ヒナ「お腹空いた…」   作:ひよりん

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第48話

「おめでとうございます!委員長!」

「うん、ありがとう」

「委員長、おめでとう」

「おめでとうございます、ヒナ委員長」

「2人もありがとう、いろいろとあったけど…良い一日だったわ」

 

…今日1日、何度も何度もこのやり取りをして、なぜかカラオケに連れられて

知らない人と会ったり、肩肘を張る展開かと思ったら気が抜けるような事実を聞かされたり

それが今度は大量の中華やケーキを出されて…

とんでもない馬鹿騒ぎをして…

 

「……ふぅ…」

ようやく落ち着ける、思わず大きなため息が出た

(食べたものの味がよく思い出せない…でも、美味しかったし、楽しかった)

けど…

 

「……最近、贅沢が多いわね」

スーパーで買ってきた、二切れのショートケーキ、そして…

「……ふふっ…奮発しちゃった」

教科書よりも分厚く、そして…両手のひらよりも、大きい…

そう、大きくて分厚い牛肉…ステーキ用…!

そして…ちょっと高かった、無洗米…ブランド物…

「…よし…」

やや空腹を覚えつつ、分量を測り、炊飯器にご飯と水を入れてしばらく放置

そして次は…お肉

 

包丁の先端を突き刺すようにしてスジを切り、キッチンペーパーに包んで常温に戻すためにしばらく置く

「次」

ジャガイモとにんじん、そして冷凍ブロッコリーに玉ねぎ…

備蓄の野菜も今日は主役を引き立てるためにいつも以上に力を入れる

 

じゃがいもをラップで包み、レンジで温める

そしてその間ににんじんと玉ねぎの皮を剥き、玉ねぎは薄切りにして容器に

人参は乱切りにして小鍋に入れる

 

にんじんを入れた小鍋にバターと水、塩と…

「……こんなに入れるのね…バターもかなり、入ったのに」

砂糖を、ドバドバ入れる…

鍋に蓋を…蓋がないのでアルミホイルで作った簡易的な落とし蓋を入れ、しばらく煮込む

(……大丈夫なのかしら…)

 

次はフライパンを用意、これでお肉を焼く、けどその前にひと仕事

「……叩き潰す…」

そう、叩き潰さなくてはならない…

 

バゴっ…ベシャっ…

レンジから取り出した温かいじゃがいもを軽く(?)つぶし、皮を取り除く

(熱い…)

そして、一口台のサイズにほぐし、フライパンにやや多めの油を流し入れてじゃがいもを焼き上げる

 

「……これは、もう間違いないわ…」

前にイオリと必死にフライドポテトを作った時を思い出す

あの時、もうポテトは死ぬまで見たくないと思ったけど…2日もしたらまた食べたくてしかなかった…

こんがりと前面が黄金色に焼けたら、油を切るためにザルに移し、マジックソルトを振りかけ、余分な塩を振り落とす

コレで付け合わせが一つ完成…

 

(…ニンジンももう良い頃合いね…)

火が通り、柔らかくなったニンジンに煮汁を絡ませるように鍋を振りながら煮詰める

ニンジンが艶やかになり、煮汁がなくなったら完成…

「焦げてない…うん、確かにコレは…宝石みたい」

 

ご飯が炊き上がって少ししたくらいがベストタイミング…そこに、お肉の完成を持っていく…

(…温度も、多分大丈夫…フライパンを温めて…!)

