ヒナ「お腹空いた…」   作:ひよりん

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第51話

「そう、コーヒーとトースト」

「それだけ?なら自分で用意したら…?」

「…めんどくさいじゃない」

「はぁ…」

「行政官に頼めばよかったのでは?」

「……」

「…ほら、行政官のコーヒーはまずいで有名だから…」

「なるほど」

「やめて、別にそんなこと言ってないでしょ…フウカ、セナ」

 

ハルナとの約束がなくなった私は諦めきれず、オススメのお店だけでも聞き出そうとした

しかしハルナは「お断りします」の一点張り、正直ある程度おいしければそこまで拘るつもりもなかったので…

(セナといつだか来た喫茶店だけど、コーヒーを頼めばモーニングセットがついてるなんて良いわね)

「…ところで、何で私まで誘ってくれたの?」

「別に深い意味はないわ、忙しかった?」

「…まあ、今朝は平気だったけど」

「ならよかった」

 

…誰かとモーニングを楽しみたいのならセナだけでもよかった、わざわざフウカを呼んだのは…

ハルナが巻き込まれた事故というのが…

自分たちが爆破した飲食店のプロパンガスの爆発に巻き込まれたという、なんとも間抜けな事情だったから

つまりは当てつけだ

 

(わざわざ言わないけど…)

「来ましたね」

「…へえ」

バターを塗ったトーストが半切れ、そこにゆで卵かジャム、あずきが選べる…

「…2人とも小豆にしたのね」

ゆで卵を選んだのが自分1人なのについ不安になる

「まあ、小倉トーストもたまには良いかなって」

「コーヒーにもよく合いますよ」

「……あとで頼むわ」

「えっ、朝から食べ過ぎじゃない?」

「…たまには良いでしょ」

 

早速バターをたっぷり塗られたトーストをひと齧り

「はぷ……うん、美味しい」

「素朴な味ね…」

香ばしいパンの風味、そして華やかなバターの香り…それを追いかけるようにコーヒーを一口…

「……ふぅ…」

コーヒーのガツンとした苦味と深いコク…

もう一口トーストを齧るとパンとバターの甘い風味が際立つ

 

「よく合いますね」

「そうね…」

表面はカリカリなのに、一口噛み締めればモチモチで、バターの香りが口いっぱいに広がる

「かぷ…うん、これ最高!」

「…小倉トーストに、カフェオレ…ほんとに美味しいの?」

「すごく美味しいわよ、あずきのおかげでまったり甘くて、それがミルクコーヒーとよく合うの!」

「そうですね、コーヒーと小倉トーストが良く馴染んで、非常に美味しいです、砂糖を入れなくても十分甘いです」

(…私も食べたい…)

 

「…ねえ、ヒナ…食べるの早くない?」

…いつのまにかトーストがもう無い…2人は半分ほど残ってるのに

「……少ないのよ」

いくら分厚めとはいえ、トースト半切れでは到底足りない…

(追加、いるわね…)

 

「ヒナ委員長、追加で注文するなら私も良いですか?」

「セナも何か頼みたいものでもあるの?」

「チキンとポテトのセットを」

「……そう、いいんじゃない」

(よく食べるわね…2人とも)

「…ヒナ委員長、チキン南蛮を挟んだパンがあるそうです」

「それはやめて、さすがにアレは大きすぎるから」

(…ヒナですら躊躇う量なの…?)

 

ゆで卵をスプーンで叩いてヒビを入れ、殻を剥く

「どうしてこういうお店のゆで卵は綺麗に剥けるのかしら」

「そこに穴を開けてるのよ、その穴から熱湯が入って、卵と殻の間に隙間ができるの」

「さすが給食部ですね、ではどうして穴から熱湯が入ると隙間ができるのですか?」

「えっ……そ、そこまでは…」

困ったような視線を向けるフウカを眺めながら卵に塩を振り、一口

(…塩かけ過ぎたわね)

 

チキンとポテトのバスケットが運ばれてくる

「これを…」

セナが添えられたケチャップの小皿にレモンを絞り、塩を振る、そしてよく混ぜてソースにする

「…好きね、それ」

「ええ、よければどうぞ」

「…あとでもらうわ」

「フウカさんも」

「…わ、私はもうお腹いっぱいだから」

セナがポテトをソースにつけて頬張る

「…♪」

(美味しそうに食べるなぁ…)

 

「来たわね」

運ばれてきたトーストに小豆を塗り、口に含む

「かぷ……うん…ふふっ」

これは美味しい!バターとあずきがここまで相性がいいなんて…

コーヒーを飲んで、もう一口…

(うん…単体なら甘ったるいくらいなのに、コーヒーが苦いからちょうどいい…)

しかもバターの香りが負けていない、だけどあずきも甘さだけじゃなくて…これは…

(そう、ね…コクなのかしら)

コーヒーと合わせても負けていない、コーヒー一口では口を洗えないほど甘みが濃い

「…美味しい」

(ほんと、美味しそうに食べるわね…)

 

「…ヒナ委員長、助けてください…お腹いっぱいです」

「えっ」

「何で注文したの!?」

「…フウカ、食べられる?」

「…少しなら…」

 

2人で半分以上残ったチキンとポテトを完食した

後日、釈放されたハルナに今日のことを話したら泣かれた

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