ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「…はぁ…」
カレーを好きに食べていい、そう言われたあの日からしばらく経って、もう夜も遅い
フウカには「カレーなら好きなだけ食べて良いから!」と言われたものの、あの量を1人で消化できるはずもない
そのまま食べなくても色々食べる手段はあるだろうが…
(…お腹、空いたわね)
かと言って、そのままのカレーを食べるのはそろそろ飽きた
もう何日続けたかわからないのだ、しかし、美味しいのは美味しい…
(…まあ、手を加える気力は湧かないし)
食堂に向かう足取りはやや重い
「……?」
…この匂い…カレーを誰かが温めている?その上…明かりもついて…
(フウカ?)
「……ふぅん」
結論から、フウカは居なかった、そして侵入者は私に気づいていない
私はわざと片足を少し持ち上げ、カツンと床に叩きつける
「あら?……ひぃっ!?」
「らしくない反応ね、ハルナ」
前回必要以上に叩きのめしたのが相当応えたのか、飛び上がって震える姿はカスミを思わせる
…確かにあのときはみんな目を背けていたし…やり過ぎただろうか?
「で、何してるの?」
「…こ、これは…フウカさんには許可をいただいてて…!か、カレーを食べてもいいと…」
「そう、まあ破壊して侵入した形跡もないから…今回は無罪かしら」
「そ、それより風紀委員長こそ何を…」
「夜食、まだ仕事が残ってるから簡単にだけど」
今日はどう食べようか、そう思っていると…気づく
ジジジ…となる音、カレーに混じって感じられるこの匂い…
「……決まりね」
「へ?」
間抜けな声をあげたハルナを横目に食パンを一枚手に取る
(そこそこ分厚いやつがいい、これね…それと…スライスチーズに、卵、胡椒は……いらないか)
スッと目の前にマヨネーズが差し出される
「卵では無くこちらをどうぞ」
「……かけるの?」
「いいえ、スプーンいっぱいほどカレーに混ぜ込みましょう」
「…ふーん」
パンの真ん中を押してへこませて、そこにお玉半分程のカレー、そしてスプーン一杯のマヨネーズを乗せてよく混ぜる
「先に一度焼きましょう、その後にチーズを乗せてもう一度…」
その言葉の通り、トースターにパンを突っ込む
そのときハルナは自身の皿を取り出した
(グラタン…いや、カレードリア?…なるほど、いいわね)
少し気になるものの、とりあえず自分のパンを焼き、少しカレーの表面が乾いたらスライスチーズを2枚ほど乗せる
そしてチーズがフツフツと沸き、よく焼き色がついたら完成
「……」
取り出したパンを少し冷ます
「ふーふー…はふっ…うん…はふ…」
幸せそうにカレーを口に運ぶハルナを観ていると涎が止まらない…
パンを手に取り、口元に運ぶ
カリッ…強烈なスパイスの香りと塩気のあるチーズの味わい
「あふっ…カリッ…はぐ…あむ……ザクッ…」
美味しい、止まらない、美味しい
最初こそチーズが塩辛いと思ったのに、マヨネーズにカレーと塩気や辛味は多すぎると思ったのに…
(厚いパンのおかげでしっかり甘味も感じれる…それに、マヨネーズでカレーもまろやか…)
むしろ塩気はちょうどい位くらいだった、その上こんがりとしたトーストのザクザク、チーズのカリカリ…
中の野菜はねっとり柔らかで食感が全て違う…昨日までも食べ続けたカレーがここまで変化するとは
「……ふぅ…」
あっという間に食べ切ってしまった、大きく息を吐く
「あら、一枚で終わりですか?」
「……あんまり食べすぎると眠くなるでしょ」
「なるほど」
不意にハルナと目が合う
「…ふふっ」
「どうしました?」
「次ロクでもないことしたら今度は前の倍叩きのめすから」
カラン、とスプーンの落ちた音がした
「冗談よ」
そう言って食堂を後にした
(…ガラじゃなかったかしら、冗談なんて)
「…ハルナ、最近様子変じゃない?」
「ね、お腹痛いのかな」
「こういう時は〜…美味しいものでも食べに行きましょうか★」
「潰される…次こそ潰される……アルミ缶みたいにぺちゃんこに…」