ヒナ「お腹空いた…」   作:ひよりん

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第49話

 

「……何」

「いえ、ちょっと嬉しいものでして♪」

「…なんだか、ムカつくわ」

「えっ」

…さっきまでのルンルンの表情は一瞬で消え、やや怯えの色を見せるのは…

「で、どこに連れていくつもり?…ハルナ」

珍しく…と言うべきか、最近大人しかったハルナに誘われ、街を連れられる

…まあ、大抵当たりの店に招待される上、目を光らせて側に置けるのは仕事が減るから助かる時もある

 

「ふふふ…それは、これです!!」

「……なに、そのサイト……喫茶店…いや」

…見たことがある、確かニュースで…

 

「プリンが有名…なところだったかしら…プリンを食べるの?」

「はい、昨日シャーレに行った時に先生が…“明日は…プリンを二つも食べちゃうぞ!”と言ってましたので」

「…それに影響された?」

「ええ」

「…はぁ…」

 

思わずため息が出てしまったが…

「まあ、相変わらずね、先生も」

「たまに変なことを言いだしますから」

(…ハルナも大概だけど)

 

「ああ、ありました、ここです」

「……レトロ喫茶系なのね」

2人でカウンター席に座り、コーヒーを注文する

そして、プリン…

 

「こうして頼んでから思ったけど」

「はい?」

「…外でプリン食べるの初めてかも」

「ふふっ、もしかして、プリンを頼むのは子供っぽい…なんて考えてるんじゃないですか?」

「かもね」

そんな話をしているとコーヒーが運ばれてくる

 

(…いい香り、味も程よく苦いけど、濃すぎなくて美味しい…)

「美味しいわ」

「それはよかったです」

「…あ」

 

足つきのグラスに盛り付けられたプリン、そしてその上に乗せられたフットボール型のクリーム…

「へえ…」

想像してたのよりしっかりとしていて、大きい…これは…

「いいわね」

「ええ…早速いただきましょう」

 

「いただきます」

プリンをスプーンで掬い上げて…

……掬い上げ…掬い…

(か、硬い…?…ええと)

スプーンの縁で切るようにして一口分掬い上げる

そして口に含む

「……ハルナ」

「はい?」

「…ありがとう」

「……い、いえ…?」

 

…美味しい…

プリンといえば、私は抵抗なくスッとスプーンが入り、口に入れれば崩れていく

そんなカップに入ったプリンくらいしか想像できなかった

だけどコレはそれらとはまるで違う…

 

「ケーキみたい…」

ケーキのように柔らかで、香り豊かで、舌でつぶせるほどの柔らかさと滑らかさがありながら、だけど他のプリンよりはしっかり固い…

「一般的に売られているプリンはゼラチンやアガーなどで固めているものもあります」

「ゼラチンって……ああ、ゼリーとかに使う?」

「はい、体温で溶けるので、口の中で柔らかさを演出する目的もあるのでしょう、しかしこれはその手のものは一切混ざっていません」

「シンプルなのね…」

 

だからこんなにしっかりとした口当たりなのだろうか…?

乗せられたクリームを合わせると、本当にケーキを食べているかの様で…

(コレにコーヒーを合わせると…)

「ふう……最高ね…」

「ええ、あっさりしたコーヒーがクリームとプリンで甘くなった口をサッパリとさせてくれて……」

「…そうね」

 

…このクリームの感じ…

(……トーストが食べたい…バターを塗ったトーストが欲しい……)

「…あ」

スプーンがカツカツとガラスの器をつつく

「…ごちそうさまでした」

 

少し物足りない、このくらいが1番美味しく楽しめる…

(…また来ればいいわ)

「ヒナさん、もう満腹ですか?」

「…いや、それは…」

「……今日は、私たちもプリンを2つも食べちゃいましょう!」

「……」

…二つ目…?

 

「…そうね、付き合ってあげる」

「ふふふ、お願いします」

2人でもう一つプリンを食べた

 

「しかし…あのあっさりとしたコーヒーを飲んでいると…分厚いパンにバターを乗せたシンプルなトーストが恋しくなりますね」

「……流石ね」

「…また行きますか?」

「そうね」

 

2人で予定を合わせた

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