ヒナ「お腹空いた…」   作:ひよりん

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第37話

「お願い」

「…えー…」

「明日の仕込み、手伝うから…」

「今回だけよ?」

毎度のやりとり、私は労働力、フウカからは食材か食事

今回要求したのは…

「はい、鳥もも肉、タルタルはよろしくね」

「わかったわ」

フウカのお手製チキン南蛮…だったけど、ここは妥協、自分で作ることにする…

 

「……はあ…めんどくさい」

グラグラに沸いた鍋に卵を大量に入れる、これを全て剥いてタルタルソースにすると思うと頭が痛い

(今のうちに)

タルタルソースに使う食材は、ゆで卵、マヨネーズ、塩胡椒、あとは…

(玉ねぎ…は、今日はなし)

バカみたいな量の玉ねぎのみじん切りなんて冗談じゃない

私はストックのあるお漬物を取り出して、刻む

とにかく、徹底的に全て刻む

「…しば漬け…はむ…うん」

かり、ぽり…これは止まらなくなる

「あ、いけない」

刻んだしば漬けをボウルに入れる

(…これにマヨネーズ、塩、胡椒)

それから茹で上がって殻を剥いた卵を入れ、潰しながら混ぜる

本当は刻んで入れることもできるが、めんどくさい

それになにより、ごろごろした具材がある方が好み…

「はむ……うん、これくらいでいいかしら」

あとは、本命のチキン、これを一枚そのままいく

鶏皮を外し、薄く薄力粉を塗す、溶き卵をくぐらせて、片栗粉につける

本当は卵と粉を溶いた液を使う物らしいけどそんなのは知らない、私には理由がある

揚げている間に醤油、味醂、お酢を混ぜて沸かし、火を止めてから水溶き片栗粉を入れて混ぜる

「……ふう…」

あとは、残り物のお味噌汁と、冷やご飯…こちらもあまり物のサラダを添えて…チキンが揚がるのを待つ

(…そろそろね)

色づいたらトレーに揚げて、揚げた時間だけ置く、そして中まで火が通ったらもう一度油に落とし、1分揚げて完成

ザクッザクッ…切り分ける音が楽しい

甘酢あんとタルタルソースをたっぷりかけて、完成

「……ふふ…いただきます」

一切れ持ち上げ、ご飯の上に、そして…

「ザクッ…はふっ、ほふほふ……うん…ふふっ」

ああ、これが食べたかった!思わず笑ってしまうほど美味しい

タルタルソースをしば漬けで作ったのは大正解だ、酸味と食感が心地いいのに微かに香るこの風味…

甘酢あんと相待って、よりさっぱりとした味わいになる…

「あむ…あぐ…ザクッ…ほふっ…」

片栗粉の衣もいい、片栗粉はダマになりやすいがそのダマが欲しかった、油で揚げればそのダマもあられの様にザクザクとした食感で楽しい

そしてあんとソースがよく絡む…!

「…ふぅ…ずず…」

お味噌汁で口の中をリセットして脂っこい味を流し、もう一切れ…

ザクッ…やはり片栗粉、まだザクザクが消えない…

「…はぁ…美味しい……」

いつの間にか空になった茶碗にご飯を継ぎ足し、さらに食べる

ザクザク、もぐもぐ、チキン南蛮の濃い味付けでご飯が消えていく…

(…あ)

…ご飯より先にチキン南蛮の方が尽きた…

でも、問題ない、タルタルソースを空いた皿に継ぎ足し、それを口に運ぶ

(うん、やっぱりこれはおかずになる)

サラダに乗せて食べてもいいし、甘酢あんごとご飯と合わせてもいい…

「……うん…食べ過ぎたわね」

 

翌日、食堂のランチは魚のフライだった…

「……もう揚げ物はしばらくいいわ」

「タルタルソース、まだあるけど?」

「…やめて」

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