ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
カリカリ…ペン先が紙を撫でる音が響く
(はぁ……)
少し視線を持ち上げると、きゃいきゃいとはしゃぐ黄色い後ろ姿とそれを相手する赤い後ろ姿
そう、何を思ったのか万魔殿から監視が送られたのだ
(……いつまでいるつもりなのかしら)
お昼休憩を挟もうとした辺りで…(その頃にはお昼過ぎだったけど、)来たから、食事にも行けなかったし
(お腹、空いたわね……)
時計を見ると、もう15時を過ぎようとした頃
…空腹とは一種の極限状態、私は自身の頭をフル回転させ、この場を乗り切る手段を探す
(……そうだ)
「ねえ、少しいい?」
「おや、どうかしましたか」
「そろそろ小腹がすいた頃かと思って、おやつはどう?何か持って来させるけど」
「おやつ!?」
「……ふむ」
イロハより先にイブキが食いついた、これはラッキー、イブキなら籠絡できる…
だけど、ここで問題なのは…
(中途半端な量じゃ嫌ね、ここは何か…ちゃんとお腹に溜まる物を…)
「ハンバーガーとかどう?」
「ハンバーガー!!」
「…はぁ…どういう風の吹き回しですか?」
「私も小腹が空いたのよ」
…実際は小腹どころではないが…
手空きの委員会の生徒に買い出しを頼み、しばらく仕事に戻る
「委員長!買ってきました!」
「ありがとう、そこに置いておいて、こんな事させて悪かったわね」
「いえ、それではごゆっくり!」
テーブルに並べられたのはハンバーガー、ナゲット、ポテト、ドリンク…バーガーも種類がある
チーズと卵を挟んだバーガー、ノーマルだけど二段重ねの大きなバーガー大きなナゲットとレモンソースのバーガー
どれを食べようかと悩んでいるとイブキが卵とチーズのバーガーを手に取る
「イブキ、これ好き!」
「…すみません」
「いいのよ、イロハも先に選んで」
そう勧めると、では、とイロハはレモンソースのバーガーを手に取る
(…残り物には福がある、ね)
残された大きなバーガーを手に取り、包みを開く、この匂いで涎が止まらない
「いただきます…はぐ」
うん、美味しい、久しぶりに食べたけどこれは美味しい…
チーズ、パテ、バンズ、ソースには玉ねぎとピクルスがゴロゴロと…
脂っこいパテとチーズをソースの酸味が打ち消してくれる
(うん、こういうのが好き)
今度から酸っぱいものが好きだと言おう、そう思うほどに食べるのが止まらない
口の中をハンバーガーで満たし、コーラで流しこむ
「ゴクッ…ゴクッ……ふぅ」
「……よく食べますね」
「…忙しかったのよ」
つい皮肉で返してしまったが、イロハもかなり食べ進めている
バーガーよりもポテトがお好みのようだけど…
「ねーねー!ヒナ先輩!ナゲットも美味しいよ!」
「そうね、私もこのナゲットは好き」
特にソースが良い、ナゲットにたっぷりソースをつけて口に運ぶ
カリッ…もしゃもしゃ
(…少し、衣が変わったような…気のせい?)
甘みの強くて、味の濃いソースを楽しみながら、今度はポテトをソースにつけて食べる
運ばれる間に少し萎びたポテトを口に運び、バーガーにかぶりつく
(うん…行儀が悪いけど、これが1番美味しいわね…)
(……ほんとに美味しそうに食べますね、普段とは全然違う)
「おいしそう…イブキも!」
くたびれたポテトとソースの風味に酸味の効いたバーガーのソース、そして肉の油とチーズ…
波のように迫ってくるいろんな味、だけどそれを噛み砕いてぐちゃぐちゃになる過程がいいのだ
そしてそれをコーラで飲み干す…
「……はぁ…」
たまらない…
「…私も」
いつのまにかポテトとソースが尽きて、ナゲットにつけるものがなくなってしまった
3人でつまらない話をしながら、ナゲットを食べて休憩した