ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「……ふう…良い時間に終わったわね」
今日は仕事が順調だった
以前イブキとイロハが来た時に2人の相手をしたからか?それとも今日の夕飯がハンバーグだったからか?
はたまた先生が連絡をくれて、少し話す時間を取れたからだろうか?
何にしても、日付が変わる前に今日は書類も終わり、帰り支度まで済んだ
「…ふぅ」
一息つき、カップに残ったコーヒーを飲み干す
「……お腹すいた…」
しばらく胃に何も入れなかったから気づかなかった、急にお腹が減る…
こうなるとダメだ、何か食べたい、何か、何か……そうだ、ラーメンなんていい、美味しいラーメンを…
「……確かここにカップ麺が…いや」
それじゃダメだ、今の私が求めてるのは…
(…確か、近くに深夜営業のラーメン屋さんが…)
空腹を前に1人でラーメン屋に入ることへの躊躇いなどなく、期待感を胸に帰路につく
「……よし」
食券を買い、店員に渡して品物が届くのを待つ
はぁ…とため息を吐く、最近はいろいろあった、フル回転し続けた頭を休ませながらカウンター席でのんびりとくつろぐ
「お待たせしましたー!」
ごとん、ラーメンの入った丼が置かれる
白濁したスープが特徴的な豚骨の香りを強く発している、口の中によだれが溜まるのがよくわかる
「いただきます」
今日は色々と吹っ切れていた、とことん食べようと決めていた、そんな気の迷いの結果…
通常一枚のチャーシューを3枚にして、ネギを山盛りにし、味玉を倍の2つにしてさらにうずらの卵を5個もトッピングした
さらに元々トッピングされている海苔もある、さあ、どう食べようか
麺を箸で掴み、口に含んで啜る
「ずるるっ…うん」
インスタントでは食べられない太めの麺、噛み締めればちゃんと麺の味がする
スープも脂っこいながらにちゃんと塩気もあっていい、麺によく絡んでいるから存在感がある
「お待たせしましたー、ライスと唐揚げです!」
…来てしまった、気の迷いの結果2号が
揚げたてのまだ油の泡が残っている唐揚げを添えられたマヨネーズにつけて口に運ぶ
「あぐ…はふ…はふっ…んぐっ…」
熱々の唐揚げをかじり、少し味わったところであまりの熱さに氷水で流し込む
「…ふー…ふー…はぐっ」
少し冷ました唐揚げをあらためて頬張る、濃い味がマヨネーズでまろやかで、でもしっかり胡椒のきいた味…
ご飯を即座に口に放り込む、この相性が悪いはずがない
「はぐ…あむ……ふぅ……ふー…ふー…ずるるっ!…うん…」
どんどんと食べ進める、そろそろいい頃だろうか、チャーシューを一枚…
「はぐっ…あぐ…」
丸く巻かれた豚肉を厚切りにしたチャーシュー、これは繊維に逆らってるからか強い食感がある
(…これは、残しておこうかな)
次はうずらの卵、一つを丸々口に含む、白身がしっかりとした食感なのに対して黄身は滑らか
味付けは濃くはない、卵そのものの味わいを楽しむようなトッピング…
そして味玉をかじる、こちらの黄身はトロリと濃厚、その上、こちらも濃い醤油味…
(……うずらの卵ね)
海苔を一枚取り、スープに潜らせ、どんぶりの上で開く
そしてうずらの卵と箸でちぎったチャーシューを乗せ、ネギと麺を乗せて巻き込む、そしてそれを口に運ぶ…
「はむ…うん」
じわっ…噛むとスープが口に広がる、今度はチャーシューの醤油味、よく噛んでいるとうずらもちゃんと居る
(でもあんまり…これなら味玉の方が良かったかな…)
追加でうずらを口に含む、やはりこの白身を噛み切る感覚と、まったりと口に広がる黄身の舌触りがいい
海苔で麺を巻いてもう一口、次はネギを多めに巻き込む
じゃくじゃくと噛み砕きながらレンゲでスープを流し込む
「……ふぅ……美味しい…ん…?」
ふと、席に置かれたポップに目が行く
「……ライスの食べ方…?」
食べ方も何も、好きに食べればいいとは思ったが…
(豆板醤に胡椒…そこに味玉を…?……いいかも)
ライスに少量の豆板醤を落とし、箸で塗りたくる、そして胡椒と胡麻をかけて、味玉を乗せる
さらにスープをすくって1度、2度と垂らす
「…はぐ…」
意外と辛さはない、それどころか刺激的な香りとは裏腹に甘味もある…
(うん、悪くない…)
卵を割って崩しながら食べるとこれもまたいい、黄身を混ぜながら食べるとより柔らかな味わいで美味しい…
スープをさらに足して、今度はご飯を海苔で巻いて食べる
(……思ったより、微妙…)
唐揚げをラーメンスープに落としてから一口、これは悪くない
「はむ……はぐ…ずず……ずるる…」
レンゲと器がカツカツと音を鳴らす、しばらくするとご飯の茶碗も唐揚げの皿も空になる
「…ふぅ……」
少しして、ラーメンの麺も尽きて、お腹も良い具合
(流石にスープは…うん、やめておこう)
今更栄養やらをいうのは手遅れだが、仕方ない…
そのまま帰り、軽く整えてその日はベッドに入って長めの睡眠をとった
次の日、近くを通ったイオリに「なんか、ちょっと臭わない?」と言われた
…その日は少し憂鬱だった