えている。そして機密保持から零課から私物の携帯に連絡が入ることはほとんどない。ということは―

 

「・・・ごめんなさい、小川さん。仕事の電話が入ったの」

 

 またお話ししましょうね、と言ってその場から離れる。夕夏は走りながらスマホを耳に当てると思った通り、プレイスターが出たという情報が端的に伝えられた。

 

 鍛え抜かれた体で全速力で走る。竹刀袋を担いだ女性が必死に走っているという構図に好奇の視線が向けられるが、一切を無視して目的地へと急ぐ。

 

 十分と掛からずに目的地にたどり着く。公園の喧騒は小さくしか聞こえず、閑静な住宅街が広がっていた。通行人はおらず、一人の中年の女性が道の真ん中を歩いているだけだった。生気のない目で涎を垂らしながらゾンビのように公園の方へ歩みを進めている。

 

 夕夏が女の道のりを妨害するように立ち、竹刀袋を開けて一本の槍を取り出す。インベスティマグナムやカリバーと同じく変身の大元になる槍を日常生活でも問題なく持ち歩くために景虎から借りていたのだ。

 

「―――ア゙ア゙ア゙ッ!!」

 

 夕夏を視認すると女は唐突に苦しみだす。槍―インベスティランスを両手で構えながら警戒する夕夏の目の前で、女はその姿を変化させる。

 

《TIGER》

 

 おどろおどろしい声と共に完全に体が変化しきる。現れたのは黄褐色に黒い横縞が入った怪物。人間より一回り大きく、特に爪と顎が肥大化している。人間とトラを混ぜたような醜悪な怪物は夕夏に向けてむき出しの殺気を放つ。

 

 常人なら気絶してもおかしくない状況だが、彼女は既に非日常に慣れすぎている。そのことに自嘲しながら夕夏は自分用のドライバーを取り出し、腰に装着する。

 

《インベスティドライバーγ(ガンマ)!》

 

 槍と同じく深緑のデバイスは装着されるとともに無機質な機械音声が響き渡る。夕夏は飛翔する昆虫が描かれたレコードカードを取り出し、ベルト上部にある挿入口に差し込む。

 

《Set Beetle》

 

 無防備な夕夏を仕留めようと、鋭い爪が迫る。人の命など一瞬で刈り取る凶器だが、当たる寸前に何かによってよって防がれる。

 

 その正体はデータで構成された巨大なカブトムシだ。緑色の設計図と共に夕夏の正面に投影された人間ほどのサイズの緑色のカブトムシはそのまま飛翔し、タイガープレイスターをけん制する。怯んだ怪物はそのまま夕夏から離されるように後退する。

 

 その隙に夕夏は最後の工程としてインベスティランスの柄に付けられているトリガーを押し、

 

「変身」

 

 悠然と呟いた。

 

 タイガープレイスターを牽制していた巨大なカブトムシは、反転し夕夏の元へと高速で飛翔した。夕夏は慌てることなくそれを待ち受け、目前へと迫ったところでインベスティランスを突き出した。

 

 緑の設計図越しに交差する槍と角。カブトムシは分解し、外骨格は夕夏の体に合うように読甥として再構成される。外骨格以外は黒い土のような形状になり、夕夏の体に付着し黒いアンダースーツに変化する。

 

《Growing,Strength,Flying!》

 

 緑の外骨格の鎧が全身に装着される。元となった昆虫の象徴である一本角はそのままに、まるで戦国武将な重厚感のある戦士となる。

 

《Kamen-Rider Sutorus Mode:Beetle!》

 

《System All Green》

 

 零課が開発した三機目の仮面ライダー、仮面ライダーストラスに変身した夕夏はインベスティランスの切っ先をタイガープレイスターへと向ける。挑発されたと受け取ったのか、タイガープレイスターは激高したようにストラスに襲い掛かる。




次回に続く!

はい、ということで最後の一人は蘆屋夕夏こと仮面ライダーストラスです。ヒューム、ガレス、刃狼を含めた四人のライダーが物語の中心を担っていきます。

今回から本格的にヒューム組と零課組が交わっていきます。両者の関係が互いにどんな影響を与えるのか・・・お楽しみに!

感想・評価などいただけますと本当に執筆の励みになりますので、ぜひお願いします!









おまけ~CMその1~
『ヒューム!』

レコードカードを使って変身!

『ALL RIGHT!YOU ARE HUMAN!』

『DON'T FORGET THIS ANSWER』

ボタンをもう一度押して必殺技!

『ALL RIGHT!HUMAN FINISH ATTACK!』

DXエヴィデンスドライバー!(レコードカード3枚付属)

レコードカードの力で新たな姿へ!

『SABER!』『ARCHER!』

レコードカードセット01!
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