ヒナ「お腹空いた…」   作:ひよりん

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第41話

「何か、言い残すことは?」

「ひ…」

今日は随分と疲れた、近隣の飲食店が爆破されたと言う話を聞いて察してはいたが、やはり犯人は美食研究会

そうとわかれば話は早い…はずだったのだが、相変わらずと言うべきか、逃げるのが上手い

他のメンバーを見捨てて逃げ、散らばっては追いついてきた委員会を倒して逃げ、合流して戦闘したり

(嫌気がさすわね)

私はただ目についたからと言う理由でハルナを追いかけ回したが、苛烈な抵抗も虚しく、とうとう路地の奥、隅の隅に追い詰められてしまったわけだ

「まったく、いい加減にしなさい、今日という今日は──」

「ヒナさん!!」

急に大きな声を出さないでほしい、ため息を一つこぼし、何も言わずに続きを促す

「これは、交渉です…!実は、私は最近新しく美味しいお店を開拓したのです」

「へえ?それで」

「そのお店を紹介したいと思いまして…!」

つまり、目溢しをして欲しいと

「とりあえず聞かせてもらおうかしら」

「ありがとうございます…今回は生の海鮮、それも…烏賊です」

「……イカ?」

イカか…イカ……うーん

「烏賊といえばイカ焼き、イカ飯、他にも里芋と炊いてみたり、酢の物にあえて見たり、どれも美味しいですね」

「へえ」

「でも今日紹介したいのは、イカ丼です!」

「イカ…どん?」

真っ白なお米の上に真っ白なイカを乗せて食べると言うことだろうか…?

「白米の上にこれでもかと並べられた細切りのイカのお刺身、これが非常に美味しいのです、どうですか?」

「どう美味しいの」

「ふむ…口で表現するのは難しいのですが…醤油、少し甘みのあるまろやかな醤油をたっぷりと回しかけ、七味を丼の上を一本、線を描くように振り掛けます」

「七味…?…辛いの?」

「そこまでです、一味ではありませんから」

(何が違うの…?)

「醤油、七味をたっぷりかけたイカをお米と一緒に口に運ぶと、まずは醤油と七味の爽やかな、しかしインパクトのある香りがきます」

「そして、噛み締めるとお米とイカの甘みが存分に口に広がるのです」

「……へえ」

「お米の熱でやや火の入ったイカは、表面がややトロリと、しかし食感があり、そして甘くて…」

「……」

「醤油の塩味と七味の辛さも合わされば最高の逸品です!」

「…イカは細切りのお刺身がいいのね」

「はい、いわゆるイカそうめんのようなものが適していますね、それから…」

「ああ、もういいわ」

「え?」

「……私、イカはあんまり好きじゃないし…辛いのも別にそこまでだから」

ハルナを制圧して引き渡した

 

「…はぁ……今日もこれで終わりね」

もう遅い時間、でもいつもよりやや早めに終わった、となると…

(…コンビニ行こ)

 

「ありがとうございましたー!」

「……別に、何も悪くないわよね」

買い物袋の中には、パックご飯、パックのイカそうめん、七味、甘口醤油…

(…まあ、あの時はそこまで気分じゃなかったと言うか…別に、詳しく聞いたから用済みとかそんな事はないし…)

自室に帰り、ご飯をレンジで温める

温まったご飯にイカそうめんを乗せ、醤油を垂らし、七味をかける

「……いただきます…はぐ」

…これは、甘い

「うん…はぐ…もぐ……もぐ…うん…ふふっ」

「意外といけるわね」

確かにイカもお米も甘いし、醤油にも甘みがあって、全体的に甘い

だけど醤油は醤油、そのうえ七味が良い仕事をしてる

(意外と辛くないのね…うん、これならイケるわ)

「あむ……はぁ……ごちそうさま」

(…コレは、たまに食べるならアリかも)

 

後日、釈放されたハルナに「アレ、美味しかったわ」と伝えた所、泣かれた

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