バターと少量のサラダ油をフライパンで弱火で温める…

温めたバターが泡立ち始めたのを見てお肉に塩と胡椒

全体に軽く塗るように馴染ませて、泡の落ち着き始めた頃に強火にして、フライパンに投入

 

ジュワワ…

熱気とバター、胡椒の香り…涎が止まらなくなる

(……そろそろ)

お肉をトングで掴み、ひっくり返す

「…少し甘かったかしら」

このあともう一度強く焼くつもりだけど、やや焼き目が甘い気がする…

裏面、そして側面もトングで掴んで焼く

そう…このお肉は分厚いから、側面にも焼き目をつける…

(贅沢ゆえの手間…ね)

 

一通りに焼き目をつけたらアルミホイルで包み、保温性の高い皿の上に更に同じような皿を被せ、じっくりと熱を伝える

「…よし、次」

薄切り玉ねぎをフライパンに入れ、炒める

全体がしんなりと火が通ったら皿に敷く

冷凍ブロッコリーもすでに溶けている、まだ温かいフライパンに並べ、粉チーズを振りかけ、フライがえしで押しつぶす

 

粉チーズが溶けてカリカリになったらフライパンから引き上げて、玉ねぎの周りに添える

ついでにポテトとニンジンも…

「あ」

炊飯器がご飯が炊き上がったことを教えてくれる

一度蓋を開け、しゃもじでご飯をそこから掬い上げるように混ぜる

(……おにぎりで食べたい…)

甘い炊き立てのご飯の匂い…

「…我慢、あと少し…」

 

 

あとは保温していたお肉を、強火で焼き上げるだけ…!

フライパンを温め直し、強火で全面を焼き上げる

「……30秒、次…」

一通り焼き目をつけたら新しいアルミホイルに包み、容器で保温する

 

 

フライパンは火から下ろして、砂糖と醤油を混ぜる

そして果汁100%のぶどうジュースを加え、弱火で煮詰める

その間にお肉を皿の玉ねぎの上に盛り付けて…

アルミホイルに残った肉汁をフライパンに移して、バターと胡椒を加えて艶やかなとろみが出たら完成

 

ソースをたっぷりステーキにかけ、ホカホカのご飯をたっぷりお椀に盛り付け、インスタント味噌汁とお水を用意して…

(誕生日おめでとう私……)

「いただきます」

ナイフとフォークでお肉を一切れ切り分ける

肉汁が溢れる、ピンク色のお肉…

「完璧…!はぐ…はふ…」

大きなお肉にかぶりつき、口の中を肉汁で満たす…

(幸せ…)

 

バターと牛肉特有の香り、塩気もしっかり効いていて、コレだけでもたまらない…

でも、ソースもまったりと絡む感じが最高…醤油の香ばしい香りでご飯が欲しくてたまらなくなる…

「はふ……うん…ふふ…」

ああ、贅沢…切り分けたステーキを噛み締める度に幸せな気持ちになる

すこし気分転換にポテトを口に運ぶと…カリッ…ボリバリ…

(……あれ、これ…塩いらないかも…)

そのままのポテトをご飯の代わりにステーキを頬張るのもきっと最高だった…そう思えるくらい美味しい

 

「次はコレ…ニンジンの…グラッセ」

正直体に悪そうな照りで、砂糖もかなり入れたし、バターも…

でも、今日くらいは…

「はむ……っ!?…な、何コレ…」

ニンジンが、こんなに美味しいなんて聞いてない…

甘塩っぱくて、バターのいい香りがして…

ご飯とは合わない気がするけど、一品の料理としてすごく美味しい…!

 

「…すごいわね、コレ」

ブロッコリーを食べてようやく気持ちが落ち着いた

(付け合わせはコレくらい素朴な感じが好きかも…全部美味しすぎるわ…)

 

ステーキを切り分け、頬張る

「…もご……ごくん……」

お味噌汁を一口

「ずずず……はぁ……」

(……美味しすぎて、飽きるわね)

ステーキも残り2切れほど、グラッセもポテトもあと一つか二つくらい

(…楽しんで食べるためには、もう少し少ないくらいがいいわね…)

 

「…あ、これ…コレすごくいい」

ステーキの下に敷かれていた玉ねぎをご飯に乗せて食べる

ステーキソースや肉汁を纏っていたから、正直1番ご飯が進んだ…

 

(……ショートケーキ…もういいわ、明日に…いや、でも今日食べないと…でもお昼に食べたし…)

結局ケーキを二つとも完食し、心の底から後悔しながらその日を終えた

 

翌朝胸焼けして更に後悔した

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