ヒナ「お腹空いた…」 作:ひよりん
「…お腹すいた…寒い…!なんでこうも万魔殿の連中は…」
「イオリ、うるさい」
「…ごめん、でも…」
「もうすぐ終わるから大人しくしてなさい」
「はい…」
今日は万魔殿の式典の警備
何こんな冬場に屋外で立たせる必要はないと思う
(…いくらゲヘナは火山が近いとはいえ、冬は寒いわ……)
コートを抱きしめるように身を包み、つい背を丸めてしまう
「……もう5時間ぐらい立ってる…」
「そうね…」
他の委員達は別の場所で業務にあたってるし、屋外組の私とイオリは…言いたくないけどハズレを引いた形になる
(…温かいもの、なにか…食べたい…)
「委員長…コレ終わったら何食べるの?」
「えっ」
「……あれ、特に、そう言う感じじゃない…?」
「いや、温かいものでも食べようとは思ってたけど…」
(もしかして、私そんなに食いしん坊だと思われてる…?)
「温かいものなら…そうね、ラーメンはどう?」
「ラーメン…」
お店で食べるラーメンはカップラーメンと違う
具材もチャーシューやネギ、メンマと豪華だし、何より私は麺を重要視してる
(カップ麺だとあのコシのある麺は食べられないし…たまには…食べたい…)
「いや……でも、私たちでラーメン屋さん行くのは…」
「えっ」
「ほら、先生とか、もっと沢山で…とかならわかるけど、華の女子高生2人でラーメンは…ちょっと入り辛くない…?」
「……」
唇をギュッと結び、一呼吸…
「そう、かしら…たまには、いいんじゃない…?」
…違う、私は変じゃない、1人でラーメンでも牛丼でも、お寿司だろうが焼肉だろうがいけるのは…
私は、そう…変じゃなくて…
(人よりもいけるお店が多くて、私は…人よりも自由ってだけ…! でも…イオリに無理強いするのも…悪いし…)
「い、委員長…?その……どうか、した…?」
「何も?」
(いや…顔がすっごい怖いんだけど…)
「…まあ、ラーメン行く?」
「いいの? ……そうね、そうしましょう」
「委員長美味しいお店知ってる?」
「……行ってみたいところはあるけど」
「ならそこ行こう」
この会話の2時間後、ようやく解放され、震えながらラーメン屋に飛び込んだ
「…へえ、油そばもあるのね」
「メインは太麺のとんこつ醤油の家系ラーメン……じゃあ、チャーシューメンの味玉! 脂多めの味濃いめで!」
(…華の女子高生はどこに行ったの……)
「委員長は?」
「味玉ラーメンの海苔と白髪ネギ…麺やわらかめ脂少なめ味ふつうで」
(…油そばも気になるけど、これはまた今度ね)
少ししてテーブルに置かれる
「委員長はこう言う店よく来るの?」
「……外食は基本しないわ」
「そっか」
端で麺をつかみ、口元に運んですする
「ずずず…」
「うん、ラーメン屋で食べるのって意外と美味しいかも」
「そうね」
(太い麺はかみごたえがあるわね…インスタントと全然違う…)
チャーシューも分厚くてかみごたえがある…
とろける柔らかなチャーシューも好きだけど、私はこの歯応えがあるチャーシューが好き
海苔で麺とチャーシューを包んで食べる
このくたくたの海苔で包んだ麺が好き…
味玉をそのまま齧るのも好きだけど…
「……」
端で半分に割り、黄身をスープに溶かし、白身を麺と一緒に海苔で巻く
「はぐ……うん…」
これもまた美味しい…
麺を海苔で巻くだけ、具材を少し巻き込んで…
たったそれだけなのに特別な気がする
「ふふ…」
「ぷはぁ…美味しかった!」
「どう?意外と悪くないでしょう、少人数なのも」
「…確かに」
(これでイオリもこっち側ね…)
「あれ、モモトーク…ハルナ…?……事故に遭っていけなくなった…?…嘘……」
「私の、トーストとコーヒー…」